(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1または請求項2に記載の観察装置であって、指示された観察範囲に応じて選択される前記検出手段の画素ピッチをP、前記観察装置で使用する観察波長をλ、前記結像光学系の射出側の開口数をNAI1としたとき、以下の条件式を満たすことを特徴とする観察装置。
2≦1.22×λ/(NAI1×P)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の第1の実施形態における観察装置について説明する。尚、第1の実施形態では、本発明の特徴を表す基本的な構成に着目して説明し、後述する各実施形態において、第1の実施形態で説明する構成を含むより具体的な実施の例を説明する。
【0011】
図1は、第1の実施形態における観察装置1の構成を示す。観察装置1は、物体である標本Sからの光を結像するための結像光学系8として対物レンズ7と、結像レンズ4を備え、さらに、結像光学系8内に含まれる開口絞り2と、駆動部3と、結像された標本Sの像を画像信号に変換して検出する手段であるカメラ5と、各種制御を行う制御用PC6と、画像信号を画像として表示する表示手段である印刷装置やあるいはモニタ33を備えている。結像光学系8において、対物レンズ7と、結像レンズ4は、その間にアフォーカル光学系部を形成している。
【0012】
開口絞り2は、対物レンズ7の射出瞳位置またはその近傍に設けられた羽根絞り等からなる径を変更可能な可変開口絞りである。開口絞り2は、絞り径を変えることで対物レンズ7の瞳径を変更し、対物レンズ7の入射側開口数、及び結像レンズ4の射出側開口数を変更する。即ち、開口絞り2は、絞り径を変更することで観察装置1の結像光学系8の開口数を変更する開口数変更手段として機能する。
【0013】
尚、本明細書において開口数と記載した場合は特に断らない限り、開口数は予め設計された光学系の基本性能を表す指数としての開口数のことではなく、光路に配置された開口絞り等によって適宜変更される開口数のことを示す。
【0014】
図2は、
図1の観察装置1の構成において、開口絞り2を絞ることで絞り径を小さくした状態を示している。このとき、観察装置1の結像光学系8の開口数は小さくなる。逆に開口絞り2を広げることで、観察装置1の結像光学系8の開口数は大きくなる。
【0015】
駆動部3は、開口絞り2を機械的に制御する機構であり、例えばモータである。駆動部3は、制御用PC6の制御によって駆動する。
【0016】
カメラ5は、標本Sの像を画像信号に変換するための検出手段である撮像素子5aを含んでいる。また、変換した画像信号は、表示手段であるモニタ33へ表示されるが、ここでカメラ5は、変換した画像信号の中の特定の範囲を電子的に抽出して、観察範囲を変更する観察範囲変更処理を行う観察範囲変更手段として機能する。観察範囲とは、画像として表示する際の標本Sの表示範囲を意味する。観察範囲変更処理は、使用者から指示された観察範囲となるように画像信号の抽出範囲を変更することを意味する。そして、モニタ33は、観察範囲変更処理後の画像信号を表示する。
【0017】
一般には、表示される画像に用いられる撮像素子5aの画素1個が表示手段で表示に用いられる画素1個で表示される状態を(ピクセル)等倍表示と称し、撮像素子の持つ解像度を最も効率良くかつ忠実に引き出した表示状態となる。ところが現状市販されているモニタ類の画面解像度(表示に使用される画素数)は撮像素子の画素数よりもかなり小さいため、撮像素子の持つ解像度を忠実に引き出そうとして(ピクセル)等倍表示を行うと撮像素子が撮像した観察範囲の一部分しか表示できないことになる。つまりこの状態は、モニタ表示上はその画面解像度で本来の観察範囲の一部分を拡大表示したことに相当する。逆に言えば、撮像した全観察範囲を(ピクセル)等倍表示したいのであれば撮像素子の画素数をモニタ類の画面解像度(表示に使用される画素数)と同程度以下に小さくすればよい。ということは、撮像素子の寸法(大きさ)が変わらない場合はより画素ピッチの大きな画素数の小さい撮像素子を使用する(あるいは寸法も画素ピッチも変わらず画素数の大きな撮像素子の場合には元々有った画素数を近傍の画素同士の画像信号を結合処理したりあるいは跳び越し処理などをして間引いて表示する)ことに相当する。これは擬似的に撮像素子の画素ピッチを大きくすることにも相当し、結果的に広視野表示の場合は光学系に求められる開口数をその大きな画素ピッチでも十分に解像できる程度まで小さくしてもよいということになる。表示手段の画面解像度については、観察用途に応じて適宜変更されても構わない。
【0018】
また、撮像素子5aとして、カラーの撮像素子とモノクロの撮像素子のどちらを用いても構わない。モノクロの場合には、高解像度、高感度観察を目的としてそのまま使用してもよく、色再現性を重視した観察を目的として色フィルターと併せて用いてもよい。
【0019】
制御用PC6は、開口絞り2による開口数変更の処理、及び、カメラ5の観察範囲変更処理を制御する。具体的には、制御用PC6は、カメラ5で行われる観察範囲変更処理に応じて、駆動部3を通して開口絞り2の制御を行う制御手段として機能する。以下、制御用PC6が行う制御について、
図3を用いてより詳しく説明する。
【0020】
図3は、観察装置1を各機能ごとに分類した機能構成を示す図である。観察装置1は、その機能構成として、観察装置本体10が備える結像光学手段13と開口数変更手段14、カメラ11aが備える検出手段15と観察範囲変更手段16及び、制御用PC12aが備える制御手段17とに分けられる。カメラ11aは
図1のカメラ5に該当し、制御用PC12aは
図1の制御用PC6に該当し、観察装置本体10は
図1に示す観察装置1が有する残りの構成に該当する。
【0021】
結像光学手段13は、標本Sの像を検出手段15に結像する。検出手段15は、結像された像を画像信号に変換する。画像信号は、例えば、カメラ11aから制御用PC12aへ出力され、制御用PC12aと接続されるモニタ33に画像として表示されることで、観察装置1を使用する使用者は、標本Sを観察することができる。
【0022】
ここで使用者は、上記モニタ33に表示される画像を見ながら所定の範囲内で、観察範囲の変更を行うことができる。制御手段17は、使用者からの観察範囲の変更指示を受けた場合、観察範囲変更手段16を制御することで、指示された観察範囲になるように画像信号の観察範囲変更処理(電子変倍処理)を行う。このとき該観察範囲は、結像光学系と使用する最大寸法の撮像素子で決まる最大観察範囲Iから、使用する最小画素ピッチの撮像素子の等倍表示時の画面解像度と同じ画素数が抽出する観察範囲IIまでの間で自由に設定することができる。この観察範囲Iから観察範囲IIまでの間で観察範囲を変えることを、以降電子変倍と称する。また、この観察範囲Iの対角長と観察範囲IIの対角長との比を、以降電子変倍比と称する。以上のことから、仮に観察範囲Iが変わらない場合、大きい画面解像度で観察しようとすると観察範囲IIの範囲が大きくなるため結果的に電子変倍比は小さくなり、逆に小さい画面解像度でも構わない場合は電子変倍比を大きくすることができる。尚、観察範囲の指定は、観察範囲Iの範囲を倍率として表記する上では1×と表記すると定義した場合、これに対する相対的な観察範囲の比率を倍率(以降電子変倍倍率とも称する)として指定する形式で行うなどの方法でもよい。このとき、制御手段17は、変更指示を受けた観察範囲に応じて、開口数変更手段14を制御することで、結像光学系8の開口数を変更する。また、開口数変更手段14は、指示された観察範囲の画像信号をモニタ33へ表示する際に撮像素子において必要となる解像度を画像信号が有するように開口数変更手段14を制御する。即ち、開口数変更手段14は、指示された観察範囲と該観察範囲の画像信号を表示するモニタ33の画面解像度とに応じて、必要且つ適切な解像度を画像信号が有するように開口数を変更する。以下、具体的に制御手段17が行う開口数変更手段14の制御について説明する。
【0023】
制御手段17の制御の方法の例を記載すると、制御手段17は、使用者から指示された観察範囲が狭くなるほど結像手段13の射出側の開口数が大きくなるように開口数変更手段14を制御し、指示された観察範囲が広くなるほど結像光学系13の射出側の開口数が小さくなるように開口数変更手段14を制御する。電子変倍倍率が大きくなる場合に、即ち指示された観察範囲が狭くなるほど、結像手段13の開口数が大きくなるように制御されることで、画面解像度に応じた光学的分解能を確保することができ、観察範囲IIまでモニタ33により(ピクセル)等倍表示で拡大観察状態にした場合にもモニタ33に表示される画像がぼやけてしまうことを抑制し、好ましくは防止することができる。また、電子変倍倍率が小さくなる場合に、即ち指示された観察範囲が広くなるほど、結像手段13の開口数が小さくなるように制御されることで、結像光学系8の広視野での収差補正を楽にして結果的に小型軽量化や低コスト化に寄与することができる。また、結像光学系の有効径を大きくしなくても軸上光束と軸外光束との開口数の差を小さくして周辺光量の低下を緩和することもできる。これにより、結果的にさらに装置全体の小型軽量、低コスト化も進められ、また画像に生じる明るさムラを低減することも可能である。
【0024】
さらに、結像光学系8の開口数は、以下の(1)式を満たすように、開口数変更手段14により変更されると尚よい。下式を満たさない状態は、光学的分解能が撮像素子5aの解像度に対して優位にある状態であり、光学的分解能が十分に画像に反映されない状態である。
2≦1.22×λ/(NAI1×P) ・・・ (1)
ここで、NAI1は結像光学系8の開口数を示し、Pはカメラ5や撮像素子5aが1つ以上有る場合に指定した観察範囲に応じて選択される撮像素子5aの画素ピッチを示し、λは観察波長を示す。例えば、観察波長は、撮像素子5aが検出できる波長の中で最も長い波長を示すものとしてもよい。
尚、カメラ5や撮像素子5aが複数有る場合等については、後述の第3の実施形態やその変形例でその詳細を述べる。
【0025】
(1)式は、開口絞り2で決まる結像光学系8の開口数とカメラ5や撮像素子5aが1つ以上有る場合に指定した観察範囲に応じて選択される撮像素子5aの画素ピッチとの関係を示す式であり、観察範囲Iから観察範囲IIの間で任意に指定した観察範囲において(1)式が満たされるとき、その観察範囲を観察するときに使用される撮像素子5aで、NAI1の開口数を有する結像光学系8によって結像される像の情報を(ピクセル)等倍表示でも少なくとも画素数不足による解像力低下は起こすことなく観察することができる。一方で、(1)式を満たさないときは、その撮像素子5aでは(ピクセル)等倍表示で画素数不足による解像力低下を起こし、結像光学系の光学的分解能を十分に引き出せない状態となる。
【0026】
以上の構成を有する観察装置1によれば、カメラ5の観察範囲変更処理に応じて開口絞り2が制御されることで、所定の電子変倍倍率において、必要十分な観察像性能を維持しつつ、観察範囲変更処理を行うことができる。
【0027】
尚、本実施形態の観察装置1では、例えばズームレンズのような、標本Sの像を撮像素子5aへ投影する倍率(光学倍率)を観察中に変更するような構成を有さない。このような構成では結像光学系は単焦点結像光学系であり、レンズを光学変倍のために駆動制御するような構成を有さずに済むため、高速かつ静粛に観察範囲の変更を行うことができる。
【0028】
また、上記に述べた観察に必要な開口数よりも小さな開口数となるように敢えて開口数変更手段14を制御することで、光学的分解能よりも焦点深度を深くすることを重視した標本の観察の仕方を行うこともできる。このように、開口数変更手段14の制御を工夫することによっても、観察装置1を使用する使用者の用途に応じた観察が可能となる。
【0029】
また、観察装置1では、観察倍率が観察範囲の変更処理(電子変倍処理)により変更されるため、観察倍率の異なる複数の対物レンズを設ける必要がない。そのため、対物レンズを複数取り付けるレボルバ等の機構が不要となり、装置全体の小型化、軽量化を実現することができる。また、レボルバ操作による対物レンズの切り換えに伴って標本の位置を見失うことがなくより快適な観察を行うことが可能である。また、液浸対物レンズを使用する場合においては、特にレボルバ操作による対物レンズの切り換え観察は難しいものであり、その動作を廃した構成は、使用者の操作性の改善に大きく寄与するものであるといえる。
【0030】
また、観察装置1では、結像光学系8がアフォーカル光学系を形成しているため、対物レンズ7と結像レンズ4を個別に交換したりそのユニット間寸法の変更を行い易く、あるいは該アフォーカル光学系部分に機能性を有する光学素子を配置したりできるなど、装置のレイアウト設計や機能拡張をより自由に行うことができる。
【0031】
また、本実施形態の観察装置1において
図3に示した機能構成は、
図4に示す機能構成としてもよい。
図4では、カメラ11bは、観察範囲変更手段16を備えていない点で、
図3のカメラ11aと異なる。また、制御用PC12bは、制御手段17の他に新たに観察範囲変更手段16を備えている点で制御用PC12aと異なる。この機能構成では、カメラ11bで観察範囲変更処理が行われないため、カメラ11bが制御用PC12bに画像信号を出力した段階で、制御用PC12bが備える観察範囲変更手段16が観察範囲変更処理を行う。このような機能構成を有する場合であっても、観察範囲変更処理に応じて、開口数変更手段14により開口絞り2が制御されることで、必要十分な観察像性能を維持しつつ、観察範囲変更処理を実行する観察装置を実現できる。
【0032】
以下、図面を用いて第2の実施形態における観察装置について説明する。
図5は、第2の実施形態における観察装置である観察装置20を示す図である。観察装置20は、顕微鏡20aと、制御用PC32と、モニタ33と、入力手段34を備えている。
顕微鏡20aは、透過照明により標本Sを照明する顕微鏡である。顕微鏡20aは、標本Sに光を照射する照明光学系36として、光源21と、コレクタレンズ22と、ミラー24と、コンデンサレンズ25とを備えている。また、顕微鏡20aは、標本Sからの光を結像するための結像光学系35として、対物レンズ26と、ミラー27と、結像レンズ29を備えている。顕微鏡20aは、さらに、照明光学系36内に含まれる明るさ絞り23と、結像光学系35内に含まれる開口絞り28と、カメラ30と、駆動部31、37とを備えている。光学系に用いられる各種レンズは、ガラス球面レンズだけでなく、プラスチックレンズや、非球面レンズ、回折光学素子、屈折率分布レンズ、チューナブルレンズ等を使用してもよい。
【0033】
明るさ絞り23は、第1の実施形態の開口絞り2と同様の動作をする照明光学系36の開口数変更手段であり、ここでは、この明るさ絞り径を変更することで顕微鏡20aの結像光学系35に入射する照明光の開口数を変更して結果的に結像光学系35の実質的な開口数をも変更できる。尚、開口数変更手段は、明るさ絞り23に限らず、結像光学系35の実質的な開口数を変更できるものであればよい。例えば、
図6のように、観察装置20が有する顕微鏡20bは
図5で示すところ照明光学系36の代わりに、LEDや有機EL素子等を用いた面発光光源39と拡散角可変素子38を備える照明光学系40の構成としてもよい。拡散角可変素子38は、市販もされている入射する光の拡散度合いを変えて出射することができる光学部材であり、面発光光源39と標本Sの間に配置することで照明光学系40の開口数を変更することに相当する機能を持たせることができる。拡散角可変素子38は、制御用PC32によって電子的に制御される。尚、面発光光源39と拡散角可変素子38及び標本Sが極力隣接するような構成とすることで光軸方向の長さが短い薄型の照明光学系40とすることができ、観察装置20全体の高さを抑えた省スペースの装置とすることも可能である。また、
図7のように、観察装置20が有する顕微鏡20cは、プリズム41と、プリズム41によって反射される光の光路と、その光路上の対物レンズ26の射出瞳位置と共役な位置またはその近傍に設けられるデジタルミラーデバイス(DMD)42を備えるような構成としてもよい。即ち、開口数変更手段は機械的に開口数を変更するものに限らず、他にも液晶を使用した絞りなど電子的に開口数を変更するもの等であってもよい。
【0034】
尚、照明光学系36や40の開口数及び結像光学系35内に含まれる開口絞り28によって決まる結像光学系の開口数の内結果的に最も小さい開口数で決まる光学系全体での最大開口数は、以下の(2)式を満たすように設定される。
2≦1.22×λ/(NAI2×P) ・・・ (2)
ここで、NAI2は照明光学系及び結像光学系を含めた光学系全体での最大開口数を示し、Pはカメラ5や撮像素子5aが1つ以上有る場合に指定した観察範囲に応じて選択される撮像素子5aの画素ピッチを示し、λは観察波長を示す。例えば、観察波長は、撮像素子5aが検出できる波長の中で最も長い波長を示すものとしてもよい。
尚、カメラ5や撮像素子5aが複数有る場合等についてはまた、後述の第3の実施形態やその変形例でその詳細を述べる。
照明光学系も含めた光学系全体を対象とする(2)式を満たす観察装置20においてもカメラ30の観察範囲変更処理に応じて開口数NAI2を制御することで、モニタ33の画面解像度と観察装置20が持つ光学的分解能とのバランスで決まる所定の電子変倍倍率において必要十分な観察像性能を維持しつつ観察範囲変更処理を行うことができる。
また観察に必要な開口数よりも小さな開口数となるように敢えて制御することで、光学的分解能よりもコントラストを強調することを重視した標本の観察の仕方を行うこともできる。この場合は、例えば標本Sが透明な物体である場合等でも、良好な観察を行うことができる。このように、光学系全体での最大開口数やその値を決める場所の制御を工夫することによって、観察装置20を使用する使用者の用途に応じた観察が可能となる。
【0035】
ここで、
図5に示す駆動部31は開口絞り28を、駆動部37は明るさ絞り23を機械的に制御する機構であり、例えばモータである。駆動部31、37は、制御用PC32の制御によって駆動する。
【0036】
カメラ30は、標本Sの像を画像信号に変換するための撮像素子30aを含んでいる。また、カメラ30は、変換した画像信号の観察範囲を変更する観察範囲変更処理を行う観察範囲変更手段として機能する。カメラ30は、制御用PC32の制御によって観察範囲変更処理を行う。
【0037】
制御用PC32は、明るさ絞り23による開口数変更の処理、及び、カメラ30の観察範囲変更処理を制御するコンピュータである。
【0038】
ここで、観察装置20の機能構成は、
図3に示したものと同様であり、
図5のカメラ30はカメラ11aに該当し、
図5の制御用PC32は制御用PC12aに該当し、
図5に示す顕微鏡20aが有する構成が観察装置本体10に該当する。即ち、制御用PC32は、第1の実施形態における制御用PC6と同様の制御を実行することで、撮像素子30aで得られた画像信号を元に観察範囲を変更する観察範囲変更処理に応じて、駆動部31を通して明るさ絞り23の制御を行う制御手段として機能する。
【0039】
入力手段34は、観察装置20を使用する使用者が、観察範囲の変更の指示を制御用PC32へ入力するための手段であり、キーボードやマウス等を用いる。
【0040】
モニタ33は、制御用PC32と接続されており、カメラ30で変換した画像信号を画像として表示する表示手段である。使用者は、モニタ33に表示される画像を見ながら標本Sの観察や撮影を行ない、また観察範囲の変更指示を行う。
【0041】
また、標本Sは、例えば不図示のステージ上に固定され、ステージを駆動させることで、標本Sの観察位置が適宜変更される。ステージの駆動は、制御用PC32によって自動で制御されてもよく、ダイヤル等を回すことで観察装置20を使用する使用者が手動で制御を行ってもよい。
【0042】
以上の構成を有する観察装置20を用いて、使用者はモニタ33に表示される画像を通して標本Sの観察や撮影を行う。
図8は、観察範囲の変更(電子変倍倍率の変更)に際して制御用PC32が実行する開口数の制御の手順を示すフローチャートである。以下、
図8を用いて制御用PC32が実行する開口数の制御の手順を説明する。尚、本フローチャートは、予め標本Sが使用者によってステージに固定された状態で開始される。
【0043】
ステップS1では、使用者に対して表示される標本Sの画像についてピントと露出の調整を制御する。ピントの調整は、画像のピントが合うように標本保持手段であるステージの光軸方向への移動を制御することで実行する。露出の制御は、露光時間等の設定を変更することで行う。ピント調整の方法は、画像のコントラスト変化からピントを求めるコントラスト法や撮像素子内に構成された位相差検出画素を用いてピントを求める像面位相差検出法など種々の方法が用いられる。
【0044】
ステップS2では、制御用PC32は電子変倍倍率の変更指示を受信する。このとき、使用者は、ステップS1の画像を見ながら標本Sを観察し、入力手段34を用いて電子変倍倍率の変更指示を制御用PC32に対して入力している。電子変倍倍率の変更指示を受信すると、ステップS3へ移行する。
【0045】
ステップS3では、入力された電子変倍倍率変更指示が拡大指示であるかどうかの判定を行う。尚、拡大指示とは、現状の観察範囲からより狭い観察範囲へ変更することにより、現状の観察倍率をより大きな観察倍率へ変更する指示のことを示す。入力された電子変倍倍率変更指示が拡大指示である場合には、ステップS4へ移行する。拡大指示でない場合(即ち現状の観察倍率より小さな観察倍率へ変更する指示の場合)には、ステップS5へ移行する。
【0046】
ステップS4では、使用者が拡大する領域を指定し、当該領域がモニタ33に表示される画像の中心に位置するようにステージを制御する。
【0047】
ステップS5では、ピント合わせの前に最大の開口数となるように開口絞り28の制御を実行する。そしてステップS6では、ステップS5で開口数が最大となるよう変更されることで焦点深度を浅くしてピントのずれをより目立たせ、精度良くピントを調整する制御を実行する。これは、観察範囲の変更(電子変倍倍率の変更)に際して開口数の制御を行うと、広視野観察時と高精細観察時(高倍率観察時)とでは焦点深度が変わるためピントのずれが目立つ可能性があり、ピントの合ったままで観察範囲の変更だけを期待しているユーザに違和感を与えることを緩和するためである。ステップ6でも、ピント調整にはコントラスト法や像面位相差検出法などの種々の方法が用いられる。
【0048】
ステップS7では、入力された電子変倍倍率変更指示から、開口数を算出する。このとき、算出される開口数は、第1の実施形態で記したように、モニタ33の画面解像度と観察装置20が持つ光学的分解能とのバランスで決まる所定の電子変倍倍率において必要十分な観察像性能を維持することができる。
【0049】
ステップS8では、ステップS7で算出された開口数となるように開口数の変更制御を実行する。ステップS9では、露出の調整を制御する。ステップS10では、カメラ30に電子変倍倍率の変更を指示することで、入力された変更倍率となるように電子変倍倍率の変更制御を実行する。ステップS10の処理を終了することで、本フローチャートを終了する。
【0050】
尚、本実施形態では、標本Sを固定するステージ(標本保持手段)の移動制御が制御用PC32によって自動で行われる例を示したが、ステージは使用者によって手動で制御されてもよい。ステージが使用者によって手動で制御される場合における、観察範囲の変更に際して制御用PC32が実行する開口数の制御の手順を示すフローチャートは、
図9に示す通りである。
図9のフローチャートは、ステップS4の代わりにステップS11を実行する点について
図8のフローチャートと異なるが、それ以外のステップは同様である。
【0051】
図9のステップS11は、ステップS3で入力された倍率変更指示が拡大指示である場合に移行するステップである。ステップS11では、使用者がステージを操作することで、拡大する領域がモニタ33に表示される画像の中心に位置するようにステージの移動を制御し、制御用PC32がその移動制御の完了を検知する。以下、同様の手順を実行することで、ステージの移動制御が手動で行われる場合においても必要十分な観察像性能を維持しつつ、観察範囲変更処理を行うことができる。
【0052】
また、観察装置20では開口数の制御を開口絞り等の開口数変更手段によって行うことから、各種光学系の光路長やレンズ位置が変更されることがなく、観察範囲の変更に伴う瞳位置の変動がない。そのため、瞳位置近傍への変調素子の挿脱等を容易に行うことができる。そのほか、瞳位置のリレーや瞳位置への照明光源像の投影等を行うことも可能であり、構成を適宜変更してもよい。
【0053】
また、標本Sを固定するステージや、観察装置20に含まれる各種光学系、撮像素子は、環境振動に対するブレ補正機能を有していてもよい。
【0054】
また、ステップS1やステップS6では標本保持手段であるステージを光軸方向に移動させることによるピント調整の方法を記載したが、ステージを光軸方向に移動しなくても結像光学系35が有限光学系の場合は結像光学系35とカメラ30が一体的に光軸方向に移動、あるいはその有限光学系がその中の一部の光学系だけを光軸方向に移動させることでピント調整を行うインナーフォーカス式であってもよい。尚、該一部の光学系は、チューナブルレンズ等の能動光学素子であってもよい。結像光学系35が無限遠光学系の場合は、平行光束部よりも標本側に位置する対物レンズ26のみを光軸方向に移動させることでピント調整を行なってもよい。尚、ピント調整は手動でもよいが、ステップS1やステップS6で用いられたような種々のピント検出手段と連携して自動化しておく方がより望ましい。
【0055】
以下、図面を用いて第3の実施形態における観察装置について説明する。
図10は、第3の実施形態における観察装置である観察装置50を示す図である。観察装置50は、結像光学系54として、ハーフミラー53と、ハーフミラー53によって分岐される新たな光路と、その光路上に結像レンズ52とを備え、さらにその結像位置にカメラ51を備えている点で観察装置20と異なるが、それ以外の点は観察装置20と同様である。
【0056】
カメラ51は、標本Sの像を画像信号に変換するための撮像素子51aを含む。撮像素子51aは、カメラ30に含まれる撮像素子30aの画素ピッチとは異なる画素ピッチを有する撮像素子である。カメラ51は、撮像素子51aを含む点でカメラ30と異なるが、カメラ51が持つ機能自体はカメラ30の持つものと同様である。即ち、観察装置50は、二つの撮像素子から構成される検出手段を有する観察装置であるといえる。
【0057】
ここで、撮像素子30aが
図3の電子変倍処理の説明で述べたような画面解像度との関係や(1)式や(2)式を満たした結果、必要十分な観察像性能を維持しつつ観察範囲I-3から観察範囲I-3より狭い範囲の観察範囲II-3までの間の電子変倍が可能であるとする。ここで、撮像素子30aの最大となる観察範囲I及び最小となる観察範囲IIを、それぞれ観察範囲I-3、観察範囲II-3と表記し、撮像素子51aの観察範囲I及び観察範囲IIを、それぞれ観察範囲I-5、観察範囲II-5と表記する。このとき、撮像素子51aが撮像素子30aよりも小さな画素ピッチでありながらその最大観察範囲I-5が観察範囲II-3と同程度であった場合、観察装置50全体では観察範囲I-3から撮像素子30aの等倍表示時の画面解像度と同じ画素数が抽出される観察範囲II-5までの、撮像素子30a1つだけでは得られなかったより幅広い範囲において観察範囲変更(電子変倍)を行うことができる。つまり、より大きな電子変倍比を得ることができる。
【0058】
尚、観察範囲変更(電子変倍)処理は、離散値(20倍、50倍、100倍等)的に変更するものとしてもよいが、連続的に行われるものである方が観察範囲の変更に際してより自由度が高い。そのためには、観察範囲I-5が観察範囲II-3以上である必要がある。そうすれば、撮像素子30aにおいて、観察範囲I-5と同じ観察範囲までを抽出することで、または撮像素子51aにおいて観察範囲II-3と同じ観察範囲までを抽出することで、撮像素子を30aから51a(あるいはその逆)に切り替えて使用した際に観察範囲の空白範囲が生じず、観察範囲I-3から観察範囲II-5まで連続的により細かく観察範囲を変えることができる。また本実施形態では、電子変倍に際して行う撮像素子の切り替え時に、切り替える二つの撮像素子で同時に撮像(切り替える二つの撮像素子により画像信号を同時取得)して、切り替え時の非連続的な現象(例えばブラックアウト等)を回避しより自然で連続的な電子変倍処理を実現してもよい。
【0059】
また、ハーフミラー53を用いる構成では、各撮像素子へ入射する光量が低下する。上記光量不足を補うために、ビニング機能を使用して受光感度を向上させてもよい。また、撮像素子を冷却することで受光感度を向上させてもよく、冷却の手段としては空冷方式やペルチェ素子などによる電気的な冷却方式、水冷方式など公知の手段を適用可能である。
【0060】
また、ハーフミラー53を用いる構成の代わりに、各撮像素子30a、51aへの光の入射を機械的または電子的に切り替えるようなミラーやDMDを用いた構成としてもよい。その場合は、制御用PC32がミラーやDMDの切り替え制御を実行する。
【0061】
尚、より高解像度の画像を得るために、各撮像素子がそれぞれ特定の方向に微小量ずつずれながら撮像することで画素と画素の間を補完するようなピクセルシフト方式を用いてもよい。
【0062】
また、観察装置50では、撮像素子の画素ピッチが異なるカメラを二つ含む例を示したが、観察装置の構成はこれに限らず、少なくとも画素ピッチの異なる撮像素子を二つ以上有していればよい。
【0063】
さらに、第3の実施形態の変形例として、
図11に示すような撮像素子55を用いる構成としてもよい。撮像素子55は、領域Aと、領域Aを囲むような領域Bと、さらに領域Bを囲むような領域Cにわけられている。領域Bは、領域Cに比べて細かい画素ピッチを有し、領域Aは、領域Bよりもさらに細かい画素ピッチを有する。
【0064】
撮像素子55を用いた観察では、例えば、
図11の領域AからCまでの全範囲を含むような広視野観察(低い電子変倍倍率での観察)を行うときには、領域A、Bについてその画素ピッチがそれぞれ領域Cの画素ピッチと同程度になるように使用する画素を選択(間引き)制御する。また、
図11の領域AからBまでの範囲を含むような電子変倍倍率での観察では、領域Aについてその画素ピッチが領域Bと同程度になるように使用する画素を選択(間引き)制御する。
【0065】
このような撮像素子を用いることで、指示された観察範囲に応じて選択された撮像領域(上記の例では領域AからC)を使用するものとすれば、一つの撮像素子のみで第3の実施形態で示した効果を得ることができる。また、複数の撮像素子を設置するために複数の光路を設けたり光路を切り替えたりする必要も無くなって光学像の光量も確保し易くなり、装置の高速性や静粛性が向上し小型軽量化もより確保し易くなる。
【0066】
尚、第3の実施形態において、第2の実施形態のように照明光路上の明るさ絞りを制御することで、結像光学系54の射出側の開口数を変更するような構成に変形してもよい。その場合、制御用PC32は、使用者が指定した観察範囲で(2)式を満たすように明るさ絞り23を制御する。
【0067】
尚、上述した実施形態では、開口数変更手段を有する結像光学系や、照明光学系、撮像素子等の検出手段は、いずれも他の結像光学系や、照明光学系、撮像素子等の検出手段との交換が可能であってもよい。特に、光学系内部に光学系の焦点距離等を機械的に変更する機構を含まない本発明の各実施形態の発明は、上記のような交換を行い易い構成を有している。また、各種交換可能なユニットは、それぞれ無線通信素子等の通信手段や、メモリ等の情報記憶手段、電気接点等の通信・電力供給手段などを備えていてもよい。
【0068】
また、上述した実施形態では、透過照明型の顕微鏡を例に説明したが、落射照明型や偏斜照明型の顕微鏡においても上記説明に類似した構成や機能を有するものとしてもよい。さらに共焦点顕微鏡の場合は、観察範囲変更手段であるガルバノミラーの振り角を変化させて観察範囲の変更を行うが、ガルバノミラーを大きく振ってより低倍率、すなわちより広視野画像を得るときには開口絞りをより絞り、ガルバノミラーを小さく振ってより高倍率、すなわち視野は狭いが高精細画像を得るときには開口絞りをより広げることにより、同様の効果を得ることができる。
【0069】
また、上述した実施形態の観察装置を用いた標本の観察は、ライブ画像記録、静止画撮影、タイムラプス撮影等様々な用途に適用可能である。
【0070】
以下さらに、第4の実施形態における観察装置について図面を用いて説明する。
図12は、第4の実施形態における観察装置60を示す図である。
【0071】
観察装置60は、物体である標本Sの画像を取得するための有限光学系を有するカメラであり、対物レンズ(撮影レンズ)61と、開口絞り62と、撮像素子63とを含む。
【0072】
撮像素子63は、対物レンズ61による標本Sの像を画像信号に変換する。また、観察装置60は、変換した画像信号を元に観察範囲を変更する、観察範囲変更処理を行う観察範囲変更手段として機能する。
【0073】
開口絞り62は、対物レンズ61の射出瞳位置またはその近傍に備えられ、対物レンズ61の射出側開口数、即ち、観察装置60が有する光学系の射出側の開口数を変更する開口数変更手段として機能する。
【0074】
観察装置60は、内部に開口絞り62と、観察装置60が有する観察範囲変更処理を行う機能を制御する制御手段を設けている。観察装置60の機能構成は、
図3の機能構成における結像光学手段、開口数変更手段、検出手段、観察範囲変更手段、制御手段を内包するように構成される。制御手段は、第1の実施形態における制御用PC6と同様の制御を実行することで、観察範囲変更処理に応じて、開口絞り62の制御を行う。
【0075】
観察装置60においても、観察範囲変更処理に応じて、開口絞り62が制御されることで、必要十分な観察像性能を維持しつつ、観察範囲変更処理を行うことができる。
尚、本実施形態では物体が対物レンズ(撮影レンズ)から有限距離にある場合を扱ったが、物体が無限遠距離にある場合も類似した構成や機能を有するものであってもよい。
【0076】
また、上述した各実施形態において、光学系の収差性能や光量の均一性の確保は、シェーディング補正等の画像処理と併用することで行ってもよい。また、シェーディング補正等の画像処理を行った画像と行っていない画像とを同時に表示する機能や、倍率の高い画像と倍率の低い画像とを同時に表示する機能を有していてもよい。これにより、標本Sの特定位置の探索をより行い易くすることができる。尚、画像処理として、収差性能の向上を目的としたものに限らず、例えば位相差観察を行う際に位相差画像を画像処理するような用途として画像処理を併用してもよい。尚、これまで上述した各実施形態におけるカメラの撮像素子は、必ずしも平面状に限らず光学設計上投影像面の収差補正のし易い曲面状のものなどであってもよい。また各撮像素子上の画像信号を抽出できる最大有効範囲や電子変倍時の画像信号の抽出範囲は必ずしも四角形でなくてもよく、その場合はこれまで上述してきた対角長に相当する長さは例えば前記最大有効範囲や抽出範囲の最大寸法と考えてもよい。
【0077】
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。観察装置は、特許請求の範囲に記載した本発明を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。