(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、発明の実施の形態を通じて本開示を説明するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須とは限らない。
【0036】
特許請求の範囲、明細書、図面、及び要約書には、著作権による保護の対象となる事項が含まれる。著作権者は、これらの書類の何人による複製に対しても、特許庁のファイル又はレコードに表示される通りであれば異議を唱えない。但し、それ以外の場合、一切の著作権を留保する。
【0037】
本開示に係る飛行制御方法は、飛行体の飛行を制御するための情報処理装置における各種の処理(ステップ)が規定されたものである。飛行体は、空中を移動する航空機(例えばドローン、ヘリコプター)を含む。飛行体は、無人飛行体(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)であってもよい。飛行体は、農薬、肥料、水等の散布物の散布作業等を行うためにあらかじめ設定された飛行経路に沿って飛行する。
【0038】
本開示に係る情報処理装置は、コンピュータであって、例えば飛行体自体に情報処理装置が含まれてよい。本開示に係る情報処理装置は、飛行体の移動を含む各種処理の遠隔制御を指示するための送信機、又は送信機との間で情報やデータの入出力が可能に接続された端末装置、若しくは飛行体との間で情報やデータの入出力が可能に接続された端末装置など、各種の端末(プラットフォーム)を含む。端末は、例えばPC、タブレット端末、携帯端末などであってよい。
【0039】
本開示に係るプログラムは、情報処理装置に各種の処理(ステップ)を実行させるためのプログラムである。
【0040】
本開示に係る記録媒体は、プログラム(つまり、情報処理装置に各種の処理(ステップ)を実行させるためのプログラム)が記録されたものである。
【0041】
本開示に係る飛行制御システムは、移動体の一例としての飛行体と、飛行体の動作又は処理を遠隔で制御するための端末(プラットフォーム)とを含む構成である。
【0042】
以下に示す本開示に係る各実施形態において、飛行体として、無人飛行体(UAV)を例示する。本明細書に添付する図面では、無人飛行体を「UAV」と表記する。以下に示す各実施形態において、飛行体は、農地の作物等の散布対象を含む作業領域において、散布物をほぼ均一にくまなく散布するための飛行経路を設定する。
【0043】
以下に示す各実施形態において、情報処理装置は、飛行体において、飛行開始位置、飛行終了位置、散布作業開始位置、散布作業終了位置、飛行経路上の所定位置、飛行高度、飛行速度などのうち、少なくとも一つを含む飛行位置の情報を生成、取得、変更が可能である。端末に情報処理装置が含まれる場合、情報処理装置は飛行体と通信可能であり、飛行位置の情報を飛行体に伝送可能である。ここにいう「通信」とは、データ通信全般を含む広い概念であり、ケーブルなどにより有線接続する場合だけでなく、無線通信によって接続する場合も含まれる。また、情報処理装置が飛行体と直接通信する場合だけでなく、送信機又は記憶媒体を介して間接的に通信を行う場合も含まれる。
【0044】
図1は、実施形態における飛行制御システム10の構成例を示す模式図である。飛行制御システム10は、無人飛行体100及び端末50を含む。無人飛行体100及び端末50は、有線通信又は無線通信(例えば無線LAN(Local Area Network)、又はBluetooth(登録商標))を用いて、互いに通信することが可能である。端末50は、例えば端末50を使用する人物(以下、「ユーザ」という)の両手で把持された状態で使用される。端末50は、例えば送信機、タブレット端末、携帯端末、PCなどであってよい。端末50は、送信機にタブレット端末又は携帯端末が装着され互いに通信可能に設けられた構成であってよい。
【0045】
図2は、無人飛行体100の外観の一例を示す図である。無人飛行体100は、例えば散布作業の作業領域の上を飛行し、作業領域内の散布対象に農薬、肥料、水等の散布物の散布作業を行う。無人飛行体100は、UAV本体102と、回転翼機構130と、噴射ノズル200と、タンク210とを含む構成である。無人飛行体100は、例えば、あらかじめ設定された飛行経路に従って、或いは端末50から送信される遠隔制御の指示に基づいて、移動することができる。無人飛行体100の移動は、飛行を意味し、少なくとも上昇、降下、左旋回、右旋回、左水平移動、右水平移動の飛行が含まれる。
【0046】
無人飛行体100は、複数の回転翼機構(プロペラ)130を備える。無人飛行体100は、例えば8つの回転翼機構130を備える。無人飛行体100は、これら回転翼機構130の回転を制御することにより無人飛行体100を移動させる。ただし、回転翼の数は、8つに限定されない。また、無人飛行体100は、回転翼を有さない固定翼機でよい。
【0047】
次に、無人飛行体100の構成例について説明する。
【0048】
図3は、無人飛行体100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。無人飛行体100は、制御部110と、メモリ120と、回転翼機構130と、GPS受信機140と、慣性計測装置150と、磁気コンパス160と、気圧高度計170と、ミリ波レーダ180と、風速風向計190と、噴射ノズル200と、タンク210と、圧力センサ220と、流量センサ230と、ストレージ240と、通信インタフェース250と、バッテリ260とを含む構成である。なお、無人飛行体100は、周囲の被写体の撮影を行う撮像装置を備えてよい。
【0049】
制御部110は、プロセッサ、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)を用いて構成される。制御部110は、無人飛行体100の各部の動作を統括して制御するための信号処理、他の各部との間のデータの入出力処理、データの演算処理及びデータの記憶処理を行う。制御部110は、無人飛行体100において飛行の制御に関する処理を実行する機能を有する。
【0050】
制御部110は、メモリ120又はストレージ240に格納されたプログラム及び飛行経路に関する情報に従って無人飛行体100の飛行を制御する。また、制御部110は、通信インタフェース250を介して遠隔の端末50から受信した命令に従って、無人飛行体100の移動(つまり、飛行)を制御する。
【0051】
制御部110は、回転翼機構130を制御することで、無人飛行体100の飛行を制御する。つまり、制御部110は、回転翼機構130を制御することにより、無人飛行体100の緯度、経度、及び高度を含む位置を制御する。制御部110は、GPS受信機140、慣性計測装置150、磁気コンパス160、気圧高度計170、ミリ波レーダ180のうちの少なくとも一つにより取得される位置情報に基づき、回転翼機構130を制御する。
【0052】
メモリ120は、記憶部の一例である。メモリ120は、制御部110が回転翼機構130、GPS受信機140、慣性計測装置150、磁気コンパス160、気圧高度計170、ミリ波レーダ180、風速風向計190、噴射ノズル200、タンク210、圧力センサ220、流量センサ230、ストレージ240、及び通信インタフェース250を制御するのに必要なプログラム等を格納する。メモリ120は、制御部110の処理時に使用される各種の情報やデータを保存する。メモリ120は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体でよく、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、及びUSBメモリ等のフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリ120は、無人飛行体100の内部に設けられてよいし、無人飛行体100から取り外し可能に設けられてよい。
【0053】
回転翼機構130は、複数の回転翼と、複数の回転翼を回転させる複数の駆動モータとを有する。回転翼機構130は、回転翼を回転させることにより、特定の方向の気流を生じさせ、無人飛行体100の飛行(上昇、下降、水平移動、旋回、傾斜等)を制御する。
【0054】
GPS受信機140は、複数の航法衛星(つまり、GPS衛星)から発信された時刻及び各GPS衛星の位置(座標)を示す複数の信号を受信する。GPS受信機140は、受信された複数の信号に基づいて、GPS受信機140の位置(つまり、無人飛行体100の位置)を算出する。GPS受信機140は、無人飛行体100の位置情報を制御部110に出力する。なお、GPS受信機140の位置情報の算出は、GPS受信機140の代わりに制御部110により行われてよい。この場合、制御部110には、GPS受信機140が受信した複数の信号に含まれる時刻及び各GPS衛星の位置を示す情報が入力される。
【0055】
慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)150は、無人飛行体100の姿勢を検出し、検出結果を制御部110に出力する。慣性計測装置150は、無人飛行体100の姿勢として、無人飛行体100の前後、左右、及び上下の3軸方向の加速度と、ピッチ軸、ロール軸、及びヨー軸の3軸方向の角速度とを検出する。
【0056】
磁気コンパス160は、無人飛行体100の機首の方位を検出し、検出結果を制御部110に出力する。気圧高度計170は、無人飛行体100が飛行する高度を検出し、検出結果を制御部110に出力する。
【0057】
ミリ波レーダ180は、ミリ波帯の高周波の電波を送信し、地面や物体により反射された反射波を測定することにより、地面や物体の位置を検出し、検出結果を制御部110に出力する。検出結果は、例えば無人飛行体100から地面までの距離(つまり、高度)を示してよい。検出結果は、例えば無人飛行体100から物体までの距離を示してよい。検出結果は、例えば無人飛行体100により散布作業を行う作業領域の地形を示してよい。
【0058】
風速風向計190は、無人飛行体100の周囲の風速、風向を検出し、検出結果を制御部110に出力する。検出結果は、無人飛行体100が飛行する作業領域における風速、風向を示してよい。
【0059】
噴射ノズル200は、農薬、肥料、水等の散布物を導出する管路の端部に設けられ、例えば下方向(鉛直方向)に向けて散布物を噴射する。噴射ノズル200は、複数のノズル(例えば4つ)を有してよい。噴射ノズル200は、制御部110の制御に基づき、噴射のオン/オフ、噴射量及び噴射速度の調整を行う。よって、噴射ノズル200からの散布物は、所定の噴射量、噴射速度で散布対象に向かって散布される。タンク210は、農薬、肥料、水等の散布物を収容する。タンク210は、制御部110の制御に基づき、管路を経由して噴射ノズル200へ散布物を送出する。噴射ノズル200、タンク210は、散布機構の構成の一例に含まれる。
【0060】
圧力センサ220は、噴射ノズル200から噴射される散布物の圧力を検出し、検出結果を制御部110に出力する。検出結果は、例えば噴射ノズル200からの噴射量又は噴射速度を示してよい。流量センサ230は、噴射ノズル200から噴射される散布物の流量を検出し、検出結果を制御部110に出力する。検出結果は、例えば噴射ノズル200からの噴射量又は噴射速度を示してよい。
【0061】
ストレージ240は、記憶部の一例である。ストレージ240は、各種データ、情報を蓄積し、保持する。ストレージ240は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、USBメモリ、等でよい。ストレージ240は、無人飛行体100の内部に設けられてよいし、無人飛行体100から取り外し可能に設けられてよい。
【0062】
通信インタフェース250は、端末50と通信する。通信インタフェース250は、端末50からの飛行経路、散布物等に関する各種の情報を受信する。通信インタフェース250は、端末50からの制御部110に対する各種の命令を受信する。
【0063】
バッテリ260は、無人飛行体100の各部の駆動源としての機能を有し、無人飛行体100の各部に必要な電源を供給する。
【0064】
次に、無人飛行体100の制御部110の機能の一例について説明する。
【0065】
制御部110は、無人飛行体100の位置を示す位置情報を取得する。制御部110は、GPS受信機140から、無人飛行体100が存在する緯度、経度及び高度を示す位置情報を取得してよい。制御部110は、GPS受信機140から無人飛行体100が存在する緯度及び経度を示す緯度経度情報、並びに気圧高度計170又はミリ波レーダ180から無人飛行体100が存在する高度を示す高度情報をそれぞれ位置情報として取得してよい。
【0066】
制御部110は、磁気コンパス160から無人飛行体100の向きを示す向き情報を取得してよい。向き情報は、例えば無人飛行体100の機首の向きに対応する方位を示してよい。
【0067】
制御部110は、噴射ノズル200から散布物を散布する際に、無人飛行体100が存在すべき位置を示す位置情報を取得してよい。制御部110は、無人飛行体100が存在すべき位置を示す位置情報をメモリ120又はストレージ240から取得してよい。制御部110は、無人飛行体100が存在すべき位置を示す位置情報を、通信インタフェース250を介して端末50等の他の装置から取得してよい。
【0068】
制御部110は、散布物が散布される領域(以下、「散布領域」と称する)を示す散布領域情報を取得してよい。制御部110は、散布領域を特定するためのパラメータとして、使用する散布物の種別を示す散布物情報を取得してよい。制御部110は、散布領域を特定するためのパラメータとして、使用する噴射ノズル200の種別を示すノズル情報を取得してよい。制御部110は、散布領域を特定するためのパラメータとして、無人飛行体100の高度情報を取得してよい。制御部110は、散布領域を特定するためのパラメータとして、無人飛行体100の周囲の風速情報、風向情報を取得してよい。制御部110は、散布物が噴射される方向を示す情報として、慣性計測装置150から無人飛行体100の姿勢の状態を示す姿勢情報を取得してよい。
【0069】
制御部110は、風速風向計190から無人飛行体100の周囲の風速情報、風向情報を取得してよい。制御部110は、無人飛行体100の周囲の風速情報、風向情報、又は無人飛行体100が飛行する作業領域における風速情報、風向情報を、通信インタフェース250を介して端末50等の他の装置から取得してよい。
【0070】
制御部110は、無人飛行体100の緯度経度及び高度を含む位置、散布物の種別、噴射ノズル200の種別、無人飛行体100の姿勢、無人飛行体100の周囲の風速情報、風向情報に基づき、散布作業の作業領域における散布物の散布領域を推定してよい。
【0071】
制御部110は、推定した散布物の散布領域に基づき、散布作業時の無人飛行体100の高度、散布作業の開始位置、終了位置、散布作業時の飛行経路のうち、少なくとも一つを制御してよい。
【0072】
次に、端末50の構成例について説明する。
【0073】
図4は、端末50のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。端末50は、処理部51と、メモリ52と、無線通信部53と、表示部54と、操作部55と、インタフェース部56と、ストレージ57と、バッテリ58とを含む構成である。端末50は、無人飛行体100を遠隔制御するための指示を送信する操作端末の機能を持つ情報処理装置の一例である。端末50は、無人飛行体100の飛行に関する各種の情報やデータの入出力を行う設定端末の機能を持つ情報処理装置の一例である。なお、端末50は、送信機とタブレット端末又は携帯端末とが互いに接続された別体の構成であってよい。
【0074】
処理部51は、プロセッサ(例えばCPU、MPU又はDSP)を用いて構成される。処理部51は、端末50の各部の動作を統括して制御するための信号処理、他の各部との間のデータの入出力処理、データの演算処理及びデータの記憶処理を行う。
【0075】
処理部51は、無線通信部53を介して、無人飛行体100からのデータや情報を取得してよい。処理部51は、インタフェース部56を介して、他の装置からのデータや情報を取得してよい。処理部51は、操作部55を介して入力されたデータや情報を取得してよい。処理部51は、メモリ52に保持されたデータや情報を取得してよい。処理部51は、データや情報を表示部54に送り、このデータや情報に基づく表示情報を表示部54に表示させてよい。処理部51は、データや情報をストレージ57に送り、このデータや情報を格納してよい。処理部51は、ストレージ57に格納されたデータや情報を取得してよい。
【0076】
処理部51は、操作部55の操作入力に基づき、散布物の種別の設定、噴射ノズル200の種別の設定、散布作業の作業領域の設定、作業領域における飛行経路の設定、散布作業の開始位置(スタート位置)及び終了位置(エンド位置)の設定のうち、少なくとも一つの設定入力を行ってよい。
【0077】
処理部51は、操作部55の操作入力に基づき、無人飛行体100の移動を遠隔制御するための操作信号を生成してよい。処理部51は、生成した操作信号を移動制御用の命令として、無線通信部53を介して無人飛行体100に送信し、無人飛行体100を遠隔制御してよい。
【0078】
処理部51は、表示部54に表示する設定画面、操作画面のうちの少なくとも一つの表示画面を生成してよい。
【0079】
メモリ52は、記憶部の一例である。メモリ52は、例えば、処理部51の動作を規定するプログラムや設定値のデータが格納されたROM(Read Only Memory)と、処理部51の処理時に使用される各種の情報やデータを一時的に保存するRAM(Random Access Memory)とを有する。メモリ52のROMに格納されたプログラムや設定値のデータは、所定の記録媒体(例えばCD−ROM、DVD−ROM)にコピーされてよい。メモリ52のRAMには、例えば無人飛行体100による散布作業の作業領域、飛行経路、飛行高度などを含む飛行情報を保存してよい。
【0080】
無線通信部53は、アンテナを介して、各種の無線通信方式により、無人飛行体100との間で通信し、情報やデータの送受信を行う。無線通信方式は、例えば、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、近距離無線通信、又は公衆無線回線を介した通信を含んでよい。無線通信部53は、他の装置との間で通信を行って情報やデータを送受信してよい。
【0081】
表示部54は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイを用いて構成され、処理部51から出力された各種の情報やデータを表示する。表示部54は、例えばLED(Light Emission Diode)を用いた表示ランプを有してよい。表示ランプは、例えば、無人飛行体100と端末50との無線の接続状態、無人飛行体100の起動状態、無人飛行体100又は端末50のバッテリの容量の残量のうち、少なくとも一つを表示する。
【0082】
操作部55は、端末50を保持するユーザにより入力される操作指示、又はデータや情報を受け付ける。操作部55は、ジョイスティック、ボタン、キー、タッチパネル、マイクロホン、等を含んでよい。操作部55は、例えば、ユーザによる無人飛行体100の移動を遠隔で制御(例えば、無人飛行体100の前後移動、左右移動、上下移動、向き変更)するための操作において使用される。操作部55は、例えば、散布作業に関する各種設定を入力する操作において使用される。操作部55は、例えば、散布作業の開始を指示する操作において使用される。
【0083】
インタフェース部56は、端末50と他の装置との間の情報やデータの入出力を行う。インタフェース部56は、例えば端末50に設けられたUSBポート(不図示)でよい。インタフェース部56は、USBポート以外のインタフェースでもよい。
【0084】
ストレージ57は、記憶部の一例である。ストレージ57は、各種データ、情報を蓄積し、保持する。ストレージ57は、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、USBメモリ、等でよい。ストレージ57は、端末50の本体から取り外し可能に設けられてよい。
【0085】
バッテリ58は、端末50の各部の駆動源としての機能を有し、端末50の各部に必要な電源を供給する。
【0086】
次に、無人飛行体100を用いた散布作業における風の影響について説明する。
【0087】
図5は、無人飛行体100を用いた散布作業の様子を模式的に示す図である。
図6は、無人飛行体100を用いた散布作業における散布領域を説明する図である。
【0088】
無人飛行体100は、散布作業の作業領域TAの上空を飛行し、農薬、肥料、除草剤、水等の散布物を散布する。散布作業を行うときは、無人飛行体100は、作業領域TAにおいて散布物をほぼ均一に散布できるように、例えば作業領域TA内において蛇行を繰り返すミアンダ形状(meandering shape)の経路など、所定の飛行経路FRを飛行する。散布作業において、作業領域TAが無風の状態では、散布物は無人飛行体100の直下の領域A1に散布される。この場合、作業領域TAにおける散布作業の目標領域と実際の散布領域SAとがほぼ一致し、散布対象に適切に散布物が散布される。
【0089】
散布物が散布される領域は、(1)風、(2)散布高度、(3)散布物の種別(粒子サイズ)及び噴射ノズルの種別、の3つの要素が大きく影響する。よって、散布作業にあたり、散布物の種別と噴射ノズルの種別をあらかじめ設定すれば、散布作業時の風速と高度によって散布される領域が決まり、風の有無に応じて散布領域が変化する。このため、作業領域の風が強い場合は、想定した散布作業が達成できない場合が生じることがあり、作業効率の低下、作業コストの上昇、作業領域外の作物に悪影響を与えるなどの課題が発生する。
【0090】
図7は、風の影響がある場合の無人飛行体100を用いた散布作業の様子を模式的に示す図である。
図8は、風の影響がある場合の無人飛行体100を用いた散布作業における散布領域を説明する図である。
【0091】
散布作業において、作業領域TAに風WDがある場合、散布時の風WDの風速と高度Hとによって、散布物は無人飛行体100の直下からずれた位置の領域A2に散布される。この場合、作業領域TAにおける散布作業の目標領域と実際の散布領域SAとの間に位置ずれが生じ、散布物が散布対象から外れる、未散布の領域が残るなど、想定した散布作業ができない可能性がある。散布作業の目標領域と実際の散布領域との偏差は、風速が大きいほど、高度が高いほど、大きくなる。
【0092】
以下において、本開示に係る飛行制御方法における処理の実施形態を図面と共に説明する。本開示に係る飛行制御方法は、散布作業の際に、作業領域における風速、風向などの風情報を取得し、風情報に応じて無人飛行体100の飛行位置制御を行う。飛行位置制御としては、飛行高度の調整、散布作業開始位置(スタート位置)の調整のうち、少なくとも一つを含む。
【0093】
図9は、実施形態における飛行制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。本例では、情報処理装置の制御部の一例としての無人飛行体100の制御部110が主体的に処理を実行するものとする。なお、無人飛行体100の制御部110と協働して、又は無人飛行体100の制御部110の代わりに、無人飛行体100と通信可能な端末50に含まれる情報処理装置において、処理を実行してよい。
【0094】
制御部110は、ユーザの入力指示に基づき、散布作業の作業領域の設定を行う(S11)。制御部110は、ユーザの入力指示に基づき、散布物の種別と噴射ノズルの種別を設定してよい。また、制御部110は、作業領域に応じて、散布領域の許容偏差を設定する(S12)。散布領域の許容偏差は、散布対象の状況、作業領域の周囲の状況等に応じてユーザが決定し、ユーザの入力指示に基づいて設定してよいし、或いは、作業領域に応じてあらかじめ規定したパラメータによって設定してよい。散布領域の許容偏差は、作業領域において散布対象に散布する目標領域と、実際に散布される散布領域との差を示し、許容偏差範囲、最大許容偏差のうち、少なくとも一つを含む。
【0095】
制御部110は、例えば風速風向計190の検出結果に基づき、作業領域を飛行する際の無人飛行体100の周囲の風情報を取得する(S13)。風情報は、風速情報、風向情報のうちの少なくとも一つを含む。風情報は、平均風速、瞬時風速のうちの少なくとも一つを含んでよい。制御部110は、端末50等の他の装置から風情報を取得してよい。
【0096】
制御部110は、風情報と許容偏差とに基づき、飛行位置を制御する(S14)。制御部110は、飛行位置制御として、飛行高度の調整、散布作業開始位置(スタート位置)の調整のうち、少なくとも一つの制御処理を実行する。
【0097】
制御部110は、タンク210に収容してある散布物を噴射ノズル200より噴射し、散布作業を実行する(S15)。
【0098】
これにより、作業領域の風情報に基づき、例えば所定以上の風速の場合に飛行高度を下げる、風速及び風向に応じて作業開始位置を移動させるなど、飛行位置制御を行うことによって、散布作業を適切に実行できる。
【0099】
ここで、散布領域の許容偏差について説明する。
【0100】
図10は、散布物の種別と噴射ノズルの種別を設定画面の一例を示す図である。
図11は、散布物と噴射ノズルの種別毎の偏差特性のパラメータを示す図である。
図12は、散布領域の偏差特性のパラメータの一例を示す図である。
【0101】
端末50は、ユーザが散布作業に関する設定を行う際に、表示部54に設定画面を表示する。
図10では、散布物の種別と噴射ノズルの種別を設定するための設定画面の一例を示し、ユーザが農薬IとノズルBを選択して設定する場合を例示している。
図11に示すように、散布物と噴射ノズルとの組合せにより、それぞれ散布領域の偏差特性のパラメータが規定されている。例えば、農薬IとノズルBの組合せでは、偏差パラメータP1が該当する。各偏差パラメータP0〜P8は、散布時の高度毎に、風速に対する散布領域の偏差の変化特性が規定されたものである。例えば
図12に示すように、高度H1〜H4のそれぞれにおいて、風速Vに対して散布領域の偏差Eの変化特性が規定されている。なお、偏差パラメータP0〜P8は、風速毎に、散布時の高度に対する散布領域の偏差の変化特性が規定されたものとしてよい。つまり、偏差パラメータP0〜P8は、散布領域の偏差について、高度及び風速による影響を示す関数で表され、所定値毎の偏差値をテーブル等で保持してよい。
【0102】
図13は、散布領域の許容偏差範囲を説明する図である。
図14は、散布時の高度と散布領域の偏差との関係を説明する図である。
【0103】
散布作業において、ユーザが散布作業の作業領域TA、作業開始位置(スタート位置)PS、作業終了位置(エンド位置)PEを設定することにより、制御部110は、作業領域TAに適応するように、飛行経路FRを決定する。また、制御部110は、作業領域TAに対応させて、散布領域の許容偏差TE、許容偏差範囲ERを設定する。例えば、許容偏差TEを作業領域TAの外周の境界から1m、3m、5m等に設定し、作業領域TAに許容偏差TEを加えた領域を許容偏差範囲ERに設定する。制御部110は、許容偏差範囲ERの中に実際の散布領域が収まるように、無人飛行体100の飛行位置を制御する。
【0104】
作業領域TAに風WDがある場合、散布物は落下しながら風力によって水平方向にも変位し、例えば
図14に示すように、散布物の散布位置は高度に応じて風下側にずれる。図示例では、散布対象までの高度がH1の場合、無風状態に比べて距離L1だけ散布位置が変位し、散布領域の偏差はE1となる。また、散布対象までの高度がH2の場合、無風状態に比べて距離L2だけ散布位置が変位し、散布領域の偏差はE2となる。高度がH1<H2の場合、L1<L2、E1<E2となる。
【0105】
(飛行位置制御の第1動作例)
次に、本開示に係る飛行位置制御の第1動作例を説明する。
【0106】
図15は、第1動作例における散布作業の作業領域と散布領域の一例を示す図である。制御部110は、ユーザの入力指示に基づき、散布作業の作業領域TA、作業開始位置(スタート位置)PS、作業終了位置(エンド位置)PEを設定する。制御部110は、作業領域TAにおいて、作業開始位置PSから作業終了位置PEまでの散布のための飛行経路FRを算出して決定する。制御部110は、ユーザの入力指示に基づき、作業領域TAにおける許容偏差範囲ERを設定する。また、制御部110は、ユーザの入力指示に基づき、散布作業に使用する散布物の種別と噴射ノズルの種別を設定し、選択された散布物ノズルと農薬の組合せに対応する偏差パラメータをメモリ120又はストレージ240から読み出して取得する。
【0107】
作業領域TAが無風の状態では、散布物は散布領域SA0に散布され、許容偏差範囲ERの中に納まるため、適切な散布作業を実行できる。一方、作業領域TAに風WDがある場合、例えば、散布物は散布領域SA1のように風下方向にずれて散布され、許容偏差範囲ERを超えてしまい、適切な散布作業が達成できないことが生じ得る。そこで、本例では、無人飛行体100の周囲の風速に応じて散布作業時の飛行高度を制御し、散布領域が許容偏差範囲ERを超えないようにする。
【0108】
制御部110は、風情報として、例えば風速風向計190の検出結果に基づき、無人飛行体100の周囲の風速と風向を測定し、現在の瞬時風速情報、風向情報を取得する。なお、制御部110は、他の測定器や装置から現在の風速、風向等の風情報を取得してよい。
【0109】
図16は、風情報の一例として瞬時風速を求める場合の処理を説明する図である。図示例では、時間経過に伴って変動する風速Vの測定結果を示しており、時刻t1における瞬時風速V_instを取得する。瞬時風速V_instは、例えば、5〜10sec程度の短時間の風速の平均値を求めることにより、算出できる。制御部110は、例えば、時刻t1を中心とした5secの期間、又は時刻t1の直前の5secの期間において、風速の平均値を算出することで、瞬時風速V_instを求めてよい。
【0110】
制御部110は、取得した現在の瞬時風速V_instに基づき、散布物の散布領域の偏差Eを判定する。
【0111】
図17は、風速Vに対する散布領域の偏差Eの特性の一例を示す図である。
図18は、風速毎の高度Hに対する偏差Eの特性の一例を示す図である。制御部110は、
図17の特性図にて示される偏差パラメータに基づき、瞬時風速V_instに対する偏差値E_instを求める。そして、制御部110は、
図18の特性図にて示される偏差パラメータに基づき、求めた偏差値E_instが、あらかじめ設定した許容偏差範囲ERに対応する最大許容偏差E_confを超えるかどうか判定する。すなわち、制御部110は、現在の瞬時風速V_instの条件下で、現在の高度H_curにおいて許容偏差範囲ER内での散布作業を実施できるかどうか判定する。本例は、散布作業におけるトータルの最大許容偏差をE_maxとすると、E_max=E_confとした場合の例である。瞬時風速V_instに対する偏差値E_instが許容偏差範囲ERを超える場合、制御部110は、無人飛行体100の高度を調整し、高度を下げた状態で偏差値E_instが許容偏差範囲ERに収まるようにする。
【0112】
ここで、
図18は、例えば農薬IとノズルBの組合せの場合の偏差パラメータP1を示しているものとする。制御部110は、偏差パラメータP1に基づき、例えば、瞬時風速V_inst=V2の場合に、現在の高度H_curにおいてE_inst>E_confとなる場合は、散布領域の偏差Eが最大許容偏差E_conf以下となるように、現在の高度H_curに対して、高度を下げた高度調整値H_compを算出し設定する。そして、制御部110は、現在の高度H_curから高度調整値H_compまで無人飛行体100の高度を低下させる。
図18において、H_max、H_minは散布作業における高度制限の範囲を表すもので、H_maxが最大高度、H_minが最小高度をそれぞれ示している。
【0113】
図19は、第1動作例における飛行制御を模式的に示す図である。制御部110は、現在の高度H_curにおいて、瞬時風速V_instから求めた偏差値E_instが最大許容偏差E_confを超える場合、E_inst≦E_confとなるような高度調整値H_compに高度を調整し、無人飛行体100の高度を下げる制御を行う。これにより、作業領域に風がある場合であっても、散布対象TGに対して、散布物が許容偏差範囲内に収まるにように散布され、ユーザが想定した散布作業を適切に実行できる。
【0114】
図20は、第1動作例における散布作業の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図21は、第1動作例における高度調整に関する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0115】
散布作業を行う場合、端末50の処理部51は、ユーザからの作業領域を指定する操作入力を受け付け、作業領域TAの情報を無人飛行体100に送信し、無人飛行体100の作業領域TAを設定する(S101)。無人飛行体100の制御部110は、作業領域TAの設定情報に従い、無人飛行体100を飛行させて作業開始位置(スタート位置)PSに移動させる(S102)。端末50の処理部51は、ユーザからの許容偏差範囲を指定する操作入力を受け付け、許容偏差範囲ERの情報を無人飛行体100に送信し、作業領域TAにおける許容偏差範囲ERを設定する(S103)。許容偏差範囲ERは、最大許容偏差E_confを含むものとする。
【0116】
無人飛行体100の制御部110は、現在の風速情報を取得し、風速に合わせて高度調整値を算出する処理を実行する(S104)。高度調整値の算出処理において、制御部110は、風速風向計190の出力結果に基づき、現在の瞬時風速V_instを測定する(S1041)。続いて制御部110は、瞬時風速V_instによる偏差値E_instを算出する(S1042)。そして、制御部110は、偏差値E_instが最大許容偏差E_confを超えたかどうか判定する(S1043)。これにより、制御部110は、現在の高度H_curにおいて許容偏差範囲ER内での散布作業を実施できるかどうか判定する。偏差値E_instが最大許容偏差E_confを超えない場合(S1043:No)、制御部110は高度調整値の算出処理を終了し、現在の高度H_curを維持する。一方、偏差値E_instが最大許容偏差E_confを超えた場合(S1043:Yes)、制御部110は、偏差パラメータに基づき、最大許容偏差E_conf、瞬時風速V_instから、高度調整値H_compを算出し設定する(S1044)。
【0117】
制御部110は、設定した高度調整値H_compに基づき、調整後の高度(H_comp)が高度制限を超えるかどうか判定する(S105)。例えば、制御部110は、高度調整値H_compが最大高度H_max又は最小高度H_minを超えるかどうか判定する。調整後の高度が高度制限を超えない場合(S105:No)、制御部110は、設定した高度調整値H_compに従って、調整後の高度(H_comp)まで無人飛行体100を移動させ、散布作業を実行する(S106)。この場合、制御部110は、無人飛行体100を現在の高度H_curから高度調整値H_compまで降下させることになる。無人飛行体100の高度を下げる場合、制御部110は、高度に応じた散布量となるように、単位時間の散布量を削減する。散布物の散布量は、高度によって適切な散布量が決定され、高度が高い場合は散布量が多く、高度が低い場合は散布量が少なくなるように、例えば高度に対して線形に散布量を変化させる。なお、瞬時風速V_instによる偏差値E_instが最大許容偏差E_confを超えない場合は、現在の高度H_curを維持することになり、高度調整値H_comp=H_curとなる。
【0118】
なお、制御部110は、現在の高度H_curにおいて瞬時風速V_instによる偏差値E_instが最大許容偏差E_conf以下の場合、高度制限の最大高度H_maxを超えない範囲で、高度を上昇させる制御を行ってよい。また、制御部110は、高度H_curが最大高度H_max以下、かつ偏差値E_instが最大許容偏差E_conf以下の範囲で、できる限り高度を高くするよう高度制御を行ってよい。現在の高度H_curが最大高度H_max以下であり、高度上昇が可能な場合、制御部110は、無人飛行体100の高度を上昇させ、高度に応じた散布量となるように、単位時間の散布量を増加する。
【0119】
また、制御部110は、散布作業の飛行中に、所定時間間隔で常時瞬時風速V_instを取得し、取得した瞬時風速V_instに応じて、偏差値E_instが最大許容偏差E_confを超えない範囲で所定時間間隔で常時無人飛行体100の高度調整を行ってよい。この場合、無人飛行体100は、現在の風速に応じて高度を変化させながら、散布作業を実行する。
【0120】
そして、制御部110は、散布作業を行いながら、作業終了位置(エンド位置)PEに到達したかどうか判定する(S107)。作業終了位置PEまで到達していない場合(S107:No)、制御部110は、ステップS104に戻って高度調整値の算出処理を行い、ステップS104〜S107の処理を繰り返す。作業終了位置PEに到達した場合(S107:Yes)、制御部110は、散布作業の処理を終了し、飛行終了位置まで無人飛行体100を移動させる。
【0121】
調整後の高度が高度制限を超える場合(S105:Yes)、制御部110は、端末50に作業中断提示命令を送信し、端末50の処理部51は、作業中断提示命令に従い、表示部54に作業中断の問合せ表示を表示し、ユーザに作業中断を提示する(S108)。そして、処理部51は、ユーザからの作業中断を指示する操作入力を受け付け、散布作業を中止するかどうか判定する(S109)。制御部110は、端末50からの作業中止指示を受け付け、散布作業を中止しない場合(S109:No)、ステップS104に戻って高度調整値の算出処理を行い、ステップS104〜S107の処理を繰り返す。一方、散布作業を中止する場合(S109:Yes)、制御部110は、端末50からの作業中止指示に従って散布作業の処理を中止し、飛行終了位置まで無人飛行体100を移動させる。
【0122】
なお、制御部110は、風速情報に加えて風向情報を取得し、風速及び風向に応じて飛行体の高度を調整してよい。
【0123】
上述した第1動作例では、散布作業を行う際の作業領域の風情報として、風速情報を取得し、風速に対応する散布領域の偏差が許容最大誤差を超える場合に、飛行体の高度を下げる制御を行う。このように、本例では、作業領域の風速に応じて高度を調整することによって、散布領域を調整し、風の影響を削減する。これにより、現在の風速における散布領域の偏差を、許容最大誤差の範囲内に収めることができ、適切な散布作業を実施できる。また、高度を下げた場合に散布量を減少させるなど、高度に応じて散布量を調整することにより、効率の良い散布を実施できる。また、散布領域の偏差が許容最大誤差の範囲内であり、可能な場合は、高度を上げる制御を行い、散布量を増加させることにより、作業効率を向上できる。以上のように、本例によれば、適切で効率の良い散布作業を実現することができる。
【0124】
(飛行位置制御の第2動作例)
次に、本開示に係る飛行位置制御の第2動作例を説明する。なお、前述した第1動作例と同様の処理については説明を省略し、第1動作例と異なる処理を中心に説明する。
【0125】
図22は、第2動作例における散布作業の作業領域と散布領域の一例を示す図である。制御部110は、第1動作例と同様、散布作業の作業領域TA、作業開始位置(スタート位置)PS、作業終了位置(エンド位置)PE、飛行経路FR、許容偏差範囲ER、使用する散布物の種別と噴射ノズルの種別、散布物ノズルと農薬の組合せに対応する偏差パラメータを設定する。
【0126】
作業領域TAに風WDがある場合、例えば、散布物は散布領域SA1のように風下方向にずれて散布され、許容偏差範囲ERを超えてしまい、適切な散布作業が達成できないことが生じ得る。そこで、本例では、無人飛行体100の周囲の風速に応じて作業開始位置PS、作業終了位置PEを移動させ、この飛行位置の制御によって、散布領域が許容偏差範囲ERを超えないようにする。図示例では、作業開始位置をPS0からPSaに、作業終了位置をPE0からPEaに、飛行位置を風上方向に移動させて飛行経路FRを算出し、新たな飛行経路FRによって散布作業を行う。この場合、散布物は散布領域SA2のように風上方向に移動した位置に散布され、許容偏差範囲ERの中に納まるため、適切な散布作業を実行できる。
【0127】
制御部110は、風情報として、例えば風速風向計190の検出結果に基づき、無人飛行体100の周囲の風速と風向を測定し、所定時間内の平均風速情報、平均風向情報を取得する。なお、制御部110は、他の測定器や装置から所定期間の平均の風速、風向等の風情報を取得してよい。
【0128】
図23は、風情報の一例として平均風速を求める場合の処理を説明する図である。図示例では、時間経過に伴って変動する風速Vの測定結果を示しており、所定時間内における平均風速V_aveを取得する。平均風速V_aveは、例えば、1〜5min程度の期間の風速の平均値を求める、或いは、作業開始位置から作業終了位置までの散布作業に要する時間の風速の平均値を求めることにより、算出できる。制御部110は、例えば、5分前から現在時刻までの5minの期間において、風速の平均値を算出することで、平均風速V_aveを求めてよい。また、制御部110は、所定時間内の平均風速V_aveとともに、平均風向A_aveを取得する。
【0129】
図24は、風速Vに対する散布領域の偏差Eの特性の一例を示す図である。
図25は、平均風速V_aveのときの偏差をゼロにシフトさせた場合の風速Vに対する散布領域の偏差Eの特性の一例を示す図である。
図24に示す偏差パラメータのように、例えば風速Vc1のときの偏差Eが、あらかじめ設定した許容偏差範囲ERに対応する最大許容偏差E_confであるとする。ここで、測定した平均風速V_aveのときの偏差をゼロ(E=0)にシフトさせると、散布領域の偏差Eの特性は
図25のようになり、風速Vc2のときの偏差Eが最大許容偏差E_confとなる。この場合、Vc1<Vc2であり、最大許容偏差E_confに対応する風速が大きくなり、作業開始位置の移動前よりも大きな風速まで散布領域の偏差Eを許容できるようになる。ここで、平均風速V_aveのときの風の影響による偏差をE_aveとすると、ゼロシフト後の風速V=0のときの偏差は−E_aveとなる。散布領域の偏差Eは、散布位置を移動させることによってシフトさせることができる。
【0130】
図26は、平均風速V_aveに応じた作業開始位置の移動例を示す図である。
図27は、作業開始位置の移動後の風速Vに対する散布領域の偏差Eの特性の一例を示す図である。制御部110は、
図26に示すように、移動方向を−A_ave、移動距離をE_aveとして、風向とは逆方向に作業開始位置をPS0からPSaに移動させることによって、平均風速V_ave、平均風向A_aveのときの偏差Eを相殺し、E=0とすることができる。制御部110は、作業開始位置の移動に伴い、
図27に示す偏差パラメータのように、風速Vに対する散布領域の偏差Eの特性において、許容偏差範囲ERに対応する最大許容偏差をE_maxに設定する。この場合、E_max=E_conf+E_aveとなる。なお、制御部110は、風速が0となったときに偏差Eが許容偏差範囲ERを超えないように、E_aveと≦E_maxの範囲で作業開始位置の移動を制御する。
【0131】
次に、第2動作例における作業開始位置の移動後の飛行位置制御について説明する。制御部110は、第1動作例と同様、現在の瞬時風速V_instを取得し、瞬時風速V_instに対する偏差値E_instを算出し、散布物の散布領域の偏差Eを判定する。
【0132】
図28は、作業開始位置の移動後の風速毎の高度Hに対する偏差Eの特性の一例を示す図である。制御部110は、
図28の特性図にて示される偏差パラメータに基づき、求めた偏差値E_instが、あらかじめ設定した許容偏差範囲ERに対応する最大許容偏差E_maxを超えるかどうか判定する。ここで、
図28は、例えば農薬IとノズルBの組合せの場合の偏差パラメータP1を示しているものとする。制御部110は、偏差パラメータP1に基づき、例えば、瞬時風速V_inst=V2の場合に、現在の高度H_curにおいてE_inst≦E_maxであるかどうか判定する。
【0133】
図示例では、瞬時風速V_instの影響による偏差値E_instが、作業開始位置の移動前の最大許容偏差E_confを超える一方、作業開始位置の移動後の最大許容偏差E_maxは超えない状態であり、制御部110は、高度調整を行うことなく現在の高度H_curを維持する。なお、偏差値E_instが最大許容偏差E_maxを超えて、E_inst>E_maxとなる場合、制御部110は、第1動作例と同様に、散布領域の偏差Eが最大許容偏差E_max以下となるように、現在の高度H_curから高度調整値H_compまで無人飛行体100の高度を低下させる。
【0134】
図29は、第2動作例における飛行制御を模式的に示す図である。制御部110は、所定時間内の平均風速V_ave、平均風向A_aveを取得し、平均風速V_ave、平均風向A_aveに応じて作業開始位置を移動させる制御を行う。これにより、作業領域に風がある場合であっても、現在の高度H_curを維持したまま、散布対象TGに対して、散布物が許容偏差範囲内に収まるにように散布され、ユーザが想定した散布作業を適切に実行できる。
【0135】
図30は、第2動作例における散布作業の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図31は、第2動作例における作業開始位置移動に関する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図32は、第2動作例における高度調整に関する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図30において、第1動作例と同様の手順については同一符号を付している。
【0136】
散布作業を行う場合、端末50の処理部51は、ユーザからの作業領域を指定する操作入力を受け付け、作業領域TAの情報を無人飛行体100に送信し、無人飛行体100の作業領域TAを設定する(S101)。無人飛行体100の制御部110は、作業領域TAの設定情報に従い、無人飛行体100を飛行させて作業開始位置(スタート位置)に移動させる(S202)。作業開始位置への移動処理において、制御部110は、無人飛行体100を作業高度まで上昇させる(S2021)。そして、制御部110は、ユーザ指定の作業ルートとして、指定された作業領域TAに適応する飛行経路FRを算出する(S2022)。
【0137】
また、制御部110は、風速風向計190の出力結果に基づき、所定時間内の平均風速V_ave、平均風向A_aveを測定する(S2023)。続いて制御部110は、所定時間内の平均風速V_aveによる偏差E_aveを算出する(S2024)。次に、制御部110は、移動方向を−A_ave、移動距離をE_aveとして、無人飛行体100の高度を保ちながら、作業開始位置をPS0からPSaに移動させることにより、散布作業のスタート位置の調整を行う(S2025)。そして、制御部110は、無人飛行体100を新しい作業開始位置(スタート位置)PSaまで移動させる(S2026)。
【0138】
次に、端末50の処理部51は、ユーザからの許容偏差範囲を指定する操作入力を受け付け、許容偏差範囲ERの情報を無人飛行体100に送信し、作業領域TAにおける許容偏差範囲ERを設定する(S103)。許容偏差範囲ERは、作業開始位置の移動後の最大許容偏差E_maxを含むものとする。
【0139】
無人飛行体100の制御部110は、現在の風速情報を取得し、風速に合わせて高度調整値を算出する処理を実行する(S204)。高度調整値の算出処理において、制御部110は、現在の瞬時風速V_instを測定し(S2041)、瞬時風速V_instによる偏差値E_instを算出し(S2042)、偏差値E_instが最大許容偏差E_maxを超えたかどうか判定する(S2043)。これにより、制御部110は、現在の高度H_curにおいて許容偏差範囲ER内での散布作業を実施できるかどうか判定する。偏差値E_instが最大許容偏差E_maxを超えない場合(S2043:No)、制御部110は高度調整値の算出処理を終了し、現在の高度H_curを維持する。一方、偏差値E_instが最大許容偏差E_maxを超えた場合(S2043:Yes)、制御部110は、偏差パラメータに基づき、最大許容偏差E_max、瞬時風速V_instから、高度調整値H_compを算出し設定する(S2044)。
【0140】
散布作業時の高度調整に関する処理は、第1動作例と同様であり、制御部110は、ステップS105〜S109の処理を実行し、瞬時風速V_instに応じて高度調整を行う。制御部110は、飛行経路FRを飛行して作業終了位置PEaに到達するまで散布作業を行う。作業終了位置PEaに到達した場合(S107:Yes)、制御部110は、散布作業の処理を終了し、飛行終了位置まで無人飛行体100を移動させる。
【0141】
なお、制御部110は、風向情報のみを取得し、風向に応じて所定範囲で作業開始位置を調整してよい。また、制御部110は、最大許容偏差E_conf又はE_maxを超えない範囲で、最大高度H_max以下の範囲内で飛行体の高度を上げる制御を行ってよい。
【0142】
上述した第2動作例では、散布作業を行う際の作業領域の風情報として、風速情報及び風向情報を取得し、所定期間の平均風速及び平均風向に応じて、散布作業の開始位置を移動させる制御を行う。また、作業開始位置の移動後に、現在の風速情報を取得し、風速に対応する散布領域の偏差が許容最大誤差を超える場合に、飛行体の高度を下げる制御を行う。このように、本例では、風速及び風向に応じて作業開始位置の調整することによって、散布領域を調整し、風の影響を削減する。これにより、現在の風速における散布領域の偏差を、許容最大誤差の範囲内に収めることができ、適切な散布作業を実施できる。また、作業領域の風速に応じて高度を調整することによって、散布位置の調整後に散布領域を微調整し、風の影響を削減する。これにより、効率の良い散布作業を実施できる。以上のように、本例によれば、適切な散布作業を維持しながら、散布作業の効率を向上させることができる。
【0143】
本実施形態によれば、風速情報、風向情報等の風情報を取得し、散布作業を行う際の作業領域の風速、風向に基づき、飛行体の飛行高度、散布作業の開始位置などの飛行位置を制御できる。これにより、現在の作業領域の風の状況において、風の影響を低減し、散布領域の偏差を許容偏差以内に収めることができ、適切な散布作業を実行できる。飛行体の飛行高度、散布作業の開始位置、散布時の飛行経路等を調整することによって、散布作業の効率を向上できる。
【0144】
本実施形態によれば、作業領域における風速に対する散布領域の偏差が最大許容偏差を超える場合に、飛行体の高度を下げることによって、散布作業時の風の影響を低減できる。散布領域の偏差が最大許容偏差を超えない範囲で、飛行体の高度を上げることによって、作業効率を向上できる。所定時間間隔で風速情報を常時取得し、風速に応じて所定時間間隔で常時飛行体の高度を調整することによって、適切な散布作業を常に維持できる。作業領域における風速及び風向に対する散布領域の偏差に応じて、飛行体による散布作業の開始位置を変更することによって、散布作業時の風の影響を低減できる。
【0145】
なお、上記実施形態において、飛行制御方法におけるステップを実行する情報処理装置は、無人飛行体100、端末50のいずれかに有する例を示したが、他のプラットフォームにおいて情報処理装置を有し、飛行制御方法におけるステップを実行してよい。
【0146】
以上、本開示について実施形態を用いて説明したが、本開示に係る発明の技術的範囲は上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上述した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載からも明らかである。
【0147】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現可能である。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「先ず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。