(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通話時の音声品質の劣化を検知する検知機能と、劣化検知時の通話処理における動作を表し且つ自機のユーザの匿名化又は自機及び自機のユーザの匿名化がなされた動作情報を送信する送信機能と、を有する通話端末装置と、ネットワークを介して通信する通信部と、
複数の前記通話端末装置のそれぞれから前記通信部を介して受信した前記動作情報を蓄積する蓄積部と、
前記蓄積部に蓄積された前記動作情報から類似性を解析し、音声品質の劣化の原因を推定する解析部と、
を備えた音声品質解析装置。
前記提示部は、前記提示情報を、前記原因を取り除くための又は前記原因による劣化を緩和するための解決策が前記複数の通話端末装置側で判別可能な状態で、前記複数の通話端末装置に通知する、
請求項3又は4に記載の音声品質解析装置。
通話時の音声品質の劣化を検知する検知機能と、劣化検知時の通話処理における動作を表し且つ自機のユーザの匿名化又は自機及び自機のユーザの匿名化がなされた動作情報を送信する送信機能と、を有する複数の通話端末装置のそれぞれから、前記動作情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信した前記動作情報を蓄積する蓄積ステップと、
前記蓄積ステップで蓄積された前記動作情報から類似性を解析し、音声品質の劣化の原因を推定する解析ステップと、
を備えた音声品質解析方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、実施形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。また、以下に説明する図面には一方向性、双方向性の矢印を描いている図面があるが、いずれの矢印もある信号(データ)の流れの方向を端的に示したものであり、それぞれ双方向性、一方向性を排除するものではない。
【0014】
<実施形態1>
実施形態1の構成例について、
図1〜
図3を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る音声品質解析システム(以下、本システム)の一構成例を示す概略図である。
図2、
図3は、それぞれ本システムにおける音声品質解析装置の一構成例、通話端末装置の一構成例を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように、本システムは、音声品質解析装置1と複数の通話端末装置2−1,2−2,・・・,2−N(Nは2以上の整数)とを備える。通話端末装置2−1,2−2,・・・,2−Nは、それらの区別を行わない場合、通話端末装置2として説明する。各通話端末装置2は、音声品質解析装置1とネットワークを介して通信可能となっている。このネットワークは通話端末装置2が通話で使用するネットワークの一部を利用することもできる。通話端末装置2については後述する。
【0016】
図2に示すように、音声品質解析装置1は、通信部11、蓄積部12、及び解析部13を備える。通信部11は、複数の通話端末装置2とネットワークを介して通信する。通信部11は通信インタフェース等で構成することができる。
【0017】
蓄積部12は、複数の通話端末装置2のそれぞれから通信部11を介して受信した動作情報を蓄積する。蓄積部12は、このような動作情報を記憶する記憶装置を備えることになる。動作情報は、例えばデータベース形式で格納することができる。動作情報については、後述するが、通話端末装置2が有する検知機能により音声品質の劣化が検知された際の動作を表す情報である。また、各動作情報は匿名化がなされた情報であり、解析部13での解析時に動作情報のそれぞれを区別なくフラットに取り扱うことができるように、換言すれば集合知としての解析が可能なように、蓄積される。
【0018】
解析部13は、蓄積部12に蓄積された動作情報から類似性(動作情報間の類似性)を解析し、音声品質の劣化の原因(要因)を推定する。いずれの動作情報も劣化検知時の情報であり、また匿名化により不要な情報も除外されているため、これらの類似性を計測するなどにより劣化の原因を推定することができる。
【0019】
劣化の原因は、例えば、動作情報に含まれる項目のうち類似性が一定以上高い項目で示されるものとして推定することができる。より具体的には、送信され蓄積される動作情報に第1〜第5の項目が含まれ、そのうちの第2項目が多くの動作情報において類似した値となり、第4項目でも多くの動作情報において類似した値となった場合、次の推定が可能である。即ち、この場合、第2項目で示される点と第4項目で示される点とが劣化の原因であると推定できる。また、劣化の原因は、複数項目の組み合わせパターンにより特定することもでき、例えば第1〜第5の項目が動作情報に含まれる例では、第3,第5項目がそれぞれの閾値より高い場合に、予め関連付けられた原因で劣化が生じていると推定することができる。
【0020】
このように、解析部13は、蓄積された複数の動作情報を集合知として取り扱い、動作情報間の類似性を解析して劣化の原因を推定することができる。
【0021】
また、音声品質解析装置1は、その全体を制御する制御部を備えることができ、例えば、この制御部が通信部11における通信制御、蓄積部12における記憶装置の制御を行うとともに、解析部13の機能を担うように構成することができる。この制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、作業用メモリ、及び上述のような制御を行うためのプログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することができる。また、この制御部は、例えばIC(Integrated Circuit)によって実現することもできる。
【0022】
上記の動作情報を送信する側の装置である通話端末装置2について説明する。
図3に示すように、本システムにおける通話端末装置2は、検知部21、収集部22、送信部23、及び受信部24を備えることができる。
【0023】
通話端末装置2は、電話システムで使用される携帯電話機(スマートフォンと称されるものも含む)や固定電話機など、他の通話端末装置2との通話が可能な装置である。なお、スマートフォンの例からも分かるように、通話端末装置2は、スマートデバイスと称される部類の装置とすることができる。また、通話端末装置2は、通話機能が備わっていれば、設置型のPC(Personal Computer)、モバイルPC等の端末装置などであってもよい。通話端末装置2は、音声通話装置、電話機などと称することができ、音声通話機能を有するものであればよく、ビデオ通話機能を有することもできる。また、通話端末装置2は、2以上の他の通話端末装置2との通話も可能に構成しておくことができる。なお、3地点以上の通話は、多地点会議と称されることもある。
【0024】
検知部21は、通話時の音声品質の劣化を検知する。つまり、通話端末装置2は通話時の音声品質の劣化を検知する検知機能を有する。そのため、検知部21は、音声品質を示す値を計測する計測部(音声品質を示す値を検出する検出部)を備えることができる。音声品質を示す値は、例えば受信した音声パケットの遅延時間、欠落数等として計測されることができる。
【0025】
検知部21は、例えば、1又は複数の品質項目のそれぞれについて、設定されている閾値と比較して品質項目が閾値を下回った場合に劣化であると検知する。或いは、検知部21は、例えば、所定の組み合わせの品質項目が閾値(品質項目毎に設定されている閾値)を下回っていた場合に劣化であると検知する。
【0026】
収集部22は、検知部21での劣化検知時の通話処理における動作を表す動作情報を収集する。収集部22はデータ収集部と称することもできる。動作情報は、動作に関するログ情報であると言え、動作の違いにより音声品質が劣化することがあるため、動作情報は音声品質劣化の原因を示す情報を含むことになる。
【0027】
動作情報は、例えば、動作環境を示す情報(動作環境情報)、通話端末装置2の動作状態を示す情報(動作状態情報)などを含むことができる。上記動作環境は、通話端末装置2のスペック、通話端末装置2で通話に使用する回線網の伝送に係る環境値や規格値(伝送距離、伝送帯域等)、その回線網で使用する中継機器等の機器のスペックなどを含むことができる。上記動作状態は、劣化検知時の通話処理における動作状態であり、自機(通話端末装置2)の動作状態だけに限らず、通話に使用する回線網の伝送に係る実効値(遅延時間等)やその回線網に含まれる中継機器等の機器の動作状態を含むことができる。
【0028】
なお、検知部21では劣化の検知のために1又は複数の品質項目の検出値を検出することになるが、このような各品質項目の検出値も動作情報に含ませることもできる。動作情報にこのような検出値を含んでおくことで、音声品質解析装置1における推定を品質項目毎に実行することもできるようになる。
【0029】
送信部23は、収集した動作情報を、自機のユーザの匿名化又は自機及び自機のユーザの匿名化がなされた状態で音声品質解析装置1に送信する。つまり、通話端末装置2は動作情報を次のような匿名化がなされた状態で音声品質解析装置1に送信する送信機能を有する。この匿名化は、通信端末装置2(自機)のユーザの匿名化を少なくとも含み、好ましくは通信端末装置2(自機)の匿名化も含む。
【0030】
送信対象となる匿名化がなされた状態の動作情報は、匿名化がなされるように個人情報等を除いて動作情報を取得しておけば済むが、取得時に匿名化がなされていない場合には取得した情報に匿名加工を施すことで得ることができる。通話端末装置2が自機の匿名化を図る場合、例えば通話端末装置2を識別する機器ID等の識別情報など、通話端末装置2を特定可能な情報を送信対象の動作情報に含めないようにする。通話端末装置2が自機のユーザの匿名化を図る場合、例えばユーザ名、ユーザID、電話番号、電子メールアドレス、その他のアプリケーションプログラムのアカウント情報など、ユーザを特定可能な情報を、送信対象の動作情報に含めないようにする。
【0031】
また、送信部23での送信のタイミングは、例えば、劣化検知時、或いは所定期間毎(但し、送信対象が存在する場合に限る)などとすることができる。但し、劣化検知時に直ぐに送信されることで、解析結果に早く反映させることができる。
【0032】
受信部24は、音声品質解析装置1から、動作情報の類似性に基づき推定された音声品質の劣化の原因に関する情報である提示情報を受信する。そのため、音声品質解析装置1は、通話端末装置2に提示情報を提示する提示部(図示せず)を備えること、つまり通話端末装置2に提示情報を提供するための装置(サーバ装置)とすることができる。これにより、通話端末装置2では、この提示情報をユーザに提示するような処理を実施することができるようになる。なお、送信部23及び受信部24は、例えば、通信部とその通信部を制御して上述のような送受信を行う制御部とにより構成することができる。
【0033】
また、通信端末装置2は、その全体を制御する制御部を備えることができ、例えば、この制御部が検知部21、送信部23、及び受信部24の制御を行うとともに、収集部22の機能を担うように構成することができる。この制御部は、例えば、CPU、作業用メモリ、及び上述のような制御を行うためのプログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することができる。また、この制御部は、例えばICによって実現することもできる。
【0034】
次に、
図1のように、本システムがN台の通話端末装置2を有する電話システム(通話システム)と音声品質解析装置1とを備える場合を例に挙げ、
図4及び
図5を参照しながら、本システムにおける処理例について説明する。
図4は、本システムの通話端末装置側の処理例を説明するためのフロー図で、
図5は、本システムの音声品質解析装置側の処理例を説明するためのフロー図である。
【0035】
まず、
図4を参照しながら通話端末装置2側の処理例を説明する。通話端末装置2は、音声品質の劣化を検知し(ステップS1)、検知時の通話処理における動作を表す情報(動作情報)を収集する(ステップS2)。ステップS1では、検知部41が、ユーザが通話端末装置2にて通話を開始した場合に検知を開始すればよい。ステップS2に次いで、通話端末装置2は、その動作情報を匿名化がなされた状態で音声品質解析装置1に送信する(ステップS3)。
【0036】
通話端末装置2−1と通話端末装置2−2とで通話がなされる場合には、双方で音声品質の劣化が検知されることがあり、その場合には、動作情報が双方で得られ、得られた動作情報が音声品質解析装置1に送信されることになる。また、音声品質の劣化は、通話端末装置2−1と通話端末装置2−2との通話においても一方だけに生じることがあり、その典型的な例としては一方のマイクロフォン等の集音部が故障していた場合が挙げられる。このように、一方のみで音声品質の劣化が検知された場合には、その一方のみで動作情報が得られ、得られた動作情報が音声品質解析装置1に送信されることになる。なお、通話時に一方の通話端末装置2だけから動作情報を送信するようにしてもよいが、上述のように通話端末装置2に固有の問題で音声品質が劣化している場合もあるため、その通話を行った全ての通話端末装置2が動作情報を送信するようにすることが好ましい。
【0037】
そして、通話端末装置2は、音声品質解析装置1から適時送信された提示情報を受信し(ステップS4)、必要に応じてそれを表示及び/又は音声出力などによりユーザに提示する。ステップS1,S2,S3,S4は、それぞれ検知ステップ、収集ステップ、送信ステップ、受信ステップと称することができる。
【0038】
次に、
図5を参照しながら通話端末装置2側の処理例を説明する。
図4のステップS3に対し、音声品質解析装置1は、送信された動作情報を受信する(ステップS11)。つまり、音声品質解析装置1は、複数の通話端末装置2のそれぞれから動作情報を受信する。受信のタイミングは通話端末装置2での送信タイミングで説明したように問わない。また、音声品質解析装置1側から各通話端末装置2に対し動作情報の送信命令を送るようにしてもよい。
【0039】
次いで、音声品質解析装置1は、ステップS11で受信した動作情報を蓄積する(ステップS12)。そして、音声品質解析装置1は、蓄積数が所定数(1以上の数)増えた場合や、前回の解析から一定期間経過した場合など、予め定められた間隔で、ステップS12で蓄積された動作情報から類似性を解析し、音声品質の劣化の原因を推定する(ステップS13)。この推定された結果は、ステップS4のために通話端末装置2に送信されることができる。ステップS11,S12,S13は、それぞれ受信ステップ、蓄積ステップ、解析ステップと称することができる。
【0040】
以上のように、本システムでは、上述のような匿名化された動作情報間の類似性を解析して劣化の原因を推定しているため、多種多様な通話端末装置2を含む通話システムであっても、音声品質の劣化時に再現性のあるような原因を推定することが可能になる。ここで、匿名化された動作情報は、類似性の解析にユーザ名等の余計な情報を含まないことになり、この点から劣化の原因を推定し易くなると言える。また、本システムでは、通話端末装置2から送信される動作情報が匿名化された状態であるため、ユーザのプライバシーにも配慮することができる。
【0041】
<実施形態2>
実施形態2について、実施形態1との相違点を中心に
図6〜
図9を参照しながら説明するが、実施形態1で説明した様々な例が適用できる。
図6は、実施形態2に係る音声品質解析システム(以下、本システム)の一構成例を示す概略図である。また、
図7は本システムにおいて収集される動作情報の一例を示す図で、
図8は本システムにおいて通話端末装置に提示されるメッセージの一処理例を示す図である。また、
図9は、本システムにおける通話端末装置が収容される電話システムの一構成例を示す概略図である。
【0042】
図6に示すように、本システムは、音声品質解析装置3と複数の通話端末装置4−1,4−2,・・・,4−Nとを備える。通話端末装置4−1,4−2,・・・,4−Nは、それらの区別を行わない場合、通話端末装置4として説明する。音声品質解析装置3は音声品質解析装置1の一例であり、通話端末装置4は通話端末装置2の一例である。各通話端末装置4は、音声品質解析装置3とネットワークを介して通信可能となっている。音声品質解析装置3は、例えばクラウド上のサーバ装置とすることができる。
【0043】
本システムにおける通話端末装置4は、検知部21、収集部22、送信部23、及び受信部24にそれぞれ相当する検知部41、収集部42、送信部43、及び受信部44を備える。実施形態1で説明したように、ユーザが通話端末装置4にて通話を開始した場合に検知部41が劣化の検知動作を開始し、収集部42が動作情報を収集し、送信部43が匿名化された状態の動作情報を音声品質解析装置3に送信する。
【0044】
ここで、
図7に例示するように動作情報42aは、音声品質の劣化が発生した時点(ある程度の検知に要する期間を含んでもよい)における次のような情報群の少なくとも1つを含むことができる。但し、特に多くの情報を含むことが、音声品質解析装置3において複合的な解析(分析)ができるため好ましい。
【0045】
この情報群は、日時、通話端末装置4の位置情報、使用ネットワーク(使用中のネットワーク)、接続先ネットワーク名、使用キャリアを含むことができる。位置情報は、GPS(Global Positioning System)情報、Wi−Fi(登録商標。以下同様。)による位置情報などの地理的情報とすることができるが、これ以外にも様々な情報を適用することができる。使用ネットワークとは、例えばWi−Fi、LTE(登録商標。以下同様。)(Long Term Evolution)のうち、いずれを使用して通話をしているかを示す情報である。接続先ネットワークは、Wi−Fi等の無線LAN(Local Area Network)ルータを使用していた場合において、次のような情報とすることができる。即ち、接続先ネットワークは、接続していたネットワーク名(SSID:Service Set Identifier)を示す情報とすることができ、暗号化方式、周波数帯、認証方式等の他の情報を含むこともできる。使用キャリアとは、使用しているSIM(Subscriber Identity Module)の種別を示す情報である。
【0046】
さらに、この情報群は、遅延時間、パケット欠落数、パケット損失率、ゆらぎ(ジッタ)の量(幅)を含むことができる。さらに、この情報群は、通話端末装置4のOS(Operating System)の種別及びバージョン、通話端末装置4の機種情報(機種名又は機種ID等)を含むことができる。通信端末装置4のOS種別としては、例えばAndroid(登録商標)であるのか、iOS(登録商標)であるのか、などの情報が該当する。さらに、この情報群は、通話端末装置4における演算処理装置の使用率(CPU使用率)、及び、通話端末装置4におけるメモリ(作業用メモリ)の使用率を含むことができる。
【0047】
このように、ユーザが通話端末装置4にて通話を開始すると、検知部41が音声品質の計測を開始し、音声品質が予め定めた閾値を下回ったことを検知すると、収集部42が通話端末装置4に保持されている音声劣化の原因を含む上述のような動作情報を収集する。そして、通話端末装置4は、収集した動作情報を匿名化の状態で音声品質解析装置3に送信する。
【0048】
なお、通話端末装置4が、通話用のアプリケーションプログラムが複数種類具備された装置である場合、各アプリケーションプログラム内の音声品質計測プログラムで音声品質の計測を行うこと(収集プログラム、送信プログラムも可)ができる。或いは、音声品質計測プログラム、収集プログラム、送信プログラムの1又は複数は通話用のアプリケーションプログラムに共通として、通話開始時に呼び出されるようにしておいてもよい。
【0049】
音声品質解析装置3は、通信部11、蓄積部12、及び解析部13にそれぞれ相当する通信部31、蓄積部32、及び解析部33を備える。実施形態1で説明したように、音声品質解析装置3は、通信端末装置4から送信された動作情報を通信部31で受信すると、蓄積部32が動作情報の蓄積を行う。解析部33は、蓄積された動作情報から類似性を解析する(動作情報同士の相関性を検出する)ことで、音声品質劣化の原因を推定する。また、解析部33の構成によっては、原因を現時点ではなく未来の予測結果として推定すること、つまり音声品質が低下(劣化)すると予測される場合の原因として推定することもできる。
【0050】
この推定は、AI(Artificial Intelligence)解析(本例では集合知AI解析)を用いて実行することもできる。例えば、動作情報に含まれる項目についての複合的な組み合わせのパターンと、パターン毎における音質の結果とを集合知化して、音声品質劣化の原因をAIで解析することができる。このように集合知から類似性を計測して解析する手法は問わず、例えば、コサイン類似度を使って類似性を求めること、ユークリッド距離を求めること、ベクトル間の距離を求めること、クラスタ分析を行うことなど、様々な手法が適用できる。なお、原因の予測、換言すれば音声品質が劣化する予測まで行う場合には、蓄積された動作情報に日時の情報を含んでおけばよい。また、AI解析のような機械学習を行う場合、その学習は動作情報を受信するたびに実行するなど、運用と同時並行で実行させることもできる。
【0051】
このようにして、音声品質解析装置3は、音質劣化原因を含む匿名化データとして多くの通話端末装置4から送信された動作情報を受信し、受信した膨大な音質劣化の原因を含むデータをDBに集約して、集合知として劣化の原因をAI解析することができる。つまり、音声品質解析装置3では、或る通話端末装置4で音声品質の劣化が生じた場合、他の通話端末装置4でも発生している可能性がある共通問題としてナレッジ化し、ナレッジ化したデータを元に原因を推定することができる。
【0052】
さらに、音声品質解析装置3は、音声品質の劣化の原因に関する提示情報を提示する提示部34を備えることができる。上述の例の場合、提示部34は、ナレッジ化したデータを元に推定された原因に関する提示情報を提示する。なお、提示部34の一部の機能も、音声品質解析装置3の全体を制御する制御部に含めることができる。提示部34は、複数の通話端末装置4にネットワークを介して提示情報を通知(送信)することで、或いは他の外部の装置にネットワークを介して又は直接、提示情報を出力することで、提示情報の提示を行う。ネットワーク経由での出力は、提示部34が通信部31を制御して行うことができる。
【0053】
提示部34で提示される提示情報は、原因を示す情報を含むことが好ましい。また、提示部34で提示される提示情報は、原因に係わる動作情報に含まれる項目を示す情報を含むことが好ましい。また、提示部34で提示される提示情報は、原因を取り除くための又は原因による劣化を緩和するための解決策を示す情報を含むことが好ましい。これらの例は、それぞれ通話端末装置4側(後述の原因提示部45又は解決策提示部46)で、受信した提示情報をそのままユーザに提示するために用いることができる。
【0054】
但し、提示部34は、提示情報を、原因に係わる動作情報に含まれる項目が複数の通話端末装置4側で判別可能な状態で、複数の通話端末装置4に通知しておいてもよい。解決策についても同様に、提示部34は、提示情報を、原因を取り除くための又は原因による劣化を緩和するための解決策が複数の通話端末装置4側で判別可能な状態で、複数の通話端末装置4に通知するようにしてもよい。
【0055】
ここで、通話端末装置4側で項目、解決策が判別可能な状態とは、それぞれ項目そのもの、解決策そのものを示す情報でなくても、通話端末装置4側の変換処理で上記項目、上記解決策を提示できるような状態を指す。
【0056】
但し、通話端末装置4は、劣化の原因、原因に関わる項目、解決策を、自機がそれぞれその原因に関係する場合にのみ、その項目に関係する場合にのみ、その解決策に関係する場合にのみ提示することが好ましい。通話端末装置4のユーザにとって無関係な提示情報の提示は邪魔となるためである。そのためには、音声品質解析装置3側では、通知先の通話端末装置を特定する方法を採用することが考えられるが、動作情報は匿名化がなされている。よって、通話端末装置4側で自機に関係する提示情報であるか否かを判定するように、通話端末装置4を構成しておけばよい。
【0057】
通話端末装置4側の説明に戻る。
本システムにおける通話端末装置4は、原因提示部45及び解決策提示部46を備えることができる。なお、通話端末装置4は、原因提示部45又は解決策提示部46のいずれか一方を備えないこともできる。
【0058】
原因提示部45は、受信部44で受信した提示情報に基づき、原因及び原因に係わる動作情報に含まれる項目の少なくとも一方を提示する。例えば、受信する提示情報が上記少なくとも一方をそのまま含んでいればよい。提示先はユーザであり、よって図示しない表示部及び/又は音声出力部などから提示情報の出力を行うことができる。
【0059】
解決策提示部46は、受信部44で受信した提示情報に基づき、原因を取り除くための又は原因による劣化を緩和するための解決策を提示する。例えば、受信する提示情報が上記解決策をそのまま含んでいてもよい。ここでの提示先もユーザであり、よって図示しない表示部及び/又は音声出力部などから提示情報の出力を行うことができる。
【0060】
上述のように、音声品質解析装置3が全ての通話端末装置4に提示情報を提示(送信)する場合、通話端末装置4側で自機に関係する提示情報であるか否かを判定するように、通話端末装置4を構成しておけばよい。自機に関係するか否かの判定に用いる情報は、受信した提示情報となるが、通話端末装置4は、これを自機の収集部42で収集した情報(例えば機種、日時及び位置情報等)と比較することで判定を行うことができる。そして、例えば、通話端末装置4側で、自機に関係する提示情報であった場合に限りユーザに提示することが好ましい。
【0061】
提示情報の提示は、
図8に例示するように、提示情報を受信したときにメッセージ48のようなポップアップ画像を通話端末装置4の表示部47に表示させることで実施することが望ましい。但し、提示情報の提示は、提示情報に関連する設定項目をユーザが設定しようとした際に実施することもできる。若しくは、通信端末装置4が通話用のアプリケーションプログラムが1又は複数種類具備された装置である場合、受信後に最初に起動又は使用した通話用のアプリケーションプログラムにおいてその段階で提示を実施することもできる。但し、提示情報が特定のアプリケーションプログラムにのみ関係する場合にはそれを起動又は使用した段階で、提示を実施するようにしておけばよい。
【0062】
メッセージ48は、音声品質低下の原因及びその改善策をユーザに提示するための通知画像の例である。メッセージ48は、「SSID[1]の無線ルータで遅延が発生し音質が劣化してます。設定を見直すか別ルータを使用することを推奨します。」といった文章を含んでいる。この無線ルータがいわゆるブラックリストとしてユーザに示されることになる。なお、上記SSID[1]はSSIDの一例を簡易的に例示したに過ぎない。
【0063】
その他、このようなメッセージの例を挙げる。例えば、S社のLTEネットワークで大手町付近では定常的に遅延が発生している場合、項目としてこれらの情報を含めるとともに、他社への切り替えを解決策として提案するようにする。また、A社製の端末「AA−04」ではWi−Fi環境で音声劣化が発生している場合、項目としてこれらの情報を含めるとともに、他社製の通話端末装置への切り替えを解決策として提案するようにする。また、特定の時刻、場所にて音声の品質劣化が発生している場合、項目としてこれらの情報を含めるとともに、原因として、同時刻、同エリアで使用しているユーザで同様の事例が発生しているため、キャリア網の輻輳が原因であることを通知する。なお、上述のように、通話端末装置4側で受信した全ての提示情報を表示部47に表示することもできる。
【0064】
また、通話端末装置4−1,・・・,4−Nは、いずれも1つの電話システム(通話システム)に子機として収容された装置とすることができる。子機として収容されているため、いずれの通話端末装置4の間においても内線通話が可能となっている。この電話システムで子機として使用可能な通話端末装置4は多種多様な装置とすることができ、それにより、この電話システムに子機として収容される通話端末装置4の数N、通常使用される領域は、それぞれ膨大、広範囲とすることができる。これにより、他種多様な通話端末装置4が収容された電話システムにおいても、音声品質の劣化の原因を正確に(少なくとも利用可能な程度に)推定することができるようになる。ここで、利用可能な程度とは、例えばその原因を調べて対処してみる価値がある程度を指す。
【0065】
なお、この電話システムに子機として収容された通話端末装置4−1,・・・,4−Nの少なくとも1つが受信部44と原因提示部45及び/又は解決策提示部46とを備えていれば、その1つにおいて原因及び/又は解決策の提示は可能である。よって、通話端末装置4によっては原因及び/又は解決策の提示を行わないものも上記電話システムに含めることもできる。
【0066】
このような電話システムの例について、
図9を参照しながら説明する。
図9に示す電話システムでは、或る会社の社内に、通信を制御する通信サーバ51、外線GW(gateway)、及び固定電話機4bが有線接続されており、通信サーバ51及び外線GW53が携帯電話機4aに無線接続可能となっている。固定電話機4bと携帯電話機4aが内線網で通信サーバ51を介して通話可能となっている。
【0067】
外線GW53は、外部の固定電話機7と通信サーバ51とを公衆網を介して接続するための機器である。外線GW53及び通信サーバ51を介して、固定電話機7と内線網に接続された電話機とが通話可能となっている。
図9の例における内線網に接続された電話機とは、携帯電話機4a、固定電話機4b、及び後述の携帯電話機4cである。
【0068】
通信サーバ51は、図示しない構内交換機を有すること又は構内交換機に接続されることができる。構内交換機としては、例えばIP−PBX(Internet Protocol Private Branch eXchange)等が挙げられる。通信サーバ51は、VPN(Virtual Private Network)ルータ52に接続されており、これによりVPNを介してクラウドサーバの1つである内線利用サーバ61に接続されている。
【0069】
この電話システムでは、クラウドサーバとして、内線利用サーバ61のほかに、音声サービスサーバ62、及び電話帳サーバ63などが設けられている。内線利用サーバ61は、内線を利用可能にするためのサーバである。音声サービスサーバ62は、内線利用サーバ61に接続されている。音声サービスサーバ62は、内線利用時において、保留・転送をはじめ、コールピックアップ、三者通話、ダイヤルインなどの音声サーバの基本機能を提供するためのサーバである。電話帳サーバ63は、内線利用サーバ61に接続されており、内線利用時に通話先となる(外線通話の通話先であってもよい)氏名やその電話番号を含む電話帳を提供するためのサーバである。
【0070】
内線利用サーバ61は、インターネット経由で、LTE又はWi−Fi等の通信方式で携帯電話機4cに接続されている。これにより、携帯電話機4cも通信サーバ51を介して内線網に接続可能となり、内線として機能させることができる。
【0071】
携帯電話機4cは通話端末装置4の例であり、そのユーザは何処にいても内線サービスを利用することが可能になっている。内線サービスの利用のためにはそのサービスに加入登録しておき、内線利用のためのアプリケーションプログラム(ソフトウェアフォンのアプリケーションプログラム)をインストールしておくとよい。このアプリケーションプログラムにおいて、通話端末装置4について説明した検知機能、収集機能、送信機能等の各機能を実現させるようにしておけばよい。また、音声品質解析装置3の機能は、例えば通信サーバ51等の装置に搭載しておくことができる。
【0072】
また、携帯電話機4a等の他の電話機も通話端末装置4の例とすることができる。無論、携帯電話機4a、固定電話機4b、携帯電話機4c、及び固定電話機7はいずれも複数台とすることができる。
【0073】
以上のように、本システムでは、上述のような匿名化された動作情報間の類似性を解析して劣化の原因を推定しているため、多種多様な通話端末装置2を含む通話システムであっても、音声品質の劣化時に再現性のあるような原因を推定することが可能になる。
【0074】
例えば、人と人の遠隔コミュニケーションを支援するソリューションにおいて、自社製ネットワーク製品の品質改善だけでは解決できない問題が増えてきており、特に、音声品質が低下するとユーザの満足度が低下することになる。この問題とは、例えば、通話端末装置2の品質、通話に用いられる通信デバイスの品質(例えばWi−Fi/LTEの品質)、インターネット上のネットワーク遅延等による問題が挙げられる。このような状況においても、本システムでは、再現性のあるような、音声品質の劣化の原因を推定することができる。
【0075】
特に、音声品質は常時一定とは言えないため、本システムのように音声品質の劣化を監視することは有益となる。また、本システムでは、通話端末装置4側はアプリケーションプログラムを導入するだけで済むため、ユーザ側において専用の計測機器を設置する必要がない。
【0076】
また、特に携帯電話機4cで例示したような通話端末装置4では、内線利用サーバ61で内線利用サービスを提供している場合など、他社が提供するネットワーク(Wi−Fi、LTE等)、インターネット等を経由する場合には原因を特定し難い。特にネットワークの品質は一定でなく、後から音声劣化の発生した場所でログ情報を収集しても音声劣化が再現しないこともあり、原因特定までサポートすることができない。しかし、本システムではこのような場合であっても、ユーザ側において専用の計測機器を設置することなく原因を推定することができる。
【0077】
また、上述のように情報を匿名化した状態で音声品質解析装置3に送信しているため、個人情報が利用される心配がないことである。例えば、本システムでは、特定の個人がどの場所にいたのかを特定することはできない。
【0078】
また、本システムにより、自社製のネットワーク設備外の音声品質の劣化原因を推定でき、解決案を提示することもできる。特に過去に類似のデータが存在する場合は、早期に原因と改善策を提示することができる。さらに、本システムにより、音声品質が低下するとの予測を行うように構成することもできる。なお、本実施形態で説明した様々な例は、適宜、1又は複数を組み合わせて実装することができる。
【0079】
<他の実施形態>
上述した各実施形態では、音声品質解析装置、通話端末装置など各装置の構成や機能について説明したが、各装置としてこれらの機能が実現できればよい。また、各実施形態に係る各装置は、次のようなハードウェア構成を有することができる。
図10は、各実施形態に係る装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0080】
図10に示す装置100は、プロセッサ101、メモリ102、及びインタフェース103を有する。インタフェース103は、図示しない接続対象の装置に接続するためのインタフェースとすることができる。各実施形態で説明した各装置の機能は、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを読み込んで、必要に応じてインタフェース103と協働しながら実行することにより実現されることができる。このプログラムは、各実施形態で説明したプログラムとすることができる。
【0081】
上述の例において、上記プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。さらに、この例は、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/Wを含む。さらに、この例は、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、上記プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0082】
さらに、上述した様々な実施形態では、例えば
図4、
図5を参照するなどしてそれぞれ通話端末装置における音声品質解析方法の手順、音声品質解析装置における音声品質解析方法の手順を説明した。このように、本開示は、通話端末装置が実行する検知ステップ、収集ステップ、送信ステップ、及び受信ステップを備えた音声品質解析方法としての形態を採り得る。また、上記プログラムは、通話端末装置のコンピュータにこの音声品質解析方法を実行させるためのプログラムであると言える。また、本開示は、音声品質解析装置が実行する受信ステップ、蓄積ステップ、及び解析ステップを備えて音声品質解析方法としての形態も採り得る。また、上記プログラムは、音声品質解析装置として機能させるコンピュータ(複数の通話端末装置に接続されるコンピュータ)にこの音声品質解析方法を実行させるためのプログラムであると言える。
【0083】
なお、本開示は上述した様々な実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0084】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
通話時の音声品質の劣化を検知する検知機能と、劣化検知時の通話処理における動作を表し且つ自機のユーザの匿名化又は自機及び自機のユーザの匿名化がなされた動作情報を送信する送信機能と、を有する通話端末装置と、ネットワークを介して通信する通信部と、
複数の前記通話端末装置のそれぞれから前記通信部を介して受信した前記動作情報を蓄積する蓄積部と、
前記蓄積部に蓄積された前記動作情報から類似性を解析し、音声品質の劣化の原因を推定する解析部と、
を備えた音声品質解析装置。
(付記2)
前記原因に関する提示情報を提示する提示部をさらに備えた、
付記1に記載の音声品質解析装置。
(付記3)
前記提示部は、前記通信部を介して、前記提示情報を前記複数の通話端末装置に通知する、
付記2に記載の音声品質解析装置。
(付記4)
前記提示情報は、前記原因を示す情報を含む、
付記2又は3に記載の音声品質解析装置。
(付記5)
前記提示情報は、前記原因に係わる前記動作情報に含まれる項目を示す情報を含む、
付記2〜4のいずれか1項に記載の音声品質解析装置。
(付記6)
前記提示部は、前記提示情報を、前記原因に係わる前記動作情報に含まれる項目が前記複数の通話端末装置側で判別可能な状態で、前記複数の通話端末装置に通知する、
付記3に記載の音声品質解析装置。
(付記7)
前記提示情報は、前記原因を取り除くための又は前記原因による劣化を緩和するための解決策を示す情報を含む、
付記2〜6のいずれか1項に記載の音声品質解析装置。
(付記8)
前記提示部は、前記提示情報を、前記原因を取り除くための又は前記原因による劣化を緩和するための解決策が前記複数の通話端末装置側で判別可能な状態で、前記複数の通話端末装置に通知する、
付記3又は6に記載の音声品質解析装置。
(付記9)
前記動作情報は、音声品質の劣化が発生した時点における、日時、前記通話端末装置の位置情報、使用中のネットワーク、接続先ネットワーク名、使用キャリア、遅延時間、パケット欠落数、パケット損失率、ゆらぎの量、前記通話端末装置のOS(Operating System)の種別及びバージョン、前記通話端末装置の機種情報、前記通話端末装置における演算処理装置の使用率、及び、前記通話端末装置におけるメモリの使用率のうち、少なくとも1つの情報を含む、
付記1〜8のいずれか1項に記載の音声品質解析装置。
(付記10)
前記複数の通話端末装置は、いずれも1つの電話システムに子機として収容された装置である、
付記1〜9のいずれか1項に記載の音声品質解析装置。
(付記11)
通話時の音声品質の劣化を検知する検知部と、
前記検知部での劣化検知時の通話処理における動作を表す動作情報を収集する収集部と、
前記動作情報を、自機のユーザの匿名化又は自機及び自機のユーザの匿名化がなされた状態で音声品質解析装置に送信する送信部と、
前記音声品質解析装置から、前記動作情報の類似性に基づき推定された音声品質の劣化の原因に関する提示情報を受信する受信部と、
を備えた通話端末装置。
(付記12)
前記受信部で受信した前記提示情報に基づき、前記原因及び前記原因に係わる前記動作情報に含まれる項目の少なくとも一方を提示する原因提示部を、さらに備えた、
付記11に記載の通話端末装置。
(付記13)
前記受信部で受信した前記提示情報に基づき、前記原因を取り除くための又は前記原因による劣化を緩和するための解決策を提示する解決策提示部を、さらに備えた、
付記11又は12に記載の通話端末装置。
(付記14)
前記動作情報は、音声品質の劣化が発生した時点における、日時、前記通話端末装置の位置情報、使用中のネットワーク、接続先ネットワーク名、使用キャリア、遅延時間、パケット欠落数、パケット損失率、ゆらぎの量、前記通話端末装置のOS(Operating System)の種別及びバージョン、前記通話端末装置の機種情報、前記通話端末装置における演算処理装置の使用率、及び、前記通話端末装置におけるメモリの使用率のうち、少なくとも1つの情報を含む、
付記11〜13のいずれか1項に記載の通話端末装置。
(付記15)
前記通話端末装置は、前記検知部、前記収集部、及び前記送信部を有する他の通信端末装置とともに、1つの電話システムに子機として収容され、
前記音声品質解析装置は、前記通話端末装置と前記他の通信端末装置との複数の通信端末装置から受信した前記動作情報に基づき、前記原因を推定し、前記提示情報を前記複数の通信端末装置に送信する、
付記11〜14のいずれか1項に記載の通話端末装置。
(付記16)
付記1〜10のいずれか1項に記載の音声品質解析装置と、前記複数の通話端末装置と、を備えた音声品質解析システム。
(付記17)
付記11〜15のいずれか1項に記載の通話端末装置を複数備えるとともに、前記音声品質解析装置を備えた音声品質解析システム。
(付記18)
通話時の音声品質の劣化を検知する検知機能と、劣化検知時の通話処理における動作を表し且つ自機のユーザの匿名化又は自機及び自機のユーザの匿名化がなされた動作情報を送信する送信機能と、を有する複数の通話端末装置のそれぞれから、前記動作情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信した前記動作情報を蓄積する蓄積ステップと、
前記蓄積ステップで蓄積された前記動作情報から類似性を解析し、音声品質の劣化の原因を推定する解析ステップと、
を備えた音声品質解析方法。
(付記19)
通話端末装置が、通話時の音声品質の劣化を検知する検知ステップと、
前記通話端末装置が、前記検知ステップでの劣化検知時の通話処理における動作を表す動作情報を収集する収集ステップと、
前記通話端末装置が、前記動作情報を、自機のユーザの匿名化又は自機及び自機のユーザの匿名化がなされた状態で音声品質解析装置に送信する送信ステップと、
前記通話端末装置が、前記音声品質解析装置から、前記動作情報の類似性に基づき推定された音声品質の劣化の原因に関する提示情報を受信する受信ステップと、
を備えた音声品質解析方法。
(付記20)
通話時の音声品質の劣化を検知する検知機能と、劣化検知時の通話処理における動作を表し且つ自機のユーザの匿名化又は自機及び自機のユーザの匿名化がなされた動作情報を送信する送信機能と、を有する複数の通話端末装置に接続されるコンピュータに、
前記複数の通話端末装置のそれぞれから、前記動作情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信した前記動作情報を蓄積する蓄積ステップと、
前記蓄積ステップで蓄積された前記動作情報から類似性を解析し、音声品質の劣化の原因を推定する解析ステップと、
を実行させるためのプログラム。
(付記21)
音声品質解析装置に接続される通話端末装置のコンピュータに、
通話時の音声品質の劣化を検知する検知ステップと、
前記検知ステップでの劣化検知時の通話処理における動作を表す動作情報を収集する収集ステップと、
前記動作情報を、自機のユーザの匿名化又は自機及び自機のユーザの匿名化がなされた状態で前記音声品質解析装置に送信する送信ステップと、
前記音声品質解析装置から、前記動作情報の類似性に基づき推定された音声品質の劣化の原因に関する提示情報を受信する受信ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【解決手段】音声品質解析装置1は、通話端末装置とネットワークを介して通信する通信部11と、蓄積部12と、解析部13と、を備える。通話端末装置は、通話時の音声品質の劣化を検知する検知機能と、劣化検知時の通話処理における動作を表し且つ自機のユーザの匿名化又は自機及び自機のユーザの匿名化がなされた動作情報を送信する送信機能と、を有する。蓄積部12は、複数の通話端末装置のそれぞれから通信部11を介して受信した動作情報を蓄積する。解析部13は、蓄積部12に蓄積された動作情報から類似性を解析し、音声品質の劣化の原因を推定する。