(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アウターレールと中間レールとインナーレールからなるスリーレール型のスライドレールのアウターレールに自動引き込み部材が設置され、インナーレールに自動引き込み部材に係合する係合部が設置され、自動引き込み部材は、主に、アウターレールに固定される本体と、スライドレールのスライド方向に移動可能とされるスライド部材と、スライド部材と組み合わされ、スライド部材と共に移動する係合部材と、スライド部材をスライドレールの収縮方向に付勢する付勢手段で構成され、スライド部材は、係合部材を押圧し引き込み側に移動させるもので、係合部材は、係合体を有し、スライド部材を押圧し付勢力に抗して引き出し側に移動させ、係合体が本体側に設置される係止受部に当接することによりスライド部材を引き出した状態で維持させるもので、かつ、インナーレールの係合部と係合することによりインナーレールを引き込み側に移動させるものであって、係合部は、引き込まれた係合体と係合することによって係合部材を引き出し側に移動させるものであり、該自動引き込み部材と係合部によって自動引き込み装置が構成され、該自動引き込み装置が装備される自動引き込み装置付きスライドレール、係合部材の係合体が、本体側に設けられるスライドレールのスライド方向に長尺に形成され前端で屈曲部を設けたスライド溝内を移動し、かつ、スライド部材内で移動可能に設置され、引き出し方向にスライド移動するスライド端付近で、スライド溝の屈曲部に沿って移動し、該移動に伴って、係合部材の係合体が屈曲部に設定される係止受部と当接し、該当接でスライド部材のスライドレールの収縮方向への移動を阻止することにより、自動引き込み部材の引き込み待機状態を維持し、該引き込み待機状態から、係合体を前記移動方向に対して戻る方向に移動させると、係合体と係止受部との当接が解除されるように構成され、スライド溝長尺部と屈曲部の係止受部間の係合体の移動軌跡上に、係合体の移動防止ストッパー体を該軌跡上から一時的に退避可能に設けたことを特徴とする自動引き込み装置付きスライドレール。
【背景技術】
【0002】
従来、上記自動引き込み装置として数々のものが提供されている。
そして、自動引き込み装置では、引き込み機構に加え、エアーダンパーやオイルダンパーと組み合わせることによって、引き込み動作にブレーキ機能を加えたものが提供されている(例えば特許文献1)。
特許文献1では、引き込みばねによって引き込み方向に付勢され引き込み動作を行うリテーイニングプレート4をエアーダンパー2に直接連結し、リテーイニングプレート4の引き込み移動時には、エアーダンパー2をリテーイニングプレート4で押し込み、ブレーキ作用を発生させ、引き出し時には、リテーイニングプレート4で直接エアーダンパーを伸長させエアーダンパーを復旧させている。
そして、このような自動引き込み装置とアウターレールA、インナーレールBからなるスライドレールが組み合わされて、スライドレールが自動に引き込まれるように構成されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1のような構成では、スライドレールに近接する状態で自動引き込み装置がスライドレールと組み合わされているため、実際に使用する場合には、スライドレールの他、自動引き込み装置を設置する場所を確保する必要があった。
そこで、スライドレールと一体的に組み合わせたブレーキ機能付きの自動引き込み装置が提供されている(例えば特許文献2)。
そして、特許文献2では、アウターレールと中間レールとインナーレールからなるスリーレール型のスライドレールのアウターレールに自動引き込み装置が設置され、自動引き込み装置が、インナーレール側と係合することによって、自動引き込み動作と、引き込み時から引き込まれる前の状態(引き込み待機状態)に復旧させる動作が可能な構成となっている。
【0004】
より具体的にはスライドブロック4が、スライドレールのスライド方向に摺動可能にガイド板3に取り付けられ、スライドブロック4が引っ張り弾性部品6によってスライドレールの引き込み側に付勢され、スライドブロック4が引き出された状態で、スライドブロック4に取り付けられた位置決めロッド42と位置決めロッド42が貫通するスライド溝31の嵌入口32によって、スライドブロック4が引き出された状態で維持されており、インナーレールに設けられた引っ張り部21が位置決めロッド42に係合することによって、位置決めロッド42の前記維持状態が解除され、インナーレールの引っ張り部21と位置決めロッド42が係合状態のままスライドブロック4が前記付勢力によってインナーレールを引き連れながら引き込まれるものである。
【0005】
この時、スライドブロック4が耐圧緩衝器7を押し込みながら移動するため、耐圧緩衝器7の作用によってブレーキがかかりながら引き込まれる。
そして、完全に引き込まれた状態から、インナーレールを引き出すと、引っ張り部21と位置決めロッド42が係合しているので、インナーレールの引き出し動作と連動して、スライドブロック4が引き出される。この時、スライドブロック4と耐圧緩衝器7が連結しているため、スライドブロック4の移動に応じて、耐圧緩衝器7が引き出される。
【0006】
スライドブロック4が設定された軌道端まで移動するとスライドブロック4はそこから移動できなくなり、位置決めロッド42と引っ張り部21の係合負荷が大きくなる。さらにインナーレールを引き出すと前記係合負荷が大きくなり、位置決めロッド42がガイド板3のスライド溝31の溝形状沿ってスライドレールの摺動方向に直行する方向(スライドレールの幅方向)に移動し、位置決めロッド42と引っ張り部21の係合状態が解除される。
そして、位置決めロッド42は、スライド溝31の嵌入口32に入り込み、スライドブロック4が引っ張り弾性部品6の付勢によって引き込み側に移動することを阻止している。
このようにして、引き込み待機状態に復旧する。
引き込み待機状態では、位置決めロッド42が嵌入口32に入り込み、位置決めロッド42が、嵌入口32の引き込み側の側面に引っ張り弾性部品6の付勢力によって押接し、押接摩擦力によって、位置決めロッド42が移動しないようになっている。
【0007】
このように、引き込み装置は、アウターレール側とインナーレール側の部品によって作動するように構成されているが、スリーレール型のスライドレールの場合、中間レールがあり、スリーレール型のスライドレールの特性上、レールの収縮過程において、中間レールは、アウターレールとインナーレールのスライド移動に対して、常に同じ移動量とはならないため、前記のように、アウターレール側の位置決めロッド42と、インナーレール側の引っ張り部21が係合する前に、中間レールが先に引き込み側に移動し、中間レール収縮方向の先端面がガイド板3の前面に衝突することがある。
【0008】
しかしながら、引き込み待機状態では、位置決めロッド42が嵌入口32に入り込み、位置決めロッド42の押接摩擦力によってのみ、位置決めロッド42が移動しないようになっているため、引き込み待機状態の引き込み装置のガイド板3に中間レールが衝突すると、衝突時の振動で、位置決めロッド42が、嵌入口32から外れ、引き込み動作が開始することがあり、引き込み装置の動作の安定性に問題があった。
【実施例】
【0017】
以下、第1実施例を添付図面に基づいて詳述する。
尚、
図1における左側斜め下方向を引き込み側、あるいは後側、右側斜め上方向を引き出し側、あるいは前側とし、引き出し側の両方向をスライド方向、あるいは前後方向として説明する。また、
図4における上下方向を上下方向として説明する。
図1〜
図4において、符号1はアウターレールを示し、符号2はインナーレールを示し、符号3は中間レールを示し、符号4はアウターレール1のボール保持板を示し、符号5はインナーレール2のボール保持板を示し、アウターレール1、インナーレール2、中間レール3、ボール保持板4、ボール保持板5に回転自在に保持されたボール400・・・、500・・・にて、スライドレール100が構成されている。
符号7は、アウターレール1の引き込み側端部内面に設けられた自動引き込み部材を示し、符号8は、自動引き込み部材7に対応して、インナーレール2の引き込み側内面に設けられた係合体を示している。
【0018】
アウターレール1は、金属製の細長条板の短手両端部を内向き円弧状に折り曲げた内面長手方向にボール案内溝を有する上下折曲縁11、11と、家具等の本体側(固定体)と連結される基板12より略チャンネル型に形成されている。
そして、アウターレール1の基板12の引き出し側端部をインナーレール2方向に折り曲げてボール保持板4の引き出し側端部が当接する固定側移動時ストッパー(図示せず。)が形成される。
このように形成されたアウターレール1の引き込み側端部付近に自動引き込み部材7が取り付けられる。
【0019】
中間レール3は、上記アウターレール1に挿入可能な大きさでアウターレール1より、後述する自動引き込み部材7の引き出し側端から、アウターレール1の引き出し側端までの長さで、基板30と上下折曲縁31、31よりアウターレール1と同方向の略チャンネル型に形成され、上下折曲縁31、31の外面に、摺動方向に渡って前記ボール400・・・が転動する外面側ボール摺動溝を有し、上下折曲縁31、31の内面に、摺動方向に渡ってボール500・・・が転動する内面側ボール摺動溝を有している。
そして、基板30の引き込み側の上下端部には、中間レール3の最大引出し時に、前記アウターレール1のリテーナー前ストッパー(図示せず。)に引き出し側端部が当接したボール保持板4の引き込み側端部に当接して、中間レール3の最大引き出し量を規制するボール保持板後ストッパー(図示せず。)が形成され、基板30の引き出し側端部内面に、インナーレール2が最大伸長状態となった時、ボール保持板5の引き出し側端部が当接するとともに、インナーレール2が引き込まれ最短収縮状態となった時、インナーレール2の引き出し側端部に形成されたインナーレール前端ストッパー(図示せず。)が当接する前ストッパー部材(図示せず。)が着脱自在に設けられている。
【0020】
複数個のボール400・・・は、合成樹脂材から成形された長尺平板状のボール保持板4に回転自在に保持され、ボール保持板4はアウターレール1のほぼ3分の1程度の長さに形成されている。
【0021】
インナーレール2は、アウターレール1とほぼ同長に形成され、ボール保持板5に保持されたボール500・・・を介して中間レール3に摺動自在な大きさで、金属製の細条板の短手両端部を外向き円弧状に折り曲げて形成され、外面長手方向にボール500・・・のボ−ル摺動溝を有する上下折曲縁21、21と基板20より断面略C字型に形成されている。
そして、基板20には、インナーレール2の最大伸長時に、前記中間レール3の前ストッパー部材に当接して、インナーレール2の最大伸長量を規制する後ストッパー部材(図示せず。)が設けられている。
このように形成されたインナーレール2の基板20のアウターレール側面の引き込み側に係合体8が取り付けられる。
【0022】
ボール保持板5は、帯状金属板にて中間レール3の半分程度の長さとし、前記中間レール3とインナーレール2の基板30、20間に挿入可能な大きさのコ字形基板50と、コ字形基板50の上下両端部よりL字形に突出し、中間レール3とインナーレール2の各上下折曲縁31、31、21、21間に位置する上下突出縁51、51より断面略コ字形に形成され、上下突出縁51、51の摺動方向に複数個のボール500・・・を回転自在に保持している。
【0023】
スライドレール100は、上記の如く構成され、アウターレール1に対する中間レール3の引き出し(伸長)方向への摺動、中間レール3に対するインナーレール2の引き出し(伸長)方向への摺動は次のようになる。
中間レール3がアウターレール1に対し引き出し方向に摺動すると、同時に、ボール保持板4も中間レール3の移動量の半分の移動量をもって引き出し側に移動し、やがて、ボール保持板4の引き出し側端部はアウターレール1のリテーナー前ストッパー(図示せず。)に当接して停止し、同時に、中間レール3のボール保持板後端ストッパー(図示せず。)がボール保持板前ストッパー(図示せず。)に当接したボール保持板4の引き込み側端部に当接して停止する。
【0024】
そして、中間レール3に対しインナーレール2が引き出し方向に摺動すると、ボール保持板5もインナーレール2の移動量の半分の移動量をもって引き出し方向に移動し、やがて、ボール保持板5の引き出し側端部が中間レール3の前ストッパー部材の引き込み側端部に当接して停止し、同時にボール保持板5の引き込み側端部に、インナーレール2の後ストッパー部材が当接してインナーレール2が停止する。
【0025】
一方、アウターレール1に対する中間レール3の引き込み(収縮)方向への摺動、中間レール3に対するインナーレール2の引き込み(収縮)方向への摺動は次のようになる。中間レール3がアウターレール1に対し収縮方向に摺動すると、同時に固定側ボールリテーナー3も中間レール3の移動量の半分の移動量をもって収縮方向に移動し、やがて、中間レール3の引き込み側端部が、自動引き込み部材の前面に衝突し、中間レール3の摺動が停止する。
【0026】
一方、中間レール3に対しインナーレール2が引き込み側に摺動すると、ボール保持板5もインナーレール2の移動量の半分の移動量をもって収縮方向に移動し、やがて、インナーレール2の引き込み側に設けられた係合体8の係合部81が、アウターレール1に取り付けられた自動引き込み部材7に連係し、インナーレール2が自動的に引き込み側に引き込まれ、スライドレール100の最短引き込み(収縮)状態となる。
【0027】
自動引き込み装置の自動引き込み部材7は、
図5、
図6に示すように、本体70と、本体70にスライド移動可能に取り付けられるスライド部材71と、本体70に対してスライスライド部材71と共にスライド移動する係合部材72と、スライド部材71を引き込み側に付勢する付勢装置である引っ張りコイルばね73、73と、スライド部材71の引き込み方向の移動時にスピード調整を行う緩衝器74で構成される。
【0028】
本体70は、合成樹脂によって一体成型されているものであって、
図1、
図5に示すように、主に、アウターレール1に取り付けられた状態で、アウターレール1の上下折曲縁11、11間に収容される厚み、高さでスライド方向に長い長方形に形成され、本体70の上下折曲縁11、11に内面に接触する固定片70a・・・が複数個突設形成されている。
【0029】
本体70のアウターレール1の基板12側である裏側の引き込み側寄りには、緩衝器74が収容されるU字状の凹溝でスライド方向に延伸したブレーキ取り付け部701が形成され、ブレーキ取り付け部701の前方側にはスライド部材71が前後方向にスライド可能な、スライド部702が凹設形成され、スライド部702の上下端には、スライド方向に長いスライド軌条702a、702aが突設され、さらに、係合部材72が前後方向にスライド可能なスライド案内部703がスライド部702の底面(インナーレール側)からインナーレール側に向かって凹設形成される。
そして、スライド案内部703の凹設の底面(インナーレール側)には、係合部材72に突設される係合体722が案内されるスライド溝704が、インナーレール側に貫通して設けられている。
同じく本体70の裏側の前後方向全体に、引っ張りコイルばね73が伸縮自在に収容されるコイルばね収容部705、705が、ブレーキ取り付け部701を挟んでスライド方向に平行して対向に形成され、コイルばね収容部705の中間の所定の位置に、引っ張りコイルばね73を引き込み側で連結するバネ掛かり705aが突設されている。
【0030】
スライド溝704は、スライド方向に延伸する直線部704aの引き出し側端でアウターレール1の上下折曲縁11側(
図12における下側)に屈曲する屈曲部704bでL字状に形成され、
図12に示すように、屈曲部704bの引き込み側の垂直面が係止受部704cとされる。
そして、スライド溝704の引き込み側には、弾性変形可能な案内片704eが直線部704aと連続するように設けられる。
案内片704eは、後述する係合部材72のリセットを可能とするためのものである。
【0031】
そして、
図9に示すように、屈曲部704bの屈曲先端の引き出し側角部からスライド溝704の直線部704aと屈曲部704bで形成される角部に向かって傾斜する移動防止ストッパー体704fが形成される。
移動防止ストッパー体704fは、本体70に合成樹脂にて一体成型されているもので、合成樹脂の弾性力により弾性変形可能に形成されており、スライド溝704の屈曲部704bの曲げ方向と反対側の面にまで届く長さで延伸しており、屈曲部704bの屈曲先端の引き出し側角部が本体70と連設し、該延伸端ではどこにも連設していないので、
図8に示すように連設部を基点として延伸端側が加重によって弾性変形する。
そして、直線部704aが屈曲部704bと連接するL字状の外側の角から外側に向かって、移動防止ストッパー体704fを弾性変形可能にするための切り欠きの退避部704gが設けられている。
【0032】
また、移動防止ストッパー体704fは、通常時には、後述するスライド溝704内を移動する係合部材72の係合体722の移動軌跡上に一部が位置するように形成されている。
【0033】
スライド部材71は、合成樹脂によって一体成型されているものであって、
図7に示すように、本体70のスライド部702内に収まる高さに形成される基体部711と、基体部711の上下端から上下方向に延出する腕部712、712と、基体部711と腕部712の連設部に設けられる摺動溝713、713と、腕部712に設けられるバネ掛かり714、714と、基体部711に設けられる縦長小判形の貫通孔の保持孔715が形成されている。
【0034】
係合部材72は、
図5に示すように合成樹脂によって一体成型されているものであって、スライド案内部703を移動可能な大きさのブロック状のベース体721と、ベース体721からスライド溝704側に突出する円柱状の係合体722と、係合体722の対向側に突出する円柱状の保持体723と、保持体723と離間して保持体723と同じ方向に突出する保持片724と、ベース体721の保持片724側に引き込み側に開口する支持溝孔725が形成されている。
【0035】
引っ張りコイルばね73は、引っ張り側に付勢力が働くコイル状のばねで両端部にリング状の引っ掛け部731、731が設けられている。
【0036】
緩衝器74は、シリンダー741とピストンロッド742とピストンからなり、シリンダー741内にオイルが封入され、オイルの粘度を利用するオイルダンパーであって、広く知られているものである。実施例における緩衝器74は、シリンダー741内にコイルバネを備え、ピストンロッド742を常に伸張側に押し出す方向に付勢しているものであって、外力により、ピストンロッド742が縮んでも、外力がなくなると該付勢力によりピストンロッド742はもとの状態に伸びるように施されている。
【0037】
このように構成される自動引き込み部材7の各部材は次のように組み立てられる。
まず本体70の裏側の底板部701のブレーキ取り付け部701に緩衝器74のシリンダー741部を挿入する。この時、ピストンロッド742は、ブレーキ取り付け部701の引き出し側端面に設けられた貫通孔に通されてスライド部702上に位置することとなる。
そして、ピストンロッド742の引き出し側の先端に、係合部材72の支持溝孔725を差し込み、係合部材72の係合体722をスライド溝704の屈曲部704bに挿入する。
係合体722は、スライド溝704から突出する高さに形成されており、該突出部が、後述する係合体8と係合する。
この状態では、緩衝器74のコイルバネの付勢力によって、係合部材72は引き出し側に押されていることとなる。
【0038】
次に、本体70のバネ掛かり705aに引っ張りコイルばね73の一方側の引っ掛け部731を引っ掛け、他方側の引っ掛け部731をスライド部材71のバネ掛かり714に引っ掛ける。
そして、引っ張りコイルばね73の付勢力に抗しながらスライド部材71を引き、係合部材72の保持体723に、保持孔715を、スライド軌条702a、702aに摺動溝713、713を挿入し、自動引き込み部材7の各部材は組み付けられる。
スライド部材71は、引っ張りコイルばね73の付勢力で、該挿入状態から外れようとするので、スライド部材71を指などで押さえながら、アウターレール1の引き込み側端面部より自動引き込み部材7を引き出し側から挿入していく。
挿入すると、スライド部材71は、スライド部702とアウターレール1の基板12間に入るので、スライド部材71が外れようとするとスライド部702、基板12のいずれかに接触することとなり、スライド部材71は外れない。
【0039】
そして、自動引き込み部材7を所定の位置まで挿入すると、本体70の裏面に突設される固定突部70bと基板12に設けられる固定孔121が嵌合し、自動引き込み部材7は外れないようになる。このように自動引き込み部材7は組み立てられ、自動引き込み部材7は、固定片70a・・・をアウターレール1の上下折曲縁11、11間に圧入し、アウターレール1から容易に外れないように引き込み側端部に取り付けられる。
【0040】
この状態で、スライド部材71の保持孔715に係合部材72の保持体723が挿入されているから、スライド部材71が引っ張りコイルばね73によって引き込まれると係合体722も保持孔715を介して引き込まれるが、
係合部材72の係合体722が、スライド溝704の屈曲部704bにあるので、引っ張りコイルばね73引き込み力によって、係合体722が屈曲部704b引き込み側面の係止受部704cに押圧され、係合体722の移動が阻止される。この状態が引き込み待機状態である。
そのため、緩衝器74のコイルバネの付勢力は引っ張りコイルばね73、73の付勢力より弱く設定されている。
【0041】
係合体722を屈曲部704bから直線部704aに押し上げると移動防止ストッパー体704fが係合体722の移動軌跡上にあるので、係合体722は屈曲部704b移動できず、引き込み待機状態が維持される。
そして、移動防止ストッパー体704fは弾性変形可能で、係合体722の移動軌跡上から退避可能とされているから、係合体722に、移動防止ストッパー体704fを係合体722の移動軌跡上から退避させる力を加えながら係合体722を屈曲部704bから直線部704aに押し上げると、引き込み待機状態が解除され、スライド部材71、係合部材72は、引っ張りコイルばね73の付勢力によって、かつ、緩衝器74により速度調整されながら引き込まれていく。
【0042】
次に係合体8について詳述する。
係合体8は、
図7に示されるが、便宜的に
図7の正面図における上下方向をそのままの上下方向と云う。
係合体8は、合成樹脂によって一体成型されているものであって、インナーレール2の基板20に沿うように平板状に形成される基体80と、基体80の上下面から突出する嵌合片80a、80aと、基体80の裏面(基板20側)から突出する固定片80bと、基体80の一部を切り欠かれたように形成された係合部81が形成される。
【0043】
係合部81は、スライド部材71の係合体722と係合する部分であり、
図7の正面図左側が引き込み側であって、
図7の正面図における基板20の左下角部から切り欠かれるように形成され、係合部81の引き出し側に係合体722を上下方向に案内し移動させるための解除案内部811が引き込み側から引き出し側方向に斜め上方に向かって傾斜して形成され、解除案内部811の傾斜上方端から引き込み側に離間して下方に向かって山形に突出する係合片812が形成され、係合片812から引き込み側に離間して下方に向かって山形に突出する予備係合片813が形成される。
そして、係合片812、予備係合片813の引き出し側側面は、それぞれ係合保持部812a、813aとされ、引き込み側側面は、それぞれリセット案内部812b、リセット案内部813bとされる。
【0044】
そして、係合体8は、インナーレール2の基板20と上下折曲縁21で形成される角部に嵌合片80a、80aを嵌合させ、インナーレール2の基板20に設けられた保持孔20aに、固定片80bを挿入し、インナーレール2に取り付けられる。
【0045】
このように、自動引き込み部材7と係合体8からなる自動引き込み装置が取り付けられたスライドレール100の自動引き込み機能について説明する。
インナーレール2がアウターレール1から引き出された状態(
図1、
図9に示す状態。)のスライドレール100で、自動引き込み部材7は引き込み待機状態にある。
そして、引き込み待機状態で、インナーレール2が引き込み側にスライド移動し、スライドレール100の引き込み(収縮)が開始されると、インナーレール2に合わせて中間レール3が引き込み側にスライド移動する。
この時、スライドレール100への荷重などの条件によるスライドレール100の動きによって、中間レール3の引き込み側端面が、本体70に衝突することがある。
【0046】
中間レール3が本体70に衝突すると、屈曲部704b引き込み側面の係止受部704cに押圧された係合体722がこの衝撃の振動で、外れようとすることがあるが、前述のとおり、移動防止ストッパー体704fが係合体722の移動軌跡上にあるので、係合体722は屈曲部704bから移動できず、引き込み待機状態が維持される。
【0047】
さらに、引き出されたインナーレール2が収納されていくと、インナーレール2の係合部81に、係合体722が入っていき、係合部81の解除案内部811に係合体722が接触する(
図12(a)の状態)。
係合部81の解除案内部811に係合体722が接触すると、解除案内部811の傾斜に沿って係合体722が上方に移動していく。
該移動していく過程において、インナーレール2に加えられえている引き込み力によって係合体722が移動防止ストッパー体704fを押圧し、移動防止ストッパー体704fを弾性変形させながら係合体722の移動軌跡上から退避させる(
図12(b)の状態)。
そして、係合体722が屈曲部704bから直線部704aに押し上がると、引き込み待機状態が解除され、係合体722が直線部704aを引き込み側に移動できるので、スライド部材71、係合部材72は、引っ張りコイルばね73の付勢力によって、かつ、緩衝器74により速度調整されながら引き込まれていく(
図12(c)の状態)。
【0048】
係合部材72が引き込まれると、係合体722が係合保持部812aに当接し、インナーレール2を引き込んでいき、スライド部材71がスライド案内部703を移動し、もっとも引き込んだ位置で停止するとスライドレール100は最収縮状態となる。
【0049】
次に、この状態から、インナーレール2が引き出されると、係合保持部812aに係合体722が当接しているので(
図11に示す状態。)、係合部材72は、係合保持部812aに押し出されながらスライド溝704内を引き出し側に移動する。この時、係合部材72の保持体723が、スライド部材71の保持孔715に挿入されているので、スライド部材71は、係合部材72に引き出されるように引っ張りコイルばね73の付勢力に抗して引っ張りコイルばね73を伸ばしながらスライド軌条702aに沿って引き出し側に移動する。
この時、緩衝器74のピストンロッド742は、内蔵されるコイルバネによって伸長していく。
尚、係合部材72の保持片724は、アウターレール1の基板12に接触し、ピストンロッド742の押圧力によって傾かないようにするための振れ止めである。
また、緩衝器74は、コイルバネを内蔵せずにピストンロッド742の先端を係合部材72と連結し、ピストンロッド742を係合部材72のスライド移動によって伸長、収縮させてもよい。
【0050】
そして、そのままインナーレール2が引き出されると係合体722が移動防止ストッパー体704fに当接し、インナーレール2に加わる引き出し力で、移動防止ストッパー体704fを弾性変形させ、係合体722の移動軌跡上から退避させる。
そして、係合体722は、移動防止ストッパー体704fの傾斜面に案内されるように屈曲部704bに移動する。
係合体722が屈曲部704bに移動すると、係合体722が係合保持部812aより下方に移動するので、係合体722と係合体8との係合が外れ、インナーレール2はそのまま引き出され、係合体722は屈曲部704bに移動し引き込み待機状態となる。
【0051】
自動引き込み装置の引き込み待機状態で、例えば、引き出しの収納動作の途中で、係合体722の待機状態が解除された瞬間に引き出しを引き出して係合体722と係合体8の係合が外れた場合や、引き込み待機状態の係合体722に直接触れた場合などで引き込み待機状態が解除され、自動引き込み部材7が引き込まれてしまった場合、この状態でスライドレール100を収縮させると、引き込まれた状態の係合部材72の係合体722にインナーレール2の係合部81の予備係合片813のリセット案内部813bが接触する。予備係合片813は下向きに山形に形成されるから、リセット案内部813bは、下向きに傾斜しているので、インナーレール2をさらに収縮させると係合体722はリセット案内部813bに沿って下方に移動していく。
【0052】
そして、係合体722は、スライド溝704の引き込み側の案内片704eを弾性変形させ押し下げながら予備係合片813を乗り越える。
係合体722が予備係合片813を乗り越えると、係合体722は、案内片704eの弾性力により押し上げられ、係合片812と予備係合片813の間に入り込む。
この状態で、インナーレール2を引き出すと、予備係合片813の係合保持部813aが係合体722に当接するので、インナーレール2は、係合体722を引き出しながら引き出され、自動引き込み部材7は復旧する。
【0053】
本実施例では、アウターレール1が固定され、インナーレール2、中間レール3がスライド移動するもので記載しているが、このようなスライドレール100の場合、インナーレール2を固定し、中間レール3、アウターレール1がスライド移動する使い方もできるので、本実施例の自動引き込み装置が取り付けられたスライドレール100も同様な使い方ができる。当然ながらインナーレール2を固定する方法であっても、自動引き込み装置は同じ構成で機能する。
【0054】
本発明の自動引き込み装置は、実施例では、スリーレールのスライドレール100と組み合わされているが、アウターレールとインナーレールからなるツーレールのスライドレールへの使用も可能である。