(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態における説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0020】
また、本発明の一態様には、半導体装置、記憶装置、表示装置、撮像装置、RF(Radio Frequency)タグなど、あらゆる装置がその範疇に含まれる。また、表示装置には、液晶表示装置、有機発光素子に代表される発光素子を各画素に備えた発光装置、電子ペーパー、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)などが、その範疇に含まれる。
【0021】
また、本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い表現での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)などに分類される。例えば、トランジスタのチャネル形成領域に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、金属酸化物が増幅作用、整流作用、及びスイッチング作用の少なくとも1つを有する場合、当該金属酸化物を、金属酸化物半導体(metal oxide semiconductor)、略してOSと呼ぶことができる。以下、チャネル形成領域に金属酸化物を含むトランジスタを、OSトランジスタとも表記する。
【0022】
また、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
【0023】
また、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図又は文章に示された接続関係に限定されず、図又は文章に示された接続関係以外のものも、図又は文章に記載されているものとする。ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
【0024】
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合であり、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに、XとYとが、接続されている場合である。
【0025】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイッチは、オン状態、又は、オフ状態になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。又は、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
【0026】
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅又は電流量などを大きく出来る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、XとYとが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、XとYとが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
【0027】
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)とが、本明細書等に開示されているものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場合と同様な内容が、本明細書等に開示されているものとする。
【0028】
また、異なる図面間で同じ符号が付されている構成要素は、特に説明がない限り、同じものを表す。
【0029】
また、図面上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されている場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、及び電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
【0030】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る表示システムについて説明する。
【0031】
<表示システムの構成例>
図1に、プロセッサ11、制御部12、表示部13を有する表示システム10の構成例を示す。表示システム10は、所定の映像を表示するための信号(以下、映像信号ともいう)を生成し、当該映像信号に基づいて映像を表示する機能を有するシステムである。
【0032】
プロセッサ11は、表示システム10のホストに相当し、制御部12にデータDiを出力する機能を有する。データDiは、表示部13に表示する映像に対応するデータ(以下、画像データともいう)であり、制御部12における映像信号の生成に用いられる。
【0033】
制御部12は、映像信号を生成する機能と、表示部13に表示される映像を制御する機能を有する。制御部12は半導体装置によって構成することができるため、以下、制御部12を半導体装置12ともいう。半導体装置12は、画像処理部20、駆動回路30、タイミングコントローラ40を有する。
【0034】
表示部13は、制御部12から入力される映像信号を用いて、映像を表示する機能を有する。表示部13は、複数の画素51を有する画素群50、駆動回路60を有する。
【0035】
画像処理部20は、データDiに基づいて映像信号を生成する機能を有する。画像処理部20は、データDiが入力されるプロセッサ21と、プロセッサ21と接続された補正回路22を有する。
【0036】
プロセッサ21は、画像処理部20に含まれる各種の回路の動作を制御して、映像信号を生成する機能を有する。プロセッサ21によって生成された映像信号は、信号SDとして駆動回路30に出力される。
【0037】
補正回路22は、プロセッサ21から入力されるデータDinに対して、補正処理を行う機能を有する。具体的には、補正回路22はガンマ補正を行う機能を有する。そして、補正回路22においてガンマ補正が行われたデータは、データDoutとしてプロセッサ21に出力される。これにより、プロセッサ21はガンマ補正が行われた映像信号を駆動回路30に出力することができる。
【0038】
駆動回路30は、信号SDを表示部13に供給する機能を有する。画像処理部20から駆動回路30に信号SDが入力されると、信号SDが駆動回路30から画素群50に所定のタイミングで出力される。表示部13に信号SDが入力されると、表示部13は信号SDに基づいて所定の映像を表示する。なお、駆動回路30は表示部13に設けられていてもよい。
【0039】
タイミングコントローラ40は、タイミング信号を生成する機能を有する。タイミングコントローラ40で生成されたタイミング信号は、駆動回路30が信号SDを出力するタイミングの制御や、駆動回路60が信号GSを出力するタイミングの制御などに用いられる。
【0040】
画素群50は、複数の画素51によって構成され、映像を表示する機能を有する。画素51はそれぞれ表示素子を有し、所定の階調を表示する機能を有する。複数の画素51が所定の階調を表示することにより、画素群50に所定の映像が表示される。
【0041】
画素51が有する表示素子の例としては、液晶素子、発光素子などが挙げられる。液晶素子としては、透過型の液晶素子、反射型の液晶素子、半透過型の液晶素子などを用いることができる。また、表示素子として、シャッター方式のMEMS(Micro Electro Mechanical System)素子、光干渉方式のMEMS素子、マイクロカプセル方式、電気泳動方式、エレクトロウェッティング方式、電子粉流体(登録商標)方式等を適用した表示素子などを用いることもできる。
【0042】
また、発光素子の例としては、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)、LED(Light Emitting Diode)、QLED(Quantum−dot Light Emitting Diode)、半導体レーザなどの、自発光性の発光素子が挙げられる。
【0043】
駆動回路60は、所定の画素51を選択するための信号(以下、選択信号ともいう)である信号GSを供給する機能を有する。選択信号が供給された画素51に映像信号が供給されることにより、画素51に所定の階調が表示される。
【0044】
ここで、信号SDの値と画素51に表示される階調の関係は、画素51の回路構成や表示素子の特性などの影響により、必ずしも比例関係とはならない。すなわち、信号SDが示す値が直接的に画素51の階調の値に反映されない場合がある。そのため、画素51の階調を正確に制御するためには、補正回路22においてガンマ補正を行うことにより、画素51の特性を信号SDに反映させることが好ましい。
【0045】
図2に、ガンマ補正の例を示す。
図2(A)は、補正回路22に入力されるデータDinと、補正回路22から出力されるデータDoutの関係を示すグラフである。補正回路22は、データDinにガンマ補正を施すことにより、データDoutに変換する機能を有する。
図2(A)における破線はガンマ補正を行っていない場合のグラフであり、実線はガンマ補正を行った場合のグラフの例を示す。
図2(A)の実線で示される特性を得るための具体的なガンマ補正の方法を、
図2(B)、(C)に示す。
【0046】
図2(B)は、補正回路22に入力され得るデータDinの値それぞれに対応するデータDoutの値を、予め補正回路22に格納しておき、入力されたデータDinに応じて特定の値のデータDoutを出力する方法である。この方法を用いる場合、入力データと出力データの対応を表すルックアップテーブルが、補正回路22に設けられた記憶装置に格納されている。そして、
図2(B)に示すように、入力されたデータDinそれぞれの値が、ルックアップテーブルに従って所定の値に補正され(図中の白丸から黒丸に補正)、データDoutとして出力される。以下、このようなガンマ補正をテーブル近似という。
【0047】
テーブル近似を行うためには、データDinの値とデータDoutの値を対応づけるルックアップテーブルを記憶装置に格納する必要があり、記憶装置において読み書きが行われるデータの量が比較的多くなる。そのため、記憶装置の消費電力の増加、又は面積の増大を招く場合がある。しかながら、データDinの値を個別に補正をすることができるため、精度の高いガンマ補正を行うことができる。よって、表示部13に表示される映像の品質を向上させることができる。
【0048】
一方、
図2(C)は、補正回路22に入力され得るデータDinの範囲を複数の領域に区分し、入力されたデータDinの値を各領域の近似直線から算出される値に補正する方法である。具体的には、まず、
図2(A)に示す実線を複数の領域(ここでは4つの領域A乃至D)に区分し、各領域の曲線を直線(ここでは4つの直線a乃至d)で近似する。そして、補正回路22に入力されたデータDinの値は、データDinが属する領域の近似直線に代入され、データDoutが出力される。以下、このような補正を折れ線近似という。
【0049】
なお、領域の区分数は特に限られない。区分数が多いほど補正の精度は向上し、区分数が少ないほど簡易に補正を行うことができる。
【0050】
折れ線近似はデータDoutの値を近似直線から算出する方法であるため、補正の精度は、データDinの値に応じたデータDoutの値を直接出力するテーブル近似に劣る。しかしながら、補正に必要なデータの量はテーブル近似よりも少なく、データの読み書きに要する電力を削減できるため、補正回路22の消費電力を抑えることができる。
【0051】
ここで、本発明の一態様において、補正回路22は回路構成を変更することが可能な回路であるプログラマブルロジックデバイス(PLD)を有する。PLDとしては、SPLD、CPLD、GAL、FPGAなどを自由に用いることができる。そして、PLDを再構成することにより、補正回路22において複数の種類のガンマ補正を行うことができる。これにより、例えば、テーブル近似と折れ線近似を選択的に用いることができ、映像の品質の向上と消費電力の低減を両立することができる。
【0052】
また、補正回路22に異なる種類のガンマ補正回路を独立して複数設ける場合、補正回路22の面積が増大する。しかしながら、本発明の一態様においては、PLDの再構成によって複数の種類のガンマ補正回路を実現することができるため、面積の増加を抑えることができる。
【0053】
補正回路22において2種類以上のガンマ補正を行う場合、補正回路22に設けられたPLDにはマルチコンテキスト方式を用いることが好ましい。具体的には、ガンマ補正回路の構成に対応するコンフィギュレーションデータのセットを複数用意しておき、PLDに格納するコンフィギュレーションデータのセットを切り替えることにより、ガンマ補正回路の構成を高速で切り替える方式を用いることが好ましい。
図3に、マルチコンテキスト方式を用いたPLDの構成例を示す。
【0054】
図3(A)に、複数のコンテキストを有するPLDを備えた補正回路22を示す。ここでは、PLDが2つのコンテキスト(context[0]、[1])を有する構成例を示す。PLDには、テーブル近似を行うガンマ補正回路を構成するためのコンフィギュレーションデータ(Dtab)、又は、折れ線近似を行うガンマ補正回路を構成するためのコンフィギュレーションデータ(Dlin)が、選択的に入力される。データDtabとデータDlinの選択は、マルチプレクサMUXによって行われる。
【0055】
context[0]が選択され、PLDにデータDtabが入力されると、PLDはcontext[0]を用いてテーブル近似を行うガンマ補正回路として機能する。一方、context[1]が選択され、PLDにデータDlinが入力されると、PLDはcontext[1]を用いて折れ線近似を行うガンマ補正回路として機能する。これにより、PLDが行うガンマ補正の切り替えを行うことができる。
【0056】
なお、PLDにおいて行われる複数のガンマ補正は、補正の内容が異なっていればよく、テーブル近似と折れ線近似に限られない。例えば、
図3(B)に示すように、特性の異なる2種類のテーブル近似に対応するコンフィギュレーションデータ(Dtab_a又はDtab_b)がPLDに入力される構成とすることもできる。また、
図3(C)に示すように、区分数の異なる2種類の折れ線近似に対応するコンフィギュレーションデータ(Dlin_a又はDlin_b)がPLDに入力される構成とすることもできる。また、PLDのコンテキスト数を3以上にし、PLDによって3種類以上のガンマ補正回路を構成することもできる。
【0057】
図1に示すプロセッサ11から補正回路22には、PLDのコンフィギュレーションデータに対応するデータDcon、PLDのコンテキストを選択する信号に対応する信号Scon、補正回路22が有する記憶回路に記憶されるデータに対応するデータDmemが入力される。テーブル近似に用いられるルックアップテーブルに含まれるデータは、データDmemに対応する。
【0058】
以上のように、補正回路22にPLDを設けることにより、PLDに入力されるコンフィギュレーションデータに応じて、内容の異なるガンマ補正を行うことができる。これにより、複数の種類のガンマ補正を使い分けることができ、映像の品質の向上と消費電力の低減を図ることができる。また、補正回路22の面積の削減を図ることができる。
【0059】
<補正回路の構成例>
次に、補正回路22の具体的な構成例について説明する。
図4に、補正回路22の構成例を示す。
【0060】
補正回路22は、PLD100、記憶装置160、スイッチ回路170を有する。PLD100は、データDinに対してガンマ補正を行い、データDoutとして出力する機能を有する。
【0061】
記憶装置160は、ガンマ補正に用いられるデータを記憶する機能を有する。記憶装置160に記憶されるデータDmemは、プロセッサ11から入力される。テーブル近似を行う際のルックアップテーブルなどが、データDmemとして記憶装置160に入力される。
【0062】
スイッチ回路170は、記憶装置160への電力の供給を制御する機能を有する。PLD100から入力される制御信号(信号Spc)に基づいて、記憶装置160への電力供給の有無が決定される。記憶装置160を使用しない期間においては、信号Spcによってスイッチ回路170をオフ状態とし、記憶装置160への電力の供給を停止することができる。これにより、補正回路22の消費電力を低減することができる。
【0063】
なお、記憶装置160をOSトランジスタを用いて構成することにより、記憶装置160への電力の供給が停止された期間においても、データを保持することができる。OSトランジスタを用いた記憶装置の構成例の詳細については、実施の形態2で説明する。
【0064】
PLD100は、制御回路110、アレイ120、駆動回路130、駆動回路140、入出力回路150を有する。制御回路110は、アレイ120の構成を制御する機能を有する。具体的には、制御回路110は、プロセッサ11から入力されるデータDcon、信号Sconに基づいて、PLD100の再構成の要否の判別、補正に用いるコンテキストの指定、及び駆動回路140へのコンフィギュレーションデータの送信などを行う機能を有する。
【0065】
アレイ120は、複数のプログラム可能な論理素子(LE)と、LE間に設けられたプログラム可能なスイッチ(RS)を有する。LEが有する記憶素子に格納されたデータを変更することにより、LEの機能を変更することができる。また、RSが有する記憶素子に格納されたデータを変更することにより、LE間の接続状態を変更することができる。
【0066】
なお、本明細書等において、LEの機能を制御するデータ、又はLE間の接続状態を制御するデータをコンフィギュレーションデータといい、コンフィギュレーションデータが記憶される記憶素子をコンフィギュレーションメモリという。また、コンフィギュレーションメモリに記憶されたコンフィギュレーションデータを更新することを再構成という。
【0067】
なお、コンフィギュレーションメモリをOSトランジスタを用いて構成することにより、PLDへの電力の供給が停止された期間においても、データを保持することができる。よって、PLDのパワーゲーティングを行うことができる。OSトランジスタを用いたコンフィギュレーションメモリの構成例の詳細については、実施の形態2で説明する。
【0068】
駆動回路130は、LE又はRSを選択するための信号を生成する機能を有する。駆動回路140は、制御回路110から入力されたコンテキストを選択する信号、又はコンフィギュレーションデータを、アレイ120に出力する機能を有する。コンテキストを選択する信号がアレイ120に入力されることにより、アレイ120に含まれるコンテキストの選択が行われる。また、駆動回路130によって選択されたLE又はRSにコンフィギュレーションデータが入力されることにより、PLD100の再構成が行われる。
【0069】
入出力回路150は、補正回路22とプロセッサ21の間のデータの入出力、及び、アレイ120と記憶装置160との間のデータの入出力を行う機能を有する。また、入出力回路150は、スイッチ回路170に信号Spcを出力することにより、記憶装置160への電力の供給を制御する機能を有する。
【0070】
アレイ120内に複数のコンテキスト(context[0]、[1])を構成し、それぞれのコンテキストが内容の異なるガンマ補正回路を構成する機能を有することにより、様々なガンマ補正を行う機能を有する補正回路22が構成される。
【0071】
<PLDの動作例>
次に、PLD100を用いて異なるガンマ補正を行う場合の動作例を、
図5を用いて説明する。なお、
図5にはスイッチ回路170としてトランジスタ171を用いた例を示している。また、ここでは、2つのコンテキスト(context[0]、[1])を用いてテーブル近似と折れ線近似を行う場合の動作例について説明する。
【0072】
[テーブル近似]
図5(A)に、context[0]を用いてテーブル近似を行う際のPLD100の動作例を示す。このときPLD100には、context[0]を指定する信号Sconが入力される。また、データDconとして、context[0]をテーブル近似を行う回路に再構成するためのコンフィギュレーションデータ(Dtab)が入力される。
【0073】
記憶装置160には、テーブル近似を行うためのルックアップテーブルがデータDmemとして入力され、格納される。また、トランジスタ171のゲートには、トランジスタ171をオン状態とする信号Spcが入力される。これにより、記憶装置160に電源電位VDDが供給される。
【0074】
信号Sconによってcontext[0]が選択され、PLD100にデータDtabが入力されると、PLD100が再構成され、アレイ120にブロック121、122が構成される。そして、プロセッサ21から入出力回路150を介してブロック121にデータDinが入力される。ここでブロック121は、データDinに対応するアクセス信号を、入出力回路150を介して記憶装置160に出力する。アクセス信号が入力された記憶装置160は、データDinに対応するデータDoutをルックアップテーブルによって決定し、ブロック122に出力する。そして、ブロック122から入出力回路150を介してプロセッサ21に、データDoutが出力される。これにより、プロセッサ21にテーブル近似が行われたデータを出力することができる。
【0075】
[折れ線近似]
図5(B)に、context[1]を用いて折れ線近似を行う際のPLD100の動作例を示す。このときPLD100には、context[1]を指定する信号Sconが入力される。また、データDconとして、context[1]を折れ線近似を行う回路に再構成するためのコンフィギュレーションデータ(Dlin)が入力される。
【0076】
信号Sconによってcontext[1]が選択され、PLD100にデータDlinが入力されると、PLD100が再構成され、アレイ120にブロック123、124、125が構成される。そして、プロセッサ21から入出力回路150を介してブロック123にデータDinが入力される。ここでブロック123は、データDinが属する折れ線近似の区分に対応する信号を、ブロック124に出力する。また、ブロック123はデータDinをブロック125に出力する。
【0077】
ブロック124は、ブロック123から入力された信号に基づいて、データDinが属する区分の近似直線に対応するデータをブロック125に出力する。具体的には、折れ線近似における近似直線はy=ax+bの式で表され、ブロック124には折れ線近似の区分数と同じ数のパラメータセット(a、bの値のセット)が保持されている。そして、ブロック123から信号が入力されると、ブロック124はデータDinが属する区分の近似曲線のa、bの値をブロック125に出力する。
【0078】
ブロック125は、ブロック123から入力されたデータDinと、ブロック124から入力されたa、bの値から、補正後のデータの値を計算する。そして、その計算結果に対応する値をデータDoutとして、入出力回路150を介してプロセッサ21に出力する。これにより、プロセッサ21に折れ線近似が行われたデータを出力することができる。
【0079】
なお、折れ線近似を行う場合は、ルックアップテーブルのようなサイズの大きいデータは必要とされず、ブロック124に保持された近似直線のパラメータであるa、bの値によってガンマ補正を行うことができるため、記憶装置160におけるデータの読み書きは行われない。そのため、折れ線近似を行う期間においては、トランジスタ171のゲートにトランジスタ171がオフ状態となる信号Spcを入力することにより、記憶装置160への電力の供給を停止することができる。これにより、補正回路22の消費電力を低減することができる。
【0080】
以上の動作により、PLD100のコンテキストを切り替え、2種類のガンマ補正を行うことができる。
【0081】
なお、トランジスタ171には、OSトランジスタを用いることが好ましい。金属酸化物は、シリコンなどの半導体よりもエネルギーギャップが大きく、少数キャリア密度を低くすることができるため、金属酸化物を用いたトランジスタのオフ電流は極めて小さい。そのため、トランジスタ171にOSトランジスタを用いた場合、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタ(以下、Siトランジスタともいう)などを用いる場合と比較して、電力のリークを抑制することができる。よって、補正回路22の消費電力をより効果的に低減することができる。
【0082】
[動的再構成]
図5に示すアレイ120は、一部の領域ごとに再構成を行うこともできる。例えば、
図5(B)に示すブロック123乃至125をそれぞれ異なる領域に配置し、ブロックごとに再構成を行うことができる。この場合、
図6(A)に示すように、ブロック125がデータDoutの算出及び出力を行っている期間に、ブロック124に新たなa、bの値を入力して、近似直線の更新を行うことができる。これにより、PLD100の動的再構成を行うことができる。
【0083】
また、あるコンテキストを用いてガンマ補正が行われている期間に、他のコンテキストの再構成を行うこともできる。例えば、
図6(B)に示すように、context[0]が選択され、テーブル近似が行われている期間に、context[1]を構成するLE及びRSに格納されたコンフィギュレーションデータを更新して、ガンマ補正の内容を変更することができる。
【0084】
以上のように、マルチコンテキスト方式を用いたPLD100によって、複数の種類のガンマ補正を行うことができる。
【0085】
<表示システムの変形例>
次に、表示システムの変形例について説明する。ここでは、表示部が複数の画素群50を有する構成について説明する。
【0086】
図7に示す表示システム10は、駆動回路30、画素群50、駆動回路60が複数設けられている点において、
図1と異なる。ここでは一例として、半導体装置12が2つの駆動回路30(30a、30b)を有し、表示部13が2つの画素群50(50a、50b)、2つの駆動回路60(60a、60b)を有する構成について説明するが、これらの回路の数は3以上であってもよい。
【0087】
画像処理部20は、駆動回路30aに出力する信号SD(SDa)と、駆動回路30bに出力する信号SD(SDb)を個別に生成する。そして、信号SDaは画素群50aに供給され、信号SDbは画素群50bに供給される。なお、駆動回路30a、30bには、タイミングコントローラ40からタイミング信号が供給される。
【0088】
画素群50aは複数の画素51aを有し、画素群50bは複数の画素51bを有する。また、駆動回路60aは画素群50aに選択信号(信号GSa)を供給する機能を有し、駆動回路60bは画素群50bに選択信号(信号GSb)を供給する機能を有する。なお、駆動回路60a、60bには、タイミングコントローラ40からタイミング信号が供給される。
【0089】
このように、駆動回路30、画素群50、駆動回路60を複数設けることにより、複数の画素群50を用いて映像を表示することができる。
【0090】
ここで、画素51a、51bは表示素子を有する。画素51a、51bが有する表示素子は、同じ種類のものであってもよいし、異なる種類のものであってもよい。また、画素51aと画素51bはそれぞれ、複数の副画素を有していてもよい。
【0091】
映像の表示には、画素群50aと画素群50bの両方を用いてもよいし、一方のみを用いてもよい。両方を用いる場合、画素群50aと画素群50bを用いて1つの映像を表示してもよいし、画素群50aと画素群50bにそれぞれ異なる映像を表示してもよい。
【0092】
映像の表示に画素群50aと画素群50bの一方のみを用いる場合は、自動又は手動で、映像を表示する画素群50を切り替えることができる。ここで、画素51aと画素51bに異なる表示素子を設けることにより、画素群50aと画素群50bに表示される映像の特性や品質などを異ならせることができる。この場合、表示を行う画素群50を、周囲の環境、表示される映像の内容などに合わせて選択することができる。
【0093】
例えば、画素51aに反射型の液晶素子を設け、画素51bに発光素子を設けることができる。この場合、晴れの日の日中の屋外など外光が強い環境では、発光素子を光らせず、外光によって表示を行うことが可能な反射型の液晶素子のみで表示を行うことにより、消費電力を低減することができる。一方、夜間や暗所など外光が弱い環境では、発光素子を光らせて表示を行うことにより、視認性が高い映像を表示することができる。
【0094】
また、反射型の液晶素子による映像の表示に、発光素子の発光を用いることにより、色調を補正することができる。例えば、夕暮れ時の赤みがかった環境において表示部13に映像を表示する場合、反射型の液晶素子による表示のみではB(青)成分が不足する場合がある。このとき、発光素子を発光させることで、色調を補正することができる。
【0095】
また、反射型の液晶素子は、表示の際に外光以外の光源が不要であるため、低消費電力で映像の表示を行うことができる。一方、発光素子は、液晶素子と比較して動作速度が速いため、表示の高速な切り替えが可能となる。ここで、例えば反射型の液晶素子には背景となる静止画や文字などを表示し、発光素子には動画などを表示することができる。これにより、消費電力の低減と高品質の映像の表示を両立させることが可能な表示システムを構成することができる。このような構成は、表示システムを教科書などの教材、又はノートなどとして利用する場合に適している。
【0096】
さらに、反射型の液晶素子を用いて映像の表示を行う際、表示される映像の書き換え頻度を減らし、映像の書き換えが行われない期間において、駆動回路30aや、駆動回路60aの動作を停止することができる。これにより、消費電力をさらに低減することができる。
【0097】
上記のような構成を用いる場合、画像処理部20は、反射型の液晶素子用の映像信号(信号SDa)と、発光素子用の映像信号(信号SDb)を生成する。なお、画像処理部20は、外光の明るさに応じて、画素群50aのみを用いて表示を行うための映像信号、画素群50bのみを用いて表示を行うための映像信号、画素群50a、50bを組み合わせて表示を行うための映像信号のいずれかを選択して生成することができる。
【0098】
映像信号を生成する際、補正回路22におけるガンマ補正は、画素の特性に合わせて行うことが好ましい。具体的には、反射型の液晶素子を有する画素51aの特性に適したガンマ補正を行なうことにより信号SDaを生成し、発光素子を有する画素51bの特性に適したガンマ補正を行なうことにより信号SDbを生成することが好ましい。そのため、補正回路22は異なる2種類のガンマ補正を行う機能を有することが好ましい。
【0099】
ここで、画像処理部20は、PLDを用いて複数のガンマ補正を行う機能を有する。
図8に、画像処理部20の動作例を示す。例えば、信号SDaを生成する際は、
図8(A)に示すようにcontext[1]を用いてガンマ補正を行い、信号SDbを生成する際は、
図8(B)に示すようにcontext[0]を用いてガンマ補正を行うことができる。これにより、画素群50a、50bに適合したガンマ補正を行うことができる。
【0100】
また、反射型の液晶素子を有する画素群50aを用いて静止画や文字などを表示し、発光素子を有する画素群50bを用いて動画などを表示する場合は、信号SDaの生成には消費電力が小さい折れ線近似を用い、信号SDbの生成には補正の精度が高いテーブル近似を用いることが好ましい。これにより、反射型の液晶素子による消費電力の低減と、発光素子による表示品質の向上を助長することができる。
【0101】
なお、ここでは一例として、画素51aに反射型の液晶素子を設け、画素51bに発光素子を設ける場合について説明したが、画素51a、51bに設ける表示素子は特に限定されず、自由に選択することができる。例えば、画素51a、51bの一方に透過型の液晶素子を設け、他方に反射型の液晶素子を設けることもできる。この場合、画素51a、51bを用いて半透過型の液晶素子を実現することができる。また、画素51a、51bにそれぞれ異なる種類の発光素子を設けることもできる。
【0102】
以上の通り、本発明の一態様に係る表示システムは、PLDを用いて映像信号の補正を行うことができる。これにより、複数の種類の補正を行うことができ、表示部13に表示される映像の内容や周囲の環境に合わせて、適切な補正を選択的に行うことができる。また、複数の補正回路を独立して設ける必要がないため、補正回路の面積の増加を抑えることができる。また、本発明の一態様に係る表示システムは、表示部が種類の異なる複数の表示素子を有する場合において、それぞれの表示素子に適した補正を行うことができる。
【0103】
また、本発明の一態様に係る表示システムは、半導体装置にOSトランジスタを用いることにより、消費電力を低減することができる。
【0104】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0105】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置に用いることができるPLD及び記憶装置の構成例について説明する。
【0106】
<PLDの構成例>
図9に、PLD200の構成を示す。PLD200は、上記実施の形態におけるPLD100として用いることができる。なお、PLD200にはマルチコンテキスト方式を適用することができる。
【0107】
PLD200は、ロジック部、入出力部、及び周辺回路部を有する。ロジック部は、ロジックアレイ(LA)211、212、スイッチアレイ(SWA)221乃至223を有する。入出力部は、入出力アレイ(IOA)224、225を有する。周辺回路部は、ロジック部および入出力部を駆動する機能を有する回路を有する。例えば周辺回路部は、クロック信号生成装置230、コンフィギュレーションコントローラ231、コンテキストコントローラ232、列ドライバ回路234、行ドライバ回路235を有する。
【0108】
なお、コンフィギュレーションコントローラ231、コンテキストコントローラ232は
図4における制御回路110に相当し、列ドライバ回路234、行ドライバ回路235はそれぞれ
図4における駆動回路140、駆動回路130に対応する。
【0109】
LA211、212はそれぞれ、複数のLE240を有する。
図9には、LA211が10個のLE240(LE<00>乃至<09>)を有し、LA212が10個のLE240(LE<10>乃至<19>)を有する構成例を示しているが、LE240の数は自由に設定することができる。IOA224、225は、PLD200の外部端子とLA211、212との間の信号の入出力を制御する機能を有する。
【0110】
IOA224、225はそれぞれ、複数の入出力回路(IO)を有する。
図9には、IOA224が10個の入出力回路(IO<00>乃至<09>)を有し、IOA225が10個の入出力回路(IO<10>乃至<19>)を有する構成例を示している。IO<00>乃至<19>は、それぞれ異なる外部端子と接続されている。
【0111】
SWA221乃至223はそれぞれ、複数のRS280を有する。RS280内の表記は、その機能を表している。例えば、「LE0* to IO00」とは、RS280が、LE<00>乃至<09>の出力ノードと、IO<00>の入力ノードとの間のスイッチとしての機能を有することを示しており、RS280は、コンフィギュレーションデータ及びコンテキストを選択するデータ(以下、コンテキストデータともいう)に従って、LE<00>乃至<09>とIO<00>との接続関係を決定する。
【0112】
クロック信号生成装置230は、PLD200内で使用される1または複数のクロック信号を生成する機能を有する。列ドライバ回路234は、コンフィギュレーションデータを生成する機能を有する。行ドライバ回路235は、コンフィギュレーションメモリを選択する信号を生成する機能を有する。コンフィギュレーションコントローラ231は、列ドライバ回路234および行ドライバ回路235を制御する機能を有する。コンテキストコントローラ232は、コンテキストデータを生成する機能を有する。
【0113】
[LEの構成例]
図10に、LE240の構成例を示す。LE240はプログラム可能な論理回路であり、コンフィギュレーションメモリ部250、ロジックセル(LCELL)260を有する。
【0114】
コンフィギュレーションメモリ部250は、コンフィギュレーションデータを格納する機能を有する。LE240の機能は、コンフィギュレーションメモリ部250に格納されたコンフィギュレーションデータに従って決定される。
【0115】
LE240は、入力データINに所定の論理演算を施したデータを生成し、これを出力データOUTとして出力する機能を有する。LE240は、排他的論理和(XOR)回路群261、LUT262、キャリーロジック263、セレクタ(SEL)264、フリップフロップ(FF)265、セレクタ(SEL)266を有する。FF265はレジスタとしての機能を有する。FF265は、データが入力される端子D、リセット信号RSTが入力される端子XR、クロック信号CLKが入力される端子、データを出力する端子Qを有する。コンフィギュレーションメモリ部250から出力されるコンフィギュレーションデータによって、LCELL260の論理機能が制御される。
【0116】
データINは、RS280から入力される。また、データOUTはRS280に出力される。複数のLE240によってキャリーチェーンを形成するため、複数のLE240間でキャリー信号(carry signal)の入出力が行われる。また、複数のLE240によってレジスタチェーンを形成するため、隣接するLE240間でレジスタチェーン信号(register chain signal)の入出力が行われる。
【0117】
[コンフィギュレーションメモリの構成例]
PLD200が有するLE240及びRS280は、それぞれコンフィギュレーションメモリを有する。以下、LE240及びRS280に用いることができるコンフィギュレーションメモリの構成例について説明する。
【0118】
コンフィギュレーションメモリは、コンフィギュレーションデータを記憶する機能を有する記憶回路を有する。コンフィギュレーションメモリが有する記憶回路は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。揮発性の記憶回路としては、例えば、SRAMなどが挙げられる。また、不揮発性の記憶回路としては、例えば、フラッシュメモリ、強誘電体メモリ(FeRAM)、磁気抵抗メモリ(MRAM)、相変化メモリ(PRAM)、抵抗変化型メモリ(ReRAM)などが挙げられる。
【0119】
ここで、記憶回路にはOSトランジスタを用いることが特に好ましい。コンフィギュレーションメモリにOSトランジスタを用いることにより、コンフィギュレーションデータを極めて長期間にわたって保持することができる。
【0120】
図11(A)に、コンフィギュレーションメモリに用いることができる記憶回路の構成例を示す。記憶回路300は、複数の回路310を有する。なお、
図11(A)には一例として、2つの回路310(回路310[0]、[1])を示しているが、回路310の個数はこれに限られない。回路310に所定のコンフィギュレーションデータを格納することにより、配線INと配線OUTの間の接続状態を制御することができる。そのため、記憶回路300はRS280に適用することができる。
【0121】
回路310は、トランジスタ311、312、313、容量素子314を有する。ここではトランジスタ311、312、313をnチャネル型としているが、これらのトランジスタはそれぞれpチャネル型であってもよい。なお、「OS」の符号が付されたトランジスタはOSトランジスタである。
【0122】
トランジスタ311のゲートは配線WLと接続され、ソース又はドレインの一方はトランジスタ312のゲートおよび容量素子314の一方の電極と接続され、ソース又はドレインの他方は配線BLと接続されている。トランジスタ312のソース又はドレインの一方は配線INと接続され、ソース又はドレインの他方はトランジスタ313のソース又はドレインの一方と接続されている。トランジスタ313のゲートは配線CTXと接続され、ソース又はドレインの他方は配線OUTと接続されている。容量素子314の他方の電極は、所定の電位が供給される配線と接続されている。ここで、トランジスタ311のソース又はドレインの一方、トランジスタ312のゲート、および容量素子314の一方の電極と接続されたノードを、ノードN1とする。
【0123】
次に、回路310の動作について説明する。まず、配線WLの電位を制御してトランジスタ311をオン状態とする。これにより、配線BLの電位がノードN1に与えられる(コンフィギュレーションデータの書き込み)。なお、配線WLは行ドライバ回路235(
図9参照)と接続されており、配線WLの電位は行ドライバ回路235によって制御することができる。
【0124】
その後、配線WLの電位を制御してトランジスタ311をオフ状態とする。これにより、ノードN1が浮遊状態となり、ノードN1の電位が保持される(コンフィギュレーションデータの保持)。ここで、配線INと配線OUT間に設けられたトランジスタ312の導通状態は、ノードN1の電位によって決定される。そのため、ノードN1の電位を制御することにより配線INと配線OUT間の導通状態を制御することができる。このような回路310を有する記憶回路300は、配線間の導通状態を制御するスイッチとしての機能を有するため、RS280のコンフィギュレーションメモリに用いることができる。記憶回路300をRS280のコンフィギュレーションメモリに用いる場合、配線INと配線OUTはそれぞれ、IO又はLE240と接続される。
【0125】
なお、記憶回路300は回路310[0]及び回路310[1]を有し、両者は配線OUTを共有している。そして、配線CTX[0]、[1]に所定の電位を供給することにより、回路310[0]又は回路310[1]の一方を選択することができる。これにより、記憶回路300をマルチコンテキスト方式のコンフィギュレーションメモリとして用いることができる。
【0126】
具体的には、context[0]を選択する場合、配線CTX[0]を制御して回路310[0]のトランジスタ313をオン状態とする。また、配線CTX[1]を制御して回路310[1]のトランジスタ313をオフ状態とする。これにより、配線INと配線OUT間の導通状態は、回路310[0]のノードN1の電位によって制御される。一方、context[1]を選択する場合は、配線CTX[0]を制御して回路310[0]のトランジスタ313をオフ状態とする。また、配線CTX[1]を制御して回路310[1]のトランジスタ313をオン状態とする。これにより、配線INと配線OUT間の導通状態は、回路310[1]のノードN1の電位によって制御される。このように、配線CTX[0]、[1]の電位を制御することにより、配線INと配線OUTの間の導通状態を制御するコンテキストを選択することができる。
【0127】
ここで、トランジスタ311はOSトランジスタであり、オフ電流が極めて小さい。そのため、トランジスタ311がオフ状態である期間において、ノードN1の電位を長時間にわたって維持することができる。これにより、コンフィギュレーションデータの更新の頻度を大幅に減らすことができ、PLD200の消費電力を削減することができる。また、回路310への電力の供給が停止された期間においても、コンフィギュレーションデータを長期間保持することができる。
【0128】
また、OSトランジスタを用いることにより、少ないトランジスタ数(回路310においては3個)で回路310を構成することができる。これにより、PLD200の面積を縮小することができる。また、OSトランジスタは他のトランジスタ上に積層することができる。そのため、トランジスタ311をトランジスタ312又はトランジスタ313上に積層し、回路310の面積を縮小することができる。これにより、PLD200の面積をさらに縮小することができる。
【0129】
また、PLD200にマルチコンテキスト方式を用いる場合、コンフィギュレーションメモリには複数のコンテキストに対応するコンフィギュレーションデータを格納する必要があるため、コンフィギュレーションメモリの面積が大幅に増大する可能性がある。しかしながら、上記の通りOSトランジスタを有する記憶回路300を用いることにより、コンフィギュレーションメモリの面積の増加を抑えることができる。そのため、OSトランジスタをマルチコンテキスト方式のPLD200に用いることは特に好ましい。
【0130】
なお、
図11(A)において、OSトランジスタ以外のトランジスタの材料は特に限定されない。例えば、チャネル形成領域が単結晶半導体を有する基板の一部に形成されるトランジスタ(以下、単結晶トランジスタともいう)を用いてもよい。単結晶半導体を有する基板としては、単結晶シリコン基板や単結晶ゲルマニウム基板などがあげられる。単結晶トランジスタは高速な動作が可能であるため、記憶回路に単結晶トランジスタを用いることにより、記憶回路の動作速度を向上させることができる。また、OSトランジスタ以外のトランジスタには、金属酸化物以外の材料を含む膜にチャネル形成領域が形成されるトランジスタを用いることもできる。金属酸化物以外の材料としては、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、有機半導体などがあげられる。これらの半導体は、単結晶半導体であってもよいし、非晶質半導体、微結晶半導体、多結晶半導体などの非単結晶半導体であってもよい。これらのトランジスタは、以下の説明におけるOSトランジスタ以外のトランジスタにも用いることができる。
【0131】
また、
図11(B)に、回路310の他の構成例を示す。
図11(B)に示す回路310は、
図11(A)における容量素子314の代わりに回路315が設けられた構成を有する。回路315はインバータループを構成しており、ノードN1の電位は回路315によってハイレベル又はローレベルに維持される。なお、トランジスタ311には上記のOSトランジスタ以外のトランジスタを用いることができる。この場合、回路310は揮発性となる。
【0132】
また、
図12に、コンフィギュレーションメモリに用いることができる他の記憶回路の構成例を示す。記憶回路301は回路320を有する。なお、
図12には一例として、2つの回路320(回路320[0]、[1])を示しているが、回路320の個数はこれに限られない。
【0133】
回路320は、トランジスタ321、322、容量素子323、トランジスタ324、325、容量素子326、トランジスタ327を有する。ここでは、トランジスタ321、322、324、325、327をnチャネル型としているが、トランジスタ321、322、324、325、327はそれぞれpチャネル型であってもよい。
【0134】
トランジスタ321のゲートは配線WLと接続され、ソース又はドレインの一方はトランジスタ322のゲートおよび容量素子323の一方の電極と接続され、ソース又はドレインの他方は配線BLと接続されている。トランジスタ322のソース又はドレインの一方は所定の電位(ここでは高電源電位VDD)が供給される配線と接続され、ソース又はドレインの他方はトランジスタ327のソース又はドレインの一方と接続されている。容量素子323の他方の電極は、所定の電位が供給される配線と接続されている。また、トランジスタ324のゲートは配線WLと接続され、ソース又はドレインの一方はトランジスタ325のゲートおよび容量素子326の一方の電極と接続され、ソース又はドレインの他方は配線BLbと接続されている。トランジスタ325のソース又はドレインの一方は所定の電位(ここでは低電源電位VSS、例えば接地電位)が供給される配線と接続され、ソース又はドレインの他方はトランジスタ327のソース又はドレインの一方と接続されている。容量素子326の他方の電極は、所定の電位が供給される配線と接続されている。トランジスタ327のゲートは配線CTXと接続され、ソース又はドレインの他方は配線OUTと接続されている。
【0135】
ここで、トランジスタ321のソース又はドレインの一方、トランジスタ322のゲート、および容量素子323の一方の電極と接続されたノードを、ノードN2とする。また、トランジスタ324のソース又はドレインの一方、トランジスタ325のゲート、および容量素子326の一方の電極と接続されたノードを、ノードN3とする。なお、配線BLbには、配線BLに供給される信号の反転信号が供給される。
【0136】
ノードN2又はノードN3の一方にはハイレベルの電位、他方にはローレベルの電位が、コンフィギュレーションデータとして格納される。そのため、トランジスタ322又はトランジスタ325の一方はオン状態となり、他方はオフ状態となる。よって、ハイレベル又はローレベルの電位を配線OUTに選択的に供給することができる。このような回路320を有する記憶回路301は、配線OUTに出力される論理値を制御する機能を有するため、LE240のコンフィギュレーションメモリに用いることができる。記憶回路301をLE240のコンフィギュレーションメモリに用いる場合、配線OUTは他の論理回路やRS280などに接続される。なお、ノードN2及びノードN3へのコンフィギュレーションデータの格納は、
図11(A)の回路310と同様の動作により行うことができる。
【0137】
なお、記憶回路301は回路320[0]及び回路320[1]を有し、両者は配線OUTを共有している。そして、配線CTX[0]、[1]に所定の電位を供給することにより、回路320[0]又は回路320[1]の一方を選択することができる。これにより、記憶回路300をマルチコンテキスト方式のコンフィギュレーションメモリとして用いることができる。
【0138】
具体的には、context[0]を選択する場合、配線CTX[0]を制御して回路320[0]のトランジスタ327をオン状態とする。また、配線CTX[1]を制御して回路320[1]のトランジスタ327をオフ状態とする。これにより、配線OUTの電位は、回路320[0]のノードN2及びノードN3の電位によって制御される。一方、context[1]を選択する場合は、配線CTX[0]を制御して回路320[0]のトランジスタ327をオフ状態とする。また、配線CTX[1]を制御して回路320[1]のトランジスタ327をオン状態とする。これにより、配線OUTの電位は、回路320[1]のノードN2及びノードN3の電位によって制御される。このように、配線CTX[0]、[1]の電位を制御することにより、配線OUTの電位を制御するコンテキストを選択することができる。
【0139】
回路320には、トランジスタ321、324としてOSトランジスタが用いられている。そのため、回路320においても回路310と同様に、消費電力の削減及び面積の縮小を図ることができる。
【0140】
また、記憶回路301は、回路330を有していてもよい。回路330は、インバータ331、トランジスタ332を有する。インバータ331の入力端子は配線OUTと接続され、出力端子はトランジスタ332のゲートと接続されている。トランジスタ332のソース又はドレインの一方は配線OUTと接続され、他方は所定の電位が供給される配線(ここでは高電源電位VDD)と接続されている。回路330は、配線OUTの電位を保持する機能を有しており、配線OUTがフロート状態となることを防ぐことができる。これにより、配線OUTの電位が中間電位になるのを防ぐことができ、配線OUTと接続された回路素子における貫通電流の発生を防止することができる。
【0141】
なお、
図12においては、トランジスタ321のゲートとトランジスタ324のゲートは同一の配線WLと接続されているが、異なる配線WLと接続されていてもよい。
【0142】
また、本実施の形態で説明したOSトランジスタは、一対のゲートを有していてもよい。
図11(A)における回路310を例として、OSトランジスタに一対のゲートが設けられた構成を
図13に示す。なお、トランジスタが一対のゲートを有する場合、一方のゲートをフロントゲート又は単にゲートと呼び、他方のゲートをバックゲートと呼ぶことができる。
【0143】
図13(A)に示すトランジスタ311はバックゲートを有し、バックゲートはフロントゲートと接続されている。この場合、フロントゲートの電位とバックゲートの電位は等しくなり、トランジスタ311のオン電流が向上する。
【0144】
図13(B)に示すトランジスタ311は、バックゲートが配線BGLと接続されている。配線BGLは、バックゲートに所定の電位を供給する機能を有する配線である。配線BGLの電位を制御することにより、トランジスタ311の閾値電圧を制御することができる。なお、配線BGLは行ドライバ回路235(
図9参照)と接続することができ、配線BGLの電位は行ドライバ回路235によって制御することができる。また、配線BGLは同一の行の回路310において共有されている。
【0145】
なお、
図13においては、一例として回路310が有するトランジスタ311にバックゲートを設けた構成を示したが、本実施の形態におけるOSトランジスタにはいずれも、同様にバックゲートを設けることができる。
【0146】
上記のように、本発明の一態様においては、OSトランジスタをコンフィギュレーションメモリに用いることにより、PLDの面積の縮小及び消費電力の低減を実現することができる。
【0147】
<記憶装置の構成例>
次に、上記実施の形態で用いることができる記憶装置の構成例について説明する。
【0148】
図14(A)に、記憶装置350の構成例を示す。記憶装置350は、上記実施の形態における記憶装置160として用いることができる。記憶装置350は、セルアレイ360、駆動回路370、駆動回路380を有する。また、セルアレイ360は、複数のメモリセル390を有する。ここでは、セルアレイ360が(n+1)×(m+1)個のメモリセル390(390[0,0]乃至[n,m])を有する構成を示している(n、mは自然数)。
【0149】
図4に示す記憶装置160は、スイッチ回路170がオフ状態である期間において、電力の供給が停止される。そのため、メモリセル390は、電力の供給が停止された期間においてもデータを保持することが可能な構成とすることが好ましい。
【0150】
ここで、OSトランジスタはオフ電流が極めて小さいため、メモリセル390に用いるトランジスタとして好適である。具体的には、
図14(B)に示すように、メモリセル390にOSトランジスタであるトランジスタ391、容量素子392を設けることが好ましい。
【0151】
トランジスタ391のソースまたはドレインは容量素子392と接続されている。ここで、トランジスタ391のソースまたはドレインの一方および容量素子392の一方の電極と接続されたノードを、ノードN11とする。
【0152】
ノードN11には、メモリセル390に保持される電位が、トランジスタ391を介して配線BLなどから供給される。そして、トランジスタ391がオフ状態となると、ノードN11が浮遊状態となり、ノードN11の電位が保持される。ここで、OSトランジスタであるトランジスタ391のオフ電流は極めて小さいため、ノードN11の電位を長期間にわたって保持することが可能となる。なお、トランジスタ391の導通状態は、トランジスタ391のゲートと接続された配線に所定の電位を供給することにより、制御することができる。
【0153】
ノードN11に保持する電位は、2値(ハイレベルおよびローレベル)の電位であってよいし、3値以上の電位であってもよい。特に、ノードN11に保持される電位が3値以上の場合、保持される電位の間隔が狭くなるため、微小な電荷のリークがデータの変動の原因になり得る。しかしながら、OSトランジスタはオフ電流が極めて小さいため、ノードN11からの電荷のリークを極めて小さく抑えることができる。従って、ノードN11に3値以上の電位を保持する場合、トランジスタ391をOSトランジスタとすることは特に好ましい。
【0154】
また、OSトランジスタは、Siトランジスタ等と比べて耐圧性が高い。そのため、トランジスタ391をOSトランジスタとすることにより、ノードN11に保持される電位の範囲を広げることができる。従って、メモリセル390に保持するデータの数を増加させることができる。例えば、ノードN11には、16値の電位を保持することができる。この場合、メモリセルには4ビットのデータを記憶することができる。
【0155】
なお、OSトランジスタには、バックゲートを設けてもよい。
図14(C)、(D)に、トランジスタ391にバックゲートを設けた構成の例を示す。
図14(C)に示すトランジスタ391のバックゲートは、トランジスタ391のフロントゲートと接続されている。
図14(D)に示すトランジスタ391のバックゲートは、所定の電位が供給される配線と接続されている。
【0156】
このように、メモリセル390にOSトランジスタを用いることにより、メモリセル390に記憶されたデータを長期間保持することができ、信頼性が高い半導体装置を提供することができる。以下、メモリセル390の具体的な構成例について説明する。
【0157】
図15(A)に、メモリセル390の構成例を示す。
図15(A)に示すメモリセル390は、トランジスタ393、394、容量素子395を有する。なお、トランジスタ393はOSトランジスタとする。また、ここではトランジスタ394をnチャネル型としているが、pチャネル型であってもよい。
【0158】
トランジスタ393のゲートは配線WWLと接続され、ソースまたはドレインの一方はトランジスタ394のゲートおよび容量素子395の一方の電極と接続され、ソースまたはドレインの他方は配線BLと接続されている。トランジスタ394のソースまたはドレインの一方は配線SLと接続され、ソースまたはドレインの他方は配線BLと接続されている。容量素子の他方の電極は、配線RWLと接続されている。ここで、トランジスタ393のソースまたはドレインの一方、トランジスタ394のゲート、および容量素子395の一方の電極と接続されたノードを、ノードN12とする。
【0159】
配線WWLは、書き込みを行うメモリセル390に選択信号を伝える機能を有する配線であり、配線RWLは、読み出しを行うメモリセル390に選択信号を伝える機能を有する配線であり、配線BLは、メモリセル390に書き込むデータに対応する電位(以下、書き込み電位ともいう)、またはメモリセル390に記憶されたデータに対応する電位(以下、読み出し電位ともいう)を伝える機能を有する配線であり、配線SLは、所定の電位が供給される配線である。所定の電位は、固定電位でもよいし、異なる2以上の電位であってもよい。なお、配線WWLおよび配線RWLは、
図14(A)における配線WLに対応し、駆動回路370と接続されている。配線SLは、駆動回路370または駆動回路380と接続されていてもよいし、駆動回路370や駆動回路380とは別に設けられた電源線と接続されていてもよい。
【0160】
トランジスタ393にOSトランジスタを用いることにより、トランジスタ393をオフ状態とした際、ノードN12の電位を極めて長時間にわたって保持することができる。
【0161】
次に、
図15(A)に示すメモリセル390の動作について説明する。まず、配線WWLの電位を、トランジスタ393がオン状態となる電位にして、トランジスタ393をオン状態とする。これにより、配線BLの電位がノードN12に与えられる。すなわち、トランジスタ394のゲート電極には所定の電荷が与えられる(データの書き込み)。
【0162】
その後、配線WWLの電位をトランジスタ393がオフ状態となる電位にして、トランジスタ393をオフ状態とすることにより、ノードN12が浮遊状態となり、ノードN12の電位が保持される(データの保持)。
【0163】
次に、配線SLの電位を一定の電位に維持した上で、配線RWLの電位を所定の電位とすると、ノードN12に保持された電荷の量に応じて、配線BLは異なる電位となる。一般に、トランジスタ394をnチャネル型とすると、トランジスタ394のゲートの電位がハイレベルである場合の見かけのしきい値V
th_Hは、トランジスタ394のゲートの電位がローレベルである場合の見かけのしきい値V
th_Lより低くなるためである。ここで、見かけのしきい値電圧とは、トランジスタ394をオン状態とするために必要な配線RWLの電位をいうものとする。したがって、配線RWLの電位をV
th_HとV
th_Lの間の電位V
0とすることにより、ノードN12の電位を判別することができる。例えば、ノードN12の電位がハイレベルである場合には、配線RWLの電位がV
0(>V
th_H)となれば、トランジスタ394はオン状態となる。一方、ノードN12の電位がローレベルである場合には、配線RWLの電位がV
0(<V
th_L)となっても、トランジスタ394はオフ状態のままとなる。このため、配線BLの電位を読み出すことにより、メモリセル390に記憶されているデータの読み出しが可能となる。
【0164】
データの読み出しを行わない場合には、ノードN12の電位に関わらずトランジスタ394がオフ状態となるような電位、つまり、V
th_Hより小さい電位を配線RWLに与えればよい。
【0165】
また、データの書き換えは、上記データの書き込みおよび保持と同様の動作により行うことができる。具体的には、配線WWLの電位を、トランジスタ393がオン状態となる電位にして、トランジスタ393をオン状態とする。これにより、書き換えるデータに対応する配線BLの電位がノードN12に与えられる。その後、配線WWLの電位を、トランジスタ393がオフ状態となる電位にして、トランジスタ393をオフ状態とすることにより、ノードN12が浮遊状態となり、ノードN12には書き換えたデータに対応する電位が保持される。
【0166】
トランジスタ393はOSトランジスタであり、オフ電流が極めて小さいため、保持期間においてノードN12の電位を長時間にわたって維持することができる。そのため、メモリセル390への電力の供給が停止された期間においても、データを保持することができる。
【0167】
なお、トランジスタ393のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ394のゲートと接続されることにより、不揮発性メモリとして用いられるフローティングゲート型トランジスタのフローティングゲートと同様の機能を有する。このため、
図15(A)中、トランジスタ393のソースまたはドレインの一方とトランジスタ394のゲートが接続された部位を、フローティングゲート部と呼ぶこともできる。トランジスタ393がオフ状態の場合、フローティングゲート部は絶縁体中に埋設されたとみなすことができ、フローティングゲート部には電荷が保持される。トランジスタ393のオフ電流は、Siトランジスタのオフ電流の10万分の1以下であるため、トランジスタ393のリークによってフローティングゲート部に蓄積された電荷が消失する量は極めて小さい。あるいは、長期間にわたって、フローティングゲート部に蓄積された電荷の消失を無視することが可能である。そのため、OSトランジスタであるトランジスタ393を用いることにより、電力の供給が停止された期間においても、長期間データを保持することができる記憶装置を実現することが可能となる。
【0168】
また、
図15(A)のメモリセル390は、再度のデータの書き込みによって直接的にデータを書き換えることが可能である。このためフラッシュメモリなどにおいて必要とされる消去動作が不要であり、消去動作に起因する動作速度の低下を抑制することができる。つまり、半導体装置の高速動作が実現される。
【0169】
また、この場合、従来のフローティングゲート型トランジスタにおいて指摘されているゲート絶縁膜(トンネル絶縁膜)の劣化という問題が存在しない。つまり、従来問題とされていた、電子をフローティングゲートに注入する際のゲート絶縁膜の劣化という問題を解消することができる。これは、原理的な書き込み回数の制限が存在しないことを意味するものである。また、従来のフローティングゲート型トランジスタにおいて書き込みや消去の際に必要であった高電圧も不要である。
【0170】
なお、ここではノードN12に2値の電位を保持する場合について説明したが、3値以上の電位を保持する構成としてもよい。これにより、メモリセル390に多値のデータを記憶することができる。
【0171】
例えば、ノードN12に1ビット(2値)のデータを10年間保持させる場合を考える。電源電位を2V以上、3.5V以下、容量素子395の容量を21fF、保持電位の許容変動量を0.5V未満、とした場合、85℃、10年間で保持電位を許容変動量未満とするには、ノードN12からのリーク電流は、33×10
−24A未満であることが必要となる。他からのリークがさらに小さく、リーク箇所がほぼOSトランジスタである場合、OSトランジスタのチャネル幅が350nmのとき、OSトランジスタの単位面積あたりのリーク電流を93×10
−24A/μm未満とすることが好ましい。メモリセル390を上記構成にすることで、85℃において、10年間データを保持することが可能になる。
【0172】
また、ノードN12に4ビット(16値)のデータを10年間保持させる場合を考える。電源電位を2V以上、3.5V以下、容量素子395の容量を0.1fF、保持電位の分布幅を30mV未満、保持電位の許容変動量を80mV未満、とした場合、85℃10年間で保持電位を許容変動量未満とするには、ノードN12からのリーク電流は0.025×10
−24A未満であることが必要となる。他からのリークがさらに小さく、リーク箇所がほぼOSトランジスタである場合、OSトランジスタのチャネル幅が60nmのとき、OSトランジスタの単位面積あたりのリーク電流を0.423×10
−24A/μm未満とすることが好ましい。メモリセル390を上記構成にすることで、85℃において、10年間データを保持することが可能になる。
【0173】
また、ノードN12に8ビット(256値)のデータを10年間保持させる場合を考える。電源電位を2V以上、3.5V以下、保持容量を0.1fF、保持電位の分布幅を2mV未満、保持電位の許容変動量を5mV未満、とした場合、85℃、10年間で保持電位を許容変動量未満とするには、ノードN12からのリーク電流は0.0016×10
−24A未満であることが必要となる。他からのリークがさらに小さく、リーク箇所がほぼOSトランジスタである場合、OSトランジスタのチャネル幅が60nmのとき、OSトランジスタの単位面積あたりのリーク電流を0.026×10
−24A/μm未満とすることが好ましい。メモリセル390を上記構成にすることで、85℃において、10年間データを保持することが可能になる。
【0174】
なお、
図15(A)においては、データの書き込みと読み出しを同一の配線BLを用いて行う構成を示すが、データの書き込みと読み出しはそれぞれ別の配線を用いておこなってもよい。すなわち、トランジスタ393のソースまたはドレインの他方と、トランジスタ394のソースまたはドレインの他方は、別々の配線と接続されていてもよい。また、トランジスタ394と配線BLは他のトランジスタを介して接続されていてもよいし、トランジスタ394と配線SLは他のトランジスタを介して接続されていてもよい。
図15(A)におけるメモリセル390の変形例を
図15(B)に示す。
【0175】
図15(B)に示すメモリセル390は、トランジスタ393、394、容量素子395に加えて、トランジスタ396を有する。なお、ここではトランジスタ394、396をnチャネル型としているが、トランジスタ394、396はpチャネル型であってもよい。
【0176】
トランジスタ393のゲートは配線WWLと接続され、ソースまたはドレインの一方はトランジスタ394のゲートおよび容量素子395の一方の電極と接続され、ソースまたはドレインの他方は配線WBLと接続されている。トランジスタ394のソースまたはドレインの一方は配線SLと接続され、ソースまたはドレインの他方はトランジスタ396のソースまたはドレインの一方と接続されている。トランジスタ396のゲートは配線RWLと接続され、ソースまたはドレインの他方は配線RBLと接続されている。容量素子395の他方の電極は、所定の電位が供給される配線と接続されている。
【0177】
また、
図15(B)におけるメモリセル390においては、配線BLが配線WBLと配線RBLに分割されている。配線WBLは、書き込み電位を伝える機能を有する配線であり、配線RBLは、読み出し電位を伝える機能を有する配線である。
【0178】
図15(B)においては、配線RWLの電位を、トランジスタ396がオン状態となる電位にして、トランジスタ396をオン状態とすることにより、配線RBLに読み出し電位を出力することができる。すなわち、配線RBLに供給する信号によって、メモリセル390からのデータの読み出しを制御することができる。
【0179】
また、
図15(B)において、配線WBLと配線RBLを同一の配線BLとしてもよい。このようなメモリセル390の構成を、
図15(C)に示す。
図15(C)において、トランジスタ393とトランジスタ396は配線BLと接続されている。また、容量素子395は、配線SLと接続されている。
【0180】
なお、
図15において、トランジスタ393とトランジスタ394(およびトランジスタ396)は積層することができる。例えば、トランジスタ394の上方に絶縁層を設け、当該絶縁層の上方にOSトランジスタであるトランジスタ393、および容量素子395を設けた構成とすることができる。これにより、メモリセル390の面積を縮小することができる。
【0181】
以上のように、メモリセル390にOSトランジスタを用いることにより、メモリセル390に記憶されたデータを長時間にわたって保持することができる。また、メモリセル390への電力の供給が停止された状態においても、メモリセル390に記憶されたデータを保持することができる。
【0182】
なお、
図15において「OS」の記号を付したトランジスタ以外のトランジスタの材料は、特に限定されない。また、
図15に示すトランジスタは一対のゲートを有していてもよい。
【0183】
以上のように、PLD又は記憶回路にOSトランジスタを用いることにより、半導体装置の消費電力を低減することができる。
【0184】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0185】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した表示システムの、より具体的な構成例について説明する。ここでは特に、
図7に示すように表示部が複数の画素群を有する場合の構成について説明する。
【0186】
図16に、表示部410、制御部420を有する表示システム400の構成例を示す。表示部410、制御部420はそれぞれ、上記実施の形態における表示部13、半導体装置12に相当する。
【0187】
制御部420は、インターフェース421、フレームメモリ422、デコーダ423、センサコントローラ424、コントローラ425、クロック生成回路426、画像処理部430、記憶装置441、タイミングコントローラ442、レジスタ443、駆動回路450、タッチセンサコントローラ461を有する。画像処理部430は、上記実施の形態における画像処理部20に相当する。
【0188】
表示部410は、制御部420から入力された映像信号を用いて、表示ユニット411に映像を表示する機能を有する。また、表示部410は、タッチの有無、タッチ位置などの情報を得る機能を有するタッチセンサユニット412を有していてもよい。表示部410がタッチセンサユニット412を有しない場合、タッチセンサコントローラ461は省略することができる。
【0189】
表示ユニット411には、液晶素子を用いて表示を行う表示ユニットや、発光素子を用いて表示を行う表示ユニットなどを用いることができる。なお、表示部410に設けられる表示ユニット411は、1つであっても2以上であってもよい。
図16には一例として、表示部410が、反射型の液晶素子を用いて表示を行う表示ユニット411aと、発光素子を用いて表示を行う表示ユニット411bを有する構成を示している。表示ユニット411a、411bはそれぞれ、
図7における画素群50aと駆動回路60aから構成されるユニット、画素群50bと駆動回路60bから構成されるユニットに相当する。
【0190】
駆動回路450は、ソースドライバ451を有する。ソースドライバ451は、表示ユニット411に映像信号を供給する機能を有する回路である。
図16においては、表示部410が表示ユニット411a、411bを有するため、駆動回路450はソースドライバ451a、451bを有する。ソースドライバ451a、451bはそれぞれ、
図7における駆動回路30a、30bに相当する。
【0191】
制御部420とホスト470との通信は、インターフェース421を介して行われる。ホスト470から制御部420には、画像データ、各種制御信号などが送られる。また、制御部420からホスト470には、タッチセンサコントローラ461が取得したタッチの有無、タッチ位置などの情報が送られる。なお、制御部420が有するそれぞれの回路は、ホスト470の規格、表示部410の仕様等によって、適宜取捨される。ホスト470は、上記実施の形態におけるプロセッサ11に相当する。
【0192】
フレームメモリ422は、制御部420に入力された画像データを記憶する機能を有する記憶回路である。ホスト470から制御部420に圧縮された画像データが送られる場合、フレームメモリ422は、圧縮された画像データを格納することができる。デコーダ423は、圧縮された画像データを伸長するための回路である。画像データを伸長する必要がない場合、デコーダ423は処理を行わない。なお、デコーダ423は、フレームメモリ422とインターフェース421との間に配置することもできる。
【0193】
画像処理部430は、フレームメモリ422又はデコーダ423から入力された画像データに対して、各種の画像処理を行い、映像信号を生成する機能を有する。例えば、画像処理部430は、ガンマ補正回路431、調光回路432、調色回路433を有する。
【0194】
また、ソースドライバ451bが、表示ユニット411bが有する発光素子に流れる電流を検出する機能を有する回路(電流検出回路)を有する場合、画像処理部430にはEL補正回路434を設けてもよい。EL補正回路434は、電流検出回路から送信される信号に基づいて、発光素子の輝度を調節する機能を有する。
【0195】
画像処理部430で生成された映像信号は、記憶装置441を経て、駆動回路450に出力される。記憶装置441は、画像データを一時的に格納する機能を有する。ソースドライバ451a、451bはそれぞれ、記憶装置441から入力された映像信号に対して各種の処理を行い、表示ユニット411a、411bに出力する機能を有する。
【0196】
タイミングコントローラ442は、駆動回路450、タッチセンサコントローラ461、表示ユニット411が有する駆動回路で用いられるタイミング信号などを生成する機能を有する。
【0197】
タッチセンサコントローラ461は、タッチセンサユニット412の動作を制御する機能を有する。タッチセンサユニット412で検出されたタッチ情報を含む信号は、タッチセンサコントローラ461で処理された後、インターフェース421を介してホスト470に送信される。ホスト470は、タッチ情報を反映した画像データを生成し、制御部420に送信する。なお、制御部420が画像データにタッチ情報を反映させる機能を有していてもよい。また、タッチセンサコントローラ461は、タッチセンサユニット412に設けられていてもよい。
【0198】
クロック生成回路426は、制御部420で使用されるクロック信号を生成する機能を有する。コントローラ425は、インターフェース421を介してホスト470から送られる各種制御信号を処理し、制御部420内の各種回路を制御する機能を有する。また、コントローラ425は、制御部420内の各種回路への電源供給を制御する機能を有する。例えばコントローラ425は、停止状態の回路への電源供給を一時的に遮断することができる。
【0199】
レジスタ443は、制御部420の動作に用いられるデータを格納する機能を有する。レジスタ443が格納するデータとしては、画像処理部430が補正処理を行うために使用するパラメータ、タイミングコントローラ442が各種タイミング信号の波形生成に用いるパラメータなどが挙げられる。レジスタ443は、複数のレジスタで構成されるスキャンチェーンレジスタによって構成することができる。
【0200】
また、制御部420には、光センサ480と接続されたセンサコントローラ424を設けることができる。光センサ480は、外光481を検知して、検知信号を生成する機能を有する。センサコントローラ424は、検知信号に基づいて制御信号を生成する機能を有する。センサコントローラ424で生成された制御信号は、例えば、コントローラ425に出力される。
【0201】
表示ユニット411aと表示ユニット411bが同じ映像を表示する場合、画像処理部430は、表示ユニット411aの映像信号と表示ユニット411bの映像信号とを分けて生成する機能を有する。この場合、光センサ480およびセンサコントローラ424を用いて測定した外光481の明るさに応じて、表示ユニット411aが有する反射型の液晶素子の反射強度と、表示ユニット411bが有する発光素子の発光強度を調整することができる。ここでは、当該調整を調光、あるいは調光処理と呼ぶ。また、当該処理を実行する回路を調光回路と呼ぶ。
【0202】
画像処理部430は、表示部410の仕様によって、RGB−RGBW変換回路など、他の処理回路を有していてもよい。RGB−RGBW変換回路とは、RGB(赤、緑、青)画像データを、RGBW(赤、緑、青、白)画像信号に変換する機能をもつ回路である。すなわち、表示部410がRGBW4色の画素を有する場合、画像データ内のW(白)成分を、W(白)画素を用いて表示することで、消費電力を低減することができる。なお、RGB−RGBW変換回路はこれに限らず、例えば、RGB−RGBY(赤、緑、青、黄)変換回路などでもよい。
【0203】
図16におけるガンマ補正回路431には、上記実施の形態で説明した補正回路22を用いることができる。これにより、表示ユニット411a、411bに適したガンマ補正を個別に行うことができる。
【0204】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0205】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した表示システムに用いることができる表示装置の構成例について説明する。
【0206】
以下に説明する表示装置は、上記実施の形態で説明した表示部に用いることができる。ここでは特に、反射型の素子と発光素子を用いて表示を行うことが可能な表示装置について説明する。
【0207】
図17(A)は、表示部に用いることができる表示装置500の構成の一例を示すブロック図である。表示装置500は、画素部501にマトリクス状に配列した複数の画素ユニット502を有する。また、表示装置500は、駆動回路503a、503bと、駆動回路504a、504bを有する。また、表示装置500は、方向Rに配列した複数の画素ユニット502、及び駆動回路503aと接続された複数の配線GLaと、方向Rに配列した複数の画素ユニット502、及び駆動回路503bと接続された複数の配線GLbを有する。また、表示装置500は、方向Cに配列した複数の画素ユニット502、及び駆動回路504aと接続された複数の配線SLaと、方向Cに配列した複数の画素ユニット502、及び駆動回路504bと接続された複数の配線SLbを有する。
【0208】
駆動回路503a、503bはそれぞれ、
図7における駆動回路60a、60bに対応する。また、駆動回路504a、504bはそれぞれ、
図7における駆動回路30a、30bに対応する。すなわち、表示装置500は、
図7における駆動回路30a、30bが表示部13に設けられた構成に対応する。ただし、駆動回路504a、504bは
図7における半導体装置12に設けられていてもよい。
【0209】
画素ユニット502は、反射型の液晶素子と、発光素子を有する。画素ユニット502において、液晶素子と発光素子とは、互いに重なる部分を有する。
【0210】
図17(B1)は、画素ユニット502が有する導電層530bの構成例を示す。導電層530bは、画素ユニット502における液晶素子の反射電極として機能する。また導電層530bには、開口540が設けられている。
【0211】
図17(B1)には、導電層530bと重なる領域に位置する発光素子520を破線で示している。発光素子520は、導電層530bが有する開口540と重ねて配置されている。これにより、発光素子520が発する光は、開口540を介して表示面側に射出される。
【0212】
図17(B1)では、方向Rに隣接する画素ユニット502が異なる色に対応する画素である。このとき、
図17(B1)に示すように、方向Rに隣接する2つの画素において、開口540が一列に配列されないように、導電層530bの異なる位置に設けられていることが好ましい。これにより、2つの発光素子520を離すことが可能で、発光素子520が発する光が隣接する画素ユニット502が有する着色層に入射してしまう現象(クロストークともいう)を抑制することができる。また、隣接する2つの発光素子520を離して配置することができるため、発光素子520のEL層をシャドウマスク等により作り分ける場合であっても、高い精細度の表示装置を実現できる。
【0213】
また、
図17(B2)に示すような配列としてもよい。
【0214】
非開口部の総面積に対する開口540の総面積の比の値が大きすぎると、液晶素子を用いた表示が暗くなってしまう。また、非開口部の総面積に対する開口540の総面積の比の値が小さすぎると、発光素子520を用いた表示が暗くなってしまう。
【0215】
また、反射電極として機能する導電層530bに設ける開口540の面積が小さすぎると、発光素子520が射出する光から取り出せる光の効率が低下してしまう。
【0216】
開口540の形状は、例えば多角形、四角形、楕円形、円形または十字等の形状とすることができる。また、細長い筋状、スリット状、市松模様状の形状としてもよい。また、開口540を隣接する画素に寄せて配置してもよい。好ましくは、開口540を同じ色を表示する他の画素に寄せて配置する。これにより、クロストークを抑制できる。
【0217】
<画素の構成例>
図18は、画素ユニット502の構成例を示す回路図である。
図18では、隣接する2つの画素ユニット502を示している。画素ユニット502はそれぞれ、画素505aと画素505bを有する。画素505a、505bはそれぞれ、
図7における画素51a、51bに相当する。
【0218】
画素505aは、スイッチSW1、容量素子C10、液晶素子510を有し、画素505bは、スイッチSW2、トランジスタM、容量素子C20、及び発光素子520を有する。また、画素505aは、配線SLa、配線GLa、配線CSCOMと接続されており、画素505bは、配線GLb、配線SLb、配線ANOと接続されている。なお、
図18では、液晶素子510と接続された配線VCOM1、及び発光素子520と接続された配線VCOM2を示している。また、
図18では、スイッチSW1及びスイッチSW2に、トランジスタを用いた場合の例を示している。
【0219】
スイッチSW1のゲートは配線GLaと接続され、ソース又はドレインの一方は配線SLaと接続され、ソース又はドレインの他方は容量素子C10の一方の電極、及び液晶素子510の一方の電極と接続されている。容量素子C10の他方の電極は、配線CSCOMと接続されている。液晶素子510の他方の電極は、配線VCOM1と接続されている。
【0220】
スイッチSW2のゲートは配線GLbと接続され、ソース又はドレインの一方は配線SLbと接続され、ソース又はドレインの他方は容量素子C20の一方の電極、トランジスタMのゲートと接続されている。容量素子C20の他方の電極はトランジスタMのソース又はドレインの一方、配線ANOと接続されている。トランジスタMのソース又はドレインの他方は発光素子520の一方の電極と接続されている。発光素子520の他方の電極は配線VCOM2と接続されている。
【0221】
図18では、トランジスタMが一対のゲートを有し、これらが接続されている例を示している。これにより、トランジスタMが流すことのできる電流を増大させることができる。
【0222】
配線VCOM1及び配線CSCOMには、それぞれ所定の電位を供給することができる。また、配線VCOM2及び配線ANOにはそれぞれ、発光素子520を発光させることが可能となる電位差を生じさせるための電位を供給することができる。
【0223】
図18に示す画素ユニット502は、例えば反射モードの表示を行う場合には、配線GLa及び配線SLaに供給される信号により画素505aを駆動することにより、液晶素子510による光学変調を利用して映像を表示することができる。また、透過モードで表示を行う場合には、配線GLb及び配線SLbに供給される信号により画素505bを駆動することにより、発光素子520を発光させて映像を表示することができる。また両方のモードで駆動する場合には、配線GLa、配線GLb、配線SLa及び配線SLbのそれぞれに供給される信号により、画素505a及び画素505bを駆動することができる。
【0224】
なお、
図18では一つの画素ユニット502に、一つの液晶素子510と一つの発光素子520とを有する例を示したが、これに限られない。例えば、
図19(A)に示すように、画素505bが複数の副画素506b(506br、506bg、506bb、506bw)を有していてもよい。副画素506br、506bg、506bb、506bwはそれぞれ、発光素子520r、520g、520b、520wを有する。
図19(A)に示す画素ユニット502は、
図18とは異なり、1つの画素ユニットでフルカラーの表示が可能な画素である。
【0225】
図19(A)では、画素505bに配線GLba、GLbb、SLba、SLbbが接続されている。
【0226】
図19(A)に示す例では、例えば4つの発光素子520として、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、及び白色(W)を呈する発光素子を用いることができる。また液晶素子510として、白色を呈する反射型の液晶素子を用いることができる。これにより、反射モードの表示を行う場合には、反射率の高い白色の表示を行うことができる。また透過モードで表示を行う場合には、演色性の高い表示を低い電力で行うことができる。
【0227】
また、
図19(B)には、画素ユニット502の構成例を示している。画素ユニット502は、導電層530が有する開口部と重なる発光素子520wと、導電層530の周囲に配置された発光素子520r、発光素子520g、及び発光素子520bとを有する。発光素子520r、発光素子520g、及び発光素子520bは、発光面積がほぼ同等であることが好ましい。
【0228】
なお、スイッチSW1及びスイッチSW2としては、OSトランジスタを用いることが好ましい。OSトランジスタを用いることにより、容量素子C10、C20に保持された電荷を極めて長期間保持することができる。そのため、半導体装置12によって映像信号が生成されない期間においても、画素ユニットに表示された映像を長期間維持することができる。これにより、上記実施の形態で説明した半導体装置12において長期間のパワーゲーティングを行うことができる。
【0229】
<表示装置の構成例>
図20は、本発明の一態様の表示装置500の斜視概略図である。表示装置500は、基板551と基板561とが貼り合わされた構成を有する。
図20では、基板561を破線で示している。
【0230】
表示装置500は、表示領域562、回路564、配線565等を有する。基板551には、例えば回路564、配線565、及び画素電極として機能する導電層530b等が設けられる。また、
図20では基板551上にIC573とFPC572が実装されている例を示している。そのため、
図20に示す構成は、表示装置500とFPC572及びIC573を有する表示モジュールと言うこともできる。
【0231】
回路564は、例えば駆動回路504として機能する回路を用いることができる。
【0232】
配線565は、表示領域562や回路564に信号や電力を供給する機能を有する。当該信号や電力は、FPC572を介して外部、またはIC573から配線565に入力される。
【0233】
また、
図20では、COG(Chip On Glass)方式等により、基板551にIC573が設けられている例を示している。IC573は、例えば駆動回路503、または駆動回路504などとしての機能を有するICを適用できる。なお表示装置500が駆動回路503及び駆動回路504として機能する回路を備える場合や、駆動回路503や駆動回路504として機能する回路を外部に設け、FPC572を介して表示装置500を駆動するための信号を入力する場合などでは、IC573を設けない構成としてもよい。また、IC573を、COF(Chip On Film)方式等により、FPC572に実装してもよい。
【0234】
図20には、表示領域562の一部の拡大図を示している。表示領域562には、複数の表示素子が有する導電層530bがマトリクス状に配置されている。導電層530bは、可視光を反射する機能を有し、後述する液晶素子510の反射電極として機能する。
【0235】
また、
図20に示すように、導電層530bは開口を有する。さらに導電層530bよりも基板551側に、発光素子520を有する。発光素子520からの光は、導電層530bの開口を介して基板561側に射出される。
【0236】
図21に、
図20で例示した表示装置の、FPC572を含む領域の一部、回路564を含む領域の一部、及び表示領域562を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
【0237】
表示装置500は、基板551と基板561の間に、絶縁層720を有する。また基板551と絶縁層720の間に、発光素子520、トランジスタ701、トランジスタ705、トランジスタ706、着色層634等を有する。また絶縁層720と基板561の間に、液晶素子510、着色層631等を有する。また基板561と絶縁層720は接着層641を介して接着され、基板551と絶縁層720は接着層642を介して接着されている。
【0238】
トランジスタ706は、液晶素子510と接続され、トランジスタ705は、発光素子520と接続されている。トランジスタ705とトランジスタ706は、いずれも絶縁層720の基板551側の面上に形成されているため、これらを同一の工程を用いて作製することができる。
【0239】
基板561には、着色層631、遮光層632、絶縁層621、及び液晶素子510の共通電極として機能する導電層613、配向膜633b、絶縁層617等が設けられている。絶縁層617は、液晶素子510のセルギャップを保持するためのスペーサとして機能する。
【0240】
絶縁層720の基板551側には、絶縁層711、絶縁層712、絶縁層713、絶縁層714、絶縁層715、絶縁層716等の絶縁層が設けられている。絶縁層711は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層712、絶縁層713、及び絶縁層714は、各トランジスタを覆って設けられている。また絶縁層714を覆って絶縁層716が設けられている。絶縁層714及び絶縁層716は、平坦化層としての機能を有する。なお、ここではトランジスタ等を覆う絶縁層として、絶縁層712、絶縁層713、絶縁層714の3層を有する場合について示しているが、これに限られず4層以上であってもよいし、単層、または2層であってもよい。また平坦化層として機能する絶縁層714は、不要であれば設けなくてもよい。
【0241】
また、トランジスタ701、トランジスタ705、及びトランジスタ706は、一部がゲートとして機能する導電層721、一部がソース又はドレインとして機能する導電層722、半導体層731を有する。ここでは、同一の膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパターンを付している。
【0242】
液晶素子510は反射型の液晶素子である。液晶素子510は、導電層530a、液晶612、導電層613が積層された積層構造を有する。また導電層530aの基板551側に接して、可視光を反射する導電層530bが設けられている。導電層530bは開口540を有する。また導電層530a及び導電層613は可視光を透過する材料を含む。また液晶612と導電層530aの間に配向膜633aが設けられ、液晶612と導電層613の間に配向膜633bが設けられている。また、基板561の外側の面には、偏光板630を有する。
【0243】
液晶素子510において、導電層530bは可視光を反射する機能を有し、導電層613は可視光を透過する機能を有する。基板561側から入射した光は、偏光板630により偏光され、導電層613、液晶612を透過し、導電層530bで反射する。そして液晶612及び導電層613を再度透過して、偏光板630に達する。このとき、導電層530bと導電層613の間に与える電圧によって液晶の配向を制御し、光の光学変調を制御することができる。すなわち、偏光板630を介して射出される光の強度を制御することができる。また、着色層631によって特定の波長領域以外の光が吸収されることにより、取り出される光は、例えば赤色を呈する光となる。
【0244】
発光素子520は、ボトムエミッション型の発光素子である。発光素子520は、絶縁層720側から導電層691、EL層692、及び導電層693bの順に積層された積層構造を有する。また導電層693bを覆って導電層693aが設けられている。導電層693bは可視光を反射する材料を含み、導電層691及び導電層693aは可視光を透過する材料を含む。発光素子520が発する光は、着色層634、絶縁層720、開口540、導電層613等を介して、基板561側に射出される。
【0245】
ここで、
図21に示すように、開口540には可視光を透過する導電層530aが設けられていることが好ましい。これにより、開口540と重なる領域においてもそれ以外の領域と同様に液晶612が配向するため、これらの領域の境界部で液晶の配向不良が生じ、意図しない光が漏れてしまうことを抑制できる。
【0246】
ここで、基板561の外側の面に配置する偏光板630として直線偏光板を用いてもよいが、円偏光板を用いることもできる。円偏光板としては、例えば直線偏光板と1/4波長位相差板を積層したものを用いることができる。これにより、外光反射を抑制することができる。また、偏光板の種類に応じて、液晶素子510に用いる液晶素子のセルギャップ、配向、駆動電圧等を調整することで、所望のコントラストが実現されるようにすればよい。
【0247】
また、導電層691の端部を覆う絶縁層716上には、絶縁層717が設けられている。絶縁層717は、絶縁層720と基板551が必要以上に接近することを抑制するスペーサとしての機能を有する。またEL層692や導電層693aを遮蔽マスク(メタルマスク)を用いて形成する場合には、当該遮蔽マスクが被形成面に接触することを抑制する機能を有していてもよい。なお、絶縁層717は不要であれば設けなくてもよい。
【0248】
トランジスタ705のソース又はドレインの一方は、導電層724を介して発光素子520の導電層691と接続されている。
【0249】
トランジスタ706のソース又はドレインの一方は、接続部707を介して導電層530bと接続されている。導電層530bと導電層530aは互いに接して設けられ、これらは接続されている。ここで、接続部707は、絶縁層720に設けられた開口を介して、絶縁層720の両面に設けられる導電層同士を接続する部分である。
【0250】
基板551と基板561が重ならない領域には、接続部704が設けられている。接続部704は、接続層742を介してFPC572と接続されている。接続部704は接続部707と同様の構成を有している。接続部704の上面は、導電層530aと同一の導電膜を加工して得られた導電層が露出している。これにより、接続部704とFPC572とを接続層742を介して接続することができる。
【0251】
接着層641が設けられる一部の領域には、接続部752が設けられている。接続部752において、導電層530aと同一の導電膜を加工して得られた導電層と、導電層613の一部が、接続体743により接続されている。したがって、基板561側に形成された導電層613に、基板551側に接続されたFPC572から入力される信号または電位を、接続部752を介して供給することができる。
【0252】
接続体743としては、例えば導電性の粒子を用いることができる。導電性の粒子としては、有機樹脂またはシリカなどの粒子の表面を金属材料で被覆したものを用いることができる。金属材料としてニッケルや金を用いると接触抵抗を低減できるため好ましい。またニッケルをさらに金で被覆するなど、2種類以上の金属材料を層状に被覆させた粒子を用いることが好ましい。また接続体743として、弾性変形、または塑性変形する材料を用いることが好ましい。このとき導電性の粒子である接続体743は、
図21に示すように上下方向に潰れた形状となる場合がある。こうすることで、接続体743と、これと電気的に接続する導電層との接触面積が増大し、接触抵抗を低減できるほか、接続不良などの不具合の発生を抑制することができる。
【0253】
接続体743は、接着層641に覆われるように配置することが好ましい。例えば、硬化前の接着層641に接続体743を分散させておけばよい。
【0254】
図21では、回路564の例としてトランジスタ701が設けられている例を示している。
【0255】
図21では、トランジスタ701及びトランジスタ705の例として、チャネルが形成される半導体層731を一対のゲートで挟持する構成が適用されている。一方のゲートは導電層721により、他方のゲートは絶縁層712を介して半導体層731と重なる導電層723により構成されている。このような構成とすることで、トランジスタのしきい値電圧を制御することができる。このとき、2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。このようなトランジスタは他のトランジスタと比較して電界効果移動度を高めることが可能であり、オン電流を増大させることができる。その結果、高速駆動が可能な回路を作製することができる。さらには、回路部の占有面積を縮小することが可能となる。オン電流の大きなトランジスタを適用することで、表示装置を大型化、または高精細化したときに配線数が増大したとしても、各配線における信号遅延を低減することが可能であり、表示ムラを抑制することができる。
【0256】
なお、回路564が有するトランジスタと、表示領域562が有するトランジスタは、同じ構造であってもよい。また回路564が有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であってもよいし、異なる構造のトランジスタを組み合わせて用いてもよい。また、表示領域562が有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であってもよいし、異なる構造のトランジスタを組み合わせて用いてもよい。
【0257】
各トランジスタを覆う絶縁層712、絶縁層713のうち少なくとも一方は、水や水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。すなわち、絶縁層712または絶縁層713はバリア膜として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに対して外部から不純物が拡散することを効果的に抑制することが可能となり、信頼性の高い表示装置を実現できる。
【0258】
基板561側において、着色層631、遮光層632を覆って絶縁層621が設けられている。絶縁層621は、平坦化層としての機能を有していてもよい。絶縁層621により、導電層613の表面を概略平坦にできるため、液晶612の配向状態を均一にできる。
【0259】
表示装置500を作製する方法の一例について説明する。例えば剥離層を有する支持基板上に、導電層530a、導電層530b、絶縁層720を順に形成し、その後、トランジスタ705、トランジスタ706、発光素子520等を形成した後、接着層642を用いて基板551と支持基板を貼り合せる。その後、剥離層と絶縁層720、及び剥離層と導電層530aのそれぞれの界面で剥離することにより、支持基板及び剥離層を除去する。またこれとは別に、着色層631、遮光層632、導電層613等をあらかじめ形成した基板561を準備する。そして基板551または基板561に液晶612を滴下し、接着層641により基板551と基板561を貼り合せることで、表示装置500を作製することができる。
【0260】
剥離層としては、絶縁層720及び導電層530aとの界面で剥離が生じる材料を適宜選択することができる。特に、剥離層としてタングステンなどの高融点金属材料を含む層と当該金属材料の酸化物を含む層を積層して用い、剥離層上の絶縁層720として、窒化シリコンや酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等を複数積層した層を用いることが好ましい。剥離層に高融点金属材料を用いると、これよりも後に形成する層の形成温度を高めることが可能で、不純物の濃度が低減され、信頼性の高い表示装置を実現できる。
【0261】
導電層530aとしては、金属酸化物や金属窒化物などを用いることが好ましい。金属酸化物を用いる場合には、水素、ボロン、リン、窒素、及びその他の不純物の濃度、並びに酸素欠損量の少なくとも一が、トランジスタに用いる半導体層に比べて高められた材料を、導電層530aに用いればよい。
【0262】
以下では、上記に示す各構成要素について説明する。
【0263】
[基板]
表示装置が有する基板には、平坦面を有する材料を用いることができる。表示素子からの光を取り出す側の基板には、該光を透過する材料を用いる。例えば、ガラス、石英、セラミック、サファイア、有機樹脂などの材料を用いることができる。
【0264】
厚さの薄い基板を用いることで、表示装置の軽量化、薄型化を図ることができる。さらに、可撓性を有する程度の厚さの基板を用いることで、可撓性を有する表示装置を実現できる。
【0265】
また、発光を取り出さない側の基板は、透光性を有していなくてもよいため、上記に挙げた基板の他に、金属基板等を用いることもできる。金属基板は熱伝導性が高く、基板全体に熱を容易に伝導できるため、表示装置の局所的な温度上昇を抑制することができ、好ましい。可撓性や曲げ性を得るためには、金属基板の厚さは、10μm以上200μm以下が好ましく、20μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0266】
金属基板を構成する材料としては、特に限定はないが、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属、もしくはアルミニウム合金またはステンレス等の合金などを好適に用いることができる。
【0267】
また、金属基板の表面を酸化する、又は表面に絶縁膜を形成するなどにより、絶縁処理が施された基板を用いてもよい。例えば、スピンコート法やディップ法などの塗布法、電着法、蒸着法、又はスパッタリング法などを用いて絶縁膜を形成してもよいし、酸素雰囲気で放置する又は加熱するほか、陽極酸化法などによって、基板の表面に酸化膜を形成してもよい。
【0268】
可撓性及び可視光に対する透過性を有する材料としては、例えば、可撓性を有する程度の厚さのガラスや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂等が挙げられる。特に、熱膨張係数の低い材料を用いることが好ましく、例えば、熱膨張係数が30×10
−6/K以下であるポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、PET等を好適に用いることができる。また、ガラス繊維に有機樹脂を含浸した基板や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜて熱膨張係数を下げた基板を使用することもできる。このような材料を用いた基板は、重量が軽いため、該基板を用いた表示装置も軽量にすることができる。
【0269】
上記材料中に繊維体が含まれている場合、繊維体は有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いる。高強度繊維とは、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維のことを言い、代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。これらは、織布または不織布の状態で用い、この繊維体に樹脂を含浸させ樹脂を硬化させた構造物を、可撓性を有する基板として用いてもよい。可撓性を有する基板として、繊維体と樹脂からなる構造物を用いると、曲げや局所的押圧による破損に対する信頼性が向上するため、好ましい。
【0270】
または、可撓性を有する程度に薄いガラス、金属などを基板に用いることもできる。または、ガラスと樹脂材料とが接着層により貼り合わされた複合材料を用いてもよい。
【0271】
可撓性を有する基板に、表示装置の表面を傷などから保護するハードコート層(例えば、窒化シリコン、酸化アルミニウムなど)や、押圧を分散可能な材質の層(例えば、アラミド樹脂など)等が積層されていてもよい。また、水分等による表示素子の寿命の低下等を抑制するために、可撓性を有する基板に透水性の低い絶縁膜が積層されていてもよい。例えば、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等の無機絶縁材料を用いることができる。
【0272】
基板は、複数の層を積層して用いることもできる。特に、ガラス層を有する構成とすると、水や酸素に対するバリア性を向上させ、信頼性の高い表示装置とすることができる。
【0273】
[トランジスタ]
トランジスタは、ゲート電極として機能する導電層と、半導体層と、ソース電極として機能する導電層と、ドレイン電極として機能する導電層と、ゲート絶縁層として機能する絶縁層と、を有する。上記では、ボトムゲート構造のトランジスタを適用した場合を示している。
【0274】
なお、本発明の一態様の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型又はボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が設けられていてもよい。
【0275】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0276】
また、トランジスタに用いる半導体材料としては、例えば、第14族の元素(シリコン、ゲルマニウム等)、又は金属酸化物を半導体層に用いることができる。代表的には、シリコンを含む半導体、ガリウムヒ素を含む半導体又はインジウムを含む金属酸化物などを適用できる。
【0277】
特にシリコンよりもバンドギャップの大きな金属酸化物を適用することが好ましい。シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい半導体材料を用いると、トランジスタのオフ状態における電流を低減できるため好ましい。
【0278】
シリコンよりもバンドギャップの大きな金属酸化物を用いたトランジスタは、その低いオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。このようなトランジスタを画素に適用することで、各表示領域に表示した画像の階調を維持しつつ、駆動回路を停止することも可能となる。その結果、極めて消費電力の低減された表示装置を実現できる。
【0279】
半導体層は、例えば少なくともインジウム、亜鉛及びM(アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジムまたはハフニウム等の金属)を含むIn−M−Zn系酸化物で表記される膜を含むことが好ましい。また、該半導体層を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、スタビライザーを含むことが好ましい。
【0280】
スタビライザーとしては、上記Mで記載の金属を含め、例えば、ガリウム、スズ、ハフニウム、アルミニウム、またはジルコニウム等がある。また、他のスタビライザーとしては、ランタノイドである、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム等がある。
【0281】
半導体層を構成する金属酸化物として、例えば、In−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、In−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0282】
なお、ここで、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
【0283】
また、半導体層と導電層は、上記酸化物のうち同一の金属元素を有していてもよい。半導体層と導電層を同一の金属元素とすることで、製造コストを低減させることができる。例えば、同一の金属組成の金属酸化物ターゲットを用いることで、製造コストを低減させることができる。また半導体層と導電層を加工する際のエッチングガスまたはエッチング液を共通して用いることができる。ただし、半導体層と導電層は、同一の金属元素を有していても、組成が異なる場合がある。例えば、トランジスタ及び容量素子の作製工程中に、膜中の金属元素が脱離し、異なる金属組成となる場合がある。
【0284】
半導体層を構成する金属酸化物は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上であることが好ましい。このように、エネルギーギャップの広い金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0285】
半導体層を構成する金属酸化物がIn−M−Zn酸化物の場合、In−M−Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2、4:2:4.1等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、誤差として上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0286】
半導体層には、キャリア密度の低い金属酸化物を用いることが好ましい。例えば、半導体層は、キャリア密度が1×10
17/cm
3以下、好ましくは1×10
15/cm
3以下、さらに好ましくは1×10
13/cm
3以下、より好ましくは1×10
11/cm
3以下、さらに好ましくは1×10
10/cm
3未満であり、1×10
−9/cm
3以上のキャリア密度の金属酸化物を用いることができる。このような半導体層は、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低いため、安定な特性を有する。
【0287】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0288】
半導体層を構成する金属酸化物において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、半導体層において酸素欠損が増加し、n型化してしまう場合がある。このため、半導体層におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×10
18atoms/cm
3以下、好ましくは2×10
17atoms/cm
3以下とすることが好ましい。
【0289】
また、アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、金属酸化物と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため半導体層における二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×10
18atoms/cm
3以下、好ましくは2×10
16atoms/cm
3以下にすることが好ましい。
【0290】
また、半導体層は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高い。
【0291】
非晶質構造の金属酸化物は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さない。
【0292】
なお、半導体層が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、単結晶構造の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積層構造を有する場合がある。
【0293】
または、トランジスタのチャネルが形成される半導体に、シリコンを用いることが好ましい。シリコンとしてアモルファスシリコンを用いてもよいが、特に結晶性を有するシリコンを用いることが好ましい。例えば、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどを用いることが好ましい。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温で形成でき、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備える。このような多結晶半導体を画素に適用することで画素の開口率を向上させることができる。また極めて高精細な表示部とする場合であっても、駆動回路を画素と同一基板上に形成することが可能となり、電子機器を構成する部品数を低減することができる。
【0294】
本実施の形態で例示したボトムゲート構造のトランジスタは、作製工程を削減できるため好ましい。またこのときアモルファスシリコンを用いることで、多結晶シリコンよりも低温で形成できるため、半導体層よりも下層の配線や電極の材料、基板の材料として、耐熱性の低い材料を用いることが可能なため、材料の選択の幅を広げることができる。例えば、極めて大面積のガラス基板などを好適に用いることができる。一方、トップゲート型のトランジスタは、自己整合的に不純物領域を形成しやすいため、特性のばらつきなどを低減することができるため好ましい。このとき特に、多結晶シリコンや単結晶シリコンなどを用いる場合に適している。
【0295】
[導電層]
トランジスタのゲート、ソースおよびドレインのほか、表示装置を構成する各種配線および電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金などが挙げられる。またこれらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛等の酸化物を用いてもよい。また、マンガンを含む銅を用いると、エッチングによる形状の制御性が高まるため好ましい。
【0296】
また、透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグラフェンを用いることができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、またはチタンなどの金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそれらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすればよい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。これらは、表示装置を構成する各種配線および電極などの導電層や、表示素子が有する導電層(画素電極や共通電極として機能する導電層)にも用いることができる。
【0297】
[絶縁層]
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シリコーンなどのシロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
【0298】
また発光素子は、一対の透水性の低い絶縁膜の間に設けられていることが好ましい。これにより、発光素子に水等の不純物が侵入することを抑制でき、装置の信頼性の低下を抑制できる。
【0299】
透水性の低い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を含む膜や、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。また、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
【0300】
例えば、透水性の低い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10
−5[g/(m
2・day)]以下、好ましくは1×10
−6[g/(m
2・day)]以下、より好ましくは1×10
−7[g/(m
2・day)]以下、さらに好ましくは1×10
−8[g/(m
2・day)]以下とする。
【0301】
[液晶素子]
液晶素子としては、例えば垂直配向(VA:Vertical Alignment)モードが適用された液晶素子を用いることができる。垂直配向モードとしては、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASV(Advanced Super View)モードなどを用いることができる。
【0302】
また、液晶素子には、様々なモードが適用された液晶素子を用いることができる。例えばVAモードのほかに、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード等が適用された液晶素子を用いることができる。
【0303】
なお、液晶素子は、液晶の光学的変調作用によって光の透過または非透過を制御する素子である。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の電界又は斜め方向の電界を含む)によって制御される。なお、液晶素子に用いる液晶としては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
【0304】
また、液晶材料としては、ポジ型の液晶、またはネガ型の液晶のいずれを用いてもよく、適用するモードや設計に応じて最適な液晶材料を用いればよい。
【0305】
また、液晶の配向を制御するため、配向膜を設けることができる。なお、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方性である。また、ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。
【0306】
また、液晶素子として、透過型の液晶素子、反射型の液晶素子、または半透過型の液晶素子などを用いることができる。本発明の一態様では、特に反射型の液晶素子を用いることが好ましい。
【0307】
透過型または半透過型の液晶素子を用いる場合、一対の基板を挟むように、2つの偏光板を設ける。また偏光板よりも外側に、バックライトを設ける。バックライトとしては、直下型のバックライトであってもよいし、エッジライト型のバックライトであってもよい。LED(Light Emitting Diode)を備える直下型のバックライトを用いると、ローカルディミングが容易となり、コントラストを高めることができるため好ましい。また、エッジライト型のバックライトを用いると、バックライトを含めたモジュールの厚さを低減できるため好ましい。
【0308】
反射型の液晶素子を用いる場合には、表示面側に偏光板を設ける。またこれとは別に、表示面側に光拡散板を配置すると、視認性を向上させられるため好ましい。
【0309】
また、反射型、または半透過型の液晶素子を用いる場合、偏光板よりも外側に、フロントライトを設けてもよい。フロントライトとしては、エッジライト型のフロントライトを用いることが好ましい。LED(Light Emitting Diode)を備えるフロントライトを用いると、消費電力を低減できるため好ましい。
【0310】
[発光素子]
発光素子は、トップエミッション型、ボトムエミッション型、デュアルエミッション型などがある。光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。本発明の一態様では、特にボトムエミッション型の発光素子を用いることが好ましい。
【0311】
EL層は少なくとも発光層を有する。EL層は、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。
【0312】
EL層には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。EL層を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0313】
陰極と陽極の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層に陽極側から正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層において再結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する。
【0314】
発光素子として、白色発光の発光素子を適用する場合には、EL層に2種類以上の発光物質を含む構成とすることが好ましい。例えば2以上の発光物質の各々の発光が補色の関係となるように、発光物質を選択することにより白色発光を得ることができる。例えば、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、O(橙)等の発光を示す発光物質、またはR、G、Bのうち2以上の色のスペクトル成分を含む発光を示す発光物質のうち、2以上を含むことが好ましい。また、発光素子からの発光のスペクトルが、可視光領域の波長(例えば350nm以上750nm以下)の範囲内に2以上のピークを有する発光素子を適用することが好ましい。また、黄色の波長領域にピークを有する材料の発光スペクトルは、緑色及び赤色の波長領域にもスペクトル成分を有する材料であることが好ましい。
【0315】
EL層は、一の色を発光する発光材料を含む発光層と、他の色を発光する発光材料を含む発光層とが積層された構成とすることが好ましい。例えば、EL層における複数の発光層は、互いに接して積層されていてもよいし、いずれの発光材料も含まない領域を介して積層されていてもよい。例えば、蛍光発光層と燐光発光層との間に、当該蛍光発光層または燐光発光層と同一の材料(例えばホスト材料、アシスト材料)を含み、且ついずれの発光材料も含まない領域を設ける構成としてもよい。これにより、発光素子の作製が容易になり、また、駆動電圧が低減される。
【0316】
また、発光素子は、EL層を1つ有するシングル素子であってもよいし、複数のEL層が電荷発生層を介して積層されたタンデム素子であってもよい。
【0317】
可視光を透過する導電膜は、例えば、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などを用いて形成することができる。また、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、もしくはチタン等の金属材料、これら金属材料を含む合金、又はこれら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等も、透光性を有する程度に薄く形成することで用いることができる。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウム錫酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。また、グラフェン等を用いてもよい。
【0318】
可視光を反射する導電膜は、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、又はこれら金属材料を含む合金を用いることができる。また、上記金属材料や合金に、ランタン、ネオジム、又はゲルマニウム等が添加されていてもよい。また、チタン、ニッケル、またはネオジムと、アルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)を用いてもよい。また銅、パラジウム、マグネシウムと、銀を含む合金を用いてもよい。銀と銅を含む合金は、耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜に接して金属膜又は金属酸化物膜を積層することで、酸化を抑制することができる。このような金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタンや酸化チタンなどが挙げられる。また、上記可視光を透過する導電膜と金属材料からなる膜とを積層してもよい。例えば、銀とインジウム錫酸化物の積層膜、銀とマグネシウムの合金とインジウム錫酸化物の積層膜などを用いることができる。
【0319】
電極は、それぞれ、蒸着法やスパッタリング法を用いて形成すればよい。そのほか、インクジェット法などの吐出法、スクリーン印刷法などの印刷法、又はメッキ法を用いて形成することができる。
【0320】
なお、上述した、発光層、ならびに正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、電子輸送性の高い物質、及び電子注入性の高い物質、バイポーラ性の物質等を含む層は、それぞれ量子ドットなどの無機化合物や、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を有していてもよい。例えば、量子ドットを発光層に用いることで、発光材料として機能させることもできる。
【0321】
なお、量子ドット材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料などを用いることができる。また、12族と16族、13族と15族、または14族と16族の元素グループを含む材料を用いてもよい。または、カドミウム、セレン、亜鉛、硫黄、リン、インジウム、テルル、鉛、ガリウム、ヒ素、アルミニウム等の元素を含む量子ドット材料を用いてもよい。
【0322】
[接着層]
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0323】
また、上記樹脂に乾燥剤を含んでいてもよい。例えば、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸着する物質を用いることができる。または、ゼオライトやシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。乾燥剤が含まれていると、水分などの不純物が素子に侵入することを抑制でき、表示装置の信頼性が向上するため好ましい。
【0324】
また、上記樹脂に屈折率の高いフィラーや光散乱部材を混合することにより、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、酸化チタン、酸化バリウム、ゼオライト、ジルコニウム等を用いることができる。
【0325】
[接続層]
接続層としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0326】
[着色層]
着色層に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、顔料または染料が含まれた樹脂材料などが挙げられる。
【0327】
[遮光層]
遮光層として用いることのできる材料としては、カーボンブラック、チタンブラック、金属、金属酸化物、複数の金属酸化物の固溶体を含む複合酸化物等が挙げられる。遮光層は、樹脂材料を含む膜であってもよいし、金属などの無機材料の薄膜であってもよい。また、遮光層に、着色層の材料を含む膜の積層膜を用いることもできる。例えば、ある色の光を透過する着色層に用いる材料を含む膜と、他の色の光を透過する着色層に用いる材料を含む膜との積層構造を用いることができる。着色層と遮光層の材料を共通化することで、装置を共通化できるほか工程を簡略化できるため好ましい。
【0328】
以上が各構成要素についての説明である。
【0329】
[作製方法例]
次に、可撓性を有する基板を用いた表示装置の作製方法の例について説明する。
【0330】
ここでは、表示素子、回路、配線、電極、着色層や遮光層などの光学部材、及び絶縁層等が含まれる層をまとめて素子層と呼ぶこととする。例えば、素子層は表示素子を含み、表示素子の他に表示素子と電気的に接続する配線、画素や回路に用いるトランジスタなどの素子を備えていてもよい。
【0331】
また、ここでは、表示素子が完成した(作製工程が終了した)段階において、素子層を支持し、可撓性を有する部材のことを、基板と呼ぶこととする。例えば、基板には、厚さが10nm以上300μm以下の、極めて薄いフィルム等も含まれる。
【0332】
可撓性を有し、絶縁表面を備える基板上に素子層を形成する方法としては、代表的には以下に挙げる2つの方法がある。一つは、基板上に直接、素子層を形成する方法である。もう一つは、基板とは異なる支持基材上に素子層を形成した後、素子層と支持基材を剥離し、素子層を基板に転置する方法である。なお、ここでは詳細に説明しないが、上記2つの方法に加え、可撓性を有さない基板上に素子層を形成し、当該基板を研磨等により薄くすることで可撓性を持たせる方法もある。
【0333】
基板を構成する材料が、素子層の形成工程にかかる熱に対して耐熱性を有する場合には、基板上に直接、素子層を形成すると、工程が簡略化されるため好ましい。このとき、基板を支持基材に固定した状態で素子層を形成すると、装置内、及び装置間における搬送が容易になるため好ましい。
【0334】
また、素子層を支持基材上に形成した後に、基板に転置する方法を用いる場合、まず支持基材上に剥離層と絶縁層を積層し、当該絶縁層上に素子層を形成する。続いて、支持基材と素子層の間で剥離し、素子層を基板に転置する。このとき、支持基材と剥離層の界面、剥離層と絶縁層の界面、または剥離層中で剥離が生じるような材料を選択すればよい。この方法では、支持基材や剥離層に耐熱性の高い材料を用いることで、素子層を形成する際にかかる温度の上限を高めることができ、より信頼性の高い素子を有する素子層を形成できるため、好ましい。
【0335】
例えば剥離層として、タングステンなどの高融点金属材料を含む層と、当該金属材料の酸化物を含む層を積層して用い、剥離層上の絶縁層として、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどを複数積層した層を用いることが好ましい。なお、本明細書中において、酸化窒化物は、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化物は、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。
【0336】
素子層と支持基材とを剥離する方法としては、機械的な力を加えることや、剥離層をエッチングすること、または剥離界面に液体を浸透させることなどが、一例として挙げられる。または、剥離界面を形成する2層の熱膨張係数の違いを利用し、加熱または冷却することにより剥離を行ってもよい。
【0337】
また、支持基材と絶縁層の界面で剥離が可能な場合には、剥離層を設けなくてもよい。
【0338】
例えば、支持基材としてガラスを用い、絶縁層としてポリイミドなどの有機樹脂を用いることができる。このとき、レーザ光等を用いて有機樹脂の一部を局所的に加熱する、または鋭利な部材により物理的に有機樹脂の一部を切断、または貫通すること等により剥離の起点を形成し、ガラスと有機樹脂の界面で剥離を行ってもよい。
【0339】
または、支持基材と有機樹脂からなる絶縁層の間に発熱層を設け、当該発熱層を加熱することにより、当該発熱層と絶縁層の界面で剥離を行ってもよい。発熱層としては、電流を流すことにより発熱する材料、光を吸収することにより発熱する材料、磁場を印加することにより発熱する材料など、様々な材料を用いることができる。例えば発熱層としては、半導体、金属、絶縁体から選択して用いることができる。
【0340】
なお、上述した方法において、有機樹脂からなる絶縁層は、剥離後に基板として用いることができる。
【0341】
以上が可撓性を有する表示装置を作製する方法についての説明である。
【0342】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0343】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態において用いることができるOSトランジスタの構成例について説明する。
【0344】
<トランジスタの構成例>
図22(A)は、トランジスタの構成例を示す上面図である。
図22(B)は、
図22(A)のX1−X2線断面図であり、
図22(C)はY1−Y2線断面図である。ここでは、X1−X2線の方向をチャネル長方向と、Y1−Y2線方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
図22(B)は、トランジスタのチャネル長方向の断面構造を示す図であり、
図22(C)は、トランジスタのチャネル幅方向の断面構造を示す図である。なお、デバイス構造を明確にするため、
図22(A)では、一部の構成要素が省略されている。
【0345】
本発明の一態様に係る半導体装置は、絶縁層812乃至820、金属酸化物膜821乃至824、導電層850乃至853を有する。トランジスタ801は絶縁表面に形成される。
図22では、トランジスタ801が絶縁層811上に形成される場合を例示している。トランジスタ801は絶縁層818及び絶縁層819で覆われている。
【0346】
なお、トランジスタ801を構成している絶縁層、金属酸化物膜、導電層等は、単層であっても、複数の膜が積層されたものであってもよい。これらの作製には、スパッタリング法、分子線エピタキシー法(MBE法)、パルスレーザアブレーション法(PLA法)、CVD法、原子層堆積法(ALD法)などの各種の成膜方法を用いることができる。なお、CVD法は、プラズマCVD法、熱CVD法、有機金属CVD法などがある。
【0347】
導電層850は、トランジスタ801のゲート電極として機能する領域を有する。導電層851、導電層852は、ソース電極又はドレイン電極として機能する領域を有する。導電層853は、バックゲート電極として機能する領域を有する。絶縁層817は、ゲート電極(フロントゲート電極)側のゲート絶縁層として機能する領域を有し、絶縁層814乃至絶縁層816の積層で構成される絶縁層は、バックゲート電極側のゲート絶縁層として機能する領域を有する。絶縁層818は層間絶縁層としての機能を有する。絶縁層819はバリア層としてとしての機能を有する。
【0348】
金属酸化物膜821乃至824をまとめて酸化物層830と呼ぶ。
図22(B)、
図22(C)に示すように、酸化物層830は、金属酸化物膜821、金属酸化物膜822、金属酸化物膜824が順に積層されている領域を有する。また、一対の金属酸化物膜823は、それぞれ導電層851、導電層852上に位置する。トランジスタ801がオン状態のとき、チャネル形成領域は酸化物層830のうち主に金属酸化物膜822に形成される。
【0349】
金属酸化物膜824は、金属酸化物膜821乃至823、導電層851、導電層852を覆っている。絶縁層817は金属酸化物膜823と導電層850との間に位置する。導電層851、導電層852はそれぞれ、金属酸化物膜823、金属酸化物膜824、絶縁層817を介して、導電層850と重なる領域を有する。
【0350】
導電層851及び導電層852は、金属酸化物膜821及び金属酸化物膜822を形成するためのハードマスクから作製されている。そのため、導電層851及び導電層852は、金属酸化物膜821および金属酸化物膜822の側面に接する領域を有していない。例えば、次のような工程を経て、金属酸化物膜821、822、導電層851、導電層852を作製することができる。まず、積層された2層の金属酸化物膜上に導電膜を形成する。この導電膜を所望の形状に加工(エッチング)して、ハードマスクを形成する。ハードマスクを用いて、2層の金属酸化物膜の形状を加工し、積層された金属酸化物膜821及び金属酸化物膜822を形成する。次に、ハードマスクを所望の形状に加工して、導電層851及び導電層852を形成する。
【0351】
絶縁層811乃至818に用いられる絶縁材料には、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化シリコン、酸化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、アルミニウムシリケートなどがある。絶縁層811乃至818はこれらの絶縁材料でなる単層、又は積層して構成される。絶縁層811乃至818を構成する層は、複数の絶縁材料を含んでいてもよい。
【0352】
なお、本明細書等において、酸化窒化物とは、酸素の含有量が窒素よりも多い化合物であり、窒化酸化物とは、窒素の含有量が酸素よりも多い化合物のことを意味する。
【0353】
酸化物層830の酸素欠損の増加を抑制するため、絶縁層816乃至絶縁層818は、酸素を含む絶縁層であることが好ましい。絶縁層816乃至絶縁層818は、加熱により酸素が放出される絶縁膜(以下、「過剰酸素を含む絶縁膜」ともいう)で形成されることがより好ましい。過剰酸素を含む絶縁膜から酸化物層830に酸素を供給することで、酸化物層830の酸素欠損を補償することができる。したがって、トランジスタ801の信頼性および電気的特性を向上することができる。
【0354】
過剰酸素を含む絶縁層とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy:昇温脱離ガス分光法)において、膜の表面温度が100℃以上700℃以下、又は100℃以上500℃以下の範囲における酸素分子の放出量が1.0×10
18分子/cm
3以上である膜とする。酸素分子の放出量は、3.0×10
20分子/cm
3以上であることがより好ましい。
【0355】
過剰酸素を含む絶縁膜は、絶縁膜に酸素を添加する処理を行って形成することができる。酸素を添加する処理は、酸素雰囲気下による熱処理や、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、又はプラズマ処理などを用いて行うことができる。酸素を添加するためのガスとしては、
16O
2もしくは
18O
2などの酸素ガス、亜酸化窒素ガス又はオゾンガスなどを用いることができる。
【0356】
酸化物層830の水素濃度の増加を防ぐために、絶縁層812乃至819中の水素濃度を低減することが好ましい。特に絶縁層813乃至818の水素濃度を低減することが好ましい。具体的には、水素濃度は、2×10
20atoms/cm
3以下であり、好ましくは5×10
19atoms/cm
3以下が好ましく、1×10
19atoms/cm
3以下がより好ましく、5×10
18atoms/cm
3以下がさらに好ましい。
【0357】
上掲の水素濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)で測定された値である。
【0358】
トランジスタ801において、酸素および水素に対してバリア性をもつ絶縁層(以下、バリア層ともいう)によって酸化物層830が包み込まれる構造であることが好ましい。このような構造であることで、酸化物層830から酸素が放出されること、酸化物層830に水素が侵入することを抑えることができる。トランジスタ801の信頼性、電気的特性を向上できる。
【0359】
例えば、絶縁層819をバリア層として機能させ、かつ絶縁層811、812、814の少なくとも1つをバリア層として機能させればよい。バリア層は、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、窒化シリコンなどの材料で形成することができる。
【0360】
絶縁層811乃至818の構成例を記す。この例では、絶縁層811、812、815、819は、それぞれ、バリア層として機能する。絶縁層816乃至818は過剰酸素を含む酸化物層である。絶縁層811は窒化シリコンであり、絶縁層812は酸化アルミニウムであり、絶縁層813は酸化窒化シリコンである。バックゲート電極側のゲート絶縁層としての機能を有する絶縁層814乃至816は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化シリコンの積層である。フロントゲート側のゲート絶縁層としての機能を有する絶縁層817は、酸化窒化シリコンである。層間絶縁層としての機能を有する絶縁層818は、酸化シリコンである。絶縁層819は酸化アルミニウムである。
【0361】
導電層850乃至853に用いられる導電材料には、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウム等の金属、又は上述した金属を成分とする金属窒化物(窒化タンタル、窒化チタン、窒化モリブデン、窒化タングステン)等がある。インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を用いることができる。
【0362】
導電層850乃至853の構成例を記す。導電層850は窒化タンタル、又はタングステン単層、又は窒化タンタルとタングステンとの積層(導電層850a、850b)である。あるいは、導電層850は窒化タンタル、タンタルおよび窒化タンタルでなる積層である。導電層851は、窒化タンタル単層、又は窒化タンタルとタングステンとの積層である。導電層852の構成は導電層851と同じである。導電層853は窒化タンタル単層、又は窒化タンタルとタングステンとの積層(導電層853a、853b)である。
【0363】
トランジスタ801のオフ電流の低減のために、金属酸化物膜822は、例えば、エネルギーギャップが大きいことが好ましい。金属酸化物膜822のエネルギーギャップは、2.5eV以上4.2eV以下であり、2.8eV以上3.8eV以下が好ましく、3eV以上3.5eV以下がさらに好ましい。
【0364】
酸化物層830は、結晶性を有することが好ましい。少なくとも、金属酸化物膜822は結晶性を有することが好ましい。上記構成により、信頼性、および電気的特性の良いトランジスタ801を実現できる。
【0365】
金属酸化物膜822に適用できる酸化物は、例えば、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物、In−M−Zn酸化物(MはAl、Ga、Y、又はSn)である。金属酸化物膜822は、インジウムを含む酸化物層に限定されない。金属酸化物膜822は、例えば、Zn−Sn酸化物、Ga−Sn酸化物、Zn−Mg酸化物等で形成することができる。金属酸化物膜821、823、824も、金属酸化物膜822と同様の酸化物で形成することができる。特に、金属酸化物膜821、823、824は、それぞれ、Ga酸化物で形成することができる。
【0366】
金属酸化物膜822と金属酸化物膜821の界面に界面準位が形成されると、界面近傍の領域にもチャネル形成領域が形成されるために、トランジスタ801の閾値電圧が変動してしまう。そのため、金属酸化物膜821は、構成要素として、金属酸化物膜822を構成する金属元素の少なくとも1つを含むことが好ましい。これにより、金属酸化物膜822と金属酸化物膜821の界面には、界面準位が形成されにくくなり、トランジスタ801の閾値電圧等の電気的特性のばらつきを低減することができる。
【0367】
金属酸化物膜824は、構成要素として、金属酸化物膜822を構成する金属元素の少なくとも1つを含むことが好ましい。これにより、金属酸化物膜822と金属酸化物膜824との界面では、界面散乱が起こりにくくなり、キャリアの動きが阻害されにくくなるので、トランジスタ801の電界効果移動度を高くすることができる。
【0368】
金属酸化物膜821乃至824のうち、金属酸化物膜822のキャリア移動度が最も高いことが好ましい。これにより、絶縁層816、817から離間している金属酸化物膜822にチャネルを形成することができる。
【0369】
例えば、In−M−Zn酸化物等のIn含有金属酸化物は、Inの含有率を高めることで、キャリア移動度を高めることができる。In−M−Zn酸化物では主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、インジウムの含有率を多くすることにより、より多くのs軌道が重なるため、インジウムの含有率が多い酸化物はインジウムの含有率が少ない酸化物と比較して移動度が高くなる。そのため、金属酸化物膜にインジウムの含有量が多い酸化物を用いることで、キャリア移動度を高めることができる。
【0370】
そのため、例えば、In−Ga−Zn酸化物で金属酸化物膜822を形成し、Ga酸化物で金属酸化物膜821、823、824を形成する。例えば、In−M−Zn酸化物で、金属酸化物膜821乃至824を形成する場合、Inの含有率は金属酸化物膜822のInの含有率を金属酸化物膜821、823、824よりも高くする。In−M−Zn酸化物をスパッタリング法で形成する場合、ターゲットの金属元素の原子数比を変えることで、In含有率を変化させることができる。
【0371】
例えば、金属酸化物膜822の成膜に用いるターゲットの金属元素の原子数比In:M:Znは、1:1:1、3:1:2、又は4:2:4.1が好ましい。例えば、金属酸化物膜821、823の成膜に用いるターゲットの金属元素の原子数比In:M:Znは、1:3:2、又は1:3:4が好ましい。In:M:Zn=4:2:4.1のターゲットで成膜したIn−M−Zn酸化物の原子数比は、およそIn:M:Zn=4:2:3である。
【0372】
トランジスタ801に安定した電気的特性を付与するには、酸化物層830の不純物濃度を低減することが好ましい。金属酸化物において、水素、窒素、炭素、シリコン、および主成分以外の金属元素は不純物となる。例えば、水素および窒素はドナー準位の形成に寄与し、キャリア密度を増大させてしまう。また、シリコンおよび炭素は金属酸化物中で不純物準位の形成に寄与する。不純物準位はトラップとなり、トランジスタの電気的特性を劣化させることがある。
【0373】
例えば、酸化物層830は、シリコン濃度が2×10
18atoms/cm
3以下、好ましくは、2×10
17atoms/cm
3以下の領域を有する。酸化物層830の炭素濃度も同様である。
【0374】
酸化物層830は、アルカリ金属濃度が1×10
18atoms/cm
3以下の、好ましくは2×10
16atoms/cm
3以下の領域を有する。酸化物830のアルカリ土類金属の濃度についても同様である。
【0375】
酸化物層830は、水素濃度が1×10
20atoms/cm
3未満の、好ましくは1×10
19atoms/cm
3未満の、より好ましくは5×10
18atoms/cm
3未満の、さらに好ましくは1×10
18atoms/cm
3未満の領域を有する。
【0376】
上掲した酸化物830の不純物濃度は、SIMSにより得られる値である。
【0377】
金属酸化物膜822が酸素欠損を有する場合、酸素欠損のサイトに水素が入り込むことでドナー準位を形成することがある。その結果、トランジスタ801のオン電流を低下させる要因となる。なお、酸素欠損のサイトは、水素が入るよりも酸素が入る方が安定する。したがって、金属酸化物膜822中の酸素欠損を低減することで、トランジスタ801のオン電流を大きくすることができる場合がある。よって、金属酸化物膜822の水素を低減することで、酸素欠損のサイトに水素が入りこまないようにすることが、オン電流特性に有効である。
【0378】
金属酸化物に含まれる水素は、金属原子に結合している酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成することがある。酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成されることがある。また、水素の一部が金属原子に結合している酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。金属酸化物膜822にチャネル形成領域が設けられるので、金属酸化物膜822に水素が含まれていると、トランジスタ801はノーマリーオン特性となりやすい。このため、金属酸化物膜822中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。
【0379】
図22は、酸化物層830が4層構造の例であるが、これに限定されない。例えば、酸化物層830を金属酸化物膜821又は金属酸化物膜823のない3層構造とすることができる。又は、酸化物層830の任意の層の間、酸化物層830の上、酸化物層830の下のいずれか二箇所以上に、金属酸化物膜821乃至824と同様の金属酸化物膜を1層又は複数設けることができる。
【0380】
図23を参照して、金属酸化物膜821、822、824の積層によって得られる効果を説明する。
図23は、トランジスタ801のチャネル形成領域のエネルギーバンド構造の模式図である。
【0381】
図23中、Ec816e、Ec821e、Ec822e、Ec824e、Ec817eは、それぞれ、絶縁層816、金属酸化物膜821、金属酸化物膜822、金属酸化物膜824、絶縁層817の伝導帯下端のエネルギーを示している。
【0382】
ここで、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差(「電子親和力」ともいう)は、真空準位と価電子帯上端のエネルギーとの差(イオン化ポテンシャルともいう)からエネルギーギャップを引いた値となる。なお、エネルギーギャップは、分光エリプソメータ(HORIBA JOBIN YVON社 UT−300)を用いて測定できる。また、真空準位と価電子帯上端のエネルギー差は、紫外線光電子分光分析(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)装置(PHI社 VersaProbe)を用いて測定できる。
【0383】
絶縁層816、817は絶縁体であるため、Ec816eとEc817eは、Ec821e、Ec822e、およびEc824eよりも真空準位に近い(電子親和力が小さい)。
【0384】
金属酸化物膜822は、金属酸化物膜821、824よりも電子親和力が大きい。例えば、金属酸化物膜822と金属酸化物膜821との電子親和力の差、および金属酸化物膜822と金属酸化物膜824との電子親和力の差は、それぞれ、0.07eV以上1.3eV以下である。電子親和力の差は、0.1eV以上0.7eV以下が好ましく、0.15eV以上0.4eV以下がさらに好ましい。なお、電子親和力は、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差である。
【0385】
トランジスタ801のゲート電極(導電層850)に電圧を印加すると、金属酸化物膜821、金属酸化物膜822、金属酸化物膜824のうち、電子親和力が大きい金属酸化物膜822に主にチャネルが形成される。
【0386】
インジウムガリウム酸化物は、小さい電子親和力と、高い酸素ブロック性を有する。そのため、金属酸化物膜824がインジウムガリウム酸化物を含むと好ましい。ガリウム原子割合[Ga/(In+Ga)]は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上とする。
【0387】
また、金属酸化物膜821と金属酸化物膜822との間には金属酸化物膜821と金属酸化物膜822の混合領域が存在する場合がある。また、金属酸化物膜824と金属酸化物膜822との間には金属酸化物膜824と金属酸化物膜822の混合領域が存在する場合がある。混合領域は、界面準位密度が低くなるため、金属酸化物膜821、822、824の積層されている領域は、それぞれの界面近傍においてエネルギーが連続的に変化する(連続接合ともいう)バンド構造となる。
【0388】
このようなエネルギーバンド構造を有する酸化物層830において、電子は主に金属酸化物膜822を移動することになる。そのため、金属酸化物膜821と絶縁層816との界面に、又は、金属酸化物膜824と絶縁層817との界面に準位が存在したとしても、これらの界面準位により、酸化物層830中を移動する電子の移動が阻害されにくくなるため、トランジスタ801のオン電流を高くすることができる。
【0389】
また、
図23に示すように、金属酸化物膜821と絶縁層816の界面近傍、および金属酸化物膜824と絶縁層817の界面近傍には、それぞれ、不純物や欠陥に起因したトラップ準位Et826e、Et827eが形成され得るものの、金属酸化物膜821、824があることにより、金属酸化物膜822をトラップ準位Et826e、Et827eから離間することができる。
【0390】
なお、Ec821eとEc822eとの差が小さい場合、金属酸化物膜822の電子が該エネルギー差を越えてトラップ準位Et826eに達することがある。トラップ準位Et826eに電子が捕獲されることで、絶縁膜の界面にマイナスの固定電荷が生じ、トランジスタの閾値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。Ec822eとEc824eとのエネルギー差が小さい場合も同様である。
【0391】
トランジスタ801の閾値電圧の変動が低減され、トランジスタ801の電気的特性を良好なものとするため、Ec821eとEc822eとの差、Ec824eとEc822eと差を、それぞれ0.1eV以上とすることが好ましく、0.15eV以上とすることがより好ましい。
【0392】
なお、トランジスタ801はバックゲート電極を有さない構造とすることもできる。
【0393】
<積層構造の例>
次に、OSトランジスタと他のトランジスタを積層した構造について説明する。以下で説明する積層構造は、上記実施の形態で説明した各種回路に適用することができる。
【0394】
図24に、SiトランジスタであるトランジスタTr22と、OSトランジスタであるTr11と、容量素子C100と、が積層された回路860の積層構造の例を示す。
【0395】
メモリセルMCは、CMOS層871、配線層W
1乃至W
5、トランジスタ層872、配線層W
6、W
7の積層で構成されている。
【0396】
CMOS層871には、トランジスタTr22が設けられている。トランジスタTr22のチャネル形成領域は、単結晶シリコンウエハ870に設けられている。トランジスタTr22のゲート電極873は、配線層W
1乃至W
5を介して、容量素子C100の一方の電極875と接続されている。
【0397】
トランジスタ層872には、トランジスタTr11が設けられている。
図24では、トランジスタTr11がトランジスタ801(
図22)と同様の構造を有する。トランジスタTr11のソース又はドレインの一方に相当する電極874は、容量素子C100の一方の電極875と接続されている。なお、
図24には、トランジスタTr11がバックゲート電極を配線層W
5に有する場合を例示している。また、配線層W
6には、容量素子C100が設けられている。
【0398】
回路860の構成は例えば、
図11乃至13、15に示す回路において、OSトランジスタ以外のトランジスタをSiトランジスタとした場合などに用いることができる。また、
図11乃至13に示す回路と
図15に示す回路に双方に
図24の積層構造を適用する場合、Siトランジスタ、OSトランジスタ、容量素子をそれぞれ同一の工程で形成することができる。これにより、PLDと記憶装置を同時に作製することができる。
【0399】
以上のように、OSトランジスタとその他の素子を積層することにより、回路の面積を縮小することができる。
【0400】
<金属酸化物>
次に、上記のOSトランジスタに用いることができる、金属酸化物について説明する。以下では特に、金属酸化物とCAC(Cloud−Aligned Composite)の詳細について説明する。
【0401】
CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC−OSまたはCAC−metal oxideを、トランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC−OSまたはCAC−metal oxideに付与することができる。CAC−OSまたはCAC−metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0402】
また、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
【0403】
また、CAC−OSまたはCAC−metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0404】
また、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC−OSまたはCAC−metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
【0405】
すなわち、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
【0406】
CAC−OSは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した構造を有する。なお、以下では、金属酸化物において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
【0407】
なお、金属酸化物は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0408】
例えば、In−Ga−Zn酸化物におけるCAC−OS(CAC−OSの中でもIn−Ga−Zn酸化物を、特にCAC−IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物(以下、InO
X1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸化物(以下、In
X2Zn
Y2O
Z2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaO
X3(X3は0よりも大きい実数)とする。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、Ga
X4Zn
Y4O
Z4(X4、Y4、およびZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInO
X1、またはIn
X2Zn
Y2O
Z2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
【0409】
つまり、CAC−OSは、GaO
X3が主成分である領域と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
【0410】
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO
3(ZnO)
m1(m1は自然数)、またはIn
(1+x0)Ga
(1−x0)O
3(ZnO)
m0(−1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
【0411】
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC(c−axis aligned crystal)構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa−b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
【0412】
一方、CAC−OSは、金属酸化物の材料構成に関する。CAC−OSとは、In、Ga、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。従って、CAC−OSにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
【0413】
なお、CAC−OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
【0414】
なお、GaO
X3が主成分である領域と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0415】
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC−OSは、一部に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
【0416】
CAC−OSは、例えば基板を意図的に加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC−OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、及び窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
【0417】
CAC−OSは、X線回折(XRD:X−ray diffraction)測定法のひとつであるOut−of−plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折から、測定領域のa−b面方向、およびc軸方向の配向は見られないことが分かる。
【0418】
またCAC−OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、リング状に輝度の高い領域と、該リング領域に複数の輝点が観測される。従って、電子線回折パターンから、CAC−OSの結晶構造が、平面方向、および断面方向において、配向性を有さないnc(nano−crystal)構造を有することがわかる。
【0419】
また例えば、In−Ga−Zn酸化物におけるCAC−OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X−ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaO
X3が主成分である領域と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0420】
CAC−OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC−OSは、GaO
X3などが主成分である領域と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
【0421】
ここで、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域は、GaO
X3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、酸化物半導体としての導電性が発現する。従って、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域が、酸化物半導体中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
【0422】
一方、GaO
X3などが主成分である領域は、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaO
X3などが主成分である領域が、酸化物半導体中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なスイッチング動作を実現できる。
【0423】
従って、CAC−OSを半導体素子に用いた場合、GaO
X3などに起因する絶縁性と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1に起因する導電性とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(I
on)、および高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
【0424】
また、CAC−OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。従って、CAC−OSは、さまざまな半導体装置に最適である。
【0425】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0426】
(実施の形態6)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した表示装置を用いた表示モジュールの構成例について説明する。
【0427】
図25に示す表示モジュール1000は、上部カバー1001と下部カバー1002との間に、FPC1003に接続されたタッチパネル1004、FPC1005に接続された表示装置1006、フレーム1009、プリント基板1010、及びバッテリ1011を有する。
【0428】
上記実施の形態で説明した表示装置は、表示装置1006として用いることができる。
【0429】
上部カバー1001及び下部カバー1002は、タッチパネル1004及び表示装置1006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
【0430】
タッチパネル1004としては、抵抗膜方式又は静電容量方式のタッチパネルを表示装置1006に重畳して用いることができる。また、タッチパネル1004を設けず、表示装置1006に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。
【0431】
フレーム1009は、表示装置1006の保護機能の他、プリント基板1010の動作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム1009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
【0432】
プリント基板1010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっても良いし、別途設けたバッテリ1011による電源であってもよい。バッテリ1011は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
【0433】
また、表示モジュール1000は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
【0434】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0435】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示システムを適用可能な電子機器について説明する。
【0436】
本発明の一態様の表示装置は、外光の強さによらず、高い視認性を実現することができる。そのため、携帯型の電子機器、装着型の電子機器(ウェアラブル機器)、及び電子書籍端末などに好適に用いることができる。
図26に、本発明の一態様の表示装置を用いた電子機器の例を示す。
【0437】
図26(A)、(B)に、携帯情報端末2000の一例を示す。携帯情報端末2000は、筐体2001、筐体2002、表示部2003、表示部2004、及びヒンジ部2005等を有する。
【0438】
筐体2001と筐体2002は、ヒンジ部2005で連結されている。携帯情報端末2000は、
図26(A)に示すように折り畳んだ状態から、
図26(B)に示すように筐体2001と筐体2002を開くことができる。
【0439】
例えば表示部2003及び表示部2004に文書情報を表示することが可能であり、電子書籍端末としても用いることができる。また、表示部2003及び表示部2004に静止画像や動画像を表示することもできる。また、表示部2003は、タッチパネルを有していてもよい。
【0440】
このように、携帯情報端末2000は、持ち運ぶ際には折り畳んだ状態にできるため、汎用性に優れる。
【0441】
なお、筐体2001及び筐体2002には、電源ボタン、操作ボタン、外部接続ポート、スピーカ、マイク等を有していてもよい。
【0442】
なお、携帯情報端末2000は、表示部2003に設けられたタッチセンサを用いて、文字、図形、イメージを識別する機能を有していてもよい。この場合、例えば、数学又は言語などを学ぶための問題集などを表示する情報端末に対して、指、又はスタイラスペンなどで解答を書き込んで、携帯情報端末2000で正誤の判定を行うといった学習を行うことができる。また、携帯情報端末2000は、音声解読を行う機能を有していてもよい。この場合、例えば、携帯情報端末2000を用いて外国語の学習などを行うことができる。このような携帯情報端末は、教科書などの教材、又はノートなどとして利用する場合に適している。
【0443】
図26(C)に携帯情報端末の一例を示す。
図26(C)に示す携帯情報端末2010は、筐体2011、表示部2012、操作ボタン2013、外部接続ポート2014、スピーカ2015、マイク2016、カメラ2017等を有する。
【0444】
携帯情報端末2010は、表示部2012にタッチセンサを備える。電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆる操作は、指やスタイラスなどで表示部2012に触れることで行うことができる。
【0445】
また、操作ボタン2013の操作により、電源のオン、オフ動作や、表示部2012に表示される画像の種類を切り替えることができる。例えば、メール作成画面から、メインメニュー画面に切り替えることができる。
【0446】
また、携帯情報端末2010の内部に、ジャイロセンサまたは加速度センサ等の検出装置を設けることで、携帯情報端末2010の向き(縦か横か)を判断して、表示部2012の画面表示の向きを自動的に切り替えるようにすることができる。また、画面表示の向きの切り替えは、表示部2012を触れること、操作ボタン2013の操作、またはマイク2016を用いた音声入力等により行うこともできる。
【0447】
携帯情報端末2010は、例えば、電話機、手帳または情報閲覧装置等から選ばれた一つまたは複数の機能を有する。例えば、携帯情報端末2010はスマートフォンとして用いることができる。また、携帯情報端末2010は、例えば、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、動画再生、インターネット通信、ゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
【0448】
図26(D)に、カメラの一例を示す。カメラ2020は、筐体2021、表示部2022、操作ボタン2023、シャッターボタン2024等を有する。またカメラ2020には、着脱可能なレンズ2026が取り付けられている。
【0449】
ここではカメラ2020として、レンズ2026を筐体2021から取り外して交換することが可能な構成としたが、レンズ2026と筐体が一体となっていてもよい。
【0450】
カメラ2020は、シャッターボタン2024を押すことにより、静止画、または動画を撮像することができる。また、表示部2022はタッチパネルとしての機能を有し、表示部2022をタッチすることにより撮像することも可能である。
【0451】
なお、カメラ2020は、ストロボ装置や、ビューファインダーなどを別途装着することができる。または、これらが筐体2021に組み込まれていてもよい。
【0452】
図26に示す電子機器には、上記の実施の形態で説明した表示システムを設けることができる。また、
図26に示す電子機器の表示部として、上記の実施の形態で説明した表示部を用いることができる。これにより、電子機器に本発明の一態様に係る表示システムを搭載することができる。
【0453】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。