(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
グリッド電極及び転換電極における電位の極性を切り替えることにより、異なるタイプの帯電粒子を検出するように構成されている、請求項1に記載の帯電粒子検出装置。
【背景技術】
【0003】
帯電粒子の結像及び分析加工機器、例えば走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;略称SEM)、集束イオンビーム(Focused Ion Beam;略称FIB)、及び、集束イオンビームと走査電子顕微鏡からなるダブルビーム機器などは、電荷を有する高エネルギー粒子(電子又はイオン)を利用して測定対象の試料に対して結像及び加工を行う。
【0004】
図1は、従来技術における典型的な集束イオンビーム又は電子ビーム機器の構成の模式図である。図中、粒子源101(例えば電子源又はイオン源)は、収束レンズ系102の作用により高エネルギーのマイクロビーム104として収束され、マイクロビーム104は、走査ディフレクター103の作用により試料105表面上のマイクロゾーンに対してドット又はラインごとに走査する。そしてマイクロビーム104が測定試料105に衝突すると、二次粒子(マイクロビーム104が例えば電子である場合、二次電子、後方散乱電子、オージェ電子、X線などの二次粒子が励起され、マイクロビーム104が例えばイオンである場合、二次電子、二次イオン及び中性粒子などの二次粒子が励起される)が生じる。試料105に衝突して生じた二次粒子107は検出器106に吸引される。前記二次粒子が二次電子又は二次イオンである場合、前記検出器106は、二次粒子を吸収して電気信号に変換するためのE−T検出器(Everhart−Thornley detector)又はMCP(Microchannel Plate)検出器などであってもよい。増幅処理を経た当該電気信号は、最終的に、色のグレースケール値と対応する電圧値に変換され、表示画像を形成する。
【0005】
検出器106がE−T検出器である場合を例に説明する。
図2は、典型的なE−T検出器の構造を示す図である。二次電子検出モードの場合、マイクロビームが試料に衝突して生じた二次電子は、プラス偏圧下のグリッド電極201に吸引された後、より高いプラス偏圧下のシンチレータ202(Scintillator)(通常、電圧が約+10kV)によってさらに加速されると共に該シンチレータに当たる。すると、高エネルギーの二次電子は、シンチレータによって光子へ転換される。光子は、光導波管203を通過して光電子増倍管204(Photomultiplier Tube;略称PMT)に進入し、最終的には検出信号が増幅され出力される。一方、二次イオン検出モードの場合、グリッド電極201及びシンチレータ202における電位の極性をプラス又はマイナス電位に設定する必要がある。この両者の電界作用により、試料から生じた二次イオンはシンチレータ202に衝突して光子へ転換され、その後、信号の増幅が行われる。しかし、従来のシンチレータでは、イオンを光子に転換する効率が極めて低いため、場合によっては光子が生じないことがある。また、イオンは、電子に比べてより大きな質量を有するため、同じエネルギーの二次イオンがシンチレータに当たったとき、シンチレータに与えるダメージが大きくなり、使用寿命が大幅に短縮される。したがって、二次イオンに対するE−T検出器の検出効率が通常では極めて低く、一般的には、E−T検出器を用いて二次イオンの信号を検出することはない。
【0006】
試料由来の二次粒子に対する検出器の検出効率が試料の結像及び加工の効果に重大な影響を与えること、且つ、二次電子像に比べて二次イオン像がより高いコントラストを有し、測定対象の試料表面上の異なる元素の分布の分析に有利であることから、従来の検出器を改良し二次粒子、特に二次イオンに対する検出効率を向上させる必要がある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下は、図面を参照しつつ、本発明についてさらに詳述する。
【0014】
本発明は、二次イオン及び二次電子を検出するための帯電粒子検出装置を提供する。
【0015】
前記帯電粒子検出装置は、
帯電粒子を吸引するためのグリッド電極と、
粒子入口(即ち、グリッド電極に近い側の開口)の面積が粒子出口(即ち、電子検出電源に近い側の開口)の面積よりも小さい転換電極であって、帯電粒子を収集すると共に、前記帯電粒子が二次イオンである場合に前記二次イオンを二次電子に転換するための転換電極と、
二次電子を吸収すると共に検出信号を増幅して出力するための電子検出ユニットと、
シールド筐体と、を含む。
【0016】
また、前記帯電粒子検出装置の中心軸線の方向と入射ビームの方向とが、一定の方位角を成す。
【0017】
前記グリッド電極、転換電極、電子検出ユニットは同軸設置されていることが好ましく、これにより、帯電粒子検出装置の構造が簡単になり実現されやすく、且つ、非同軸設置の場合に比べてより高い検出効率を有する。
【0018】
また、前記転換電極には、イオンから二次電子への転換効率の高い材料が用いられている。前記転換電極の材料は、酸化アルミニウム、アルミニウム、ベリリウム銅などを含むことが好ましいが、これらに限定されない。
【0019】
また、前記転換電極は、グリッド電極に近い側の粒子入口の面積が電子検出器に近い側の粒子出口の面積よりも小さくなるような任意の形状、例えば、錐台、切断された半球体又は多面体、錐台と円柱体(即ち円筒)との組み合わせ、切断された半球体と円柱体との組み合わせなどであってもよい。転換電極が、錐台、又は、錐台と円柱体とを組み合わせた形状である場合、錐台の側辺とその軸線との成す角度が20°以上であり、且つ90°よりも小さいことが好ましい。錐台の軸線は、帯電粒子検出装置の中心軸線であることが好ましい。
【0020】
なお、転換電極は、粒子入口の面積が粒子出口の面積よりも小さいため、極めて高い粒子吸収率を有する。また、帯電粒子が二次イオンである場合、転換後に得た二次電子のロスを効率良く回避することができ、即ち、転換後に得た二次電子が電子検出ユニットに吸収されることが確保される。
【0021】
帯電粒子検出装置は、前記グリッド電極及び転換電極における電位の極性を切り替えることにより、異なるタイプの帯電粒子を検出するように構成されていることが好ましい。
【0022】
例えば帯電粒子がプラス電荷の二次イオンである場合(即ち、プラス電荷二次イオンの検出モード下の場合)、グリッド電極の電圧を−50V〜−400Vに切り替え、転換電極の電圧を−2kV〜−3kVに切り替える。
【0023】
また、例えば帯電粒子が二次電子である場合(即ち、二次電子検出モード下の場合)、グリッド電極の電圧を+50V〜+200Vに切り替え、転換電極の電圧を0V〜+500Vに切り替える。
【0024】
なお、本発明において言及される全ての電圧数値は何れも、測定対象試料の電気ポテンシャルを参考電気ポテンシャルとして得たものであり、以下の実施例ではその説明を繰り返さない。
【0025】
また、前記電子検出ユニットは、転換電極の粒子出口から出射された二次電子を吸収すると共に、検出信号を増幅して出力する。試料由来の帯電粒子が二次イオンである場合には、前記電子検出ユニットに吸収される二次電子は、転換電極によって転換された後の二次電子であり、試料由来の帯電粒子が二次電子である場合には、前記電子検出ユニットに吸収される二次電子は、試料由来の二次電子である。
【0026】
好ましい構成として、前記電子検出ユニットは、
二次電子を吸収すると共に二次電子を光子に転換するためのシンチレータと、
前記シンチレータ内で生じた光子を光電子増倍管に誘導するための光導波管と、
光電変換を行うと共に検出信号を増幅して出力するための光電子増倍管とを含む。
【0027】
また、前記シンチレータがシールド筐体の内部に位置し、前記光導波管の一部又は全部が筐体の内部に位置してもよい。
【0028】
別の好ましい構成として、前記電子検出ユニットは、半導体ベースの検出器又はMCP検出器である。
【0029】
帯電粒子検出装置が帯電粒子を検出する過程における、帯電粒子の運動軌跡は、具体的に次のようになる。即ち、帯電粒子がプラス電荷の二次イオンである場合、前記二次イオンは、前記グリッド電極を通過した後に前記転換電極の粒子入口から進入すると共に、前記転換電極の内表面に衝突して二次電子へ転換され、転換された二次電子は、前記転換電極の粒子出口から出射して前記電子検出ユニットに吸収される。帯電粒子が二次電子である場合、前記二次電子は、前記グリッド電極を通過した後に前記転換電極の粒子入口から進入すると共に、転換電極の粒子出口から出射して電子検出ユニットに吸収される。
【0030】
本実施例に係る帯電粒子検出装置は、帯電粒子に対する検出効率が90%以上である。また、帯電粒子が二次電子である場合、前記帯電粒子検出装置は、二次電子に対する検出効率が99%以上である。
【0031】
本実施例に係る帯電粒子検出装置は、帯電粒子、例えば、試料由来の二次イオン及び二次電子に対する効率的検出が実現され、且つ、構造が簡単で実現されやすく、製造の難しさ及びコストが大幅に軽減されると共に、高い検出安定性を有する。
【0032】
図3は、本発明に係る一例の帯電粒子検出装置の断面模式図である。なお、
図3は帯電粒子検出装置の中心軸線307に沿った断面模式図である。図中、前記帯電粒子検出装置は、グリッド電極301、転換電極302、電子検出ユニット、シールド筐体303を含む。また、前記電子検出ユニットは、シンチレータ304、光導波管305、光電子増倍管306を含む。また、前記グリッド電極301、転換電極302、電子検出ユニットは、中心軸線307を軸に同軸配置されている。
【0033】
また、前記転換電極302は錐台であり、前記錐台の側辺と帯電粒子検出装置の中心軸線307(錐台の軸線にも相当する)との成す角度θ
1が20°である。また、錐台の断面における2つの側辺は、中心軸線307に対して軸対称となっている。
図3中の矢印が指す部分は、転換電極302の構造を模式的に示すと同時に、θ
1の定義を表している。転換電極302におけるグリッド電極301寄りの上方開口は粒子入口であり、該粒子入口は面積S1を有する円形である。また、転換電極302におけるシンチレータ304寄りの下方開口は粒子出口であり、該粒子出口は面積S2を有する円形であり、S1<S2である。
【0034】
グリッド電極301の電圧が−50V〜−400Vの電圧範囲内に設定され、転換電極302の電圧が−2kV〜−3kVの電圧範囲内に設定され、シンチレータ304の電圧が+7kV〜+12kVの電圧範囲内に設定されているプラス電荷二次イオン検出モードを例に説明する。試料由来のプラス電荷の二次イオンは、グリッド電極301の電界作用によりグリッド電極301に向かって運動し、グリッド電極301を通過した後、転換電極302によってさらに加速されて転換電極302の粒子入口から進入する。そして、転換電極302の内表面に衝突して二次電子を励起することにより、二次イオンから二次電子への転換が完了する。転換された二次電子は、転換電極302の粒子出口から出射すると共に、プラス電圧下のシンチレータ304に吸引され、光子が生じる。光子は、光導波管305を介して光電子増倍管306に伝送され、光電変換され、検出信号が増幅され出力される。
【0035】
グリッド電極301の電圧が+50V〜+200Vの電圧範囲内に設定され、転換電極302の電圧が0V〜+500Vの電圧範囲内に設定され、シンチレータ304電圧が+7kV〜+12kVの電圧範囲内に保持されている二次電子検出モードを例に説明する。試料由来の二次電子は、グリッド電極301の電界作用によりグリッド電極301に向かって運動し、グリッド電極301を通過して転換電極302の粒子入口から進入した後、直接に転換電極302の粒子出口から出射すると共にプラス電圧下のシンチレータ304に吸引され、光子が生じる。光子は、光導波管305を介して光電子増倍管306に伝送され、光電変換され、検出信号が増幅され出力される。
【0036】
従来技術におけるシンチレータでは、イオンを光子に転換する効率が極めて低いため、場合には光子が生じないことがある。また、イオンは、電子に比べてより大きな質量を有するため、同じエネルギーの二次イオンがシンチレータに当たったとき、シンチレータに与えるダメージが大きくなり、使用寿命が大幅に減少する。したがって、一般的には、E−T検出器を用いて二次イオンを直接検出することはない。
【0037】
一方、本実施形態に係る帯電粒子検出装置は、二次イオンに対する収集効率及び転換効率が向上し、且つ、二次イオンが直接にシンチレータに当たる時にシンチレータに与え得るダメージを回避することができるため、二次イオンに対する検出効率が大幅に向上すると共に、シンチレータの使用寿命が延び、且つ二次電子に対する検出効率も向上する。
【0038】
図4は、本発明に係る別の一例の帯電粒子検出装置の断面模式図である。なお、
図4は帯電粒子検出装置の中心軸線407に沿った断面模式図である。図中、前記帯電粒子検出装置は、グリッド電極401、転換電極402、電子検出ユニット、シールド筐体403を含む。また、前記電子検出ユニットは、シンチレータ404、光導波管405、光電子増倍管406を含む。また、前記グリッド電極401、転換電極402、電子検出ユニットは、中心軸線407を軸に同軸配置されている。
【0039】
また、前記転換電極402は、錐台と円柱体とを組み合わせた形状であり、グリッド電極401に近い側が錐台であり、シンチレータ404に近い側が円柱体である。また、前記錐台の側辺と帯電粒子検出装置の中心軸線407との成す角度がθ
2である。前記円柱体は、前記錐台を安定させる役割を果たすため、転換電極の構造をより安定させ、高い検出効率を維持している。
図4中の矢印が指す部分は、転換電極402の構造を模式的に示すと同時に、θ
2の定義を表している。転換電極402におけるグリッド電極401寄りの上方開口は粒子入口であり、該粒子入口は、面積S3を有する円形である。また、転換電極402におけるシンチレータ404寄りの下方開口は粒子出口であり、該粒子出口は面積S4を有する円形であり、S3<S4である。
【0040】
図4に示された帯電粒子検出装置が帯電粒子を検出する過程は、
図3に示された帯電粒子検出装置が帯電粒子を検出する過程と類似するため、その説明はここで省略する。以下、帯電粒子の擬似軌跡を参照しながら詳しく説明する。
【0041】
二次Si
+イオンを例とし、グリッド電極401の電圧が−50V〜−400Vの電圧範囲内に設定され、転換電極402の電圧が−2kV〜−3kVの電圧範囲内に設定され、シンチレータ404の電圧が+7kV〜+12kVの電圧範囲内に設定されているプラス電荷二次イオン検出モードの場合は、グリッド電極401と転換電極402とシンチレータ404との共同作用により、二次Si
+イオンが加速されて転換電極402の内表面上に吸引される。この過程における二次Si
+イオンの運動軌跡は、例えば
図6aに示された軌跡601となり、このときの帯電粒子検出装置の検出効率は96%である。続いて、二次Si
+イオンが転換電極402の内側に衝突することで励起された二次電子は、シンチレータ404にキャプチャされる。二次電子の運動軌跡は、例えば
図6bに示された軌跡602となり、このときの帯電粒子検出装置の検出効率は94%である。なお、
図6a及び
図6bに示されているのは、単に
図4の帯電粒子検出装置における一部のユニットである。
【0042】
なお、転換電極402におけるグリッド電極401寄りの一端の断面が斜面状である。該傾斜状の転換電極402とシンチレータ404とが共同で収束状態の電界を形成することにより、二次イオンによって励起された二次電子が効率良くシンチレータ404の中心へ偏向されることが確保されている。1つのプラスイオンによって1つの二次電子が励起されることを想定すると、
図4に示された帯電粒子検出装置は、二次イオンの検出効率が90%である。
【0043】
また、
図7は、二次イオン検出モード下の
図4の帯電粒子検出装置における電界分布図の一例を示し、電界中の等ポテンシャル線を表している。
【0044】
二次電子検出モードの場合、グリッド電極401の電圧は+50V〜+200Vの電圧範囲内に設定され、転換電極402の電圧は0V〜+500Vの電圧範囲内に設定され、シンチレータ404の電圧は+7kV〜+12kVの電圧範囲内に設定される。
図8は、
図4に示された帯電粒子検出装置が二次電子を検出する際の擬似運動軌跡を示している。
図8から分かるように、試料表面由来の二次電子は、グリッド電極401及び転換電極402を通過し、最終的にシンチレータ404の中心へ吸引される。二次電子の運動軌跡は、例えば
図8に示された軌跡801であり、この場合の帯電粒子検出装置の検出効率は99%である。なお、
図8に示されているのは、単に
図4の帯電粒子検出装置における一部のユニットである。
【0045】
また、
図9は、二次電子検出モード下の
図4の帯電粒子検出装置における電界分布図の一例を示し、電界中の等ポテンシャル線を表している。
【0046】
なお、
図6a中の軌跡601、
図6b中の軌跡602、及び
図8中の軌跡801は、単に擬似的な運動軌跡である。当業者に理解されるように、擬似運動軌跡における高密集度の箇所の視覚的充満(即ち、視覚的に線を見分けることができない)、例えば、
図6aに示された軌跡601上の、転換電極402寄りの部分に擬似運動軌跡が充満する場合も有り得る。
【0047】
また、
図7及び
図9に示された電界分布は単に例示であり、上記と同様、当業者に理解されるように、等ポテンシャル線が密集する(又は電界強度が高い)箇所の視覚的充満、例えば、
図9に示されたシンチレータ付近に等ポテンシャル線が充満する場合も有り得る。
【0048】
本実施例に係る帯電粒子検出装置は、
図3に示された帯電粒子検出装置に比べ、転換電極の形状がさらに改良され、転換電極の安定性が向上し、帯電粒子に対する高い検出効率がさらに確保されている。
【0049】
図5は、本発明に係るさらに別の一例の帯電粒子検出装置の実施例の断面模式図である。なお、
図5は帯電粒子検出装置の中心軸線に沿った断面模式図である。図中、前記帯電粒子検出装置は、グリッド電極501、転換電極502、シールド筐体503、電子検出ユニット504を含む。また、前記電子検出ユニット504は、半導体ベースの検出器、(例えばケイ素ベースのフォトダイオード(Si photodiode半導体)、ケイ素ベースのPINフォトダイオード(Si PIN photodiode)又はマイクロチャンネルプレート(microchannel plate)検出器である。前記グリッド電極501、転換電極502、電子検出ユニット504は、該帯電粒子検出装置の中心軸線を軸に同軸配置されている。
【0050】
また、前記転換電極502の構造は、
図4中の前記転換電極402と同様であるため、ここでその説明を省略する。なお、図示された転換電極502の構造は単に例示であり、本発明を限定するものではない。当業者に理解されるように、転換電極502の形状は、グリッド電極501に近い側の粒子入口の面積が電子検出ユニット504に近い側の粒子出口の面積よりも小さくなるような任意の形状であってもよい。
【0051】
本実施例に係る帯電粒子検出装置が帯電粒子を検出する過程における、帯電粒子の運動軌跡は、具体的に次のようになる。即ち、帯電粒子がプラス電荷の二次イオンである場合、二次イオンは、グリッド電極501を通過した後に転換電極502の粒子入口から進入すると共に、転換電極502の内表面に衝突して二次電子へ転換され、転換された二次電子は、転換電極502の粒子出口から出射して電子検出ユニット504(半導体ベースの検出器又はMCP検出器)に吸収される。帯電粒子が二次電子である場合、二次電子は、グリッド電極501を通過した後に転換電極502の粒子入口から進入すると共に、転換電極502の粒子出口から出射して電子検出ユニット504に吸収される。
【0052】
また、
図5に示された電子検出ユニット504が半導体ベースの検出器である場合、転換電極502の粒子出口から出射する二次電子は、半導体ベースの検出器の表面に衝突すると共に半導体ベースの内部に進入し、複数の正孔対を形成することによって電流信号の増幅が実現される。
【0053】
なお、電子検出ユニット504が半導体ベースの検出器又はMCP検出器である場合は、帯電粒子に対する高い検出効率を実現するように電子検出ユニット504表面における電圧を+7kV〜+12kV電圧範囲に設定することが好ましい。
【0054】
図10は本発明が提供する、本発明において提供される帯電粒子検出装置を含む帯電粒子機器の模式図である。前記帯電粒子機器内の帯電粒子源111は、帯電粒子ビーム114を生成するためのものであり、電子光学系112は、帯電粒子ビーム114を収束、偏向させるためのものである。帯電粒子ビーム114は、電子光学系112を通過した後、真空室113内の試料115に作用することで二次粒子117が発生し、二次粒子117は、前記帯電粒子検出器116によって検出される。帯電粒子機器内には、前記帯電粒子検出装置の中心軸線の方向と帯電粒子機器内における入射ビームの方向とが、一定の方位角を成すことが好ましい。前記帯電粒子機器は、走査電子顕微鏡、集束イオンビーム機器、及び、走査電子顕微鏡と集束イオンビーム機器とからなるダブルビーム機器などであってもよい。
【0055】
また、添付される図面に示されたグリッド電極が何れも破線で図示されているが、これは、グリッド電極の格子形状を模式的に表すためであり、グリッド電極を実際に切断した図ではない。
【0056】
以上のように図面及び好ましい実施例を通して本発明の帯電粒子検出装置及び帯電粒子機器について詳細に展示、説明したが、本発明はこれらの開示された実施例に限定されない。当業者がこれらの開示から見出す他の構成も本発明の保護範囲内に含まれる。
【0057】
当業者にとって、本発明が上記の例示的実施例の細部に限定されないことは勿論であり、また、本発明の精神又は基本的特徴を逸脱しない範囲で他の具体的な形式で本発明を実現することができる。したがって、何れの面においても、実施例を例示的、且つ非限定的なものと見做すべきである。本発明の範囲は、上記の説明ではなく、添付される特許請求の範囲によって限定されるため、請求項の均等的要件における含意及び範囲に含まれる全ての変形が本発明に内包されている。また、請求項中の何れの図面符号も、当該請求項を限定するものと見做すべきではない。また、当然のように、用語「含む」は他の手段又はステップを排除するものではなく、単数表現は複数表現を排除するものではない。さらに、システムに関する請求項に記載の複数の手段又は装置は、ソフトウェア又はハードウェアを用いる1つの手段又は装置で実現されてもよい。「第1の」、「第2の」などの用語は、何らかの特定の順番ではなく、名称を表すものである。