特許第6962707号(P6962707)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6962707-洗浄剤組成物 図000008
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962707
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/04 20060101AFI20211025BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20211025BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20211025BHJP
   G01N 1/04 20060101ALI20211025BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20211025BHJP
【FI】
   C11D3/04
   C11D1/14
   C11D1/72
   G01N1/04 H
   C12Q1/68
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-99755(P2017-99755)
(22)【出願日】2017年5月19日
(65)【公開番号】特開2018-193502(P2018-193502A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113067
【氏名又は名称】プリマハム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】特許業務法人雄渾
(74)【代理人】
【識別番号】100197022
【弁理士】
【氏名又は名称】谷水 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100102635
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 保男
(72)【発明者】
【氏名】細川 大介
(72)【発明者】
【氏名】竹中 伸巧郎
(72)【発明者】
【氏名】上▲崎▼ 菜穂子
(72)【発明者】
【氏名】岡田 幸男
【審査官】 林 建二
(56)【参考文献】
【文献】 特表平10−510531(JP,A)
【文献】 特表平10−510533(JP,A)
【文献】 特開昭54−037856(JP,A)
【文献】 特表2010−530217(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/043494(WO,A1)
【文献】 特開2007−068452(JP,A)
【文献】 特開2017−012188(JP,A)
【文献】 特開2011−006351(JP,A)
【文献】 特表2009−529034(JP,A)
【文献】 特表昭61−501390(JP,A)
【文献】 特開2001−046071(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/041648(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00−19/00
C12N 15/00−15/90
A23L 5/00−29/10
A22C 5/00−29/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物由来組織からなる肉片に混入した骨異物からDNAを採取する際に、前記動物由来組織からなる肉片を前記骨異物から除去するために用いられる洗浄剤組成物であって、
(A)水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、及び、(B)ラウリル硫酸ナトリウム又はポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、を含有し、
洗浄剤組成物中における前記(A)水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの含有量は、0.001〜1質量%であり、
洗浄剤組成物中における前記(B)ラウリル硫酸ナトリウム又はポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの含有量は、0.001〜5質量%であることを特徴とする、洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記骨異物と前記動物由来組織からなる肉片は、種の異なるものであることを特徴とする、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記骨異物からDNAを採取するための核酸採取キットであって、
前記請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物を含むことを特徴とする、核酸採取キット。
【請求項4】
動物由来組織からなる肉片に混入した骨異物から前記動物由来組織からなる肉片を除去するための洗浄方法であって、
前記請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物を用いて、前記動物由来組織からなる肉片の付着した骨異物を洗浄する工程、
を備えたことを特徴とする、洗浄方法。
【請求項5】
動物由来組織からなる肉片に混入した骨異物からDNAを採取するための核酸採取方法であって、
請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物を用いて、前記動物由来組織からなる肉片の付着した骨異物を洗浄する工程、
洗浄した骨異物からDNAを採取する工程、
を備えたことを特徴とする、核酸採取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物由来の組織の付着した硬組織から動物由来の組織を除去するための洗浄剤組成物及び洗浄方法に関するものである。より詳細には、本発明は、動物由来の組織の付着した硬組織から動物由来の組織を除去し、硬組織由来の核酸を採取するために使用する洗浄剤組成物および洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、法医学的なDNA鑑定や、生物学的な遺伝子研究の際に、骨や歯牙等の硬組織からDNAが採取されている。例えば、特許文献1には、DNAを簡便かつ効率よく採取する方法として、エチレンジアミン四酢酸を含有する水溶液、界面活性剤を含有する可溶化剤緩衝液、タンパク質分解酵素液等の複数の液で処理する方法が開示されている。この方法によれば、DNA鑑定を阻害するタンパク質等の不純物を混入させることなく、DNAを採取することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4427588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
挽肉等の食品では骨片が混入する場合があり、品質管理の一環としてこの骨片が挽肉と同種の動物由来のものか、外部からの混入物であるのかを同定する必要がある。また、複数の畜種の肉が混合されている合挽肉等の場合では、再発防止のために、混入した骨片がどの畜種に由来するものであるのかを同定する必要がある。
【0005】
そこで、従来の法医学的なDNAの採取方法を利用して、挽肉等の食品中から骨片を取り出し、骨片由来のDNAから畜種の同定を試みたところ、肉由来のDNAを除去できないという問題があった。通常、法医学の分野におけるDNA採取では、骨片とこれに付着する肉片が同種のものを取り扱うことから、この問題は注視されるものではなかったと推察される。
【0006】
本発明では、上記のような問題を解決するべく、肉片等の動物由来の組織が付着した骨片等の硬組織から、動物由来の組織を除去し、硬組織の動物種を正確に同定することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、アルカリ剤及び界面活性剤を含有する洗浄剤組成物を用いて硬組織を洗浄することにより、硬組織に付着した動物由来の組織が十分に除去され、硬組織の動物種を正確に同定できることを見出して、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下の洗浄剤組成物及び洗浄方法、核酸採取キット及び核酸採取方法である。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の洗浄剤組成物は、動物由来の組織の付着した硬組織から前記動物由来の組織を除去するための洗浄剤組成物であって、(A)アルカリ剤、及び、(B)界面活性剤、を含有することを特徴とする。
この洗浄剤組成物によれば、動物由来の組織の付着した硬組織から、動物由来の組織が十分に除去されるため、硬組織の動物種を正確に同定することができる。
【0009】
更に、本発明の洗浄剤組成物の一実施態様によれば、(A)アルカリ剤の含有量は、0.01〜0.1質量%であることを特徴とするものである。
この特徴によれば、動物由来の組織の付着した硬組織から、動物由来の組織を除去するという本発明の効果をより発揮することができる。
【0010】
更に、本発明の洗浄剤組成物の一実施態様によれば、(B)界面活性剤の含有量は、0.01〜1質量%であることを特徴とする。
この特徴によれば、動物由来の組織の付着した硬組織から、動物由来の組織を除去するという本発明の効果をより発揮することができる。
【0011】
更に、本発明の洗浄剤組成物の一実施態様によれば、硬組織は、骨片であることを特徴とする。
骨片は、挽肉等の食品等に混入しやすい硬組織であるため、この特徴によれば、本発明の洗浄剤組成物を好適に利用することができる。
【0012】
更に、本発明の洗浄剤組成物の一実施態様によれば、硬組織と動物由来の組織は、種の異なるものであることを特徴とする。
本発明の洗浄剤組成物によれば、硬組織に付着した動物由来の組織を十分に除去することができるため、硬組織と動物由来の組織がそれぞれ種の異なるものである場合に、本発明の効果がより発揮される。
【0013】
また、上記課題を解決するための本発明の核酸採取キットは、硬組織からDNA又はRNAを採取するための核酸採取キットであって、本発明の洗浄剤組成物を含むことを特徴とする。
この核酸採取キットによれば、硬組織由来の核酸を高純度で精製することができるため、硬組織の動物種を正確に同定することができる。
【0014】
また、上記課題を解決するための本発明の洗浄方法は、動物由来の組織の付着した硬組織から動物由来の組織を除去するための洗浄方法であって、本発明の洗浄剤組成物を用いて、動物由来の組織の付着した硬組織を洗浄する工程、を備えたことを特徴とする。
この洗浄方法によれば、動物由来の組織の付着した硬組織から、動物由来の組織が十分に除去されるため、硬組織の動物種を正確に同定することができる。
【0015】
また、上記課題を解決するための本発明の核酸採取方法は、動物由来の組織の付着した硬組織からDNA又はRNAを採取するための核酸採取方法であって、本発明の洗浄剤組成物を用いて、動物由来の組織の付着した硬組織を洗浄する工程、洗浄した硬組織からDNA又はRNAを採取する工程、を備えたことを特徴とする。
この核酸採取方法によれば、硬組織由来の核酸を高純度で精製することができるため、硬組織の動物種を正確に同定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、肉片等の動物由来の組織が付着した骨片等の硬組織から、動物由来の組織を除去し、硬組織の動物種を正確に同定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態による動物組織に混入した硬組織の動物種判別方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[洗浄剤組成物]
本発明の洗浄剤組成物は、動物由来の組織の付着した硬組織から動物由来の組織を除去するための洗浄剤組成物であって、(A)アルカリ剤、及び、(B)界面活性剤、を含有することを特徴とするものである。この洗浄剤組成物によれば、動物由来の組織を硬組織から十分に除去することができる。
【0019】
硬組織とは、動物の体を支えるために所定の硬度を有する組織であり、例えば、肉畜や、野生獣、霊長類、家禽、魚類等の歯、爪、骨等が挙げられ、肉畜としてはウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ウサギ等、野生獣としてはイノシシやシカ等、霊長類としてはヒトやチンパンジー等、家禽としてはニワトリ、ウズラ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ等、魚類としてはスケトウダラ、マグロ、アジ等が挙げられる。食品等に混入しやすいという観点から、硬組織が骨である場合に、本発明の洗浄剤組成物の利用性が向上する。
【0020】
動物由来の組織(以下、「動物由来組織」という。)としては、例えば、筋細胞等により構成される筋組織、コラーゲンや線維芽細胞から構成される結合組織、上皮細胞等により構成される上皮組織、神経細胞等により構成される神経組織、脂肪細胞等により構成される脂肪組織等が挙げられる。また、これらの動物由来組織からなる肉片等でもよい。
【0021】
動物由来組織における動物種は、硬組織と同一種でも、異種でもよい。本発明の洗浄剤組成物は、硬組織から動物由来組織を除去する性能に優れることから、動物由来組織と硬組織が異種である場合に、本発明の効果をより発揮することができる。
【0022】
動物由来組織の付着した硬組織とは、動物由来組織が硬組織に付着した状態のものであれば、特に制限されないが、例えば、動物由来組織が硬組織に癒着した状態のもの、動物由来組織と硬組織を混練することにより動物由来組織が硬組織に付着した状態のもの等が挙げられる。
【0023】
本発明の洗浄剤組成物は、動物由来組織の付着した硬組織から動物由来組織を除去する用途に利用されるものであれば、特に制限されず、例えば、挽肉等の食品に混入した硬組織の動物種の同定方法や、法医学的なDNA鑑定や、生物学的な遺伝子研究におけるDNAの採取や、動物の骨の標本作製等に利用することができる。
【0024】
食品に混入した硬組織の動物種の同定方法では、動物由来組織と硬組織の動物種が異なるものかどうかを判別することが求められるため、動物由来の組織を硬組織から十分に除去するという本発明の効果をより発揮することができる。
前記食品の具体例としては、例えば、挽肉、合挽肉、食肉の練肉、魚の練肉、ネギトロ等の未加熱食品や、ソーセージ、ハンバーグ、ナゲット等の食肉を含む加工食品、魚肉ソーセージ、はんぺん、さつま揚げ等の魚肉を含む加工食品等の加熱食品が挙げられる。
【0025】
次に、本発明の洗浄剤組成物に含有する成分について、詳細に説明する。
<(A)アルカリ剤>
本発明に用いるアルカリ剤は、脂肪やタンパク質を分解するための成分であり、例えば、無機アルカリ剤および有機アルカリ剤を用いることができる。無機アルカリ剤としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等の炭酸水素塩、アンモニア等が挙げられる。有機アルカリ剤としては、具体的には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等が挙げられる。
汎用性に優れるという観点から、好ましくは、無機アルカリ剤であり、より好ましくは、水酸化物であり、特に好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムである。
【0026】
アルカリ剤の含有量は、特に制限されないが、好ましくは0.001〜1質量%である。下限値としては、より好ましくは0.005質量%以上であり、特に好ましくは0.01質量%以上である。上限値としては、より好ましくは0.5質量%以下であり、更に好ましくは0.3質量%以下であり、特に好ましくは0.1質量%以下である。
【0027】
<(B)界面活性剤>
本発明に用いる界面活性剤は、親水性部分と疎水性部分を有する化合物であり、親水性部分の性質により、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤に大別される。界面活性剤は、硬組織表面の微細な孔に埋まっている動物由来組織を除去する作用を有すると推察される。
【0028】
(陰イオン界面活性剤)
陰イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミドエーテルカルボン酸塩、アシル乳酸塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルメチルアラニン塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルアミノ酸塩等のカルボン酸塩;アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、アシルイセチオン酸塩、アルキルグリシジルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物等のスルホン酸塩;アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸塩等の硫酸塩;アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、脂肪酸アミドエーテルリン酸塩等のリン酸塩等が挙げられる。
【0029】
より具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム等が例示される。
【0030】
(陽イオン界面活性剤)
陽イオン界面活性剤としては、例えば、1級アミン塩、2級アミン塩、3級アミン塩、脂肪酸アミドアミン塩等の脂肪族アミン塩;アルキル4級アンモニウム塩、アルキルトリアルキレングリコールアンモニウム塩、アルキルエーテルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、ピリジニウム塩等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0031】
より具体的には、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキル(16,18)トリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化アルキル(28)トリメチルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレン(2)オレイルメチルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレンステアリルメチルアンモニウム、塩化ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(25)ジエチルメチルアンモニウム、塩化ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(12〜15)ジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(12〜18)ジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(14〜18)ジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化イソステアリルラウリルジメチルアンモニウム等が挙げられる。なお、「アルキル」に続くカッコ内の数字は炭素数、「ポリオキシエチレン」及び「ポリオキシプロピレン」に続くカッコ内の数字は付加モル数を表す。
【0032】
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤としては、例えば、グリシン型、アミノプロピオン酸型、カルボキシベタイン型、イミダゾリニウム塩等のカルボン酸塩型両性界面活性剤;スルホベタイン型両性界面活性剤;スルホン酸型両性界面活性剤;硫酸型両性界面活性剤;リン酸型両性界面活性剤等が挙げられる。また、カルボン酸塩型両性界面活性剤は、アミン塩のカチオン部をもつアミノ酸型両性界面活性剤(グリシン型、アミノプロピオン酸型)と、4級アンモニウム塩のカチオン部をもつベタイン型両性界面活性剤に大別される。
【0033】
アミノ酸型両性界面活性剤の具体例としては、例えば、N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(ラウロアンホ酢酸Na)、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシエチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシエトキシエチル−N’−カルボキシエチルエチレンジアミン二ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシメトキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、パーム油脂肪酸アシル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のグリシン型両性界面活性剤;ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミン等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤等が挙げられる。
ベタイン型両性界面活性剤の具体例としては、例えば、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;ラウリルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0034】
(非イオン界面活性剤)
非イオン界面活性剤としては、例えば、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、エチレングリコールモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド等の多価アルコール脂肪酸エステル及び多価アルコールアルキルエーテル;ポリオキエチレンアルキルエーテル、ポリオキエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキエチレンフィトステロール、ポリオキエチレンフィトスタノール、ポリオキエチレンコレステロール、ポリオキエチレンコレスタノール、ポリオキエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシエチレンエーテル;ポリオキエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリオキエチレングリコールジ脂肪酸エステル、ポリオキエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキエチレンメチルグルコシド脂肪酸エステル、ポリオキエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキエチレン動植物油、ポリオキエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキエチレンポリオキシプロピレングリコール等のエーテルエステル;ポリオキエチレンアルキルアミン、ポリオキエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルアミンオキシド等の含窒素誘導体等が挙げられる。
【0035】
より具体的には、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレン(5〜10)ヤシ油アルコールエーテル、ポリオキシエチレン(5〜10)合成アルコールエーテル、ポリオキシエチレン(5〜7)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(7.5〜15)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン(10〜55)モノステアリン酸エステル、モノカプリン酸ソルビタン、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノカプリン酸ヘキサグリセリル等が挙げられる。
【0036】
界面活性剤として、好ましくは、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤であり、より好ましくは、アルキル硫酸塩、ポリオキエチレンソルビタン脂肪酸エステルであり、特に好ましくは、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートである。界面活性剤は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0037】
界面活性剤の含有量は、特に制限されないが、好ましくは0.001〜5質量%である。下限値としては、より好ましくは0.01質量%以上であり、更に好ましくは0.02質量%以上であり、特に好ましくは0.05質量%以上である。上限値としては、より好ましくは1質量%以下であり、更に好ましくは0.9質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以下である。
また、イオン性界面活性剤を使用する場合には、好ましくは0.01質量%超であり、非イオン界面活性剤を使用する場合には、好ましくは1質量%未満である。
【0038】
<その他の成分>
本発明の洗浄剤組成物には上記の各成分以外にも、各種の添加剤を配合することができる。例えば、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)等のキレート剤や、次亜塩素酸ナトリウム等の各種添加剤を加えることができる。
【0039】
また、本発明の洗浄剤組成物において、以上の各成分を液体に溶解又は分散して使用してもよい。液体としては、水のほか、エタノール、メタノール、イソプロパノール等のアルコール、クロロホルム、ヘキサン等を使用することができる。また、2種以上の液体を混合して使用することもできる。好ましい液体は、水である。
【0040】
[洗浄方法]
本発明の洗浄方法は、動物由来の組織の付着した硬組織から動物由来の組織を除去するための洗浄方法であって、本発明の洗浄剤組成物を用いて、動物由来の組織の付着した硬組織を洗浄する工程(以下、「洗浄工程」という。)、を備えたことを特徴とする。
【0041】
<洗浄工程>
洗浄工程は、動物由来組織の付着した硬組織(以下、「被洗浄物」という。)を、本発明の洗浄剤組成物と接触させる手段であれば、どのような手段を用いてもよい。例えば、被洗浄物を洗浄剤組成物に浸漬洗浄する手段や、被洗浄物に洗浄剤組成物を掛け流して洗浄する手段や、洗浄剤組成物を付したブラシ等の洗浄具を用いて動物由来組織をこすり落とす洗浄手段等が挙げられる。硬組織が小さい片である場合には、被洗浄物を洗浄剤組成物に浸漬洗浄する手段により洗浄処理することが好ましい。
【0042】
被洗浄物を洗浄剤組成物に浸漬洗浄する手段においては、ボルテックスミキサー等の撹拌装置を用いて撹拌することが好ましい。撹拌することにより、動物由来組織を除去する作用をより高めることができる。
【0043】
<前処理工程>
洗浄工程の前に、被洗浄物をアルカリ溶液により処理する前処理工程を行うことが好ましい。前処理工程により、洗浄工程における動物由来組織の除去効果を高めることができる。
【0044】
前処理工程としては、被洗浄物をアルカリ溶液に接触させる手段であれば、どのような手段を用いてもよく、例えば、被洗浄物を50〜100℃に加温したアルカリ溶液に、1〜30分間浸漬した後、該アルカリ溶液から硬組織を摘出する工程等が挙げられる。この前処理工程は、2回以上行うことが好ましい。
【0045】
<加熱工程>
洗浄工程の前に、被洗浄物を加熱処理する加熱工程を行ってもよい。加熱工程としては、動物由来組織を変性する程度に加熱する手段であれば、どのような手段を用いてもよく、例えば、被洗浄物を真空状態で密封し、沸騰水中にて5〜60分間加熱する工程や、ステンレス製容器に入れた状態でオートクレーブを用いて121℃にて15分間加熱する工程等が挙げられる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明の洗浄剤組成物を用いて、動物由来組織の付着した硬組織から前記動物由来組織を除去するための洗浄方法、洗浄した硬組織から核酸を採取するための核酸採取方法、及び、硬組織から採取した核酸を用いて動物種を判別する方法の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0047】
図1に示すように、動物由来組織の付着した硬組織から前記動物由来組織を除去するための洗浄方法は、(1)前処理工程と(2)洗浄工程を備えており、洗浄した硬組織から核酸を採取するための核酸採取方法は、(3)脱灰工程と(4)核酸採取工程を備えている。
【0048】
(1)前処理工程
本実施形態における前処理工程では、動物由来組織に混入した硬組織を、前処理液に浸漬、摘出等の処理を施して清浄し、硬組織の表面に付着した動物由来組織を除去した。前処理液としては、炭酸ナトリウム水溶液を用いた。
【0049】
具体的には、動物由来組織に混入した硬組織を、75℃に加温した1質量%炭酸ナトリウム水溶液に10分間浸漬後、ステンレス製ピンセットを用いて硬組織を摘出した。次いで、摘出した硬組織を新たな1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて再度浸漬し、ステンレス製ピンセットを用いて硬組織表面に付着した動物由来組織を除去した。さらに、新たな1質量%炭酸ナトリウム水溶液で硬組織表面のすすぎを行った後、風乾させた。
【0050】
(2)洗浄工程
本実施形態における洗浄工程では、前処理工程において動物由来組織を除去した硬組織を、更に洗浄剤組成物を用いて浸漬洗浄した。これにより、硬組織に残存した動物由来組織を除去した。
【0051】
具体的には、ポリプロピレン製2mLサンプリングチューブに1mLの洗浄剤組成物を投入し、これに前処理工程において動物由来組織を除去した硬組織を浸漬させ、ボルテックスミキサーを用いて攪拌を行った。
【0052】
次いで、硬組織をポリプロピレン製2mLサンプリングチューブに加えた1mLの滅菌水に浸漬させ、ボルテックスミキサーを用いて攪拌を行った。
【0053】
次いで、硬組織をポリプロピレン製2mLサンプリングチューブに加えた1mLのエタノール(質量分率99.5+%)に浸漬させ、ボルテックスミキサーを用いて攪拌を行った後、風乾させた。
【0054】
(3)脱灰工程
実施形態における硬組織の脱灰工程では、EDTA水溶液に浸漬させることで、硬組織に含まれるカルシウム成分を除去した。
【0055】
具体的には、洗浄工程において動物由来組織を除去した硬組織を、ポリプロピレン製2mLサンプリングチューブに加えた1.5mLの50mM EDTA水溶液(pH8.0)に浸漬させ、ボルテックスミキサーを用いて攪拌を行った。次に、上清を除去し、1.5mLの50mM EDTA水溶液(pH8.0)を再度加えてボルテックスミキサーを用いて攪拌を行った。本工程をさらに2回繰り返した後、風乾させた。
【0056】
上記(2)洗浄工程および(3)脱灰工程において、ボルテックスミキサーを用いて攪拌を行う際の温度、強度および時間は、硬組織の容量や形状に応じ、適宜調整することができる。温度としては10〜30℃であると一層好ましく、強度および時間は1,500〜3,000rpmで1分間以上であると一層好ましい。
【0057】
(4)核酸採取工程
実施形態における硬組織からの核酸採取工程では、核酸採取キットを用いて、脱灰した硬組織から核酸を採取した。
【0058】
具体的には、核酸採取キット、例えばHigh Pure PCR Template Preparation Kit(ロッシュ社製;商品名)を用いて、脱灰した硬組織から核酸を採取した。核酸の採取はキット指定の方法に従って行った。
なお、核酸採取キットとしては、ISOHAIR(ニッポンジーン社製;商品名)を用いてもよい。
【0059】
(5)動物種判別工程
実施形態における動物種判別工程では、核酸採取工程で得たDNA抽出液を用いてPCR法または定量PCR法により硬組織の動物種を判別した。
【0060】
<PCR法による動物種判別>
具体的には、松永ら(日本食品科学工学会誌,46(3),187−194,1999)の方法でPCR法による動物種判別を行った。PCR反応液は、AmpliTaq Gold 360 Master Mix(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製;商品名)12.5μL、プライマー、DNA抽出液1μLに滅菌水を加えて合計25μLとした。使用するプライマーおよび反応条件は松永ら(1999)の方法に従い、94℃で5分反応後、94℃・30秒、60℃・30秒、72℃・30秒を1サイクルとして繰り返し、72℃で7分反応させた。PCRはGeneamp PCR System 9700(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製;商品名)を用いて行い、PCR産物5μLを4質量%アガロースゲル電気泳動で分析した。泳動条件は100Vで35分間とし、泳動後アガロースゲルをエチジウムブロマイド溶液で染色し、泳動図をAE−6933FXESプリントグラフ(アトー社製;商品名)で画像化のうえ、CS Analyzer 3(アトー社製;商品名)で増幅産物のバンドを定量した。94℃・30秒、60℃・30秒、72℃・30秒の繰り返しはDNA抽出液の濃度や精製度に応じ、適宜調整することが好ましく、25〜35サイクルであると一層好ましい。
【0061】
<定量PCR法による動物種判別>
具体的には、Tanabe et al.(Biosci. Biotechnol. Biochem.,71(12),3131−3135,2007)の方法に従い、定量PCR法による動物種判別を行った。定量PCR反応液は、AmpliTaq Gold 360 Master Mix(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製;商品名)12.5μL、プライマー、プローブ、DNA抽出液2.5μLに滅菌水を加えて合計25μLとした。使用するプライマー、プローブおよび反応条件はTanabe et al.(2007)の方法に従い、50℃で2分保持後、95℃・10秒、95℃・15秒、60℃・1分を1サイクルとして繰り返した。なお、DNA抽出液は、QuantiFluor One dsDNA system(プロメガ社製;商品名)を用いて濃度測定を行い、脱イオン蒸留水にて1ng/μLに調製したものを用いた。また、定量PCRは、Takara thermal cycler dice(タカラバイオ社製;商品名)を用いて行った。
【0062】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0063】
[実施例1]未加熱食品の洗浄工程に各種洗浄剤を用いた硬組織の動物種判別(PCR法)
表1−1に示す試験区の各種洗浄剤組成物について、硬組織の洗浄試験を行った。なお、各洗浄剤組成物において、表に示す成分1、2以外の残部は、精製水である。また、表中の「%」は「質量%」を示す(以下同様。)。被験試料には、硬組織として0.2〜8.0mgに細切したブタ肋骨を、該ブタ肋骨の1,000倍重量のニワトリむね挽肉に混入したものを使用した。
洗浄試験では、上記実施態様に従って硬組織の洗浄および核酸の採取を行い、得られたDNA抽出液について、ブタ及びニワトリプライマーを使用して、PCR法による硬組織の動物種の判別を行った。
【0064】
各試験区におけるブタおよびニワトリDNA由来の増幅産物のバンドの定量値を、「(2)洗浄工程」を実施しない試験区1におけるブタおよびニワトリDNA由来の増幅産物のバンドの定量値でそれぞれ除した値が、0.5以上のものを「A;バンドを検出」、0.1以上0.5未満のものを「B;バンドを僅かに検出」、0.1未満のものを「C;バンドを不検出」とし、結果を表1−1に示した。
【0065】
【表1-1】
【0066】
上記表1−1から明らかなとおり、洗浄剤を使用しない試験区1では、ブタDNA由来の増幅産物と、ニワトリDNA由来の増幅産物がともに検出された。また、特許文献1に記載の洗浄剤を使用した試験区2、次亜塩素酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムもしくはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを洗浄剤として使用した試験区3〜5においても同様に、ブタDNA由来の増幅産物と、ニワトリDNA由来の増幅産物がともに検出された。一方で、0.03質量%の水酸化ナトリウムを洗浄剤として使用した試験区6では、ブタDNA由来の増幅産物は検出されたが、ニワトリDNA由来の増幅産物のバンドは前記試験区と比較して薄く、僅かに検出されるのみであり、未加熱食品に混入した骨異物の動物種判別における硬組織の洗浄処理として、水酸化ナトリウム水溶液を使用する方法が好ましいことが確認された。
【0067】
次いで、未加熱食品に混入した骨異物の動物種判別における硬組織の洗浄処理として、水酸化ナトリウム水溶液を使用する方法が好ましいことが確認されたことから、各濃度の水酸化ナトリウムを洗浄工程に用いて、実施形態に従ってPCR法による硬組織の動物種判別の検討を行った。
【0068】
[実施例2]未加熱食品の洗浄工程に各濃度の水酸化ナトリウム水溶液を用いた硬組織の動物種判別(PCR法)
表1−2に示す試験区の各種洗浄剤組成物について、硬組織の洗浄試験を行った。被験試料として、3.5〜24.4mgに細切したブタ肋骨を、該ブタ肋骨の1,000倍重量のニワトリむね挽肉に混入したものを使用した以外は、実施例1と同様に評価した。
【0069】
【表1-2】
【0070】
上記表1−2から明らかなとおり、洗浄剤を使用しない試験区1では、ブタDNA由来の増幅産物と、ニワトリDNA由来の増幅産物がともに検出された。また、0.001質量%および1質量%の水酸化ナトリウムを洗浄剤として使用した試験区2および6においても同様に、ブタDNA由来の増幅産物と、ニワトリDNA由来の増幅産物がともに検出された。一方で、0.01質量%、0.03質量%および0.1質量%の水酸化ナトリウムを洗浄剤として使用した試験区3〜5では、ブタDNA由来の増幅産物は検出されたが、ニワトリDNA由来の増幅産物のバンドは前記試験区と比較して薄く、僅かに検出されるのみであり、未加熱食品に混入した骨異物の動物種判別における硬組織の洗浄処理として、0.01〜0.1質量%の水酸化ナトリウムを使用する方法が好ましいことが確認された。
【0071】
次いで、未加熱食品に混入した骨異物の動物種判別における硬組織の洗浄処理として、0.01〜0.1質量%の水酸化ナトリウムを使用する方法が好ましいことが確認されたことから、0.01〜0.1質量%の水酸化ナトリウムに各種試薬を添加した洗浄剤を洗浄工程に用いて、実施形態に従ってPCR法による硬組織の動物種判別の検討を行った。
【0072】
[実施例3]未加熱食品の洗浄工程に水酸化ナトリウム水溶液に各種試薬を添加した洗浄剤を用いた硬組織の動物種判別(PCR法)
表1−3に示す試験区の各種洗浄剤組成物について、硬組織の洗浄試験を行った。被験試料として、0.5〜7.4mgに細切したブタ肋骨を、該ブタ肋骨の1,000倍重量のニワトリむね挽肉に混入したものを使用した以外は、実施例1と同様に評価した。
【0073】
【表1-3】
【0074】
上記表1−3から明らかなとおり、洗浄剤を使用しない試験区1では、ブタDNA由来の増幅産物と、ニワトリDNA由来の増幅産物がともに検出された。次いで、0.03質量%の水酸化ナトリウム水溶液を洗浄剤として使用した試験区2では、N=2で実施したいずれの試料でもブタDNA由来の増幅産物が検出され、N=2で実施した一方ではニワトリDNA由来の増幅産物のバンドは薄く、僅かに検出されるのみであり、もう一方ではニワトリDNA由来の増幅産物のバンドは検出されなかった。次いで、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物を添加した0.03質量%の水酸化ナトリウムを洗浄剤として使用した試験区3では、N=2で実施したいずれの試料でもブタDNA由来の増幅産物が検出され、N=2で実施した一方ではニワトリDNA由来の増幅産物が検出されたが、もう一方ではニワトリDNA由来の増幅産物のバンドは検出されなかった。次いで、次亜塩素酸ナトリウムを添加した0.03質量%の水酸化ナトリウムを洗浄剤として使用した試験区4では、N=2で実施したいずれの試料でもブタDNA由来の増幅産物が検出され、N=2で実施した一方ではニワトリDNA由来の増幅産物が検出されたが、もう一方ではニワトリDNA由来の増幅産物のバンドは薄く、僅かに検出されるのみであった。次いで、0.1質量%のラウリル硫酸ナトリウムを添加した0.03質量%の水酸化ナトリウムを洗浄剤として使用した試験区5では、N=2で実施したいずれの試料でもブタDNA由来の増幅産物が検出されたが、ニワトリDNA由来の増幅産物は検出されなかった。次いで、0.1質量%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを添加した0.03質量%の水酸化ナトリウムを洗浄剤として使用した試験区6では、N=2で実施したいずれの試料でもブタDNA由来の増幅産物が検出されたが、N=2で実施した一方ではニワトリDNA由来の増幅産物のバンドは薄く、僅かに検出されるのみであり、もう一方ではニワトリDNA由来の増幅産物のバンドは検出されなかった。よって、未加熱食品に混入した骨異物の動物種判別における硬組織の洗浄処理として、水酸化ナトリウム水溶液を使用する方法が好ましく、水酸化ナトリウム水溶液に加えて0.1質量%のラウリル硫酸ナトリウムもしくはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを添加した水溶液を使用する方法が一層好ましいことが確認された。
【0075】
次いで、未加熱食品に混入した骨異物の動物種判別における硬組織の洗浄処理として、水酸化ナトリウム水溶液を使用する方法が好ましく、水酸化ナトリウム水溶液に加えて0.1質量%のラウリル硫酸ナトリウムもしくはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを添加した水溶液を使用する方法が一層好ましいことが確認されたことから、水酸化ナトリウム水溶液に各濃度のラウリル硫酸ナトリウムもしくはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを加えた洗浄剤を洗浄工程に用いて、実施形態に従ってPCR法による硬組織の動物種判別の検討を行った。
【0076】
[実施例4]未加熱食品の洗浄工程に各濃度のラウリル硫酸ナトリウムもしくはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを加えた水酸化ナトリウム水溶液を用いた硬組織の動物種判別(PCR法)
表1−4に示す試験区の各種洗浄剤組成物について、硬組織の洗浄試験を行った。被験試料として、8.9〜30.6mgに細切したブタ肋骨を、ブタ肋骨の1,000倍重量のニワトリむね挽肉に混入したものを使用した以外は、実施例1と同様に評価した。
【0077】
【表1-4】
【0078】
上記表1−4から明らかなとおり、洗浄剤を使用しない試験区1では、ブタDNA由来の増幅産物と、ニワトリDNA由来の増幅産物がともに検出された。一方で、0.1質量%もしくは1質量%のラウリル硫酸ナトリウムを添加した0.03質量%の水酸化ナトリウムを洗浄剤として使用した試験区2、3では、ブタDNA由来の増幅産物は検出されたが、ニワトリDNA由来の増幅産物のバンドは薄く、僅かに検出されるのみであった。また、0.01質量%もしくは0.1質量%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを添加した0.03質量%の水酸化ナトリウムを洗浄剤として使用した試験区4、5では、ブタDNA由来の増幅産物は検出されたが、ニワトリDNA由来の増幅産物のバンドは薄く、僅かに検出されるのみであった。よって、未加熱食品に混入した骨異物の動物種判別における硬組織の洗浄処理として、0.1質量%もしくは1質量%のラウリル硫酸ナトリウムを添加した0.03質量%の水酸化ナトリウム、0.01質量%もしくは0.1質量%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを添加した0.03質量%の水酸化ナトリウムを使用する方法が好ましいことが確認された。
【0079】
[実施例5]加熱食品の洗浄工程に各種洗浄剤を用いた硬組織の動物種判別(PCR法)
次に、加熱処理した被験試料について検討した。被験試料には、硬組織として1.3〜12.7mgに細切したブタ肋骨を、該ブタ肋骨の1,000倍重量のニワトリむね挽肉に混入させ、冷蔵条件にて一晩静置後、加熱処理したものを使用した。加熱処理条件としては、真空状態で沸騰水中にて30分もしくはステンレス製容器に入れた状態でオートクレーブを用いて121℃にて15分の加熱処理を施した。これらの加熱処理した被験試料について、表2に示す試験区の各種洗浄剤組成物を用いて洗浄試験を行い、実施例1と同様に評価した。
【0080】
【表2】
【0081】
上記表2から明らかなとおり、洗浄剤を使用しない試験区1、特許文献1に記載の洗浄剤を使用した試験区2では、いずれの加熱条件で作製した試料でもブタDNA由来の増幅産物と、ニワトリDNA由来の増幅産物がともに検出された。一方で、0.03質量%の水酸化ナトリウムを洗浄剤として使用した試験区3では、いずれの加熱条件で作製した試料でもブタDNA由来の増幅産物が検出され、沸騰水中にて30分間の加熱処理を施したものではニワトリDNA由来の増幅産物が検出されたが、オートクレーブを用いて121℃にて15分の加熱処理を施したものではニワトリDNA由来の増幅産物は検出されなかった。また、0.1質量%のラウリル硫酸ナトリウムを添加した0.03質量%の水酸化ナトリウムを洗浄剤として使用した試験区4では、いずれの加熱条件で作製した試料でもブタDNA由来の増幅産物が検出されたが、ニワトリDNA由来の増幅産物のバンドは薄く、僅かに検出されるのみであった。さらに、0.1質量%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを添加した0.03質量%の水酸化ナトリウムを洗浄剤として使用した試験区5では、いずれの加熱条件で作製した試料でもブタDNA由来の増幅産物が検出され、沸騰水中にて30分間の加熱処理を施したものではニワトリDNA由来の増幅産物が検出されず、オートクレーブを用いて121℃にて15分の加熱処理を施したものではニワトリDNA由来の増幅産物のバンドは薄く、僅かに検出されるのみであった。よって、加熱食品に混入した骨異物の動物種判別における硬組織の洗浄処理として、水酸化ナトリウム水溶液を使用する方法が好ましく、水酸化ナトリウム水溶液に加えて0.1質量%のラウリル硫酸ナトリウムもしくはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを添加した水溶液を使用する方法が一層好ましいことが確認された。
【0082】
[実施例6]未加熱食品の洗浄工程に各種洗浄剤を用いて硬組織より採取した核酸の定量(定量PCR法)
実施例1および実施例3で採取したDNA抽出液を用いて、ブタおよびニワトリプライマー、ブタおよびニワトリプローブを使用して、実施形態に従って定量PCR法による硬組織の動物種判別の検討を行った。DNAの定量には、実施形態における核酸採取方法によりブタもも肉及びニワトリむね肉から採取したDNA抽出液を、それぞれブタ由来及びニワトリ由来の標準品DNAとして作成した検量線を用いた。これらの検量線から算出したブタDNAの定量値及びニワトリDNAの定量値を表3に示す。また、ブタDNAおよびニワトリDNAの定量値から算出したDNA定量値比(ニワトリDNA/ブタDNA)を表3に示す。
【0083】
【表3】
【0084】
上記表3から明らかなとおり、洗浄剤を使用しない試験区1、特許文献1に記載の洗浄剤を使用した試験区2と比較し、0.03質量%の水酸化ナトリウムを洗浄剤として使用した試験区3、0.03質量%の水酸化ナトリウムに加えて0.1質量%のラウリル硫酸ナトリウムもしくはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを添加した試験区4、5では、ニワトリDNAの定量値が小さく、未加熱食品に混入した骨異物の動物種判別における硬組織の洗浄処理として、水酸化ナトリウム水溶液を使用する方法が好ましく、水酸化ナトリウム水溶液に加えて0.1質量%のラウリル硫酸ナトリウムもしくはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを添加した水溶液を使用する方法が一層好ましいことが定量PCRでも確認された。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の洗浄剤組成物及び洗浄方法は、動物由来組織が付着した硬組織から、動物由来組織を除去する方法に利用することができる。例えば、挽肉等の食品に混入した硬組織の動物種の同定方法や、法医学的なDNA鑑定や、生物学的な遺伝子研究におけるDNAの採取や、動物の骨の標本作製等に利用することができる。
【0086】
また、本発明の洗浄剤組成物及び洗浄方法は、硬組織からDNAやRNAを採取する方法に好適に利用することができる。

図1