特許第6962712号(P6962712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962712
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】車載画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20211025BHJP
【FI】
   G07C5/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-107138(P2017-107138)
(22)【出願日】2017年5月30日
(65)【公開番号】特開2018-205845(P2018-205845A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年4月17日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 雄太
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−088541(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/019415(WO,A1)
【文献】 特開2012−19450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 5/00 − 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内部または外部を撮像する1つ以上の撮像部が撮影した映像のデータを、所定の記録媒体に常時もしくは定期的に記録する車載画像記録装置であって、
前記車両における予め定めた重要度の高い事象の発生を検知する事象検知部と、
前記事象検知部が前記事象を検知したときに、前記記録媒体に記録するデータの品質を、一定時間通常よりも高める記録制御部と、
トリガ記録をすべき所定のトリガ記録事象の前記車両における発生を検知するトリガ検知部と、
を備え、
前記事象検知部は、前記事象として、
自車両が道路の交差点を走行し且つ前記自車両が左折する事象、又は、前記自車両が後退方向に走行し且つ前記自車両の進行方向に人が存在する事象を検知
前記記録制御部は、前記トリガ検知部が前記トリガ記録事象を検知した場合には所定のトリガ記録動作を実行し、
前記記録制御部は、前記トリガ検知部が前記トリガ記録事象を検知しない状況で、且つ前記事象検知部が前記事象を検知したときにおいて、データ品質向上記録動作を許可するか否かを決定するための操作部への操作により前記データ品質向上記録動作が許可されているときには、前記記録媒体に記録するデータの品質を一定時間通常よりも高める動作を行い、前記操作部への操作により前記データ品質向上記録動作が許可されていないときには、前記記録媒体に記録するデータの品質を通常よりも高める動作を行わない、
ことを特徴とする車載画像記録装置。
【請求項2】
前記記録制御部は、前記事象検知部が検知した前記事象の種類に応じて、前記一定時間の長さを自動的に選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車載画像記録装置。
【請求項3】
前記事象検知部は、交差点の近傍、バック走行、車線逸脱、急減速、車間距離不足及び急旋回の少なくとも1つの事象を検知する機能を有する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載画像記録装置。
【請求項4】
前記記録制御部は、前記事象検知部が前記事象を検知したときに、前記記録媒体に記録する画像データのフレームレートを通常よりも高める、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の車載画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両上で車室内または車外を撮影した画像を記録することが可能な車載画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両上で画像を撮影し、得られた画像のデータを自動的に記録する車載器として、例えばドライブレコーダやデジタルタコグラフ(運行記録計)などが知られている。また、ドライブレコーダの種類には、交通事故発生時の衝撃などの特定のイベントを検知した時にだけ画像を記録する一時記録タイプと、イベントの発生とは無関係に常時記録を実行する常時記録タイプとがある。
【0003】
一時記録タイプのドライブレコーダは、交通事故発生などの際に利用価値の高い画像データを自動的に記録するので、様々な車両に搭載される傾向がある。また、例えばタクシー、バス、トラックのような業務用車両を運行する企業においては、乗務員が安全な運転を行っているかどうかを確認したり、乗務員の労務管理を行う必要がある。したがって、このような企業においては、常時記録タイプのドライブレコーダや、デジタルタコグラフを車両に装備し、車両の運行中における様々なデータを自動的に取得し、安全運転の管理や労務管理などに役立てている。
【0004】
また、例えば特許文献1に示されたドライブレコーダにおいては、映像情報の適切な記録と記憶容量の節約とを両立するための技術を示している。具体的には、複数のカメラにより撮影した映像を記録するドライブレコーダにおいて、左折信号などの外部信号に基づいていずれか1つ又は複数のカメラを選択し、選択したカメラの映像を高品質で記録する。また、選択しなかったカメラの映像は低い品質で記録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−19450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車載カメラで撮影した映像のようなデータを記録する場合には、大容量のデータをメモリカードなどに記録する必要があるので、特に常時記録を行うドライブレコーダなどの車載器の場合には、記録媒体の記録可能な容量に大きな制約がある環境において、長時間の記録を可能にすることについて十分に検討する必要がある。
【0007】
すなわち、長時間の記録を優先する場合には、例えば記録する画像データのビットレートなどを下げることにより、単位時間あたりのデータ記録容量を減らすことが必要になる。したがって、記録媒体上に長時間のデータを蓄積できる代わりに、記録されるデータの品質が低下する。そして、記録データの品質が低いので、その映像を解析する際に利用可能な単位時間あたりの情報量が不足し、解析が困難になる。
【0008】
また、記録データの解析を容易にするために、ドライブレコーダが記録する画像データの品質を高くすると、比較的短い時間で記録媒体上の記憶領域の空きがなくなる。したがって、短い時間で記録を継続できない状態になるか、または時間的に古いデータを消去して記録可能な領域を確保しなければならない。いずれにしても、長時間のデータ記録はできなくなる。
【0009】
そのため、例えば特許文献1のように、複数のカメラの中から選択した一部のカメラの映像だけを高品質で記録することも必要になる。しかし、特許文献1の技術を採用する場合には、映像を高品質で記録するか否かが外部信号入力のレベルHi/Loにより決定される(特許文献1の図3参照)ので、あまり重要でない映像まで高品質で記録する可能性があり、長時間の記録ができなくなることも考えられる。一方、外部信号入力のレベルが切り替わって記録品質が低下した後で重要な映像が記録される可能性も考えられる。
【0010】
また、ある種の車両の運行業務においては、車両運行の3日後や4日後に、当該車両の運行に関する問い合わせがある場合が多いという事実がある。したがって、ドライブレコーダが記録した画像データを、少なくとも例えば車両運行の1週間後くらいまでは残しておくことが必要になる。しかし、高品質で記録する画像データが多くなると、記録媒体上の空き領域がなくなり、記録された古いデータを消去したり上書きすることが必要になる。そのため、ドライブレコーダの記録媒体を例えば定期的に交換しない限り、記録されたデータを当該運行業務の1週間後まで残しておくことは難しい。
【0011】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録可能なデータ容量が限られている状況において、重要な映像を高品質で記録すると共に、長時間のデータ記録が可能な車載画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車載画像記録装置は、下記(1)〜()を特徴としている。
(1) 車両の内部または外部を撮像する1つ以上の撮像部が撮影した映像のデータを、所定の記録媒体に常時もしくは定期的に記録する車載画像記録装置であって、
前記車両における予め定めた重要度の高い事象の発生を検知する事象検知部と、
前記事象検知部が前記事象を検知したときに、前記記録媒体に記録するデータの品質を、一定時間通常よりも高める記録制御部と、
トリガ記録をすべき所定のトリガ記録事象の前記車両における発生を検知するトリガ検知部と、
を備え、
前記事象検知部は、前記事象として、
自車両が道路の交差点を走行し且つ前記自車両が左折する事象、又は、前記自車両が後退方向に走行し且つ前記自車両の進行方向に人が存在する事象を検知
前記記録制御部は、前記トリガ検知部が前記トリガ記録事象を検知した場合には所定のトリガ記録動作を実行し、
前記記録制御部は、前記トリガ検知部が前記トリガ記録事象を検知しない状況で、且つ前記事象検知部が前記事象を検知したときにおいて、データ品質向上記録動作を許可するか否かを決定するための操作部への操作により前記データ品質向上記録動作が許可されているときには、前記記録媒体に記録するデータの品質を一定時間通常よりも高める動作を行い、前記操作部への操作により前記データ品質向上記録動作が許可されていないときには、前記記録媒体に記録するデータの品質を通常よりも高める動作を行わない、
ことを特徴とする車載画像記録装置。
【0013】
上記(1)の構成の車載画像記録装置によれば、前記事象を検知したときに一定時間に亘り、通常よりも品質の高い映像のデータを記録することができる。これにより、重要度の低い映像まで高品質で記録するのを防止できるので、長時間の記録が可能になる。また、重要度の高い映像が低品質で記録されるのを避けることができ、データの分析が容易になる。
更に、上記(1)の構成の車載画像記録装置によれば、例えば交通事故発生時のようなトリガ記録事象に該当しない一般的な危険運転などの事象を検知した場合や、危険に遭遇しやすい状況を検知した場合であっても、一定時間だけは高品質の映像を記録することができる。
【0014】
(2) 前記記録制御部は、前記事象検知部が検知した前記事象の種類に応じて、前記一定時間の長さを自動的に選択する、
ことを特徴とする上記(1)に記載の車載画像記録装置。
【0015】
上記(2)の構成の車載画像記録装置によれば、前記事象の種類毎に、高品質で記録する時間の長さを最適化することが可能になる。したがって、重要度の低い映像まで高品質で記録するのを防止でき、同時に、重要度の高い映像が低品質で記録されるのを避けることができる。
【0018】
) 前記事象検知部は、交差点の近傍、バック走行、車線逸脱、急減速、車間距離不足および急旋回の少なくとも1つの事象を検知する機能を有する、
ことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の車載画像記録装置。
【0019】
上記()の構成の車載画像記録装置によれば、交差点の近傍、バック走行、車線逸脱、急減速、車間距離不足、急旋回のいずれかの事象の検知により、重要度の高い映像を、一定時間に亘り、高品質で記録することができる。つまり、トリガ記録されない映像であっても、危険性の高い事象の分析に役立つ可能性の高い映像を、高品質で記録できる。
【0020】
) 前記記録制御部は、前記事象検知部が前記事象を検知したときに、前記記録媒体に記録する画像データのフレームレートを通常よりも高める、
ことを特徴とする上記(1)乃至()のいずれかに記載の車載画像記録装置。
【0021】
上記()の構成の車載画像記録装置によれば、記録する画像データのフレームレートを上げることにより、データ分析の際に、より短時間の映像の状況変化を正確に把握可能になるため、分析作業が容易になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の車載画像記録装置によれば、記録可能なデータ容量が限られている状況において、重要な映像を高品質で記録すると共に、長時間のデータ記録が可能になる。すなわち、事象を検知したときに一定時間に亘り、通常よりも品質の高い映像のデータを記録することができる。これにより、重要度の低い映像まで高品質で記録するのを防止できるので、長時間の記録が可能になる。また、重要度の高い映像が低品質で記録されるのを避けることができ、データの分析が容易になる。
【0023】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の実施形態におけるドライブレコーダの構成例を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示したドライブレコーダの特徴的な動作の概要を示すフローチャートである。
図3図3は、図1に示したドライブレコーダの具体的な動作例−1を示すフローチャートである。
図4図4は、図1に示したドライブレコーダの具体的な動作例−2を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0026】
<ドライブレコーダ10の構成例>
本発明の実施形態におけるドライブレコーダ10の構成例を図1に示す。本実施形態では、図1に示したドライブレコーダ10が本発明の車載画像記録装置に相当する。なお、デジタルタコグラフ(運行記録計)のように、ドライブレコーダと同じような映像データ記録機能を有する他の車載器を本発明の車載画像記録装置として構成することも可能である。
【0027】
図2に示したドライブレコーダ10は、マイクロコンピュータ11、画像処理部12、通信モジュール13、インタフェース(I/F)14、16、GPS受信機15、時計回路17、信号処理部18、加速度センサ19、メモリ(RAM)21、カードインタフェース22、メモリーカード23、音声信号処理部24、スピーカ25、マイク26、ドライバ27、表示部28、および操作部29を備えている。また、画像処理部12の入力には複数の車載カメラ31、32が接続され、通信モジュール13にはアンテナ33が接続され、GPS受信機15にはアンテナ34が接続されている。
【0028】
マイクロコンピュータ11は、予め組み込まれているプログラムに従って動作し、ドライブレコーダ10に必要とされる各種機能を実現するための処理を実行する。すなわち、図2図4に示した動作が、マイクロコンピュータ11の処理により実現する。
【0029】
車載カメラ31は、例えば自車両の進行方向前方に映る路面、先行車両、対向車両、風景等を被写体として撮影できるように車両上に固定される。また、車載カメラ32は、例えば車室内で自車両を運転する乗務員の様子を撮影できるように車室内に固定するか、あるいは自車両の後方の風景等を撮影できるように車両上に固定される。なお、ドライブレコーダ10に接続する車載カメラの数は1つでもよいし、3以上に増やしてもよい。
【0030】
画像処理部12は、車載カメラ31および32の各々が出力する映像信号を取り込んでデジタル信号に変換し、画像のデータを例えばフレーム単位で生成する。画像処理部12が生成した画像のデータはマイクロコンピュータ11に入力される。
【0031】
また、画像処理部12は各画像フレームの内容を解析し、画像中の道路の各白線や、自車両の位置を認識することができる。更に、認識した各白線と自車両との位置関係に基づいて自車両の車線逸脱を表す警報を出力することができる。また、画像処理部12は各画像フレームの内容を解析することにより、道路上の交差点を認識したり、道路の進路上に存在する人物などの障害物を認識することができる。
【0032】
通信モジュール13は、アンテナ33を経由して車両外部のデータセンタ等に配置されたサーバとの間でデータ通信するための無線通信機能を提供する。通信モジュール13は、インタフェース14を経由してマイクロコンピュータ11と接続されている。
【0033】
GPS受信機15は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波をアンテナ34を介して受信し、複数のGPS衛星からの受信信号の時刻に基づいて所定の計算を実施することにより、車両の現在位置を表す緯度/経度の情報を取得できる。GPS受信機15は、インタフェース16を経由してマイクロコンピュータ11と接続されている。
【0034】
時計回路17は、周期が一定のクロックパルス信号を常時計数しており、現在の日付および時刻に関する情報を必要に応じて出力することができる。また、経過時間などを計数するためのタイマー機能も時計回路17に備わっている。マイクロコンピュータ11は、時計回路17を制御することにより、現在の日付および時刻の情報を取得したり、経過時間などの情報を取得できる。
【0035】
信号処理部18は、車両側から出力される車速パルス信号SG1、ブレーキ信号SG2、ウインカー信号SG3、およびバック信号SG4をそれぞれ入力し、マイクロコンピュータ11の処理に適した信号に変換する。
【0036】
車速パルス信号SG1に現れる各パルスは、例えばトランスミッションの出力軸が所定量回動したことを表す。したがって、マイクロコンピュータ11は車速パルス信号SG1のパルス数やパルス周期に基づいて、自車両の走行距離や走行速度を算出できる。
【0037】
ブレーキ信号SG2は、ストップランプのオンオフを表す二値信号である。ウインカー信号SG3は、左右それぞれの方向指示器(ウインカー)の動作のオンオフを表す二値信号である。バック信号SG4は、自車両のトランスミッションの接続状態が後退する状態であるか否かを表す二値信号である。
【0038】
加速度センサ19は、交通事故などの異常な状況において自車両に加わる前後方向や左右方向の非常に大きな加速度を検出するために利用される。
【0039】
メモリ(RAM)21は、マイクロコンピュータ11のアクセスにより、データの書き込みおよび読み出しを自在に行うことができる。メモリ21上の記憶領域は、様々なデータを一時的に格納するために利用される。
【0040】
メモリーカード23は、比較的記憶容量の大きい不揮発性メモリを内蔵している。このメモリーカード23は、カードインタフェース22のスロットに装着することにより、マイクロコンピュータ11と接続することができる。マイクロコンピュータ11は、画像処理部12から入力される画像のデータや、音声信号処理部24から入力される音声等のデータを、メモリーカード23上に順次に書き込み、記録することができる。
【0041】
本実施形態では、マイクロコンピュータ11が画像のデータをメモリーカード23に書き込む際のフレームレート(画像フレーム数/秒)は、2種類又はそれ以上の中から選択することが可能であり、状況に応じてマイクロコンピュータ11がフレームレートを自動的に切り替える。フレームレートを大きくすれば高品質の画像記録が可能になり、フレームレートを小さくすれば長時間の画像記録が可能になる。
【0042】
音声信号処理部24は、案内や警報などに関する様々なメッセージを表す疑似音声信号を生成してこの信号を増幅し、スピーカ25から音声として出力するための音声出力機能を備えている。また、マイク26から入力される音声などの電気信号をデジタル信号に変換してマイクロコンピュータ11に出力するための音声入力機能も備えている。
【0043】
表示部28は、液晶などの表示デバイスにより構成されており、文字や数字などの可視情報を表示する機能を備えている。マイクロコンピュータ11は、ドライバ27を介して表示部28を制御し、表示部28の表示内容を必要に応じて変更できる。
【0044】
操作部29は、運転者が操作可能な複数のボタンのそれぞれの操作状態に応じてオンオフする複数のスイッチを内蔵している。マイクロコンピュータ11は、操作部29内の各スイッチの状態を読み取ることにより、ボタン操作の有無を識別すると共に、操作されたボタンを特定することができる。
【0045】
<ドライブレコーダ10の特徴的な動作の概要>
図1に示したドライブレコーダ10の特徴的な動作の概要を図2に示す。すなわち、マイクロコンピュータ11が図2の制御を実施する。
【0046】
このドライブレコーダ10は、「常時記録モード」と「トリガ記録モード」の両方の動作を併行して実行することができる。また、「常時記録モード」では「標準画質記録動作」と、「画質向上記録動作」との2種類の動作を必要に応じて使い分けることができる。また、予め定めた条件を満たす時に「画質向上記録動作」を許可するか否かを操作部29のボタン操作などにより予めユーザが決定することができる。
【0047】
すなわち、マイクロコンピュータ11が図2に示したステップS11で常時画像記録を実行することにより、上記「常時記録モード」で「標準画質記録動作」を行うことができる。この「標準画質記録動作」においては、標準画質の画像データを主体とする情報を無条件で定期的にメモリーカード23に書き込み保存する。この標準画質では、代表例として、1秒あたり5フレームの一定のフレームレート(5[fps])で各車載カメラ31、32の画像データを記録する。
【0048】
一方、例えば交通事故が発生したような場合には、「常時記録モード」で記録される画像データの記録品質では情報量が不足する。したがって、そのような場合に必要とされる画像データを記録するために「トリガ記録モード」が備わっている。
【0049】
「トリガ記録モード」では、例えば加速度センサ19が所定以上の大きな加速度を検出した時にマイクロコンピュータ11の内部で発生するトリガ信号により、例えばその時点の前後、数十秒間程度の間だけ、高品質の画像データを連続的にメモリーカード23に記録する。つまり、マイクロコンピュータ11は、上記トリガ信号が発生した場合に、図2のステップS12からS13に進み、トリガ画像記録を実行する。
【0050】
但し、通常の車両の走行状態では上記トリガ信号は発生しないので、「トリガ記録モード」が使用されるのは交通事故発生時のような特別な場合のみに限られる。また、「トリガ記録モード」では1回のトリガ信号により記録されるデータの容量が非常に大きくなるので、もしも頻繁に「トリガ記録モード」を使用すると、メモリーカード23の記憶領域の空きがすぐになくなってしまう。
【0051】
図1に示したドライブレコーダ10は「常時記録モード」において、上記の「画質向上記録動作」を実行することができる。この「画質向上記録動作」においては、「標準画質記録動作」に比べて高い品質、例えば、1秒あたり10フレームの一定のフレームレート(10[fps])で各車載カメラ31、又は32の画像データをメモリーカード23に記録する。
【0052】
つまり、マイクロコンピュータ11は、「画質向上記録動作」の要求を表す状態を検知すると、図2のステップS14からS15に進み、「画質向上記録動作」を実行する。また、この「画質向上記録動作」を実行する時間の長さは、予め定めた指定時間とする。また、この指定時間は状態の種別毎に異なり、種別毎に適切な時間が割り当てられる。
【0053】
ここで、「画質向上記録動作」の要求を表す状態の代表例として、例えば以下の(C1)〜(C6)がある。
(C1)自車両が道路の交差点を走行し、且つ自車両の左折する状態を検知した場合。
(C2)自車両が後退方向に走行し、且つ進行方向に人の存在を検知した場合。
(C3)自車両の車線逸脱の警報が出力された場合。
(C4)自車両の急減速を検知した場合。
(C5)自車両の車間距離不足を検知した場合。
(C6)自車両の急旋回を検知した場合。
【0054】
したがって、トリガ信号が発生するような異常な状況でなくても、例えば上記(C1)〜(C6)のいずれかの条件を満たす状態になると、マイクロコンピュータ11がステップS15を実行するので、指定時間だけ画質が向上した状態で画像データがメモリーカード23に記録される。
【0055】
例えば、自車両の当日の運行業務が終了して入庫状態になった場合、あるいはメモリーカード23の記録領域の空きがなくなったような場合には、マイクロコンピュータ11はS16で「記録終了の要求」とみなして図2の処理を終了する。したがって、ステップS11の常時画像記録も終了する。
【0056】
<具体的な動作例−1>
図1に示したドライブレコーダ10の具体的な動作例−1を図3に示す。すなわち、上記(C1)の条件に該当する要求に従って、マイクロコンピュータ11がS15で「画質向上記録動作」を実行する場合の処理手順が図3に示されている。図3の動作について以下に説明する。
【0057】
マイクロコンピュータ11は、図3のステップS21で常時画像記録を繰り返し実行することにより、通常は上記「常時記録モード」で「標準画質記録動作」を行う。
【0058】
また、例えば車載カメラ31又は32が撮影した映像に基づき画像処理部12が画像認識した結果を利用して、自車両が道路上の交差点を走行中である状態を、マイクロコンピュータ11がS22で検出した場合には、マイクロコンピュータ11はS22からS23の処理に進み、現在のウインカー信号SG3の状態を参照する。そして、左側のウインカー信号SG3がオン、すなわち自車両が左折する状態であれば、マイクロコンピュータ11はS23からS24の処理に進む。
【0059】
また、ユーザの事前設定により「画質向上記録動作」が許可されている状態であれば、マイクロコンピュータ11はS24からS25の処理に進む。ステップS25では、マイクロコンピュータ11はS21における標準画質の常時画像記録動作よりもフレームレートを上げることにより記録画質を向上した状態で常時画像記録動作を実行する。
【0060】
ステップS25における画質を向上した常時画像記録動作は、ステップS25の処理を開始してから指定時間T1を経過したことをS26でマイクロコンピュータ11が検知するまで継続する。ここで、指定時間T1は、上記(C1)の条件に対して予め割り当てられた定数である。すなわち、自車両が交差点で左折する状態になってから、重要な映像が現れる可能性の高い時間帯が終了するまでの予想される時間長が、マイクロコンピュータ11により指定時間T1として選択され、この時間帯だけ、S25で画質を向上した常時画像記録動作が実行される。
【0061】
<具体的な動作例−2>
図1に示したドライブレコーダ10の具体的な動作例−2を図4に示す。すなわち、上記(C2)の条件に該当する要求に従って、マイクロコンピュータ11がS15で「画質向上記録動作」を実行する場合の処理手順が図4に示されている。図4の動作について以下に説明する。
【0062】
マイクロコンピュータ11は、図4のステップS31で常時画像記録を繰り返し実行することにより、通常は上記「常時記録モード」で「標準画質記録動作」を行う。
【0063】
また、マイクロコンピュータ11は、バック信号SG4の状態を参照することにより、自車両がバック方向に走行している状態をS32で検出すると、S33の処理に進む。そして、例えば車載カメラ32が撮影した映像に基づき画像処理部12が画像認識した結果を利用して、マイクロコンピュータ11は自車両の進行方向(後方)に人物が存在するか否かを識別し、人物の存在を検知した場合はS34の処理に進む。
【0064】
また、ユーザの事前設定により「画質向上記録動作」が許可されている状態であれば、マイクロコンピュータ11はS34からS35の処理に進む。ステップS35では、マイクロコンピュータ11はS31における標準画質の常時画像記録動作よりもフレームレートを上げることにより記録画質を向上した状態で常時画像記録動作を実行する。
【0065】
ステップS35における画質を向上した常時画像記録動作は、ステップS35の処理を開始してから指定時間T2を経過したことをS36でマイクロコンピュータ11が検知するまで継続する。ここで、指定時間T2は、上記(C2)の条件に対して予め割り当てられた定数である。すなわち、自車両がバック方向に走行し、且つ進行方向に人物が存在することを検知してから、重要な映像が現れる可能性の高い時間帯が終了するまでの予想される時間長が、マイクロコンピュータ11により指定時間T2として選択され、この時間帯だけ、S35で画質を向上した常時画像記録動作が実行される。
【0066】
<具体的な動作例−3>
図示しないが、上記(C3)〜(C6)の各条件に該当する要求に従って、マイクロコンピュータ11がS15で「画質向上記録動作」を実行する場合にも、図3図4と同じような手順で処理が実行される。
【0067】
例えば、自車両の車線逸脱の警報を画像処理部12が出力した場合には、マイクロコンピュータ11は上記(C3)の条件に該当する要求とみなして、指定時間T3の間だけ「画質向上記録動作」を実行する。この指定時間T3については比較的短い時間長を割り当てることが望ましい。例えば、運転者が方向指示操作を忘れたまま自車両の車線変更を実行すると、実際には「車線逸脱」ではないにもかかわらず車線逸脱の警報が出力される。また、「車線逸脱」が発生してから重要な映像が現れる可能性がある時間帯は比較的短い。したがって、指定時間T3は例えば15秒とする。
【0068】
また、マイクロコンピュータ11がブレーキ信号SG2および車速の変化を監視することにより、上記(C4)の条件に該当する要求を検知した場合には、指定時間T4の間だけ「画質向上記録動作」を実行する。
【0069】
自車両が急減速するような場面では、運転者が「ヒヤリ、ハット」のように感じる安全上重要な事象が発生している可能性が高いと考えられるので、上記(C4)の条件に該当する要求の指定時間T4は比較的長くすることが望ましい。したがって、指定時間T4を例えば30秒とする。
【0070】
また、自車両の車間距離不足の警報を画像処理部12が出力した場合には、マイクロコンピュータ11は上記(C5)の条件に該当する要求とみなして、指定時間T5の間だけ「画質向上記録動作」を実行する。この指定時間T5については、車間距離不足の状態が一定時間継続する可能性があるため、指定時間T3は例えば30秒とする。警報が出力される車間距離は、車速に応じて設定されている。なお、画像処理部12の代わりに、車間距離を測定するための図示しない車載レーダが車間距離不足の警報を出力するようにしてもよい。
【0071】
また、自車両の急旋回の警報を加速度センサ19が出力した場合には、マイクロコンピュータ11は上記(C6)の条件に該当する要求とみなして、指定時間T6の間だけ「画質向上記録動作」を実行する。加速度センサ19は、自車両に加わる左右方向の加速度が所定値を超えており、且つ交通事故などの異常な状況において検出される左右方向の加速度(トリガ記録モードの閾値)よりも小さい場合に警報を出力する。この指定時間T6については、旋回が継続する時間は一般的に短いため、比較的短い時間長を割り当てることが望ましい。したがって、指定時間T6は例えば15秒とする。
【0072】
なお、上記各指定時間T1〜T6については、マイクロコンピュータ11のプログラムに定数として事前に組み込んでおくか、あるいはマイクロコンピュータ11が参照可能な定数テーブル上に事前に登録しておくことが想定される。これにより、マイクロコンピュータ11は上記(C1)〜(C6)の条件毎に適切な指定時間を図2のステップS15で選択できる。
【0073】
<ドライブレコーダ10の利点>
図2に示した動作を実行するドライブレコーダ10は、「常時記録モード」および「トリガ記録モード」の両方で画像データをメモリーカード23に記録することができる。また「常時記録モード」では、マイクロコンピュータ11が検出した事象に応じて「標準画質記録動作」と、「画質向上記録動作」との2種類の動作を状況に応じて自動的に選択することができるので、トリガ信号が発生しない車両の一般的な運行状況であっても、重要度の高い映像を画質を向上した状態でメモリーカード23に記録できる。更に、検出した事象(C1〜C6)の種類、すなわち予想される重要度の大小に応じて、適切な指定時間(T1〜T6)の間だけ画質を向上した状態で画像データを記録するので、メモリーカード23上の記録領域の消費を抑制することができる。そのため、データの分析が容易な高品質の画像記録と、長時間の画像記録とを同時に実現できる。
【0074】
<上記以外の変形の可能性>
図2のステップS15においては記録する画像データのフレームレートを変更することにより記録データの品質を向上させる場合を想定しているが、他の方法で品質を調整することもできる。例えば、各画像フレームを構成する画素数の違いや、画像データを圧縮する際の圧縮率などを変更することにより、画像品質および単位時間あたりのデータ容量を変更できる。なお、使用する車載カメラの台数や各カメラの撮影方向については、用途に応じて適宜変更することが考えられる。
【0075】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る車載画像記録装置の特徴をそれぞれ以下[1]〜[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 車両の内部または外部を撮像する1つ以上の撮像部(車載カメラ31、32)が撮影した映像のデータを、所定の記録媒体(メモリーカード23)に常時もしくは定期的に記録する車載画像記録装置(ドライブレコーダ10)であって、
前記車両における予め定めた重要度の高い事象の発生を検知する事象検知部(マイクロコンピュータ11、S14)と、
前記事象検知部が前記事象を検知したときに、前記記録媒体に記録するデータの品質を、一定時間通常よりも高める記録制御部(マイクロコンピュータ11、S15)と、
を備えたことを特徴とする車載画像記録装置。
【0076】
[2] 前記記録制御部は、前記事象検知部が検知した前記事象の種類に応じて、前記一定時間の長さを自動的に選択する、
ことを特徴とする上記[1]に記載の車載画像記録装置。
【0077】
[3] トリガ記録をすべき所定のトリガ記録事象の前記車両における発生を検知するトリガ検知部(マイクロコンピュータ11、S12)、を備え、
前記記録制御部は、前記トリガ検知部が前記トリガ記録事象を検知した場合には所定のトリガ記録動作(S13)を実行し、前記トリガ検知部が前記トリガ記録事象を検知しない状況で、且つ前記事象検知部が前記事象を検知したときに、前記記録媒体に記録するデータの品質を、一定時間通常よりも高める(S15)、
ことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の車載画像記録装置。
【0078】
[4] 前記事象検知部は、交差点の近傍、バック走行、車線逸脱、急減速、車間距離不足および急旋回の少なくとも1つの事象を検知する機能(S22,S23,S32,S33)を有する、
ことを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の車載画像記録装置。
【0079】
[5] 前記記録制御部は、前記事象検知部が前記事象を検知したときに、前記記録媒体に記録する画像データのフレームレートを通常よりも高める(S25,S35)、
ことを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の車載画像記録装置。
【符号の説明】
【0080】
10 ドライブレコーダ
11 マイクロコンピュータ
12 画像処理部
13 通信モジュール
14,16 インタフェース
15 GPS受信機
17 時計回路
18 信号処理部
19 加速度センサ
21 メモリ
22 カードインタフェース
23 メモリーカード
24 音声信号処理部
25 スピーカ
26 マイク
27 ドライバ
28 表示部
29 操作部
31,32 車載カメラ
33,34 アンテナ
SG1 車速パルス信号
SG2 ブレーキ信号
SG3 ウインカー信号
SG4 バック信号
図1
図2
図3
図4