(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施形態に係る路側無線通信機の開扉検知装置は、開閉扉が設けられた筐体の内部に、車載通信機との間で無線通信を行う通信モジュールを収容して構成された路側無線通信機において、前記筐体側及び前記開閉扉側のうちの一方側の部材に設けられたマグネットと、前記筐体側及び前記開閉扉側のうちの他方側の部材に設けられ、前記開閉扉が閉扉された状態で前記マグネットに吸着する磁性部材と、を備え、前記開閉扉が開扉されたときに、前記磁性部材と前記マグネットとの吸着が解除されることで、前記開閉扉の開扉を検知する、路側無線通信機の開扉検知装置であって、前記マグネット及び磁性部材のうちの少なくとも一方は、前記開閉扉が閉扉された状態で当該開閉扉の開閉基端側から開閉先端側へ向かう方向に細長く形成されており、前記筐体又は前記開閉扉に設けられ、前記開閉扉の閉扉状態から、前記開閉扉が開扉して前記開扉検知装置が前記開閉扉の開扉を検知するまでの間、前記マグネットの前記開閉先端側を隠す突起部材を備える。
【0013】
前記路側無線通信機の開扉検知装置によれば、開閉扉の閉扉状態から、開扉検知装置が開閉扉の開扉を検知するまでの間、マグネットの開閉先端側を突起部材によって隠すことができる。これにより、悪意ある者が、開閉扉の閉扉状態から開扉検知装置が開閉扉の開扉を検知までの間に、開閉扉の開閉先端部と筐体との隙間に別の磁性部材を差し込んでも、当該別の磁性部材がマグネットに吸着するのを突起部材によって邪魔することができる。その結果、前記別の磁性部材がマグネットに吸着して開扉検知装置が開閉扉の開扉を検知しないまま開閉扉が不正に開扉されるのを抑制することができる。
【0014】
(2)前記路側無線通信機の開扉検知装置において、前記突起部材がねじ部材であるのが好ましい。この場合、突起部材を筐体又は開閉扉に容易に取り付けることができる。
【0015】
(3)前記路側無線通信機の開扉検知装置において、前記ねじ部材が、特殊な工具を用いて締め付けられる特殊ねじであるのが好ましい。
この場合、例えば、磁性部材を特殊ねじで固定すれば、悪意のある者は、特殊工具を用いない限り、磁性部材を取り外してマグネットに吸着させることはできない。これにより、開扉検知装置が開閉扉の開扉を検知しないまま、開閉扉が不正に開扉されるのをさらに抑制することができる。
【0016】
(4)前記路側無線通信機の開扉検知装置において、前記マグネットの吸着面及び前記磁性部材の被吸着面のうち、一方の面は、前記開閉基端側から前記開閉先端側へ向かうに従って他方の面に向かって突出するように常に傾斜した状態で配置されているのが好ましい。
マグネットの吸着面または磁性部材の被吸着面が前記のように傾斜していない場合、開閉扉を閉扉状態から開扉するときに、マグネット及び磁性部材の吸着部分のうち、開閉先端側よりも開閉基端側のほうが、開扉方向への移動距離が短いため、吸着が解除されるタイミングが遅くなる。
【0017】
これに対して、上記(4)の開扉検知装置では、開閉扉が閉扉された状態で、マグネットの吸着面と磁性部材の被吸着面とは前記傾斜した状態で吸着されるので、開閉扉を閉扉状態から開扉するときに、マグネット及び磁性部材の吸着部分のうち、吸着が解除されるタイミングが遅くなる開閉基端側を、より早いタイミングで吸着を解除することができる。これにより、開扉検知装置は開閉扉の開扉をより早く検知することができるので、開扉検知装置が開扉を検知するときの開扉角度をより小さくすることができる。その結果、開閉扉の開閉先端部と筐体との隙間から別の磁性部材が差し込まれるのを効果的に抑制することができる。
【0018】
(5)前記路側無線通信機の開扉検知装置において、前記マグネット及び磁性部材のうちの前記少なくとも一方における、前記開閉基端側から前記開閉先端側へ向かう方向の長辺が水平方向に延びているのが好ましい。
この場合、前記開閉基端側から前記開閉先端側へ向かう方向が水平方向となり、開閉扉は水平方向に開閉するが、このような場合であっても、悪意ある者が、開閉扉の閉扉状態から開扉検知装置が開閉扉の開扉を検知までの間に、開閉扉の開閉先端部と筐体との隙間に別の磁性部材を差し込んだときに、当該別の磁性部材がマグネットに吸着するのを突起部材によって邪魔することができる。
【0019】
(6)前記路側無線通信機の開扉検知装置において、前記磁性部材は、前記他方側の部材に対して、前記磁性部材の被吸着面と垂直な方向に遊びを持った状態で取り付けられており、前記他方側の部材に設けられ、前記磁性部材を前記マグネット側に押圧する弾性部材をさらに備えるのが好ましい。
この場合、例えば、開閉扉と筐体との間をシールするパッキン等に起因して、筐体に対する開閉扉の閉扉位置にばらつきが生じても、そのばらつきに応じて、磁性部材を遊びの範囲内で移動させることで、マグネットと磁性部材との吸着位置も移動させることができる。そして、磁性部材は、前記吸着位置が変動しても、弾性部材の弾性力によりマグネット側に常に押圧されているので、開閉扉を閉扉したときに磁性部材を確実にマグネットに吸着させることができる。
【0020】
(7)前記路側無線通信機の開扉検知装置において、前記筐体は、その内部に内扉を有し、前記筐体側のマグネット又は磁性部材が、前記内扉に取り付けられているのが好ましい。
この場合、例えば、筐体の内部における内扉の取り付け誤差に起因して当該内扉に取り付けられるマグネット又は磁性部材の取り付け位置にばらつきが生じても、そのばらつきに応じて、磁性部材を遊びの範囲内で移動させることで、マグネットと磁性部材との吸着位置も移動させることができる。これにより、筐体内の内扉にマグネット又は磁性部材を取り付けても、開閉扉を閉扉したときに磁性部材を確実にマグネットに吸着させることができる。
【0021】
(8)前記路側無線通信機の開扉検知装置において、前記筐体は、前記開閉扉の開閉方向と同じ方向に開閉する内扉を内部に有し、前記筐体側のマグネット又は磁性部材が、前記内扉に取り付けられており、前記突起部材は、前記他方側の部材に設けられ、前記開閉扉が閉扉された状態で前記磁性部材の前記開閉先端側の端部が引っ掛けられており、前記磁性部材は、前記開閉扉の開扉途中に前記マグネットとの吸着が解除されることで、前記端部が前記突起部材から抜け落ちて前記マグネットに吸着不能となるように構成されているのが好ましい。
内扉が開閉扉の開閉方向と同じ方向に開閉する場合、例えば、開閉扉及び内扉を開扉して筐体内部の保守作業等を行うときに、以下のような問題が生じるおそれがある。作業中に、開扉されている開閉扉と内扉とが互いに近接すると、マグネット及び磁性部材のうち、内扉側に取り付けられた一方が、開閉扉側に設けられた他方に吸着することで、開扉検知装置は、開閉扉が開扉しているにも関わらず、その開扉を検知していない状態となる。
【0022】
これに対して、上記(8)の開扉検知装置では、開閉扉の開扉途中にマグネットと磁性部材との吸着が解除されることで、磁性部材の端部が突起部材から抜け落ちて、マグネットに吸着不能となるので、開閉扉の開扉後に内扉を開扉させたときに、両扉が互いに近接しても、磁性部材がマグネットに吸着することはない。これにより、開扉検知装置が、開閉扉を開扉しているにも関わらず、その開扉を検知していない状態となるのを抑制することができる。
【0023】
(9)前記路側無線通信機の開扉検知装置において、前記磁性部材の前記開閉基端側の端部又は前記開閉先端側の端部は、前記開閉先端側の端部が前記突起部材から抜け落ちた状態で前記開閉扉を閉扉したときに、その閉扉途中で前記開閉扉と前記筐体との間に噛み込んで前記開閉扉の閉扉を阻害するように形成されているのが好ましい。
開閉扉を開扉したときに、磁性部材の開閉先端側の端部が突起部材から抜け落ちてマグネットに吸着不能な状態になると、その状態で開閉扉を閉扉しても、磁性部材がマグネットに吸着しないため、開扉検知装置は開閉扉の開扉を検知した状態のままとなる。
【0024】
これに対して、上記(9)の開扉検知装置では、磁性部材の開閉先端側の端部が突起部材から抜け落ちた状態で開閉扉を閉扉しようとしても、その閉扉途中で開閉扉と筐体との間に磁性部材の開閉基端側又は開閉先端側の端部が噛み込むことで、開閉扉の閉扉を阻害することができる。これにより、磁性部材の開閉先端側の端部が突起部材から抜け落ちた状態で開閉扉を閉扉するときに、開扉検知装置が開閉扉の開扉を検知したまま開閉扉が閉扉されるのを抑制することができる。
【0025】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づき詳細に説明する。
[第1実施形態]
[交通管制システム]
図1は、本発明の一実施形態に係る路側無線通信機の開扉検知装置を含む交通管制システムが適用されている道路の平面図である。この交通管制システムは、交通管制室等に設けられた中央装置3、路側無線通信機4、交通信号機5、及び道路Rを走行する車両6に搭載された車載通信機7などを含んでいる。
【0026】
交通信号機5は、赤青黄の灯色を発光する交通信号灯器5aと、この交通信号灯器5aの灯色を制御するための交通信号制御機5bとを有している。交通信号制御機5bは、通信回線8aによって路側ルータ9に接続されている。この路側ルータ9は、ネットワーク網10を介して、中央装置3側のルータ11に接続されている。
【0027】
交通情報の収集、交通管理及び交通制御する中央装置3が生成する信号制御情報i1は、ネットワーク網10及び通信回線8aを通じて、各交通信号機5の交通信号制御機5bへ送信される。これに対して、交通信号制御機5bからは、実際に行った信号制御の実績を示す実行情報i2が、中央装置3へ送信される。
【0028】
路側無線通信機4は、各交差点Cにそれぞれ1つずつ設置されており、走行中の車両6の車載通信機7に送信する情報i3を無線送信するとともに、車載通信機7が送信する情報を無線受信する。本実施形態の路側無線通信機4は、ITS無線システムを想定した、無線LANやWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access )などに準拠した中・広域の無線通信装置(700MHz帯の無線通信を含む)である。
【0029】
路側無線通信機4が送信する情報i3には、中央装置3が配信する交通情報(渋滞情報や交通規制情報等)が含まれている。また、車載通信機7が送信する情報には、車両6の車両ID、車種情報及び位置情報等の情報データが含まれている。路側無線通信機4は、通信回線8bによって路側ルータ9に接続されている。車載通信機7が送信した情報データに含まれる車両情報i4は、路側無線通信機4から通信回線8b及びネットワーク網10を通じて中央装置3に送信される。
【0030】
車載通信機7は、路側無線通信機4との間で情報を無線で送受信する通信機能を有する。この車載通信機7は、車両6が交差点Cに向かって走行中に路側無線通信機4の通信領域に入ると、路側無線通信機4から情報i3を無線受信するとともに、前記情報データを含む情報を所定の送信周期(例えば、100m秒)で路側無線通信機4に無線送信する。
【0031】
[路側無線通信機]
図2は、本実施形態に係る開扉検知装置を用いた路側無線通信機4の斜視図である。路側無線通信機4は、筐体20と、筐体20の開口部を開閉する開閉扉31と、筐体20の内部に収容された通信モジュール40(
図3参照)とを備えている。
【0032】
図3は、開閉扉31を開扉した状態の路側無線通信機4の正面図である。
図2及び
図3において、筐体20は、筐体本体部21と、この筐体本体部21の内部に設けられた内扉22とを備えている。筐体本体部21は、例えば、上下方向に長い直方体形状の箱体からなり、図示しない信号柱などに取り付けられている。筐体本体部21の前面には、開口部21aが形成されている。
【0033】
開閉扉31は、筐体本体部21の開口部21aの形状に合わせて、上下方向に長い矩形状に形成されている。開閉扉31の右側縁部は、筐体本体部21の前側の右側縁部に、上下一対のヒンジ32を介して水平方向に回転自在に支持されている。これにより、開閉扉31は、筐体本体部21に対して開閉自在に取り付けられている。
【0034】
開閉扉31の開閉先端側には、当該開閉扉31を閉扉状態で施錠する施錠装置33が取り付けられている。また、開閉扉31の裏面には、その外周縁に沿って樹脂製のパッキン34が固定されており、開閉扉31を閉扉したときに、パッキン34が筐体本体部21の開口部21aの周縁全体に当接することで、筐体本体部21の内部が密封される。
【0035】
内扉22は、例えば、正方形状に形成された板部材からなり、筐体本体部21内の上側に配置されている。内扉22の右側縁部は、筐体本体部21の右側の内側面に、上下一対のヒンジ23を介して水平方向に回転自在に支持されている。これにより、
図4に示すように、内扉22は、筐体本体部21に対して、開閉扉31の開閉方向と同じ方向に開閉するように取り付けられている。筐体本体部21の左側の内側面には、内扉22を閉扉された状態で保持するロック部材24が取り付けられている。なお、内扉22は、開閉扉31と異なる方向に開閉するものであってもよい。また、筐体20は、内扉22を必ずしも備える必要はない。
【0036】
通信モジュール40は、前述のように、車載通信機7との間で無線通信を行う通信機能と、中央装置3との間で通信を行う通信機能とを有している。通信モジュール40は、筐体本体部21内において、内扉22よりも奥側(後ろ側)に配置されている。これにより、内扉22を閉扉することで、通信モジュール40の全体が内扉22によって覆われている。
【0037】
[開扉検知装置]
図3において、路側無線通信機4には、開閉扉31が開扉されたことを検知するマグネットスイッチ(開扉検知装置)50が設けられている。本実施形態のマグネットスイッチ50は、筐体20の上側に設けられたマグネット51と、開閉扉31の上側に設けられた磁性部材52とを備えている。マグネットスイッチ50は、開閉扉31を閉扉した状態ではマグネット51に磁性部材52が吸着されており、開閉扉31を開扉すると、マグネット51と磁性部材52との吸着が解除されることで、開閉扉31の開扉を検知する。マグネットスイッチ50の検知信号は、通信モジュール40によって中央装置3に異常信号として送信される。
【0038】
磁性部材52は、開閉扉31の開閉基端側(ヒンジ32側)から開閉先端側(施錠装置33側)へ向かう方向(
図3の左右方向)に細長く形成されており、マグネット51も、磁性部材52と同じ方向に細長く形成されている。つまり、マグネット51及び磁性部材52は、開閉扉31を閉鎖した状態で、開閉扉31の開閉基端側から開閉先端側へ向かう方向に細長く形成されている。本実施形態では、開閉扉31の開閉基端側から開閉先端側へ向かう方向は水平方向であるため、マグネット51及び磁性部材52は、それぞれ水平方向に延びる長辺51e,52eを有している。以下、筐体20について、正面視の右側を「開閉基端側」、正面視の左側を「開閉先端側」ともいう。
【0039】
なお、マグネット51及び磁性部材52は、筐体20の上側及び開閉扉31の上側にそれぞれ配置されているが、筐体20の下側及び開閉扉31の下側にそれぞれ配置されていてもよい。また、マグネットスイッチ50は、マグネット51を開閉扉31に設け、磁性部材52を筐体20に設けたものであってもよい。また、マグネット51及び磁性部材52は、開閉扉31の開閉基端側から開閉先端側へ向かう方向に細長く形成されているが、いずれか一方のみが当該方向に細長く形成されていればよい。
【0040】
[マグネット]
図5は、マグネット51及びその周囲を示す一部断面拡大正面図である。
図6は、マグネット51及びその周囲を示す拡大平面図である。
図5及び
図6において、マグネット51は、内扉22の上面に、ブラケット53及び保持部材54を介して固定されている。なお、マグネット51は、内扉22側に固定されているが、筐体本体部21側に固定されていてもよい。
【0041】
ブラケット53は、内扉22の上面に固定された縦板部53aと、この縦板部53aの上端から前方へ向かって水平方向に延びる横板部53bとを有している。横板部53bの前端面53cは、内扉22の前面22aと平行に配置されている。また、横板部53bの左右方向両端部には、ねじ孔53dが板厚方向に貫通して形成されている。
【0042】
保持部材54は、マグネット51を収納するボックス状の収納部54aと、この収納部54aの左右両端部の上側から左右方向外側に延びる一対の鍔部54bとを有している。各鍔部54bには、ねじ部材55が挿入される挿入孔54cが上下方向に貫通して形成されている。ねじ部材55は、鍔部54bの下側から、鍔部54bの挿入孔54cを貫通して、横板部53bのねじ孔53dに螺合されている。これにより、保持部材54は、ブラケット53の横板部53bに固定されている。
【0043】
マグネット51は、その前端部51bを除く残りの部分が保持部材54の収納部54aに挿入されて固定されている。マグネット51(前端部51b)の前端面は、磁性部材52が吸着する吸着面51aとされている。マグネット51及び保持部材54は、吸着面51aが横板部53bの前端面53cに対して傾斜するように、ブラケット53に固定されている。具体的には、マグネット51の吸着面51aは、
図6の右側から左側へ向かうに従って、前方に向けて突出するように傾斜した状態で、ブラケット53に固定されている。換言すれば、吸着面51aは、開閉基端側から開閉先端側へ向かうに従って、磁性部材52の被吸着面52a(
図7参照)に向かって突出するように常に傾斜した状態で配置されている。
【0044】
このように、マグネット51の吸着面51aを傾斜させることで、開閉扉31が閉扉された状態で、マグネット51の吸着面51aと磁性部材52の被吸着面52aとは傾斜した状態で吸着される。このため、開閉扉31を閉扉状態から開扉するときに、マグネット51及び磁性部材52の吸着部分では、吸着が解除されるタイミングが遅くなる開閉基端側を、より早いタイミングで吸着を解除することができる。これにより、マグネットスイッチ50は、開閉扉31が開扉したことを、より早く検知することができるので、開閉扉31の開扉を検知するときの開扉角度をより小さくすることができる。その結果、後述するように、悪意のある者によって、開閉扉31の開閉先端部と筐体本体部21との隙間から、別の磁性部材が差し込まれるのを効果的に抑制することができる。
【0045】
横板部53bの前端面53cに対する吸着面51aの傾斜角度θは、3°以上かつ7°以下に設定されているのが好ましい。傾斜角度θが7°を超えると、磁性部材52の被吸着面52aを遊び(後述)の範囲内で吸着面51の傾斜角度θに合わせることができなくなり、傾斜角度θが3°未満になると、マグネットスイッチ50により開閉扉31の開扉を効果的に早く検知することができなくなるからである。本実施形態では、前記傾斜角度θは5°に設定されている。
【0046】
なお、本実施形態では、マグネット51の吸着面51aが常に傾斜した状態で配置されているが、磁性部材52の被吸着面52aが常に傾斜した状態で配置されていてもよい。この場合、マグネット51の吸着面51aが磁性部材52の被吸着面52aの傾斜角度に合わせて傾くように、例えば、マグネット51を保持する保持部材54を、ブラケット53に対して遊びをもって支持すればよい。
【0047】
[磁性部材]
図7は、磁性部材52及びその周囲を示す拡大正面図である。
図8は、磁性部材52及びその周囲を示す拡大斜視図である。
図7及び
図8において、磁性部材52は、例えば矩形状に形成された金属製の板部材からなり、マグネット51よりも長手方向に長く形成されている。磁性部材52の前面は、その長手方向の中央部が、マグネット51の吸着面51aに吸着される被吸着面52aとされている。磁性部材52は、開閉扉31の裏面側において、開閉扉31が閉扉された状態で、被吸着面52aがマグネット51の吸着面51aに吸着する位置に、一対のねじ部材56により座金57を介して取り付けられている。
【0048】
具体的には、磁性部材52の長手方向両端部には、ねじ部材56が挿入される挿入孔(図示省略)が板厚方向に貫通して形成されている。ねじ部材56は、磁性部材52の挿入孔を貫通してボス部材58のねじ孔(図示省略)に螺合されている。ボス部材58は、ベース板59を介して開閉扉31の裏面に固定されている。
【0049】
ねじ部材56は、座金57とボス部材58との間で、磁性部材52が被吸着面52aと垂直な方向に遊びS(
図9参照)を持った状態となるように螺合されている。これにより、磁性部材52は、開閉扉31に対して遊びSを持った状態で取り付けられている。
ベース板59には、磁性部材52の背面の中央部に対向する位置で、磁性部材52を前方に押圧する弾性部材60が固定されている。弾性部材60は、例えばEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)によって直方体状に形成されている。
【0050】
以上より、磁性部材52の長手方向両端部は、開閉扉31に対して、それぞれ遊びSを持った状態で取り付けられているので、磁性部材52をマグネット51の吸着面51aに吸着するときに、吸着面51aの傾斜に対応して磁性部材52を傾斜させることができる。これにより、磁性部材52の被吸着面52aを、吸着面51aに沿って吸着させることができる。
【0051】
また、パッキン34に起因して筐体20に対する開閉扉31の閉扉位置にばらつきが生じたり、内扉22の取り付け誤差に起因するマグネット51の取り付け位置にばらつきが生じたりしても、これらのばらつきに応じて磁性部材52を前記遊びSの範囲内で移動させることで、マグネット51と磁性部材52との吸着位置も移動させることができる。そして、磁性部材52は、前記吸着位置が変動しても、弾性部材60の弾性力によりマグネット51側に常に押圧されているので、開閉扉31を閉扉したときに磁性部材52を確実にマグネット51に吸着させることができる。
【0052】
なお、前記遊びSは、所定の長さ範囲内に設定されているのが好ましい。遊びSが長くなり過ぎると、マグネット51と磁性部材52との吸着が解除されるまでに、開閉扉31の開扉角度が大きくなり過ぎて、後述するように悪意ある者が、開閉扉31と筐体20との隙間から別の磁性部材を容易に差し込むことができるようになってしまうからである。また、遊びSが短くなり過ぎると、マグネット51の取り付け位置等のばらつきを、遊びSの長さ範囲で吸収することができなくなるからである。
【0053】
[突起部材]
図9は、開閉扉31を閉扉した状態でマグネットスイッチ50を開閉扉31の開閉先端側から見た一部断面側面図である。
図9において、磁性部材52の開閉先端側の端部を開閉扉31側に取り付けているねじ部材56A(
図7も参照)の頭部56A1は、開閉扉31が閉扉された状態で、マグネット51の前端部51bの開閉先端側を隠す大きさに形成されている。
【0054】
また、開閉扉31の閉扉状態から、マグネットスイッチ50が開閉扉31の開扉を検知までの間、頭部56A1の先端面は、
図9の右方向に距離Lだけ移動するが、頭部56A1は、その移動距離Lの間も前記前端部51bの開閉先端側を隠す大きさに形成されている。したがって、ねじ部材56Aは、開閉扉31の閉扉状態から、マグネットスイッチ50が開閉扉31の開扉を検知するまでの間、マグネット51の前端部51bの開閉先端側を隠す突起部材として機能する。
【0055】
これにより、悪意ある者が、開閉扉31の閉扉状態から、マグネットスイッチ50が開閉扉31の開扉を検知するまでの間に、開閉扉31の開閉先端部と筐体本体部21との隙間に別の磁性部材を差し込んでも、当該別の磁性部材がマグネット51に吸着するのを突起部材56Aによって邪魔することができる。その結果、前記別の磁性部材がマグネット51に吸着してマグネットスイッチ50が開閉扉31の開扉を検知しないまま開閉扉31が不正に開扉されるのを抑制することができる。
【0056】
また、突起部材56Aは、ねじ部材であるため、開閉扉31側に容易に取り付けることができる。さらに、磁性部材52を開閉扉31側に固定するねじ部材56Aを、マグネット51の前端部51bの開閉先端側を隠す突起部材として利用しているため、部品点数が少なくなり、構造の簡素化を図ることができる。
なお、本実施形態では、磁性部材52を開閉扉31側に固定するねじ部材56Aを、マグネット51を隠す突起部材として利用しているが、前記突起部材として専用の部材を別途設けてもよい。
【0057】
図7において、突起部材56Aは、特殊な工具を用いて締め付けられる特殊ねじである。本実施形態の突起部材56Aは、例えば、頭部56A1に星形の工具係合溝56A2が形成されているが、他の特殊な形状の工具係合溝が形成されていてもよい。また、本実施形態では、磁性部材52の開閉基端側の端部を開閉扉31側に取り付けているねじ部材56Bも、突起部材(ねじ部材)56Aと同様に、頭部56B1に星形の工具係合溝56B2が形成されている。
【0058】
これにより、悪意のある者は、特殊工具を用いない限り、磁性部材52を開閉扉31から取り外して、筐体20側のマグネット51に吸着させることはできない。その結果、マグネットスイッチ50が開閉扉31の開扉を検知しないまま、開閉扉31が不正に開扉されるのをさらに抑制することができる。
なお、本実施形態では、両ねじ部材56A,56Bを特殊ねじとしているが、一方のねじ部材だけを特殊ねじとしてもよいし、両方のねじ部材を汎用工具によって締め付けられる汎用ねじとしてもよい。
【0059】
[磁性部材の第1変形例]
図10は、磁性部材の第1変形例を示すものであり、閉扉した開閉扉の裏面側から見た磁性部材及びその周囲を示す拡大正面図である。また、
図11は、開扉した開閉扉の裏面側から見た第1変形例の磁性部材及びその周囲を示す拡大正面図である。なお、
図10及び
図11では、説明の便宜上、パッキン34、座金57、ベース板59及び弾性部材60の図示を省略している。
【0060】
図10において、第1変形例の磁性部材52’における開閉基端側(図中の左側)の端部には、ねじ部材56Bのねじ部56B3が挿入される長孔52cが形成されている。長孔52cは、磁性部材52’の長手方向に長く形成されている。
また、磁性部材52’の開閉先端側(図中の右側)の端部には、突起部材56Aのねじ部56A3に引っ掛ける溝部52bが形成されている。溝部52bは、磁性部材52’の長手方向に長く形成されており、開閉先端側が開口している。これにより、磁性部材52’は、ねじ部材56A,56Bに対して、長手方向に移動可能に支持されている。
【0061】
開閉扉31の閉扉状態において、磁性部材52’は、ねじ部材56A,56Bに対して最も開閉先端側に偏って配置されており、ねじ部56B3は、長孔52cの開閉基端側の端部に位置し、かつねじ部56A3は溝部52bの開閉基端側の端部に位置している。
この状態から、開閉扉31を開扉すると、マグネット51と磁性部材52’との相対位置が変化しようとするが、磁性部材52’は、マグネット51に吸着されているため、マグネット51と共にねじ部材56A,56Bに対して開閉基端側に移動する。
【0062】
そして、開閉扉31の開扉途中において、
図11に示すように、磁性部材52’がねじ部材56A,56Bに対して最も開閉基端側に偏った位置まで移動すると、磁性部材52’の溝部52bがねじ部56A3から外れるとともに、マグネット51と磁性部材52’との吸着が解除されることで、磁性部材52’の開閉先端側の端部が突起部材56Aから抜け落ちる。すなわち、磁性部材52’の開閉先端側の端部は、ねじ部56B3を中心として、自重によって下方に回動する。これにより、磁性部材52’は、
図11の二点鎖線で示すように、その長手方向が上下方向を向いた状態となり、磁性部材52’の被吸着部52aは、マグネット51に吸着不能な状態となる。
【0063】
なお、この状態から開閉扉31を閉扉するときには、磁性部材52’の開閉先端側の端部を手動で上方へ回動し、
図10に示すように、溝部52bを突起部材56Aのねじ部56A3に引っ掛けてから、開閉扉31を閉扉すればよい。これにより、開閉扉31を閉扉したときに、磁性部材52’をマグネット51に吸着させることできる。
【0064】
以上、第1変形例の磁性部材52’を備えたマグネットスイッチ50では、開閉扉31の開扉途中にマグネット51と磁性部材52’との吸着が解除されることで、磁性部材52’の開閉先端側の端部が突起部材56Aから抜け落ちて、マグネット51に吸着不能となる。これにより、開閉扉31の開扉後に内扉22を開扉させたときに(
図4参照)、両扉31,22が互いに近接しても、磁性部材52’がマグネット51に吸着することはないので、マグネットスイッチ50が、開閉扉31を開扉しているにも関わらず、その開扉を検知していない状態となるのを抑制することができる。
【0065】
[磁性部材の第2変形例]
図12は、磁性部材の第2変形例を示すものであり、閉扉した開閉扉の裏面側から見た磁性部材及びその周囲を示す拡大正面図である。また、
図13は、開扉した開閉扉の裏面側から見た第2変形例の磁性部材及びその周囲を示す拡大正面図である。なお、
図12及び
図13では、説明の便宜上、パッキン34、座金57、ベース板59及び弾性部材60の図示を省略している。
【0066】
図12及び
図13において、第2変形例の磁性部材52”は、第1変形例の磁性部材52’をさらに変形したものであり、長孔52cよりも開閉基端側に延長部52dを有している。延長部52dは、磁性部材52”の開閉先端側の端部が突起部材56Aから抜け落ちた状態(
図13の二点点鎖線で示す状態)で開閉扉31を閉扉したときに、その開扉途中で開閉扉31と筐体本体部21との間に噛み込んで開閉扉31の閉扉を阻害するように形成されている。
【0067】
例えば、本変形例では、延長部52dにおける長孔52cから先端までの長さDは、磁性部材52”の開閉先端側の端部が突起部材56Aから抜け落ちた状態で、開閉扉31の上端よりも上方に突出する長さに設定されている。なお、本変形例では、磁性部材52”の開閉基端側の端部(延長部52d)により開閉扉31の閉扉を阻害しているが、例えば、マグネット51及び磁性部材52”が、筐体20の下側及び開閉扉31の下側にそれぞれ配置される場合には、磁性部材52”の開閉先端側の端部によって開閉扉31の閉扉を阻害してもよい。
【0068】
以上、第2変形例の磁性部材52”を備えたマグネットスイッチ50によれば、磁性部材52”の開閉先端側の端部が突起部材56Aから抜け落ちた状態で開閉扉31を閉扉しようとしても、その閉扉途中で開閉扉31と筐体本体部21との間に磁性部材52”の延長部52dが噛み込むことで、開閉扉31の閉扉を阻害することができる。これにより、磁性部材52”の開閉先端側の端部が突起部材56Aから抜け落ちた状態で開閉扉31を閉扉するときに、マグネットスイッチ50が開閉扉31の開扉を検知したまま開閉扉31が閉扉されるのを抑制することができる。
【0069】
なお、第1および第2変形例の磁性部材52’,52”は、本実施形態の磁性部材52と同様に遊びSを持って開閉扉31側に支持されているが、遊びSを持たずに開閉扉31側に固定されていてもよい。この場合、磁性部材52’,52”をマグネット51側に押圧する弾性部材60も不要となる。
【0070】
[その他]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。