特許第6962694号(P6962694)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962694
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 9/06 20060101AFI20211025BHJP
   C08J 9/16 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B29B9/06
   C08J9/16CET
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-39963(P2017-39963)
(22)【出願日】2017年3月3日
(65)【公開番号】特開2018-144299(P2018-144299A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2020年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】沓水 竜太
(72)【発明者】
【氏名】丸橋 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】矢野 義仁
【審査官】 山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−022911(JP,A)
【文献】 特開2010−179627(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/028173(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 9/00− 9/16
C08J 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物を複数の小孔を有するダイから加圧水中に押出した直後に回転カッターで切断して粒子化する発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法であって、
前記加圧水の温度は、45℃〜80℃であり、
運転開始時(ここで、運転開始時は、前記加圧水中にて発泡性熱可塑性樹脂粒子を切断開始してから5分経過した時)における前記ダイの小孔有効開口率が90%以上であり、
前記運転開始時の後における前記ダイの小孔ランド部を通過する際の発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物の剪断速度が、前記運転開始時の剪断速度の0.5〜0.9倍である、発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法(ただし、前記ダイの温度が前記発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物の樹脂温度より115℃以上高い範囲となるように温度制御することを除く)。
【請求項2】
前記運転開始時のダイの小孔ランド部を通過する際の発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物の剪断速度が13000sec−1以上である、請求項1に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
【請求項3】
発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物を複数の小孔を有するダイから加圧水中に押出した直後に回転カッターで切断して粒子化する発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法であって、
運転開始時(ここで、運転開始時は、前記加圧水中にて発泡性熱可塑性樹脂粒子を切断開始してから5分経過した時)における前記ダイの小孔有効開口率が90%以上であり、
前記運転開始時の後における前記ダイの小孔ランド部を通過する際の発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物の剪断速度が、前記運転開始時の剪断速度の0.5〜0.9倍であり、
前記運転開始時のダイの小孔ランド部を通過する際の発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物の剪断速度が13000sec−1以上である、発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂がスチレン系樹脂である、請求項1〜のいずれか一項に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
【請求項5】
前記小孔の直径が0.5mm〜1.0mmである請求項1〜のいずれか一項に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
【請求項6】
前記発泡性熱可塑性樹脂粒子の真球度が0.92以上である、請求項1〜のいずれか一項に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
【請求項7】
前記発泡性熱可塑性樹脂粒子の真球度が0.95以上である、請求項に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、熱可塑性樹脂の発泡成形体を得る方法の一つとして、ビーズ発泡法が用いられている。この方法では、例えば、まず懸濁重合によって熱可塑性樹脂粒子を得、次いで、これに発泡剤を含浸させて発泡性熱可塑性樹脂粒子とし、乾燥、篩分けにより粒度調整する。かかる発泡性熱可塑性樹脂粒子を水蒸気等により加熱軟化させて発泡性熱可塑性樹脂粒子の粘度を降下させた状態で、含浸発泡剤を揮発させて多数の気泡を樹脂粒子内に形成させ、任意の発泡倍率まで膨張させて予備発泡粒子を得る(予備発泡工程)。得られた予備発泡粒子を金型に充填し、水蒸気等により該予備発泡粒子同士を融着させる(成形工程)ことで、発泡成形体を得るものである(例えば特許文献1、2を参照)。
【0003】
しかしながら、この従来法は、非連続的な生産方法であり、また、懸濁重合を利用するため粒度分布が広い熱可塑性樹脂粒子が得られることになる。そのため、前述のように粒度調整工程を経る必要があり、工程の複雑化、それによるコストアップ、懸濁重合に伴う廃水処理による環境問題、収率の悪化といった問題があった。また、高い断熱性能や高い難燃性能を付与して発泡成形体を高機能化したい場合、高機能化に必要な原料を添加する際に制約が多いという問題があった。
【0004】
そこで、熱可塑性樹脂を押出機に投入して、発泡剤やその他の添加剤とともに溶融混練し、押出機以降に設置されたダイの小孔から発泡あるいは未発泡状態で押出し、回転カッター等で切断して発泡樹脂粒子あるいは未発泡の発泡性樹脂粒子を得る方法が提案されている(例えば特許文献3を参照)。この方法によれば、径が小さく、均一な粒度分布を有する熱可塑性樹脂粒子を連続的且つ経済的に製造することができる。また、添加する固形添加剤に関する制約も少なくなるという利点もある。
【0005】
かかる方法は、樹脂を粒子状に切断するタイミングによって、ホットカット法もしくはコールドカット法に大きく分類される。ホットカット法は、ダイの小孔から、加圧された冷却用液体中に溶融樹脂を押し出すと同時に回転カッター等で切断して粒子化と冷却固化を行い、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得る。一方、コールドカット法は、ダイの小孔から溶融樹脂を一度大気中に押出したストランドを冷却用液体で冷却固化したストランドをカッターにより切断し、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得る。ホットカット法は、コールドカット法よりも球状の粒子を得ることができる点で、予備発泡粒子の成形金型への充填性や発泡成形体の表面性・強度の面で優れる傾向にある。
【0006】
このようなホットカット法において、特許文献4では、発泡剤含有溶融樹脂を冷却用液体中に押し出す際に、ダイの小孔ランド部を通過する時の溶融樹脂の剪断速度と溶融粘度を特定範囲内に制御することにより、形状が真球状で粒径が揃っており、かつ機械的強度の優れた発泡成形品を製造できる発泡性熱可塑性樹脂粒子を製造できることが開示されている。
【0007】
特許文献5には、造粒用ダイスを取り付けた樹脂供給装置に熱可塑性樹脂を供給して溶融混練させる工程と、
前記熱可塑性樹脂を前記造粒用ダイスに向けて移動させながら前記熱可塑性樹脂に発泡剤を注入して発泡剤含有樹脂を形成する工程と、
前記造粒用ダイスの樹脂吐出面に開孔したノズルから吐出される前記発泡剤含有樹脂をカッターにより冷却媒体中で切断して発泡性熱可塑性樹脂粒子を得る工程とを有する発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法であって、
前記冷却媒体と接する前記造粒用ダイスの樹脂吐出面から前記発泡剤含有樹脂の吐出方向と逆向きの方向に2〜3mmの位置でのダイス温度が、熱可塑性樹脂のビカット軟化点温度のマイナス30℃〜プラス20℃の範囲となり、且つ前記冷却媒体の温度が10〜60℃の範囲となるように温度制御しつつ、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法が開示されている。
【0008】
特許文献6には、樹脂吐出面を有するダイス本体を少なくとも有する造粒用ダイスを取り付けた樹脂供給装置に熱可塑性樹脂を供給して溶融混練させる工程と、前記熱可塑性樹脂を前記造粒用ダイスに向けて移動させながら前記熱可塑性樹脂に発泡剤を注入して発泡剤含有樹脂を形成する工程と、前記ダイス本体の樹脂吐出面に開孔したノズルから吐出される前記発泡剤含有樹脂をカッターにより冷却媒体中で切断して発泡性熱可塑性樹脂粒子を得る工程とを有する発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法であって、前記ダイス本体の温度が発泡剤含有樹脂の溶融樹脂温度より115℃〜200℃高い範囲となるように温度制御しつつ、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法が開示されている。
【0009】
特許文献7には、複数のダイス孔を有するダイスと、該ダイスに溶融樹脂を供給する押出機とを備え、前記ダイスがダイバータバルブを有し、該ダイバータバルブが、前記押出機から供給される溶融樹脂を前記ダイス孔に供給する第一の流路と機外に排出する第二の流路とを有している水中カット式造粒機を用い、発泡剤を含有する溶融ポリスチレン系樹脂を前記押出機から前記ダイスに供給しつつ前記第二の流路を通じて機外に排出させる準備工程を実施し、該準備工程後に、前記溶融ポリスチレン系樹脂の流路を前記第一の流路に切り替えてポリスチレン系発泡性樹脂粒子を作製するポリスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法であって、前記第一の流路への切り替え前の前記溶融ポリスチレン系樹脂の樹脂圧が、前記切り替え後の10%以上となるようにして前記準備工程を実施することを特徴とするポリスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−164025号公報
【特許文献2】特開平4−91141号公報
【特許文献3】特表2005−534733号公報
【特許文献4】国際公開第2005/028173号
【特許文献5】特開2009−292015号公報
【特許文献6】特開2010−179627号公報
【特許文献7】特開2012−207093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ホットカット法による発泡性熱可塑性樹脂粒子を製造する場合、発泡剤を含有する溶融樹脂をダイスの小孔から冷却媒体中に押出し、冷却媒体中においてカッターによって切断し、発泡性樹脂粒子を得ている。そのため、ダイス面は冷却媒体と接触しているため、冷却媒体によってダイス面から熱が奪われることにより、ダイスの小孔にて樹脂が固化し、小孔が塞がってしまうことが安定生産における大きな課題である。小孔が閉塞してしまうと、樹脂粒子の生産効率が低下するだけでなく、小孔1つあたりの樹脂吐出量にバラつきが生じ、粒子の形状が不揃いとなる傾向にあり、ホットカット法のメリットである均一の粒度分布・形状を維持できない恐れがあった。また、小孔が閉塞した状態で生産を続けると、時間経過と共に更に小孔が閉塞する傾向にあり、更なる生産効率の低下、粒子形状の悪化をもたらす傾向にあった。この課題を解決するため、特許文献4〜7のような技術改良がなされているが、いずれも十分なものではなかった。
【0012】
具体的には、特許文献3では、ダイプレート温度並びに発泡剤含有ポリスチレン温度の制御について記載がなされている。しかし、当該技術では、ダイスの小孔が閉塞してしまい、真球状で粒径の揃った発泡性熱可塑性樹脂粒子を連続生産することが困難であった。
具体的には、特許文献4の製造方法では、ダイスの小孔が閉塞しない状態を得ること自体が困難であり、連続生産は不可能であった。
具体的には、特許文献5の製造方法では、冷却媒体の影響によるダイス温度の低下を即座にダイス温度制御へフィードバックするため、特殊なダイを設計する必要があり、汎用性に課題があった。
具体的には、特許文献6の製造方法では、ダイスの小孔の閉塞を防止するため、過度にダイス温度を上げることにより、熱可塑性樹脂の劣化・分解の誘発や難燃剤などの添加剤の分解による金型腐食の恐れがあり、設備の維持・保全に課題があった。
具体的には、特許文献7の製造方法では、造粒開始直後は、ダイスの小孔の閉塞状態は比較的良好であるものの、造粒工程開始24時間後で既に低下傾向にあり、連続生産性に課題があった。
【0013】
本発明は、上記現状に鑑み、形状の揃った発泡性熱可塑性樹脂粒子を連続して安定生産できる、発泡性熱可塑性樹脂粒子を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らがこの課題を解決すべく鋭意検討したところ、ホットカット法において運転開始直後のダイの小孔の開口率を制御することにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物を複数の小孔を有するダイから加圧水中に押出した直後に回転カッターで切断して粒子化する発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法であって、運転開始時(ここで、運転開始時は、前記加圧水中にて発泡性熱可塑性樹脂粒子を切断開始してから5分経過した時)における前記ダイの小孔有効開口率が90%以上である、発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法(以下、「本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製法」と称することがある。)に関する。
【0016】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製法において、上記運転開始時の後における上記ダイの小孔ランド部を通過する際の発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物の剪断速度が、上記運転開始時の剪断速度の0.5〜0.9倍であることが好ましい。
【0017】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製法において、上記運転開始時のダイの小孔ランド部を通過する際の発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物の剪断速度が13000sec−1以上であることが好ましい。
【0018】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製法において、上記熱可塑性樹脂がスチレン系樹脂であることが好ましい。
【0019】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製法において、上記小孔の直径が0.5mm〜1.0mmであることが好ましい。
【0020】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製法において、上記発泡性熱可塑性樹脂粒子の真球度が0.92以上であることが好ましい。
【0021】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製法において、上記発泡性熱可塑性樹脂粒子の真球度が0.95以上であることが好ましい。
【0022】
また、本発明は、発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物を複数の小孔を有するダイから加圧水中に押出した直後に回転カッターで切断して粒子化する発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法であって、上記発泡性熱可塑性樹脂粒子の真球度が0.92以上である、発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法に関する。
【0023】
また、本発明は、発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物を複数の小孔を有するダイから加圧水中に押出した直後に回転カッターで切断して粒子化する発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法であって、上記発泡性熱可塑性樹脂粒子の真球度が0.95以上である、発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、球状の形状の揃った発泡性熱可塑性樹脂粒子を長時間連続して安定生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態で使用するダイの出口付近の構成を示す断面図
図2図1のダイにおける小孔付近を拡大して示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を詳細に説明する。 本発明は、発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物を複数の小孔を有するダイから加圧水中に押出した直後に回転カッターで切断して粒子化及び冷却固化を行なう、発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法に関する。発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物は、熱可塑性樹脂、発泡剤、および必要に応じて他の添加剤を含有する。
【0027】
(熱可塑性樹脂)
本発明において用いられる熱可塑性樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリスチレン(PS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS)、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(耐熱PS)、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体(HIPS)、N−フェニルマレイミド−スチレン−無水マレイン酸の三次元共重合体、それとASとのアロイ(IP)などのスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などのビニル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン3元共重合体、シクロオレフィン系(共)重合体などのポリオレフィン系樹脂およびこれらに分岐構造、架橋構造を導入してレオロジーコントロールされたポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、MXDナイロンなどのポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネートなどのポリエステル系樹脂、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(変性PPE)、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などのエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。
【0028】
これら熱可塑性樹脂の中でも、比較的安価で、特殊な方法を用いずに低圧の蒸気等で成形ができ、高い緩衝性及び断熱性の効果が得られる点から、スチレン系樹脂が好ましい。
【0029】
(スチレン系樹脂)
本発明で用いられるスチレン系樹脂は、スチレン単独重合体(スチレンホモポリマー)のみならず、本発明に係る効果を損なわない範囲で、スチレンと、スチレンと共重合可能な他の単量体又はその誘導体とが共重合されているものであっても良い。ただし、後述する臭素化スチレン・ブタジエン共重合体は除く。
【0030】
スチレンと共重合可能な他の単量体又はその誘導体としては、例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、及びトリクロロスチレン等のスチレン誘導体;ジビニルベンゼン等の多官能性ビニル化合物;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、及びメタクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;ブタジエン等のジエン系化合物又はその誘導体;無水マレイン酸、及び無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物;N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2)−クロロフェニルマレイミド、N−(4)−ブロモフェニルマレイミド、及びN−(1)−ナフチルマレイミド等のN−アルキル置換マレイミド化合物等があげられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0031】
本発明で用いられるスチレン系樹脂は、前述のスチレン単独重合体、及び/又は、スチレンと、スチレンと共重合可能な他の単量体又はその誘導体との共重合体に限らず、本発明に係る効果を損なわない範囲で、前述の他の単量体又は誘導体の単独重合体、又はそれらの共重合体とのブレンド物であっても良い。
【0032】
本発明で用いられるスチレン系樹脂には、例えば、ジエン系ゴム強化ポリスチレン、アクリル系ゴム強化ポリスチレン、及び/又は、ポリフェニレンエーテル系樹脂等をブレンドすることもできる。
【0033】
本発明で用いられるスチレン系樹脂の中では、比較的安価で、特殊な方法を用いずに低圧の水蒸気等で発泡成形ができ、断熱性、難燃性、緩衝性のバランスに優れることから、スチレンホモポリマー、スチレン−アクリロニトリル共重合体、又はスチレン−アクリル酸ブチル共重合体が望ましい。
【0034】
(発泡剤)
本発明で用いられる発泡剤は、特に限定されないが、発泡性と製品ライフのバランスが良く、実際に使用する際に高倍率化しやすい観点から、炭素数3〜6の炭化水素が望ましく、更に望ましくは炭素数4〜5の炭化水素である。発泡剤の炭素数が3以上であると揮発性が低くなり、発泡性スチレン系樹脂粒子にした場合に発泡剤が逸散しにくくなるため、実際に使用する際に発泡工程で発泡剤が十分に残り、十分な発泡力を得ることが可能となり、高倍率化が容易となるため好ましい。また、炭素数が6以下であると、発泡剤の沸点が高すぎないため、予備発泡時の加熱で十分な発泡力を得やすく、高発泡化が易しい傾向となる。炭素数3〜6の炭化水素としては、例えばプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、又はシクロヘキサン等の炭化水素が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
また炭化水素以外の発泡剤も使用してもよい。例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、炭酸ガス、窒素、水等が使用可能である。これら発泡剤は1種類のみを単独で使用してよいし、2種以上を混合して使用してもよい。また、上記炭化水素と併用してもよい。
【0036】
発泡剤の添加量は、目標発泡倍率により増減できるが、一般的には熱可塑性樹脂100重量部に対して2〜15重量部の範囲が好ましく、3〜10重量部の範囲がより好ましく、5〜9重量部の範囲がさらに好ましい。発泡剤の添加量が2重量部未満では、所望の発泡倍率が得られない場合がある。発泡剤の添加量が15重量部以下であれば、発泡剤を熱可塑性樹脂に溶解させるための押出機やダイの圧力、もしくは、ダイス吐出後の熱可塑性樹脂の発泡を抑制するための冷却媒体の圧力を低く設定できる傾向にあり、結果、設備が安価になったり、安定的な製造に繋がる場合がある。また、15重量部以下であると、熱可塑性樹脂発泡成形体を製造する際の製造時間(成形サイクル)が短くなるため、製造コストが低くなる傾向となる。 (難燃剤)
本発明では熱可塑性発泡体に難燃性能を付与するため、難燃剤を使用してもよい。本発明で用いられる難燃剤としては、特に限定されず、従来から熱可塑性樹脂発泡成形体に用いられる難燃剤をいずれも使用できる。具体的には、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、窒素含有化合物等の非ハロゲン系難燃剤等が挙げられる。その中でも、熱可塑性樹脂としてスチレン系樹脂を用いた場合、難燃性付与効果が高い臭素系難燃剤が望ましい。本発明で用いられる臭素系難燃剤としては、例えば、2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモ−2−メチルプロポキシ)−3,5−ジブロモフェニル]プロパン(別名:テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル))、又は2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモプロポキシ)−3,5−ジブロモフェニル]プロパン(別名:テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル))等の臭素化ビスフェノール系化合物、テトラブロモシクロオクタン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、臭素化スチレン・ブタジエンブロック共重合体、臭素化ランダムスチレン・ブタジエン共重合体、又は臭素化スチレン・ブタジエングラフト共重合体等の臭素化ブタジエン・ビニル芳香族炭化水素共重合体(例えば、特表2009−516019号公報に開示されている)等が挙げられる。これら臭素系難燃剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0037】
臭素系難燃剤は、目的とする発泡倍率に制御しやすいと共に、後述する輻射伝熱抑制剤添加時の難燃性等のバランスの点から、発泡性熱可塑性樹脂粒子100重量%において臭素含有量は好ましくは0.8重量%以上であることが好ましく、5.0重量%以下であることがより好ましい。臭素含有量が0.8重量%以上であると、難燃性付与効果が大きくなる傾向にあり、5.0重量%以下であると、得られる樹脂発泡成形体の強度が増加しやすい。臭素含有量は、より好ましくは1.0〜3.5重量%になるように、発泡性熱可塑性樹脂粒子に配合される。
【0038】
(熱安定剤)
本発明においては、さらに、熱安定剤を併用することによって、製造工程における熱可塑性樹脂及び難燃剤などの分解・劣化を抑制することができる。本発明における熱安定剤は、用いられる熱可塑性系樹脂、発泡剤、添加剤の種類及び含有量等に応じて、適宜組み合わせて用いることができる。
【0039】
本発明で用いられる熱安定剤としては、臭素系難燃剤含有混合物の熱重量分析における重量減少温度を任意に制御できる点から、ヒンダードアミン化合物、リン系化合物、フェノール系安定剤、又はエポキシ化合物が望ましい。熱安定剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。なお、これらの熱安定剤は、後述するように耐光性安定剤としても使用できる。
【0040】
(ラジカル発生剤)
本発明においては、ラジカル発生剤をさらに含有することにより、臭素系難燃剤と併用することによって、高い難燃性能を発現することができる。
【0041】
本発明におけるラジカル発生剤は、用いる熱可塑性樹脂の種類、発泡剤の種類及び含有量、輻射伝熱抑制剤の種類及び含有量、臭素系難燃剤の種類及び含有量に応じて適宜組み合わせて用いることができる。
【0042】
本発明で用いられるラジカル発生剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、又はポリ−1,4−イソプロピルベンゼン等が挙げられる。ラジカル発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0043】
(輻射伝熱抑制剤)
本発明では、発泡性熱可塑性樹脂粒子から得られる発泡体に高い断熱性能を付与するため、輻射伝熱抑制剤を用いてもよい。ここでいう輻射伝熱抑制剤とは、近赤外又は赤外領域の光を反射、散乱又は吸収する特性を有する物質をいう。例えば、グラファイト、グラフェン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、活性炭、膨張黒鉛などの炭素材料、アルミニウム、酸化アルミニウム等のアルミニウム系化合物、アルミン酸亜鉛等の亜鉛系化合物、ハイドロタルサイト等のマグネシウム系化合物、銀等の銀系化合物、チタン、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム等のチタン系化合物などが挙げられる。
【0044】
(その他の添加剤)
また、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、加工助剤、耐光性安定剤、造核剤、発泡助剤、帯電防止剤、及び顔料等の着色剤よりなる群から選ばれる1種以上のその他添加剤を含有していてもよい。
【0045】
加工助剤としては、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、又は流動パラフィン等が挙げられる。
【0046】
耐光性安定剤としては、前述したヒンダードアミン類、リン系安定剤、エポキシ化合物の他、フェノール系抗酸化剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤、又はベンゾトリアゾール類等が挙げられる。
【0047】
造核剤としては、シリカ、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、もしくはタルク等の無機化合物、メタクリル酸メチル系共重合体、もしくはエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等の高分子化合物、ポリエチレンワックス等のオレフィン系ワックス、又はメチレンビスステアリルアマイド、エチレンビスステアリルアマイド、ヘキサメチレンビスパルミチン酸アマイド、もしくはエチレンビスオレイン酸アマイド等の脂肪酸ビスアマイド等が挙げられる。
【0048】
発泡助剤としては、大気圧下での沸点が200℃以下である溶剤を望ましく使用でき、例えば、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、もしくはキシレン等の芳香族炭化水素;メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;酢酸エチル、もしくは酢酸ブチル等の酢酸エステル等が挙げられる。
【0049】
なお、帯電防止剤及び着色剤としては、各種樹脂組成物に用いられるものを特に限定なく使用できる。
【0050】
これらの他の添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0051】
(発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法)
本発明の製造方法における発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物は、熱可塑性樹脂、発泡剤、および他の添加剤などの原料を押出機に供給して、押出機内で溶融混練することで製造される。
【0052】
本発明で用いられる押出機としては、一般的な押出機を使用することができ、具体的には、単軸押出機、二軸押出機、タンデム押出機などが挙げられる。タンデム押出機としては、単軸押出機を二機連結したものや、二軸押出機に単軸押出機を連結したものなどが挙げられる。また、押出機とスタティックミキサーやスクリューを有さない攪拌機などの第2の混練装置を併用してもよい。
【0053】
本発明における発泡剤の圧入時期は特に限定されないが、原料樹脂が押出機内で溶融状態または半溶融状態となった後、できるだけ早く発泡剤を圧入することが好ましい。圧入時期が遅いほど、発泡剤が原料樹脂中に均一分散されて溶解される前に押出される可能性があり、予備発泡及び成形時に均一な気泡を有する発泡成形体が得られず、品質の劣化を招く恐れがある。
【0054】
本発明の製造方法によれば、押出機内で熱可塑性樹脂中に発泡剤、および他の添加剤が溶解または均一分散された発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物は、押出機の先端に取り付けられたダイがフェイス面に有する複数の小孔から、加圧された冷却媒体中、例えば水中に押し出される。押し出された直後に、前記溶融物を回転カッターで切断して、粒子化と冷却固化が行なわれる。
【0055】
図1は、本発明の実施形態で使用するダイの出口付近の構成を示す断面図であり、図2は、図1のダイにおける小孔付近を拡大して示す図である。ダイ10は、フェイス面11において、溶融物の出口となる小孔12を多数有している。これら小孔12は、ダイの内部において樹脂通路13に連通しており、樹脂通路13はさらに押出機先端の出口に連通している。すなわち、押出機内で形成された溶融物は、押出機先端から、ダイ10内の樹脂通路13内を通過して、小孔12に達し、小孔12から、加圧冷却水中に押し出される。
【0056】
本発明におけるダイの小孔は直径が0.5〜1.0mmであることが望ましい。直径0.5mm以上では、小孔の閉塞が発生しにくい傾向にあり、安定して連続生産できる傾向になる。直径1.0mm以下では、発泡性粒子を予備発泡して得られる予備発泡粒子が小さくでき、成形金型への発泡粒子の充填性が良くなる傾向にあり、得られる発泡成形体の表面性・融着性が良くなる傾向にある。尚、小孔の直径は図2において符号bで示している。
【0057】
また、ダイのフェイス面11において小孔が形成されている小孔ランド部は、その長さ(図2中の符号a)が2〜10mmであることが好ましい。2mm未満であると、ダイスの耐圧性能が低下する場合がある。また、小孔部での樹脂の流動が乱れ、粒子形状・大きさが不均一となる場合がある。10mmを超えると小孔での樹脂圧力が高くなり、運転自体が困難となる場合がある。尚、小孔ランド部とは、前記直径を有する小孔が形成されている領域をいい、小孔ランド部の長さは前記直径を有する小孔の長さに相当する。
【0058】
本発明の製造方法においては、運転開始時のダイの小孔の有効開口率を90%以上に制御する。運転開始時の有効開口率を90%以上とすることにより、長時間連続して球状の粒径の揃った発泡性熱可塑性樹脂粒子を製造することができ、生産性に優れるとともに、得られる発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させた時の発泡倍率が十分に高くなり、また、予備発泡粒子同士を融着させて発泡成形体を得たときの発泡成形体の融着率が十分なレベルに到達する。好ましくは、有効開口率が95%以上、さらに好ましくは98%以上である。
【0059】
運転開始時の有効開口率が90%未満であると、時間の経過と共にさらに有効開口率が低下する傾向にある。尚、一般的に有効開口率が低下すると、押出機からの樹脂吐出量を変更しない限り、小孔1個あたりの樹脂吐出量が増加してしまうため、得られる発泡性熱可塑性樹脂粒子1個あたりの重量を一定にするためには、カッター回転数を増加させる必要がある。本発明者らが、鋭意検討を実施した結果、有効開口率低下時に得られる発泡性熱可塑性樹脂粒子1個あたりの重量を一定とするためにカッター回転数を増加させると、驚くべきことに更なる有効開口率の低下を招くことが判明した。このことからも、連続して安定的に生産を実施するためには、生産中にカッター回転数を可能な限り増加させないことが望ましく、そのためには、運転開始時の小孔の有効開口率を90%以上に制御することが重要であることを見出した。
【0060】
尚、小孔の有効開口率とは、ダイが有する小孔の総数のうち、有効に樹脂を排出している小孔の割合を意味し、次の式(1)によって算出される。
【0061】
有効開口率(%)= h/H×100 (1)
h:有効に樹脂を排出している小孔数(個)
H:ダイが有する全小孔数(個)
尚、ダイが有する全小孔とは、予めダイにピン等を埋め込み、構造上樹脂が排出しない様に閉塞させた小孔は除く。
また、有効に樹脂を排出している小孔数hは次の式(2)によって算出される。
【0062】
h = {q/(N×n×W×60)}×106 (2)
q:ダイからの総吐出量(kg/hr)
N:回転カッターの回転数(rpm)
n:回転カッターの刃数(枚)
W:粒重量(mg)。
【0063】
さらに本発明においては、運転開始時のダイの小孔ランド部を通過する際の発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物の剪断速度をAとした場合、その後、ダイの小孔ランド部を通過する際の発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物の剪断速度をAの0.5〜0.9倍に減少させる(このときの剪断速度を生産開始直後のダイの小孔ランド部を通過する際の発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物の剪断速度Bとする)ことにより、有効開口率を90%以上確保した状態で、発泡性熱可塑性樹脂粒子が安定的に連続して生産でき、さらに高い発泡倍率及び融着性の高い予備発泡粒子となる発泡性熱可塑性樹脂粒子を製造することができることを見出した。
【0064】
尚、運転開始時とは、加圧水中にて発泡性熱可塑性樹脂粒子を切断開始してから5分経過時と定義し、その際の得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子の粒重量及び運転条件から、運転開始時の小孔の有効開口率を算出し、運転開始時のダイの小孔ランド部を通過する際の発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物の剪断速度Aを算出する。本発明においては、加圧水中での発泡性熱可塑性樹脂粒子の切断開始から5分経過時点で有効開口率を90%以上に制御されればよく、さらに継続して同一条件を維持してもよいし、上記運転開始時以降、剪断速度などの条件を変更してもよい。上記のように剪断速度を低減して発泡性樹脂粒子を製造する実施形態では、運転開始時以降であればいつでも剪断速度を変更してよいが、例えば、生産性などの観点からは、発泡性熱可塑性樹脂溶融物の総吐出量(kg/hr)を100重量%とした場合に10重量%に相当する重量の発泡性熱可塑性樹脂粒子が押し出される時点までに剪断速度を変更することが好ましい。
【0065】
ダイの小孔ランド部を通過する際の発泡剤含有熱可塑性溶融物の剪断速度を変更する手法としては、発泡性熱可塑性樹脂粒子の作製を開始した後に、小孔1個当たりの樹脂吐出量を変更することで前記剪断速度を変更することができる。具体的には、発泡性熱可塑性樹脂粒子の作製を開始した後に、時間あたりの押出機への原料供給量を減らすことで、高剪断速度から低剪断速度への変更を達成することができる。
【0066】
尚、本発明においては、生産開始直後のダイの小孔ランド部を通過する際の発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物の剪断速度Bを評価する時期を運転開始時の吐出量から変更した後、少なくとも5分経過後と定義する。該時期における発泡性熱可塑性樹脂粒子の粒重量及び運転条件より、小孔の有効開口率を算出し、剪断速度Bを算出する。なお、溶融押出装置の構造等によって、溶融押出装置並びにダイの条件が安定するまでに要する時間が相違するため、5分経過時に安定していないときは、5分経過後以降で剪断速度Bを評価してもよい。
【0067】
尚、本発明においては、生産開始48時間後のダイの小孔ランド部を通過する際の発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物の剪断速度Cを評価する時期を生産開始48時間経過後と定義する。該時期における発泡性熱可塑性樹脂粒子の粒重量及び運転条件より、小孔の有効開口率を算出し、剪断速度Cを算出する。
【0068】
本発明において、ダイの小孔ランド部を通過する際の溶融物の剪断速度は、次の式(3)によって算出される。 τ=4×Q/(π×r) (3)
τ:剪断速度(sec−1
Q:有効小孔1個当たりの樹脂容積吐出量(cm/sec)
π:円周率
r:小孔半径(cm)。
【0069】
上記式(3)より、剪断速度は有効小孔1個当たりの樹脂容積吐出量に比例し、小孔半径の3条に反比例する。ここで、有効小孔とは、有効に樹脂を排出している小孔(すなわち、樹脂で目詰まりをしていない小孔)のことをいい、上記Qは次の式(4)で表される。
【0070】
Q=ダイからの総樹脂容積吐出量(cm/sec)/有効に樹脂を排出している小孔数(h) (4)。
【0071】
本発明の製造方法においては、運転開始時の有効開口率を90%以上とするための方法としては、特に限定はされないが、ダイに設置される全ての小孔が開口したと仮定した場合、即ち有効開口率が100%とした場合、ダイの小孔ランド部を通過する際の発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物の剪断速度が13000sec−1以上、更に好ましくは、15000sec−1以上となる様、小孔数及び押出機供給量を設定することが好ましい。
【0072】
本発明の製造方法においては、発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物がダイの小孔から加圧水中に押し出された直後に、回転カッターで短片状に切断されて、液体中で球状になると同時に、冷却固化が行なわれる。これにより、発泡性熱可塑性樹脂粒子が形成される。
【0073】
本発明の製造方法において、ダイスより押出される直前の溶融樹脂の温度は、発泡剤を含まない状態での樹脂のガラス転移温度をTgとすると、Tg+40℃以上であることが好ましく、Tg+40℃〜Tg+110℃であることがより好ましく、Tg+60℃〜Tg+90℃であることがさらに好ましい。尚、スチレンホモポリマーの場合、Tgは約100℃であるため、好ましい温度範囲は140〜210℃であり、更に好ましい範囲は160℃〜190℃である。
ダイスより押出される直前の溶融樹脂の温度がTg+40℃以上であれば、押出された溶融樹脂の粘度が低くなり、小孔詰まりが発生しにくく、小孔の有効開口率の低下が起きにくく、得られる発泡性スチレン系樹脂粒子の形状が歪もしくは不揃いとなる事態を避けることができる。一方で、ダイスより押出される直前の溶融樹脂の温度がTg+110℃以下であれば、押出された溶融樹脂が固化し易くなり、回転カッターに巻き付き難くなり、安定的に切断できる。
【0074】
本発明の製造方法における加圧水に押出された溶融樹脂を切断する切断装置としては、特に限定されないが、例えば、ダイスに接触する回転カッターで切断されて小球化され、加圧冷却水中を発泡することなく、遠心脱水機まで移送されて脱水・集約される装置、等が挙げられる。
【0075】
加圧水の条件については、使用する熱可塑性樹脂、発泡剤、添加剤の種類や含有量によって調整すべきであるが、ダイスより押し出される溶融樹脂の発泡が抑制され、安定的にカッターで切断される条件が好ましい。
【0076】
具体的には、加圧水の温度は40℃〜80℃が好ましい。加圧水の温度が40℃より低い場合は、ダイを過度に冷却してしまい溶融樹脂で小孔出口を詰まらせる可能性がある。一方、加圧水の温度が80℃を超える場合は、溶融樹脂が加圧水中で完全に固化されず、発泡してしまう可能性がある。スチレンホモポリマーの場合、加圧水の温度条件としては、好ましくは45℃〜75℃、より好ましくは50〜65℃である。
【0077】
加圧水の圧力条件としては特に限定されないが、得られる発泡性熱可塑性樹脂粒子の真密度が原料である熱可塑性樹脂の真密度の0.8倍以上となるように調整することが好ましい。原料の真密度に対して0.8倍以上では、得られる発泡性熱可塑性樹脂粒子の密度が十分に大きいため、発泡性熱可塑性樹脂粒子の単位体積あたりの輸送コストを抑えることができる。
【0078】
スチレンホモポリマーを熱可塑性樹脂として用いた場合、得られる発泡性スチレ系樹脂粒子の密度としては、好ましくは950kg/m〜1050kg/m、より好ましくは1000〜1050kg/mとなる様、圧力を調整する。尚、スチレンホモポリマーの真密度は1000〜1050kg/mである。使用する発泡剤の種類にも依存するが、ブタン、ペンタンを発泡剤として使用する場合、好ましくは0.6〜2.0MPa、より好ましくは0.7〜1.7MPa、更に好ましくは0.8〜1.5MPaである。
【0079】
本発明の製法は、有効開口率を極めて高く維持して発泡性熱可塑性樹脂粒子を製造することができるため、形状に優れた発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることができる。発泡性熱可塑性樹脂粒子の真球度が0.92以上であることが好ましく、0.94以上が好ましく、0.95以上がさらに好ましい。真球度が上記範囲であると融着性に優れる。ここでいう真球度は、実施例で詳述する。
【0080】
以上のようにして得られる発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡工程に付すことにより、予備発泡粒子を得ることができる。この工程では、加熱水蒸気などを用いて発泡性熱可塑性樹脂粒子を軟化させると同時に該粒子内の発泡剤を揮発させて該粒子内に多数の気泡を形成させて予備発泡粒子を形成する。予備発泡工程の具体的な条件は従来公知の条件に従うことができる。この工程での予備発泡粒子の発泡倍率としては、適宜選択することができるが、本発明の製造方法によると、比較的高い発泡倍率を達成することができる。具体的には、70倍(cc/g)以上、さらには80倍(cc/g)以上の発泡倍率を達成することができる。
【0081】
得られた予備発泡粒子を一定時間養生した後、さらに成形工程に付すことで、発泡成形体を製造することができる。この工程では、予備発泡粒子を所定形状の金型に充填し、該金型内に水蒸気を導入して該金型内で予備発泡粒子をさらに発泡させると共に、予備発泡粒子同士を融着させることで、所定形状の発泡成形体を形成する。成形工程の具体的な条件は従来公知の条件に従うことができる。本発明の製造方法によると、具体的には、70%以上、好ましくは90%以上の融着率を達成することができる。
【実施例】
【0082】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0083】
[粒重量の測定]
0.01mgまで測定できる電子天秤を用いて、ランダムにサンプリングした発泡性熱可塑性樹脂粒子100粒の重量を測定し、以下の式で粒重量を算出した。
【0084】
粒重量(mg)=[樹脂粒子100粒の重量(mg)]/100。
【0085】
[小孔の有効開口率の算出]
小孔の有効開口率は以下の式にて算出した。
【0086】
有効開口率(%)=h/H×100
h:有効に樹脂を排出している小孔数(個)
H:ダイが有する全小孔数(個)
尚、ダイが有する全小孔とは、予めダイにピン等を埋め込み、構造上樹脂が排出しない様に閉塞させた小孔は除く。また、有効に樹脂を排出している小孔数hは次の式によって算出した。
【0087】
h(個)={q/(N×n×W×60)}×106
q:ダイからの総吐出量(kg/hr)
N:回転カッターの回転数(rpm)
n:回転カッターの刃数(枚)
W:粒重量(mg)。
【0088】
[剪断速度の算出]
発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物が小孔ランド部を通過する際の剪断速度は以下の式にて算出した。
【0089】
τ=4×Q/(π×r
τ:剪断速度(sec−1
Q:有効小孔1個当たりの樹脂容積吐出量(cm/sec)
π:円周率
r:小孔半径(cm)
尚、Qは以下の式から算出した。
【0090】
Q=ダイからの総容積吐出量(cm/sec)/有効に樹脂を排出している小孔数(h)。
【0091】
[予備発泡粒子の最大発泡倍率]
発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡機に投入し、0.1MPaの水蒸気を予備発泡機に導入し発泡させて予備発泡粒子を得た。90秒から30秒間隔で水蒸気導入時間を変更して発泡させ、各水蒸気導入時間ごとの発泡倍率を測定し、最も高い発泡倍率を予備発泡粒子の最大発泡倍率とした。水蒸気導入時間は加熱過多による発泡粒子の収縮(発泡倍率の低下)が確認されるまで変更した。発泡倍率は、予備発泡粒子を容積が2000ccになるようにメスシリンダーに入れ、重量を測定し、以下の式にて算出した。
【0092】
発泡倍率(cc/g)=2000cc/[予備発泡粒子の重量(g)]。
【0093】
[融着率の測定]
熱可塑性樹脂発泡成形体を中心で割り、その断面の全粒子数を数えた。次に、粒子が割れ、内部の気泡が確認できる粒子(破壊粒子数)の数を数え、以下の式にて算出した。
【0094】
融着率(%)=破壊粒子数/全粒子数×100。
【0095】
[真球度の測定]
発泡性熱可塑性樹脂粒子をマイクロスコープ[(株)キーエンス製、VHX−900]を用いて、互いに直交する3方向の直径を測定し最も長い直径をDn(mm)、次に長い直径をLn(mm)、最も短い直径をWn(mm)とした。10粒の粒子について測定し、その相加平均値からD(mm)、L(mm)、W(mm)を算出し、最も長い直径D(mm)を最大直径とした。次に、L/D、W/D、W/Lを算出し、その相加平均値を真球度とした。
【0096】
(実施例1)
[発泡性熱可塑性樹脂粒子の作製]
熱可塑性樹脂としてポリスチレン[PSジャパン(株)製、680]93.3重量部と、グラファイト[(株)丸豊鋳材製作所製、鱗片状黒鉛SGP−40B]4重量部と、臭素系難燃剤[第一工業製薬(株)製、SR−130]2.5重量部と、安定剤[(株)ADEKA製、LA−57]0.1重量部と、安定剤[(株)ADEKA製、PEP−36]0.1重量部を、トータル供給量234.6kg/hrで口径60mmの同方向噛み合い二軸押出機[KraussMaffei Berstorff GmBH製]に供給し、二軸押出機の原料フィード部以降のシリンダ温度を165℃とし溶融混練した。二軸押出機の途中から、熱可塑性樹脂溶融物100重量部に対して、混合ペンタン[ノルマルペンタン(エスケイ産業(株)製)80重量%とイソペンタン(エスケイ産業(株)製)20重量%の混合物]4.8重量部とイソブタン[三井化学(株)製]2.2重量部を圧入した。
【0097】
その後、二軸押出機の先端に接続した170℃に設定したギアポンプ、スクリーンチェンジャー、ダイバータバルブを経て、ダイバータバルブの下流に接続した直径0.65mm、ランド長5.0mmの小孔を168個有する240℃に設定したダイから、吐出量251kg/hrで、温度65℃及び1.4MPaの加圧水中に樹脂温度170℃の発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物を押出した。押出した発泡剤含有熱可塑性樹脂溶融物を、加圧水で満たされたチャンバー内にて12枚の刃を有する回転カッターを用いて1362rpmの条件にて該溶融物を切断して粒子化及び冷却固化を行なった。
【0098】
該溶融物を切断開始して5分経過後、発泡性熱可塑性樹脂粒子の粒重量を測定した結果、1.55mgであった。この時点を運転開始時と定義し、得られた粒重量より、運転開始時の小孔の有効開口率を算出した結果、97%、運転開始時のダイス小孔ランドを通過する発泡剤含有熱可塑性組成物の剪断速度Aを算出した結果、15947sec−1であった。
【0099】
小孔の有効開口率が90%以上であることを確認し、各原料の供給比率を変更することなく吐出量を168kg/hrに変更した。
【0100】
吐出量を変更して5分経過後を生産開始直後と定義し、得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子の粒重量は1.05mgであった。また、生産開始直後の小孔開口率は97%であり、生産開始直後の発泡剤含有熱可塑性溶融物の剪断速度Bは10803sec−1であった。
【0101】
吐出量を168kg/hrに変更してから48時間生産後の発泡性熱可塑性樹脂粒子を評価した結果、得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子の粒重量は1.05mgであり、真球度は0.95であった。また、小孔の有効開口率は97%を維持しており、発泡剤含有熱可塑性溶融物の剪断速度Cは10803sec−1であった。得られた発泡性熱可塑性樹脂に対して、ステアリン酸亜鉛0.08重量部をドライブレンドした後、15℃で保管した。
【0102】
[予備発泡粒子の作製]
発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡機に投入し、0.1MPaの水蒸気を予備発泡機に導入して発泡させ、最大発泡倍率81倍の予備発泡粒子を得た。
【0103】
[発泡成形体の作製]
得られた発泡倍率81倍の予備発泡粒子を発泡スチロール用成形機に取り付けた型内成形用金型内に充填して、0.04MPaの水蒸気を15秒間導入して型内発泡させた後、金型に50℃の温水を5秒間噴霧して冷却した。金型内の熱可塑性樹脂発泡成形体が金型を押す圧力が0.015MPa(ゲージ圧力)になるまで金型内に熱可塑性樹脂発泡成形体を保持した後、熱可塑性樹脂発泡成形体を取り出して、直方体状の熱可塑性樹脂発泡成形体(長さ450mm×幅450mm×厚み50mm)を得た。該成形体の融着率は90%であった。
【0104】
(実施例2)
生産時の吐出量を168kg/hrから140kg/hrに変更し、カッター回転数を1362rpmから1119rpmへ変更したこと以外は、実施例1と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
【0105】
得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子および発泡成形体を作製した。
【0106】
(実施例3)
生産時の吐出量を168kg/hrから130kg/hrに変更し、カッター回転数を1362rpmから1050rpmへ変更したこと以外は、実施例1と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
【0107】
得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子および発泡成形体を作製した。
【0108】
(実施例4)
生産時の吐出量を168kg/hrから200kg/hrに変更し、カッター回転数を1362rpmから1600rpmへ変更したこと以外は、実施例1と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
【0109】
得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子および発泡成形体を作製した。
【0110】
(実施例5)
吐出量の変更を行なわずに、運転開始時の吐出量251kg/hrを生産時も維持したこと以外は、実施例1と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。尚、吐出量の変更を実施しなかったため、運転開始時と生産開始直後を同時点とした。
【0111】
得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子および発泡成形体を作製した。
【0112】
(比較例1)
運転開始時の吐出量を251kg/hrから153kg/hrに変更し、カッター回転数を1362から1850rpmに変更し、吐出量の変更を行なわずに、運転開始時の吐出量153kg/hrを生産時も維持したこと以外は実施例5と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
【0113】
得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子および発泡成形体を作製した。
【0114】
(比較例2)
運転開始時の吐出量を251kg/hrから200kg/hrに変更し、カッター回転数を1362から2000rpmに変更し、生産時の吐出量を168kg/hrから153kg/hrに変更したこと以外実施例1と同様にして発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
【0115】
得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子および発泡成形体を作製した。
【0116】
【表1】
【0117】
以上の結果より、実施例1〜5では、比較例1、2と比較して長時間安定して小孔の開口率が維持でき、予備発泡粒子の発泡倍率が高く、成形体融着率も高いことが判る。さらに、実施例1〜4は、実施例5と比較して、成形体融着率が大きいことが分かる。さらに、実施例1〜3は、実施例4、5、比較例2と比較して真球度が高く、最大発泡倍率及び成形体融着率が大きいことが分かる。
【符号の説明】
【0118】
10 ダイ
11 フェイス面
12 小孔
13 樹脂通路
a 小孔ランド部の長さ
b 小孔の直径
図1
図2