【実施例】
【0026】
本発明の実施の形態に係るエンジン1は、
図1に示すように、シリンダヘッド2と、シリンダヘッド2の上部に取り付けられたロッカーカバー4と、シリンダヘッド2の下部に取り付けられたシリンダブロック6と、ロッカーカバー4の上方に配置されたエアクリーナ8と、シリンダブロック6の下部に取り付けられたオイルパン10と、を備えている。
【0027】
エンジン1は、気筒が直列に配置された直列気筒型エンジンとして構成されており、気筒配列方向が車両進行方向に対して垂直となるように車両に横置きに搭載される。なお、エンジン1は、吸気側(図示しないインテークマニホールドが配置されるが側であって、
図1の左側)が車両前側を向くように設置される。また、エンジン1は、エアクリーナ8を通って図示しない燃焼室に供給される空気と、図示しないインジェクターから燃焼室(図示せず)に供給されるガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料と、の混合気を点火することによって生じる燃焼圧力を図示しないピストンを介してクランクシャフトの回転運動に変換して動力を出力する。
【0028】
シリンダヘッド2は、アルミニウム合金製の鋳造品であって、エンジン1の骨格を構成する主要部品の一つとして構成されている。シリンダヘッド2には、
図2および
図3に示すように、エアクリーナ8を支持するための3つのブラケットBR1,BR2,BR3がボルトBLTによって締結されている。シリンダヘッド2は、本発明における「エンジン本体」に対応し、ブラケットBR1,BR2,BR3は、本発明における「取付部」に対応する実施構成の一例である。
【0029】
ブラケットBR1は、
図2および
図3に示すように、気筒配列方向に沿って延在するシリンダヘッド2の側面のうち排気側となる側面(図示しないエキゾーストマニホールドが取り付けられる側であって、エンジン1が車両に搭載された際に車両後側を向く面)に締結され、ブラケットBR2,BR3は、気筒配列方向に直交す方向に延在するシリンダヘッド2の両側面にそれぞれ締結されている。なお、ブラケットBR2は、エンジン1が車両に搭載された際に車両左側を向く側面に設置され、ブラケットBR3は、エンジン1が車両に搭載された際に車両右側を向く側面に設置される。
【0030】
また、3つのブラケットBR1,BR2,BR3には、
図2および
図3に示すように、ゴム製のグロメット20(
図16および
図17参照)を取り付けるための貫通孔H1,H2,H3がそれぞれ形成されている。グロメット20は、
図16および
図17に示すように、挿通孔20aが形成された略円筒形状に構成されており、外周面に挿通孔20aと同心状の環状溝20bが形成されている。グロメット20は、環状溝20bにブラケットBR1,BR2,BR3の貫通孔H1,H2,H3の内周面が嵌合されるようにしてブラケットBR1,BR2,BR3に取付けられる。これにより、貫通孔H1,H2,H3の軸中心線と挿通孔20aの軸中心線とがほぼ一致した状態となる。グロメット20は、本発明における「弾性部材」に対応する実施構成の一例である。
【0031】
なお、ブラケットBR1は、
図2、
図3および
図17に示すように、当該ブラケットBR1がシリンダヘッド2に取り付けられた際に、気筒軸線方向(鉛直方向、
図17の上下方向)の上側に向かうほどシリンダヘッド2の排気側となる側面から遠ざかる方向に傾斜状に延在する傾斜部ICP1を有しており(
図17のみに記載)、当該傾斜部ICP1に貫通孔H1が穿設されている。即ち、ブラケットBR1に形成された貫通孔H1は、その軸中心線がシリンダヘッド2の排気側となる側面側からシリンダヘッド2の吸気側となる側面側を見たときに、斜め上方を向く方向に向かって延在するように構成されている。
【0032】
また、ブラケットBR2,BR3は、
図2および
図3に示すように、ブラケットBR2,BR3がシリンダヘッド2に取り付けられた際に、気筒軸線方向(鉛直方向、
図16の上下方向)に対して直交する方向(水平方向、
図16の左右方向)に延在する水平部HP2,HP3を有しており、当該水平部HP2,HP3に貫通孔H2,H3が穿設されている。即ち、ブラケットBR2,BR3に形成された貫通孔H2,H3は、その軸中心線が気筒軸線方向(鉛直方向、
図16の上下方向)と平行な方向に延在するように構成されている。
【0033】
エアクリーナ8は、樹脂により成形されており、
図4ないし
図6に示すように、主に、エアクリーナケース80と、外気を取り入れるためにエアクリーナケース80に一体に成形された入口ダクト部82(
図5のみに記載)と、取り入れた空気を図示しないインテークマニホールドに供給するためにエアクリーナケース80に一体に成形された出口ダクト部84と、エアクリーナ8をシリンダヘッド2に取付けるためにエアクリーナケース80に一体に成形された3つの取付突起60,62,64と、を備えている。エアクリーナ8は、本発明における「エンジン部品」に対応し、3つの取付突起60,62,64は、本発明における「係止突起」に対応する実施構成の一例である。
【0034】
取付突起60は、エアクリーナ8がシリンダヘッド2に取り付けられた際に、シリンダヘッド2の排気側となる側面側に配置されることになるエアクリーナケース80の壁面に突出状に一体成形されている(
図4および
図7参照)。取付突起60は、
図8および
図10に示すように、一端がエアクリーナケース80に一体に接続された軸部60aと、当該軸部60aの先端に一体に接続された係止部60bと、を有する略キノコ状に形成されている。
【0035】
軸部60aは、先端(突出端)に向かうほどエアクリーナケース80の底面80aから遠ざかる方向の傾斜をもってエアクリーナケース80に接続されている。また、軸部60aは、基本的には円柱状に形成されており、グロメット20の挿通孔20aの内径よりも小さい外径を有するように構成されている。
【0036】
係止部60bは、当該係止部60bを軸部60aの軸中心線C1の延在方向に沿う方向の一方側から見たときの仮想投影面上における軸部60aの投影(
図9の破線で記された円)の図心(軸中心線C1の投影に相当)を通る任意の第1仮想直線VL1が当該軸部60aの投影の外周線および上述した仮想投影面上における係止部60bの投影の外周線のそれぞれと交差する点CP1,CP2同士の距離D1と、軸部60aの投影の図心(軸中心線C1の投影に相当)を通る任意の第2仮想直線VL2が当該軸部60aの投影の外周線および係止部60bの投影の外周線のそれぞれと交差する点CP3,CP4同士の距離D2と、が異なるような形状に形成されている。
【0037】
具体的には、係止部60bは、軸部60aの軸中心線C1と同軸上に配置された軸中心線C1’を有する仮想円錐体VCであって、その底面がグロメット20の挿通孔20aの内径よりも大きい直径を有する円形に形成されたものの当該軸中心線C1’を所定方向、具体的には、係止部60bを軸部60aの軸中心線C1の延在方向に沿う方向の一方側から見たときに、下側(エアクリーナ8がシリンダヘッドに取り付けられた状態においてオイルパン10側、
図9の下側)となる方向に平行移動させることにより得られる変形円錐体として形成されている。
【0038】
換言すると、係止部60bは、上述した仮想投影面上における仮想円錐体の投影(円形、
図9の二点鎖線)の上側(エアクリーナ8がシリンダヘッドに取り付けられた状態においてロッカーカバー4側、
図9の上側)の外周縁部を、仮想円錐体VCの軸中心線C1’から離れる方向に変形させると共に、仮想円錐体VCの軸中心線C1’に関して仮想円錐体VCの投影(円形、
図9の二点鎖線)の上側の外周縁部の反対側に位置する仮想円錐体VCの投影(円形)の外周縁部(下側周縁部)を、仮想円錐体VCの軸中心線C1’に近づく方向に変形させることにより得られる変形円錐体として形成されている。なお、係止部60bは、係止部60bにおける軸部60aの突出方向を向く面(変形円錐体の底面を除く面(側面))の表面積が、仮想円錐体VCにおける軸部60aの突出方向を向く面(変形円錐体の底面を除く面(側面))の表面積と同じかそれよりも小さくなるように設定されている。
【0039】
係止部60bを変形円錐体とする構成は、本発明における「前記軸部の延在方向に沿う方向の一方側から見たときの仮想投影面上における前記軸部の投影の図心を通る第1仮想直線が該軸部の投影の外縁および前記仮想投影面上における前記係止部の投影の外縁のそれぞれと交差する点同士の距離と、前記軸部の投影の図心を通る第2仮想直線が該軸部の投影の外縁および前記係止部の投影の外縁のそれぞれと交差する点同士の距離と、が異なるような態様」に対応する実施構成の一例である。
【0040】
取付突起62は、エアクリーナ8がシリンダヘッド2に取り付けられた際に、シリンダヘッド2の気筒配列方向に直交する側面のうちの一方の側面(エンジン1を搭載した車両の左側に配置される側面)寄りのエアクリーナケース80の底面80aに突出状に一体成形されている(
図4ないし
図7参照)。取付突起62は、底面80aに対してほぼ直角な方向に延出している。また、取付突起62は、
図11および
図12に示すように、一端がエアクリーナケース80に一体に接続された軸部62aと、当該軸部62aの先端に一体に接続された係止部62bと、を有する略キノコ状に形成されている。
【0041】
取付突起64は、エアクリーナ8がシリンダヘッド2に取り付けられた際に、シリンダヘッド2の気筒配列方向に直交する側面のうちの他方の側面(エンジン1を搭載した車両の右側に配置される側面)寄りのエアクリーナケース80の壁面に突出状に一体成形されている(
図5参照)。取付突起64は、底面80aに対してほぼ直角な方向に延出している。また、取付突起64は、
図5に示すように、一端がエアクリーナケース80に一体に接続された軸部64aと、当該軸部64aの先端に一体に接続された係止部64bと、を有する略キノコ状に形成されている。取付突起62と取付突起64とは、基本的に同一の構成を有しているため、以下では、取付突起62について説明し、取付突起64については説明を省略する。
【0042】
取付突起62の軸部62aは、基本的には円柱状に形成されており、グロメット20の挿通孔20aの内径よりも小さい外径を有するように構成されている。取付突起62の係止部62bは、上述した仮想円錐体VCと同一の形状、即ち、
図11、
図12および
図13に示すように、軸部62aの軸中心線C2と同軸上に配置された軸中心線C2’を有する円錐体として形成されている。したがって、係止部62bにおける軸部62aの突出方向を向く面(円錐体の底面を除く面(側面))の表面積は、係止部60bにおける軸部60aの突出方向を向く面(変形円錐体の底面を除く面(側面))の表面積と同じかそれよりも大きい。
【0043】
こうして構成されたエアクリーナ8は、取付突起60,62,64の各係止部60b,62b,64bをそれぞれブラケットBR1,BR2,BR3に取り付けたグロメット20,20,20の挿通孔20a,20a,20aに当接させた状態でシリンダヘッド2上に載置(セット)し、当該状態のままエアクリーナ8を上方から押し込むことによって、シリンダヘッド2に取り付けられる。具体的には、エアクリーナ8を上方から押し込むことによって、取付突起60,62,64の係止部60b,62b,64bがグロメット20,20,20の挿通孔20a,20a,20aを弾性変形させながら当該挿通孔20a,20a,20aを貫通し、係止部60b,62b,64bがグロメット20,20,20に係合される。
【0044】
こうして、仮に、グロメット20,20,20の挿通孔20a,20a,20aから抜け出る方向の力が取付突起60,62,64に作用したとしても、
図16および
図17に示すように、係止部60b,62b,64bの裏面60c,62c,64cがグロメット20,20,20の一方の主面20c,20c,20cに当接されることによって、取付突起60,62,64が挿通孔20a,20a,20aから抜け出ることが抑制された状態(取付突起60,62,64が抜け止めされた状態)で、エアクリーナ8のシリンダヘッド2への取り付けが完了する。
【0045】
なお、本実施の形態では、各係止部60b,62b,64bを変形円錐体および円錐体として構成したため、各係止部60b,62b,64bをブラケットBR1,BR2,BR3のグロメット20,20,20の挿通孔20a,20a,20aへ容易に挿通させることができる。また、各係止部60b,62b,64bにおける軸部60a,62a,64aの突出方向を向く面(変形円錐体および円錐体の底面を除く面(側面))の表面積が同じ大きさとなるように各係止部60b,62b,64bを構成したため、各係止部60b,62b,64bがグロメット20,20,20の挿通孔20a,20a,20aに挿通される際の挿通性をほぼ同じにすることができる。これにより、エアクリーナ8のシリンダヘッド2への取付性を維持することができる。
【0046】
次に、こうして構成された本発明の実施の形態に係るエンジン1を搭載した車両の走行に起因してエアクリーナ8に外力が作用した際のエアクリーナ8の動作、特に、当該車両が急制動された際のエアクリーナ8の動作について説明する。
【0047】
本発明の実施の形態に係るエンジン1を搭載した車両が急制動されると、
図14に示すように、慣性力に起因した力のモーメントMがエアクリーナ8に作用する。当該力のモーメントMは、出口ダクト部84周辺部、より具体的には、出口ダクト部84が接続された図示しないインテークマニホールド周辺部を中心としてエアクリーナ8を回転させようとする回転力RFとしてエアクリーナ8に作用し、当該回転力RFの分力の一つが、
図16および
図17に示すように、取付突起60,62,64の係止部60b,62b,64bとブラケットBR1,BR2,BR3(具体的には、ブラケットBR1,BR2,BR3のグロメット20,20,20の挿通孔20a,20a,20a)との係合を解除する方向の力PFとして取付突起60,62,64に作用する。
【0048】
ここで、取付突起62,64においては、
図16に示すように、回転力RFの作用方向と、取付突起62,64の軸中心線C2の延在方向(取付突起62,64がブラケットBR2,BR3に取り付けられたグロメット20,20の挿通孔20a,20aから抜け出る方向)と、が大きく異なっているため、取付突起62,64を挿通孔20a,20aから引き抜こうとする力PFを小さく抑えることができる(力PF<<回転力RF)。
【0049】
これにより、係止部62b,64bが軸部62a,64aと同軸上に配置された円錐体として構成されていたとしても、当該力PFが、係止部62b,64bとブラケットBR2,BR3(具体的には、ブラケットBR2,BR3に取り付けられたグロメット20,20の挿通孔20a,20a)との係合力を上回ることがなく、取付突起62,64がブラケットBR2,BR3に取り付けられたグロメット20,20の挿通孔20a,20aから抜け出ることを良好に抑制することができる。
【0050】
一方、取付突起60においては、
図17に示すように、回転力RFの作用方向と、取付突起60の軸中心線C1の延在方向(取付突起60がブラケットBR1に取り付けられたグロメット20の挿通孔20aから抜け出る方向)と、がほぼ同じとなるため、取付突起60を挿通孔20aから引き抜こうとする力PFは、ほぼ回転力RFと同等の大きさとなる(力PF≒回転力RF)。
【0051】
これにより、係止部60bが軸部60aと同軸上に配置された円錐体として構成されていると、当該力PFが係止部60bとブラケットBR1(具体的には、ブラケットBR1に取り付けられたグロメット20の挿通孔20a)との係合力を上回ってしまい、
図18および
図19に示すように、取付突起60がブラケットBR1に取り付けられたグロメット20の挿通孔20aから抜け出てしまう場合がある。
【0052】
しかしながら、本実施の形態では、取付突起60の係止部60bは、当該係止部60bを軸部60aの軸中心線C1の延在方向に沿う方向の一方側から見たときに、上側(エアクリーナ8がシリンダヘッドに取り付けられた状態において上側、
図9の上側)、換言すれば、エアクリーナ8(取付突起60)の回転方向先側(
図17の右斜め上方側)が膨出された変形円錐体として構成されている。
【0053】
即ち、本実施の形態では、エアクリーナ8(取付突起60)に力PFが作用した際に、グロメット20の一方の主面20cと接触して、取付突起60がグロメット20の挿通孔20aから抜け出ることを抑制し得る方向における係止部60bの裏面60cの面積が大きくなるように構成されている。
【0054】
これにより、エアクリーナ8(取付突起60)に力PFが作用した際に、係止部60bの裏面60cとグロメット20の一方の主面20cとを大きな接触面積をもって当接させることができるため、係止部60bとブラケットBR1(具体的には、ブラケットBR1に取り付けられたグロメット20の挿通孔20a)との係合力が力PFを下回ることがない。この結果、取付突起60がブラケットBR1に取り付けられたグロメット20の挿通孔20aから抜け出ることを良好に抑制することができる。
【0055】
以上説明した本実施の形態に係るエンジン1によれば、当該エンジン1を搭載した車両が急制動された際に、慣性力に起因した力のモーメントMによる回転力RFが作用する取付突起60,62,64のうち、回転力RFの作用方向とほぼ一致する軸中心線C1を有することによって、グロメット20の挿通孔20aから最も抜け出やすい構成とされた取付突起60の係止部60bを変形円錐体として構成し、取付突起60がグロメット20の挿通孔20aから抜け出ることを抑制し得る方向における係止部60bの裏面60cの面積を大きくする構成であるため、回転力RFが取付突起60,62,64に作用したとしても、当該取付突起60,62,64がグロメット20,20,20の挿通孔20a,20a,20aから抜け出ることを良好に抑制することができる。これにより、エアクリーナ8がシリンダヘッド2から外れることを抑制できる。もとより、取付突起60,62,64の係止部60b,62b,64bが変形円錐体および円錐体として構成されているため、取付突起60,62,64がグロメット20,20,20の挿通孔20a,20a,20aに良好に挿通され得る。これにより、エアクリーナ8のシリンダヘッド2への取付性が維持され得る。なお、取付突起60の係止部60bを変形円錐体として構成するのみであるため、取付突起60,62,64が挿通孔20a,20a,20aから抜け出ることを抑制するためのみの機構を別途設ける構成に比べて合理的である。
【0056】
また、本実施の形態に係るエンジン1によれば、各係止部60b,62b,64bにおける軸部62a,62a,64aの突出方向を向く面(変形円錐体および円錐体の底面を除く面(側面))の表面積が同じ大きさとなるように各係止部60b,62b,64bを構成したため、各係止部60b,62b,64bがグロメット20,20,20の挿通孔20a,20a,20aに挿通される際の挿通性をほぼ同じにすることができる。これにより、エアクリーナ8のシリンダヘッド2への取付性を維持することができる。
【0057】
本実施の形態では、取付突起60の係止部60bのみを変形円錐体とする構成としたが、これに限らない。例えば、取付突起60の係止部60bに加えて取付突起62の係止部62bおよび/または取付突起64の係止部64bも変形円錐体として構成しても良い。
【0058】
本実施の形態では、取付突起60の係止部60bを変形円錐体とする構成としたが、取付突起60がグロメット20の挿通孔20aから抜け出ることを抑制し得る方向における係止部60bの裏面60cの面積を大きくすることができる形状、即ち、軸部60aの軸中心線C1の延在方向に沿う方向の一方側から見たときの仮想投影面上における軸部60aの投影の図心を通る第1仮想直線が当該軸部60aの投影の外縁(円周)および当該仮想投影面上における係止部60bの投影の外縁のそれぞれと交差する点同士の距離と、軸部60aの投影の図心を通る第2仮想直線が当該軸部60aの投影の外縁(円周)および係止部60bの投影の外縁のそれぞれと交差する点同士の距離と、が異なるような態様であれば、係止部60bは如何なる形状であっても良い。当該形状として、例えば、係止部60bを円錐体として形成し、当該円錐体の軸中心線が軸部60aの軸中心線に対してオフセットされた状態で係止部60bを軸部60aに一体にする構成が考えられる。
【0059】
本実施の形態では、軸部60a,62a,64aは円柱状としたが、これに限らない。軸部60a,62a,64aは、例えば、三角柱状や四角柱状、円錐台形状など如何なる形状であっても良い。
【0060】
本実施の形態では、エンジン1を搭載した車両が急制動された場合におけるエアクリーナ8のシリンダヘッド2からの脱落抑制について説明したが、当該車両が左右旋回された場合や急加速された場合におけるエアクリーナ8のシリンダヘッド2からの脱落抑制に本発明の取付構造を適用しても良い。この場合、車両の走行(左右旋回や急加速など)に起因してエアクリーナ8に外力が作用した際に、取付突起60,62,64がグロメット20,20,20の挿通孔20a,20a,20aから抜け出ることを抑制し得る方向における係止部60b,62b,64bの裏面60c,62c,64cの面積を大きくすることができる形状に係止部60b,62b,64bを形成すれば良い。
【0061】
本実施の形態では、エアクリーナ8をシリンダヘッド2に取り付ける場合を例示したが、これに限らない。例えば、エアクリーナ8をエンジン1を構成する他の部品、例えば、ロッカーカバー4やシリンダブロック6などに取り付ける場合や、エアクリーナ8を車体に取り付ける場合、あるいは、エアクリーナ8をエンジン1を構成する部品と車体の両方に亘って取り付ける場合などに本発明を適用しても良い。なお、エアクリーナ8に限らず、エンジン1や車体に取り付けられる部材(例えば、レゾネータなど)を当該エンジン1や車体に取り付ける場合に本発明を適用しても良いことは言うまでもない。
【0062】
本実施の形態では、取付突起60,62,64をエアクリーナ8に設けると共に、当該取付突起60,62,64を係合するためのブラケットBR1,BR2,BR3をシリンダヘッド2に設ける構成としたが、これとは逆に、シリンダヘッド2に取付突起を設けると共に、エアクリーナ8にブラケットBR1,BR2,BR3を設ける構成としても良い。
【0063】
本実施の形態では、エアクリーナ8に3つの取付突起60,62,64を設ける構成としたが、取付突起の数は3つより少なくても良く、また、3つよりも多くても良い。
【0064】
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。