特許第6962646号(P6962646)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6962646自動車の道路横断方向位置や前方障害物を把握する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6962646
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】自動車の道路横断方向位置や前方障害物を把握する方法
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/00 20060101AFI20211025BHJP
【FI】
   B60Q1/00 G
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2020-219848(P2020-219848)
(22)【出願日】2020年12月29日
【審査請求日】2020年12月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520105164
【氏名又は名称】山崎 明美
(72)【発明者】
【氏名】山崎 貴志
【審査官】 下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第111741872(CN,A)
【文献】 特開2018−186003(JP,A)
【文献】 特開平07−305312(JP,A)
【文献】 特開2015−155270(JP,A)
【文献】 特開2019−011634(JP,A)
【文献】 特開2019−214373(JP,A)
【文献】 特開平10−268067(JP,A)
【文献】 特開2019−190838(JP,A)
【文献】 特開2012−183863(JP,A)
【文献】 特開2017−119469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光のレンズ屈折またはミラー反射のみにより生成した、1本の略直線状のラインレーザー光(1)を、自車に設置したレーザー発振器(2)から、自車進行方向の前方地表または前方またはその両方に向けて照射することにより、自車の道路横断方向位置または前方障害物またはその両方を把握する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吹雪や濃霧の視界不良時等の自動車走行において、自車の道路横断方向位置または前方障害物またはその両方を把握するのに好適な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホワイトアウト呼ばれるような吹雪や濃霧の中を自動車で走行する場合、運転者の視界一面が真っ白で、道路表面の形状や前方障害物を把握するための目視情報がほとんど無いことから、自車の道路横断方向位置や前方障害物を把握できず、道路逸脱、対向車線へのはみ出し、路側雪堤への接触、前方車両への追突、吹きだまりへの突っ込みなどが発生しやすい。
【0003】
従来技術では、吹雪や濃霧の視界不良時等の自動車走行において、自車の道路横断方向位置や前方障害物を把握しやすくするため、すなわち視認性向上のために、特許文献1に示されるようなフォグランプが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−137071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術であるフォグランプでは、道路表面を面状に照らすものであるため、道路表面や前方障害物が積雪により真っ白な場合には道路表面や前方障害物の形状がわかりにくく、自車の道路横断方向位置や前方障害物を把握しにくい場合がある。
【0006】
本発明は、吹雪や濃霧の視界不良時等の自動車走行において、自車の道路横断方向位置または前方障害物またはその両方を把握するのに好適な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
レーザー光のレンズ屈折またはミラー反射のみにより生成したラインレーザー光1を、自車に設置したレーザー発振器2から、自車進行方向の前方地表または前方またはその両方に向けて照射することにより、自車の道路横断方向位置または前方障害物またはその両方を把握する。
【発明の効果】
【0008】
ラインレーザー光1を、自車に設置したレーザー発振器2から、自車進行方向の前方地表や前方に向けて照射することで、ラインレーザー光1が道路表面や雪堤4表面や前方障害物表面に反射して、反射光によるラインが描かれる。
【0009】
自車進行方向の前方地表に照射した道路横断方向のラインレーザー光1により描かれるライン(図2)は、主に道路表面の横断方向形状を表す。自車進行方向の前方に照射した道路横断方向のラインレーザー光1により描かれるライン(図3)は、主に前方および斜前方障害物表面の水平方向形状を表す。自車進行方向の前方地表および前方に照射した道路縦断方向のラインレーザー光1により描かれるライン(図4)は、主に道路表面の縦断方向形状および前方障害物表面の鉛直方向形状を表す。
【0010】
運転者は、ラインレーザー光1により描かれるラインで表された道路表面の形状や前方障害物表面の形状を把握することにより、路側雪堤、歩道段差、前方車両、吹きだまりなどの存在や位置を把握できるため、自車の道路横断方向位置を把握することや、前方車両への追突、吹きだまりへの突っ込みを回避することができる。
【0011】
従来技術であるフォグランプは道路表面等を面状に照らすものであるのに対し、本発明は道路表面等を線状に照らすことで道路表面等の形状を詳細に把握できるようにするものである。
【0012】
本発明の効果は、レーザー光の反射光から得られる目視情報によるものであるため、明るい日中では効果が低い場合もあるが、夜間など周囲が暗い場合には高い効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る実施例の斜視図。
図2】前方地表に照射した道路横断方向のラインレーザー光1により描かれるライン。
図3】前方に照射した道路横断方向のラインレーザー光1により描かれるライン。
図4】道路縦断方向のラインレーザー光1により描かれるライン。
図5】複数本の道路横断方向のラインレーザー光1により描かれるライン。
【発明を実施するための形態】
【0014】
レーザー光のレンズ屈折またはミラー反射のみにより生成したラインレーザー光1を、自車に設置したレーザー発振器2から、自車進行方向の前方地表または前方またはその両方に向けて照射する。図1に示す実施例では、道路横断方向と道路縦断方向のラインレーザー光1をそれぞれ1本ずつ、それぞれ別々のレーザー発振器2により照射し、レーザー発振器2の設置位置はそれぞれ車両前方上部と車両先端としているが、ラインレーザー光1の本数やレーザー発振器2の設置位置を限定するものではない。
【0015】
図5に示す実施例ように、複数本の道路横断方向のラインレーザー光1を、それぞれ進行方向にずらした位置の地表に照射することにより、道路横断方向の表面形状をより詳細に把握できるため、自車の道路横断方向位置を把握するための効果が高くなる。
【0016】
複数本のラインレーザー光1を照射する方法としては、複数台のレーザー発振器2を用いる方法のほかに、1台のレーザー発振器2による方法もある。
【0017】
ラインレーザー光1は必ずしも直線状である必要はなく、また、照射の方向も道路横断方向または道路縦断方向に限らず斜め方向の照射パターンも考えられる。
【0018】
レーザー発振器2の設置位置について、運転者の目線より高い位置の場合、道路表面横断方向形状の把握に有利であるが、浮遊雪粒子や霧滴による反射光が運転者の視界に入る悪影響が発生する。運転者の目線より低い位置の場合、浮遊雪粒子や霧滴による反射光の悪影響は前者に比べて少ないが、道路表面横断方向形状の把握には前者に比べて不利である。
【0019】
道路横断方向のラインレーザー光1の照射範囲は、必ずしも自車の車幅をカバーする必要は無く、雪堤や歩道が存在することが多い自車の左側のみに照射する範囲設定も考えられる。自車の左側にレーザー発振器2を設置し、ラインレーザー光1を自車の左側のみに照射することで、前記の運転者に対する浮遊雪粒子や霧滴による反射光の悪影響を軽減することができる。
【0020】
上記ここまでの記載は運転者の目視を対象にした記載であるが、可視光外波長のラインレーザー光1を用いて、カメラ撮影データの処理画像をモニタ出力することにより、運転者が路面表面形状等を把握することもできる。これにより、前記の明るい日中における低効果を改善し得るとともに、前記の運転者に対する浮遊雪粒子や霧滴による反射光の悪影響を解消することができる。また、前記カメラ撮影データは自動運転装置や危険警告装置等への入力情報となり得る。
【符号の説明】
【0021】
1 ラインレーザー光
2 レーザー発振器
3 自動車
4 雪堤
【要約】
【課題】吹雪や濃霧の視界不良時等の自動車走行において、自車の道路横断方向位置または前方障害物またはその両方を把握する方法を提供する。
【解決手段】ラインレーザー光1を、自車に設置したレーザー発振器2から、自車進行方向の前方地表または前方またはその両方に向けて照射する。たとえば、自車進行方向の前方地表に照射した道路横断方向のラインレーザー光1により描かれるラインは、主に道路表面の横断方向形状を表すため、自車の道路横断方向位置の把握に資する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5