【文献】
白井 規之 Noriyuki SHIRAI,映像情報メディア学会 2018年年次大会講演予稿集 [CD−ROM] 2018年映像情報メディア学会年次大会講演予稿集 PROCEEDINGS OF THE 2018 ITE ANNUAL CONVENTION PROCEEDINGS OF THE 2018 ITE ANNUAL CONVENTION,日本,2018年08月15日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の解像度の放送データをOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調波として1以上の送信装置から出力するために、入力された前記第1の解像度の放送データについて再多重処理を行い、当該再多重処理により生成された第1の伝送データを第1の回線を介して前記送信装置に出力する第1の再多重部と、
第2の解像度の放送データを前記第1の解像度の放送データとともに前記OFDM変調波として前記送信装置から出力するために、入力された前記第2の解像度の放送データについて再多重処理を行い、当該再多重処理により生成された第2の伝送データを第2の回線を介して前記送信装置に出力する第2の再多重部と、
を有し、
前記第2の再多重部は、前記第1の再多重部で設定されたOFDMフレームの先頭パケットのタイミングに対応するタイミングで、前記第1の回線と前記第2の回線の遅延時間の差を補償するための制御情報を含むパケットである遅延制御パケットを挿入し、
前記第2の再多重部は、前記送信装置において前記遅延制御パケットが受信された時点から前記遅延制御パケットに続くパケットに対する変調処理を開始するまでの待機時間の指標値を、前記制御情報として生成する
再多重装置。
第1の解像度の放送データをOFDM変調波として1以上の送信装置から出力するために、入力された前記第1の解像度の放送データについて再多重処理を行い、当該再多重処理により生成された第1の伝送データを第1の回線を介して前記送信装置に出力し、
第2の解像度の放送データを前記第1の解像度の放送データとともに前記OFDM変調波として前記送信装置から出力するために、入力された前記第2の解像度の放送データについて再多重処理を行い、当該再多重処理により生成された第2の伝送データを第2の回線を介して前記送信装置に出力し、
前記第2の解像度の放送データについての再多重処理では、
前記第1の回線と前記第2の回線の遅延時間の差を補償するための制御情報を含むパケットである遅延制御パケットを生成し、
前記第1の解像度の放送データについての再多重処理で設定されたOFDMフレームの先頭パケットのタイミングに対応するタイミングで、前記遅延制御パケットを挿入し、
前記遅延制御パケットの生成では、前記送信装置において前記遅延制御パケットが受信された時点から前記遅延制御パケットに続くパケットに対する変調処理を開始するまでの待機時間の指標値を、前記制御情報として生成する
再多重方法。
第1の解像度の放送データをOFDM変調波として1以上の送信装置から出力するために、入力された前記第1の解像度の放送データについて再多重処理を行い、当該再多重処理により生成された第1の伝送データを第1の回線を介して前記送信装置に出力する第1の再多重ステップと、
第2の解像度の放送データを前記第1の解像度の放送データとともに前記OFDM変調波として前記送信装置から出力するために、入力された前記第2の解像度の放送データについて再多重処理を行い、当該再多重処理により生成された第2の伝送データを第2の回線を介して前記送信装置に出力する第2の再多重ステップと、
をコンピュータに実行させ、
前記第2の再多重ステップでは、前記第1の再多重ステップで設定されたOFDMフレームの先頭パケットのタイミングに対応するタイミングで、前記第1の回線と前記第2の回線の遅延時間の差を補償するための制御情報を含むパケットである遅延制御パケットを挿入し、
前記第2の再多重ステップでは、前記送信装置において前記遅延制御パケットが受信された時点から前記遅延制御パケットに続くパケットに対する変調処理を開始するまでの待機時間の指標値を、前記制御情報として生成する
プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された同期方法は、絶対基準時刻を用いたリファレンス同期であり、従属同期を行う既存のシステムに適用するのは容易ではない。
【0007】
本開示はこのような問題点を解決するためになされたものであり、第1の解像度の放送データと第2の解像度の放送データとを放送する場合の出力の同期を実現することができる再多重装置、放送システム、再多重方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様にかかる再多重装置は、
第1の解像度の放送データをOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調波として1以上の送信装置から出力するために、入力された前記第1の解像度の放送データについて再多重処理を行い、当該再多重処理により生成された第1の伝送データを第1の回線を介して前記送信装置に出力する第1の再多重部と、
第2の解像度の放送データを前記第1の解像度の放送データとともに前記OFDM変調波として前記送信装置から出力するために、入力された前記第2の解像度の放送データについて再多重処理を行い、当該再多重処理により生成された第2の伝送データを第2の回線を介して前記送信装置に出力する第2の再多重部と、
を有し、
前記第2の再多重部は、前記第1の再多重部で設定されたOFDMフレームの先頭パケットのタイミングに対応するタイミングで、前記第1の回線と前記第2の回線の遅延時間の差を補償するための制御情報を含むパケットである遅延制御パケットを挿入し、
前記第2の再多重部は、前記送信装置において前記遅延制御パケットが受信された時点から前記遅延制御パケットに続くパケットに対する変調処理を開始するまでの待機時間の指標値を、前記制御情報として生成する。
【0009】
本開示の第2の態様にかかる放送システムは、
再多重装置と、
前記再多重装置から受信したデータをOFDM変調波として出力する1以上の送信装置と、
を備え、
前記再多重装置は、
第1の解像度の放送データをOFDM変調波として前記送信装置から出力するために、入力された前記第1の解像度の放送データについて再多重処理を行い、当該再多重処理により生成された第1の伝送データを第1の回線を介して前記送信装置に出力する第1の再多重部と、
第2の解像度の放送データを前記第1の解像度の放送データとともに前記OFDM変調波として前記送信装置から出力するために、入力された前記第2の解像度の放送データについて再多重処理を行い、当該再多重処理により生成された第2の伝送データを第2の回線を介して前記送信装置に出力する第2の再多重部と、
を有し、
前記第2の再多重部は、前記第1の再多重部で設定されたOFDMフレームの先頭パケットのタイミングに対応するタイミングで、前記第1の回線と前記第2の回線の遅延時間の差を補償するための制御情報を含むパケットである遅延制御パケットを挿入し、
前記第2の再多重部は、前記送信装置において前記遅延制御パケットが受信された時点から前記遅延制御パケットに続くパケットに対する変調処理を開始するまでの待機時間の指標値を、前記制御情報として生成し、
前記送信装置は、
前記制御情報に基づいて、前記遅延制御パケットに続くパケットに対する変調処理を開始するタイミングを調整する遅延補正部と、
前記第1の解像度の放送データと前記第2の解像度の放送データとを変調して、OFDM変調波として出力する変調処理部と
を有する。
【0010】
本開示の第3の態様にかかる再多重方法では、
第1の解像度の放送データをOFDM変調波として1以上の送信装置から出力するために、入力された前記第1の解像度の放送データについて再多重処理を行い、当該再多重処理により生成された第1の伝送データを第1の回線を介して前記送信装置に出力し、
第2の解像度の放送データを前記第1の解像度の放送データとともに前記OFDM変調波として前記送信装置から出力するために、入力された前記第2の解像度の放送データについて再多重処理を行い、当該再多重処理により生成された第2の伝送データを第2の回線を介して前記送信装置に出力し、
前記第2の解像度の放送データについての再多重処理では、
前記第1の回線と前記第2の回線の遅延時間の差を補償するための制御情報を含むパケットである遅延制御パケットを生成し、
前記第1の解像度の放送データについての再多重処理で設定されたOFDMフレームの先頭パケットのタイミングに対応するタイミングで、前記遅延制御パケットを挿入し、
前記遅延制御パケットの生成では、前記送信装置において前記遅延制御パケットが受信された時点から前記遅延制御パケットに続くパケットに対する変調処理を開始するまでの待機時間の指標値を、前記制御情報として生成する。
【0011】
本開示の第4の態様にかかるプログラムは、
第1の解像度の放送データをOFDM変調波として1以上の送信装置から出力するために、入力された前記第1の解像度の放送データについて再多重処理を行い、当該再多重処理により生成された第1の伝送データを第1の回線を介して前記送信装置に出力する第1の再多重ステップと、
第2の解像度の放送データを前記第1の解像度の放送データとともに前記OFDM変調波として前記送信装置から出力するために、入力された前記第2の解像度の放送データについて再多重処理を行い、当該再多重処理により生成された第2の伝送データを第2の回線を介して前記送信装置に出力する第2の再多重ステップと、
をコンピュータに実行させ、
前記第2の再多重ステップでは、前記第1の再多重ステップで設定されたOFDMフレームの先頭パケットのタイミングに対応するタイミングで、前記第1の回線と前記第2の回線の遅延時間の差を補償するための制御情報を含むパケットである遅延制御パケットを挿入し、
前記第2の再多重ステップでは、前記送信装置において前記遅延制御パケットが受信された時点から前記遅延制御パケットに続くパケットに対する変調処理を開始するまでの待機時間の指標値を、前記制御情報として生成する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、第1の解像度の放送データと第2の解像度の放送データとを放送する場合の出力の同期を実現することができる再多重装置、放送システム、再多重方法、及びプログラムを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1にかかる放送システム10の構成の一例を示す模式図である。
図1に示すように、放送システム10は、再多重装置20と1以上の送信装置30とを備えている。例えば、再多重装置20は、演奏所に設置された装置であり、送信装置30は、送信所に設置された装置である。放送システム10において、再多重装置20から送信装置30へと放送データが送信され、送信装置30は、放送波を出力する。ここで、放送システム10は、単一周波数ネットワーク(SFN)により、放送を行うシステムである。すなわち、1以上の送信装置30は、同じ周波数帯を用いて、放送波を出力する。また、本実施の形態では、放送システム10は、2K放送のための信号と4K放送のための信号を、同じ周波数帯を用いて送信装置30から出力する。放送システム10は、GPS(Global Positioning System)のPPS(Pulse Per Second)信号などのような基準信号を用いることなく、SFNの同期を実現する。すなわち、放送システム10は、リファレンス同期ではなく、従属同期を行う放送システムである。
【0015】
なお、2Kとは、画面解像度がフルハイビジョンである映像の総称である。すなわち、2Kとは、横2000程度×縦1000程度となるような映像の総称である。例えば、2Kの画面解像度とは、横2048×縦1080や、横1920×縦1080、横2048×縦1152、横2560×縦1600、横1440×縦1080等である。また、4Kとは、画面解像度がフルハイビジョンの4倍である映像の総称である。すなわち、4Kとは、画面解像度が横4000程度×縦2000程度となるような映像の総称である。例えば、4Kの画面解像度とは、横4096×縦2160や、横3840×縦2160、横4096×縦2304、横4096×縦2048等である。
【0016】
再多重装置20には、2K放送用の放送データと、この2K放送用の放送データと同時に同じ周波数帯を用いて送信装置30から送信されることとなる4K放送用の放送データが入力される。これらの放送データは、例えば、再多重装置20を備えた演奏所に設けられた他の装置から光回線又は同軸ケーブルなどを介して、再多重装置20に入力される。再多重装置20は、これらの放送データに対して、後述する再多重処理を行ない、再多重処理が行われたデータを各送信装置30に出力する。
【0017】
各送信装置30は、再多重装置20から受信したデータに対して、変調部300によりOFDM変調を行ない、受信したデータをOFDM変調波として出力する。ここで、各送信装置30は、変調処理の開始タイミングを調整することにより、各送信装置30からの出力タイミングを同期させる。すなわち、各送信装置30は、SFNの同期を実現する。本実施の形態では、2K放送のための信号と4K放送のための信号をOFDM変調波として同時に出力するため、複数の送信装置30間での出力タイミングの同期に加え、2K放送用のデータと4K放送用のデータの変調処理の開始タイミングを調整する必要がある。このために、再多重装置20は、再多重装置20から送信装置30に送信するパケット列に、このタイミングを制御するためのパケット(以下、タイミングパケット若しくは遅延制御パケットとも称す)を挿入する。
【0018】
放送システム10において、2K放送用のデータと、4K放送用のデータは、それぞれ別の回線で再多重装置20から各送信装置30に伝送される。本実施の形態では、2K放送用のデータは、1対1のマイクロ波回線40aで送信され、4K放送用のデータは、IPネットワーク40bで伝送される。
図1において、2K放送用のデータの伝送路が実線で示され、4K放送用のデータの伝送路が破線で示されている。なお、一例として、2K放送用のデータは、再多重装置20から送信装置30へ無線送信され、4K放送用のデータは、再多重装置20から送信装置30へ有線送信されるが、これらの伝送が無線又は有線に限られなくてもよい。また、マイクロ波回線40aによる再多重装置20から送信装置30への伝送は、中継装置(不図示)を介して行われてもよい。
【0019】
ここで、マイクロ波回線40aによる伝送では、伝送路における遅延時間は一定である。すなわち、再多重装置20から、ある送信装置30への伝送の遅延時間は遅延時間Aで一定であり、再多重装置20から、別の送信装置30への伝送の遅延時間は遅延時間Bで一定である。なお、一般的に、遅延時間Aと遅延時間Bは異なる。これに対し、IPネットワーク40bでは、再多重装置20からある送信装置30への伝送の遅延時間は、一定の変動範囲内で変動する。また、一般的に、IPネットワーク40bにおける4K放送用データの伝送の遅延時間は、マイクロ波回線40aによる2K放送用データの伝送の遅延時間よりも、短い。
【0020】
次に、再多重装置20の構成について説明する。
図2は、実施の形態1にかかる再多重装置20の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、再多重装置20は、主に、2K再多重部210と、4K再多重部220と、パケット出力部230とを有する。2K再多重部210は、2K放送データをOFDM変調波として1以上の送信装置30から出力するために、入力された2K放送データについて再多重処理を行う。これにより、当該再多重処理により生成された第1の伝送データ(2K伝送データ)がマイクロ波回線40aを介して送信装置30に出力される。また、4K再多重部220は、4K放送データを2K放送データとともにOFDM変調波として送信装置30から出力するために、入力された4K放送データについて再多重処理を行う。これにより、当該再多重処理により生成された第2の伝送データ(4K伝送データ)がIPネットワーク40bを介して送信装置30に出力される。
【0021】
2K再多重部210には、2K放送用のデータが入力される。このデータは、MPEG−2で規格化されているTSパケットである。同様に、4K再多重部220には、4K放送用のデータが入力される。このデータは、例えば、TSパケットであるが、TLV(Type Length Value)パケットであってもよい。2K再多重部210及び4K再多重部220に入力されるデータは、例えば、映像及び音声などが多重化されたデータである。
【0022】
2K再多重部210は、公知の再多重処理を行う処理部である。2K再多重部210は、送信装置30において、2K放送用データに対して行われる一次変調の変調パラメータ(例えば、多値度、符号化率など)の所定のパラメータ値に基づいて、送信装置30に入力するデータレートを決定する。そして、2K再多重部210は、決定したデータレートで2K再多重部210から放送データを出力するよう、ヌル(Null)データが格納されたパケットであるヌル(Null)パケットを、2K再多重部210に入力されるデータに対して挿入する。すなわち、2K再多重部210は、変調パラメータに基づいて特定される所定のデータレートで、トランスポートストリーム(TS)を出力する。
【0023】
また、2K再多重部210は、映像及び音声などのデータを含むトランスポートストリームの他に、処理クロック(CLK)と、フレーム同期信号(Fsync)を送信装置30に出力する。これらは、マイクロ波回線40aを介して、送信装置30で受信される。なお、2K再多重部210によるTS、CLK、Fsyncの出力については、公知の技術であるため、その詳細な説明については省略する。処理クロック(CLK)は、再多重装置20の処理において用いられたクロックと同じであり、送信装置30は、再多重装置20から受信した処理クロックに従って、処理を行うこととなる。また、フレーム同期信号(Fsync)は、OFDMフレームの周期(OFDMフレームのフレーム長)と同期した信号であり、1つのOFDMフレームを構成することとなるデータ群(パケット群)の開始を示す信号である。なお、OFDMフレームの周期は、OFDM変調の変調パラメータ(モード及びガードインターバル)によって、一意に特定される。このように、2K再多重部210は、送信装置30で構成されこととなる各OFDMフレームの先頭パケットのタイミングを設定しているとも言える。
【0024】
また、2K再多重部210は、公知の再多重部と同様、TSに、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)情報などを含むIIP(ISDB-T Information Packet)を多重する。より詳細には、2K再多重部210は、フレーム同期信号(Fsync)の1周期ごとに、すなわち、OFDMフレームの1周期ごとに、TSに、IIPを多重する。TMCC情報は、送信装置30における変調を規定する変調パラメータなどのパラメータを含む情報である。ここで、2K再多重部210により多重されるTMCC情報は、ARIB STD―B31で規定されているTMCC_synchronization_wordを含む。TMCC_synchronization_wordの値には、第1の値W0か第2の値W1のいずれかの値が設定される。2K再多重部210は、フレーム同期信号(Fsync)の1周期ごとに、すなわち、OFDMフレームの1周期ごとに、TMCC_synchronization_wordの値を切り替えて、TSに多重する。このため、2K再多重部210は、フレーム同期信号(Fsync)の1周期ごとに、第1の値W0と第2の値W1を交互に出力する。このように、パラメータTMCC_synchronization_wordは、当該パラメータが多重されているデータ群により構成されるOFDMフレームが奇数番目のフレームであるか偶数番目のフレームであるかを示す情報ともいうことができる。または、当該パラメータが多重されているデータ群(パケット群)が奇数番目のデータ群であるか偶数番目のデータ群であるかを示す情報ともいうことができる。
【0025】
また、IIPパケットには、MPEG−2トランスポートストリームで用いられているcontinuity_counterが含まれる。したがって、2K再多重部210は、フレーム同期信号(Fsync)の1周期ごとに、すなわち、OFDMフレームの1周期ごとに、continuity_counterの値を、TSに多重して出力する。continuity_counterは、伝送されるTSパケットを順番にカウントするパラメータであり、TSパケットに含まれているパラメータである。IIPパケットには、当該IIPパケットが多重されるTSパケット群のうちの例えば先頭のTSパケットのcontinuity_counterの値が格納される。フレーム同期信号(Fsync)の1周期ごとに2K再多重部210が出力するIIPパケットに含まれるcontinuity_counterの値は、フレーム同期信号(Fsync)の1周期ごとに変動することとなる。
【0026】
このように、2K再多重部210は、OFDMフレームの周期毎に、所定のパラメータのパラメータ値を2K放送データに多重してトランスポートストリームを生成する。
【0027】
次に、4K再多重部220について説明する。
図2に示すように、4K再多重部220は、レート調整部221とタイミングパケット挿入部222とを有する。
【0028】
レート調整部221は、送信装置30において2K放送用データに対して行われる一次変調の変調パラメータの所定のパラメータ値と、4K放送用データに対して行われる一次変調の変調パラメータの所定のパラメータ値とに基づいて、送信装置30に入力するデータレートを決定する。本実施の形態では、放送システム10は、2K放送用データと4K放送用データを、同じ周波数帯を用いたOFDM変調波として、送信装置30から出力する。このため、伝送可能容量を2K放送用データの伝送と4K放送用データの伝送とで共用する。このとき、本実施の形態では、4K放送用データの伝送は、伝送可能容量のうち、2K放送用データの伝送に用いられた容量の残りの容量である空き容量を用いて行われる。このため、レート調整部221は、4K放送用データに対して行われる一次変調の変調パラメータ値のみならず、2K放送用データに対して行われる一次変調の変調パラメータ値に基づいて、4K放送用データについてのデータレートを決定する。そして、レート調整部221は、決定したデータレートで4K再多重部220から放送データを出力するよう、ヌル(Null)データが格納されたパケットであるヌル(Null)パケットを、レート調整部221に入力されるデータに対して挿入する。すなわち、レート調整部221は、変調パラメータに基づいて特定される所定のデータレートで、データを出力する。
【0029】
タイミングパケット挿入部222は、タイミングパケット(遅延制御パケットとも称される)を生成し、レート調整部221から出力されたデータ列に、生成したタイミングパケットを挿入する。タイミングパケットは、2K放送用のデータを伝送する回線と4K放送用のデータを伝送する回線の伝送の遅延時間の差を補償するための制御情報を含むパケットである。換言すると、タイミングパケットは、再多重装置20と送信装置30の間のマイクロ波回線40aの伝送遅延と再多重装置20と送信装置30の間のIPネットワーク40bの伝送遅延の差を補償するための制御情報を含むパケットである。制御情報は、タイミングパケット挿入部222により送信装置30毎に生成される。
【0030】
タイミングパケット挿入部222は、OFDMフレームの先頭パケットのタイミングに対応するタイミングで、タイミングパケットを挿入する。すなわち、タイミングパケット挿入部222は、先頭パケットの位置に対応する位置に、タイミングパケットを挿入する。具体的には、タイミングパケット挿入部222は、先頭パケットと対応する、4K放送データのパケットの直前に、タイミングパケットを挿入する。このとき、タイミングパケット挿入部222は、先頭パケットと対応する4K放送データのパケットの直前のパケット(先頭パケットと対応する4K放送データのパケットの1つ前のパケット)を、タイミングパケットに置き換える。したがって、タイミングパケットに置換されるパケットは喪失される。このため、レート調整部221は、置換される位置のパケットをNullパケットとしておく。
【0031】
ここで、タイミングパケットに格納される制御情報は、後述する送信装置30の4K遅延補正部310が遅延補償のために後段の変調処理の開始を遅延させる際の待機時間(遅延時間)の指標値を含む。より詳細には、制御情報は、送信装置30においてタイミングパケットパケットが受信された時点からタイミングパケットに続くパケットに対する変調処理を開始するまでの待機時間の指標値を含む。タイミングパケット挿入部222は、制御情報として指定するこの指標値を、2K伝送路遅延情報と、4K伝送路遅延情報と、OFDMフレームの周期とに基づいて特定する。2K伝送路遅延情報は、再多重装置20と送信装置30の間の伝送に用いられるマイクロ波回線40aの送信装置30毎の遅延時間である。これは、予め測定された固定の遅延時間である。また、4K伝送遅延情報は、再多重装置20と送信装置30の間の伝送に用いられるIPネットワーク40bの送信装置30毎の遅延時間である。これは、予め測定された結果に基づいて設定された時間である。上述の通り、IPネットワーク40bの遅延時間は、変動する。このため、4K伝送遅延情報として、例えば、測定結果として得られた最小遅延時間が設定されてもよいし、平均遅延時間が設定されてもよい。
【0032】
上述の通り、制御情報は、送信装置30毎に生成される。ここで、ある送信装置30に対する制御情報の生成について説明する。ここでは、その送信装置30を送信装置Aと称すこととする。送信装置Aについての4K伝送路遅延情報が示す遅延時間が50ミリ秒であり、送信装置Aについての2K伝送路遅延情報が示す遅延時間が300ミリ秒であるとする。また、OFDMフレームの周期が231.336ミリ秒であるとする。この場合、送信装置Aでは、2K放送データが、4K放送データに比べて、250ミリ秒遅れて受信されることとなる。この250ミリ秒という遅延時間の差は、OFDMフレームの1周期に相当する時間以上かつ2周期に相当する時間未満である。この場合、4K放送データのタイミングパケットを送信装置Aが受信してから、1周期分の時間を待った上で最初に受信した2K放送データの先頭パケットが、当該タイミングパケットの直後のパケットと時間的に同期しているパケットとなる。したがって、この場合、タイミングパケットの直後のパケットが、送信装置Aにおいてどのタイミングで受信された先頭パケットに対応するかを送信装置Aが特定できるように、タイミングパケット挿入部222は、送信装置Aに対する指標値を例えば1として、送信装置Aに送信する。このように、タイミングパケット挿入部222は、送信装置Aに対する2つの伝送路の遅延時間の差がOFDMフレームのN(Nは整数)周期に相当する時間以上かつN+1周期に相当する時間未満である場合、送信装置Aに対する指標値として、Nを設定する。なお、本実施の形態では、指標値として、周期を設定しているが、具体的な時間を設定してもよい。すなわち、タイミングパケット挿入部222は、送信装置Aに対する2つの伝送路の遅延時間の差の値を指標値として設定してもよい。この場合、タイミングパケット挿入部222は、OFDMフレームの周期を用いずに、指標値を特定してもよい。タイミングパケット挿入部222は、送信装置30毎に、上述のようにして、指標値を決定する。
【0033】
ところで、上述した通り、IPネットワーク40bの遅延時間は変動する。このため、設定された4K伝送路遅延情報に基づいて決定された指標値に基づいて遅延補償を行った場合、送信装置30は、誤って、1フレーム分ずれたタイミングで4K放送データの変調処理を行ってしまう恐れがある。よって、指標値以外に参照される値が存在することが好ましい。このため、本実施の形態では、タイミングパケット挿入部222は、制御情報として、OFDMフレームの周期毎に、2K再多重部210により多重された所定のパラメータのパラメータ値を用いる。すなわち、本実施の形態では、2K再多重部210は、指標値と、パラメータ値とを含む制御情報を含む遅延制御パケットを生成する。制御情報として用いられる所定のパラメータは、具体的には、上述したTMCC_synchronization_word及びcontinuity_counterである。これらのパラメータ値は、フレーム周期毎に変動する値であるため、フレームを識別する情報として用いることができる。したがって、送信装置30において、4K放送データのタイミングパケットに含まれるパラメータ値と、2K放送データのIIPパケットのパラメータ値とを比較することにより、送信装置30において、2K放送データのパケットと4K放送データのパケットの時間的な対応をより正確に特定できる。なお、指標値とは異なり、制御情報として設定されるパラメータ値には、各送信装置30に共通の値が設定される。
【0034】
次に、パケット出力部230について説明する。パケット出力部230は、4K再多重部220から出力されたデータを、IPネットワーク40bで伝送するための適切な形式のデータに変換し、変換されたデータをIPネットワーク40bを介して送信装置30に出力する。具体的には、例えば、パケット出力部230は、4K再多重部220から出力されたデータに対して、MAC(Media Access Control)フレーミング処理、IP(Internet Protocol)フレーミング処理、及びUDP(User Datagram Protocol)フレーミング処理を行う。
【0035】
次に、送信装置30の変調部300について説明する。
図3A〜3Cは、変調部300の構成の一例を示すブロック図である。
図3A〜3Cに示すように、変調部300は、SFN遅延補正部301、外符号処理部302、階層分割部303、エネルギー拡散部304a、b、2K遅延補正部305a、b、バイトインターリーブ処理部306a、b、畳込み符号化処理部307a、b、ビットインターリーブ処理部308a、b、マッピング処理部309a、b、4K遅延補正部310、FECブロック構成部311、エネルギー拡散部312、BCH符号化処理部313、LDPC符号化処理部314、ビットインターリーブ処理部315、マッピング処理部316、階層合成部317、時間インターリーブ処理部318、周波数インターリーブ処理部319、OFDMフレーム構成部320、IFFT処理部321a、b、ガードインターバル付加部322a、b、直交変調処理部323a、bを含む。これらの構成要素は、再多重装置20から受信した処理クロック(CLK)に従って、処理を行う。以下、変調部300の各構成要素について説明する。なお、
図3A〜3Cは、階層伝送が行われる場合の変調部300の構成を示しており、マイクロ波回線40aを用いた2K放送データの伝送では、より詳細には、2階層のデータが伝送されているものとする。
【0036】
送信装置30から再多重装置20へとマイクロ波回線40aを介して伝送された2K放送データ及びフレーム同期信号(Fsync)と、送信装置30から再多重装置20へとIPネットワーク40bを介して伝送された4K放送データは、SFN遅延補正部301に入力される。
【0037】
SFN遅延補正部301は、各送信装置30間の伝送遅延の差を補償するための補正処理を行う。具体的には、SFN遅延補正部301は、所定の待機時間だけ入力されたデータを一時的に保持し、その後、後段の処理ブロックにデータを出力する。すなわち、SFN遅延補正部301は、後続の処理の開始を所定の待機時間だけ遅延させる処理を行う。なお、この待機時間は、例えば、再多重装置20から各送信装置30への伝送における送信装置30毎の伝送遅延時間のうちの最大の伝送遅延時間に基づいて予め設定されている。
【0038】
SFN遅延補正部301により遅延補正が行われた2K放送データは、外符号処理部302と、4K遅延補正部310とに入力される。また、SFN遅延補正部301により遅延補正が行われた4K放送データは、4K遅延補正部310に入力される。
【0039】
外符号処理部302には、上述した2つの階層のデータが入力される。そして、外符号処理部302は、入力されたデータに、所定の検査用の符号を付す処理を施す。本例では、外符号処理部302は、入力されたデータに、リードソロモン符号(RS(204,188))を付す処理を施す。そして、外符号処理部302は、検査用の符号が付されたデータを階層分割部303に出力する。
【0040】
階層分割部303は、2つの階層のデータを分割し、一方のデータをエネルギー拡散部304aに出力し、他方のデータをエネルギー拡散部304bに出力する。
【0041】
エネルギー拡散部304aは、階層分割部303から出力されたデータに所定のエネルギー拡散処理を施し、処理結果を2K遅延補正部305aに出力する。同様に、エネルギー拡散部304bは、階層分割部303から出力されたデータに所定のエネルギー拡散処理を施し、処理結果を2K遅延補正部305bに出力する。
【0042】
2K遅延補正部305a、bは、エネルギー拡散部304aからマッピング処理部309aまでの処理時間と、エネルギー拡散部304bからマッピング処理部309bまでの処理時間の差を補償するための遅延補正を行う。すなわち、2K遅延補正部305a、bは、後続の処理の終了タイミングがそろうように、所定の待機時間だけ後続の処理の開始を遅延させる処理を行う。
【0043】
2K遅延補正部305a、bの処理の後、バイトインターリーブ処理部306a、bの処理が行われる。バイトインターリーブ処理部306a、bは、バイト単位での並び替えを行うバイトインターリーブの処理を行う。なお、インターリーブの深さは、例えば、12バイトである。
【0044】
畳込み符号化処理部307a、bは、バイトインターリーブ処理部306a、bによってそれぞれ畳込みバイトインターリーブの処理が施されたビットストリームに、所定の畳込み符号化処理をそれぞれ施す。具体的には、畳込み符号化処理部a、bは、当該ビットストリームに、例えば、拘束長k=7、符号化率1/2の原符号をマザーコードとし、階層ごとにそれぞれ設定された符号化率で、パンクチャード畳込み符号の符号化処理を施す。
【0045】
ビットインターリーブ処理部308a、bは、畳込み符号化処理部307a、bにより符号化処理が施されたビットストリームに、後段のマッピング処理部309a、bでなされるマッピングに応じたビットインターリーブの処理を施す。
【0046】
マッピング処理部309a、bは、ビットインターリーブ処理部308a、bによってビットインターリーブの処理が施されたビットストリームに、マッピング処理を行う。具体的には、マッピング処理部309aは、例えば、ビットインターリーブ処理部308aがビットインターリーブの処理を施したビットストリームに、QPSK(Quadrature Phase shift Keying)のマッピング処理を施す。また、マッピング処理部309bは、例えば、ビットインターリーブ処理部308bがビットインターリーブの処理を施したビットストリームに、64QAM(Quadrature Amplitude Modulation)等のマッピング処理を施す。そして、マッピング処理部309a、bは、ビットストリームがマッピングされた信号を階層合成部317に出力する。
【0047】
4K遅延補正部310は、再多重装置20により挿入されたタイミングパケットに基づいて、再多重装置20から送信装置30への伝送におけるマイクロ波回線40aとIPネットワーク40bの伝送遅延の差を補償するための補正処理を行う。具体的には、4K遅延補正部310は、タイミングパケットに含まれる制御情報に基づいて、タイミングパケットに続くパケットに対する後続の処理の開始タイミングを調整する。本実施の形態では、4K遅延補正部310は、以下で述べるように、制御情報に含まれる指標値とパラメータ値とを参照して、後続の処理を開始するタイミングを調整するが、パラメータ値を参照せずに、後続の処理を開始するタイミングを調整してもよい。この場合、制御情報はパラメータ値を含まなくてもよい。また、4K遅延補正部310は、TMCC_synchronization_wordとcontinuity_counterのうち、いずれか一方のパラメータ値のみを参照して、後続の処理を開始するタイミングを調整してもよい。
【0048】
4K遅延補正部310は、タイミングパケットが受信されると(すなわち、4K遅延補正部310にタイミングパケットが入力されると)、指標値を参照する。上述の通り、この指標値は、マイクロ波回線40aとIPネットワーク40bの遅延時間の差がどのくらいあるかを示す情報である。例えば、この指標値の値がN(周期)である場合、4K遅延補正部310は、送信装置30におけるマイクロ波回線40aとIPネットワーク40bの遅延時間の差が、OFDMフレームのN周期に相当する時間以上かつN+1周期に相当する時間未満であることを検知することができる。すなわち、タイミングパケットが4K遅延補正部310に入力されてから、N周期分の時間を待った上で最初に受信した2K放送データのフレームの先頭パケットが、当該タイミングパケットの直後のパケットと時間的に同期しているパケットであることを検知することができる。ここで、2K放送データのフレームの先頭パケットは、フレーム同期信号(Fsync)を4K遅延補正部310が監視することにより特定される。なお、4K遅延補正部310は、フレーム同期信号(Fsync)を監視するのではなく、2K放送データに含まれるIIPパケットを参照することにより、2K放送データにおけるフレームの先頭パケットを特定してもよい。IIPパケットには、IIPパケットのどれだけ後ろに先頭パケットが存在するかを示す情報が含まれているため、この情報を参照することにより、先頭パケットを特定できるからである。この場合、4K遅延補正部310は、フレーム同期信号(Fsync)を監視しなくてもよい。
【0049】
4K遅延補正部310は、指標値に基づいて、タイミングパケットの直後のパケットと時間的に同期している2K放送データのパケットを特定すると、その特定に誤りがないかを検証する。具体的には、4K遅延補正部310は、タイミングパケットに含まれるパラメータ値(TMCC_synchronization_word及びcontinuity_counter)と、特定されたパケットに対応するIIPパケットに格納されているこれらのパラメータ値とを比較して、両者が一致しているか否かを判定する。両者が一致している場合、4K遅延補正部310は、指標値に基づく特定に誤りがないと判定する。これに対し、両者が一致しない場合、4K遅延補正部310は、指標値に基づく特定に誤りがあると判定する。この場合、4K遅延補正部310は、例えば、指標値に基づいて特定された先頭パケットの次の先頭パケットをタイミングパケットの直後のパケットと時間的に同期している2K放送データのパケットである特定する。
【0050】
4K遅延補正部310は、特定に誤りがないことが検証されると、特定された先頭パケットが入力される時点まで、タイミングパケットの後続のパケットを一時的に保持し、その後、後段の処理ブロックにデータを出力する。換言すると、4K遅延補正部310は、タイミングパケットの後続のパケット一時的に保持し、その後、4K遅延補正部310の処理に後続する処理を開始させる。このように、4K遅延補正部310は、後続の処理の開始を、遅延させる処理を行う。
【0051】
なお、4K遅延補正部310は、2K放送データに対する変調部300の処理時間と、4K放送データに対する変調部300の処理時間との差を補償するための遅延補正を行ってもよい。すなわち、4K遅延補正部310は、後続の処理の終了タイミングがそろうように、所定の待機時間だけ、後続の処理の開始をさらに遅延させてもよい。
【0052】
4K遅延補正部310の処理の後、FECブロック構成部311の処理が行われる。FECブロック構成部311は、入力されたパケットからFEC(Forward Error Correction)ブロックを生成する。すなわち、FECブロック構成部311は、入力されたビット列を、誤り訂正符号化を行うためのフォーマットに並べてエネルギー拡散部312に出力する。
【0053】
エネルギー拡散部312は、FECブロック構成部311から出力されたデータに所定のエネルギー拡散処理を施し、処理結果をBCH符号化処理部313に出力する。
【0054】
BCH符号化処理部313は、エネルギー拡散部312から出力されたビット列に、誤り訂正外符号であるBCH(Bose-Chaudhuri-Hocquenghem)符号化パリティを付加して、LDPC符号化処理部314に出力する。
【0055】
LDPC符号化処理部314は、BCH符号化処理部313から出力されたビット列に、誤り訂正内符号であるLDPC(Low-Density Parity-Check)符号化パリティを付加して、ビットインターリーブ処理部315に出力する。
【0056】
ビットインターリーブ処理部315は、LDPC符号化処理部314による処理が施されたビットストリームに、後段のマッピング処理部316でなされるマッピングに応じたビットインターリーブの処理を施す。
【0057】
マッピング処理部316は、ビットインターリーブ処理部315によってビットインターリーブの処理が施されたビットストリームに、マッピング処理を行う。具体的には、マッピング処理部316は、例えば、ビットインターリーブ処理部315がビットインターリーブの処理を施したビットストリームに、4096QAM、1024QAM、又は256QAM等のマッピング処理を施す。そして、マッピング処理部316は、ビットストリームがマッピングされた信号を階層合成部317に出力する。
【0058】
階層合成部317は、予め指定されたパラメータで、マッピング処理部309a、309b、316がそれぞれ出力した信号を合成してデータセグメントに挿入するとともに、速度変換を行う階層合成処理を行う。
【0059】
時間インターリーブ処理部318は、変調(マッピング処理)後のシンボルデータを時間的に分散させ、耐フェージング性能を改善させるために、変調シンボル単位(I,Q軸単位)で、階層合成処理が施された信号に所定の時間インターリーブ処理を施す。
【0060】
周波数インターリーブ処理部319は、時間に応じて、セグメント内でキャリア(搬送波)の周波数を変更(ローテーション)させたり、各セグメント間で使用する周波数帯を交換したりする周波数インターリーブの処理を行う。
【0061】
OFDMフレーム構成部320には、周波数インターリーブ処理部319によって周波数インターリーブの処理が施された信号と、パイロット信号と、TMCC信号と、AC(Auxiliary Channel)信号とが入力される。なお、パイロット信号は、例えば、連続キャリアである。また、TMCC信号は、再多重装置20から受信したTMCC情報に基づいて生成される信号である。AC信号は、例えば、放送に関する付加情報を伝送するための拡張用信号である。
【0062】
OFDMフレーム構成部320は、入力された各信号に基づいてOFDMフレームを構成する。具体的には、OFDMフレーム構成部320は、例えば、OFDMの各キャリアにおける各シンボルに、各信号の値を設定する。
図3Cに示した例では、OFDMフレーム構成部320は、例えば、水平偏波用のOFDMフレームと、垂直偏波用のOFDMフレームとを構成する。そして、OFDMフレーム構成部320は、例えば、水平偏波用のOFDMフレームをIFFT処理部321aに出力する。また、OFDMフレーム構成部320は、例えば、垂直偏波用のOFDMフレームをIFFT処理部321bに出力する。
【0063】
IFFT処理部321a、bは、入力された各OFDMフレームにそれぞれIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)の処理を施し、周波数領域の信号を時間領域の信号に変換する。そして、IFFT処理部321a、bは、変換後の時間領域の信号をガードインターバル付加部322a、bにそれぞれ出力する。
【0064】
ガードインターバル付加部322a、bは、入力された時間領域の信号に、当該時間領域の信号における有効シンボルの前に所定の時間分のデータを付加するガードインターバルの処理を施す。
【0065】
直交変調処理部323a、bは、ガードインターバル付加部322a、bが出力した時間領域の信号に、所定の直交変調処理を施す。具体的には、直交変調処理部323aは、例えば、ガードインターバル付加部322aが出力した時間領域の信号に所定の直交変調処理を施して、所定の送信周波数の第1のOFDM信号に変換する。また、直交変調処理部323bは、例えば、ガードインターバル付加部322bが出力した時間領域の信号に所定の直交変調処理を施して、所定の送信周波数の第2のOFDM信号に変換する。第1のOFDM信号は、送信装置30が備える水平偏波用の第1のアンテナ(不図示)に出力され、第1のアンテナによって電磁波に変換されて水平偏波で放射される。また、第2のOFDM信号は、送信装置30が備える垂直偏波用の第2のアンテナ(不図示)に出力され、第2のアンテナによって電磁波に変換されて垂直偏波で放射される。
【0066】
なお、
図3Cに示した例では、MIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)による送信を行う場合の変調部300の構成の一例を示したが、SISO(Single-Input and Single-Output)等による送信が行われてもよいことは言うまでもない。
【0067】
以上、実施の形態1について説明した。本実施の形態によれば、再多重装置20により、2K放送データと4K放送データとを同期させるためのタイミングパケットが4K放送データに挿入される。このため、2K放送データと4K放送データとを放送する場合の出力の同期を実現することができる。
【0068】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2は、実施の形態1の特徴的な要素から構成される実施の形態である。
図4は、実施の形態2にかかる放送システム1の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、放送システム1は、再多重装置2と、送信装置3とを含む。なお、
図4に示した例では、1つの送信装置3が示されているが、放送システム1は、複数の送信装置3を備えていてもよい。
【0069】
再多重装置2は、第1の再多重部2aと、第2の再多重部2bとを有する。
第1の再多重部2aは、第1の解像度の放送データをOFDM変調波として送信装置3から出力するために、第1の再多重部2aに入力された第1の解像度の放送データについて再多重処理を行う。そして、第1の再多重部2aは、当該再多重処理により生成された第1の伝送データを第1の回線4aを介して送信装置3に出力する。なお、第1の回線4aは、例えばマイクロ波回線であるが、これに限られず、他の任意の回線でもよい。
【0070】
また、第2の再多重部2bは、第2の解像度の放送データを第1の解像度の放送データとともにOFDM変調波として送信装置3から出力するために、第2の再多重部2bに入力された第2の解像度の放送データについて再多重処理を行う。そして、第2の再多重部2bは、当該再多重処理により生成された第2の伝送データを第2の回線4bを介して送信装置3に出力する。なお、第2の回線4bは、例えば、IPネットワーク40bであるが、これに限られず、第1の回線4aと異なる他の任意の回線でもよい。
【0071】
第2の再多重部2bは、第1の再多重部2aで設定された、OFDMフレームの先頭パケットのタイミングに対応するタイミングで、第1の回線4aと第2の回線4bの遅延時間の差を補償するための制御情報を含むパケットである遅延制御パケットを挿入する。その際、第2の再多重部2bは、送信装置3において遅延制御パケットが受信された時点から遅延制御パケットに続くパケットに対する変調処理を開始するまでの待機時間の指標値を、上述の制御情報として生成する。
【0072】
送信装置3は、再多重装置2から受信したデータをOFDM変調波として出力する装置であり、遅延補正部3aと、変調処理部3bとを有する。
【0073】
遅延補正部3aは、再多重装置2の第2の再多重部2bが生成した遅延制御パケットに含まれる制御情報に基づいて、当該遅延制御パケットに続くパケットに対する変調処理を開始するタイミングを調整する。また、変調処理部3bは、第1の解像度の放送データと第2の解像度の放送データとを変調して、OFDM変調波として出力する。
【0074】
このような構成によれば、再多重装置2の第2の再多重部2bにより、第1の解像度の放送データと第2の解像度の放送データとを同期させるための遅延制御パケットが生成される。そして、送信装置3の変調処理部3bは、遅延制御パケットに基づいて遅延補正部3aにより調整されたタイミングで、遅延補正部3aの処理に続く変調処理を行う。このため、第1の解像度の放送データと第2の解像度の放送データとを放送する場合の出力の同期を実現することができる。
【0075】
以上、各実施の形態で説明した処理は、例えば、プログラム制御に従って処理を実行するCPU(Central Processing Unit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)などのプロセッサが搭載されたコンピュータによって実現されてもよい。すなわち、再多重装置2、20、送信装置3、30は、コンピュータとしての機能を備えていてもよい。
図5は、実施の形態で説明した処理を行うコンピュータ50の構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、コンピュータ50は、送受信回路51、メモリ52、及びプロセッサ53を含む。
【0076】
送受信回路51は、他の装置とデータを送受信するための送信回路と受信回路である。メモリ52は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ52は、プロセッサ53により実行される、1以上の命令を含むソフトウェア(コンピュータプログラム)を格納するために使用される。プロセッサ53は、メモリ52からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、処理を行う。
【0077】
なお、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non−transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0078】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【課題】第1の解像度の放送データと第2の解像度の放送データとを放送する場合の出力の同期を実現することができる再多重装置、放送システム、再多重方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】再多重装置2は、第1の再多重部2aと第2の再多重部2bとを有する。第2の再多重部2bは、OFDMフレームの先頭パケットのタイミングに対応するタイミングで、第1の回線と第2の回線の遅延時間の差を補償するための制御情報を含むパケットである遅延制御パケットを挿入する。その際、第2の再多重部2bは、送信装置3において前記遅延制御パケットが受信された時点から前記遅延制御パケットに続くパケットに対する変調処理を開始するまでの待機時間の指標値を、前記制御情報として生成する。