(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上面に撮像素子が実装される第1実装領域および前記第1実装領域と間を空けて設けられた電子部品が実装される第2実装領域を有するとともに、前記第1実装領域を取り囲んで設けられたレンズを固定する固定領域を有する絶縁基板と、
前記絶縁基板の下面に接合された金属基板と、を備えており、
平面視において、前記第1実装領域と前記第2実装領域の間に設けられた前記固定領域は前記絶縁基板の中心に対して偏心して位置しており、前記金属基板は、前記第1実装領域と前記第2実装領域の間に設けられた前記固定領域と重なって位置しているとともに、前記第1実装領域と前記第2実装領域とに跨って設けられおり、
前記絶縁基板は、セラミックスから成ることを特徴とする撮像素子実装用基板。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<撮像素子実装用基板および撮像装置の構成>
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、撮像素子実装用基板の第1実装領域に撮像素子が実装され、撮像素子実装用基板の上面に蓋体が接合された構成を撮像装置とする。また、撮像素子実装用基板の上面側に設けられたレンズ筐体と電子部品とを有する構成を撮像モジュールとする。撮像素子実装用基板、撮像装置および撮像モジュールは、いずれの方向が上方若しくは下方とされてもよいが、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともに、z方向の正側を上方とする。
【0012】
(第1の実施形態)
図1〜
図5を参照して本発明の第1の実施形態における撮像装置21、および撮像素子実装用基板1について説明する。
図2、
図3および
図5では撮像モジュール31を示している。なお、
図1〜
図3、
図5に示す例では、第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間に位置する固定領域2cを上面視においてドットおよび点線で示している。
【0013】
撮像素子実装用基板1は、絶縁基板2と金属基板4とを有している。絶縁基板2は、上面に撮像素子10が実装される第1実装領域2aおよび第1実装領域2aと間を空けて設けられた電子部品11が実装される第2実装領域2bを有する。また、絶縁基板2は、第1実装領域2aを取り囲んで設けられたレンズ筐体19を固定する固定領域2cを有する。絶縁基板2の下面には金属基板4が接合されている。絶縁基板2の第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間に設けられた固定領域2cは、平面視において絶縁基板2の中心に対して偏心して位置している。金属基板4は第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間に設けられた固定領域2cと重なって位置しているとともに、第1実装領域2aと第2実装領域2bとにまたがって設けられている。
【0014】
撮像素子実装用基板1は、絶縁基板2を有している。絶縁基板2は、絶縁層から成り、絶縁基板2は上面には後述する撮像素子10と電気的に接続される第1パッド3が設けられていてもよい。また、後述する第2の実施形態の
図6のように、絶縁基板2の下面、上面または側面には外部回路または金属基板4と接続される第3パッド9を複数設けてもよい。絶縁基板2を構成する絶縁層の材料は例えば、電気絶縁性セラミックスまたは樹脂(例えば、プラスティックス)等が使用される。
【0015】
絶縁基板2を形成する絶縁層の材料として使用される電気絶縁性セラミックスとしては例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体またはガラスセラミック焼結体等である。絶縁基板2を形成する絶縁層の材料として使用される樹脂としては例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂またはフッ素系樹脂等である。フッ素系樹脂としては例えば、ポリエステル樹脂または四フッ化エチレン樹脂等である。
【0016】
絶縁基板2を形成する絶縁層は、前述した材料から成る絶縁層を複数上下に積層して形
成されていてもよい。絶縁基板2を形成する絶縁層は、
図1に示すように6層の絶縁層から形成されていてもよいし、単層、2層〜5層または7層以上の絶縁層から形成されていてもよい。絶縁基板2を形成する絶縁層が6層以上であると、絶縁基板2に十分な厚みと配線エリアを確保することが可能となり、絶縁基板2の電気的特性を向上するとともに絶縁基板2の反り、クラックまたは割れを抑制することが可能となる。また、絶縁基板2を形成する絶縁層が5層以下であるとき、絶縁基板2の薄型化を可能となる。また、
図1に示す例のように、絶縁基板2は撮像素子10が配置される凹部を有し、凹部を形成する絶縁層の開口部の大きさを異ならせ上面に段差部を形成し、段差部に複数の第1パッド3が設けられていてもよい。
【0017】
絶縁基板2は例えば、1辺の大きさは0.3mm〜10cm程度であり、平面視におい
て絶縁基板2が矩形状あるとき正方形であってもよいし長方形であってもよい。また例えば、絶縁基板2の厚みは0.2mm以上である。
【0018】
また、絶縁基板2の上面、側面または下面に、第3パッド9が設けられていてもよい。第3パッド9は、絶縁基板2と外部回路基板、あるいは撮像装置21と外部回路基板とを電気的に接続するものである。
【0019】
また、絶縁基板2の上面には後述する電子部品11が実装される第2パッド6が設けられていてもよい。
【0020】
絶縁基板2の内部には、絶縁層間に形成される内部配線、内部配線同士を上下に接続する貫通導体が設けられる。これら内部配線または貫通導体は、絶縁基板2の表面に露出していてもよい。この内部配線または貫通導体によって、第1パッド3、第2パッド6、または第3パッド9はそれぞれが電気的に接続されていてもよい。
【0021】
第1パッド3、第2パッド6、第3パッド9、内部配線および貫通導体は、絶縁基板2が電気絶縁性セラミックスから成る場合には、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)、銀(Ag)若しくは銅(Cu)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等から成る。また、第1パッド3、第2パッド6、第3パッド9、内部配線および貫通導体は、絶縁基板2が樹脂から成る場合には、銅(Cu)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)若しくはチタン(Ti)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等から成る。
【0022】
第1パッド3、第2パッド6、第3パッド9、内部配線および貫通導体の露出表面に、めっき層が設けられてもよい。この構成によれば、第1パッド3、第2パッド6、第3パッド9、内部配線および貫通導体の露出表面を保護して酸化を抑制できる。また、この構成によれば、第1パッド3と撮像素子10とをワイヤボンディング等の接続部材13を介して良好に電気的接続することができる。めっき層は、例えば、厚さ0.5〜10μmのNiめっき層を被着させるか、またはこのNiめっき層および厚さ0.5〜3μmの金(Au)めっき層を順次被着させてもよい。
【0023】
撮像素子実装用基板1の絶縁基板2は、上面に撮像素子10が実装される第1実装領域2aおよび第1実装領域2aと間を空けて設けられた電子部品11が実装される第2実装領域2bを有する。また、絶縁基板2は、第1実装領域2aを取り囲んで設けられたレンズ筐体19を固定する固定領域2cを有する。ここで、第1実装領域2aは少なくとも1つ以上の撮像素子10が実装される領域であり、撮像素子10以外の部品が実装されていても良い。第2実装領域2bは、電子部品11が実装される領域であり、実装される電子部品11の個数、大きさおよび種類等は指定されない。
【0024】
固定領域2cは、第1実装領域2aを取り囲むように位置しており、レンズ筐体19が固定される領域である。固定領域2cは少なくとも、レンズ筐体19の脚部の大きさ(幅)程度あればよく、またそれ以上であってもよい。固定領域2cは、レンズ筐体19と絶縁基板2とを電気的に接続する為のパッドを表面に設けていても良い。なお、固定領域2cが矩形状であるとき、固定領域2cは少なくとも1辺または1辺のうち一部が絶縁基板2上に設けられていればよく、後述する
図5のように絶縁基板2上に設けられていない部分があってもよい。
【0025】
この固定領域2cは、レンズ筐体19が固定され得る領域のことである。また、撮像素子実装用基板1においては、第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間の固定領域2cは、撮像素子10を実装するための第1パッド3と、電子部品11を実装するための第2パッド6との間の領域のことを指す。また、撮像装置21においては、第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間の固定領域2cは、平面視において、蓋体12が固定される領域から電子部品11が実装される第2パッド6までの領域であってもよい。撮像モジュール31においては、固定領域2cは、実際にレンズ筐体19が固定されている領域のことである。
【0026】
撮像素子実装用基板1の絶縁基板2の下面には金属基板4が接合されている。金属基板4を構成する材料は例えば、高い熱伝導率を有する材料が使用されていてもよい。高い熱伝導率を有する材料を使用することによって、撮像素子10を使用する際に発生する熱または絶縁基板2と金属基板4とを接合材15によって接合させる際に加わる熱を、金属基板4全体に広がりやすくすることができる。このことによって、接合材15を硬化する工程においてむらなく硬化することが可能となる。また、撮像装置21で発生した熱を外部に放熱しやすくすることが可能となる。
【0027】
また、金属基板4の材料としては金属材料も使用され、金属材料として例えば、ステンレス(SUS)、Fe−Ni−Co合金、42アロイ、銅(Cu)または銅合金等が挙げられる。例えば、絶縁基板2が約5×10
−6/℃〜10×10
−6/℃の熱膨張率を有する酸化アルミニウム質焼結体である場合、金属基板4は約10〜17×10
−6/℃の熱膨張率を有するステンレス(SUS410またはSUS304等)を用いることができる。
【0028】
この場合には、絶縁基板2と金属基板4との熱収縮差・熱膨張差が小さくなるので、絶縁基板2と金属基板4との間にかかる応力を小さくすることが可能となる。これにより、絶縁基板2または金属板4が変形することを低減することができる。その結果、撮像素子10と絶縁基板2に固定されたレンズ筐体19の、光軸ズレを抑制することができ、画像の鮮明度を良好に維持することができる。また、絶縁基板2にクラックまたは割れが発生することを低減させることが可能となる。
【0029】
また、金属基板4が金属材料から成るとき、その材料が非磁性体であることで金属基板4が電子部品11または撮像素子10により磁化することを低減させることが可能となる。よって、レンズ駆動等の外部機器の働きを金属基板4が妨げることを低減させることが可能となる。
【0030】
金属基板4は例えば、1辺の大きさは0.3mm〜10cm程度であり、絶縁基板2の
大きさに追従する。また例えば、金属基板4の厚みは0.05mm以上である。
【0031】
絶縁基板2と金属基板4とは接合材15によって接合されていてもよい。接合材15を構成する材料として例えば、熱硬化性樹脂またはろう材等が使用される。接合材15を構
成する材料として使用される熱硬化性樹脂としては例えば、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂等である。また、接合材15を構成する材料として使用されるろう材としては例えば、ハンダ、鉛またはガラス等である。
【0032】
接合材15は例えば導電性を有していてもよい。導電性を有する接合材15として例えば、銀エポキシ、はんだ、異方性導電樹脂(ACF)または異方性導電フィルム(ACP)等である。接合材15が導電性を有することで、絶縁基板2と金属基板4とを電気的に接合することが可能となる。例えば絶縁基板2と金属基板4とを接地(グランド)電極と同電位で電気的に接合させることで、撮像素子10を外部からのノイズから守るシールドの役割を金属基板4に持たせることが可能となる。
【0033】
撮像素子実装用基板1は、絶縁基板2の第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間に設けられた固定領域2cは、平面視において絶縁基板2の中心2dに対して偏心して位置している。金属基板4は第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間に設けられた固定領域2cと重なって位置しているとともに、第1実装領域2aと第2実装領域2bとにまたがって設けられている。特に、平面視において、絶縁基板2の第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間の固定領域2cの中心2eが、絶縁基板2の中心2dと重ならない、つまり間を空けているのがよい。
【0034】
ここで、絶縁基板2の中心2dとは、例えば絶縁基板2が多角形状である場合、各角からの対角線が交わる点近傍のことであり、また例えば絶縁基板2が略円状である場合はその中心点の近傍のことである。第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間の固定領域2cが平面視において絶縁基板2の中心2dに対して偏心して位置しているとは、第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間の固定領域2cの中心2eが上面において絶縁基板2の中心2dから外れて位置していることを指している。例えば、第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間の固定領域2cの中心2eが絶縁基板2の中心2dから0.05mm以上離れている場合は、固定領域2cは平面視において絶縁基板2の中心2dに対して偏心していると考えても良い。また、固定領域2cは、絶縁基板2の上面に対して、5%〜50%であるのがよい。この大きさであれば、絶縁基板2と、レンズ筐体19との接合強度を向上させることができる。また、各実装領域を十分に確保することができる。
【0035】
なお、本実施形態では、平面視において絶縁基板2は例えば3mm×5mmの矩形状で、第1実装領域2aは、例えば2.5mm×2.5mmである。また、例えば固定領域2cの幅は0.5mmである。絶縁基板2の中心2dは、絶縁基板2の短辺方向に外縁から1.5mmの位置、長辺方向に外縁から2.5mmの位置である。これに対して、第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間の固定領域2cの中心2eは、絶縁基板2の長辺方向の外縁の同じ位置から3mm以上離れているため、0.05mm以上離れていることになる。つまり、このような場合には、第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間に位置した固定領域2cの中心2eは、偏心しているといえる。
【0036】
本実施形態では撮像素子実装用基板1の金属基板4は平面視において、第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間の固定領域2cと重なる位置であり、かつ第1実装領域2aと第2実装領域2bをまたがるように位置している。このことで、レンズ筐体19からの応力によって絶縁基板2が撓むことを低減させることが可能となる。また金属基板4には延性があるため撮像素子実装用基板1全体においてクラックまたは割れが発生することを低減させることが可能となる。よって、撮像モジュール31が作動しづらくなるまたは撮像した画像にノイズが発生することを低減させることが可能となる。
【0037】
また、一般的に撮像モジュール31が携帯端末等の外部機器に搭載されたとき、外部機器からの振動は撮像装置21および撮像素子実装用基板1に伝達され、撮像素子実装用基
板1にはうねりが発生する場合がある。このとき、固定領域2c周辺、つまり第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間に応力が集中しやすい場合がある。また、撮像装置21のレンズ筐体19が外部機器に固定されている場合、応力の集中は顕著に表れる場合がある。これにより、撮像素子実装用基板1の絶縁基板2にクラックまたは割れが発生することが懸念されていた。このように、撮像素子実装用基板1にクラックまたは割れが発生することで、撮像モジュール31が作動し難くなる、または撮像した画像にノイズが発生することが懸念されていた。
【0038】
これに対し、本実施形態では撮像素子実装用基板1の金属基板4が平面視で、第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間の固定領域2cと重なる位置であり、かつ第1実装領域2aと第2実装領域2bをまたがるように位置している。このことで、金属基板4が補強する役割を持ち、絶縁基板2のうねりを低減させることが可能となる。よって、撮像素子実装用基板1にクラックまたは割れが発生することを低減させることが可能となる。このことから、撮像モジュール31が作動しづらくなるまたは撮像した画像にノイズが発生することを低減させることが可能となる。
【0039】
また、一般的に第1実装領域2aに実装される撮像素子10と、第2実装領域2bに実装される電子部品11とでは、撮像モジュール31が作動した際の発熱量が異なる場合がある。そのため、撮像モジュール31が作動することで、撮像素子実装用基板1では温度の勾配が発生し、絶縁基板2の内部に設けられた複数の配線導体同士において温度差が生じる場合がある。この温度の差により、配線導体同士の抵抗値が変動し、撮像モジュール31がうまく作動しないまたは撮像した画像にノイズが発生する懸念があった。さらに、第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間に温度の差が生じることで、絶縁基板2の熱による変形に差が生じる場合がある。これにより、第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間に設けられた固定領域2cにクラックまたは変形が生じ、レンズ筐体19の接合強度の低下およびレンズ筐体19へ上手く電気信号が伝わらない等の懸念があった。
【0040】
これに対し、本実施形態では撮像素子実装用基板1の金属基板4が平面視で固定領域2cと重なる位置、かつ第1実装領域2aと第2実装領域2bをまたがるように位置している。このことで、撮像モジュール31が作動した時に第1実施領域2aで発生した熱と第2実施領域2bで発生した熱が熱伝導率のよい金属平板4へ伝熱することができる。さらに両者の熱を行き来させ第1実施領域2aと第2実施領域2bとの間の温度の勾配を均一にすることが可能となる。
【0041】
これらのことから、第1実装領域2aと第2実装領域2bの複数の配線導体同士の抵抗の差を低減することが可能となり、撮像モジュール31がうまく作動しないまたは撮像した画像にノイズが発生することを低減させることが可能となる。また、さらに第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間に生じる絶縁基板2の熱による変形の差を低減することができる。そのため、第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間に設けられた固定領域2cにクラックまたは変形が生じることを低減させることが可能となる。よって、レンズ筐体19の接合強度の低下およびレンズ筐体19へ電気信号が伝わりづらくなることを低減させることが可能となる。
【0042】
図1に示す例のように絶縁基板2は、凹部を有しており、凹部の底面は、第1実装領域4aであってもよい。これにより、撮像装置21の薄型化が可能となる。また、絶縁基板2が凹部を有しており、第1実装領域4aの一部が凹部の底面に含まれていると、第1実装領域に実装される撮像素子10と金属基板4との距離を小さくすることが可能となる。よって、撮像モジュール31が作動した時の撮像素子10の発熱が金属基板4へより伝熱しやすくなり、第1実装領域2aと第2実装領域2bとの温度をより均一にしやすくなる。よって、第1実装領域2aと第2実装領域2bの温度の差による複数の配線導体同士の抵抗差を低減することが可能となり、撮像装置21がうまく作動しないまたは撮像した画像にノイズが発生することを低減させることが可能となる。また絶縁基板2にクラックが発生することを低減させることが可能となる。また、絶縁基板2が凹部を有していることで、絶縁基板2にうねりが伝搬しづらくなり、その結果絶縁基板2にクラックが発生することを低減させることが可能となる。
【0043】
図3に示す例の様に、絶縁基板2は平板状であってもよい。絶縁基板2が平板状であることで、応力が集中する基点(凹部の角部等)を減らすことが可能となるため、クラックまたは割れ等の発生を低減させることが可能となる。
【0044】
撮像素子実装用基板1の金属基板4は、第1領域2aと第2領域2bとの間に設けられた固定領域2c以外のその他の固定領域2caと重なって位置していてもよい。金属板4が第1領域2aと第2領域2bとの間に設けられた固定領域2c以外のその他の固定領域2caと平面視において重なっていることで、レンズ筐体19からの応力によって絶縁基板2が撓むことをより低減させることが可能となる。これにより、撮像素子実装用基板1にクラックまたは割れが発生することを低減させることが可能となる。よって、撮像装置21が作動しづらくなるまたは撮像した画像にノイズが発生することを低減させることが可能となる。
【0045】
撮像素子実装用基板1は、絶縁基板2と金属基板4との間に、樹脂材料から成る接合材15を備えていてもよい。一般的に樹脂材料からなる接合材15は金属材料から成るろう材と比較して柔らかい傾向にある。そのため、絶縁基板2にレンズ筐体19から応力が加わったとしても、樹脂材料からなる接合材15でその衝撃を緩和することができ、絶縁基板2にクラックまたは割れが発生することを低減させることが可能となる。
【0046】
また、樹脂材料から成る接合材15は、比較的柔らかい傾向にあるため、撮像素子実装用基板1に外部機器からうねりが伝達したとしてもその動きに追従することができる。これにより、金属基板4と絶縁基板2との剥離の可能性を低減させることが可能となる。よって、金属基板4と絶縁基板2とが追従することが可能となるため、金属基板4の補強の効果を持続させることが可能となり、絶縁基板2のうねりを低減させることが可能となる。よって、撮像素子実装用基板1にクラックまたは割れが発生することを低減させることが可能となる。このことから、撮像装置21が作動しづらくなるまたは撮像した画像にノイズが発生することを低減させることが可能となる。
【0047】
撮像素子実装用基板1の絶縁基板2の下面には、グランド層(接地電位)がさらに設けられていてもよい。このことで、撮像素子実装用基板1の電気的特性を向上させることが可能となる。また、このとき、絶縁基板2の下面に設けられたグランド層と金属基板4とが導電性の接合材15で接続されていても良い。このことで、撮像素子実装用基板1の電気的特性を向上させるとともに、撮像装置21において、撮像素子10に対するノイズを低減させることが可能となる。なお、この時グランド層は絶縁基板2の下面すべてを覆っていても良いし、電流ループを回避するために一部だけ設けられていても良い。また、グランド層は絶縁基板2の内部であって、第1実装領域2aと平面視で重なる位置にもけられていても良い。このことでも撮像素子実装用基板1の電気的特性を向上させるとともに、撮像素子10に対するノイズを低減させることが可能となる。なお、このときグランド層ではなく電源と同電位の層であっても電気特性向上の効果は得る事が可能となる。
【0048】
撮像素子実装用基板1の固定領域2cの上面に、メタライズ層が設けられていてもよい。一般的に絶縁基板2は薄型化が要求されており、絶縁基板2を構成する絶縁層も薄くなっている。そのため、絶縁基板2内部に設けた内部配線の形状が絶縁基板2の上面に形状として表れる傾向があり、この表面に現れた形状とレンズ筐体19とが重なることでクラックが発生する場合があった。そのため、メタライズ層を固定領域2cの上面に設け、表面の形状をメタライズ層で埋めて表面をなだらかにすることで、撮像素子実装用基板1にクラックまたは割れが発生することを低減させることが可能となる。
【0049】
よって、撮像装置21が作動しづらくなるまたは撮像した画像にノイズが発生することを低減させることが可能となる。また、固定領域2cの上面に設けたメタライズ層と絶縁基板2の内層に設けた内部配線とレンズ筐体19とを電気的に接続することで、レンズ筐体19に能動的な機能を持たせることも可能となる。また、メタライズ層を固定領域2cに設けることによって、メタライズ層の表面にAuメッキを設けることが可能となる。よって、絶縁基板2の内部の内部配線で配線を設計した場合と比較して、配線の抵抗値を低下させることが可能となる。また、絶縁基板2の表面で配線を設計することで絶縁基板2の絶縁層の層数を低減させることが可能となり、薄型化が可能となる。
【0050】
また、撮像素子実装用基板1の固定領域2cの上面に、絶縁ペーストが設けられていてもよい。絶縁ペーストを設けることで、メタライズ層と同様に絶縁基板2の表面の形状を絶縁ペーストで埋めて表面をなだらかにすることで、撮像素子実装用基板1にクラックまたは割れが発生することを低減させることが可能となる。
【0051】
また、絶縁基板2の内部であって、固定領域2cと平面視で重なる位置にメタライズ層または絶縁ペーストを設けても良い。このことで、メタライズ層または絶縁ペーストでクラックまたは割れが発生しやすい固定領域2cを補強することが可能となる。よって、撮像素子実装用基板1にクラックまたは割れが発生することを低減させることが可能となる。なお、このとき、メタライズ層または絶縁ペーストは絶縁基板2の内部の1層で固定領域2cを一周していてもいいし、複数層で一周するように設けていても良いし、また上面視で同じ位置となる箇所に複数層設けられていても良い。
【0052】
図4に本実施形態のその他の態様に係る断面視を示している。撮像素子実装用基板1は
図4(a)に示す例の様に上面視において金属基板4の外辺が絶縁基板2の外辺よりも外側に位置していても良いし、
図4(b)に示す例の様に上面視において金属基板4の外辺が絶縁基板2の外辺よりも内側に位置していても良い。
図4(a)に示す例の様に、上面視において金属基板4の外辺が絶縁基板2の外辺よりも外側に位置していることで、絶縁基板2が側面から応力がかかることを低減させることが可能となる。よって、側面からの応力によるクラック等の発生を低減させることが可能となる。
図4(b)に示す例の様に、上面視において金属基板4の外辺が絶縁基板2の外辺よりも内側に位置していることで、撮像素子実装用基板1の小型化が可能となる。なお、このとき金属基板4は第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間に挟まれた固定領域2cと上面視において重なっていることで、クラックまたは割れの防止が可能となるが、その他の固定領域2cとは重なっていなくても良い。
【0053】
<撮像装置の構成>
図1、
図4に撮像装置21の例を示す。撮像装置21は、撮像素子実装用基板1と、撮像素子実装用基板1の第1実装領域2aに実装された撮像素子10と、撮像素子10を覆うとともに撮像素子実装用基板1と接合された蓋体12とを備えている。
【0054】
撮像装置21は、撮像素子実装用基板1と、撮像素子実装用基板1の第1実装領域2aに実装された撮像素子10とを有している。撮像素子10は、例えばCMOS、CCD等である。
【0055】
撮像装置21は、撮像素子10を覆うとともに撮像素子実装用基板1と接合された蓋体12とを備えている。ここで、撮像素子実装用基板1は上面に蓋体12を支え、撮像素子
10を取り囲むように設けられた枠体を設けてもよいし、枠体を設けなくてもよい。また、枠体は絶縁基板2と同じ材料から構成されていてもよいし、別の材料で構成されていてもよい。
【0056】
枠体と絶縁基板2とが同じ材料から構成されている例として例えば電気絶縁性セラミックスから成る場合がある。このとき、枠体と絶縁基板2とは焼結して構成されるため非常に接合強度が高くなる。また、絶縁基板2と一体化して形成することができる為、
図1に示す例の様に枠体に第1パッド3を設けそれらを絶縁基板2と電気的に接合することも可能となる。
【0057】
また、枠体と絶縁基板2とが別の材料から成る例として例えば枠体が蓋体12と絶縁基板2とを接合する接着剤14と同じ材料から成る場合がある。このとき、接着剤14を厚く設けることで、接着の効果と枠体(蓋体12を支える部材)としての効果を併せ持つことが可能となる。なお、この時の接着剤14は例えば熱硬化性樹脂または低融点ガラスまたは金属成分から成るろう材等が挙げられる。また、枠体と蓋体12とが同じ材料から成る場合もあり、このときは枠体と蓋体12は同一個体として構成されていてもよい。
【0058】
蓋体12は、例えば、平板形状である。また、蓋体12は、例えば撮像素子10がCMOS、CCD等の撮像素子である場合ガラス材料等の透明度の高い部材が用いられる。
【0059】
撮像装置21が
図1および
図4に示すような撮像素子実装用基板1を有することで、撮像装置21の外部から応力がかかった場合においても、撮像素子10にクラックまたは割れが発生することを低減させることが可能となる。
【0060】
ここで、撮像素子10と絶縁基板2とは樹脂等の弾性の大きい接着部材で接着していても良い。弾性の大きい接着部材で接着することで、撮像装置21の外部からかかる応力を接着部材で吸収する事が可能となり、撮像素子10にクラックまたは割れが発生することを低減させることが可能となる。
【0061】
また、撮像装置21は電子部品11を有していても良い。撮像装置21が電子部品11を有していることで、例えば撮像装置21を作製する際に電子素子11から絶縁基板2に実装することが可能となる。このことで、撮像素子実装用基板1とさらに電子素子11が問題なく実装された状態で撮像素子10を実装することが可能となるため、歩留まり悪化を低減させることが可能となる。また、撮像素子10を電子素子11の実装後に実装することで、撮像素子10にかかる熱履歴を少なくすることが可能となり、撮像素子10にかかるストレスを低減させることが可能となる。
【0062】
<撮像モジュールの構成>
図2、
図3および
図5に、撮像素子実装用基板1を用いた撮像モジュール31を示す。撮像モジュール31は、撮像装置21と、第2実装領域2bに実装された電子部品11と、固定領域2cに固定されたレンズ筐体19とを有している。
【0063】
図2、
図3および
図5に示す例では、撮像モジュール31は固定領域2cに固定されたレンズ筐体19を有している。
【0064】
レンズ筐体19を有することでより気密性の向上が可能となる。レンズ筐体19は、例えば樹脂または金属材料等から成る筐体と、樹脂、液体、ガラスまたは水晶等からなる凹レンズまたは凸レンズが1個以上組み込まれているものである。また、レンズ筐体19は、上下左右の駆動を行う駆動装置等が付いていて、絶縁基板2と電気的に接続されていてもよい。
【0065】
なお、レンズ筐体19は上面視において4方向の少なくとも一つの辺において開口部が設けられていてもよい。そして、レンズ筐体19の開口部から外部回路が挿入され絶縁基板2と電気的に接続していてもよい。またレンズ筐体19の開口部は、外部回路が絶縁基板2と電気的に接続された後、樹脂等の封止材等で開口部の隙間を閉じて撮像モジュール31の内部が気密されていてもよい。
【0066】
レンズ筐体19を固定領域2cに固定する材料として例えば熱硬化性樹脂、ハンダ等のろう材が上げられる。また、レンズ筐体19を固定領域2cに固定する材料は導電性であってもよいし非導電性であってもよい。固定領域2cに固定する材料は導電性あるとき、レンズ筐体19に上下左右の駆動を行う駆動装置が組み込まれている場合において、絶縁基板2を介して電源および信号を外部から取り込む事が可能となる。
【0067】
撮像モジュール31は
図2に示す例の様に、絶縁基板2の上面の固定領域2cでレンズ筐体19のすべての辺が固定されていても良いし、
図5に示す例の様に一部が金属基板4上で固定されていても良い。
図2および
図3に示す例の様に、絶縁基板2の上面の固定領域2cでレンズ筐体19のすべての辺が固定されていると、レンズ筐体19が絶縁基板2と電気的に接続している場合、接合面積を最大とできる為電気特性の向上が可能となる。また、絶縁基板2の表面が基準となるため、レンズ筐体19の傾き等が発生しづらくなる。
図5に示す例の様に一部が金属基板4上で固定されていることで、レンズ筐体19からかかる応力を金属基板4へ逃がすことが可能となる。よって、絶縁基板2にクラックまたは割れが発生することを低減させることが可能となる。
【0068】
図2、
図3および
図5に示す例では撮像モジュール31は第2実装領域2bに実装された電子部品11を有している。
【0069】
電子部品11は例えばチップコンデンサ、インダクタ、抵抗等の受動部品、またはOIS
(Optical Image Stabilization)、信号処理回路、ジャイロセンサー、LED(light emitting diode)等の能動部品などである。これら電子部品11はワイヤーボンディング、金バンプ、ハンダ、導電性樹脂等の電子部品接合材により、第2パッド6に接続されている。なお、これら電子部品11は絶縁基板2に設けられた内部配線等を介して撮像素子10と接続していても構わない。また、電子部品11がLEDであるとき、電子部品11をレンズ筐体19の外側に配置することで、フレア等の発生を低減させることが可能となる。
【0070】
<撮像素子実装用基板および撮像装置および撮像モジュールの製造方法>
次に、本実施形態の撮像素子実装用基板1および撮像装置21および撮像モジュール31の製造方法の一例について説明する。なお、下記で示す製造方法の一例は、絶縁基板2を多数個取り配線基板を用いた製造方法である。
【0071】
(1)まず、絶縁基板2を構成するセラミックグリーンシートを形成する。例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)質焼結体である絶縁基板2を得る場合には、Al
2O
3の粉末に焼結助材としてシリカ(SiO
2)、マグネシア(MgO)またはカルシア(CaO)等の粉末を添加し、さらに適当なバインダー、溶剤および可塑剤を添加し、次にこれらの混合物を混錬してスラリー状となす。その後、ドクターブレード法またはカレンダーロール法等の成形方法によって多数個取り用のセラミックグリーンシートを得る。
【0072】
なお、絶縁基板2が、例えば樹脂から成る場合は、所定の形状に成形できるような金型を用いて、トランスファーモールド法またはインジェクションモールド法等で成形することによって絶縁基板2を形成することができる。また、絶縁基板2は、例えばガラスエポキシ樹脂のように、ガラス繊維から成る基材に樹脂を含浸させたものであってもよい。こ
の場合には、ガラス繊維から成る基材にエポキシ樹脂の前駆体を含浸させ、このエポキシ樹脂前駆体を所定の温度で熱硬化させることによって絶縁基板2を形成できる。
【0073】
(2)次に、スクリーン印刷法等によって、上記(1)の工程で得られたセラミックグリーンシートに第1パッド3、第2パッド6、第3パッド9、内部配線および貫通導体となる部分に、金属ペーストを塗布または充填する。この金属ペーストは、前述した金属材料から成る金属粉末に適当な溶剤およびバインダーを加えて混練することによって、適度な粘度に調整して作製される。なお、金属ペーストは、絶縁基板2との接合強度を高めるために、ガラスまたはセラミックスを含んでいても構わない。
【0074】
(3)次に、前述のグリーンシートを金型等によって加工する。絶縁基板2となるグリーンシートの中央部に、開口部を形成する。
【0075】
(4)次に、各絶縁層となるセラミックグリーンシートを積層して加圧する。このことにより絶縁基板2となるセラミックグリーンシート積層体を作製する。
【0076】
(5)次に、このセラミックグリーンシート積層体を約1500〜1800℃の温度で焼成して、絶縁基板2が複数配列された多数個取り配線基板を得る。なお、この工程によって、前述した金属ペーストは、絶縁基板2となるセラミックグリーンシートと同時に焼成され、第1パッド3、第2パッド6、第3パッド9、内部配線および貫通導体となる。
【0077】
(6)次に、焼成して得られた多数個取り配線基板を複数の絶縁基板2に分断する。この分断においては、絶縁基板2の外縁となる箇所に沿って多数個取り配線基板に分割溝を形成しておき、この分割溝に沿って破断させて分割する方法またはスライシング法等により絶縁基板2の外縁となる箇所に沿って切断する方法等を用いることができる。なお、分割溝は、焼成後にスライシング装置により多数個取り配線基板の厚みより小さく切り込むことによって形成することができるが、多数個取り配線基板用のセラミックグリーンシート積層体にカッター刃を押し当てたり、スライシング装置によりセラミックグリーンシート積層体の厚みより小さく切り込んだりすることによって形成してもよい。
【0078】
(7)次に、絶縁基板2の下面に接合される金属基板4を用意する。金属基板4は、金属材料から成る板材に、スタンピング金型を用いた打ち抜き加工またはエッチング加工等によって作製される。また、金属基板4が金属材料であるFe−Ni−Co合金、42アロイ、Cuまたは銅合金等の金属から成る場合には、その表面にニッケルめっき層および金めっき層を被着してもよい。これにより、金属基板4の表面の酸化腐食を有効に抑制することができる。
【0079】
(8)次に、接合材15を介して、絶縁基板2と金属基板4とを接合する。接合材15は、ペースト状の熱硬化性樹脂(接着部材)をスクリーン印刷法またはディスペンス法等で、絶縁基板2または金属基板4のいずれか一方または両方の接合面に塗布する。そして、熱硬化性樹脂を乾燥させた後、絶縁基板2と金属基板4とを重ねた状態で、トンネル式の雰囲気炉またはオーブン等に通炉させ、加圧し加熱することで接合材を熱硬化させ、絶縁基板2と金属基板4とを強固に接着させる。
【0080】
接合材15は、例えばビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型液状樹脂等からなる主剤に、球状の酸化珪素等から成る充填材、テトラヒドロメチル無水フタル酸等の酸無水物などを主とする硬化剤および着色剤としてカーボン紛末等を添加し遠心攪拌機等を用いて混合または混練してペースト状とすることによって得られる。また、接合材15としては、この他にも例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールA変性エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、特殊ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール誘導体エポキシ樹脂、ビスフェノール骨格型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂にイミダゾール系、アミン系、リン系、ヒドラジン系、イミダゾールアダクト系、アミンアダクト系、カチオン重合系またはジシアンジアミド系等の硬化剤を添加したもの等を使用することができる。
【0081】
(9)次に、絶縁基板2の第1実装領域2aに撮像素子10を実装し、撮像装置21を作製する。撮像素子10はワイヤーボンディング等で絶縁基板2と電気的に接合させる。またこのとき、撮像素子10または絶縁基板2に接着材等を設け、絶縁基板に固定しても構わない。また、電子素子10を絶縁基板2の第1実装領域2aに実装した後、蓋体12を接着部材14で接合してもよい。なお、このとき電子部品11を絶縁基板2の第2実装領域2bにハンダや導電性の樹脂等を用いて実装しても良い。
【0082】
(10)絶縁基板2の固定領域2cにレンズ筐体19を実装する。レンズ筐体19は絶縁基板2とハンダ、導電性の樹脂、非導電性の樹脂等で接合される。なお、このとき電子部品11を絶縁基板2の第2実装領域2bにハンダや導電性の樹脂等を用いて実装しても良い。
【0083】
以上のようにして絶縁基板2と金属基板4とレンズ筐体19を組み立てることで、撮像素子実装用基板1、撮像装置21および撮像モジュール31を作製することができる。上記(1)〜(10)の工程によって、撮像装置21および撮像モジュール31が得られる。なお、上記(1)〜(10)の工程順番は指定されない。
【0084】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態による撮像モジュール31について、
図6を参照しつつ説明する。本実施形態における撮像モジュール31において、第1の実施形態の撮像モジュール31と異なる点は、第1実装領域2aに電子部品11が実装されている点、第2実装領域2bに第3パッド9が設けられている点である。なお、
図6に示す例では、第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間に位置する固定領域2cを上面視においてドットおよび点線で示している。
【0085】
本実施形態では、絶縁基板2の第1実装領域2aに電子部品11が実装されている。前述したように、第1実装領域2aは、少なくとも1つの撮像素子10が実装される領域のことであり、撮像素子10の周囲に電子部品11が実装されていても良い。
図6に示す例の様に、第1実装領域2aに電子部品11が実装されていることで、例えば電子部品11が温度変化に弱い部品、または湿度・塵に弱い部品である時にレンズ筐体19によって温度変化、湿度または/および塵から電子部品11を保護することが可能となる。
【0086】
図6に示す例の様に第2接続領域2bに第3パッド9を設けても良い。
図6に示す例の様に絶縁基板2の上面であって、第2接続領域2bに第3パッド9を設けることで撮像モジュール31と外部回路基板とを含めた厚みを最小限にすることが可能となる。
【0087】
第3パッド9は例えば撮像モジュール31と外部機器とを電気的に接続するためのパッドである。例えば、第3パッド9はフレキシブル基板等の外部回路基板と接続される。
【0088】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態による撮像モジュール31について、
図7および
図8を参照しつつ説明する。本実施形態における撮像モジュール31において、第1の実施形態の撮像モジュール31と異なる点は、撮像素子10が複数個実装されている点である。
【0089】
図7に本実施形態における撮像モジュール31を示す。なお、
図7および
図8に示す例では、第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間に位置する固定領域2cを上面視においてドットおよび点線で示している。
【0090】
本実施形態では、撮像モジュール31において、絶縁基板2の第1実装用域2aは複数個の撮像素子10が実装されている。複数の撮像素子10を、絶縁基板2に実装することで、撮像モジュール31を用いて撮像する画像の画質をより向上させることが可能となる。また、このような場合においても、レンズ筐体19からの応力によって絶縁基板2が撓むことを低減させることが可能となる。これにより、撮像素子実装用基板1においてクラックまたは割れが発生することを低減させることが可能となる。よって、撮像装置21が作動しづらくなるまたは撮像した画像にノイズが発生することを低減させることが可能となる。
【0091】
本実施形態において、蓋体12は
図7に示す例の様に複数の撮像素子10のそれぞれに蓋体12が設けられていても良いし、複数の撮像素子10の全てと重なるように1つの蓋体12が設けられていても良い。
図7に示す例の様に、複数の撮像素子10にそれぞれ蓋体12を持つことで、例えば撮像素子10が異なる種類の場合等において各撮像素子10にあった蓋体12を適宜選び設けることが可能となる。また、複数の撮像素子10のすべてと重なるように1つの蓋体12が設けられていることで、工程の簡略化が可能となる。
【0092】
図8に本実施形態のその他の態様における撮像モジュール31を示す。なお、
図7と
図8との異なる点は、レンズ筐体19の個数が異なる点である。
【0093】
本実施形態のその他の態様では、撮像モジュール31において、絶縁基板2の第1実装用域2aは複数個設けられており、複数の第1実装領域2aのそれぞれに撮像素子10が実装されている。このような場合においても、レンズ筐体19からの応力によって絶縁基板2が撓むことを低減させることが可能となる。そのため、撮像素子実装用基板1においてクラックまたは割れが発生することを低減させることが可能となる。よって、撮像モジュール31が作動しづらくなるまたは撮像した画像にノイズが発生することを低減させることが可能となる。
【0094】
また、絶縁基板2に第1実施領域2aが複数設けられているとき、第1実装領域2aの間に固定領域2cを設けても良い。このとき、第1実装領域2aの間の固定領域2cとも重なるように金属基板4をもうけていることで、第1実装領域2aの間の固定領域2cに対してもレンズ筐体19からの応力によって絶縁基板2が撓むことを低減させることが可能となる。そのため、撮像素子実装用基板1においてクラックまたは割れが発生することを低減させることが可能となる。よって、撮像モジュール31が作動しづらくなるまたは撮像した画像にノイズが発生することを低減させることが可能となる。
【0095】
図7および
図8に示す例では、第1実装領域2aは絶縁基板2の凹部の底面に設けられているが、絶縁基板2が平板状であって、第1実装領域2aは絶縁基板2の上面に設けられていても良い。
【0096】
図7に示す例の様に、レンズ筐体19は複数の撮像素子10を覆うように設けられていても良いし、
図8に示す例の様に各撮像素子10それぞれを覆うように設けられていても良い。
図7に示す例の様に、レンズ筐体19は複数の撮像素子10を覆うように設けられていることで工程を簡略化できるとともに、部品を少なくすることが可能となるため軽量化が可能となる。
図8に示す例の様に各撮像素子10のそれぞれを覆うように設けられていることで、例えば撮像素子10が異なる種類の場合等において各撮像素子10にあったレンズ筐体19を適宜選び設けることが可能となる。
【0097】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態による撮像装置21について、
図9を参照しつつ説明する。本実施形態における撮像モジュール31において、第1の実施形態の撮像装置21と異なる点は、絶縁基板2の下面と金属基板4の上面との間にフレキシブル基板5をさらに有している点である。なお、
図9に示す例では、第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間に位置する固定領域2cを上面視においてドットおよび点線で示している。
【0098】
本実施形態では、撮像素子実装用基板1は金属基板4の上面と絶縁基板2の下面との間に設けられたフレキシブル基板5をさらに備えている。この場合においても、金属基板4が補強する役割を持ち、絶縁基板2のうねりを低減させることが可能となる。よって、撮像素子実装用基板1にクラックまたは割れが発生することを低減させることが可能となる。このことから、撮像モジュール31が作動しづらくなるまたは撮像した画像にノイズが発生することを低減させることが可能となる。
【0099】
また、フレキシブル基板5は一般的に絶縁基板2と比較すると柔らかい傾向がある。よって、金属基板4と絶縁基板2との間にフレキシブル基板5を設けることで、レンズ筐体19から固定領域2cにかかる応力をフレキシブル基板5で吸収する事が可能となる。よって、レンズ筐体19からの応力によって絶縁基板2が撓むことを低減させることが可能となる。そのため、撮像素子実装用基板1においてクラックまたは割れが発生することを低減させることが可能となる。よって、撮像モジュール31が作動しづらくなるまたは撮像した画像にノイズが発生することを低減させることが可能となる。
【0100】
フレキシブル基板5は絶縁基板2と電気的に接合しており、外部機器と電気的に接続する外部回路の役割を持っていても構わない。なおこの時、絶縁基板2の下面に第3パッド9が複数個設けられていてもよい。
【0101】
フレキシブル基板5は例えばベースフィルムを有している。ベースフィルムを形成する材料として例えばポリイミドフィルム等の樹脂から成る絶縁体が用いられる。また、フレキシブル基板5は、ベースフィルムの上面に導電層を有している。導電層は、銅、アルミニウム、金、ニッケルまたはこれらから選ばれる少なくとも1種類以上の金属材料を含有する合金からなる。
【0102】
また、導電層の露出表面に、めっき層が設けられてもよい。この構成によれば、導電層の露出表面を保護して酸化を抑制できる。また、この構成によれば、絶縁基板2と導電層との電気的接続の電気的接続を良好にできる。めっき層は、例えば、厚さ0.5〜10μmのNiめっき層を被着させるか、またはこのNiめっき層および厚さ0.5〜3μmの金(Au)めっき層を順次被着させてもよい。さらにはめっき層上にSnメッキが施されていてもよい。
【0103】
フレキシブル基板5は、導電層の上面に設けられたカバーフィルムを有している。カバーフィルムは導電層の表面保護用のフィルムであり、ポリイミドフィルム等の樹脂材料からなるフィルムの片面に接着材を塗布し、絶縁基板2と電気的に接合される箇所以外の導電層の表面に設けられている。なお、フレキシブル基板5と絶縁基板2とは導電性の接合材で接続されている。
【0104】
また、フレキシブル基板5と金属基板4とを接合する接続材16およびフレキシブル基板5と絶縁基板2とを接合する接合材15は、撮像素子10の実装工程において加えられる熱によって変性しにくい材料からなる。このような接合材15および接続材16としては、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂等である。この場合には
、撮像素子10の実装工程においてフレキシブル基板5と金属基板4、またはフレキシブル基板5と絶縁基板2とが剥離することを良好に抑制することができる。また、接合材15および接続材16は導電性であってもよく、フレキシブル基板5と絶縁基板2またはフレキシブル基板5と金属基板4とは電気的に接合していてもよい。なお、導電性の接合材15または接続材16として例えば、例えば例えば、銀エポキシ、はんだ、異方性導電樹脂(ACF)または異方性導電フィルム(ACP)等である。
【0105】
接続材16を構成する材料として例えば、熱硬化性樹脂またはろう材等が使用される。接続材16を形成する材料として使用される熱硬化性樹脂として例えば、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂等が挙げられる。また、接続材16を形成する材料として使用されるろう材として例えば、ハンダ、鉛、ガラスなどが挙げられる。
【0106】
接続材16は例えば導電性を有していてもよい。接続材16として例えば、銀エポキシ、はんだ、異方性導電樹脂(ACF)または異方性導電フィルム(ACP)等である。接続材16が導電性を有することで、フレキシブル基板5と金属基板4とを電気的に接合することが可能となる。例えばフレキシブル基板5の一部の配線を介して絶縁基板2のグランド電位と金属基板4とを同じグランド電位とすることで、撮像素子10を外部からのノイズから守るシールドの役割を金属基板4に持たせることが可能となる。
【0107】
また、
図9に示す例ではフレキシブル基板5の外縁の一部は上面視において絶縁基板2の外縁より内側に位置している。フレキシブル基板5の外縁の一部が絶縁基板2の外縁と同じ位置または内側に位置していることで、撮像装置21の外形のすべての基準を絶縁基板2の外縁で統一することが可能となる。よって、撮像装置21をより小型化することが可能となると同時に撮像装置21の外寸を統一することが容易となる。
【0108】
本実施形態に示す例の様にフレキシブル基板5を有する構造であったとき、本発明における絶縁基板2とフレキシブル基板5とは別体である。そのため、本実施形態において、固定領域2cはフレキシブル基板5の上面に設けられた絶縁基板2の中心に対して偏心して位置していることになる。なお、このときフレキシブル基板5と絶縁基板2とは同一の材料であってもよい。
【0109】
(第5の実施形態)
以下
図10〜
図15に示す例では、第1実装領域2aと第2実装領域2bとの間に位置する固定領域2cを上面視においてドットおよび点線で示している。本実施形態では、撮像素子実装用基板1は、金属基板4と、絶縁基板2で構成されており、第1の実施形態とその点相違ない。具体的には、金属基板4は、上面に撮像素子が実装される第1実装領域2aを有している。また、絶縁基板2は、金属基板4の上面に接合されている。絶縁基板2は、平面視において上面に第1実装領域2aと間を空けて設けられた電子部品11が実装される第2実装領域2bを有する。さらに絶縁基板2は、第1実装領域2aを取り囲んで設けられたレンズを固定する固定領域2cを有する。
【0110】
平面視において、第1実装領域2aと第2実装領域2bの間に設けられた固定領域2cは絶縁基板2の中心に対して偏心して位置している。金属基板4は、第1実装領域2aと第2実装領域2bの間に設けられた固定領域2cと重なって位置しているとともに、第1実装領域2aと第2実装領域2bとに跨って設けられている。つまり、絶縁基板2は凹部を有する形状および平板形状ではなく貫通孔を有しており、第1実装領域2aが金属基板4の上面に設けられている点が第1の実施形態と異なる。
【0111】
本実施形態では、第1の実施形態、第2実施形態、第3実施形態および第4実施形態と同様の構成を有していてもよい。その場合には、上述した効果と同様の効果を得ることが
できる。
【0112】
図10および
図11に本実施形態の基本となる構成を示す。
図10および
図11に示す例では、金属基板4は、上面に撮像素子が実装される第1実装領域2aを有する。また、絶縁基板2は、金属基板4の上面に接合されている。絶縁基板2は、平面視において上面に第1実装領域2aと間を空けて設けられた電子部品が実装される第2実装領域2bを有するとともに、第1実装領域2aを取り囲んで設けられたレンズを固定する固定領域2cを有する。平面視において、第1実装領域2aと第2実装領域2bの間に設けられた固定領域2cは絶縁基板2の中心に対して偏心して位置している。金属基板4は、第1実装領域2aと第2実装領域2bの間に設けられた固定領域2cと重なって位置しているとともに、第1実装領域2aと第2実装領域2bとに跨って設けられている。つまり、
図10および
図11の示す例と第1の実施形態に示す例と異なる点は、絶縁基板2は上面から下面まで貫通した貫通孔を有しており、撮像素子10が金属基板4の上面に直接実装されている点である。
【0113】
図10および
図11の示す例では、第1の実施形態と同様の効果を有することが可能となる。
図10および
図11に示す例の様に絶縁基板2に貫通孔を有し撮像素子10が金属基板4の上面に直接接続されていることで、撮像装置21が作動した際の発熱を熱伝導率のよい金属基板4へ直接放熱することが可能となる。よって、撮像装置21の放熱性の向上を可能とする。このことで、第1の実施形態に示す例と比較して、撮像装置21の放熱性の向上が可能となる。また、第1実施形態で示す例では、絶縁基板2は凹部を有するまたは平板の形状であることで、絶縁基板2の撮像素子10と上面視において重なる位置に内部配線を設けることが可能となる。このことで、内部配線でも特に電源またはグランドに接続した内部配線をより大きく設けることが可能となり、電源またはグランドに接続した内部配線の抵抗値を低下させることが可能となる。よって
図10および
図11に示す例と比較して電気特性の向上が可能となる。
【0114】
図10および
図11に示す例のような撮像素子実装用基板1を作製する方法としては第1実施形態に記載の製造方法において、絶縁基板2となるセラミックグリーンシートに金型若しくはレーザー等で貫通孔を設ける方法、またはセラミックグリーンシートを積層後に一括して金型若しくはレーザー等で貫通孔を設ける方法がある。なお、それ以外の工程については第1実施形態の製造方法と同様に作製することが可能となる。
【0115】
図12〜
図14に本実施形態のその他の態様である複数の撮像素子10が実装される構造を示す。
図12〜
図14に示す例では、絶縁基板2は複数の貫通孔を有しており、金属基板4の上面に設けられた第1実装領域2aには複数の撮像素子10が実装されている。つまり、
図12〜
図14の示す例と第3の実施形態に示す例と異なる点は、絶縁基板2は上面から下面まで貫通した貫通孔を複数有しており、複数の撮像素子10は金属基板4の上面に直接実装されている点である。
【0116】
図12〜
図14の示す例では、第3の実施形態と同様の効果を有することが可能となる。また、
図10および
図11で説明した内容同様に第3の実施形態と
図12〜
図14の間にはそれぞれ上述したような効果を有している。
【0117】
図15に実施形態のその他の態様である絶縁基板2と金属基板4との間にフレキシブル基板5を設けた構造を示す。
図15に示す例では、撮像素子実装用基板1は金属基板4の上面と絶縁基板2の下面との間に設けられ、第1実装領域2aの一部を取り囲むような枠状のフレキシブル基板5をさらに備えている。なお、本実施形態では絶縁基板2は貫通孔を有しているため、フレキシブル基板5は枠状、つまり貫通孔を有していてもよい。
【0118】
図15に示す例では、第4の実施形態と同様の効果を有することが可能となる。また、
図10および
図11で説明した内容同様に第4の実施形態と
図15の間にはそれぞれ上述したような効果を有している。
【0119】
図15に示す例では、絶縁基板2に設けられた貫通孔の内縁とフレキシブル基板5に設けられた貫通孔の内縁とは上面視において重なる位置に設けられている。しかし、撮像素子10が実装できる大きさであれば、フレキシブル基板5の内縁は絶縁基板2の内縁より上面視で外側に位置していても良いし上面視において内側に位置していても良い。
【0120】
なお、本発明は上述の実施形態の例に限定されるものではなく、数値などの種々の変形は可能である。なお、本実施形態における特徴部の種々の組み合わせは上述の実施形態の例に限定されるものではい。例えば、撮像素子10が複数実装される絶縁基板2と金属基板4との間にフレキシブル基板5が設けられていても良いし、その他の組み合わせがあってもよい。