(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0016】
1. 第1実施形態
まず、第1実施形態に係る試料ホルダーについて、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る試料ホルダー100を含む電子顕微鏡1の構成を示す図である。
図1では、試料ホルダー100によって試料Sが試料室2に導入された状態を図示している。
【0017】
電子顕微鏡1は、例えば、透過電子顕微鏡(TEM)である。電子顕微鏡1は、本実施形態に係る試料ホルダー100を含む。
【0018】
電子顕微鏡1は、さらに、電子源11と、集束レンズ12と、対物レンズ13と、試料
位置決め装置14と、中間レンズ15と、投影レンズ16と、撮像装置17と、エネルギー分散型X線分光分析装置(以下「EDS」ともいう)20,30を含む。
【0019】
電子源11は、電子線EBを発生させる。電子源11は、陰極から放出された電子を陽極で加速し電子線EBを放出する電子銃である。
【0020】
集束レンズ12は、電子源11で発生した電子線EBを集束して試料Sに照射するためのレンズである。集束レンズ12は、図示はしないが、複数のレンズを含んで構成されていてもよい。
【0021】
対物レンズ13は、集束レンズ12の後段に配置されている。対物レンズ13は、試料Sを透過した電子線EBで結像するための初段のレンズである。対物レンズ13は、図示はしないが、ポールピースを有しており、ポールピースの上極とポールピースの下極との間に磁場を発生させて電子線EBを集束させる。
【0022】
試料位置決め装置(試料ステージ)14には、試料ホルダー100が装着される。試料位置決め装置14は、試料ホルダー100が挿入される試料ホルダー装着孔4を有する円筒状の試料ホルダー装着部材を有している。試料位置決め装置14は、試料ホルダー100が保持している試料Sをポールピースの上極と下極との間に位置させる。
【0023】
試料位置決め装置14は、試料室2において試料ホルダー100に保持された試料Sの位置決めを行う。試料位置決め装置14は、試料ホルダー100を移動および静止させることができる。試料位置決め装置14は、試料Sを水平方向(電子線EBの進行方向に対して直交する方向)や鉛直方向(電子線EBの進行方向に沿う方向)に移動させることができる。試料位置決め装置14は、さらに、試料Sを傾斜させることができる。試料位置決め装置14は、ポールピースの横から試料ホルダー100(試料S)を挿入するサイドエントリーステージを構成している。
【0024】
中間レンズ15および投影レンズ16は、対物レンズ13によって結像された像をさらに拡大し、撮像装置17に結像させる。電子顕微鏡1では、対物レンズ13、中間レンズ15、および投影レンズ16によって、結像系が構成されている。
【0025】
撮像装置17は、結像系によって結像された透過電子顕微鏡像(TEM像)を撮影する。撮像装置17は、例えば、CCD(Charge−Coupled Device)カメラやCMOS(Complementary MOS)カメラ等のデジタルカメラである。
【0026】
EDS20およびEDS30は、電子線EBが照射されることにより試料Sから発生した特性X線を検出する。EDS20,30は、半導体検出器(X線検出器の一例)を有している。半導体検出器としては、例えば、シリコンドリフト検出器(SDD)、Si(Li)検出器等を用いることができる。
【0027】
半導体検出器にX線が取り込まれると、検出器内でX線のエネルギーの大きさに応じた電荷が発生し、この電荷が電界効果型トランジスタによって電圧変化に変換される。半導体検出器の出力信号(出力パルス)は、多重波高分析器(図示せず)に送られる。多重波高分析器(マルチチャンネルアナライザー)は、複数のチャンネルを持った波高分析器であり、半導体検出器の出力信号(出力パルス)をX線のエネルギー毎に計数する。この計数結果から、EDSスペクトル(横軸にX線のエネルギー、縦軸にX線のカウント数)を生成することができる。
【0028】
図2は、試料ホルダー100の先端部を模式的に示す斜視図である。なお、
図2には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。
【0029】
試料ホルダー100は、試料Sを試料室2に導入するためのものである。試料ホルダー100は、シャフト部110と、フレーム120と、試料台130と、複数の遮蔽板140,142,144と、を含む。
【0030】
シャフト部110は、棒状の部材である。シャフト部110は、試料ホルダー装着孔4(
図1参照)に試料室2内を気密に保った状態で移動可能に装着される。具体的には、図示はしないが、シャフト部110の外周面には溝が周設されており、この溝にOリングが装着されている。このOリングは、試料ホルダー装着孔4の内面と接して、シャフト部110とホルダー装着部材との間を気密に封止している。また、Oリングは、シャフト部110の移動に伴って試料ホルダー装着孔4内を摺動する。これにより、シャフト部110は、試料ホルダー装着孔4に試料室2内の気密に保った状態で移動可能に装着されることができる。図示の例では、シャフト部110の軸の方向は、X軸方向である。
【0031】
電子顕微鏡1では、試料ホルダー装着孔4内で、シャフト部110をシャフト部110の軸(図示の例ではX軸に平行な軸)まわりに回転させることにより、試料台130(試料S)を傾斜させることができる。
【0032】
フレーム120は、シャフト部110の先端に設けられている。フレーム120は、Z軸方向から見て、試料台130を囲むように設けられている。フレーム120は、第1部分122と、第2部分124と、第3部分(ブリッジ)126と、を有している。
【0033】
フレーム120の第1部分122および第2部分124は、シャフト部110の軸方向(X軸方向)に延在している。第1部分122は試料台130の−Y軸方向側に設けられており、第2部分124は試料台130の+Y軸方向側に設けられている。すなわち、試料台130は、第1部分122と第2部分124との間に配置されている。
【0034】
フレーム120の第3部分126は、Y軸方向に延在しており、第1部分122の先端部(+X軸方向の先端)と第2部分124の先端部(+X軸方向の先端)を接続している。第3部分126は、試料台130の+X軸方向側に設けられている。フレーム120の第3部分126は、機械的強度を得るために設けられている。
【0035】
試料台130は、フレーム120に取り付けられている。試料台130は、試料Sを保持するための部材である。試料台130には、試料Sが固定される。試料台130は、例えば、試料Sが載置される載置面を有している。試料Sは、例えば、板バネ(図示せず)によって試料台130(載置面)に固定される。
【0036】
試料台130とフレーム120とは、軸部材150,152で接続されている。軸部材150,152は、試料台130の傾斜軸(回転軸)となる。軸部材150は、フレーム120の第1部分122から試料台130に向かって延出している。軸部材152は、フレーム120の第2部分124から試料台130に向かって延出している。第1軸部材150と第2軸部材152とで試料台130を挟み込んで支持することにより、試料台130を、軸部材150,152を軸として傾斜(回転)可能に支持することができる。
【0037】
試料台130にはアーム160が接続されており、アーム160はレバー162に連結されている。レバー162がY軸に平行な軸まわりに回転することにより、レバー162にアーム160を介して接続された試料台130が軸部材150,152を回転軸として回転する。レバー162は、図示はしないが、シャフト部110内に設けられた送りねじ
等を介してモーター(駆動部)に接続されている。試料ホルダー100では、前記駆動部の駆動により、レバー162およびアーム160を介して試料台130を傾斜させ、試料台130に固定された試料Sを傾斜させることができる。
【0038】
遮蔽板140は、フレーム120の第1部分122に取り付けられている。遮蔽板142は、フレーム120の第3部分126に取り付けられている。遮蔽板144は、フレーム120の第2部分124に取り付けられている。遮蔽板140,142,144は、ネジ止めによってフレーム120に取り付けられていてもよいし、接着剤などでフレーム120に接着されていてもよい。
【0039】
また、遮蔽板140,142,144は、着脱可能に構成されていてもよい。これにより、測定対象となる試料Sの材質に応じて、遮蔽板140,142,144の材質を変えることができる。試料Sの材質に応じて遮蔽板140,142,144の材質を変えることで、例えば、遮蔽板140,142,144に起因するスペクトルのピークが検出対象となる試料Sの元素のピークに影響を与えること(例えばピークが重なること)を防ぐことができる。
【0040】
遮蔽板140,142,144は、一体に構成されていてもよいし、互いに独立していてもよい。遮蔽板140,142,144の材質は、X線を遮蔽することができれば特に限定されない。例えば、遮蔽板140,142,144の材質は、銅などの金属である。
【0041】
図3〜
図5は、試料ホルダー100の試料台130(試料S)を試料室2に導入した状態を模式的に示す図である。なお、
図3は、試料ホルダー100およびEDS20,30を光軸OAに沿った方向から見た図である。
図4および
図5は、試料ホルダー100およびEDS20,30を光軸OAに直交する方向から見た図である。なお、
図3では、便宜上、試料ホルダー100およびEDS20,30以外の部材については図示を省略している。また、
図4および
図5では、便宜上、試料ホルダー100、対物レンズ13、およびEDS20,30以外の部材については図示を省略している。
【0042】
図3に示すように、試料台130が試料室2に導入された状態では、試料S(試料台130)の−Y軸方向側に半導体検出器22が位置し、試料S(試料台130)の+X軸方向側に半導体検出器32が位置する。すなわち、試料S(試料台130)から見て、半導体検出器22はシャフト部110の軸方向と直交する方向に位置し、半導体検出器32はシャフト部110の軸方向に位置している。
【0043】
半導体検出器22の前方には、
図4に示すように、コリメータ24が配置されている。同様に、半導体検出器32の前方には、
図5に示すように、コリメータ34が配置されている。コリメータ24およびコリメータ34は、試料S以外からのX線を遮蔽するために設けられている。
【0044】
対物レンズ13は、
図4および
図5に示すように、ポールピースの上極13aおよびポールピースの下極13bを有している。試料台130が試料室2に導入されると、試料台130はポールピースの上極13aとポールピースの下極13bとの間の空間に配置される。ポールピースの下極13bには、下極13bでのX線の発生を抑えるためのキャップ13cが設けられているが、キャップ13cによってX線の発生を完全に抑えることは難しい。また、キャップ13cの隙間からX線が放出される場合もある。
【0045】
図4に示すように、試料台130(試料S)が試料室2に導入されると、遮蔽板140は、ポールピースの下極13bと半導体検出器22との間に配置される。遮蔽板140は、ポールピースの下極13bで反射されて半導体検出器22に向かうX線、および下極1
3bで発生し半導体検出器22に向かうX線の経路に配置される。例えば、半導体検出器22(検出面)から見て、ポールピースの下極13bが隠れるように、遮蔽板140が配置される。
【0046】
遮蔽板140は、フレーム120(第1部分122)からポールピースの下極13b側に突出している。試料台130をX軸まわりに傾斜させない状態において、遮蔽板140は、フレーム120から対物レンズ13の光軸OAに沿って(光軸OAに平行に)突出している。図示の例では、遮蔽板140は、フレーム120からZ軸に沿って突出している。遮蔽板140は、例えば、試料台130を傾斜させない状態において、試料台130の載置面(光軸OAに直交する面)に対して垂直になるようにフレーム120に取り付けられている。遮蔽板140の突出方向の長さは、フレーム120の厚さ(Z軸方向の大きさ)に比べて、大きい。
【0047】
図5に示すように、試料台130(試料S)が試料室2に導入されると、遮蔽板142は、ポールピースの下極13bと半導体検出器32との間に配置される。遮蔽板142は、ポールピースの下極13bで反射されて半導体検出器32に向かうX線、および下極13bで発生し半導体検出器32に向かうX線の経路に配置される。例えば、半導体検出器32(検出面)から見て、ポールピースの下極13bが隠れるように、遮蔽板142が配置される。
【0048】
遮蔽板142は、フレーム120(第3部分126)からポールピースの下極13b側に突出している。遮蔽板142は、フレーム120から対物レンズ13の光軸OAに対して傾いた方向に突出している。遮蔽板142は、フレーム120から光軸OAから遠ざかる方向に突出している。図示の例では、遮蔽板142は、フレーム120からZ軸に対して傾いた方向に突出している。遮蔽板142は、例えば、試料台130を傾斜させない状態において、試料台130の載置面(光軸OAに直交する面)に対して傾斜するようにフレーム120に取り付けられている。遮蔽板142の突出方向の長さは、フレーム120の厚さ(Z軸方向の大きさ)に比べて、大きい。
【0049】
試料台130に固定された試料Sに電子線が照射されると、試料Sの下方からX線の制動放射(電子が試料中の原子核の電場により加速度を受けて電磁波(X線)を放射する現象)が起こる。制動放射によるX線がポールピースの下極13bで反射されて半導体検出器22に向かうと、遮蔽板140で遮蔽される。同様に、制動放射によるX線がポールピースの下極13bで反射されて半導体検出器32に向かうと、遮蔽板142で遮蔽される。
【0050】
また、試料Sに電子線が照射されると、電子が試料S内で散乱されて散乱電子が発生する。散乱電子がポールピースの下極13bに衝突することで、ポールピースの下極13bからX線(特性X線)が発生する。下極13bで発生して半導体検出器22に向かうX線は、遮蔽板140で遮蔽される。同様に、下極13bで発生して半導体検出器32に向かうX線は、遮蔽板142で遮蔽される。
【0051】
このように、遮蔽板140,142によって、スペクトルのバックグラウンド源となる不要なX線は遮蔽され、不要なX線が半導体検出器22,32に取り込まれることを制限することができる。
【0052】
なお、上記では、遮蔽板140が光軸OAに沿って突出している場合について説明したが、遮蔽板140が光軸OAに対して傾いた方向に突出していてもよい。また、上記では、遮蔽板142が光軸OAに対して傾いた方向に突出している場合について説明したが、遮蔽板142が光軸OAに沿って突出していてもよい。
【0053】
本実施形態に係る試料ホルダー100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0054】
試料ホルダー100では、試料台130が電子顕微鏡1の試料室2に導入された場合に、ポールピースと半導体検出器22との間に位置する遮蔽板140を含む。そのため、半導体検出器22が不要なX線を取り込むことを制限できる。
【0055】
試料ホルダー100では、試料台130が試料室2に導入された場合に、遮蔽板140は、ポールピースの下極13bと半導体検出器22との間に位置する。そのため、遮蔽板140によって、制動放射により発生しポールピースの下極13bで反射されるX線や、散乱電子がポールピースの下極13bに衝突することで発生するX線を、遮蔽することができる。これにより、半導体検出器22が不要なX線を取り込むことを制限できる。
【0056】
試料ホルダー100では、遮蔽板140は、フレーム120に取り付けられ、フレーム120からポールピースの下極13b側に突出している。そのため、遮蔽板140によって、制動放射により発生しポールピースの下極13bで反射されるX線や、散乱電子がポールピースの下極13bに衝突することで発生するX線を、遮蔽することができる。これにより、半導体検出器22が不要なX線を取り込むことを制限できる。
【0057】
電子顕微鏡1は2つの半導体検出器22,32を備え、試料ホルダー100は2つの半導体検出器22,32に対応して2つの遮蔽板(遮蔽板140、遮蔽板142)を有している。また、試料台130が試料室2に導入された場合に、遮蔽板140は、2つの半導体検出器のうちの一方(半導体検出器22)とポールピースの下極13bとの間に配置され、遮蔽板142は2つの半導体検出器のうちの他方(半導体検出器32)とポールピースの下極13bとの間に配置される。そのため、試料ホルダー100では、電子顕微鏡1が半導体検出器を2つ有する場合でも、半導体検出器が不要なX線を取り込むことを制限できる。
【0058】
試料ホルダー100では、試料台130が試料室2に導入された場合に、遮蔽板140は、対物レンズ13の光軸OAに沿って突出している。そのため、遮蔽板140を容易に形成することができ、試料ホルダー100の製造が容易である。
【0059】
試料ホルダー100では、試料台130が試料室2に導入された場合に、遮蔽板142は、対物レンズ13の光軸OAに対して傾いた方向に突出している。例えば、X線を遮蔽するために遮蔽板を長くすると、遮蔽板がポールピースの下極13bに衝突してしまう場合がある。遮蔽板142が光軸OAに対して傾いた方向に突出していることで、遮蔽板142が光軸OAに沿って突出している場合と比べて、遮蔽板142を長くしても、遮蔽板142がポールピースの下極13bに衝突することを防ぐことができる。
【0060】
電子顕微鏡1は、試料ホルダー100を含むため、半導体検出器が不要なX線を取り込むことを制限することができる。したがって、電子顕微鏡1では、装置に大きな改造を施すことなく、スペクトル中のバックグラウンドを低減させることができる。
【0061】
図6は、遮蔽板140,142,144が設けられた試料ホルダー100で取得されたEDSスペクトル(遮蔽板有り)と、遮蔽板が設けられていない試料ホルダーで取得されたEDSスペクトル(遮蔽板無し)と、を比較した図である。遮蔽板が設けられていない試料ホルダーは、遮蔽板140,142,144が設けられていない点を除いて、試料ホルダー100と同様の構成を備えている。
【0062】
図6に示すように、遮蔽板140,142,144を設けることで、ポールピースを構
成する元素であるFeおよびCoのピークが大幅に低減できた。この結果から、遮蔽板140,142,144を設けることによって、半導体検出器が不要なX線を取り込むことを制限できることがわかる。
【0063】
2. 第2実施形態
次に、第2実施形態に係る試料ホルダー200について、図面を参照しながら説明する。
図7および
図8は、第2実施形態に係る試料ホルダー200を模式的に示す斜視図である。以下、第2実施形態に係る試料ホルダーにおいて、第1実施形態に係る試料ホルダー100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、
図7および
図8では、試料ホルダーの各部材を簡略化して図示している。
【0064】
試料ホルダー200は、
図7および
図8に示すように、フレーム120が遮蔽板140と独立して、シャフト部110の軸まわりに回転可能に構成されている点で、上述した試料ホルダー100と異なる。試料ホルダー200は、電子顕微鏡と、集束イオンビーム(Focused Ion Beam、FIB)装置と、に共用可能な試料ホルダーである。
【0065】
図7は、試料ホルダー200が電子顕微鏡1の試料ホルダーとして用いられる状態を示している。
図8は、試料ホルダー200が集束イオンビーム装置の試料ホルダーとして用いられる状態を示している。集束イオンビーム装置は、試料Sに集束イオンビームを照射して、試料Sを集束イオンビームによるスパッタリングで加工する装置である。
【0066】
試料ホルダー200では、フレーム120は、試料台130を片側から支持している。フレーム120は、第2部分124のみを有しており、第1部分122および第3部分126(
図2参照)を有していない。すなわち、試料台130のフレーム120で支持されている側とは反対側は開放されている。フレーム120の第2部分124と試料台130とは、軸部材152で接続されている。すなわち、試料台130は、フレーム120の第2部分124によって片持ち支持されている。
【0067】
試料台130は、集束イオンビーム装置で用いられる試料支持メッシュ(切り欠きメッシュ、半円のメッシュ)の形状に併せて、フレーム120で支持されている側とは反対側が切りかかれている。試料台130は、フレーム120の回転に伴って回転する。
【0068】
試料ホルダー200では、試料台130は、フレーム120をシャフト部110の軸まわりに回転させることにより、
図7に示すように試料台130のフレーム120(第2部分124)で支持されている側とは反対側に遮蔽板140が位置する位置(第1位置)と、
図8に示すように、試料台130に固定された試料Sに、試料台130のフレーム120(第2部分124)で支持されている側とは反対側から集束イオンビームを照射可能な位置(第2位置)と、に移動可能である。
【0069】
遮蔽板140は、シャフト部110に固定(接続)されている。そのため、フレーム120が回転しても、遮蔽板140は回転しない。
【0070】
図7では、遮蔽板140は、試料台130のフレーム120で支持されている側とは反対側(−Y方向側)に位置している。遮蔽板140は、試料台130のフレーム120で支持されている側とは反対側の試料台130が切りかかれている部分、およびフレーム120の第1部分122および第3部分126が形成されずに開放されている部分に位置している。
【0071】
図8では、試料台130は、
図7に示す位置から、シャフト部110の軸まわりに90°回転した位置に位置している。遮蔽板140の位置は、
図7に示す位置と変わっていない。
【0072】
図9は、試料ホルダー200の試料台130(試料S)を試料室2に導入した状態を模式的に示す図である。なお、
図9では、便宜上、試料ホルダー100、対物レンズ13、およびEDS20,30以外の部材については図示を省略している。
図9では、試料台130は、
図7に示す第1位置に位置している。
【0073】
図9に示すように、遮蔽板140は、試料台130よりも半導体検出器22側に位置している。遮蔽板140は、ポールピースの下極13bと半導体検出器22との間に位置している。遮蔽板140によって、制動放射により発生しポールピースの下極13bで反射されるX線や、散乱電子がポールピースの下極13bに衝突することで発生するX線を、遮蔽することができる。
【0074】
図10は、試料ホルダー200の試料台130を集束イオンビーム装置の試料室3に導入した状態を模式的に示す図である。なお、
図10では、便宜上、試料ホルダー200以外の部材の図示を省略している。
図10では、試料台130は、
図8に示す第2位置に位置している。
【0075】
図10に示すように、試料台130は、フレーム120で支持されている側とは反対側が開放されている。そのため、試料台130に固定された試料Sに試料台130のフレーム120(第2部分124)で支持されている側とは反対側から集束イオンビームFBを照射可能である。また、フレーム120は、遮蔽板140と独立してシャフト部110の軸まわりに回転可能であるため、遮蔽板140は試料Sに照射される集束イオンビームFBを妨げない。
【0076】
試料ホルダー200は、例えば、以下の特徴を有する。
【0077】
試料ホルダー200では、フレーム120は、遮蔽板140と独立して、シャフト部110の軸まわりに回転可能に構成されている。また、試料台130は、フレーム120をシャフト部110の軸まわりに回転させることにより、試料台130のフレーム120で支持されている側とは反対側に遮蔽板140が位置する位置(第1位置)と、試料台130に固定された試料Sに試料台130のフレーム120で支持されている側とは反対側から集束イオンビームを照射可能な位置(第2位置)と、に移動可能である。そのため、試料ホルダー200を電子顕微鏡1の試料ホルダーとして用いる場合には、遮蔽板140によって、半導体検出器22が不要なX線を取り込むことを制限できる。また、試料ホルダー200を集束イオンビーム装置の試料ホルダーとして用いる場合には、遮蔽板140は試料Sに照射される集束イオンビームFBを妨げない。
【0078】
なお、
図11に示すように、試料ホルダー200において、試料台130が試料室2に導入された場合に、遮蔽板140は、ポールピースの下極13b側に突出する部分141を有していてもよい。これにより、遮蔽板140によって、半導体検出器22が不要なX線を取り込むことをより制限できる。
図10に示す例では、突出する部分141は、光軸OAに沿って突出しているが、突出する部分141は、光軸OAに対して傾いた方向に突出していてもよい。
【0079】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0080】
例えば、上述した第1実施形態では、試料ホルダー100が透過電子顕微鏡(TEM)に用いられる試料ホルダーである例について説明したが、試料ホルダー100は走査透過電子顕微鏡(STEM)に用いられる試料ホルダーであってもよいし、走査電子顕微鏡(SEM)に用いられる試料ホルダーであってもよい。また、上述した第2実施形態では、試料ホルダー200が透過電子顕微鏡(TEM)と集束イオンビーム装置との共用の試料ホルダーである例について説明したが、試料ホルダー200は走査透過電子顕微鏡(STEM)と集束イオンビーム装置との共用の試料ホルダーであってもよいし、走査電子顕微鏡(SEM)と集束イオンビーム装置との共用の試料ホルダーであってもよい。
【0081】
また、上述した第1実施形態では、電子顕微鏡1が2つの半導体検出器22,32を有し、試料ホルダー100が複数の遮蔽板140,142,144を有している場合について説明したが、例えば電子顕微鏡が1つの半導体検出器を有している場合には試料ホルダー100に設けられる遮蔽板は1つであってもよい。
【0082】
また、上述した第1実施形態では、
図3に示すように、試料台130が試料室2に導入された状態において、試料S(試料台130)の−Y軸方向側に半導体検出器22が位置し、試料S(試料台130)の+X軸方向側に半導体検出器32が位置していたが、半導体検出器22および半導体検出器32の位置はこれに限定されない。例えば、
図12に示すように、試料台130が試料室2に導入された状態において、試料S(試料台130)の−Y軸方向側に半導体検出器22が位置し、試料S(試料台130)の+Y軸方向側に半導体検出器32が位置していてもよい。この場合、遮蔽板140がポールピースの下極13bと半導体検出器22との間に位置し、遮蔽板144がポールピースの下極13bと半導体検出器32との間に位置する。
【0083】
また、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
【0084】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。