(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記傾き導出部は、前記ルックアップテーブルから出力された前記補正値を基に、前記センサに直交する直交方向からの前記センサ上の第1方向に向けての前記軸の傾きである第1方向傾きと、前記直交方向からの前記センサ上の前記第1方向に直交する第2方向に向けての前記軸の傾きである第2方向傾きを導出する、請求項1から3のいずれか一項に記載の傾き導出装置。
前記ルックアップテーブルから出力された前記補正値を基に、前記センサに直交する直交方向からの前記センサ上の第1方向に向けての前記軸の傾きである第1方向傾きと、前記直交方向からの前記センサ上の前記第1方向に直交する第2方向に向けての前記軸の傾きである第2方向傾きを導出する、請求項11から13のいずれか一項に記載の傾き導出方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施形態における傾き導出装置は、ペン状の指示器の傾きを導出する傾き導出装置であって、指示器は、軸方向の一端に設けられた第1電極と、軸の周囲に設けられた第2電極を備え、第1電極の位置と、第2電極の位置を検出する平面状のセンサと、制御部を備え、該制御部は、センサに直交する直交方向からの軸の傾いた方向である傾斜方向に向けての軸の傾きである傾斜方向傾きの暫定値と、補正値との対応関係が登録されたルックアップテーブルと、第1及び第2電極の各々の位置を基に暫定値を計算して、ルックアップテーブルへ入力する傾斜方向傾き計算部と、ルックアップテーブルから出力された補正値から傾きを導出する傾き導出部と、を備える。
また、本発明に係る傾き導出方法は、ペン状の指示器によって指示された位置を導出する傾き導出方法であって、平面状のセンサにより、指示器の軸方向の一端に設けられた第1電極と、軸を囲うように設けられた第2電極の各々の位置を検出し、第1及び第2電極の各々の位置を基に、センサに直交する直交方向からの軸の傾いた方向である傾斜方向に向けての軸の傾きである傾斜方向傾きの暫定値を計算して、該暫定値と、補正値との対応関係が登録されたルックアップテーブルへ入力し、ルックアップテーブルから出力された補正値から傾きを導出する。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態における傾き導出装置1と、これと共に使用される指示器101の説明図である。
図2は、傾き導出装置1の説明図である。
指示器101は、ペン状を成しており、軸C方向の一端に設けられた第1電極101aと、軸Cの周囲に設けられた第2電極101b、及び、これらを駆動する図示されない駆動電源を備えている。
第2電極101bは、本実施形態においては、軸Cを囲うようにリング状に設けられている。
第1及び第2電極101a、101bは、後述する傾き導出装置1のセンサ2と静電結合することにより、傾き導出装置1に対して信号を送信する。
【0018】
傾き導出装置1は、本実施形態においては、タブレット型の情報端末である。傾き導出装置1は、例えば液晶パネル等の表示装置の表面上に、平面状の、静電容量方式のセンサ2を備えたものであり、液晶パネルの表示領域の略全面にわたってセンサ2が設けられて、表示領域全体が、センサによる位置検知可能領域1aとなっている。傾き導出装置1のセンサ2は、位置検知可能領域1a内に指示器101が位置づけられた場合に、第1電極101aの位置と、第2電極101bの位置を検出して、指示器101によって指示された位置を検出する。
【0019】
センサ2は、第1方向に延在する複数の第1方向導体3と、第1方向と直交する第2方向に延在する複数の第2方向導体4を備えている。本実施形態においては、第1方向は紙面横方向である方向Xであり、第2方向は紙面縦方向である方向Yである。
第1方向導体3と第2方向導体4の各々は、位置検知可能領域1a内の表示装置の所定の画素数に導体3、4の一本が対応するように、表示装置の画素よりも粗い格子状となるように設けられている。
【0020】
傾き導出装置1は、選択回路5を備えている。第1及び第2方向導体3、4の各々の末端は、選択回路5に接続されている。選択回路5は、第1及び第2方向導体3、4の各々を所定の順序で選択することにより、指示器101の第1及び第2電極101a、101bから各導体3、4に送信された信号を受信する。
選択回路5は、各導体3、4から受信した信号を、次に説明する、入力データ生成部6へ送信する。
【0021】
傾き導出装置1は、入力データ生成部6を備えている。入力データ生成部6は、選択回路5から受信した信号を、指示器101の第1電極101aから受信した信号と、第2電極101bから受信した信号とに分類し、それぞれを第1電極データ、第2電極データとして、次に説明する制御部10へ送信する。
この分類は、例えば、センサ2及び選択回路5が、第1電極101aからの信号受信と第2電極101bからの信号受信を時分割で行うことにより行われる。
【0022】
傾き導出装置1は、制御部10を備えている。
図3は、制御部10の信号処理ブロック図である。制御部10は、重心計算部11、IIRフィルタ12、減算器13、傾斜方向傾き計算部14、ルックアップテーブル(以下、LUTと呼称する)15、及び、傾き導出部16を備えている。
【0023】
重心計算部11は、第1重心計算部11Aと第2重心計算部11Bを備えている。
第1重心計算部11Aは、入力データ生成部6が送信した第1電極データを受信し、方向Xと方向Yの各々における最大値を計算することで、指示器101の第1電極101aから送信された信号が最も強い、すなわち、第1電極101aの反応が最も強い、センサ2上の座標を特定する。
第1重心計算部11Aは、更に、この第1電極101aの反応が最も強いセンサ2上の座標を中心とした、縦横の各々において5つの第1及び第2方向導体3、4に相当する、計25個のセンサ2上の座標におけるデータを抽出する。
図4は、このように抽出された25個のデータD1〜D25を説明するものであり、
図4においては、第1電極101aの反応が最も強いセンサ2上の座標に相当するデータは、中心に位置するD13となっている。
【0024】
この25個のデータに対し、第1重心計算部11Aは、次の数式1に示すように、データの値D
iとセンサ2上の座標値(x
i、y
i)との積算を行うことで、第1電極101aの反応が最も強い方向Xと方向Yの各々におけるセンサ2上の座標値を、小数点以下の粒度で計算し、この計算結果を、表示装置の内部処理において使用される、方向Xと方向Yの各々の内部解像度値に換算して、第1電極暫定座標値A
t(A
xt、A
yt)を算出する。数式1において、N
x、N
yは、それぞれ、第2方向導体4と第1方向導体3の本数であり、P
x、P
yは、それぞれ、表示装置の方向Xと方向Yにおける内部解像度値である。
【0026】
第1重心計算部11Aは、第1電極暫定座標値A
tを、IIRフィルタ12へ送信する。
【0027】
第2重心計算部11Bは、第2電極データを受信し、第1重心計算部11Aと同様に、方向Xと方向Yの各々における最大値を計算することで、指示器101の第2電極101bから送信された信号が最も強い、すなわち、第2電極101bの反応が最も強い、センサ2上の座標を特定する。
第2重心計算部11Bは、更に、第1重心計算部11Aと同様に、第2電極101bの反応が最も強いセンサ2上の座標を中心とした、縦横の各々において5つの第1及び第2方向導体3、4に相当する、計25個のセンサ2上の座標におけるデータを抽出する。
この25個のデータに対し、第2重心計算部11Bは、第1重心計算部11Aと同様に、データの値D
iとセンサ2上の座標値(x
i、y
i)との積算を行うことで、第2電極101bの反応が最も強い方向Xと方向Yの各々におけるセンサ2上の座標値を計算し、この計算結果を表示装置の内部解像度値に換算して、第2電極暫定座標値B
t(B
xt、B
yt)を算出する。
第2重心計算部11Bは、第2電極暫定座標値B
tを、IIRフィルタ12へ送信する。
【0028】
IIRフィルタ12は、第1IIRフィルタ12Aと第2IIRフィルタ12Bを備えている。
第1IIRフィルタ12Aは、第1重心計算部11Aから第1電極暫定座標値A
tを受信し、時間方向のIIRフィルタを適用して、時間的なゆらぎを低減させ、第1電極座標値A(A
x、A
y)を算出する。
第1IIRフィルタ12Aは、第1電極座標値Aを減算器13へ送信する。
【0029】
第2IIRフィルタ12Bは、第2重心計算部11Bから第2電極暫定座標値B
tを受信し、時間方向のIIRフィルタを適用して、時間的なゆらぎを低減させ、第2電極座標値B(B
x、B
y)を算出する。
第2IIRフィルタ12Bは、第2電極座標値Bを減算器13へ送信する。
【0030】
減算器13は、第1IIRフィルタ12Aと第2IIRフィルタ12Bから、第1電極座標値Aと第2電極座標値Bを受信する。
減算器13は、座標値A、B間の差分を求めることで、より詳細には、B
x−A
x及びB
y−A
yを計算することで、第1方向差分S
xと、第2方向差分S
yを算出する。
減算器13は、第1方向差分S
xと第2方向差分S
yを、傾斜方向傾き計算部14へと送信すると同時に、傾き導出部16へと送信する。
【0031】
傾斜方向傾き計算部14は、第1及び第2電極の各々の位置A、Bを基に、より詳細には、位置A、Bを基に減算器13により算出された第1方向差分S
xと第2方向差分S
yを基に、傾斜方向傾きの暫定値を計算して、LUT15へ入力する。
図5は、指示器101の第1電極101a及び第2電極101bと、傾き導出装置1との関係を座標系として示したものである。
図5におけるXY平面が、傾き導出装置1の位置検知可能領域1aに相当する。
傾斜方向とは、センサ2に直交する直交方向Zからの軸Cの傾いた方向であり、
図5においては、この傾斜方向に向けての軸Cの傾きθが、傾斜方向傾きθとして示されている。
【0032】
指示器101の軸C方向における第1電極101aと第2電極101bの距離をLとすると、傾斜方向傾き計算部14は、XY平面内における第1電極座標値Aと第2電極座標値B間の距離Dを計算し、この距離Dを基に、傾斜方向傾きθの暫定値θ
tを計算する。
【0034】
傾斜方向傾き計算部14は、算出した傾斜方向傾きθの暫定値θ
tを、LUT15へ送信する。
【0035】
LUT15には、傾斜方向傾きθの暫定値θ
tと、補正値との対応関係が登録されている。本実施形態においては、補正値は、傾斜方向傾きθの補正値θ
cである。
【0036】
指示器101においては、第1電極101aをセンサ2に接するように設けた際に、
図11に示されるように、第2電極101bはセンサ2から離れて位置づけられるため、第2電極101bは、センサ2による検出値が小さくなる。また、第2電極101bは、軸Cの周囲に、第1電極101aに比べると大きな体積で形成されているため、センサ2が第2電極101bとして検出する範囲が大きい。このように、センサ2は、第2電極101bの位置として、小さい検出値が広く分布した領域を検出するため、第2電極101bの検出座標Bを正確に特定するのは容易ではない。したがって、第2IIRフィルタ12Bから出力された第2電極座標値Bは、誤差を多分に含むものとなっている。このため、傾斜方向傾きθを、上記のような数式2によって導出した場合においては、導出された傾斜方向傾きθには、上記の誤差が反映されている。
【0037】
ここで、実際に指示器101を傾けた角度と、第2電極座標値Bや傾斜方向傾きθの誤差を含む計算値との関係が予めわかっていれば、これらの誤差を含む計算値から、指示器101の精度の高い傾きを導き出せるはずである。すなわち、例えば実験などにより、上記の傾斜方向傾き計算部14により傾斜方向傾きθの暫定値θ
tを外部出力するように設定された傾き導出装置によって、実際に指示器101を傾けて角度を測り、その際の傾斜方向傾きθの暫定値θ
tの、誤差を含む出力値を取得する。この出力値θ
tに対し、実際の指示器101の傾きを傾きの補正値θ
cとして対応付けて、対応関係として保持しておく。実際に、傾きを測定する際には、誤差を含む傾斜方向傾きθの暫定値θ
tを、傾斜方向傾き計算部14によって、上記数式2により計算したうえで、この出力値θ
tを基に、対応関係において対応する傾きの補正値θ
cを導出することにより、指示器101の精度の高い傾きを求めることができる。LUT15には、このような対応関係が登録されている。
【0038】
図6に、LUT15の実施例を示す。本表においては、左から奇数番目の列に、傾斜方向傾き計算部14によって計算された、誤差を含む傾斜方向傾きθの暫定値θ
tが「アドレス」として示されており、その右側に、すなわち偶数番目の列に、各傾斜方向傾きθの暫定値θ
tに対応する補正値θ
cが「データ」として示されている。
例えば、「アドレス」が「40」の位置には、「データ」として値「33」が示されている。これは、傾斜方向傾き計算部14によって計算された傾斜方向傾きθの暫定値θ
tが40の場合には、補正値θ
cは33であることを意味する。すなわち、実験時には、傾斜方向傾き計算部14によって計算された傾斜方向傾きθの暫定値θ
tが40となる場合には、傾斜方向傾きが33となるように指示器101を傾けていたということを示している。
【0039】
本実施形態においては、傾斜方向傾きθは、例えば7ビットで実現されており、傾斜方向傾きθは理論上、127までの値を持ち得る。したがって、
図6はその一部分のみを記載したものとなっている。
図1に示されるように、本実施形態においては、指示器101は、第1電極101aの位置する先端から軸C方向に向けて漸次拡径し、テーパー状に形成されている。この、テーパー状に形成された部分の軸Cに対する角度αが、例えば25°とすると、第1電極101aを傾き導出装置1の位置検知可能領域1aに接触させた状態で、指示器101を25°を超えて傾けることは不可能であるため、補正値θ
cの上限は、この場合においては65°となっている。すなわち、本実施形態においては、LUT15には、上限値65°を超えた値は登録されていない。
【0040】
LUT15は、
図6に示されたような対応関係により、傾斜方向傾き計算部14から受信した傾斜方向傾きθの暫定値θ
tを基に、傾斜方向傾きθの補正値θ
cを抽出し、次に説明する傾き導出部16へと送信する。
【0041】
傾き導出部16は、減算器13から第1方向差分S
xと第2方向差分S
yを、LUT15から傾斜方向傾きθの補正値θ
cを、それぞれ受信する。
傾き導出部16は、LUT15から出力された傾斜方向傾きθの補正値θ
cから傾きを導出する。
より詳細には、傾き導出部16は、LUT15から出力された傾斜方向傾きθの補正値θ
cを基に、センサ2に直交する直交方向Zからのセンサ2上の第1方向に向けての軸Cの傾きである第1方向傾きと、直交方向Zからのセンサ2上の第1方向に直交する第2方向に向けての軸の傾きである第2方向傾きを導出する。
【0042】
上記のように、本実施形態においては、第1方向は
図5に示される方向Xであるから、直交方向Zからのセンサ2上の第1方向Xに向けての軸Cの傾きである第1方向傾きは、
図5におけるXZ平面内の角度θ
xに相当する。第1方向傾きθ
xは、換言すれば、直交方向Zからの、XZ平面へ投影された軸Cの成分である軸C
xの傾きである。
また、同様に、本実施形態においては、第2方向は
図5に示される方向Yであるから、直交方向Zからのセンサ2上の第2方向Yに向けての軸Cの傾きである第2方向傾きは、
図5におけるYZ平面内の角度θ
yに相当する。第2方向傾きθ
yは、換言すれば、直交方向Zからの、YZ平面へ投影された軸Cの成分である軸C
yの傾きである。
傾き導出部16は、次に示す数式3により、傾斜方向傾きθの補正値θ
cから、位置検知可能領域1aからの第2電極101bの高さHを計算した後に、数式4により、第1方向傾きθ
x及び第2方向傾きθ
yを導出する。
【0045】
また、傾き導出部16は、センサ2上の所定の方向からのセンサ2上における軸Cの回転角を導出する。
本実施形態においては、所定の方向は第1の方向Xであり、回転角は、
図5に示される、第1方向Xからの、XY平面すなわち位置検知可能領域1a上における、第2方向Yに向けての角度φに相当する。
傾き導出部16は、回転角φを、次に示す数式5により導出する。
【0047】
次に、上記傾き導出装置1を使用した傾き導出方法を、
図1乃至
図6、
図11を用いて説明する。
【0048】
指示器101が、その第1電極101aが傾き導出装置1の位置検知可能領域1aに接触するように、傾き導出装置1上に位置付けられると、傾き導出装置1は、センサ2により、第1電極101aと第2電極101bの各々の位置を検出する。
より詳細には、指示器101からセンサ2に送信された信号を、第1方向導体3と第2方向導体4の各々を介して、選択回路5が受信する。
選択回路5は、各導体3、4から受信した信号を、入力データ生成部6へ送信する。
【0049】
入力データ生成部6は、選択回路5から受信した信号を、指示器101の第1電極101aから受信した信号と、第2電極101bから受信した信号とに分類し、それぞれを第1電極データ、第2電極データとして、制御部10へ送信する。
【0050】
制御部10の第1重心計算部11Aは、入力データ生成部6が送信した第1電極データを受信し、指示器101の第1電極101aから送信された信号が最も強い、すなわち、第1電極101aの反応が最も強い座標を特定し、この第1電極101aの反応が最も強い、センサ2上の座標から、第1電極暫定座標値A
t(A
xt、A
yt)を算出する。
第1重心計算部11Aは、第1電極暫定座標値A
tを、IIRフィルタ12へ送信する。
第2重心計算部11Bは、第1重心計算部11Aと同様に、第2電極データを受信し、第2電極暫定座標値B
t(B
xt、B
yt)を算出して、IIRフィルタ12へ送信する。
【0051】
第1IIRフィルタ12Aは、第1重心計算部11Aから第1電極暫定座標値A
tを受信し、時間方向のIIRフィルタを適用して、第1電極座標値A(A
x、A
y)を算出し、減算器13へ送信する。
第2IIRフィルタ12Bは、第2重心計算部11Bから第2電極暫定座標値B
tを受信し、時間方向のIIRフィルタを適用して、第2電極座標値B(B
x、B
y)を算出し、減算器13へ送信する。
【0052】
減算器13は、第1IIRフィルタ12Aと第2IIRフィルタ12Bから、第1電極座標値Aと第2電極座標値Bを受信する。
減算器13は、第1方向差分S
xと、第2方向差分S
yを算出し、傾斜方向傾き計算部14へと送信すると同時に、傾き導出部16へと送信する。
【0053】
傾斜方向傾き計算部14は、第1及び第2電極の各々の位置A、Bを基に、より詳細には、位置A、Bを基に減算器13により算出された第1方向差分S
xと第2方向差分S
yを基に、上記の数式2によって、傾斜方向傾きθの暫定値θ
tを計算する。
傾斜方向傾き計算部14は、算出した傾斜方向傾きθの暫定値θ
tを、LUT15へ送信する。
【0054】
LUT15は、
図6に示されたような対応関係により、傾斜方向傾き計算部14から受信した傾斜方向傾きθの暫定値θ
tを基に、傾斜方向傾きθの補正値θ
cを抽出し、傾き導出部16へと送信する。
【0055】
傾き導出部16は、減算器13から第1方向差分S
xと第2方向差分S
yを、LUT15から傾斜方向傾きθの補正値θ
cを、それぞれ受信する。
傾き導出部16は、LUT15から出力された傾斜方向傾きθの補正値θ
cから傾きを導出する。
より詳細には、傾き導出部16は、LUT15から出力された傾斜方向傾きθの補正値θ
cを基に、上記の数式3、数式4によって、第1方向傾きθ
xと第2方向傾きθ
yを導出する。
また、傾き導出部16は、上記の数式5によって、軸Cの回転角φを導出する。
【0056】
次に、上記の傾き導出装置1及び傾き導出方法の効果について説明する。
【0057】
上記のような構成によれば、LUT15には、傾斜方向傾き計算部14によって計算された、誤差を含む傾斜方向傾きθの暫定値θ
tと、その補正値θ
cとの対応関係が登録されている。
より詳細には、本実施形態においては、LUT15には、例えば実験などにより、上記の傾斜方向傾き計算部14により傾斜方向傾きθの暫定値θ
tを外部出力するように設定された傾き導出装置によって、実際に指示器101を傾けて角度を測り、その際の傾斜方向傾きθの暫定値θ
tの、誤差を含む出力値を取得して、この出力値θ
tに対し、実際の指示器101の傾きを傾きの補正値θ
cとして対応付けた対応関係が格納されている。すなわち、LUT15の対応関係は、指示器101を実際に傾けた傾きの値と傾斜方向傾き計算部14の出力値を、それぞれ補正値θ
cと暫定値θ
tとして対応させることにより生成されている。
したがって、第2電極101bがセンサから離れていることに起因する微弱な検出値、第2電極101bの形状に起因する広い検出範囲等の要因により、第2IIRフィルタ12Bから出力された第2電極座標値B、及び、傾斜方向傾き計算部14においてこの第2電極座標値Bを基に計算された傾斜方向傾きθの暫定値θ
tが誤差を多分に含むものとなっていたとしても、この誤差に対応し解消した補正値θ
cをLUT15に格納し、傾き導出部16においてはこの補正値θ
cを傾斜方向傾きとして傾きの導出に使用するため、傾き導出部16の出力する傾きの精度を高めることができる。
【0058】
また、本実施形態においては、LUT15は傾斜方向傾きθの暫定値θ
tと補正値θ
cの対応関係を登録して保持するものであり、すなわち、
図6に示されるように、LUT15を1次元の配列として実現可能である。したがって、LUT15の実装に当たり必要とされるメモリ量が少量で済み、メモリ容量が低いハードウェアに対しても容易に適用可能である。
【0059】
[実験結果]
次に、
図7、
図8を用いて、上記実施形態に関する実験結果について説明する。
【0060】
図7は、傾斜方向傾きの導出結果をグラフとして示したものである。本実験においては、回転角φを0°として、傾斜方向傾きを計測した。
図7の横軸は、実際に指示器101を傾き導出装置1の位置検知可能領域1aに対して傾けた角度であり、縦軸は、傾き導出装置1における傾斜方向傾きの値である。
図7において、線21Aは理想値であり、線21Bは、数式2の演算により導出された、傾斜方向傾きの暫定値θ
tであり、線21Cは、上記LUT15を介して傾斜方向傾きの暫定値θ
tを補正した結果の、補正値θ
cである。線21Bは、線21Aから乖離し、大きな誤差が認められるが、線21Cは、概ね線21Aに沿った結果となっており、線21Bに比べると誤差が減少している。
【0061】
図8は、上記の
図7における実験結果を表としてまとめたものである。線21Bに相当する、数式2の演算により導出された、補正前となる、傾斜方向傾きの暫定値θ
tにおいては、−8.35°〜7.42°と広い幅の誤差が観測されたが、線21Cに相当する、LUT15を介した補正値θ
cにおいては、誤差の幅が−2.00°〜1.49°と、非常に狭くなっている。
【0062】
[第1変形例]
次に、上記実施形態として示した傾き導出装置1及び傾き導出方法の第1変形例を説明する。
図9は、本第1変形例における傾き導出装置の制御部30の信号処理ブロック図である。本第1変形例の傾き導出装置における制御部30は、上記実施形態における傾き導出装置1の制御部10とは、制御部30のLUT35には、傾斜方向傾きθの暫定値θ
tと、傾斜方向傾きθの補正値θ
cとの対応関係ではなく、傾斜方向傾きθの暫定値θ
tと、位置検知可能領域1aからの第2電極101bの高さHの補正値H
cとの対応関係が登録されている点が異なっている。すなわち、本第1変形例のLUT35においては、補正値は、センサ2に対する第2電極101bの高さ位置Hの補正値H
cである。
【0063】
傾斜方向傾き計算部14は、上記実施形態と同様に、第1及び第2電極の各々の位置A、Bを基に、より詳細には、位置A、Bを基に減算器13により算出された第1方向差分S
xと第2方向差分S
yを基に、傾斜方向傾きの暫定値θ
tを計算して、LUT35へ入力する。
【0064】
LUT35には、傾斜方向傾きθの暫定値θ
tと、
図5に示される、位置検知可能領域1aからの第2電極101bの高さHの補正値H
cとの対応関係が登録されている。
例えば実験などにより、上記の傾斜方向傾き計算部14により傾斜方向傾きθの暫定値θ
tを外部出力するように設定された傾き導出装置によって、実際に指示器101を傾けて第2電極101bの高さHを測り、その際の傾斜方向傾きθの暫定値θ
tの、誤差を含む出力値を取得する。この出力値θ
tに対し、実際の第2電極101bの高さを高さHの補正値H
cとして対応付けて、対応関係として保持しておく。実際に、傾きを測定する際には、誤差を含む傾斜方向傾きθの暫定値θ
tを、傾斜方向傾き計算部14によって、上記数式2により計算したうえで、この出力値θ
tを基に、対応関係において対応する第2電極101bの高さHの補正値H
cを導出することにより、精度の高い第2電極101bの高さを求めることができる。LUT35には、このような対応関係が登録されている。
換言すれば、LUT35の対応関係は、指示器101を実際に傾けたときの第2電極101bの高さの値と傾斜方向傾き計算部14の出力値を、それぞれ補正値H
cと暫定値θ
tとして対応させることにより生成されている。
【0065】
LUT35は、この対応関係により、傾斜方向傾き計算部14から受信した傾斜方向傾きθの暫定値θ
tを基に、第2電極101bの高さHの補正値H
cを抽出し、次に説明する傾き導出部36へと送信する。
【0066】
傾き導出部36は、減算器13から第1方向差分S
xと第2方向差分S
yを、LUT35から第2電極101bの高さHの補正値H
cを、それぞれ受信する。
傾き導出部36は、LUT35から出力された第2電極101bの高さHの補正値H
cから傾きを導出する。
より詳細には、傾き導出部36は、LUT35から出力された第2電極101bの高さHの補正値H
cを基に、次に示す数式6により、第1方向傾きθ
xと、第2方向傾きθ
yを導出する。
【0068】
また、傾き導出部36は、軸Cの回転角φを、上記の数式5により導出する。
【0069】
本第1変形例における傾き導出装置及び傾き導出方法が、上記実施形態と同様な効果を奏することは言うまでもない。
特に、本第1変形例においては、制御部30が傾斜方向傾きθの値を出力する必要がない場合には、LUT35が出力する精度の高い第2電極101bの高さHの補正値H
cを用いて、上記数式6により傾きを導出できるため、上記数式3により、第2電極101bの高さHを計算する必要がない。これにより、回路構成を簡単にし、かつ、処理速度を向上させることが可能となる。
【0070】
[第2変形例]
次に、上記実施形態として示した傾き導出装置1及び傾き導出方法の第2変形例を説明する。
図10は、本第2変形例における傾き導出装置の制御部40の信号処理ブロック図である。本第2変形例の傾き導出装置における制御部40は、上記実施形態における傾き導出装置1の制御部10とは、制御部40の傾き導出部46が、第1方向傾きθ
x及び第2方向傾きθ
yに替えて、傾斜方向傾きを出力する点が異なっている。
【0071】
傾斜方向傾き計算部14は、上記実施形態と同様に、第1及び第2電極の各々の位置A、Bを基に、より詳細には、位置A、Bを基に減算器13により算出された第1方向差分S
xと第2方向差分S
yを基に、傾斜方向傾きの暫定値θ
tを計算して、LUT15へ入力する。
LUT15は、
図6に示されたような対応関係により、傾斜方向傾き計算部14から受信した傾斜方向傾きθの暫定値θ
tを基に、傾斜方向傾きθの補正値θ
cを抽出し、次に説明する傾き導出部46へと送信する。
【0072】
傾き導出部46は、LUT15から受信した、傾斜方向傾きθの補正値θ
cを、傾斜方向傾きとして出力する。
また、傾き導出部46は、軸Cの回転角φを、上記の数式5により導出し、出力する。
【0073】
本第2変形例における傾き導出装置及び傾き導出方法が、上記実施形態と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0074】
なお、本発明の傾き導出装置及び傾き導出方法は、図面を参照して説明した上述の実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、その技術的範囲において他の様々な変形例が考えられる。
【0075】
例えば、上記実施形態及び各変形例においては、傾き導出装置はタブレット型の情報端末であったが、これに限られず、スマートホンや、据え置き型のディスプレイなど、表示装置とセンサを備えた他の物であってもよいのは言うまでもない。
【0076】
また、上記実施形態及び各変形例においては、指示器101の第2電極101bは、軸Cを囲うようにリング状に設けられていたが、これに限られず、例えば、同じ機能を備えた複数の第2電極が、軸Cを中心として、周方向に、互いに離間して設けられた結果、リング状に形成されていてもよいし、他の態様で整列されていても構わない。
【0077】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態及び各変形例で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。