特許第6962752号(P6962752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962752
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】電気回路遮断装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 39/00 20060101AFI20211025BHJP
【FI】
   H01H39/00 C
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-174596(P2017-174596)
(22)【出願日】2017年9月12日
(65)【公開番号】特開2019-50162(P2019-50162A)
(43)【公開日】2019年3月28日
【審査請求日】2020年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】小森 翔悟
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−085947(JP,A)
【文献】 特開2000−149747(JP,A)
【文献】 特表2013−512539(JP,A)
【文献】 特表2010−522418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂からなるハウジングと、
前記ハウジング内に配置された合成樹脂からなる棒状発射体と、
前記ハウジング内において前記棒状発射体の一方の端部の正面を横切って延びるように配置された導体片と、
前記ハウジング内において前記棒状発射体の他方の端部に対向して配置され、前記棒状発射体を前記導体片に向けて発射する圧力を生成する点火器と
を含む電気回路遮断装置であって、
前記導体片は、前記棒状発射体の前記一方の端部の正面を横切って延びる第1の導体板であって、凹部を有する第1の導体板と、前記第1の導体板の前記凹部に結合された第2の導体板とを含み、
前記凹部は、前記第1の導体板に形成された2本の溝と、その間に形成された薄厚部とを含み、
前記第2の導体板は、前記第1の導体板の前記2本の溝にそれぞれ嵌合または圧入された2本の畝部を有している、電気回路遮断装置。
【請求項2】
前記第2の導体板は、その一方の面の中央部において前記第1の導体板に溶接されている、請求項1に記載の電気回路遮断装置。
【請求項3】
前記第2の導体板は、その一方の面の縁部に沿った複数の箇所において前記第1の導体板に溶接されている、請求項1に記載の電気回路遮断装置。
【請求項4】
前記棒状発射体の前記一方の端部は、平坦な打撃面を有し、
前記第1の導体板の前記2本の溝は、前記打撃面の縁部に対応する位置に形成されている、請求項1〜3の何れか一項に記載の電気回路遮断装置。
【請求項5】
前記凹部は、前記棒状発射体の前記一方の端部に対向する前記第1の導体板の面に形成されている、請求項1〜4の何れか一項に記載の電気回路遮断装置。
【請求項6】
合成樹脂からなるハウジングと、
前記ハウジング内に配置された合成樹脂からなる棒状発射体と、
前記ハウジング内において前記棒状発射体の一方の端部の正面を横切って延びるように配置された導体片と、
前記ハウジング内において前記棒状発射体の他方の端部に対向して配置され、前記棒状発射体を前記導体片に向けて発射する圧力を生成する点火器と
を含む電気回路遮断装置であって、
前記導体片は、前記棒状発射体の前記一方の端部の正面に配置された第1の導体板と、前記第1の導体板の対向する縁部にそれぞれの縁部において結合された第2の導体板及び第3の導体板とを含み、
前記第1の導体板は、前記対向する縁部の上面にそれぞれ形成された溝または畝部を有し、
前記第2の導体板及び前記第3の導体板の各々は、その縁部の下面に形成された対応する畝部または溝を有し、
前記第1の導体板と、前記第2の導体板及び前記第3の導体板は、互いの縁部を重ね合わせる形で配置され、
前記第1の導体板の溝または畝部と、前記第2の導体板及び前記第3の導体板の各々の畝部または溝とが、互いに圧入されている電気回路遮断装置。
【請求項7】
合成樹脂からなるハウジングと、
前記ハウジング内に配置された合成樹脂からなる棒状発射体と、
前記ハウジング内において前記棒状発射体の一方の端部の正面を横切って延びるように配置された導体片と、
前記ハウジング内において前記棒状発射体の他方の端部に対向して配置され、前記棒状発射体を前記導体片に向けて発射する圧力を生成する点火器と
を含む電気回路遮断装置であって、
前記導体片は、前記棒状発射体の前記一方の端部の正面に配置された第1の導体板と、前記第1の導体板の対向する縁部にそれぞれの縁部において結合された第2の導体板及び第3の導体板とを含み、
前記第1の導体板は、前記対向する縁部の側面にそれぞれ形成された溝または畝部を有し、
前記第2の導体板及び前記第3の導体板の各々は、その縁部の側面に形成された対応する畝部または溝を有し、
前記第1の導体板と、前記第2の導体板及び前記第3の導体板は、互いの縁部を突き合わせる形で面一に配置され、
前記第1の導体板の溝または畝部と、前記第2の導体板及び前記第3の導体板の各々の畝部または溝とが、互いに圧入されている電気回路遮断装置。
【請求項8】
合成樹脂からなるハウジングと、
前記ハウジング内に配置された合成樹脂からなる棒状発射体と、
前記ハウジング内において前記棒状発射体の一方の端部の正面を横切って延びるように配置された導体片と、
前記ハウジング内において前記棒状発射体の他方の端部に対向して配置され、前記棒状発射体を前記導体片に向けて発射する圧力を生成する点火器と
を含む電気回路遮断装置であって、
前記導体片は、前記棒状発射体の前記一方の端部の正面に配置された第1の導体板と、前記第1の導体板の対向する縁部にそれぞれの縁部において結合された第2の導体板及び第3の導体板とを含み、
前記第1の導体板は、前記対向する縁部に上側折り返し部をそれぞれ有し、
前記第2の導体板及び前記第3の導体板の各々は、その縁部に下側折り返し部を有し、
前記第2の導体板及び前記第3の導体板の前記下側折り返し部が、前記第1の導体板の前記対向する縁部における前記上側折り返し部にそれぞれ係合され、かしめられている電気回路遮断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や家庭電化製品などの電気回路に使用することができる電気回路遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や家庭電化製品などの電気回路自体や前記電気回路のバッテリーを含むシステム全体の異常時等に、電気回路を遮断することで大きな被害を未然に防止する電気回路遮断装置が使用されている。電気自動車の電気回路では、電気回路遮断装置の重要性が特に大きくなっている。電気回路遮断装置の例としては、ハウジング内に点火器、発射体(ピストン)、及び導体などが収容されたものが知られている(特許文献1〜6)。
【0003】
従来の電気回路遮断装置は通常、発射体により切断される導体として一枚の導体板を有しており、導体板の切断を容易にするために、導体板には切欠き溝が設けられている。しかしながら、切欠き溝が設けられた導体板の部分は、他の部分に比べて板厚が薄く、通電時にその部分に発熱が生じる。発熱を抑えるためには、板厚を厚くする必要があり、それが装置のサイズを大きくする原因になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0083164号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0083165号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/0234162号明細書
【特許文献4】特開平11−232979号公報
【特許文献5】特開2014−49300号公報
【特許文献6】特開2016−85947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの目的は、通電時に発熱をあまり生じない、容易に切断可能な構造を有する導体板を備えた電気回路遮断装置を提供することである。本発明の他の目的は、それによって電気回路遮断装置を小型化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、合成樹脂からなるハウジングと、前記ハウジング内に配置された合成樹脂からなる棒状発射体と、前記ハウジング内において前記棒状発射体の一方の端部の正面を横切って延びるように配置された導体片と、前記ハウジング内において前記棒状発射体の他方の端部に対向して配置され、前記棒状発射体を前記導体片に向けて発射する圧力を生成する点火器とを含む電気回路遮断装置を提供する。
【0007】
一実施形態において、前記導体片は、前記棒状発射体の前記一方の端部の正面を横切って延びる第1の導体板であって、凹部を有する第1の導体板と、前記第1の導体板の前記凹部に結合された第2の導体板とを含む。
【0008】
他の実施形態において、前記導体片は、前記棒状発射体の前記一方の端部の正面に配置された第1の導体板と、前記第1の導体板の対向する縁部にそれぞれの縁部において結合された第2の導体板及び第3の導体板とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態による電気回路遮断装置を示す分解斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による電気回路遮断装置を示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態による電気回路遮断装置の作動後の様子を示す断面図である。
図4】第1の実施形態による導体片の結合部における(a)周辺部品との関係を示す部分断面図、(b)部分断面図、及び(c)部分平面図である。
図5】第2の実施形態による導体片の結合部における(a)周辺部品との関係を示す部分断面図、(b)部分断面図、及び(c)部分平面図である。
図6】第3の実施形態による導体片の結合部における(a)周辺部品との関係を示す部分断面図、(b)部分断面図、及び(c)部分平面図である。
図7】第4の実施形態による導体片の結合部における(a)周辺部品との関係を示す部分断面図、(b)部分断面図、及び(c)部分平面図である。
図8】第5の実施形態による導体片の結合部における(a)周辺部品との関係を示す部分断面図、(b)部分断面図、及び(c)部分平面図である。
図9】第6の実施形態による導体片の結合部における(a)周辺部品との関係を示す部分断面図、(b)部分断面図、及び(c)部分平面図である。
図10】第7の実施形態による導体片の結合部における(a)周辺部品との関係を示す部分断面図、(b)部分断面図、及び(c)部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、合成樹脂からなるハウジングと、前記ハウジング内に配置された合成樹脂からなる棒状発射体と、前記ハウジング内において前記棒状発射体の一方の端部の正面を横切って延びるように配置された導体片と、前記ハウジング内において前記棒状発射体の他方の端部に対向して配置され、前記棒状発射体を前記導体片に向けて発射する圧力を生成する点火器とを含む電気回路遮断装置を提供する。
【0011】
一実施形態において、前記導体片は、前記棒状発射体の前記一方の端部の正面を横切って延びる第1の導体板であって、凹部を有する第1の導体板と、前記第1の導体板の前記凹部に結合された第2の導体板とを含む。
【0012】
他の実施形態において、前記導体片は、前記棒状発射体の前記一方の端部の正面に配置された第1の導体板と、前記第1の導体板の対向する縁部にそれぞれの縁部において結合された第2の導体板及び第3の導体板とを含む。
【0013】
前記ハウジングは、前記ハウジングの第1端部側から反対側の第2端部側に向かって前記ハウジングの中程まで延びる筒状空間を内部に有する場合がある。前記筒状空間は、その中心軸に対して垂直な断面において円形の断面形状を有する場合がある。
【0014】
前記点火器は、前記ハウジングの前記筒状空間の一端に配置される場合がある。前記点火器は、点火薬を含む点火部と、前記点火部に接続された導電ピンとを有する点火器本体を含む場合がある。前記点火器本体の一部は、樹脂で包囲されている場合がある。
【0015】
前記金属シリンダーは、前記ハウジングの前記筒状空間の中に圧入される場合がある。
【0016】
前記棒状発射体は、前記ハウジング内に前記筒状空間に沿って摺動可能に配置される場合がある。前記棒状発射体は、ロッド部と、前記ロッド部の先に形成された先端拡径部とを含む場合がある。前記ロッド部は、前記棒状発射体の中心軸に対して垂直な断面において円形の断面形状を有する場合がある。前記ロッド部は、前記ハウジングの前記筒状空間、またはその中に圧入された前記金属シリンダーに挿入される場合がある。前記ロッド部は、その長手方向における中間部に、低減された外径を有するくびれ部を有する場合がある。前記くびれ部には、ゴムまたは合成樹脂からなるOリングが嵌め込まれる場合がある。前記先端拡径部は、前記棒状発射体の中心軸に対して垂直な断面において正方形または円形の断面形状を有する場合がある。前記先端拡径部の前記断面における直径または一辺の長さは、前記ロッド部の直径よりも長い場合がある。前記棒状発射体は、前記先端拡径部の先端に正方形または円形の単一の打撃面を有する場合がある。
【0017】
前記導体片は、前記棒状発射体の前記一方の端部の前記打撃面から前記棒状発射体の軸方向に延びる一定距離内の空間を横切って延びるように配置される場合がある。前記導体片は、前記棒状発射体の前記一方の端部の前記打撃面から前記棒状発射体の軸方向に延びる一定距離内の空間を、前記棒状発射体の軸方向に対して垂直な方向に横切って延びるように配置される場合がある。前記導体片は、前記導体片の表面が前記棒状発射体の発射方向に対して垂直になるように配置される場合がある。前記導体片は、前記導体片の表面が前記棒状発射体の軸方向に対して垂直になるように配置される場合がある。前記導体片は、前記導体片の表面が前記棒状発射体の発射方向に対して垂直から僅かな角度を成して配置される場合がある。前記導体片は、外部電気回路と直列に接続される場合がある。前記導体片は、外部電気回路と接続するための導体板からなるリード端子部をさらに含む場合がある。
【0018】
前記導体片は、外部電気回路と直列に接続される場合がある。
【0019】
前記点火器は、前記導電ピンに接続された外部電源から通電を受け、前記点火部内の点火薬を燃焼させ、燃焼ガスや火炎などの燃焼生成物を前記筒状空間内に生成する場合がある。前記筒状空間内に生成された燃焼生成物の圧力により、前記棒状発射体は、前記筒状空間の端部から前記導体片に向けて発射される場合がある。
【0020】
前記電気回路遮断装置は、絶縁性材料からなるストッパをさらに含む場合がある。前記ストッパは、前記導体片が切断されたときに発生する切断片を受け止めるように構成される場合がある。前記ストッパは、前記導体片に向かって開口する凹部を有する場合がある。前記棒状発射体の前記一方の端部は、前記導体片を切断した後、前記ストッパの前記凹部の中まで入り込み、前記導体片の切断片を前記ストッパの前記凹部の中に閉じ込めるように構成される場合がある。前記ストッパは、箱形の形状を有する場合がある。
【0021】
前記電気回路遮断装置は、前記ハウジングを補強するための金属フレームをさらに含む場合がある。前記金属フレームは、前記導体片が通過する箇所に切欠き部を有するU字形に湾曲した金属板からなる場合がある。
【0022】
一実施形態において、前記導体片は、前記棒状発射体の一方の端部の正面を横切って延びる第1の導体板であって、凹部を有する第1の導体板と、前記第1の導体板の前記凹部に結合された第2の導体板とを含む場合がある。前記導体片は、均一な厚みを有する場合がある。前記第1の導体板の前記凹部は、前記棒状発射体の前記一方の端部の正面に配置される場合がある。前記第1の導体板は、溝を有し、前記第2の導体板は、前記第1の導体板の前記溝に嵌合された畝部を有する場合がある。一例において、前記第2の導体板は、その一方の面の中央部において前記第1の導体板に溶接される場合がある。他の例において、前記第2の導体板は、その一方の面の縁部に沿った複数の箇所において前記第1の導体板に溶接される場合がある。前記溶接個所の数は、2以上である場合がある。前記溶接個所の数は、8以下である場合がある。前記溶接個所の数は、6以下である場合がある。前記溶接個所の数は、4以下である場合がある。前記棒状発射体は、前記導体片の前記第2の導体板の上面に衝突すると、前記第2の導体板、及び前記第2の導体板に対応する前記第1の導体板の一部を、前記第1の導体板の残りの部分から切断するように構成される場合がある。
【0023】
他の実施形態において、前記導体片は、前記棒状発射体の一方の端部の正面を横切って延びる第1の導体板であって、凹部を有する第1の導体板と、前記第1の導体板の前記凹部に結合された第2の導体板とを含む場合がある。前記導体片は、均一な厚みを有する場合がある。前記第1の導体板の前記凹部は、前記棒状発射体の前記一方の端部の正面に配置される場合がある。前記第1の導体板は、溝を有し、前記第2の導体板は、前記第1の導体板の前記溝に圧入された畝部を有する場合がある。前記溝は、開口端に向かって僅かにテーパーを有し、前記畝部は、先端に向かって幅広になる僅かな逆向きのテーパーを有する場合がある。前記棒状発射体は、前記導体片の前記第2の導体板の上面に衝突すると、前記第2の導体板、及び前記第2の導体板に対応する前記第1の導体板の一部を、前記第1の導体板の残りの部分から切断するように構成される場合がある。
【0024】
さらに他の実施形態において、前記導体片は、前記棒状発射体の前記一方の端部の正面に配置された第1の導体板と、前記第1の導体板の対向する縁部にそれぞれの縁部において結合された第2の導体板及び第3の導体板とを含む場合がある。前記導体片は、均一な厚みを有する場合がある。前記第1の導体板と、前記第2の導体板及び前記第3の導体板は、互いの縁部を僅かに重ね合わせる形で配置され、重なり合う部分において互いに溶接されている場合がある。前記溶接個所の数は、2以上である場合がある。前記溶接個所の数は、8以下である場合がある。前記溶接個所の数は、6以下である場合がある。前記溶接個所の数は、4以下である場合がある。前記棒状発射体は、前記導体片の前記第1の導体板の上面に衝突すると、前記溶接箇所において前記第1の導体板を前記第2の導体板及び前記第3の導体板から分離切断するように構成される場合がある。
【0025】
さらに他の実施形態において、前記導体片は、前記棒状発射体の前記一方の端部の正面に配置された第1の導体板と、前記第1の導体板の対向する縁部にそれぞれの縁部において結合された第2の導体板及び第3の導体板とを含む場合がある。前記第1の導体板、前記第2の導体板、及び前記第3の導体板は、同じ厚みを有する場合がある。一例において、前記第1の導体板は、前記対向する縁部の上面にそれぞれ形成された溝または畝部を有し、前記第2の導体板及び前記第2の導体板の各々は、その縁部の下面に形成された対応する畝部または溝を有する場合がある。前記第1の導体板と、前記第2の導体板及び前記第3の導体板は、互いの縁部を重ね合わせる形で配置される場合がある。前記第1の導体板の溝または畝部と、前記第2の導体板及び前記第3の導体板の各々の畝部または溝は、互いに圧入される場合がある。他の例において、前記第1の導体板は、前記対向する縁部の側面にそれぞれ形成された溝または畝部を有し、前記第2の導体板及び前記第2の導体板の各々は、その縁部の側面に形成された対応する畝部または溝を有する場合がある。前記第1の導体板と、前記第2の導体板及び前記第3の導体板は、互いの縁部を突き合わせる形で面一に配置される場合がある。前記第1の導体板の溝または畝部と、前記第2の導体板及び前記第3の導体板の各々の畝部または溝は、互いに圧入される場合がある。前記棒状発射体は、前記導体片の前記第1の導体板の上面に衝突すると、前記圧入箇所において前記第1の導体板を前記第2の導体板及び前記第3の導体板から分離切断するように構成される場合がある。
【0026】
さらに他の実施形態において、前記導体片は、前記棒状発射体の前記一方の端部の正面に配置された第1の導体板と、前記第1の導体板の対向する縁部にそれぞれの縁部において結合された第2の導体板及び第3の導体板とを含む場合がある。前記第1の導体板は、対向する縁部の上側折り返し部をそれぞれ有し、前記第2の導体板及び前記第3の導体板の各々は、その縁部に下側折り返し部を有する場合がある。前記第2の導体板及び前記第3の導体板の前記下側折り返し部は、前記第1の導体板の前記上側折り返し部にそれぞれ係合され、かしめられている場合がある。前記棒状発射体は、前記導体片の前記第1の導体板の上面に衝突すると、前記かしめられた箇所において前記第1の導体板を前記第2の導体板及び前記第3の導体板から分離切断するように構成される場合がある。
【0027】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態による電気回路遮断装置の分解斜視図である。電気回路遮断装置は、合成樹脂からなるハウジング10と、ハウジング10内に配置された点火器20、金属シリンダー30、合成樹脂からなる棒状発射体40、導体片50、及び絶縁性材料からなるストッパ60とを含む。金属シリンダー30は、ハウジング10の底部に設けられた開口部を通してハウジング10に取り付けられる。点火器20、及び棒状発射体40は、ハウジング10の底部に設けられた開口部を通して、金属シリンダー30に挿入される。導体片50、及びストッパ60は、ハウジング10の正面からハウジング10に取り付けられる。
【0029】
図2は、図1に示した構成部品を組み立ててなる電気回路遮断装置1をx軸方向における中央位置においてY−Z平面で切断して見たときの断面図である。
【0030】
ハウジング10は、ハウジング10の第1端部11側から反対側の第2端部12側に向かってハウジング10内の中程まで延びる筒状空間13を内部に有している。筒状空間13は、その中心軸に対して垂直な断面において円形の断面形状を有している。ハウジング10の外形は、電気回路遮断装置1の取り付け部位の形状に応じて適宜決定されてよい。
【0031】
点火器20は、筒状空間13の一端において、棒状発射体40の末端部45に対向して近接して配置され、棒状発射体40を導体片50に向けて発射する圧力を生成する。点火器20は、点火薬を含む点火部21と、点火部21に接続された導電ピン23とを有する点火器本体22を含む。点火器本体22の一部22は、樹脂で包囲されている。
【0032】
金属シリンダー30は、ハウジング10の筒状空間13の中に圧入等によって配置される。ただし、金属シリンダー30は、ハウジング10を補強するためのものであり、ハウジング10に十分な強度があれば、省略されてもよい。
【0033】
棒状発射体40は、ハウジング10内に筒状空間13に沿って摺動可能に配置される。棒状発射体40は、ロッド部41と、ロッド部41の先に形成された先端拡径部42とを含む。ロッド部41は、棒状発射体40の中心軸に対して垂直な断面において円形の断面形状を有している。ロッド部41は、ハウジング10の筒状空間13、またはその中に配置された金属シリンダー30に挿入される。ロッド部41は、その長手方向における中間部に、低減された外径を有するくびれ部43を有する場合がある。密閉のために、くびれ部43には、ゴム(例えばシリコーンゴム)や合成樹脂からなるOリング44が嵌め込まれる場合がある。先端拡径部42は、棒状発射体40の中心軸に対して垂直な断面において正方形または円形の断面形状を有している。先端拡径部42の前記断面における直径または一辺の長さは、ロッド部41の直径よりも長い。棒状発射体40は、先端拡径部42の先端に正方形または円形の単一の打撃面42aを有している。打撃面42aは、正方形であることが好ましい。打撃面42aは、平坦であることが好ましい。ただし、発明の作用が得られる範囲内で、打撃面42aは、多少の凹凸を有していてもよい。一例において、打撃面42aは、棒状発射体40の発射方向(すなわち、棒状発射体40の軸方向)に対して垂直である。
【0034】
導体片50は、棒状発射体40の一方の端部(すなわち、先端拡径部)42の正面(すなわち、棒状発射体40の端部42の打撃面42aから棒状発射体40の軸方向に延びる一定距離内の空間)を横切って延びるように配置されている。この一定距離は、棒状発射体40の可動距離(図3参照)に等しく、例えば、打撃面42aから後述するストッパ60の凹部61の底面までの距離として規定される場合がある。導体片50は、好ましくは、棒状発射体40の端部42の正面を、棒状発射体40の発射方向(すなわち、棒状発射体40の軸方向)に対して垂直な方向に横切って延びるように配置される。導体片50は、導体片50の表面が棒状発射体40の発射方向(すなわち、棒状発射体40の軸方向)に対して垂直になるように配置されることが好ましい。ただし、導体片50は、棒状発射体40によって導体片50を切断することが可能な範囲内で、導体片50の表面が棒状発射体40の発射方向に対して垂直から僅かな角度を成して配置されてもよい。図2の例において、導体片50は、ハウジング10内でU字形に湾曲しているが、導体片50は、湾曲していなくてもよい。他の例において、導体片50は、平らな導体板からなる場合がある。導体片50は、電気回路遮断装置1の使用時に外部電気回路(図示せず)と直列に接続され、装置1の作動時に、外部電気回路を遮断する働きをする。導体片50は、外部電気回路(図示せず)と接続するための導体板からなるリード端子部51、52をさらに含む。図示したリード端子部51、52は、ハウジング10への取り付けの都合上、湾曲した導体板からなるが、リード端子部51、52の形状は、このような湾曲した形状のものに限られない。他の例において、リード端子部51、52は各々、平らな導体板からなる場合がある。導体片50の詳細については、図4図9を参照して後で説明される。
【0035】
外部電気回路に異常が発生すると、点火器20は、導電ピン23に接続された外部電源(図示せず)から通電を受け、点火部21内の点火薬を燃焼させ、燃焼ガスや火炎などの燃焼生成物を筒状空間13内に生成する。筒状空間13内に生成された燃焼生成物の圧力により、棒状発射体40は、筒状空間13の端部から導体片50に向けて発射される。発射された棒状発射体40の端部42は、導体片50と衝突し、図3に示されるように導体片50を切断する。
【0036】
ストッパ60は、導体片50が切断されたときに発生する切断片を受け止める働きをする。ストッパ60は、絶縁性材料から形成され、導体片50に向かって開口する凹部61を有している。棒状発射体40の端部42は、導体片50を切断した後、ストッパ60の凹部61の中まで入り込み、導体片50の切断片をストッパ60の凹部61の中に閉じ込める。これによって、切断片による意図しない回路の短絡やアークの発生が防止される。一例において、ストッパ60は箱形である。ただし、ストッパ60の外形は、取り付け部位の形状に応じて適宜変更されてよい。
【0037】
電気回路遮断装置1は、ハウジング10を補強するための金属フレーム70をさらに含む場合がある。一例において、金属フレーム70は、導体片50が通過する箇所に切欠き部を有するU字形に湾曲した金属板からなる。ただし、金属フレーム70の形状は、装置1の他の構成要素の機能を阻害することなくハウジング10の強度を向上させることが可能な範囲内で適宜変更されてよい。また、ハウジング10に十分な強度があれば、金属フレーム70は省略されてよい。
【0038】
図4は、図1図3に示した導体片50の第1の実施形態による導体片50aの一部を示している。残りの部分は、図1図3に示した導体片50と同様に構成される。導体片50aは、棒状発射体40の端部42の正面を横切って延びる第1の導体板53aであって、凹部54(2本の溝56とその間に形成された薄厚部とを含む)を有する第1の導体板53aと、第1の導体板53aの凹部54に結合された第2の導体板53bとを含む。第2の導体板53bは、第1の導体板53aの凹部54の厚みを補う働きをする。一例において、導体片50aは、均一な厚みtを有する。他の例において、導体片50aは、不均一な厚みを有する。第1の導体板53aの凹部54、及び第2の導体板53bは、棒状発射体40の端部42の正面に配置される。第1の導体板53aは、導体片50aの切断を容易にするための2本の溝56を有し、第2の導体板53bは、第1の導体板53aの2本の溝56にそれぞれ嵌合された2本の畝部57を有している。第1の導体板53aの2本の溝56は、棒状発射体40の端部42の打撃面42aの縁部に対応する位置に形成されている。第2の導体板53bは、畝部57を溝56に嵌合することによって第1の導体板53aの凹部54に結合され、その下面の中央部55の一箇所において第1の導体板53aにスポット溶接されている。棒状発射体40の端部42は、導体片50aの上面に衝突すると、第2の導体板53b、及び第2の導体板53bに対応する第1の導体板53aの一部を、第1の導体板53aの残りの部分から切断する。この例では、第1の導体板53aの凹部54が、第1の導体板53aの上側に形成され、第2の導体板53bが第1の導体板53aの上側に結合されているが、上下を逆にした構成も可能である。
【0039】
図5は、本発明の第2の実施形態による導体片50bの一部を示している。残りの部分は、図1図3に示した導体片50と同様に構成される。導体片50bは、棒状発射体40の端部42の正面を横切って延びる第1の導体板53aであって、凹部54(2本の溝56とその間に形成された薄厚部とを含む)を有する第1の導体板53aと、第1の導体板53aの凹部54に結合された第2の導体板53bとを含む。第2の導体板53bは、第1の導体板53aの凹部54の厚みを補う働きをする。一例において、導体片50aは、均一な厚みtを有する。他の例において、導体片50aは、不均一な厚みを有する。第1の導体板53aの凹部54、及び第2の導体板53bは、棒状発射体40の端部42の正面に配置される。第1の導体板53aは、導体片50aの切断を容易にするための2本の溝56を有し、第2の導体板53bは、第1の導体板53aの2本の溝56にそれぞれ嵌合された2本の畝部57を有している。第1の導体板53aの2本の溝56は、棒状発射体40の端部42の打撃面42aの縁部に対応する位置に形成されている。第2の導体板53bは、畝部57を溝56を嵌合することによって第1の導体板53aの凹部54に結合され、下面の縁部に沿った6つの箇所55において第1の導体板53aにスポット溶接されている。詳しくは、第2の導体板53bは、畝部57の先端部において第1の導体板53aの溝56の底にスポット溶接されている。溶接個所の数は、図示した6箇所に限られない。安定した通電を確保するために、溶接個所の数は、2以上であることが好ましい。切断を容易にするために、溶接個所の数は、8以下であることが好ましい。一例において、溶接個所の数は、6以下である。他の例において、溶接個所の数は、4以下である。棒状発射体40の端部42は、導体片50bの上面に衝突すると、第2の導体板53b、及び第2の導体板53bに対応する第1の導体板53aの一部を、第1の導体板53aの残りの部分から切断する。この例では、凹部54が、第1の導体板53aの上側に形成され、第2の導体板53bが第1の導体板53aの上側に結合されているが、上下を逆にした構成も可能である。
【0040】
図6は、本発明の第3の実施形態による導体片50cの一部を示している。残りの部分は、図1図3に示した導体片50と同様に構成される。導体片50cは、棒状発射体40の端部42の正面を横切って延びる第1の導体板53aであって、凹部54(2本の溝56とその間に形成された薄厚部とを含む)を有する第1の導体板53aと、第1の導体板53aの凹部54に結合された第2の導体板53bとを含む。第2の導体板53bは、第1の導体板53aの凹部54の厚みを補う働きをする。一例において、導体片50aは、均一な厚みtを有する。他の例において、導体片50aは、不均一な厚みを有する。第1の導体板53aの凹部54、及び第2の導体板53bは、棒状発射体40の端部42の正面に配置される。第1の導体板53aは、導体片50の切断を容易にするための2本の溝56を有し、第2の導体板53bは、第1の導体板53aの2本の溝56にそれぞれ圧入された2本の畝部57を有している。第1の導体板53aの2本の溝56は、棒状発射体40の端部42の打撃面42aの縁部に対応する位置に形成されている。溝56は、開口端に向かって僅かにテーパーを有しており、畝部57は、先端に向かって幅広になる僅かな逆向きのテーパーを有している。図面では、分かり易く示すために、テーパーが強調して描かれている。第2の導体板53bは、畝部57を溝56に圧入することによって第1の導体板53aの凹部54に結合されている。棒状発射体40の端部42は、導体片50cの上面に衝突すると、第2の導体板53b、及び第2の導体板53bに対応する第1の導体板53aの一部を、第1の導体板53aの残りの部分から切断する。この例では、凹部54が、第1の導体板53aの上側に形成され、第2の導体板53bが第1の導体板53aの上側に結合されているが、上下を逆にした構成も可能である。
【0041】
図7は、本発明の第4の実施形態による導体片50dの一部を示している。残りの部分は、図1図3に示した導体片50と同様に構成される。導体片50dは、棒状発射体40の端部42の正面に配置された第1の導体板53cと、第1の導体板53cの対向する縁部にそれぞれの縁部において結合された第2の導体板53d及び第3の導体板53eとを含む。別な言い方をすれば、導体片50dは、互いに間隔を空けて面一に配置された第2の導体板53d及び第3の導体板53eと、第2の導体板53d及び前記第3の導体板53eを相互に結合する第1の導体板53cであって、棒状発射体40の端部42の正面に配置された第1の導体板53cとを含む。一例において、導体板53c、53d、53eは、同じ厚みtを有する。他の例において、導体板53c、53d、53eは、異なる厚みを有する。第1の導体板53cと、第2の導体板53d及び第3の導体板53eは、互いの縁部を僅かに重ね合わせる形で配置され、重なり合う部分において互いに6つの箇所55でスポット溶接されている。溶接個所の数は、図示した6箇所に限られない。安定した通電を確保するために、溶接個所の数は、2以上であることが好ましい。切断を容易にするために、溶接個所の数は、8以下であることが好ましい。一例において、溶接個所の数は、6以下である。他の例において、溶接個所の数は、4以下である。棒状発射体40の端部42は、導体片50dの上面に衝突すると、溶接個所において第1の導体板53cを第2の導体板53d及び第3の導体板53eから分離切断する。
【0042】
図8は、本発明の第5の実施形態による導体片50eの一部を示している。残りの部分は、図1図3に示した導体片50と同様に構成される。導体片50eは、棒状発射体40の端部42の正面に配置された第1の導体板53cと、第1の導体板53cの対向する縁部にそれぞれの縁部において結合された第2の導体板53d及び第3の導体板53eとを含む。別な言い方をすれば、導体片50eは、互いに間隔を空けて面一に配置された第2の導体板53d及び第3の導体板53eと、第2の導体板53d及び第3の導体板53eを相互に接続する第1の導体板53cであって、棒状発射体40の端部42の正面に配置された第1の導体板53cとを含む。一例において、導体板53c、53d、53eは、同じ厚みtを有する。他の例において、導体板53c、53d、53eは、異なる厚みを有する。第1の導体板53cは、対向する縁部の上面にそれぞれ形成された畝部57a、57bを有し、第2の導体板53dは、その縁部の下面に形成された対応する溝56aを有し、第3の導体板53eは、その縁部の下面に形成された対応する溝56bを有している。溝56a、56bは、開口端に向かって僅かにテーパーを有しており、畝部57a、57bは、先端に向かって幅広になる僅かな逆向きのテーパーを有している。図面では、分かり易く示すために、テーパーが強調して描かれている。第1の導体板53cと、第2の導体板53d及び第3の導体板53eは、互いの縁部を僅かに重ね合わせる形で配置されている。第1の導体板53cの畝部57a、57bと、第2の導体板53d及び第3の導体板53eの各々の溝56a、56bは、互いに圧入されている。換言すれば、第1の導体板53cと、第2の導体板53d及び第3の導体板53eは、互いの縁部を僅かに重ね合わせる形で配置され、重なり合う部分において厚み方向に互いに圧入されている。図8の例では、第1の導体板53cに畝部が形成され、第2の導体板53d及び第3の導体板53eに溝が形成されているが、逆の構成も可能である。棒状発射体40の端部42は、導体片50eの上面に衝突すると、圧入箇所において第1の導体板53cを第2の導体板53d及び第3の導体板53eから分離切断する。
【0043】
図9は、本発明の第6の実施形態による導体片50fの一部を示している。残りの部分は、図1図3に示した導体片50と同様に構成される。導体片50fは、棒状発射体40の端部42の正面に配置された第1の導体板53cと、第1の導体板53cの対向する縁部にそれぞれの縁部において結合された第2の導体板53d及び第3の導体板53eとを含む。別な言い方をすれば、導体片50fは、互いに間隔を空けて面一に配置された第2の導体板53d及び第3の導体板53eと、第2の導体板53d及び第3の導体板53eを相互に接続する第1の導体板53cであって、棒状発射体40の端部42の正面に配置された第1の導体板53cとを含む。一例において、導体板53c、53d、53eは、同じ厚みtを有する。他の例において、導体板53c、53d、53eは、異なる厚みを有する。第1の導体板53cは、対向する縁部の側面にそれぞれ形成された溝56a、56bを有し、第2の導体板53dは、その縁部の側面に形成された対応する畝部57aを有し、第3の導体板53eは、その縁部の側面に形成された対応する畝部57bを有している。溝56a、56bは、開口端に向かって僅かにテーパーを有しており、畝部57a、57bは、先端に向かって幅広になる僅かな逆向きのテーパーを有している。図面では、分かり易く示すために、テーパーが強調して描かれている。第1の導体板53cと、第2の導体板53d及び第3の導体板53eとは、互いの縁部を突き合わせる形で面一に配置され、第1の導体板53cの溝56a、56bと、第2の導体板53d及び第3の導体板53eの畝部57a、57bとが、互いに圧入されている。換言すれば、第1の導体板53cと、第2の導体板53d及び第3の導体板53eとは、互いの縁部を突き合わせる形で面一に配置され、導体板53c、53d、53eの表面に対して平行な方向に互いに圧入されている。図9の例では、第1の導体板53cに溝51a、56bが形成され、第2の導体板53d及び第3の導体板53eに畝部57a、57bが形成されているが、逆の構成も可能である。棒状発射体40の端部42は、導体片50fの上面に衝突すると、圧入箇所において第1の導体板53cを第2の導体板53d及び第3の導体板53eから分離切断する。
【0044】
図10は、本発明の第7の実施形態による導体片50gの一部を示している。残りの部分は、図1図3に示した導体片50と同様に構成される。導体片50gは、棒状発射体40の端部42の正面に配置された第1の導体板53cと、第1の導体板53cの対向する縁部にそれぞれの縁部において結合された第2の導体板53d及び第3の導体板53eとを含む。別な言い方をすれば、導体片50gは、互いに間隔を空けて面一に配置された第2の導体板53d及び第3の導体板53eと、第2の導体板53d及び第3の導体板53eを相互に接続する第1の導体板53cであって、棒状発射体40の端部42の正面に配置された第1の導体板53cとを含む。第1の導体板53cは、対向する縁部に上側折り返し部58a、58bをそれぞれ有し、第2の導体板53d及び第3の導体板53eの各々は、その縁部に下側折り返し部59a、59bを有している。第2の導体板53dの下側折り返し部59aは、第1の導体板53cの上側折り返し部58aと係合され、上下方向にかしめられている。同様に、第3の導体板53eの下側折り返し部59bは、第1の導体板53cの上側折り返し部58bと係合され、上下方向にかしめられている。棒状発射体40の端部42は、導体片50gの上面に衝突すると、かしめられた箇所において第1の導体板53cを第2の導体板53d及び第3の導体板53eから分離切断する。
【0045】
本発明の種々の実施形態に関する上記説明は、例示を目的とするものであり、発明の範囲を制限するものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。
【符号の説明】
【0046】
1 電気回路遮断装置
10 ハウジング
20 点火器
30 金属シリンダー
40 棒状発射体
50、50a、50b、50c、50d、50e、50f、50g 導体片
53a、53b、53c、53d、53e 導体板
60 ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10