特許第6962722号(P6962722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962722
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】スライドレールのロック機構
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/06 20060101AFI20211025BHJP
   A47B 88/427 20170101ALI20211025BHJP
   A47B 88/43 20170101ALI20211025BHJP
   A47B 88/473 20170101ALI20211025BHJP
   A47B 88/49 20170101ALI20211025BHJP
   A47B 88/493 20170101ALI20211025BHJP
   A47B 88/497 20170101ALI20211025BHJP
   A47B 88/50 20170101ALI20211025BHJP
   A47B 88/919 20170101ALI20211025BHJP
   A47B 88/931 20170101ALI20211025BHJP
【FI】
   A47F3/06
   A47B88/427
   A47B88/43
   A47B88/473
   A47B88/49
   A47B88/493
   A47B88/497
   A47B88/50
   A47B88/919
   A47B88/931
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-127059(P2017-127059)
(22)【出願日】2017年6月29日
(65)【公開番号】特開2019-10141(P2019-10141A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2020年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】515118014
【氏名又は名称】サンデン・リテールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和彦
(72)【発明者】
【氏名】舘 智浩
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 検造
(72)【発明者】
【氏名】神林 伸雄
【審査官】 東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−029323(JP,A)
【文献】 特開2004−008308(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/182266(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/06
A47B 88/00 − 88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショーケース等の本体に固定される固定レールと、商品棚等の移動体に固定される移動レールと、該固定レールと該移動レールとの間に介在し該移動レールを摺動自在に移動させる中間レールと、係止操作又は係止解除操作により該移動レールの摺動を規制及び解除するロック部材とを備え、
前記ロック部材は、該固定レールに設けた係止部材と、該係止部材に係脱自在で且つ該係止部材に対する該係止解除操作により該移動レールを摺動可能にする操作部材と、該移動レールの内側に嵌め込み該操作部材を該移動レールに取り付ける基部と、該操作部材を支承する軸部とを備えたスライドレールのロック機構において、
前記操作部材又は前記基部の少なくとも一方には、前記移動レールからの前記基部の離脱を抑制する離脱抑制部材を設けた
ことを特徴とするスライドレールのロック機構。
【請求項2】
前記離脱抑制部材は、前記操作部材に設けられるとともに、該操作部材から前記移動レールの先端を跨いで該移動レールの外側に向かって延びる連結部と該連結部の先端から該移動レールの外面と間隙をおいて該移動レールの後方に向かって延在した抑制部とからなる
ことを特徴とする請求項1記載のスライドレールのロック機構。
【請求項3】
前記抑制部は前記移動レールの後方に向かうに従って該移動レールの外面に近づくよう形成した
ことを特徴とする請求項2記載のスライドレールのロック機構。
【請求項4】
前記抑制部のうち前記移動レールの外面と対向する面には該外面に向かって突出した突起を有する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載のスライドレールのロック機構。
【請求項5】
前記離脱抑制部材は、前記軸部を構成するとともに、前記基部から延び前記操作部材に回動自在に挿入された第1軸と該操作部材から延び前記移動レールに回動自在に貫通する第2軸で構成された
ことを特徴とする請求項1記載のスライドレールのロック機構。
【請求項6】
前記第2軸の先端部を大径に形成するとともに軸方向にスリットを形成した
ことを特徴とする請求項5記載のスライドレールのロック機構。
【請求項7】
前記軸部が形成される軸形成基板と、該軸形成基板と間隔をおいて配置された前記移動レールに嵌脱自在の嵌合取付体と、該軸形成基板と該嵌合取付体との間を連結する弾性の架橋部材を備えた前記基部において、
前記離脱抑制部材は、前記軸形成基板と該嵌合取付体との間に形成されたリブにて構成された
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項記載のスライドレールのロック機構。
【請求項8】
前記離脱抑制部材は、合成樹脂で形成された
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項記載のスライドレールのロック機構。
【請求項9】
前記離脱抑制部材は、前記基部、前記操作部材及び前記移動レールを貫通する軸で構成された
ことを特徴とする請求項1記載のスライドレールのロック機構。
【請求項10】
前記離脱抑制部材は、金属製のネジ部材で構成された
ことを特徴とする請求項9記載のスライドレールのロック機構。
【請求項11】
前記離脱抑制部材は、金属製のリベット部材で構成された
ことを特徴とする請求項9記載のスライドレールのロック機構。
【請求項12】
前記離脱抑制部材は、合成樹脂にて形成し、前記移動レール側を大径に形成するとともに軸方向にスリットを形成した
ことを特徴とする請求項9記載のスライドレールのロック機構。
【請求項13】
前記軸部が形成される軸形成基板と、該軸形成基板と間隔をおいて配置された前記移動レールに嵌脱自在の嵌合取付体と、該軸形成基板と該嵌合取付体との間を連結する弾性の架橋部材を備えた前記基部において、
前記離脱抑制部材は、前記軸形成基板の側面に形成され、前記移動レールに貫通する突起で構成された
ことを特徴とする請求項1記載のスライドレールのロック機構。
【請求項14】
前記突起は、前記移動レールの外面から所定の長さで突出している
ことを特徴とする請求項13記載のスライドレールのロック機構。
【請求項15】
前記突起の先端に前記移動レールの後方に向かって延びる外れ止め部を形成した
ことを特徴とする請求項14記載のスライドレールのロック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーケース等の商品棚等を移動自在とするスライドレールのロック機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスライドレールのロック機構として特許文献1に記載されたものが開示されている。
【0003】
このスライドレールのロック機構は、ラック等の本体に固定される固定レールと、本体内の移動体に固定される移動レールと、固定レールと移動体との間に介在され移動レールを摺動自在に移動させる中間レールと、係止操作又は係止解除操作により該移動レールの摺動を規制及び解除するロック部材とを備えてなるものである。
【0004】
また、ロック部材は、固定レールに設けた係止部材と、係止部材に係脱自在で且つ係止部材に対する係止解除操作により移動レールを摺動可能にする操作部材と、移動レールの内側に嵌脱自在に嵌め込んだ基部と、操作部材を支承する軸部とを備えている。
【0005】
ここで、移動体を摺動させるときは、操作部材の係止状態を解除するため、先ず、操作部材を軸部を中心に回転させる。これにより、操作部材が係止部材から外れ、移動レールの係止状態が解除されるため、移動体を前方に移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−2329035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記従来のスライドレールのロック機構では、移動体の荷重が非常に大きいときは、操作部材を手前に引き出す際、操作部材に大きな負荷がかかる。また、移動体が低温環境にあるときは、スライドレールの凍結等などにより、移動負荷が更に大きくなる。
【0008】
従って、操作部材を操作する際は、移動負荷に負けない力で操作する必要があり、勢い余って、操作部材を左右方向に引っ張ってしまうことがある。ここで、操作部材が僅かに変形する場合であっても、移動体の引出し時の衝撃により基部が外れ、また、基部を通じて移動レールに取り付けられている操作部材も同じく外れてしまうという問題点を有していた。
【0009】
特に、冷凍ショーケースの商品棚においては、その荷重及び設置環境が上記条件に当てはまり、この問題点が顕著となっていた。
【0010】
本発明の目的は、前記従来の課題に鑑み、ロック部材の基部の離脱を抑制でき、更には操作部材の離脱を抑制できるスライドレールのロック機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は前記課題を解決するため、ショーケース等の本体に固定される固定レールと、商品棚等の移動体に固定される移動レールと、固定レールと移動レールとの間に介在し移動レールを摺動自在に移動させる中間レールと、係止操作又は係止解除操作により移動レールの摺動を規制及び解除するロック部材とを備え、ロック部材は、固定レールに設けた係止部材と、係止部材に係脱自在で且つ該係止部材に対する係止解除操作により移動レールを摺動可能にする操作部材と、移動レールの内側に嵌め込み操作部材を移動レールに取り付ける基部と、操作部材を移動レールに回動自在に連結する軸部とを備えたスライドレールのロック機構において、操作部材又は基部の少なくとも一方には、移動レールからの基部の離脱を抑制する離脱抑制部材を設けた構造となっている。
【0012】
本発明によれば、離脱抑制部材によりレール部材からの基部の離脱が抑制され、また、基部の離脱抑制により、操作部材の離脱も抑制される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作部材の操作時において、基部の離脱が抑制され、また、操作部材の離脱も抑制されるから、ロック機構の分解や破損が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るスライドレールのロック機構を示す斜視図
図2】係止部材の組み立て斜視図
図3】第1実施形態に係るロック機構の要部組み立て斜視図
図4】第1実施形態に係るロック機構の要部断面図(第1図A−A線矢印方向の断面図)
図5】第1実施形態に係るロック機構の係止状態を示す側面図
図6】第1実施形態に係るロック機構の係止解除状態(操作部材を上方に向かって回転した状態)を示す側面図
図7】第1実施形態に係るロック機構の係止解除状態(操作部材を下方に向かって回転した状態)を示す側面図
図8】第1実施形態に係るロック機構の操作部材を手前に向かって引き出した状態を示す側面図
図9】第1実施形態に係るロック機構の作用を説明する平面図
図10】第1実施形態に係る離脱抑制部材の第1変形例を示す平面図
図11】第1実施形態に係る離脱抑制部材の第2変形例を示す平面図
図12】第2実施形態に係るロック機構の要部組み立て斜視図
図13】第2実施形態に係るロック機構の要部断面図
図14】第2実施形態に係る離脱抑制部材の変形例を示す平面図
図15】第2実施形態に係る離脱抑制部材の変形例の要部断面図
図16】第3実施形態に係るロック機構の要部斜視図
図17】第3実施形態に係るロック機構の要部断面図
図18】第4実施形態に係るロック機構の要部組み立て斜視図
図19】第4実施形態に係るロック機構の要部断面図
図20】第5実施形態に係るロック機構の要部断面図
図21】第6実施形態に係るロック機構の要部断面図
図22】第7実施形態に係るロック機構の要部断面図
図23】第7実施形態に係る離脱抑制部材の変形例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図11は本発明の第1実施形態を示すものである。本第1実施形態に係るスライドレールのロック機構は、従来例として掲げた特開2015−2329035号公報に記載されたスライドレールのロック機構の改良に係るものである。まず、スライドレールのロック機構の基本構成を説明する。
【0016】
スライドレール1は、図1に示すように、例えば冷凍リーチインショーケースの本体S1に固定される固定レール2と、冷凍リーチインショーケースS1の商品棚S2に固定される移動レール3と、固定レール2と移動レール3との間に介在された中間レール4とを有する。ここで、固定レール2の上下の屈曲部21と中間レール4の上下の屈曲部41との間には転動ボール(図示しない)が介在され、また、移動レール3の上下の屈曲部31と中間レール4の上下の屈曲部41との間も同じく転動ボールが介在され、これにより、中間レール4はもとより移動レール3も前後方向に摺動自在となっている。
【0017】
ロック部材5は合成樹脂にて形成されたもので、固定レール2の内面に設けた係止部材51と、係止部材51に係脱自在の操作部材52と、操作部材52を移動レール3に取り付ける基部53と、操作部材52を回動可能に支承する軸部54とから構成される。
【0018】
係止部材51は、図2に示すように、上下に延びる板で形成されたもので、外方向に突出した嵌合突起51cを上下に有し、この嵌合突起51cを固定レール2の上下嵌合穴22に嵌合している。また、係止部材51の上下方向略中央には円形の嵌合穴51bを有し、この嵌合穴51bに固定レール2の嵌合突起23が嵌まり込んでいる。このように、嵌合突起51c,23及び嵌合穴51b,22の嵌合により係止部材51が固定レール2の内面に固定されている。更に、係止部材51の内面には略台形状のロックブロック51aが突設されている。このロックブロック51aに後述する係止突起52dが係脱保持される。
【0019】
操作部材52は、図3に示すように、移動レール3の後方に向かって延在したもので、移動レール3の先端側から後方に向かって、把持部52a、係止部52b及び回動部52cと順次延在してなる。把持部52aは操作者の手指で容易に操作可能になるよう幅広に形成されている。係止部52bは移動レール3とは反対側に突出した略台形状の係止突起52dが形成されている。ここで、操作部材52が係止状態のときは、図5に示すように、係止突起52dがロックブロック51aの後端に係止され、他方、操作部材52が係止解除状態のときは、図6及び図7に示すように、係止突起52dがロックブロック51aから離脱するようになっている。また、係止部52bには四角形状の案内溝52eを形成している。
【0020】
基部53は、軸形成基板53aと、軸形成基板53aと間隔をおいて上下に配置された嵌合取付体53bと、軸形成基板53aと嵌合取付体53bとの間を連結する架橋部材53cを備えている。
【0021】
軸形成基板53aは、図3に示すように、基部53の後端側に形成され、断面略逆コ字状に形成されている。軸形成基板53aの前面には前方に向かって延びる上下一対の弾性部材53dが形成され、各弾性部材53dの間には操作部材52が配置されている(図5〜8)。
【0022】
嵌合取付体53bは、図3に示すように、移動レール3の屈曲部31の内面に対応するよう形成され、屈曲部31の内側に嵌まり込むようになっている。また、各嵌合取付体53bには移動レール3に沿って延在された嵌合突起53eを有し、屈曲部31に形成された嵌合穴32に嵌まり込むようになっている。
【0023】
このように、嵌合取付体53bが屈曲部31に嵌まり込み、また、嵌合突起53eが嵌合穴32に嵌まり込むため、基部53が移動レール3に固定される。また、各嵌合取付体53bの先端側には、上下端を連結した薄板の案内プレート53fが形成されている。案内プレート53fの一部は操作部材52の案内溝52e内に位置し、操作部材52を操作する際、案内溝52eが案内プレート53fに沿って案内される。
【0024】
架橋部材53cは、図3に示すように、薄板状に形成され、各嵌合取付体53bの後端側と軸形成基板53aとを連結している。ここで、嵌合取付体53bの先端側及び後端側がそれぞれ薄板状の部材で連結されているため、嵌合取付体53bを移動レール3の屈曲部31に嵌め込む際、案内プレート53f、架橋部材53c及び嵌合取付体53bが共に弾性変形し、嵌合取付体53bが屈曲部31に嵌合するようになっている。
【0025】
軸部54は、図3に示すように、基部53に形成された円柱状の第1軸54aと、移動レール3の内面に形成された略円柱状の第2軸54bと、操作部材52に形成された断面円形状の貫通穴54cとからなる。第1軸54a及び第2軸54bは互いに貫通穴54cの逆方向から挿入されるとともに、第1軸54a及び第2軸54bの外径寸法は貫通穴54cの内径寸法よりも僅かに小さくし、操作部材52を回動可能に支承している。
【0026】
このように構成されたスライドレールのロック機構において、操作部材52の係止状態では、図5に示すように、操作部材52が上下の弾性部材53dにより挟持され水平状態となっており、係止突起52dがロックブロック51aの後端に係止されている。
【0027】
一方、操作部材52を係止解除操作するときは、図6及び図7の白抜き矢印に示すように、操作部材52を上方又は下方に回転させる。これにより、係止突起52dがロックブロック51aから離脱可能な位置に移動し、図8の白抜き矢印に示すように、操作部材52を前方に引き出すときは、商品棚S2が前方に移動する。
【0028】
以上、スライドレールのロック機構に基本構成を説明したが、本発明はこのロック機構に離脱抑制部材を設けたことを特徴する。
【0029】
即ち、図1及び図3に示すように、操作部材52の係止部52bに略L字状の離脱抑制部材6aを形成している。離脱抑制部材6aは移動レール3の側面に形成されたもので、操作部材52から移動レール3の先端を跨いで移動レール3の外側に向かって延びる連結部61と、連結部61の先端から移動レール3の後方に向かって延在した抑制部62とを有している。連結部61及び抑制部62は移動レール3と間隙をおいて位置し、操作部材52の回動操作の際に移動レール3と干渉しないよう設計されている。
【0030】
第1実施形態によれば、商品棚S2を引き出す際の移動荷重が非常に大きく、これに起因して、誤って、操作部材52を左右方向に引っ張ったとしても、操作部材52の左右方向への移動が、離脱抑制部材6aによって抑制される。即ち、図9(a)に示すように、操作部材52を右側方向に引っ張られたとしても、操作部材52の側面が移動レール3の内面に係止し、操作部材52の右側への移動が規制されるし、他方、図9(b)に示すように、操作部材52を左側方向に引っ張られたとしても、抑制部62が移動レール3の外面側に係止し、操作部材52の左側への移動が規制される。
【0031】
以上のように操作部材52の左右方向への移動が規制されるため、操作部材52を通じて基部53に加わる離脱負荷が抑制され、基部5の離脱はもとより、基部5の離脱に伴う、操作部材52の離脱も抑制される。
【0032】
図10は第1実施形態に係る離脱抑制部材の第1変形例を示すものである。前記離脱抑制部材6aと同一構成部分は省略し異なる構造部分のみを以下に説明する。なお、第1変形例の説明に当たり、図1図9と同一構成部分は同一符号を用いて説明する。
【0033】
前記離脱抑制部材6aの抑制部62は移動レール3の外面に平行に延在されていたが、第1変形例に係る抑制部63は移動レール3の後方に向かうに従って移動レール3の外面に近づくよう形成している。
【0034】
第1変形例に係る離脱抑制部材6bによれば、操作部材52が左側に引っ張られたとしても、二点鎖線に示すように、抑制部63と移動レール3との接触面積が大きくなり、操作部材52に対する移動抑制効果が更に大きくなる。
【0035】
図11は第1実施形態に係る離脱抑制部材の第2変形例を示すものである。前記離脱抑制部材6aと同一構成部分は省略し異なる構造部分のみを以下に説明する。なお、第2変形例の説明に当たり、図1図9と同一構成部分は同一符号を用いて説明する。
【0036】
前記離脱抑制部材6の抑制部62は移動レール3の外面に平行に延在するのみであったが、第2変形例においては、抑制部63のうち移動レール3の外面と対向する面に該外面に向かって突出した突起64を形成している。
【0037】
第2変形例に係る離脱抑制部材6cによれば、操作部材52が左側に引っ張られたとしても、突起64が直ちに移動レール3の外面に係止し、操作部材52の移動量を最小限とすることができる。
【0038】
図12及び図13は第2実施形態に係るロック機構を示すものである。前記ロック機構と同一構成部分は省略し異なる構造部分のみを以下に説明する。なお、第2実施形態の説明に当たり、図1図9と同一構成部分は同一符号を用いて説明する。
【0039】
前記第1実施形態に係る軸部54において、第2軸54bの加工が移動レール3をプレス加工して形成されるため、図4に示すように、第2軸54bの先端が半球面となっている。このため、第2軸54bの外面と操作部材52の貫通穴54cの内面との接触面積が小さくなり、第2軸54bが抜け易くなっている。このような課題に着目し第2実施形態では次のような構成を採用した。
【0040】
第2実施形態に係る軸部55は、図12及び図13に示すように、基部53から延びる第1軸55aと、操作部材52から延びる第2軸55bと、操作部材52に形成された有底の第1軸穴55cと、移動レール3に形成された第2軸穴55dとから構成している。
【0041】
ここで、操作部材52の第1軸穴55cは基部53の軸形成基板53aに対向し、第1軸55aが回動自在に挿入されている。また、操作部材52の第2軸55bは移動レール3と対向し、第2軸穴55dに回動自在に挿入されている。このように構成することにより、操作部材52が軸部55に支承され、上下方向に回動操作できるようになっている。
【0042】
第2実施形態によれば、第1軸55a及び第2軸55bが何れも円柱状で且つ先端を半球面とならないよう形成できるため、操作部材52から基部53に負荷が加わったとしても、基部53及び軸部55が移動レール3から容易に外れることがない。
【0043】
このように、第2実施形態によれば、第1軸55a及び第2軸55bによって、基部53及び操作部材52の離脱が抑制されるという機能を発揮するため、第1軸55a及び第2軸55bが離脱抑制部材6dとして構成される。
【0044】
図14及び図15は第2実施例に係る離脱抑制部材61の変形例を示すものである。前記離脱抑制部材6dと同一構成部分は省略し異なる構造部分のみを以下に説明する。なお、変形例の説明に当たり、図1図9と同一構成部分は同一符号を用いて説明する。
【0045】
前記第2実施形態に係る第2軸55bは円柱状に形成するのみであったが、変形例に係る第2軸55eは軸方向に延びるスリット55fを設けるとともに、先端を傘状に形成し第2軸穴55dの内径よりも大径に形成している。
【0046】
この変形例によれば、第2軸55eの先端側の外径が第2軸穴55dの内径よりも大きくなっているため、第2軸55eが移動レール3から外れ難くなっている。
【0047】
このように、この変形例によれば、第1軸55a及び第2軸55eによって、基部53及び操作部材52の離脱が抑制されるという機能を発揮するため、第1軸55a及び第2軸55eが離脱抑制部材6eとして構成される。
【0048】
図16及び図17は第3実施形態に係るロック機構を示すものである。前記ロック機構と同一構成部分は省略し異なる構造部分のみを以下に説明する。なお、第3実施形態の説明に当たり、図1図9と同一構成部分は同一符号を用いて説明する。
【0049】
前記第1実施形態に係る離脱抑制部材6a,6b,6cは操作部材52に形成し、また、第2実施形態に係る離脱抑制部材6d,6eは軸部55に形成しているが、第3実施形態に係る離脱抑制部材6fは基部53の軸形成基板53aと各嵌合取付体53bとの間にリブで形成されている。
【0050】
第3実施形態によれば、軸形成基板53aと各嵌合取付体53bがリブにより一体的に連結され、軸形成基板53a側の強度が補強されるため、軸形成基板53a側の変形が抑制される。これにより、操作部材52から左右方向への負荷が加わったとしても、軸部54への影響が小さく、基部53及び操作部材52の離脱が防止される。
【0051】
図18及び図19は第4実施例に係るロック機構を示すものである。前記第1実施形態と同一構成部分は省略し異なる構造部分のみを以下に説明する。なお、第4実施例の説明に当たり、図1図9と同一構成部分は同一符号を用いて説明する。
【0052】
前記各実施形態に係る軸部54,55は、2以上の軸によって構成され、また、軸の少なくとも一部は合成樹脂となっているため、軸の強度を向上させる余地がある。本実施形態に係る軸部56はその強度を向上させたものである。
【0053】
第4実施形態に係る軸部56は、基部53には貫通した第1軸穴56a、操作部材52には同じく貫通した第2軸穴56b、移動レール3には貫通したネジ穴56cを形成している。軸部56は金属製のネジ56dを有し、第1軸穴56a及び第2軸穴56bを貫通し、第3軸穴56cにネジ止め貫通している。
【0054】
第4実施形態によれば、操作部材52から変形負荷が加わったとしても、金属製のネジ56dにより軸部56の強度が高くなっているため、基部53及び操作部材52が移動レール3から離脱することがない。また、ネジ56dによる連結が強固であるため、基部53の移動レール3への取付強度が高く、例えば、嵌合突起53eと嵌合穴32との連結構造も不要とすることができるし、また、操作部材52に形成した離脱抑制部材6a,6b,6cも不要となり、ロック構造も簡単なものとなる。
【0055】
このように、第4実施形態によれば、金属製のネジ56dによって、基部53及び操作部材52の離脱が抑制されるという機能を発揮するため、ネジ56d自体が離脱抑制部材6gとして構成されている。
【0056】
図20は第5実施例に係るロック機構を示すものである。前記第1実施形態と同一構成部分は省略し異なる構造部分のみを以下に説明する。なお、第5実施例の説明に当たり、図1図9と同一構成部分は同一符号を用いて説明する。
【0057】
第5実施形態に係る軸部57は、基部53には貫通した第1軸穴57a、操作部材52には同じく貫通した第2軸穴57b、移動レール3には貫通した第3軸穴57cを順次形成し、また、各軸穴57a,57b,57cに金属製のリベット57dを貫通させ、先端を移動レール3の外面にかしめ固定したものである。
【0058】
第5実施形態によれば、操作部材52から変形負荷が加わったとしても、金属製のリベット57dにより軸部57の強度が高くなっているため、基部53及び操作部材52が移動レール3から離脱することがない。
【0059】
このように、第5実施形態によれば、金属製のリベット57dによって、基部53及び操作部材52の離脱が抑制されるという機能を発揮するため、リベット57d自体が離脱抑制部材6iとして構成されている。
【0060】
図21は第6実施例に係るロック機構を示すものである。前記第1実施形態と同一構成部分は省略し異なる構造部分のみを以下に説明する。なお、第6実施例の説明に当たり、図1図9と同一構成部分は同一符号を用いて説明する。
【0061】
第6実施形態に係る軸部58は、基部53には貫通した第1軸穴58a、操作部材52には同じく貫通した第2軸穴58b、移動レール3には貫通した第3軸穴58cを順次形成し、また、各軸穴58a,58b,58cに合成樹脂製の軸58dを貫通させている。軸58dの先端を傘状に形成し第3軸穴58cの内径よりも大径に形成し、また、軸58dの先端側には軸方向に延びるスリット58eを有している。
【0062】
この実施形態によれば、軸58dの先端側の外径が第3軸穴58cの内径よりも大きくなっているため、軸58dが移動レール3から外れ難くなっている。
【0063】
このように、この変形例によれば、軸58dによって、基部53及び操作部材52の離脱が抑制されるという機能を発揮するため、軸58dが離脱抑制部材6jとして構成されている。
【0064】
図22は第7実施例に係るロック機構を示すものである。前記第1実施形態と同一構成部分は省略し異なる構造部分のみを以下に説明する。なお、第7実施例の説明に当たり、図1図9と同一構成部分は同一符号を用いて説明する。
【0065】
前記各実施形態では基部53を移動レール3に取り付ける際、嵌合取付体53bの嵌合突起53eを移動レール3の嵌合穴32に嵌め込むようになっている。しかしながら、嵌合取付体53bが弾性の架橋部材53cを介して連結されているため、嵌合突起53eと嵌合穴32cの連結強度がその弾性の分、低くなる傾向がある。第7実施形態はこのような課題を解決するため、架橋部材53cの弾性力の影響の受けにくい軸形成基板53aに離脱抑制部材6kを形成した。
【0066】
即ち、軸形成基板53aで移動レール3と対向する部位に突起59aを形成し、また、移動レール3には突起59aが貫通する貫通穴59bを形成している。ここで、突起59aの長さ寸法は、該突起59aが貫通穴59bを貫通した際、移動レール3の外面から所定の長さに亘って突出するよう設計されている。
【0067】
第7実施形態によれば、突起59aが貫通穴59bに貫通することにより、基部53の前後方向の移動が抑制されることはもとより、突起59aが架橋部材53cの弾性力の影響を受けにくい部位に形成されているため、基部53を安定的に保持することができる。
また、突起59aの長さ寸法を大きくし、突起59aが移動レール3から所定の長さで突出している分、基部53が外部からの負荷により配置位置が多少ずれることがあっても、突起59aが貫通穴59bから抜けにくくなっている。この点でも基部53bの取付強度の向上に寄与している。
【0068】
図23は第7実施形態に係る離脱抑制部材6kの変形例を示すものである。前記離脱抑制部材6kと同一構成部分は省略し異なる構造部分のみを以下に説明する。なお、変形例の説明に当たり、図1図9と同一構成部分は同一符号を用いて説明する。
【0069】
この変形例に係る離脱抑制部材6Lは、前記突起59aの先端側に移動レール3の外面と対向し且つ移動レール3の後方に向かって延在した外れ止め部59cを有している。
【0070】
この変形例によれば、外れ止め部59cを有するため、基部53の離脱が完全に防止される。
【0071】
以上各種実施形態及び変形例を掲げたがこれに限るものではないことを言うまでもない。以下図示しないが、その他の例を掲げる。
【0072】
例えば、前記第1実施形態に係る離脱抑制部材6aは操作部材52と一体に樹脂成形しているが、離脱抑制部材6aを別体で形成した後、これを接着又はネジ止めで操作部材52に固定するようにしても良い。また、離脱抑制部材6aの抑制部62と移動レール3との対向面積を大きくとるため、抑制部62を幅広に形成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0073】
1…スライドレール、2…固定レール,3…移動レール、4…中間レール、5…ロック部材、6a,6b,6c,6d,6e,6f,6g,6h,6i,6j,6k,6L…離脱規制部材、51…係止部材、52…操作部材、53…基部、54,55,56,57,58…軸部、53a…軸形成基板、53b…嵌合取付体、53c…架橋部材、55a…第1軸、55b,55e…第2軸、55f,58e…スリット、56d…ネジ部材、57d…リベット、59a…突起、59c…外れ止め部、61…連結部、62,63…抑制部、64…突起、S1…冷凍リーチインショーケースの本体、S2…商品棚。
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