(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材と、該基材の表面に、請求項1〜9のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物、又は請求項10〜13のいずれか1項に記載の表面処理剤より形成された層とを含む物品
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物について説明する。
【0010】
本明細書において用いられる場合、「1価の有機基」とは、炭素を含有する1価の基を意味する。1価の有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基又はその誘導体であり得る。炭化水素基の誘導体とは、炭化水素基の末端又は分子鎖中に、1つ又はそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有している基を意味する。尚、単に「有機基」と示す場合、1価の有機基を意味する。また、「j+1価の有機基」とは、炭素を含有するj+1価価の基を意味する。かかるj+1価価の有機基としては、特に限定されないが、有機基からさらにj個の水素原子を脱離させたj+1価の基が挙げられる。例えば、2価の有機基としては、特に限定されるものではないが、有機基からさらに1個の水素原子を脱離させた2価の基が挙げられる。
【0011】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」とは、炭素及び水素を含む基であって、炭化水素から1個の水素原子を脱離させた基を意味する。かかる炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、1つ又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい、C
1−20炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれであってもよく、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。また、炭化水素基は、1つ又はそれ以上の環構造を含んでいてもよい。
【0012】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、1個又はそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
3−10シクロアルキル基、C
3−10不飽和シクロアルキル基、5〜10員のヘテロシクリル基、5〜10員の不飽和ヘテロシクリル基、C
6−10アリール基及び5〜10員のヘテロアリール基から選択される1個又はそれ以上の基が挙げられる。
【0013】
本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、下記式(I):
【化4】
[式中:
R
3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
R
4は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解可能な基であり、
pは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
ただし、(SiR
3pR
43−p)
jにおいて少なくとも1つのSiR
3pR
43−pは、pが0〜2の整数であり、
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
ただし、(SiR
3qR
43−q)
jにおいて少なくとも1つのSiR
3qR
43−qは、qが0〜2の整数であり、
R
5は、各出現においてそれぞれ独立して、j+1価の有機基であり、
R
6は、各出現においてそれぞれ独立して、−R
16−R
15−R
17−であり、 R
15は、各出現においてそれぞれ独立して、シクロアルキレン含有基であり、
R
16は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又は二価の有機基であり、
R
17は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又は二価の有機基であり、
R
7は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又はC
1−20アルキル基であり、
PFPE
1は、各出現においてそれぞれ独立して、−R
F−R
FE−であり、
R
Fは、−(C
fF
2f)−であり、
fは1〜10の整数であり、
R
FEは、式:
−(OCF
2)
a1−(OC
2F
4)
a2−(OC
3X
106)
a3−(OC
4F
8)
a4−(OC
5F
10)
a5−(OC
6F
12)
a6−(OC
7F
14)
a7−(OC
8F
16)
a8−
(式中:
a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7及びa8は、それぞれ独立して0〜200の整数であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7及びa8の和は、少なくとも5であり、
添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7又はa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意であり、
X
10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、ただし、全てのX
10が水素原子又は塩素原子であるとき、a1、a2、a4、a5、a6、a7及びa8の少なくとも1つは、1以上の整数である。)
で表される2価のフルオロポリエーテル基であり、
jは、各出現において独立して、1〜9の整数であり、
kは、1以上の整数である。]
で表される。
【0014】
PFPE
1は、いわゆるフルオロポリエーテル基であり、各出現においてそれぞれ独立して、−R
F−R
FE−である。
【0015】
上記R
Fは、−(C
fF
2f)−であり、fは1〜10の整数である。
【0016】
上記fは、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜4の整数、さらに好ましくは1〜3の整数である。
【0017】
上記R
FEは、式:
−(OCF
2)
a1−(OC
2F
4)
a2−(OC
3X
106)
a3−(OC
4F
8)
a4−(OC
5F
10)
a5−(OC
6F
12)
a6−(OC
7F
14)
a7−(OC
8F
16)
a8−
で表される2価のフルオロポリエーテル基である。
【0018】
上記X
10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、ただし、全てのX
10が水素原子又は塩素原子であるとき、a1、a2、a4、a5、a6、a7及びa8の少なくとも1つは、1以上の整数である。
【0019】
好ましい態様において、X
10は、フッ素原子である。
【0020】
上記a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7及びa8は、それぞれ独立して0〜200の整数、好ましくは0〜100の整数であり、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7及びa8の和は、5以上、好ましくは10以上、より好ましくは15以上又は20以上であり、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、例えば例えば50以下又は30以下であり得る。
【0021】
添字a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7又はa8を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。
【0022】
これら繰り返し単位は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよい。例えば、−(OC
8F
16)−は、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF(CF
3)CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF(CF
3)CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF(CF
3)CF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF(CF
3)CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF(CF
3)CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF(CF
3)CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF(CF
3))−等であってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2)−である。−(OC
7F
14)−は、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF(CF
3)CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF(CF
3)CF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF(CF
3)CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF(CF
3)CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF(CF
3)CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF(CF
3))−等であってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2)−である。−(OC
6F
12)−は、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF(CF
3)CF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF(CF
3)CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF(CF
3)CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF(CF
3)CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF(CF
3))−等であってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2)−である。−(OC
5F
10)−は、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF(CF
3)CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF(CF
3)CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF(CF
3)CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF(CF
3))−等であってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2)−である。−(OC
4F
8)−は、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF(CF
3)CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF(CF
3)CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF(CF
3))−、−(OC(CF
3)
2CF
2)−、−(OCF
2C(CF
3)
2)−、−(OCF(CF
3)CF(CF
3))−、−(OCF(C
2F
5)CF
2)−及び−(OCF
2CF(C
2F
5))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2CF
2)−である。−(OC
3F
6)−(即ち、上記式中、X
10はフッ素原子である)は、−(OCF
2CF
2CF
2)−、−(OCF(CF
3)CF
2)−及び−(OCF
2CF(CF
3))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2)−である。また、−(OC
2F
4)−は、−(OCF
2CF
2)−及び−(OCF(CF
3))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2)−である。
【0023】
本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物におけるPFPE
1は、フルオロポリエーテル基として調製が可能なものであれば、これらの繰り返し単位の他に、酸素原子及び炭素原子数9以上のパーフルオロアルキレン基からなる繰り返し単位を有していてもよい。
【0024】
一の態様において、上記繰り返し単位は直鎖状である。上記繰り返し単位を直鎖状とすることにより、表面処理層の表面滑り性、摩擦耐久性等を向上させることができる。また、本態様では、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の低温における分子の運動性が低下しにくくなる。直鎖状の繰り返し単位を有することにより、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の物性値(例えば、低温における弾性率)が、室温における値と比べて低下しにくくなり得るため、広い温度範囲において適用することが可能となる。なお、本明細書において、「弾性率」は、動的弾性率、より具体的には貯蔵弾性率を示す。
【0025】
一の態様において、上記繰り返し単位は分枝鎖状である。上記繰り返し単位を分枝鎖状とすることにより、表面処理層の動摩擦係数を大きくすることができる。
【0026】
一の態様において、R
FEは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f1)〜(f5):
−(OC
3F
6)
a3−(OC
2F
4)
a2 (f1)
[式中、a3は、5〜200の整数であり、a2は0又は1である。];
−(OC
4F
8)
a4−(OC
3F
6)
a3−(OC
2F
4)
a2−(OCF
2)
a1− (f2)
[式中、a4及びa3は、それぞれ独立して、0〜30の整数であり、a2及びa1は、それぞれ独立して1〜200の整数であり、
a4、a3、a2及びa1の和は5以上であり、
添字a4、a3、a2又はa1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。];
−(R
6−R
7)
g− (f3)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2〜100の整数である。];又は
−(OC
6F
12)
a6−(OC
5F
10)
a5−(OC
4F
8)
a4−(OC
3F
6)
a3−(OC
2F
4)
a2−(OCF
2)
a1− (f4)
[式中、a2は、1〜200の整数であり、a6、a5、a4、a3及びa1は、それぞれ独立して0〜200の整数であって、a6、a5、a4、a3、a2及びa1の和は少なくとも5であり、また、a6、a5、a4、a3、a2又はa1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
−(OC
6F
12)
a6−(OC
5F
10)
a5−(OC
4F
8)
a4−(OC
3F
6)
a3−(OC
2F
4)
a2−(OCF
2)
a1− (f5)
[式中、a1は、1〜200の整数であり、a6、a5、a4、a3及びa2は、それぞれ独立して0〜200の整数であって、a6、a5、a4、a3、a2及びa1の和は少なくとも5であり、また、a6、a5、a4、a3、a2又はa1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基である。
【0027】
上記式(f1)において、a3は、好ましくは5〜200、より好ましくは10〜100、さらに好ましくは15〜50、例えば25〜35の整数である。一の態様において、a2は、1である。別の態様において、a2は0である。上記式(f1)において−(OC
3F
6)
d−は、好ましくは、−(OCF
2CF
2CF
2)
a3−又は−(OCF(CF
3)CF
2)
a3−で表される基であり、より好ましくは、−(OCF
2CF
2CF
2)
a3−で表される基である。
【0028】
上記式(f2)において、a2及びa1は、それぞれ独立して、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10〜200の整数である。また、a4、a3、a2及びa1の和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、例えば15以上又は20以上であってもよい。一の態様において、上記式(f2)は、好ましくは、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2)
a4−(OCF
2CF
2CF
2)
a3−(OCF
2CF
2)
a2−(OCF
2)
a1−で表される基である。別の態様において、式(f2)は、−(OC
2F
4)
a2−(OCF
2)
a1−で表される基であってもよい。
【0029】
上記式(f3)において、R
6は、好ましくは、OC
2F
4である。上記(f3)において、R
7は、好ましくは、OC
2F
4、OC
3F
6及びOC
4F
8から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、より好ましくは、OC
3F
6及びOC
4F
8から選択される基である。OC
2F
4、OC
3F
6及びOC
4F
8から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば−OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
4F
8−、−OC
3F
6OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
3F
6−、−OC
3F
6OC
4F
8−、−OC
4F
8OC
4F
8−、−OC
4F
8OC
3F
6−、−OC
4F
8OC
2F
4−、−OC
2F
4OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
2F
4OC
4F
8−、−OC
2F
4OC
3F
6OC
2F
4−、−OC
2F
4OC
3F
6OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
4F
8OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
2F
4OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
3F
6OC
3F
6OC
2F
4−、及び−OC
4F
8OC
2F
4OC
2F
4−等が挙げられる。上記式(f3)において、gは、好ましくは3以上、より好ましくは5以上の整数である。上記gは、好ましくは50以下の整数である。上記式(f3)において、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12は、直鎖又は分枝鎖のいずれであってもよく、好ましくは直鎖である。この態様において、上記式(f3)は、好ましくは、−(OC
2F
4−OC
3F
6)
g−又は−(OC
2F
4−OC
4F
8)
g−である。
【0030】
上記式(f4)において、a2は、好ましくは、1〜100の整数、より好ましくは5〜100の整数である。a6、a5、a4、a3、a2及びa1の和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
【0031】
上記式(f5)において、a1は、好ましくは、1〜100の整数、より好ましくは5以上100以下の整数である。a6、a5、a4、a3、a2及びa1の和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
【0032】
一の態様において、上記R
FEは、上記式(f1)で表される基である。
【0033】
一の態様において、上記R
FEは、上記式(f2)で表される基である。
【0034】
一の態様において、上記R
FEは、上記式(f3)で表される基である。
【0035】
一の態様において、上記R
FEは、上記式(f4)で表される基である。
【0036】
一の態様において、上記R
FEは、上記式(f5)で表される基である。
【0037】
上記R
FEにおいて、a1に対するa2の比(以下、「a2/a1比」という)は、0.1〜10であり、好ましくは0.2〜5であり、より好ましくは0.2〜2であり、さらに好ましくは0.2〜1.5であり、さらにより好ましくは0.2〜0.85である。a2/a1比を10以下にすることにより、この化合物から得られる表面処理層の滑り性、摩擦耐久性及び耐ケミカル性(例えば、人工汗に対する耐久性)がより向上する。a2/a1比がより小さいほど、表面処理層の滑り性及び摩擦耐久性はより向上する。一方、a2/a1比を0.1以上にすることにより、化合物の安定性をより高めることができる。a2/a1比がより大きいほど、化合物の安定性はより向上する。
【0038】
一の態様において、上記a2/a1比は、好ましくは0.2〜0.95であり、より好ましくは0.2〜0.9である。
【0039】
一の態様において、耐熱性の観点から、上記a2/a1比は、好ましくは1.0以上であり、より好ましくは1.0〜2.0である。
【0040】
上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物において、PFPE
1部分の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、例えば500〜100,000、好ましくは1,500〜50,000、より好ましくは2,000〜10,000である。本明細書において、PFPE
1の数平均分子量は、
19F−NMRにより測定される値とする。
【0041】
別の態様において、PFPE
1部分の数平均分子量は、500〜100,000、好ましくは1,000〜30,000、より好ましくは2,000〜15,000、さらにより好ましくは2,000〜10,000、例えば3,000〜6,000であり得る。
【0042】
別の態様において、PFPE
1部分の数平均分子量は、4,000〜30,000、好ましくは5,000〜10,000、より好ましくは6,000〜10,000であり得る。
【0043】
上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の式(I)におけるkは、該式(I)中の下記式:
−PFPE
1−C(=O)NR
7−R
6−NR
7C(=O)−
で示される構造の繰り返し単位の数を表す。kの値は1以上である。したがって、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、−PFPE
1−の両末端に−C(=O)NR
7−で示される構造を有する単位が少なくとも2つ存在する、すなわち、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、−C(=O)NR
7−で示される構造を少なくとも4つ有する。kの値は、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物が調製可能な範囲であれば特に制限されないが、1〜5の整数であることが好ましい。これにより、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含む硬化性組成物の深部硬化性に寄与しうると考えられる部分を1分子中に多数設けることができる。
【0044】
本発明は特定の理論に束縛されるものではないが、−C(=O)NR
7−で表される構造は、カルボニル基の酸素原子及びR
7が水素原子の場合の水素原子とが、水分子との水素結合の形成に関与しうる。一分子中における−C(=O)NR
7−で示される構造の数が増えることで、水素結合を生じる部分を多く備えることになり、硬化性組成物の硬化に関与する水分との親和性が増加するため、深部まで硬化反応が起こりやすくなり、好ましいと考えられる。したがって、前記式(I)においてkの値が1以上であることにより、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物1分子あたりに含まれるアミド結合の数が多くなる。この構造が、水素結合による水分子との親和性向上をもたらしうるものであり、硬化性組成物の良好な深部硬化性に寄与するものと考えることができる。
【0045】
上記−C(=O)NR
7−で表される構造におけるR
7は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又はC
1−20アルキル基を表す。上記炭素数C
1−20アルキル基は、好ましくはC
1−6アルキル基、より好ましくはメチル基又はエチル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0046】
一の態様において、R
7のうち少なくとも1つ、好ましくは少なくとも3つは、水素原子である。すなわち、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物が−C(=O)NH−で示される構造を好ましくは複数個有することで、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含む硬化性組成物が深部まで良好に硬化するようになる。R
7の一部が水素原子である場合において、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物中のどの位置にあるR
7が水素原子であるかは特に制限されない。上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の調製において、原料の選択により−C(=O)NH−で示される構造が導入される位置を制御することができる。水素結合を形成する観点から、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物中に存在する全てのR
7のうち水素原子であるものの割合は大きい方が、深部硬化性がより向上するため好ましい。特に好ましい態様においては、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物における全てのR
7が、水素原子である。
【0047】
上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、前記−C(=O)NR
7−で表される構造が、その窒素原子を介してR
5又はR
6で表される有機基と結合する。
【0048】
R
6は、各出現においてそれぞれ独立して、−R
16−R
15−R
17−である。
【0049】
R
15は、各出現においてそれぞれ独立して、シクロアルキレン含有基であり、R
16は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又は二価の有機基であり、R
17は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又は二価の有機基である。
【0050】
本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、アミド結合間にシクロアルキレン基を含有する。かかる本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物から得られた表面処理層は、高い耐久性を有する。本開示はいかなる理論にも拘束されないが、本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、アミド結合間にシクロアルキレン基を含有することにより、かかる化合物で表面処理した際に形成される表面処理層の結晶性が高くなり、その結果、膜の耐久性が向上すると考えられる。
【0051】
さらに、本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物から得られた表面処理層は、基材に撥水性を付与しつつ、印刷等によるインクの付着性を保持する。換言すれば、本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物から得られた表面処理層は、インク保持性が高い。
【0052】
上記シクロアルキレンは、2価の飽和単環式又は多環式脂肪族炭化水素を意味する。かかるシクロアルキレンは、環の水素原子が、1つ又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0053】
上記シクロアルキレンの置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、1個又はそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
3−10シクロアルキル基、C
3−10不飽和シクロアルキル基、5〜10員のヘテロシクリル基、5〜10員の不飽和ヘテロシクリル基、C
6−10アリール基及び5〜10員のヘテロアリール基から選択される1個又はそれ以上の基が挙げられる。好ましい態様において、当該置換基は、C
1−6アルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基、より好ましくはメチル基である。
【0054】
上記シクロアルキレン含有基は、複数のシクロアルキレンを含んでいてもよく、好ましくは1〜3個、より好ましくは1又は2個のシクロアルキレンを含む。
【0055】
一の態様において、上記シクロアルキレン含有基は、シクロアルキレンを1個含む。
【0056】
別の態様において、上記シクロアルキレン含有基は、シクロアルキレンを2個含む。
【0057】
好ましい態様において、R
15は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素数5〜12の単環式、二環式又は三環式シクロアルキレン基を含有する基である。
【0058】
上記多環式シクロアルキレンは、縮合型、スピロ型、架橋型のいずれであってもよい。
【0059】
一の態様において、上記シクロアルキレンは、単環式である。
【0060】
別の態様において、上記シクロアルキレンは、二環式である。
【0061】
別の態様において、上記シクロアルキレンは、三環式である。
【0062】
好ましい態様において、R
16は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又はC
1−6アルキレン基であり、R
17は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又はC
1−6アルキレン基である。
【0063】
上記R
16及びR
17は、R
15のシクロアルキレンに直接結合する。
【0064】
好ましい態様において、R
15は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素数5〜12の単環式、二環式又は三環式シクロアルキレン基を含有する基であり、
R
16は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又はC
1−6アルキレン基であり、
R
17は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又はC
1−6アルキレン基である。
【0065】
好ましい態様において、R
15は、置換されていてもよいシクロヘキサンジイルであり、上記R
16及びR
17は、それぞれ独立して、単結合又はC
1−6アルキレン基であり、互いにメタ位又はパラ位に結合する。一の態様において、置換されていてもよいシクロヘキサンジイルは、非置換である。別の態様において、置換されていてもよいシクロヘキサンジイルは、C
1−6アルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基、より好ましくはメチル基により置換されている。かかる置換基は、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個であり得る。
【0066】
好ましい態様において、R
15は、置換されていてもよいアルキレンビス(シクロヘキシル)、好ましくはメチレンビス(シクロヘキシル)を含み、上記R
16及びR
17は、それぞれ独立して、単結合又はC
1−6アルキレン基であり、互いに4,4’位に結合する。一の態様において、置換されていてもよい置換されていてもよいアルキレンビス(シクロヘキシル)は、非置換である。別の態様において、置換されていてもよい置換されていてもよいアルキレンビス(シクロヘキシル)は、C
1−6アルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基、より好ましくはメチル基により置換されている。かかる置換基は、好ましくは2〜5個、より好ましくは2〜4個であり得る。
【0067】
好ましい態様において、R
6は、環の水素原子が置換されていてもよい下記の基:
【化5】
[式中、
R
16は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又はC
1−6アルキレン基であり、
R
17は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又はC
1−6アルキレン基であり、
R
18は、各出現においてそれぞれ独立して、C
1−6アルキレン基、好ましくCH
2CH
2又はCH
2である。]
から選択される基である。
【0068】
さらに好ましい態様において、R
6は、環の水素原子が置換されていてもよい下記の基:
【化6】
[式中、
R
16は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又はC
1−6アルキレン基であり、
R
17は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又はC
1−6アルキレン基であり、
R
18は、各出現においてそれぞれ独立して、C
1−6アルキレン基、好ましくCH
2CH
2又はCH
2である。]
から選択される基である。
【0069】
R
6の具体例としては、例えば、以下の基が挙げられる。
【化7】
[式中、*は結合手を示す。]
【0070】
R
5は、末端のケイ素原子とアミド結合とを連結するリンカーとして作用する基である。R
5は、各出現において独立して、j+1価の有機基を表す。ここで、jの値は、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の末端に存在するケイ素原子を含む基の数を表し、その値は1〜9の範囲である。よって、R
5は、各出現において独立して、2〜10価の有機基を表す。従って、当該R
5は、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物が安定に存在し得る2〜10価の有機基であれば、いずれの基であってもよい。R
5は、好ましくは2〜7価であり、より好ましくは2〜4価であり、さらに好ましくは2価の有機基である。したがって、jの値は、好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜3であり、さらに好ましくは1である。R
5の具体的な例としては、後述する式(A)〜(D)においてR
5に対応する部分として記載されているものを挙げることができる。
【0071】
R
5は、ケイ素原子とアミド結合とを直接連結する分子鎖上にヘテロ原子又は芳香族の構造を有していないことが好ましく、芳香族の構造を有していないことがより好ましい。R
5としては、場合によりヘテロ原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは非置換の脂肪族炭化水素であり、より好ましくは2価のアルキレン基であり、より好ましくはC
1−20アルキレン基、さらに好ましくはC
1−6アルキレン基であり、特に具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基等である。上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物中に存在する二つのR
5は、同じであってもよく、異なっていてもよいが、化合物の調製が容易となることから、同じであることが好ましい。また、R
5は、j+1個の結合手を有していることになるが、どの結合手で−C(=O)NR
7−部分と結合していてもよい。
【0072】
上記式中、R
3は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解可能な基である。
【0073】
上記R
3は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基である。
【0074】
上記R
3は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、−OR
h、−OCOR
h、−O−N=CR
h2、−NR
h2、−NHR
h、又はハロゲン(これら式中、R
hは、置換又は非置換のC
1−4アルキル基を示す)であり、より好ましくは−OR
h(即ち、アルコキシ基)である。R
hとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、R
hは、メチル基であり、別の態様において、R
hは、エチル基である。
【0075】
上記式中、R
3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解可能な基を除く1価の有機基である。
【0076】
上記R
3において、1価の有機基は、好ましくはC
1−20アルキル基であり、より好ましくはC
1−6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0077】
上記式(I)中、pは、(SiR
3pR
43−p)毎に独立して、0〜3の整数である。ただし、(SiR
3pR
43−p)
jにおいて少なくとも1つのSiR
3pR
43−pは、pが0〜2の整数である。即ち、式(I)の分子末端には、少なくとも1つの、加水分解可能な基が結合したSiが存在する。
【0078】
一の態様において、すべてのpは、0〜2の整数、好ましくは0〜1の整数、より好ましくは0である。
【0079】
上記式(I)中、qは、(SiR
3qR
43−q)毎に独立して、0〜3の整数である。ただし、(SiR
3qR
43−q)
jにおいて少なくとも1つのSiR
3qR
43−qは、qが0〜2の整数である。即ち、式(I)の分子末端には、少なくとも1つの、加水分解可能な基が結合したSiが存在する。
【0080】
一の態様において、すべてのqは、0〜2の整数、好ましくは0〜1の整数、より好ましくは0である。
【0081】
好ましい態様において、すべてのpは、0〜2の整数、好ましくは0〜1の整数、より好ましくは0であり、すべてのqは、0〜2の整数、好ましくは0〜1の整数、より好ましくは0である。
【0082】
特に好ましい態様において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、R
7が全て水素原子であり、R
5が2価のアルキレン基であり、jが1であり、p及びqが0である化合物である。フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、1種の化合物を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0083】
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の調製方法によっては、PFPE変性体又はPFPE変性体がR
6で連結された化合物の、片方又は両方の末端部分にシリル基及び場合によりリンカー部分が導入されていない構造の化合物が生じ得る。以下、このようなPFPE
1から構成される分子鎖両末端の少なくとも一方にシリル基を含まない化合物を「非末端化PFPE変性体」と表記することがある。式(I)で表される化合物の純度は高い方が好ましい、つまりこのような非末端化PFPE変性体の含有割合は小さい方が好ましいが、硬化性組成物としての機能を損なわない範囲において、硬化性組成物の調製に用いられるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は非末端化PFPE変性体を含んでいてもよい。例えば、上記式(I)の場合、{−PFPE
1−C(=O)NR
7−R
6−NR
7C(=O)−}
r−PFPE
1−で示される構造にカルボン酸基、エステル基、水酸基又はアルキレン−OH基が結合したような構造の化合物を含んでいてもよい。
【0084】
本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含む表面処理剤を調製する場合、用いられるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の純度は、シリル基がどの程度末端に導入されているか、シランでの末端化率をその尺度とすることができる。末端化率は、PFPE
1部分のうち、R
6で挟まれていないものの物質量の合計に対し、当該部分にシリル基が導入されているものの割合により求められる。末端化率は90モル%以上であることが好ましく、93モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることが更に好ましい。この範囲とすることで、分子の両末端がシリル化された化合物を十分な量で含有することができ、硬化性組成物としての機能を十分に発揮することができる。末端化率は、例えばNMR測定により決定することができる。式(I)の化合物の場合、PFPE
1の末端に存在するCF
2基、即ちリンカーと結合しているアミド基に隣接するCF
2基を
19F−NMRで測定することで、分子末端にどの程度シリル基が導入されているかを求めることができる。式(I)の化合物とは異なる構造を有する化合物においても、末端がシリル化されたものとそうでないものとで異なる部分のNMR測定によって末端化率を算出することができ、その方法は、当業者にとって周知である。
【0085】
以下、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の一態様として、具体的な構造について詳述する。上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(A)、(B)、(C)、又は(D)で表される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。以下の式において現れる各基及び添え字は、それぞれ前記一般式に現れる基及び添え字に対応させることができ、当業者であれば各々の対応関係を把握することができるものである。
【0086】
【化8】
(式中、PFPE
1、R
6、R
7は、上記と同定義である。)
【0087】
以下、上記式(A)、(B)、(C)、及び(D)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物について説明する。
【0089】
上記式中、PFPE
1、R
6、及びR
7は、上記と同意義である。
【0090】
上記式中、rは、1以上の整数、好ましくは1〜5の整数である。
【0091】
上記式中、R
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解可能な基を表す。加水分解可能な基は、上記と同意義である。即ち、R
13は、上記式のR
4に対応させることができる。
【0092】
上記式中、R
14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜22のアルキル基、好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。即ち、R
14は、上記一般式のR
3に対応させることができる。
【0093】
上記式中、R
11は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を表す。ハロゲン原子は、好ましくはヨウ素原子、塩素原子又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0094】
上記式中、R
12は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル基を表す。低級アルキル基は、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
【0095】
上記式中、R
11”、R
12”、R
13”、及びR
14”は、それぞれ、R
11、R
12、R
13、及びR
14と同意義である。
【0096】
上記式(A)において、水酸基及び加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1の基と結合したSi原子とは、n1が1〜3の整数であり、かつ(−SiR
13n1R
143−n1)又は(−SiR
13”n1R
14”3−n1)に含まれるSi原子を示す。
【0097】
上記式中、n1は、(−SiR
13n1R
143−n1)単位毎、又は(−SiR
13”n1R
14”3−n1)単位毎に独立して、0〜3の整数であり、好ましくは1〜3であり、より好ましくは3である。式中、少なくとも2つのn1が1〜3の整数であり、即ち、すべてのn1が同時に0になることはない。即ち、式中、少なくとも2つはR
13又はR
13”の結合したSi原子が存在する。言い換えると、式(A)において、n1が1以上である−SiR
13n1R
143−n1構造(即ち、−SiR
13部分)及びn1が1以上である−SiR
13”n1R
14”3−n1構造(即ち、−SiR
13”部分)からなる群より選ばれる構造が少なくとも2つ存在する。即ち、n1は、上記一般式の3−p又は3−qの値に対応させることができる。
【0098】
好ましくは、式(A)において、水酸基及び加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1の基と結合したSi原子は、分子主鎖の両末端に存在する。即ち、式(A)において、少なくとも1の、n1が1以上である−SiR
13n1R
143−n1構造(即ち、−SiR
13部分)、及び、少なくとも1の、n1が1以上である−SiR
13”n1R
14”3−n1構造(即ち、−SiR
13”部分)が存在する。
【0099】
上記式中、X
1は、それぞれ独立して、アミド結合に連結する単結合又は2〜10価の有機基を表す。当該X
1は、式(A)で表される化合物において、主に撥水性及び表面滑り性等を提供するパーフルオロ(ポリ)エーテル部(即ち、−PFPE
1−部)と、基材との結合能を提供するシラン部とを連結するリンカーの一部と解される。従って、当該X
1は、式(A)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、単結合であってもよく、いずれの有機基であってもよい。即ち、X
1は、後述するX
2及びそれに連結する炭化水素基とともに、上記一般式におけるR
5の一部に対応することが理解される。なお、本明細書において、X
1として記載している基は、記載の左側がPFPE
1で表される基に隣接するアミド結合に、右側が括弧でくくられた基に、それぞれ結合する。ただし、X
1として記載している基は、それが安定な化合物として調製できるものである限り、逆方向に結合する基、例えば、−CO−C
6H
4−であれば−C
6H
4−CO−と記載される、フェニレン基がPFPE
1で表される基に隣接するアミド結合に結合するものを包含する。
【0100】
別の態様において、X
1は、X
eであり得る。X
eは、単結合又は2〜10価の有機基を表し、好ましくは、単結合又は−C
6H
4−(すなわち−フェニレン−。以下、フェニレン基を示す。)、−O−(エーテル基)、−CO−(カルボニル基)、−NR
40−及び−SO
2−からなる群より選ばれる少なくとも1つを有する2〜10価の有機基を表す。上記R
40は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、又はC1〜6アルキル基(好ましくはメチル基)を表し、好ましくは水素原子、又はメチル基である。上記の−C
6H
4−、−CO−、−NR
40−又は−SO
2−は、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)の分子主鎖中に含まれることが好ましい。
【0101】
X
eは、より好ましくは、単結合又は−C
6H
4−、−CONR
40−、−CONR
40−C
6H
4−、−CO−、−CO−C
6H
4−、−O−CO−NR
40−、−SO
2NR
40−、−SO
2NR
40−C
6H
4−、−SO
2−、及び−SO
2−C
6H
4−からなる群より選ばれる少なくとも
1つを有する
2〜
10価の有機基を表す。上記の−C
6H
4−、−CONR
40−、−CONR
40−C
6H
4−、−CO−、−CO−C
6H
4−、−SO
2NR
40−、−SO
2NR
40−C
6H
4−、−SO
2−、又は−SO
2−C
6H
4−は、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物合物(A)の分子主鎖中に含まれることが好ましい。
【0102】
上記式中、α1は1〜9の整数であり、X
1の価数に応じて変化し得る。式(A)において、α1はX
1の価数から
1を引いた値である。X
1が単結合又は2価の有機基であるときには、α1は1である。即ち、α1は、上記一般式のjの値に対応させることができる。
【0103】
上記X
1は、好ましくは2〜7価であり、より好ましくは2〜4価であり、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0104】
一の態様において、X
1は2〜4価の有機基であり、α1は1〜3である。
【0105】
別の態様において、X
1は2価の有機基であり、α1は1である。この場合、式(A)は、下記式(A’)で表される。
【0107】
上記X
1の例としては、PFPE
1基に連結するアミド基と結合を形成しうるもので化合物を安定に調製可能なものあれば特に限定するものではないが、例えば、下記式:
−(R
31)
p’−(X
a)
q’−
[式中:
R
31は、単結合、−(CH
2)
s’−又はo−、m−もしくはp−フェニレン基を表し、好ましくは−(CH
2)
s’−であり、
s’は、1〜20の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜3の整数、さらにより好ましくは1又は2であり、
Xaは、−(X
b)
l’−を表し、
Xbは、各出現においてそれぞれ独立して、−O−、−S−、o−、m−もしくはp−フェニレン基、−C(O)O−、−Si(R
33)
2−、−(Si(R
33)
2O)
m’−Si(R
33)
2−、−CONR
34−、−O−CONR
34−、−NR
34−及び−(CH
2)
n’−からなる群から選択される基を表し、
R
33は、各出現においてそれぞれ独立して、フェニル基、C
1−6アルキル基又はC
1−6アルコキシ基を表し、好ましくはフェニル基又はC
1−6アルキル基であり、より好ましくはメチル基であり、
R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC
1−6アルキル基(好ましくはメチル基)を表し、好ましくは水素原子であり、
m’は、各出現において、それぞれ独立して、1〜100の整数、好ましくは1〜20の整数であり、
n’は、各出現において、それぞれ独立して、1〜20の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜3の整数であり、
l’は、1〜10の整数、好ましくは1〜5の整数、より好ましくは1〜3の整数であり、
p’は、0又は1であり、
q’は、0又は1であり、
ここに、p’及びq’の少なくとも一方は1であり、p’又はq’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である]
で表される2価の基が挙げられる。ここに、R
31及びX
a(典型的にはR
31及びX
aの水素原子)は、フッ素原子、C
1−3アルキル基及びC
1−3フルオロアルキル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。ただし、R
31が単結合であるかp’が0であるとき、X
aは、−CONR
34−又は−NR
34−ではない。
【0108】
一の態様において、上記式におけるl’は、1である。
【0109】
好ましくは、上記X
1は、−(R
31)
p’−(X
a)
q’−R
32−である。R
32は、単結合、−(CH
2)
t’−又はo−、m−もしくはp−フェニレン基を表し、好ましくは−(CH
2)
t’−である。t’は、1〜20の整数、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2〜3の整数である。ここに、R
32(典型的にはR
32中の水素原子)は、フッ素原子、C
1−3アルキル基及びC
1−3フルオロアルキル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0110】
好ましくは、上記X
1は、
単結合、
C
1−20アルキレン基、
−R
31−X
c−R
32−、又は
−X
d−R
32−
[式中、R
31及びR
32は、上記と同意義である。]
であり得る。なお、アルキレン基とは、−(C
δH
2δ)−構造を有する基であり、置換又は非置換であってよく、直鎖状又は分枝鎖状であってもよい。
【0111】
より好ましくは、上記X
1は、
単結合、
C
1−20アルキレン基、
−(CH
2)
s’−X
c−、
−(CH
2)
s’−X
c−(CH
2)
t’−、
−X
d−、又は
−X
d−(CH
2)
t’−
[式中、s’及びt’は、上記と同意義である。]
である。
【0112】
さらに好ましくは、上記X
1は、
−X
f−、
−X
f−C
1−20アルキレン基、
−X
f−(CH
2)
s’−X
c−、
−X
f−(CH
2)
s’−X
c−(CH
2)
t’−
−X
f−X
d−、又は
−X
f−X
d−(CH
2)
t’−
である。式中、s’及びt’は、上記と同意義である。上記式中、X
fは、炭素原子数1〜6、好ましくは炭素原子数1〜4、より好ましくは炭素原子数1〜2のアルキレン基、例えばメチレン基である。X
f中の水素原子は、フッ素原子、C
1−3アルキル基及びC
1−3フルオロアルキル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよく、好ましくは置換されている。X
fは、直鎖状又は分枝鎖状であってもよく、好ましくは直鎖状である。
【0113】
上記式中、X
cは、
−O−、
−S−、
−C(O)O−、
−CONR
34−、
−O−CONR
34−、
−Si(R
33)
2−、
−(Si(R
33)
2O)
m’−Si(R
33)
2−、
−O−(CH
2)
u’−(Si(R
33)
2O)
m’−Si(R
33)
2−、
−O−(CH
2)
u’−Si(R
33)
2−O−Si(R
33)
2−CH
2CH
2−Si
(R
33)
2−O−Si(R
33)
2−、
−O−(CH
2)
u’−Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2−、
−(CH
2)
u’−(Si(R
33)
2O)
m’−Si(R
33)
2−、
−(CH
2)
u’−N(R
34)−、
−(o−、m−又はp−フェニレン)−Si(R
33)
2−、
−CONR
34−(CH
2)
u’−(Si(R
33)
2O)
m’−Si(R
33)
2−、
−CONR
34−(CH
2)
u’−N(R
34)−、又は
−CONR
34−(o−、m−又はp−フェニレン)−Si(R
33)
2−
[式中、R
33、R
34及びm’は、上記と同意義であり、
u’は1〜20の整数、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2〜3の整数である。]を表す。但し、R
31が単結合である場合、X
cは、−CONR
34−を末端に有する基ではない。好ましくは−O−である。
【0114】
上記式中、X
dは、
−S−、
−C(O)O−、
−(CH
2)
u’−(Si(R
33)
2O)
m’−Si(R
33)
2−、
−(CH
2)
u’−N(R
34)−、
−(o−、m−又はp−フェニレン)−Si(R
33)
2−、
−CONR
34−、
−CONR
34−(CH
2)
u’−(Si(R
33)
2O)
m’−Si(R
33)
2−、
−CONR
34−(CH
2)
u’−N(R
34)−、又は
−CONR
34−(o−、m−又はp−フェニレン)−Si(R
33)
2−
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
を表す。
【0115】
特に好ましくは、上記X
1は、
−X
f−、
−X
f−C
1−20アルキレン基、
−X
f−(CH
2)
s’−X
c−、
−X
f−(CH
2)
s’−X
c−(CH
2)
t’−
−X
f−X
d−、又は
−X
f−X
d−(CH
2)
t’−
[式中、X
f、s’及びt’は、上記と同意義である。]
であり、
X
cが、−O−、又は−CONR
34−、
X
dが、−CONR
34−、
R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC
1−6アルキル基(好ましくはメチル基)を表す。]
で表される基である。
【0116】
一の態様において、上記X
1は、
−X
f−(CH
2)
s’−X
c−、
−X
f−(CH
2)
s’−X
c−(CH
2)
t’−
−X
f−X
d−、又は
−X
f−X
d−(CH
2)
t’−
[式中、X
f、s’及びt’は、上記と同意義である。]
であり、
X
cが、−CONR
34−、
X
dが、−CONR
34−、
R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC
1−6アルキル基(好ましくはメチル基)を表す。]
で表される基である。
【0117】
一の態様において、上記X
1は、
単結合、
C
1−20アルキレン基、
−(CH
2)
s’−X
c−(CH
2)
t’−、又は
−X
d−(CH
2)
t’−
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
であり得る。但し、このときX
dは、−CONR
34−ではない。
【0118】
好ましくは、上記X
1は、
単結合、
C
1−20アルキレン基、
−(CH
2)
s’−O−(CH
2)
t’−、
−(CH
2)
s’−(Si(R
33)
2O)
m’−Si(R
33)
2−(CH
2)
t’−、
−(CH
2)
s’−O−(CH
2)
u’−(Si(R
33)
2O)
m’−Si(R
33)
2−(CH
2)
t’−、又は
−(CH
2)
s’−O−(CH
2)
t’−Si(R
33)
2−(CH
2)
u’−Si(R
33)
2−(C
vH
2v)−
[式中、R
33、m’、s’、t’及びu’は、上記と同意義であり、vは1〜20の
整数、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2〜3の整数である。]
である。
【0119】
上記式中、−(C
vH
2v)−は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、例えば、−CH
2−、−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2−、−CH(CH
3)−、−CH(CH
3)CH
2−であり得る。
【0120】
上記X1基は、フッ素原子、C
1−3アルキル基及びC
1−3フルオロアルキル基(好
ましくは、C
1−3パーフルオロアルキル基)から選択される1個又はそれ以上の置換
基により置換されていてもよい。
【0121】
一の態様において、X
1基は、−O−C
1−6アルキレン基以外であり得る。
【0122】
別の態様において、X
1基としては、例えば下記の基が挙げられる:
【化11】
【化12】
[式中、R
41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、又はC
1−6アルコキシ基、好ましくはメチル基であり;
Dは、
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CF
2O(CH
2)
3−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
4−、及び
−(1,3−フェニレン)−Si(R
42)
2−(CH
2)
2−
(式中、R
42は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−6のアルキル基又はC
1−6のアルコキシ基、好ましくはメチル基又はメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。)
から選択される基であり、
Eは、−(CH
2)
ne−(neは2〜6の整数)であり、
Dは、分子主鎖のPFPE
1基がある側に結合し、Eは、PFPE
1がある側と反対の基に結合する。]
【0123】
上記X
1の具体的な例としては、例えば:
単結合、
−CH
2OCH
2−、
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CH
2O(CH
2)
6−、
−CF
2−CH
2−O−CH
2−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
2−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
3−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
6−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
10Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
20Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−C(O)NH−CH
2−、
−CH
2OCH
2(CH
2)
7CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
3−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
3−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
4−、
−(CH
2)
5−、
−(CH
2)
6−、
−CF
2−、
−(CF
2)
2−、
−CF
2−CH
2−、
−CF
2−(CH
2)
2−、
−CF
2−(CH
2)
3−、
−CF
2−(CH
2)
4−、
−CF
2−(CH
2)
5−、
−CF
2−(CH
2)
6−、
−CO−、
−CF
2CONH−、
−CF
2CONHCH
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
3−、
−CF
2CONH(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
6−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−(CH
2)
2NH(CH
2)
3−、
−(CH
2)
6NH(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
6−、
−S−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
2S(CH
2)
3−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)10Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)20Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−C(O)O−(CH
2)
3−、
−C(O)O−(CH
2)
6−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−CH(CH
3)−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
3−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−CH(CH
3)−CH
2−、
−OCH
2−、
−O(CH
2)
3−、
−OCFHCF
2−、
1,3−フェニレン、
−(1,3−フェニレン)−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−
などが挙げられる。
【0124】
上記の中では、X
1は、
単結合、
−CH
2OCH
2−、
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CH
2O(CH
2)
6−、
−CF
2−CH
2−O−CH
2−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
2−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
3−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
6−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−C(O)NH−CH
2−、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
4−、
−(CH
2)
5−、
−(CH
2)
6−、
−CF
2−、
−(CF2)
2−、
−CF
2−CH
2−、
−CF
2−(CH
2)
2−、
−CF
2−(CH
2)
3−、
−CF
2−(CH
2)
4−、
−CF
2−(CH
2)
5−、
−CF
2−(CH
2)
6−、
−CF
2CONH−、
−CF
2CONHCH
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
3−、
−CF
2CONH(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
6−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−(CH
2)
2NH(CH
2)
3−、
−(CH
2)
6NH(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
6−、
−OCH
2−、
−O(CH
2)
3−、又は
−OCFHCF
2−、
であることが好ましい。
【0125】
上記の中では、より好ましくは、X
1は、
単結合、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−C(O)NH−CH
2−、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
6−、
−CF
2CONH−、
−CF
2CONHCH
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
3−、
−CF
2CONH(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
6−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−(CH
2)
2NH(CH
2)
3−、
−(CH
2)
6NH(CH
2)
3−、
である。
【0126】
一の態様において、X
1は、X
e’を表す。X
e’は、単結合、炭素原子数1〜6のアルキレン基、−R
51−C
6H
4−R
52−、−R
51−CONR
40−R
52−、−R
51−CONR
40−C
6H
4−R
52−、−R
51−CO−R
52−、−R
51−CO−C
6H
4−R
52−、−R
51−SO
2NR
40−R
52−、−R
51−SO
2NR
40−C
6H
4−R
52−、−R
51−SO
2−R
52−、又は−R
51−SO
2−C
6H
4−R
52−である。R
51及びR
52は、それぞれ独立して、単結合又は炭素原子数
1〜
6のアルキレン基(但し、R
51が−CONR
40−と連結する場合、R
51は単結合ではない)を表し、好ましくは単結合又は炭素原子数1〜3のアルキレン基である。R
40は上記と同意義である。上記アルキレン基は、置換又は非置換であり、好ましくは非置換である。上記アルキレン基の置換基としては、例えばハロゲン原子、好ましくはフッ素原子を挙げることができる。上記アルキレン基は、直鎖状又は分枝鎖状であり、直鎖状である
ことが好ましい。
【0127】
好ましい態様において、X
e’は、
単結合、
−X
f−、
炭素原子数1〜6、好ましくは炭素原子数1〜3のアルキレン基、
−X
f−C
1−6アルキレン基、好ましくは−X
f−C
1−3アルキレン基、より好ましくは−X
f−C
1−2アルキレン基、
−C
6H
4−R
52’−、
−R
52’−、
−C
6H
4−R
52’−、
−X
f−CONR
4’−R
52’−、
−X
f−CONR
4’−C
6H
4−R
52’−、
−CO−R
52’−、
−CO−C
6H
4−R
52’−、
−SO
2NR
4’−R
52’−、
−SO
2NR
4’−C
6H
4−R
52’−、
−SO
2−R
52’−、
−SO
2−C
6H
4−R
52’−、
−R
51’−C
6H
4−、
−R
51’−CONR
4’−、
−R
51’−CONR
4’−C
6H
4−、
−R
51’−CO−、
−R
51’−CO−C
6H
4−、
−R
51’−SO
2NR
4’−、
−R
51’−SO
2NR
4’−C
6H
4−、
−R
51’−SO
2−、
−R
51’−SO
2−C
6H
4−、
−C
6H
4−、
−X
f−CONR
4’−、
−X
f−CONR
4’−C
6H
4−、
−CO−、
−CO−C
6H
4−、
−SO
2NR
4’−、
−SO
2NR
4’−C
6H
4−、
−SO
2−、又は
−SO
2−C
6H
4−
(式中、R
51’及びR
52’は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜6、好ましくは炭素原子数1〜3の直鎖のアルキレン基である。上記したように、上記アルキレン基は、置換又は非置換であり、上記アルキレン基の置換基としては、例えばハロゲン原子、好ましくはフッ素原子を挙げることができる。R
4’は、水素原子又はメチル基である。)
であり得る。
【0128】
上記の中で、X
e’は、好ましくは、
−X
f−、
炭素原子数1〜6、好ましくは炭素原子数1〜3のアルキレン基、
−X
f−C
1−6アルキレン基、好ましくは−X
f−C
1−3アルキレン基、より好ましくは−X
f−C
1−2アルキレン基、
−R
52’−、
−C
6H
4−R
52’−、
−X
f−CONR
4’−R
52’−、
−X
f−CONR
4’−C
6H
4−R
52’−、
−R
51’−CONR
4’−、
−R
51’−CONR
4’−C
6H
4−、
−X
f−CONR
4’−、
−X
f−CONR
4’−C
6H
4−、
−R
51’−CONR
4’−、又は
−R
51’−CONR
4’−C
6H
4−、
であり得る。式中、X
f、R
51’及びR
52’は、それぞれ上記と同意義である。
【0129】
上記の中で、X
e’は、より好ましくは、
単結合、
−R
52’−、
−C
6H
4−R
52’−、
−X
f−CONR
4’−R
52’−、
−X
f−CONR
4’−C
6H
4−R
52’−、
−R
51’−CONR
4’−、
−R
51’−CONR
4’−C
6H
4−、
−C
6H
4−、
−X
f−CONR
4’−、又は
−X
f−CONR
4’−C
6H
4−、
であり得る。
【0130】
本態様において、X
e’の具体例としては、例えば、
単結合、
炭素原子数1〜6のアルキレン基、
炭素原子数1〜6のパーフルオロアルキレン基(例えば、−CF
2−、−(CF
2)
2−
等)、
−CF
2−C
1−6アルキレン基、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−CF
2−CONH−、
−CF
2CONHCH
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
3−、
−CF
2−CON(CH
3)−、
−CF
2−CON(CH
3)CH
2−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
2−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CH
2−CONH−、
−CH
2−CONH−CH
2−、
−CH
2−CONH−(CH
2)
2−、
−CH
2−CONH−(CH
2)
3−、
−CF
2−CH
2−CONH−、
−CF
2−CH
2−CONH−CH
2−、
−CF
2−CH
2−CONH−(CH
2)
2−、
−CF
2−CH
2−CONH−(CH
2)
3−、
−C
6H
4−、
−CH
2−CON(CH
3)−CH
2−、
−CH
2−CON(CH
3)−(CH
2)
2−、
−CH
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CF
2−CONH−C
6H
4−、
−CF
2−CON(CH
3)−C
6H
4−、
−CF
2−CH
2−CON(CH
3)−CH
2−、
−CF
2−CH
2−CON(CH
3)−(CH
2)
2−、
−CF
2−CH
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CF
2−CON(CH
3)−C
6H
4−、
−CO−、
−CO−C
6H
4−、
−C
6H
4−、
−SO
2NH−、
−SO
2NH−CH
2−、
−SO
2NH−(CH
2)
2−、
−SO
2NH−(CH
2)
3−、
−SO
2NH−C
6H
4−、
−SO
2N(CH
3)−、
−SO
2N(CH
3)−CH
2−、
−SO
2N(CH
3)−(CH
2)
2−、
−SO
2N(CH
3)−(CH
2)
3−、
−SO
2N(CH
3)−C
6H
4−、
−SO
2−、
−SO
2−CH
2−、
−SO
2−(CH
2)
2−、
−SO
2−(CH
2)
3−、又は
−SO
2−C
6H
4−
などが挙げられる。
【0131】
上記列挙の中で、好ましいX
e’としては、
単結合、
炭素原子数1〜6のアルキレン基、
炭素原子数1〜6のパーフルオロアルキレン基(例えば、−CF
2−、−(CF
2)
2−
等)、
−CF
2−C
1−6アルキレン基、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−CF
2CONH−、
−CF
2CONHCH
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
3−、
−CF
2−CON(CH
3)−、
−CF
2−CON(CH
3)CH
2−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
2−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CH
2−CONH−、
−CH
2−CONH−CH
2−、
−CH
2−CONH−(CH
2)
2−、
−CH
2−CONH−(CH
2)
3−、
−CF
2−CH
2−CONH−、
−CF
2−CH
2−CONH−CH
2−、
−CF
2−CH
2−CONH−(CH
2)
2−、
−CF
2−CH
2−CONH−(CH
2)
3−、
−C
6H
4−、
−CH
2−CON(CH
3)−CH
2−、
−CH
2−CON(CH
3)−(CH
2)
2−、
−CH
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CF
2−CONH−C
6H
4−、
−CF
2−CON(CH
3)−C
6H
4−、
−CF
2−CH
2−CON(CH
3)−CH
2−、
−CF
2−CH
2−CON(CH
3)−(CH
2)
2−、
−CF
2−CH
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CF
2−CON(CH
3)−C
6H
4−、
などが挙げられる。
【0132】
上記列挙の中で、より好ましいX
e’としては、
単結合、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−CF
2CONH−、
−CF
2CONHCH
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
3−、
−CF
2−CON(CH
3)−、
−CF
2−CON(CH
3)CH
2−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
2−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CH
2−CONH−、
−CH
2−CONH−CH
2−、
−CH
2−CONH−(CH
2)
2−、
−CH
2−CONH−(CH
2)
3−、
−CF
2−CH
2−CONH−、
−CF
2−CH
2−CONH−CH
2−、
−CF
2−CH
2−CONH−(CH
2)
2−、
−CF
2−CH
2−CONH−(CH
2)
3−、
−C
6H
4−、
−CH
2−CON(CH
3)−CH
2−、
−CH
2−CON(CH
3)−(CH
2)
2−、
−CH
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CF
2−CONH−C
6H
4−、
−CF
2−CON(CH
3)−C
6H
4−、
−CF
2−CH
2−CON(CH
3)−CH
2−、
−CF
2−CH
2−CON(CH
3)−(CH
2)
2−、
−CF
2−CH
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、又は
−CF
2−CON(CH
3)−C
6H
4−、
などが挙げられる。
【0133】
一の態様において、X
e’は、単結合である。
【0134】
さらに別の態様において、X
1は、式:−(R
16)
x−(CFR
17)
y−(CH
2)
z−で表される基である。式中、x、y及びzは、それぞれ独立して、0〜10の整数であり、x、y及びzの和は1以上であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
【0135】
上記式中、R
16は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子、フェニレン、カルバゾリレン、−NR
18−(式中、R
18は、水素原子又は有機基を表す)又は2価の有機基である。好ましくは、R
16は、酸素原子又は2価の極性基である。
【0136】
上記「2価の極性基」としては、特に限定されないが、−C(O)−、及び−C(=NR
19)−(式中、R
19は、水素原子又は低級アルキル基を表す)が挙げられる。当該「低級アルキル基」は、例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基であり、これらは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい。
【0137】
上記式中、R
17は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は低級フルオロアルキル基であり、好ましくはフッ素原子である。当該「低級フルオロアルキル基」は、例えば、炭素原子数1〜6、好ましくは炭素原子数1〜3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素原子数1〜3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、さらに好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0138】
この態様において、X
1は、好ましくは、式:−(O)
x−(CF
2)
y−(CH
2)
z−(式中、x、y及びzは、上記と同意義であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である)で表される基である。
【0139】
上記式:−(O)
x−(CF
2)
y−(CH
2)
z−で表される基としては、例えば、
−(O)
x’−(CH
2)
z”−O−[(CH
2)
z’’’−O−]
z””、及び−(O)
x’−(CF
2)
y”−(CH
2)
z”−O−[(CH
2)
z’’’−O−]
z””
(式中、x’は0又は1であり、y”、z”及びz’’’は、それぞれ独立して、1〜10の整数であり、z””は、0又は1である)で表される基が挙げられる。なお、これらの基は左端がPFPE側に結合する。
【0140】
別の好ましい態様において、X
1は、−O−CFR
20−(CF
2)
e’−である。
【0141】
上記R
20は、それぞれ独立して、フッ素原子又は低級フルオロアルキル基を表す。ここで低級フルオロアルキル基は、例えば炭素原子数1〜3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素原子数1〜3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、更に好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0142】
上記e’は、それぞれ独立して、0又は1である。
【0143】
一の具体例において、R
20はフッ素原子であり、e’は1である。
【0144】
さらに別の態様において、X
1基の例として、下記の基が挙げられる:
【化13】
[式中、
R
41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、又はC
1−6アルコキシ基、好ましくはメチル基であり;
各X
1基において、Tのうち一つは、分子主鎖のPFPE
1に連結するアミド結合に結合する以下の基:
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CF
2O(CH
2)
3−、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
4−、又は
−(1,3−フェニレン)−Si(R
42)
2−(CH
2)
2−
[式中、R
42は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−6のアルキル基又はC
1−6のアルコキシ基、好ましくはメチル基又はメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。]
であり、別のTのいくつかは、分子主鎖のPFPEと反対の基に結合する−(CH
2)
n”−(n”は2〜6の整数)であり、存在する場合、残りのTは、それぞれ独立して、メチル基、フェニル基、C
1−6アルコキシ基又はラジカル捕捉基もしくは紫外線吸収基であり得る。なお、上記態様においても、X
1として記載している基において、左側がPFPE
1で表される基に連結するアミド結合に、右側がPFPE
1で表される基の逆側に、それぞれ結合する。
【0145】
ラジカル捕捉基は、光照射で生じるラジカルを捕捉できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、安息香酸エステル類、サリチル酸フェニル類、クロトン酸類、マロン酸エステル類、オルガノアクリレート類、ヒンダードアミン類、ヒンダードフェノール類、又はトリアジン類の残基が挙げられる。
【0146】
紫外線吸収基は、紫外線を吸収できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾトリアゾール類、ヒドロキシベンゾフェノン類、置換及び未置換安息香酸もしくはサリチル酸化合物のエステル類、アクリレート又はアルコキシシンナメート類、オキサミド類、オキサニリド類、ベンゾキサジノン類、ベンゾキサゾール類の残基が挙げられる。
【0147】
好ましい態様において、好ましいラジカル捕捉基又は紫外線吸収基としては、
【化14】
が挙げられる。
【0148】
上記式(A)中、X
2は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又は2価の有機基を表す。X
2は、好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキレン基であり、より好ましくは、−(CH
2)
u−(式中、uは、0〜2の整数である)である。
【0149】
上記式中、tは、それぞれ独立して、1〜10の整数である。好ましい態様において、tは1〜6の整数である。別の好ましい態様において、tは2〜10の整数であり、好ましくは2〜6の整数である。
【0150】
好ましい式(A)で示される化合物は、下記式(A’):
【化15】
[式中:
PFPE
1、R
6及びR
7は、それぞれ独立して、上記定義のとおりであり;
R
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解可能な基を表し;
R
14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜22のアルキル基を表し;
R
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を表し;
R
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル基を表し;
R
11”、R
12”、R
13”、及びR
14”は、それぞれ、R
11、R
12、R
13、及びR
14と同意義であり;
n
1は、1〜3の整数であり、好ましくは3であり;
X
1は、各出現においてそれぞれ独立して、−O−CFR
20−(CF
2)
e’−であり;
R
20は、各出現においてそれぞれ独立して、フッ素原子又は低級フルオロアルキル基であり;
e’は、各出現においてそれぞれ独立して、0又は1であり;
X
2は、−(CH
2)
u−であり;
uは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
tは、各出現においてそれぞれ独立して、2〜10の整数であり;
rは、1以上の整数である。]
で表される化合物である。
【0151】
上記式(A)で表される化合物は、例えば、−PFPE
1−部分に対応するパーフルオロ(ポリ)エーテル誘導体を原料として、末端にヨウ素を導入した後、−CH
2CR
12(X
2−SiR
13n1R
143−n1)−に対応するビニルモノマーを反応させることにより得ることができる。
【0153】
上記式(B)中、PFPE
1、R
6、R
7、r、R
13、R
13”、R
14、R
14”及びn1は、上記式(A)に関する記載と同意義である。
【0154】
上記式(B)において、水酸基及び加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1の基と結合したSi原子とは、n1が1〜3の整数であり、かつ(SiR
13n1R
143−n1)又は(−SiR
13”n1R
14”3−n1)に含まれるSi原子を示す。
【0155】
上記式中、n1は、(−SiR
13n1R
143−n1)単位毎又は(−SiR
13”n1R
14”3−n1)単位毎に独立して、0〜3の整数であり、好ましくは1〜3であり、より好ましくは3である。式中、少なくとも2つのn1が1〜3の整数であり、即ち、すべてのn1が同時に0になることはない。即ち、式中、少なくとも2つはR
13又はR
13”が存在する。即ち、式(B)において、n1が1以上である−SiR
13n1R
143−n1構造(即ち、−SiR
13部分)及びn1が1以上である−SiR
13”n1R
14”3−n1構造(即ち、−SiR
13”部分)からなる群より選ばれる構造が少なくとも2つ存在する。
【0156】
より好ましくは、式(B)においては、水酸基又は加水分解可能な基に結合したSiがフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の分子主鎖の両末端にそれぞれ少なくとも1存在する。即ち、−SiR
13部分が少なくとも1つ存在し、かつ−SiR
13”部分が少なくとも1つ存在する。
【0157】
上記式中、X
3は、それぞれ独立して、2〜10価の有機基を表す。すなわち、X
3は、上記一般式のR
5に対応する。当該X
3は、式(B)で表される化合物において、主に撥水性及び表面滑り性等を提供するパーフルオロ(ポリ)エーテル部(即ち、−PFPE1−部)と、基材との結合能を提供するシラン部(具体的には、−SiR
13n1R
143−n1又は−SiR
13”n1R
14”3−n1)とを連結するリンカーと解される。従って、当該X
3は、式(B)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。なお、本明細書において、X
3として記載している構造は、左側がPFPE
1で表される基に連結するアミド結合に、右側がβ1を付して括弧でくくられた基に、それぞれ結合する。
【0158】
別の態様において、X
3は、X
eを表す。X
eは、上記と同意義である。
【0159】
上記式中のβ1は、1〜9の整数であり、X
3の価数に応じて変化し得る。式(B)において、β1はX3の価数の値から1を引いた値である。X
3が単結合であるときには、β1は1である。
【0160】
上記X
3は、好ましくは2〜7価、より好ましくは2〜4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0161】
一の態様において、X
3は2〜4価の有機基であり、β1は1〜3である。
【0162】
別の態様において、X
3は2価の有機基であり、β1は1である。この場合、式(B)
は、下記式(B’)で表される。
【0164】
上記X
3の例としては、PFPE
1基に連結するアミド基と結合を形成しうるもので化合物を安定に調製可能なものあれば特に限定するものではないが、例えば、X
1に関して記載したものと同様のもので、単結合以外のものが挙げられる。
【0165】
中でも、好ましい具体的なX
3は、
−CH
2OCH
2−、
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CH
2O(CH
2)
6−、
−CF
2−CH
2−O−CH
2−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
2−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
3−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
6−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
10Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
20Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−C(O)NH−CH
2−、
−CH
2OCH
2(CH
2)
7CH2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
3−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
3−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
4−、
−(CH
2)
5−、
−(CH
2)
6−、
−CF
2−、
−(CF
2)
2−、
−CF
2−CH
2−、
−CF
2−(CH
2)
2−、
−CF
2−(CH
2)
3−、
−CF
2−(CH
2)
4−、
−CF
2−(CH
2)
5−、
−CF
2−(CH
2)
6−、
−CO−、
−CF
2CONH−、
−CF
2CONHCH
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
3−、
−CF
2CONH(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
6−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−(CH
2)
2NH(CH
2)
3−、
−(CH
2)
6NH(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
6−、
−S−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
2S(CH
2)
3−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
10Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
20Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−C(O)O−(CH
2)
3−、
−C(O)O−(CH
2)
6−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−CH(CH
3)−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
3−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−CH(CH
3)−CH
2−、
−OCH
2−、
−O(CH
2)
3−、
−OCFHCF
2−、
1,3−フェニレン、
−(1,3−フェニレン)−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−
などが挙げられる。
【0166】
上記の中では、X
3は、
−CH
2OCH
2−、
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CH
2O(CH
2)
6−、
−CF
2−CH
2−O−CH
2−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
2−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
3−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
6−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−C(O)NH−CH
2−、
−CF
2−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−C(O)NH−CH
2−、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
4−、
−(CH
2)
5−、
−(CH
2)
6−、
−CF
2−、
−(CF2)
2−、
−CF
2−CH
2−、
−CF
2−(CH
2)
2−、
−CF
2−(CH
2)
3−、
−CF
2−(CH
2)
4−、
−CF
2−(CH
2)
5−、
−CF
2−(CH
2)
6−、
−CF
2CONH−、
−CF
2CONHCH
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
3−、
−CF
2CONH(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
6−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−(CH
2)
2NH(CH
2)
3−、
−(CH
2)
6NH(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
6−、
−OCH
2−、
−O(CH
2)
3−、
−OCFHCF
2−、
であることが好ましい。
【0167】
上記の中では、より好ましくは、X
3は、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−C(O)NH−CH
2−、
−CF
2−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−C(O)NH−CH
2−、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
6−、
−CF
2CONH−、
−CF
2CONHCH
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
3−、
−CF
2CONH(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
6−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−(CH
2)
2NH(CH
2)
3−、
−(CH
2)
6NH(CH
2)
3−、
である。
【0168】
別の好ましい態様において、X
3は、X
e’を表す。X
e’は、単結合が除外されるほかは上記と同意義である。
【0169】
一の態様において、式(B)において、水酸基又は加水分解可能な基に結合したSiが少なくとも2つ存在する。即ち、式(B)において、−SiR
13部分が少なくとも2つ存在する。
【0170】
好ましい式(B)で示される化合物は、下記式(B’):
【化18】
[式中:
PFPE
1、R
6、R
7、及びrは、上記定義のとおりであり;
R
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解可能な基を表し;
R
14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜22のアルキル基を表し;
R
13”、及びR
14”は、それぞれ、R
13、及びR
14と同意義であり;
n1は、1〜3の整数であり、好ましくは3であり;
X
3は、炭素数1〜20のアルキレン基、−CH
2O(CH
2)
2−、−CH
2O(CH
2)
3−又は−CH
2O(CH
2)
6−である。]
で表される化合物である。
【0171】
上記式(B)で表される化合物は、公知の方法、例えば特開2013−117012号公報に記載の方法又はその改良方法により製造することができる。
【0173】
上記式(C)中、PFPE
1、R
6、R
7、及びrは、上記式(A)に関する記載と同意義である。
【0174】
上記式中、X
5は、それぞれ独立して、2〜10価の有機基を表す。すなわち、X
5は、上記一般式のR
5に対応する。当該X
5は、式(C)で表される化合物において、主に撥水性及び表面滑り性等を提供するパーフルオロ(ポリ)エーテル部(即ち、−PFPE
1−部)と、基材との結合能を提供するシラン部(具体的には、−SiR
ak1R
bl1R
cm1基、又は−SiR
a”k1R
b”l1R
c”m1基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該X
5は、式(C)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。なお、本明細書において、X
5として記載している構造は、左側がPFPE
1で表される基に、右側がγ1を付して括弧でくくられた基に、それぞれ結合する。
【0175】
別の態様において、X
5は、X
eを表す。X
eは、上記と同意義である。
【0176】
別の態様において、式(C)は、下記式(C’)で表される。
【化20】
【0177】
上記X
5の例としては、PFPE
1基に連結するアミド基と結合を形成しうるもので化合物を安定に調製可能なものあれば特に限定するものではないが、例えば、X
1に関して記載したものと同様のもので、単結合以外のものが挙げられる。
【0178】
中でも、好ましい具体的なX
5は、
−CH
2OCH
2−、
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CH
2O(CH
2)
6−、
−CF
2−CH
2−O−CH
2−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
2−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
3−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
6−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
10Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
20Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−C(O)NH−CH
2−、
−CH
2OCH
2(CH
2)
7CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
3−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
3−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
4−、
−(CH
2)
5−、
−(CH
2)
6−、
−CF
2−、
−(CF
2)
2−、
−CF
2−CH
2−、
−CF
2−(CH
2)
2−、
−CF
2−(CH
2)
3−、
−CF
2−(CH
2)
4−、
−CF
2−(CH
2)
5−、
−CF
2−(CH
2)
6−、
−CO−、
−CF
2CONH−、
−CF
2CONHCH
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
3−、
−CF
2CONH(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
6−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−(CH
2)
2NH(CH
2)
3−、
−(CH
2)
6NH(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
6−、
−S−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
2S(CH
2)
3−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)10Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)20Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−C(O)O−(CH
2)
3−、
−C(O)O−(CH
2)
6−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−CH(CH
3)−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
3−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−CH(CH
3)−CH
2−、
−OCH
2−、
−O(CH
2)
3−、
−OCFHCF
2−、
1,3−フェニレン、
−(1,3−フェニレン)Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−
などが挙げられる。
【0179】
上記の中では、X
5は、好ましくは、
−CH
2OCH
2−、
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CH
2O(CH
2)
6−、
−CF
2−CH
2−O−CH
2−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
2−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
3−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
6−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−C(O)NH−CH
2−、
−CF
2−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−C(O)NH−CH
2−、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
4−、
−(CH
2)
5−、
−(CH
2)
6−、
−CF
2−、
−(CF
2)
2−、
−CF
2−CH
2−、
−CF
2−(CH
2)
2−、
−CF
2−(CH
2)
3−、
−CF
2−(CH
2)
4−、
−CF
2−(CH
2)
5−、
−CF
2−(CH
2)
6−、
−CF
2CONH−、
−CF
2CONHCH
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
3−、
−CF
2CONH(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
6−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−(CH
2)
2NH(CH
2)
3−、
−(CH
2)
6NH(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
6−、
−OCH
2−、
−O(CH
2)
3−、
−OCFHCF
2−、
であることが好ましい。
【0180】
上記の中では、より好ましくは、X
5は、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−C(O)NH−CH
2−、
−CF
2−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−C(O)NH−CH
2−、
−CH
2−、−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
6−、
−CF
2CONH−、
−CF
2CONHCH
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
3−、
−CF
2CONH(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
6−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−(CH
2)
2NH(CH
2)
3−、
−(CH
2)
6NH(CH
2)
3−、
である。
【0181】
別の好ましい態様において、X
5は、X
e’を表す。X
e’は、単結合が除外されるほかは上記と同意義である。
【0182】
上記式中、R
aは、各出現においてそれぞれ独立して、−Z
3−SiR
71p1R
72q1R
73r1を表す。
【0183】
式中、Z
3は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基を表す。
【0184】
上記Z
3は、好ましくは、2価の有機基であり、式(C)における分子主鎖の末端のSi原子(Raが結合しているSi原子)とシロキサン結合を形成するものを含まない。
【0185】
上記Z
3は、好ましくは、C
1−6アルキレン基、−(CH
2)
g−O−(CH
2)
h−(式中、gは、1〜6の整数であり、hは、1〜6の整数である)又は、−フェニレン−(CH
2)
i−(式中、iは、0〜6の整数である)であり、より好ましくはC
1−3アルキレン基である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、及びC
2−6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。紫外線耐久性が特に良好な観点からは、上記Z
3は、より好ましくは、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基であり、さらに好ましくは直鎖状のアルキレン基である。上記Z
3のアルキレン基を構成する炭素原子数は、好ましくは1〜6の範囲にあり、より好ましくは1〜3の範囲にある。なお、アルキレン基については上記のとおりである。
【0186】
式中、R
71は、各出現においてそれぞれ独立して、R
a’を表す。R
a’は、R
aと同意義である。
【0187】
R
a中、Z
3基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個である。即ち、上記R
aにおいて、R
71が少なくとも1つ存在する場合、R
a中にZ
3基を介して直鎖状に連結されるSi原子が2個以上存在するが、かかるZ
3基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数は最大で5個である。なお、「R
a中のZ
3基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」とは、R
a中において直鎖状に連結される−Z
3−Si−の繰り返し数と等しくなる。
【0188】
例えば、下記にR
a中においてZ
3基を介してSi原子が連結された一例を示す。
【化21】
【0189】
上記式において、*は、主鎖のSiに結合する部位を意味し、…は、Z
3Si以外の所定の基が結合していること、即ち、Si原子の3本の結合手がすべて…である場合、Z
3Siの繰り返しの終了箇所を意味する。また、Siの右肩の数字は、*から数えたZ
3基を介して直鎖状に連結されたSiの出現数を意味する。即ち、Si
2でZ
3Si繰り返しが終了している鎖は「R
a中のZ
3基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」が2個であり、同様に、Si
3、Si
4及びSi
5でZ
3Si繰り返しが終了している鎖は、それぞれ、「R
a中のZ
3基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」が3、4及び5個である。なお、上記の式から明らかなように、R
a中には、Z
3Si鎖が複数存在するが、これらはすべて同じ長さである必要はなく、それぞれ任意の長さであってもよい。
【0190】
好ましい態様において、下記に示すように、「R
a中のZ
3基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」は、すべての鎖において、1個(左式)又は2個(右式)である。
【化22】
【0191】
一の態様において、R
a中のZ
3基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数は1個又は2個、好ましくは1個である。
【0192】
式中、R
72は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解可能な基を表す。「加水分解可能な基」は、上記と同意義である。
【0193】
好ましくは、R
72は、−OR(式中、Rは、置換又は非置換のC
1−3アルキル基、より好ましくはメチル基を表す)である。
【0194】
式中、R
73は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0195】
式中、p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、(−Z
3−SiR
71p1R
72q1R
73r1)毎において、p1、q1及びr1の和は3である。
【0196】
好ましい態様において、R
a中の末端のR
a’(R
a’が存在しない場合、R
a)において、上記q1は、好ましくは2以上、例えば2又は3であり、より好ましくは3である。
【0197】
好ましい態様において、Raの末端部の少なくとも1つは、−Si(−Z
3−SiR
72q1R
73r1)
2R
bl1R
cm1(ただし、l1及びm1のいずれか一方が1であり、他方は0である)又は−Si(−Z
3−SiR
72q1R
73r1)
3、好ましくは−Si(−Z
3−SiR
72q1R
73r1)
3であり得る(ここで、q1及びr1の合計は3である)。式中、(−Z
3−SiR
72q1R
73r1)の単位は、好ましくは(−Z
3−SiR
723)である。さらに好ましい態様において、R
aの末端部は、すべて−Si(−Z
3−SiR
72q1R
73r1)
3、好ましくは−Si(−Z
3−SiR
723)
3であり得る。
【0198】
上記式中、R
a”は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z
3−SiR
71p1R
72”q1R
73r1を表す。Z
3、R
71、R
73、p1、q1、及びr1は、上記と同意義である。R
72”は、R
72と同意義である。
【0199】
好ましい態様において、R
a”の末端部の少なくとも1つは、−Si(−Z
3−SiR
72”q1R
73r1)
2R
b”l1R
c”m1(ただし、l1及びm1のいずれか一方が1であり、他方は0である)又は−Si(−Z
3−SiR
72”q1R
73r1)
3、好ましくは−Si(−Z
3−SiR
72”q1R
73r1)
3であり得る(ここで、q1及びr1の合計は3である)。式中、(−Z
3−SiR
72”q1R
73r1)の単位は、好ましくは(−Z
3−SiR
72”3)である。さらに好ましい態様において、R
aの末端部は、すべて−Si(−Z
3−SiR
72”q1R
73r1)
3、好ましくは−Si(−Z
3−SiR
72”3)
3であり得る。
【0200】
式(C)においては、水酸基又は加水分解可能な基に結合したSiが少なくとも2つ存在する。即ち、SiR
72(具体的には−SiR
71p1R
72q1R
73r1で表される基、ただし、q1が1〜3の整数)、SiR
72”(具体的には、−SiR
71p1R
72”q1R
73r1で表される基、ただし、q1が1〜3の整数)、SiR
b(具体的には、−SiR
ak1R
bl1R
cm1で表される基、ただし、l1が1〜3の整数)、及びSiR
b”(具体的には、−SiR
a”k1R
b”l1R
c”m1で表される基、ただし、l1が1〜3の整数)からなる群より選ばれる構造が少なくとも2つ存在する。R
b、及びR
b”については後述する。
【0201】
より好ましくは、式(C)においては、水酸基又は加水分解可能な基に結合したSiが、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物合物(A)の分子主鎖の両末端にそれぞれ少なくとも1つ存在する。即ち、SiR
72及び/又はSiR
bの構造が少なくとも1つ存在し、かつSiR
72”及び/又はSiR
b”の構造が少なくとも1つ存在する。
【0202】
上記式中、R
bは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解可能な基を表す。
【0203】
上記R
bは、好ましくは、水酸基、−OR、−OCOR、−O−N=C(R)
2、−N(R)
2、−NHR、ハロゲン(これら式中、Rは、置換又は非置換の炭素原子数1〜4のアルキル基を示す)であり、より好ましくは−ORである。Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。水酸基は、特に限定されないが、加水分解可能な基が加水分解して生じたものであってよい。より好ましくは、R
bは、−OR(式中、Rは、置換又は非置換のC
1−3アルキル基、より好ましくはメチル基を表す)である。
【0204】
上記式中、R
b”は、R
bと同意義である。
【0205】
上記式中、R
cは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0206】
上記式中、R
c”は、R
cと同意義である。
【0207】
式中、k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、(SiR
ak1R
bl1R
cm1)毎又は(SiR
a”k1R
b”l1R
c”m1)毎において、k1、l1及びm1の和は、3である。
【0208】
一の態様において、k1は、1〜3であることが好ましく、3であることがより好ましい。
【0209】
上記式(C)で表される化合物は、例えば、国際公開第2014/069592号に記載のように合成することができる。
【0211】
上記式(D)中、PFPE
1、R
6、R
7、及びrは、上記式(A)に関する記載と同意義である。
【0212】
上記式中、X
7は、それぞれ独立して、単結合又は2〜10価の有機基を表す。当該X
7は、式(D)で表される化合物において、主に撥水性及び表面滑り性等を提供するパーフルオロ(ポリ)エーテル部(即ち、−PFPE
1−部)と、基材との結合能を提供する部(即ち、δ1を付して括弧でくくられた基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該X
7は、式(D)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、単結合であってもよく、いずれの有機基であってもよい。なお、本明細書において、X
7として記載している構造は、左側がPFPE
1で表される基に隣接するアミド結合に、右側がδ1を付して括弧でくくられた基に、それぞれ結合する。
【0213】
別の態様において、X
7は、X
eを表す。X
eは、上記と同意義である。
【0214】
上記式中、δ1は1〜9の整数であり、δ1は、X
7の価数に応じて変化し得る。式(D)においては、δ1はX
7の価数から1を引いた値である。X
7が単結合であるときには、δ1は1である。
【0215】
上記X
7は、好ましくは2〜7価、より好ましくは2〜4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0216】
一の態様において、X
7は2〜4価の有機基であり、δ1は1〜3である。
【0217】
別の態様において、X
7は2価の有機基であり、δ1は1である。この場合、式(D)は、下記式(D’)で表される。
【化24】
【0218】
上記X
7の例としては、PFPE
1基に連結するアミド基と結合を形成しうるもので化合物を安定に調製可能なものあれば特に限定するものではないが、例えば、X
1に関して記載したものと同様のものが挙げられる。
【0219】
中でも、好ましい具体的なX
7は、
単結合、
−CH
2OCH
2−、
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CH
2O(CH
2)
6−、
−CF
2−CH
2−O−CH
2−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
2−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
3−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
6−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)10Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)20Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−C(O)NH−CH
2−、
−CH
2OCH
2(CH
2)
7CH2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
3−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
3−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
4−、
−(CH
2)
5−、
−(CH
2)
6−、
−CF
2−、
−(CF
2)
2−、
−CF
2−CH
2−、
−CF
2−(CH
2)
2−、
−CF
2−(CH
2)
3−、
−CF
2−(CH
2)
4−、
−CF
2−(CH
2)
5−、
−CF
2−(CH
2)
6−、
−CO−、
−CF
2CONH−、
−CF
2CONHCH
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
3−、
−CF
2CONH(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
6−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CH
2)
2NH(CH
2)
3−、
−CONH−(CH
2)
6NH(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
6−、
−S−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
2S(CH
2)
3−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)10Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)20Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−C(O)O−(CH
2)
3−、
−C(O)O−(CH
2)
6−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−CH(CH
3)−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
3−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−CH(CH
3)−CH
2−、
−OCH
2−、
−O(CH
2)
3−、
−OCFHCF
2−、
1,3−フェニレン、
−(1,3−フェニレン)−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−
などが挙げられる。
【0220】
上記の中で、より好ましい具体的なX
7は、
−CH
2OCH
2−、
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CH
2O(CH
2)
6−、
−CF
2−CH
2−O−CH
2−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
2−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
3−、
−CF
2−CH
2−O−(CH
2)
6−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−C(O)NH−CH
2−、
−CF
2−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−C(O)NH−CH
2−、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
4−、
−(CH
2)
5−、
−(CH
2)
6−、
−CF
2−、
−(CF
2)
2−、
−CF
2−CH
2−、
−CF
2−(CH
2)
2−、
−CF
2−(CH
2)
3−、
−CF
2−(CH
2)
4−、
−CF
2−(CH
2)
5−、
−CF
2−(CH
2)
6−、
−CF
2CONH−、
−CF
2CONHCH
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
3−、
−CF
2CONH(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
6−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−(CH
2)
2NH(CH
2)
3−、
−(CH
2)
6NH(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
6−、
−OCH
2−、
−O(CH
2)
3−、
−OCFHCF
2−、
であることが好ましい。
【0221】
上記の中では、より好ましくは、X
7は、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−C(O)NH−CH
2−、
−CF
2−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−C(O)NH−CH
2−、
−CH
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
6−、
−CF
2CONH−、
−CF
2CONHCH
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
2−、
−CF
2CONH(CH
2)
3−、
−CF
2CONH(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CF
2−CON(CH
3)−(CH
2)
6−、
−CF
2−CON(Ph)−(CH
2)
6−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−(CH
2)
2NH(CH
2)
3−、
−(CH
2)
6NH(CH
2)
3−、
である。
【0222】
より好ましい態様において、X
7は、X
e’を表す。X
e’は、上記と同意義である。一の態様において、X
e’は、単結合である。
【0223】
上記式中、R
dは、各出現においてそれぞれ独立して、−Z
4−CR
81p2R
82q2R
83r2を表す。
【0224】
式中、Z
4は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基を表す。
【0225】
上記Z
4は、好ましくは、C
1−6アルキレン基、−(CH
2)
g−O−(CH
2)
h−(式中、gは、0〜6の整数、例えば1〜6の整数であり、hは、0〜6の整数、例えば1〜6の整数である)又は、−フェニレン−(CH
2)
i−(式中、iは、0〜6の整数である)であり、より好ましくはC
1−3アルキレン基である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、及びC
2−6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0226】
式中、R
81は、各出現においてそれぞれ独立して、R
d’を表す。R
d’は、R
dと同
意義である。
【0227】
R
d中、Z
4基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個である。即ち、上記R
dにおいて、R
81が少なくとも1つ存在する場合、R
d中にZ
4基を介して直鎖状に連結されるC原子が2個以上存在するが、かかるZ
4基を介して直鎖状に連結されるC原子の数は最大で5個である。なお、「R
d中のZ
4基を介して直鎖状に連結されるC原子の数」とは、R
d中において直鎖状に連結される−Z
4−C−の繰り返し数と等しくなる。
【0228】
好ましい態様において、下記に示すように、「R
d中のZ
4基を介して直鎖状に連結されるC原子の数」は、すべての鎖において、1個(左式)又は2個(右式)である。
【化25】
【0229】
一の態様において、R
dのZ
4基を介して直鎖状に連結されるC原子の数は1個又は2個、好ましくは1個である。
【0230】
式中、R
82は、各出現においてそれぞれ独立して、−Y−SiR
85n2R
863−n2を表す。
【0231】
Yは、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表す。
【0232】
好ましい態様において、Yは、C
1−6アルキレン基、−(CH
2)
g’−O−(CH
2)
h’−(式中、g’は、0〜6の整数、例えば1〜6の整数であり、h’は、0〜6の整数、例えば1〜6の整数である)又は、−フェニレン−(CH
2)
i’−(式中、i’は、0〜6の整数である)である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、及びC
2−6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0233】
一の態様において、Yは、C
1−6アルキレン基又は−フェニレン−(CH
2)
i’−
であり得る。Yが上記の基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0234】
上記R
85は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解可能な基を表す。
【0235】
上記「加水分解可能な基」とは、式(C)と同様のものが挙げられる。
【0236】
好ましくは、R
85は、−OR(式中、Rは、置換又は非置換のC
1−3アルキル基、より好ましくはエチル基又はメチル基、特にメチル基を表す)である。
【0237】
上記R
86は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0238】
n2は、(−Y−SiR
85n2R
863−n2)単位毎、又は(−Y−SiR
85”n2R
86”3−n2)単位毎に独立して、0〜3の整数を表し、好ましくは1〜3の整数、より好ましくは2又は3、特に好ましくは3である。R
85”、及びR
86”については後述する。
【0239】
上記R
83は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は低級アルキル基を表し、好ましくは水素原子又は低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0240】
式中、p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、(−Z
4−CR
81p2R
82q2R
83r2)毎、又は(−Z
4−CR
81p2R
82”q2R
83r2)毎において、p2、q2及びr2の和は3である。R
82”については後述する。
【0241】
好ましい態様において、R
d中の末端のR
d’(R
d’が存在しない場合、R
d)において、上記q2は、好ましくは2以上、例えば2又は3であり、より好ましくは3である。
【0242】
好ましい態様において、R
dの末端部の少なくとも1つは、−C(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
2(具体的には、−C(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
2R
83)又は−C(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
3、好ましくは−C(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
3であり得る。ここで、n2は1〜3の整数である。式中、(−YSiR
85n2R
863−n2)の単位は、好ましくは(−Y−SiR
853)である。さらに好ましい態様において、R
dの末端部は、すべて−C(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
3、好ましくは−C(−Y−SiR
853)
3であり得る。
【0243】
より好ましい態様において、(CR
dk2R
el2R
fm2)で表される基の末端は、C(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
2R
f)又はC(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
3、好ましくはC(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
3である。ここで、
n2は1〜3の整数である。式中、(−Y−SiR
85n2R
863−n2)の単位は、好ましくは(−Y−SiR
853)である。さらに好ましい態様において、上記基の末端部は、すべて−C(−Y−SiR
85n2R
863−n2)
3、好ましくは−C(−Y−SiR
853)
3であり得る。
【0244】
上記式中、R
d”は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z
4−CR
81p2R
82”q2R
83r2を表す。Z
4、R
81、R
83、p2、q2、及びr2は上記と同意義である。R
82”は、各出現においてそれぞれ独立して、−Y−SiR
85”n2R
86”
3−n2を表す。ここで、Y、及びn2は、上記と同意義である。R
85”、及びR
86”は、それぞれ、R
85、及びR
86と同意義である。
【0245】
好ましい態様において、R
d”中の末端のR
d’(R
d’が存在しない場合、R
d”)において、上記
q2は、好ましくは2以上、例えば2又は3であり、より好ましくは3である。
【0246】
好ましい態様において、R
d”の末端部の少なくとも1つは、−C(−Y−SiR
85”n2R
86”3−n2)
2(具体的には、−C(−Y−SiR
85”n2R
86”3−n2)
2R
83)又は−C(−Y−SiR
85”n2R
86”3−n2)
3、好ましくは−C(−Y−SiR
85”n2R
86”3−n2)
3であり得る。ここで、n2は1〜3の整数である。式中、(−Y−SiR
85”n2R
86”3−n2)の単位は、好ましくは(−Y−SiR
85”3)である。さらに好ましい態様において、R
dの末端部は、すべて−C(−Y−SiR
85”n2R
86”3−n2)
3、好ましくは−C(−Y−SiR
85”3)
3であり得る。
【0247】
より好ましい態様において、(CR
d”k2R
e”l2R
f”m2)で表される基の末端は、C(−Y−SiR
85”n2R
86”3−n2)
2R
f”)又はC(−Y−SiR
85”n2R
86”3−n2)
3、好ましくはC(−Y−SiR
85”n2R
86”3−n2)
3である。ここで、
n2は1〜3の整数である。式中、(−Y−SiR
85”n2R
86”3−n2)の単位は、好ましくは(−Y−SiR
85”3)である。さらに好ましい態様において、上記基の末端部は、すべて−C(−Y−SiR
85”n2R
86”3−n2)
3、好ましくは−C(−Y−SiR
85”3)
3であり得る。
【0248】
上記式中、R
eは、各出現においてそれぞれ独立して、−Y−SiR
85n2R
863−n2を表す。ここに、Y、R
85、R
86及びn2は、上記R
82における記載と同意義である。
【0249】
上記式中、R
e”は、各出現においてそれぞれ独立して、−Y−SiR
85”n2R
86”3−n2を表す。ここで、R
85”、R
86”、Y、及びn2は、上記と同意義である。
【0250】
上記式中、R
fは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は低級アルキル基を表す。好ましくは、R
fは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0251】
上記式中、R
f”は、R
fと同意義である。
【0252】
式中、k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、k2、l2及びm2の和は3である。
【0253】
一の態様において、少なくとも1つのk2は2又は3であり、好ましくは3である。
【0254】
一の態様において、k2は2又は3であり、好ましくは3である。
【0255】
一の態様において、l2は2又は3であり、好ましくは3である。
【0256】
上記式(D)において、−Y−SiR
85で表される基及び−Y−SiR
85”で表される基よりなる群より選ばれる基が2以上存在する。上記式(D)において、好ましくは、−Y−SiR
85で表される基が1以上、かつ−Y−SiR
85”で表される基が1以上存在する。より好ましくは、2以上の−Y−SiR
85n2R
863−n2で表される基に結合した炭素原子が1以上存在し、2以上の−Y−SiR
85”n2R
86”3−n2で表される基に結合した炭素原子が1以上存在する。式中、
n2は1〜3の整数である。即ち、−C−Rd
k2(Y−SiR
85n2R
863−n2)
l2Rf
m2で表される基(ただし、l2は2又は3であり、k2、l2及びm2の合計は3である)及び−CR
81p2(Y−SiR
85n2R
863−n2)
q2R
83r2で表される基(ただし、q2は2又は3であり、p2、q2及びr2の合計は3である)から選ばれる基が1以上、かつ、−C−Rd
k2(Y−SiR
85”n2R
86”3−n2)
l2Rf
m2で表される基(ただし、l2は2又は3であり、k2、l2及びm2の合計は3である)及び−C−R
81p2(Y−SiR
85”n2R
86”3−n2)
q2R
83r2で表される基(ただし、q2は2又は3であり、p2、q2及びr2の合計は3である)で表される基が1以上存在することが好ましい(式中、
n2は1〜3の整数である)。
【0257】
一の態様において、上記式(D)において、−C−(Y−SiR
85n2R
863−n2)
2で表される基が1以上、かつ−C−(Y−SiR
85”n2R
86”3−n2)2で表される基が1以上存在することが好ましい(式中、n2は1〜3の整数である。)。
【0258】
一の態様において、上記式(D)において、−C−(Y−SiR
85n2R
863−n2)
3で表される基が1以上、かつ−C−(Y−SiR
85”n2R
86”3−n2)3で表される基が1以上存在することが好ましい(式中、n2は1〜3の整数である。)。
【0259】
上記式(D)中、n2は1〜3の整数であり、及び、少なくとも1つのq2は2又は3であるか、あるいは、少なくとも1つのl2は2又は3である。
【0260】
上記式(D)中、式中、−Y−SiR
85n2R
863−n2基又は−Y−SiR
85”n2R
86”3−n2基が少なくとも2存在することが好ましい。上記式(D)中、−YSiR
85n2R
863−n2基が1以上存在し、かつ−Y−SiR
85”n2R
86”3−n2基が1以上存在することがより好ましい。即ち、−SiR
85を含む基及び−SiR
85”を含む基が、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物合物(A)の分子主鎖の両末端に存在することが好ましい。
【0261】
上記式(D)で表される化合物は、公知の方法を組み合わせることにより製造することができる。
【0262】
好ましい態様において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(B)又は(C)で表される。
【0263】
一の態様において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(A)、(C)又は(D)で表される。
【0264】
一の態様において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、少なくとも一方の末端に、水酸基又は加水分解可能な基を有するSi原子を2個以上、好ましくは3個以上有する。
【0265】
上記したフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、特に限定されるものではないが、一の態様において、5×102〜1×105の数平均分子量を有し得る。かかる範囲のなかでも、2,000〜50,000、より好ましくは2,500〜30,000、さらに好ましくは3,000〜10,000の数平均分子量を有することが好ましい。なお、本開示において、数平均分子量は、
19F−NMRにより測定される値とする。
【0266】
本開示は、上記した本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含有する組成物、典型的には表面処理剤を提供する。
【0267】
上記組成物に含まれる本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、単独又は複数種含まれていてもよい。例えば、式中k又はrが1〜5のいずれかの整数である化合物を含んでいてもよい。また、本開示の組成物は、k又はrが0である化合物を含んでいてもよい。好ましくは、組成物における、k又はrの平均値は、1である。
【0268】
本開示の表面処理剤は、溶媒、含フッ素オイルとして理解され得る(非反応性の)フルオロポリエーテル化合物、好ましくはパーフルオロ(ポリ)エーテル化合物(以下、まとめて「含フッ素オイル」と言う)、シリコーンオイルとして理解され得る(非反応性の)シリコーン化合物(以下、「シリコーンオイル」と言う)、触媒、界面活性剤、重合禁止剤、増感剤等を含み得る。
【0269】
上記溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、sec−ブタノール、3−ペンタノール、オクチルアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノール、tert−アミルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート;1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、ジメチルスルホキシド、1,1−ジクロロ−1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロパン(HCFC225)、ゼオローラH、HFE7100、HFE7200、HFE7300等のフッ素含有溶媒等が挙げられる。あるいはこれらの2種以上の混合溶媒等が挙げられる。
【0270】
含フッ素オイルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の一般式(3)で表される化合物(パーフルオロ(ポリ)エーテル化合物)が挙げられる。
Rf
5−(OC
4F
8)
a’−(OC
3F
6)
b’−(OC
2F
4)
c’−(OCF
2)
d’−Rf
6 ・・・(3)
式中、Rf
5は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16アルキル基(好ましくは、C
1―16のパーフルオロアルキル基)を表し、Rf
6は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16アルキル基(好ましくは、C
1−16パーフルオロアルキル基)、フッ素原子又は水素原子を表し、Rf
5及びRf
6は、より好ましくは、それぞれ独立して、C
1−3パーフルオロアルキル基である。
a’、b’、c’及びd’は、ポリマーの主骨格を構成するパーフルオロ(ポリ)エーテルの4種の繰り返し単位数をそれぞれ表し、互いに独立して0以上300以下の整数であって、a’、b’、c’及びd’の和は少なくとも1、好ましくは1〜300、より好ましくは20〜300である。添字a’、b’、c’又はd’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。これら繰り返し単位のうち、−(OC
4F
8)−は、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF(CF
3)CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF(CF
3)CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF(CF
3))−、−(OC(CF
3)
2CF
2)−、−(OCF
2C(CF
3)
2)−、−(OCF(CF
3)CF(CF
3))−、−(OCF(C
2F
5)CF
2)−及び(OCF
2CF(C
2F
5))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2CF
2)−である。−(OC
3F
6)−は、−(OCF
2CF
2CF
2)−、−(OCF(CF
3)CF
2)−及び(OCF
2CF(CF
3))−のいずれであってもよく、好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2)−である。−(OC
2F
4)−は、−(OCF
2CF
2)−及び(OCF(CF
3))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2)−である。
【0271】
上記一般式(3)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル化合物の例として、以下の一般式(3a)及び(3b)のいずれかで示される化合物(1種又は2種以上の混合物であってよい)が挙げられる。
Rf
5−(OCF
2CF
2CF
2)
b”−Rf
6 ・・・(3a)
Rf
5−(OCF
2CF
2CF
2CF
2)
a”−(OCF
2CF
2CF
2)
b”−(OCF
2CF
2)
c”−(OCF
2)
d”−Rf
6 ・・・(3b)
これら式中、Rf
5及びRf
6は上記の通りであり;式(3a)において、b”は1以上100以下の整数であり;式(3b)において、a”及びb”は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、c”及びd”はそれぞれ独立して1以上300以下の整数である。添字a”、b”、c”、d”を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。
【0272】
また、別の観点から、含フッ素オイルは、一般式Rf
3−F(式中、Rf
3はC
5−16パーフルオロアルキル基である。)で表される化合物であってよい。また、クロロトリフルオロエチレンオリゴマーであってもよい。
【0273】
上記含フッ素オイルは、500〜10000の平均分子量を有していてよい。含フッ素オイルの分子量は、GPCを用いて測定し得る。
【0274】
含フッ素オイルは、本開示の組成物に対して、例えば0〜50質量%、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜5質量%含まれ得る。一の態様において、本開示の組成物は、含フッ素オイルを実質的に含まない。含フッ素オイルを実質的に含まないとは、含フッ素オイルを全く含まない、又は極微量の含フッ素オイルを含んでいてもよいことを意味する。
【0275】
一の態様において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の平均分子量よりも、含フッ素オイルの平均分子量を大きくしてもよい。このような平均分子量とすることにより、特に真空蒸着法により表面処理層を形成する場合において、より優れた摩擦耐久性と表面滑り性を得ることができる。
【0276】
一の態様において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の平均分子量よりも、含フッ素オイルの平均分子量を小さくしてもよい。このような平均分子量とすることにより、かかる化合物から得られる表面処理層の透明性の低下を抑制しつつ、高い摩擦耐久性及び高い表面滑り性を有する硬化物を形成できる。
【0277】
含フッ素オイルは、本開示の組成物によって形成された層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
【0278】
上記シリコーンオイルとしては、例えばシロキサン結合が2,000以下の直鎖状又は環状のシリコーンオイルを用い得る。直鎖状のシリコーンオイルは、いわゆるストレートシリコーンオイル及び変性シリコーンオイルであってよい。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルを、アルキル、アラルキル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル、フルオロアルキル、アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコールなどにより変性したものが挙げられる。環状のシリコーンオイルは、例えば環状ジメチルシロキサンオイルなどが挙げられる。
【0279】
本開示の組成物(例えば、表面処理剤)中、かかるシリコーンオイルは、上記本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の合計100質量部(2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、例えば0〜300質量部、好ましくは50〜200質量部で含まれ得る。
【0280】
シリコーンオイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
【0281】
上記触媒としては、酸(例えば酢酸、トリフルオロ酢酸等)、塩基(例えばアンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等)、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn等)等が挙げられる。
【0282】
触媒は、本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の加水分解及び脱水縮合を促進し、本開示の組成物(例えば、表面処理剤)により形成される層の形成を促進する。
【0283】
他の成分としては、上記以外に、例えば、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等も挙げられる。
【0284】
本開示の組成物は、基材の表面処理を行う表面処理剤として用いることができる。
【0285】
本開示の表面処理剤は、多孔質物質、例えば多孔質のセラミック材料、金属繊維、例えばスチールウールを綿状に固めたものに含浸させて、ペレットとすることができる。当該ペレットは、例えば、真空蒸着に用いることができる。
【0286】
以下、本開示の物品について説明する。
【0287】
本開示の物品は、基材と、該基材表面に本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含む表面処理剤より形成された層(表面処理層)とを含む。
【0288】
本開示において使用可能な基材は、例えば、ガラス、樹脂(天然又は合成樹脂、例えば一般的なプラスチック材料であってよく、板状、フィルム、その他の形態であってよい)、金属、セラミックス、半導体(シリコン、ゲルマニウム等)、繊維(織物、不織布等)、毛皮、皮革、木材、陶磁器、石材等、建築部材等、任意の適切な材料で構成され得る。
【0289】
例えば、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面を構成する材料は、光学部材用材料、例えばガラス又は透明プラスチックなどであってよい。また、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面(最外層)に何らかの層(又は膜)、例えばハードコート層や反射防止層などが形成されていてもよい。反射防止層には、単層反射防止層及び多層反射防止層のいずれを使用してもよい。反射防止層に使用可能な無機物の例としては、SiO
2、SiO、ZrO
2、TiO
2、TiO、Ti
2O
3、Ti
2O
5、Al
2O
3、Ta
2O
5、CeO
2、MgO、Y
2O
3、SnO
2、MgF
2、WO
3などが挙げられる。これらの無機物は、単独で、又はこれらの2種以上を組み合わせて(例えば混合物として)使用してもよい。多層反射防止層とする場合、その最外層にはSiO
2及び/又はSiOを用いることが好ましい。製造すべき物品が、タッチパネル用の光学ガラス部品である場合、透明電極、例えば酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛などを用いた薄膜を、基材(ガラス)の表面の一部に有していてもよい。また、基材は、その具体的仕様等に応じて、絶縁層、粘着層、保護層、装飾枠層(I−CON)、霧化膜層、ハードコーティング膜層、偏光フィルム、相位差フィルム、及び液晶表示モジュールなどを有していてもよい。
【0290】
基材の形状は特に限定されない。また、表面処理層を形成すべき基材の表面領域は、基材表面の少なくとも一部であればよく、製造すべき物品の用途及び具体的仕様等に応じて適宜決定され得る。
【0291】
かかる基材としては、少なくともその表面部分が、水酸基を元々有する材料から成るものであってよい。かかる材料としては、ガラスが挙げられ、また、表面に自然酸化膜又は熱酸化膜が形成される金属(特に卑金属)、セラミックス、半導体等が挙げられる。あるいは、樹脂等のように、水酸基を有していても十分でない場合や、水酸基を元々有していない場合には、基材に何らかの前処理を施すことにより、基材の表面に水酸基を導入したり、増加させたりすることができる。かかる前処理の例としては、プラズマ処理(例えばコロナ放電)や、イオンビーム照射が挙げられる。プラズマ処理は、基材表面に水酸基を導入又は増加させ得ると共に、基材表面を清浄化する(異物等を除去する)ためにも好適に利用され得る。また、かかる前処理の別の例としては、炭素−炭素不飽和結合基を有する界面吸着剤をLB法(ラングミュア−ブロジェット法)や化学吸着法等によって、基材表面に予め単分子膜の形態で形成し、その後、酸素や窒素等を含む雰囲気下にて不飽和結合を開裂する方法が挙げられる。
【0292】
またあるいは、かかる基材としては、少なくともその表面部分が、別の反応性基、例えばSi−H基を1つ以上有するシリコーン化合物や、アルコキシシランを含む材料から成るものであってもよい。
【0293】
次に、かかる基材の表面に、上記の本開示の表面処理剤の層を形成し、この層を必要に応じて後処理し、これにより、本開示の表面処理剤から層を形成する。
【0294】
本開示の表面処理剤の層形成は、上記の組成物を基材の表面に対して、該表面を被覆するように適用することによって実施できる。被覆方法は、特に限定されない。例えば、湿潤被覆法及び乾燥被覆法を使用できる。
【0295】
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング及び類似の方法が挙げられる。
【0296】
乾燥被覆法の例としては、蒸着(通常、真空蒸着)、スパッタリング、CVD及び類似の方法が挙げられる。蒸着法(通常、真空蒸着法)の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、マイクロ波等を用いた高周波加熱、イオンビーム及び類似の方法が挙げられる。CVD方法の具体例としては、プラズマ−CVD、光学CVD、熱CVD及び類似の方法が挙げられる。
【0297】
更に、常圧プラズマ法による被覆も可能である。
【0298】
湿潤被覆法を使用する場合、本開示の表面処理剤は、溶媒で希釈されてから基材表面に適用され得る。本開示の組成物の安定性及び溶媒の揮発性の観点から、次の溶媒が好ましく使用される:炭素数5〜12のパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサン及びパーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン);ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、C
6F
13CH
2CH
3(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC−6000)、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオローラ(登録商標)H);ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(C
3F
7OCH
3)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7000)、パーフルオロブチルメチルエーテル(C
4F
9OCH
3)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(C
4F
9OC
2H
5)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7200)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(C
2F
5CF(OCH
3)C
3F
7)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7300)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基及びアルキル基は直鎖又は分枝状であってよい)、あるいはCF
3CH
2OCF
2CHF
2(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AE−3000))など。これらの溶媒は、単独で、又は、2種以上の混合物として用いることができる。なかでも、ヒドロフルオロエーテルが好ましく、パーフルオロブチルメチルエーテル(C
4F
9OCH
3)及び/又はパーフルオロブチルエチルエーテル(C
4F
9OC
2H
5)が特に好ましい。
【0299】
乾燥被覆法を使用する場合、本開示の表面処理剤は、そのまま乾燥被覆法に付してもよく、又は、上記した溶媒で希釈してから乾燥被覆法に付してもよい。
【0300】
表面処理剤の層形成は、層中で本開示の表面処理剤が、加水分解及び脱水縮合のための触媒と共に存在するように実施することが好ましい。簡便には、湿潤被覆法による場合、本開示の表面処理剤を溶媒で希釈した後、基材表面に適用する直前に、本開示の表面処理剤の希釈液に触媒を添加してよい。乾燥被覆法による場合には、触媒添加した本開示の表面処理剤をそのまま蒸着(通常、真空蒸着)処理するか、あるいは鉄や銅などの金属多孔体に、触媒添加した本開示の表面処理剤を含浸させたペレット状物質を用いて蒸着(通常、真空蒸着)処理をしてもよい。
【0301】
触媒には、任意の適切な酸又は塩基を使用できる。酸触媒としては、例えば、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸などを使用できる。また、塩基触媒としては、例えばアンモニア、有機アミン類などを使用できる。
【0302】
上記のようにして、基材の表面に、本開示の表面処理剤に由来する層が形成され、本開示の物品が製造される。これにより得られる上記層は、高い表面滑り性と高い摩擦耐久性の双方を有する。また、上記層は、高い摩擦耐久性に加えて、使用する表面処理剤の組成にもよるが、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、防水性(電子部品等への水の浸入を防止する)、表面滑り性(又は潤滑性、例えば指紋等の汚れの拭き取り性や、指に対する優れた触感)などを有し得、機能性薄膜として好適に利用され得る。
【0303】
すなわち本開示はさらに、上記表面処理層を最外層に有する光学材料にも関する。
【0304】
光学材料としては、後記に例示するようなディスプレイ等に関する光学材料のほか、多種多様な光学材料が好ましく挙げられる:例えば、陰極線管(CRT;例えば、パソコンモニター)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機薄膜ELドットマトリクスディスプレイ、背面投写型ディスプレイ、蛍光表示管(VFD)、電界放出ディスプレイ(FED;Field Emission Display)などのディスプレイ又はそれらのディスプレイの保護板、又はそれらの表面に反射防止膜処理を施したもの。
【0305】
本開示によって得られる層を有する物品は、特に限定されるものではないが、光学部材であり得る。光学部材の例には、次のものが挙げられる:眼鏡などのレンズ;PDP、LCDなどのディスプレイの前面保護板、反射防止板、偏光板、アンチグレア板;携帯電話、携帯情報端末などの機器のタッチパネルシート;ブルーレイ(Blu−ray(登録商標))ディスク、DVDディスク、CD−R、MOなどの光ディスクのディスク面;光ファイバー;時計の表示面など。
【0306】
また、本開示によって得られる層を有する物品は、医療機器又は医療材料であってもよい。
【0307】
上記層の厚さは、特に限定されない。光学部材の場合、上記層の厚さは、1〜50nm、1〜30nm、好ましくは1〜15nmの範囲であることが、光学性能、表面滑り性、摩擦耐久性及び防汚性の点から好ましい。
【0308】
以上、本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を、典型的には表面処理剤として使用して得られる物品について詳述した。なお、本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物又はフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含む組成物の用途、使用方法ないし物品の製造方法などは、上記で例示したものに限定されない。
【実施例】
【0309】
本発明の表面処理剤について、以下の実施例を通じてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において、以下に示される化学式はすべて平均組成を示し、パーフルオロポリエーテルを構成する各繰り返し単位の存在順序は任意である。
【0310】
実施例1
還流冷却器、温度計および撹拌機を取り付けた50mLの4つ口フラスコに、平均組成CH
3OCO−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−COOCH
3で表されるPFPE変性エステル体20g、及び1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン10gを仕込み、窒素気流下、滴下漏斗を用いて1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン0.53mLを加えた後、25℃にて1時間攪拌した。続いて、3−アミノプロピルトリメトキシシラン1.0mLを加えた後、25℃にて1時間攪拌した。その後減圧下で揮発分を留去することにより、下式で表されるPFPE含有シラン化合物(A)を得た。
PFPE含有シラン化合物(A)
(CH
3O)
3Si−CH
2CH
2CH
2−NHCO−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−CONH−R−NHCO−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−CONH−CH
2CH
2CH
2−Si(OCH
3)
3
式中、Rは、下記式で表される基である。
【化26】
なお、一方の末端にCF
3O−を有する化合物が4.8%存在した。また、副生成物として、(CH
3O)
3Si−CH
2CH
2CH
2−NHCO−{CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−CONH−R−NHCO}
n−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−CONH−CH
2CH
2CH
2−Si(OCH
3)
3(nは0又は2)が微量確認された。
【0311】
実施例2
還流冷却器、温度計および撹拌機を取り付けた50mLの4つ口フラスコに、平均組成CH
3OCO−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−COOCH
3で表されるPFPE変性エステル体20g、及び1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン10gを仕込み、窒素気流下、滴下漏斗を用いて4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)0.61gを加えた後、25℃にて1時間攪拌した。続いて、3−アミノプロピルトリメトキシシラン1.0mLを加えた後、25℃にて1時間攪拌した。その後減圧下で揮発分を留去することにより、下式で表されるPFPE含有シラン化合物(B)を得た。
PFPE含有シラン化合物(B)
(CH
3O)
3Si−CH
2CH
2CH
2−NHCO−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−CONH−R−NHCO−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−CONH−CH
2CH
2CH
2−Si(OCH
3)
3
式中、Rは、下記式で表される基である。
【化27】
なお、一方の末端にCF
3O−を有する化合物が4.8%存在した。また、副生成物として、(CH
3O)
3Si−CH
2CH
2CH
2−NHCO−{CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−CONH−R−NHCO}
n−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−CONH−CH
2CH
2CH
2−Si(OCH
3)
3(nは0又は2)が微量確認された。
【0312】
実施例3
還流冷却器、温度計および撹拌機を取り付けた50mLの4つ口フラスコに、平均組成CH
3OCO−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−COOCH
3で表されるPFPE変性エステル体20g、及び1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン10gを仕込み、窒素気流下、滴下漏斗を用いて4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)0.70gを加えた後、25℃にて1時間攪拌した。続いて、3−アミノプロピルトリメトキシシラン1.0mLを加えた後、25℃にて1時間攪拌した。その後減圧下で揮発分を留去することにより、下式で表されるPFPE含有シラン化合物(C)を得た。
PFPE含有シラン化合物(C)
(CH
3O)
3Si−CH
2CH
2CH
2−NHCO−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−CONH−R−NHCO−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−CONH−CH
2CH
2CH
2−Si(OCH
3)
3
式中、Rは、下記式で表される基である。
【化28】
なお、一方の末端にCF
3O−を有する化合物が4.8%存在した。また、副生成物として、(CH
3O)
3Si−CH
2CH
2CH
2−NHCO−{CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−CONH−R−NHCO}
n−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−CONH−CH
2CH
2CH
2−Si(OCH
3)
3(nは0又は2)が微量確認された。
【0313】
比較例1
還流冷却器、温度計および撹拌機を取り付けた50mLの4つ口フラスコに、平均組成CH
3OCO−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−COOCH
3で表されるPFPE変性エステル体20g、及び1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン10gを仕込み、窒素気流下、滴下漏斗を用いてp−キシリレンジアミン0.40gを加えた後、25℃にて1時間攪拌した。続いて、3−アミノプロピルトリメトキシシラン1.0mLを加えた後、25℃にて1時間攪拌した。その後減圧下で揮発分を留去することにより、下式で表されるPFPE含有シラン化合物(D)を得た。
PFPE含有シラン化合物(D)
(CH
3O)
3Si−CH
2CH
2CH
2−NHCO−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−CONH−R−NHCO−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−CONH−CH
2CH
2CH
2−Si(OCH
3)
3
式中、Rは、下記式で表される基である。
【化29】
なお、一方の末端にCF
3O−を有する化合物が4.8%存在した。また、副生成物として、(CH
3O)
3Si−CH
2CH
2CH
2−NHCO−{CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−CONH−R−NHCO}
n−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−CONH−CH
2CH
2CH
2−Si(OCH
3)
3(nは0又は2)が微量確認された。
【0314】
比較例2
還流冷却器、温度計および撹拌機を取り付けた50mLの4つ口フラスコに、平均組成CH
3OCO−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−COOCH
3で表されるPFPE変性エステル体20g、及び1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン10gを仕込み、窒素気流下、滴下漏斗を用いて2,5−ジメチルピペラジン0.33gを加えた後、70℃にて16時間攪拌した。続いて反応溶液を25℃まで冷やし、3−アミノプロピルトリメトキシシラン1.0mLを加えた後、25℃にて1時間攪拌した。その後減圧下で揮発分を留去することにより、下式で表されるPFPE含有シラン化合物(E)を得た。
PFPE含有シラン化合物(E)
(CH
3O)
3Si−CH
2CH
2CH
2−NHCO−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−R−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−CONH−CH
2CH
2CH
2−Si(OCH
3)
3
式中、Rは、下記式で表される基である。
【化30】
なお、一方の末端にCF
3O−を有する化合物が4.8%存在した。また、副生成物として、(CH
3O)
3Si−CH
2CH
2CH
2−NHCO−{CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−R}
n−CF
2−(OCF
2)
29−(OCF
2CF
2)
17−OCF
2−CONH−CH
2CH
2CH
2−Si(OCH
3)
3(nは0又は2)が微量確認された。
【0315】
評価
(表面処理剤の調製)
上記実施例1〜3および比較例1〜2で得たパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を、ノベック7200(スリーエム社製)に溶解させて、濃度20wt%になるように、表面処理剤1〜5を調製した。
【0316】
(表面処理層の形成)
上記で調製した表面処理剤1〜6を、それぞれ化学強化ガラス(コーニング社製、「ゴリラ」ガラス、厚さ0.7mm)上に真空蒸着した。真空蒸着法の条件は、抵抗加熱式蒸着機(シンクロン製)、チャンバーサイズ1,900mmφ、真空度5.0E−05、電流値240A、電圧10V、基材温度40℃であった。次に、蒸着した化学強化ガラスを、温度150℃の雰囲気下で30分静置し、その後室温まで放冷させ、ガラス基材上に表面処理層を形成した。
【0317】
<恒温恒湿暴露後の耐消しゴム摩耗性試験>
上記の通り表面処理したガラスを、40℃/80%RHの環境下で300時間暴露させた。具体的には、いすゞ製作所製、低温恒温恒湿試験機TPAV−210−20を用いて、40℃/80%RHに設定した槽内に、表面処理したガラスを水平配置し、300時間静置させた。その後、ラビングテスター(新東科学社製)を用いて、下記条件で250回擦る毎に耐水接触角を測定し、100°未満となるまで試験を続けた。試験環境条件は40℃、湿度90%RHであった。結果を下記表1に示す。
消しゴム:Raber Eraser(Minoan社製)
接地面積:6mmφ
移動距離(片道):30mm
移動速度:3,600mm/分
荷重:1kg/6mmφ
【0318】
<マジックはじき試験>
上記の通り準備したガラス表面について、マジックのはじき性を確認した。具体的には、マジックで表面処理したガラスに、線太さ1cm×長さ10cmの直線を書き、その後キムワイプを用いて荷重1kgで10回空拭きした後の表面を観察した。拭き取り後、インクが除去されていれば×、インクが一部残っていれば△、インクが完全に残っていれば〇として、評価結果を表1に示す。マジックはZEBRA社製のマッキー極細タイプ油性マーカーを使用した。
【0319】
【表1】