(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
待機位置と測定位置との間で試料を移動させる移動機構と、1次X線を前記試料に照射するX線源と、入射する蛍光X線の強度を測定する検出器と、前記移動機構及び前記X線源の動作を制御する第1制御部と、を有する測定部と、
前記検出器が測定した前記蛍光X線の強度に基づいて前記試料の分析を行う分析部と、前記第1制御部と通信を行い、前記測定部を制御する第2制御部と、を有する情報処理部と、
を有し、
前記第1制御部は、前記第1制御部と前記第2制御部との通信が途切れた場合に、前記移動機構に対して、前記測定位置にある前記試料を前記待機位置に退避させる退避制御を行う退避手段を有する、
ことを特徴とする蛍光X線分析装置。
前記第1制御部は、前記通信が途切れた場合に、前記X線源から照射される前記1次X線を切断する切断制御を行う切断手段を有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光X線分析装置。
待機位置と測定位置との間で試料を移動させる移動機構と、1次X線を前記試料に照射するX線源と、入射する蛍光X線の強度を測定する検出器と、前記移動機構及び前記X線源の動作を制御する第1制御部と、を有する測定部と、
前記検出器が測定した前記蛍光X線の強度に基づいて前記試料の分析を行う分析部と、前記第1制御部と通信を行い、前記測定部を制御する第2制御部と、を有する情報処理部と、
を有する蛍光X線分析装置の制御方法であって、
前記第1制御部と前記第2制御部との通信が途切れたか否か確認するステップと、
前記通信の切断が確認された場合に、前記移動機構に対して、前記測定位置にある前記試料を前記待機位置に退避させる退避制御を行うステップと、
を有することを特徴とする蛍光X線分析装置の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。また、本実施形態は、主な例として、蛍光X線分析装置200が波長分散型蛍光X線分析装置である場合について説明しているが、蛍光X線分析装置200は、エネルギー分散型蛍光X線分析装置であってもよい。
【0015】
本発明の実施形態に係る蛍光X線分析装置200は、測定部100と情報処理部202を有する。
図1は、測定部100の一例の概略を示す図であって、
図2は、蛍光X線分析装置200の一例の概略を示す図である。
図1には、試料132の下面に1次X線が照射される下面照射型の蛍光X線分析装置200に含まれる測定部100を示している。
【0016】
図1に示すように、測定部100は、待機室102と、予備排気室104と、試料室106と、分光室110と、の各区画を有する。待機室102と予備排気室104の間、及び、予備排気室104と試料室106の間には、シャッターが設けられ、シャッターが閉じられているときに気体の漏れがないように密閉される。試料室106と分光室110の間にX線を透過する隔壁を設け、分光室110が密閉される構成としてもよい。また、測定部100は、移動機構と、X線源118と、ソーラスリット120と、分光素子122と、検出器124と、計数器126と、第1制御部128と、センサ130と、を有する。
【0017】
移動機構は、待機位置と測定位置との間で試料132を移動させる。試料132は試料ホルダに入れて移動及び測定が行われてもよい。具体的には、例えば、移動機構は、予備排気室104に配置されたロボットアーム112と、試料室106に配置されたターレット114及びリフト116、各構成を動作させるコントローラ(図示なし)を含んで構成される。
【0018】
コントローラは、第1制御部128の指示に応じて、ロボットアーム112、ターレット114及びリフト116の動作を制御する。また、コントローラは、ロボットアーム112、ターレット114及びリフト116の動作に異常が生じた場合や移動が正常に完了した場合、その旨を表す信号を第1制御部128に送信する。ロボットアーム112は、ユーザが待機室102の待機位置に配置した試料132を、待機室102と予備排気室104との間で移動させる。ターレット114は、例えば略円形状であって、試料132が格納される穴を有する。ターレット114が回転することによって、試料132は、予備排気室104の直下と、測定位置と、の間を移動する。リフト116は、試料132を上下に移動させる。ターレット114とリフト116により、試料132は、予備排気室104と測定位置との間で移動する。これにより、移動機構は、待機位置と測定位置との間で試料132を移動させる。なお、ロボットアーム112は、試料132を上側から掴むチャック機構を有する構成であってもよい。
【0019】
なお、待機位置は、待機室102に設けられた試料132を格納するスペースである。待機位置は、待機室102の内部に、1個設けられてもよいし複数個設けられてもよい。また、測定位置は、試料132に対して1次X線が照射される位置である。測定環境は、例えば10
−4Pa以下の真空状態であってもよいし、大気状態やHeが導入された状態であってもよい。
【0020】
また、
図1に示すような下面照射型の蛍光X線分析装置で、液体や粉体を点滴乾燥やプレス加工等の前処理をせずにそのまま測定する場合、例えば、下面にフィルムが張られた円筒状の試料ホルダに入れて測定する。
【0021】
なお、以下において、測定する液体や粉体等の測定対象だけでなく、当該液体及び粉体を入れた試料ホルダも含めたものも試料132と呼ぶこととする。当該フィルムは、X線を効率よく透過させるため、非常に薄い樹脂製のものを用いる。
【0022】
X線源118は、1次X線を試料132に照射する。X線源118は、1次X線の出射口と測定位置の間にX線シャッターを有する構成でもよい。X線シャッターは、1次X線を透過しない材質で形成され、切断手段304の指示に応じて開閉する。X線シャッターが閉じている場合、生成された1次X線は試料132に照射されない。
【0023】
ソーラスリット120は、発生した蛍光X線を平行線束とし、分光素子122に入射する蛍光X線の角度を制限する。
【0024】
分光素子122は、蛍光X線を分光する。具体的には、例えば、分光素子122は、試料132から発生した複数の波長の蛍光X線のうち、ブラッグの条件式を満たす特定の波長の蛍光X線を分光する。
【0025】
検出器124は、入射する蛍光X線の強度を測定する。具体的には、例えば、検出器124は、従来から知られている比例計数管や、シンチレーション計数管等である。検出器124及び分光素子122は、図示しない走査機構(例えば、ゴニオメータ)によって、駆動される。走査機構は、蛍光X線が分光素子122に入射する入射角度を変更するとともに、分光された蛍光X線が出射された方向に検出器124を移動させる。検出器124は、蛍光X線のピークが観測されるピーク角度を含む角度範囲で蛍光X線の強度を測定する。
【0026】
計数器126は、検出器124の測定強度として出力されるパルス信号を波高値に応じて計数し、蛍光X線強度として制御部に出力する。
【0027】
センサ130は、待機位置に試料132が存在するか否かを検出し、検出したセンサ信号を第1制御部128に送信する。具体的には、例えば、センサ130は、待機室102に配置され、待機位置に試料132が存在するか否かを検出する赤外線センサである。センサ130は、検出したセンサ信号を第1制御部128に送信する。
【0028】
第1制御部128は、測定部100に含まれる各構成の動作を制御する。具体的には、例えば、第1制御部128は、マイクロコントローラ、ROM等が搭載された制御用の基板である。制御用の基板は、マイクロコントローラに代えてFPGAが搭載されていてもよい。第1制御部128は、ROMに記憶されたファームウェアをマイクロコントローラが読み出して動作する。
【0029】
第1制御部128は、測定部100の各部(移動機構、X線源118、検出器124等)に対して指示を行うことにより、測定部100の各部(移動機構、X線源118、検出器124等)の動作を制御する。また、第1制御部128は、各部に異常が生じた場合には、当該異常が生じた部分からエラー信号を受信する。例えば、X線源118の管球に異常な電流が流れた場合にX線源118からエラー信号を受信し、シャッターが正常に開かないため移動機構が正常に動作しない場合には、移動機構からエラー信号を受信する。
【0030】
第1制御部128は、
図3に示すように、退避手段302、切断手段304、排出手段306及び導入手段308を有する。具体的には、退避手段302は、第1制御部128と第2制御部204との通信が途切れた場合に、移動機構に対して、測定位置にある試料132を待機位置に退避させる退避制御を行う。切断手段304は、通信が途切れた場合に、X線源118から照射される1次X線を切断する切断制御を行う。排出手段306は、試料132の測定を行う試料室106の大気を排出し、測定位置を測定環境下に置く排出制御を行う。導入手段308は、通信が途切れた場合に、試料室106に大気を導入する導入制御を行う。
【0031】
第1制御部128が有する各手段は、例えば、第1制御部128に含まれるROMに記憶されたファームウェアがマイクロコントローラによって実行されることで実現される。なお、第1制御部128は、退避手段302、切断手段304、排出手段306及び導入手段308の一部を有しなくてもよい。各手段の詳細については後述する。
【0032】
情報処理部202は、第2制御部204と、分析部206と、表示部208と、入力部210と、通信部212と、記憶部214と、を有する。情報処理部202は、例えば、パーソナルコンピュータであって、測定部100との間で通信を行う。
【0033】
第2制御部204は、第1制御部128と通信を行い、測定部100を制御する。また、第2制御部204は、第1制御部128に対して、所定の時間間隔で通信が正常に行われているか否かの確認に用いる確認信号を送信する。具体的には、例えば、第2制御部204は、CPU(Central Processing Unit)であって、記憶部214から読み出された試料132の分析に係るアプリケーションを実行する。
【0034】
この際、第2制御部204は、通信部212を介して第1制御部128との間で信号やデータの送受信を行う。第2制御部204が第1制御部128に送信する信号には、通信が正常に行われているか否かの確認に用いる確認信号が含まれる。第2制御部204は、確認信号を、所定の時間間隔(例えば5分間隔)で第1制御部128に送信する。
【0035】
分析部206は、検出器124が測定した蛍光X線の強度に基づいて試料132の分析を行う。具体的には、分析部206は、検出器124が測定した蛍光X線の強度に基づいて、既知の分析法により試料132に含まれる元素を分析する。
【0036】
表示部208は、例えば、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)であって、分析結果等を表示する。入力部210は、キーボードやマウスであって、ユーザの入力を受け付ける。通信部212は、ネットワークインタフェースまたはUSBポート等の通信インタフェースであって、有線または無線通信により、測定部100と通信を行う。記憶部214は、RAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)であって、分析に係るアプリケーションや情報処理部202が動作するために必要なプログラムを記憶する。情報処理部202に含まれる各部は、データバス216により相互に電気信号のやり取りができるよう接続されている。なお、ここで示した情報処理部202のハードウェア構成は一例であり、これ以外の構成のものであってもよい。
【0037】
続いて、本実施形態に係る蛍光X線分析装置200の制御方法、及び、第1制御部128が有する各手段の詳細について説明する。
図4は、本実施形態に係る蛍光X線分析装置200の制御方法を示すフローチャートである。本フローが開始される前に、分析対象である試料132が待機位置に配置された状態であるとする。また、測定部100は、待機室102に複数の待機位置を有し、測定部100の内部に複数の試料132が同時に存在してもよいように構成されているものとする。
【0038】
まず、センサ130は、待機位置に試料132が存在するか否かを検出し、検出したセンサ信号を第1制御部128に送信する(S402)。
【0039】
次に、試料132を測定位置に移動し、測定部100は測定を開始する(S404)。具体的には、待機位置に存在する試料132は、ロボットアーム112によって、大気に開放された予備排気室104に移動される。その後、予備排気室104と待機室102の間のシャッターが閉じられる。排出手段306は、予備排気室104の大気を排出するようにポンプ(図示なし)に指示を送信する。これにより、予備排気室104の大気が排出される。ポンプによって予備排気室104が真空状態になったのち、予備排気室104に存在する試料132は、リフト116により、試料室106に配置されたターレット114の穴に移動される。次に、ターレット114が回転することにより、試料132は測定位置に移動される。さらに、X線源118は、測定位置に配置された試料132に1次X線を照射する。1次X線が照射された試料132から蛍光X線が発生するため、検出器124は、蛍光X線の強度の測定を開始する。
【0040】
なお、測定を行う前に、第1制御部128は、試料室106にHeを導入する制御を行い、He雰囲気下で測定が行われるようにしてもよい。具体的には、例えば、導入手段308は、試料室106が真空状態になった後に試料室にHeを導入してもよいし、排出手段306が大気を排出すると同時に試料室106にHeを導入してもよい。また、導入手段308は、測定時に試料132近辺(例えば、1次X線の光路)にHeを吹き付けてもよい(いわゆる、Heフラッシュ)。さらに、大気環境下で測定が行われる場合には、排出手段306は排出制御を行わない。
【0041】
次に、所定時間が経過する(S406)と、第1制御部128は、確認信号を受信したか否かを判定する(S408)。具体的には、例えば、第1制御部128は、5分ごとに第2制御部204が送信する確認信号を受信したか否かを判定する。第1制御部128は、5分ごとに確認信号を受信したか否かを判定し、受信した場合(S408のY)、通信状態が正常であると判定し、S406へ戻る。一方、第1制御部128は、確認信号を受信しなかった場合(S408のN)、通信状態に異常が生じていると判定し、S410へ進む。なお、第2制御部204が確認信号を送信する時間の間隔と、S406の所定時間は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0042】
なお、確認信号は、情報処理部202の状態が正常であるか異常であるかを表す情報を含んでいてもよい。この場合、確認信号に含まれる情報が、情報処理部202が正常であることを表す場合、S408からS406へ戻り、確認信号に含まれる情報が、情報処理部202が異常であることを表す場合、S408からS410へ進んでもよい。
【0043】
S406及びS408のステップは、通信状態が正常である限り繰り返し実行される。すなわち、通信状態に異常が生じたと第1制御部128が判定した場合に、S410のステップが実行される。通信状態に異常が生じた場合、第1制御部128は、第2制御部204から新たな指示を取得できない状態となる場合がある。この場合、試料132に対して1次X線が照射され続ける状態が生じるおそれがある。試料132に1次X線が照射され続けると、バルク状の試料132に焼き付きが生じたり、液体や粉体の試料132が飛散したりするおそれがある。そこで、第1制御部128は、確認信号を所定の時間継続して受信しない場合に、退避制御、切断制御、または導入制御を行う。
【0044】
S410では、退避制御、切断制御または導入制御のうち、ユーザによって予め設定された制御が優先して行われる。また、S410において、退避制御、切断制御または導入制御のうち、ユーザが選択した制御が行われてもよい。
【0045】
図5及び
図6は、退避制御を表すフローチャートである。S410において退避制御が行われる場合、まず、第1制御部128は、エラー信号を受信したか判定する(S502)。具体的には、例えば、S402からS410の間に、X線源118や移動機構に異常が生じていた場合、第1制御部128は、エラー信号を受信している。この場合、試料132を測定位置から待機位置に移動させることが出来ない可能性や、蛍光X線分析装置200の故障が生じる可能性がある。従って、S502において第1制御部128がエラー信号を受信していた場合、S618へ進む。一方、第1制御部128がエラー信号を受信していない場合、S504へ進む。
【0046】
第1制御部128がエラー信号を受信していない場合、第1制御部128は、予備排気室104に試料132が存在するか否か判定する(S504)。具体的には、例えば、予備排気室104にセンサ130が配置される場合には、第1制御部128は、センサ信号に基づいて、予備排気室104に試料132が存在するか判定する。センサ130が待機室102にのみ設けられている場合、第1制御部128は、移動機構の動作に基づいて、予備排気室104に試料132が存在するか否かを表すフラグを管理することで、予備排気室104に試料132が存在するか否か判定してもよい。以下、第1制御部128は、各位置に試料132が存在するか否か、センサの出力に基づいて判定するものとして説明する。
【0047】
S504において予備排気室104に試料132が存在すると判定された場合、第1制御部128は、測定を開始する前に試料132が配置されていた待機位置(以下、元の待機位置とする)に他の試料132が存在するか否か判定する(S506)。具体的には、例えば、第1制御部128は、待機室102に存在する複数の待機位置のうち、S402において試料132が配置されていた待機位置に他の試料132が存在するか否か判定する。待機位置が複数設けられている場合、ユーザは、適宜新たな試料132を待機位置に配置し、複数の試料132の分析を連続で行う場合がある。このとき、ユーザは、試料132を測定中に他の試料132を元の待機位置に配置し、次の測定の準備を行う場合がある。このような場合、元の測定位置に他の試料132が存在することとなるため、第1制御部128は、元の待機位置に他の試料132が存在すると判定する。
【0048】
元の待機位置に他の試料132が存在しないと判定された場合、退避手段302は、予備排気室104に存在する試料132を、元の待機位置に移動するよう移動機構に指示を行う(S508)。一方、元の位置に他の試料132が存在すると判定された場合、第1制御部128は、待機室102の他の待機位置に空きが存在するか否か判定する(S510)。他の待機位置に空きが存在すると判定された場合、退避手段302は、予備排気室104に存在する試料132を、空いていると判定された待機位置に移動するよう移動機構に指示を行う(S512)。空いている待機位置が存在しないと判定された場合(すなわち、全ての待機位置に試料132が存在する場合)、試料132は予備排気室104に保持されたままS618へ進む。
【0049】
S508及びS512において、試料132の移動が正常に完了した場合、移動機構は、正常に完了したことを表す終了信号を第1制御部128に送信する。S514において、第1制御部128が終了信号を受信した場合S602へ進み、所定の時間内に受信しない場合にS620へ進む。
【0050】
第1制御部128は、S514において終了信号を受信した場合、測定位置に試料132が存在するか否か判定する(S602)。具体的には、S504と同様に、第1制御部128は、試料室106に配置されたセンサの出力信号または、上記フラグを管理することで、試料132が存在するか否か判定する。測定位置に試料132が存在しない場合、試料132に1次X線が照射され続けることはないため、退避制御は終了する。一方、測定位置に試料132が存在する場合、退避手段302は、測定位置に存在する試料132を、予備排気室104に移動するよう移動機構に指示を行う(S604)。
【0051】
試料132の移動が正常に完了した場合、移動機構は、正常に完了したことを表す終了信号を第1制御部128に送信する。S606において、第1制御部128が終了信号を受信した場合、S608へ進み、所定の時間内に受信しない場合にS620へ進む。
【0052】
S606において第1制御部128が終了信号を受信した場合、試料132は予備排気室104に存在する。退避手段302は、予備排気室104に存在する試料132を待機位置に移動させる処理を行う(S608乃至S616)。S608乃至S616で行われる処理は、S506乃至S514で行われる処理と同様である。
【0053】
S502においてエラー信号を受信した場合、及び、S510またはS612において待機位置に空きが存在しないと判定された場合、第1制御部128は、予備排気室104または測定位置に試料132が存在するか否か判定を行う(S618)。予備排気室104及び測定位置の少なくとも一方に試料132が存在する場合、S620へ進み、存在しない場合、試料132に1次X線が照射され続けることはないため、退避制御は終了する。
【0054】
S620は、試料132が測定部100の内部に存在し、試料132に1次X線が照射され続ける可能性がある状態である。そこで、S620では、導入手段308により、導入制御が行われる。
図7は、導入制御を表すフローチャートである。導入制御は、第1制御部128がエラー信号を受信しかつ予備排気室104または測定位置に試料132が存在する場合(S618のY)、退避手段302が試料132を移動させる指示を行ったにもかかわらず正常に試料132を移動させることが出来ない場合(S514、S606、S616のN)に、実行される。また、導入制御は、S410においてユーザに選択された場合やS410において予め導入制御が行われるように設定されていた場合にも実行される。
【0055】
まず、X線源118の電源が切断される(S702)。具体的には、切断手段304は、X線源118に対して、電源を切断する旨の信号を送信する。当該信号を受信したX線源118は、管球に印可する電圧を0Vにする。これにより、X線源118は、1次X線の生成を停止する。なお、X線源118がX線シャッターを有する構成である場合には、切断手段304は、X線源118に対してX線シャッターを閉じるように指示を行ってもよい。これにより、試料132に照射される1次X線が切断される。
【0056】
次に、第1制御部128は、予備排気室104に大気を導入する(S704)。具体的には、第1制御部128は、予備排気室104に接続されたバルブ(図示なし)を開ける制御を行うことで、予備排気室104に大気を導入する。
【0057】
次に、第1制御部128は、試料室106及び分光室110に大気を導入する(S706)。具体的には、第1制御部128は、試料室106、分光室110に接続されたバルブ(図示なし)を開ける制御を行うことで、予備排気室104に大気を導入する。
【0058】
なお、S410において、切断制御が行われる場合には、S702のステップのみが行われる。すなわち、第1制御部128は、X線源118に対して、電源を切断する旨の信号を送信し、
図4に示すフローは終了する。
【0059】
図4乃至
図7に示すフローが実行されることにより、第1制御部128と第2制御部204の通信に異常が生じた場合や、移動機構やX線源118等の測定部100の内部で異常が生じた場合であっても、第1制御部128が情報処理部202と独立して退避制御、切断制御、または、導入制御を行うことができる。これにより、試料132の劣化や測定部100内部の汚染を防止できる。一方、退避制御を行うことで試料132を待機位置に正常に移動させた場合には、試料室106、及び分光室110の内部を真空状態に維持し、また、X線源118の電源を投入したまま維持することができる。これにより、次の測定を行う際に、試料室106、及び分光室110の排気制御やX線源118のエージングを行う必要がないため、迅速に測定を開始することができる。
【0060】
また、
図4乃至
図7に示すフローによれば、予備排気室104に試料132が存在するか否か判定を行い(S504)、予備排気室104から試料を排出した(S508またはS512)後で、測定位置に試料132が存在するか否か判定される(S602)。従って、複数の試料132が同時に測定部100の内部に存在する場合であっても、試料132が他の試料132とぶつかることなく安全に待機位置に排出することができる。
【0061】
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上記蛍光X線分析装置200の構成は一例であって、これに限定されるものではない。上記の実施例で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成する構成で置き換えてもよい。
【0062】
また、例えば、
図1には、試料132の下面に1次X線が照射される下面照射型の蛍光X線分析装置200に含まれる測定部100を示しているが、
図8に示すように、蛍光X線分析装置200は試料132の上面に1次X線が照射される上面照射型であってもよい。
図8に示す蛍光X線分析装置200は、試料132に対して1次X線が上面から照射される点が
図1に示す蛍光X線分析装置200と異なるものの、各部の機能は同様である。
【課題】蛍光X線分析装置に異常が生じた場合であっても、試料の劣化や破損、装置内部の汚染を防止できる蛍光X線分析装置、及び、蛍光X線分析装置の制御方法を提供する。
【解決手段】待機位置と測定位置との間で試料を移動させる移動機構と、1次X線を前記試料に照射するX線源と、入射する蛍光X線の強度を測定する検出器と、前記移動機構及び前記X線源の動作を制御する第1制御部と、を有する測定部と、前記検出器が測定した前記蛍光X線の強度に基づいて前記試料の分析を行う分析部と、前記第1制御部と通信を行い、前記測定部を制御する第2制御部と、を有する情報処理部と、を有し、前記第1制御部は、前記第1制御部と前記第2制御部との通信が途切れた場合に、前記移動機構に対して、前記測定位置にある前記試料を前記待機位置に退避させる退避制御を行う退避手段を有する。