特許第6962761号(P6962761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水化成品工業株式会社の特許一覧

特許6962761複合樹脂粒子、その製造方法、発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962761
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】複合樹脂粒子、その製造方法、発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/18 20060101AFI20211025BHJP
   C08J 9/228 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   C08J9/18CES
   C08J9/18CET
   C08J9/228
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-184857(P2017-184857)
(22)【出願日】2017年9月26日
(65)【公開番号】特開2019-59836(P2019-59836A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2020年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(72)【発明者】
【氏名】寺崎 慎悟
【審査官】 芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/156133(WO,A1)
【文献】 特開2016−180073(JP,A)
【文献】 特開2014−193949(JP,A)
【文献】 特開2015−081274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00−9/42
B29C 44/00−44/60,67/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とをこれらの合計に対してそれぞれ38.8〜17.9質量%及び61.2〜82.1質量%の範囲で含む発泡粒子製造用の複合樹脂粒子であり
前記複合樹脂粒子が、その1kgあたり、1.0〜15.0mgのホウ素量に対応する帯電防止剤として、かつ前記複合樹脂粒子から得られた100mm×100mm×30mmの大きさの発泡成形体を、その両面に表皮がある状態で、超純水100mLに25℃で72時間浸漬した際に、超純水に移行するホウ素量が0.20mg/L以下となるように、ホウ素含有化合物を含み、前記ホウ素含有化合物が、前記複合樹脂粒子の表層から中心部に存在し、かつ
前記複合樹脂粒子が、前記複合樹脂粒子から得られた発泡成形体を温度65℃かつ湿度90%の環境下に、500時間曝した場合、前記発泡成形体に1×1010Ω以下の表面抵抗値を与えることを特徴とする複合樹脂粒子。
【請求項2】
前記ホウ素含有化合物が、ドナー成分としての半極性有機ホウ素化合物と、アクセプタ成分としての塩基性窒素化合物とを反応させて得られるドナー・アクセプター系分子化合物である請求項1に記載の複合樹脂粒子。
【請求項3】
前記ポリオレフィン系樹脂が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びこれらの混合物から選択される請求項1又は2に記載の複合樹脂粒子。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1つに記載の複合樹脂粒子の製造方法であって、
ホウ素含有化合物、又はホウ素含有化合物を含むポリオレフィン系樹脂製のマスターバッチと、ポリオレフィン系樹脂との溶融物をカットすることにより種粒子を得、
前記種粒子に、スチレン系単量体を含浸及び重合させることにより複合樹脂粒子を得ることを特徴とする複合樹脂粒子の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1つに記載の複合樹脂粒子と揮発性発泡剤とを含む発泡性粒子。
【請求項6】
請求項に記載の発泡性粒子を発泡させて得られた発泡粒子。
【請求項7】
請求項6に記載の発泡粒子を発泡成形させて得られた発泡成形体。
【請求項8】
前記発泡成形体が、電子機器輸送用の緩衝材である請求項に記載の発泡成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合樹脂粒子、その製造方法、発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体に関する。本発明によれば、帯電防止性能の向上した発泡粒子及び発泡成形体を与え得る複合樹脂粒子、その製造方法及び発泡性粒子、帯電防止性能の向上した発泡粒子及び発泡成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリスチレン系樹脂からなる発泡成形体は、優れた緩衝性及び断熱性を有しているが、耐衝撃性や柔軟性が不十分である。一方、ポリオレフィン系樹脂からなる発泡成形体は、耐衝撃性や柔軟性に優れているが、剛性が不十分である。そこで、2つの異なる樹脂を併用することで、2つの樹脂の特長を併せもつ、複合樹脂粒子を用いた発泡成形体が提案されている。この発泡成形体は、各種物品の輸送時の緩衝材として多用されている。
ところで、発泡成形体は、帯電性が高いことが知られている。高い帯電性は、発泡成形体に静電気を蓄積させ、蓄積した静電気が埃を引き付けるという問題を生じる。この埃は、輸送時の物品に付着し、物品の商品価値を低下させることになる。また、物品が電子機器の場合、埃の付着による短絡や、蓄積した静電気による静電破壊により電子機器に不良が発生することがある。そのため、発泡成形体の帯電性を低下させることが求められていた。この求めに応じて、発泡成形体に帯電防止剤をコーティングする技術が提案されている(特開2014−193949号公報:特許文献1)。
特許文献1では、帯電防止剤を含む溶液を発泡成形体に塗布又は噴霧することにより、帯電性の抑制された発泡成形体が得られるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−193949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、帯電防止剤を含む溶液は発泡成形体に対する濡れ性が劣るため、発泡成形体を帯電防止剤で均一に覆うことができず、帯電性の抑制が不均一になるという欠点があった。また、帯電防止剤は発泡成形体の表面に付着しているだけであるため、物品に容易に移行することがあった。この移行は、物品が電子機器である場合、電子機器を構成する金属配線を腐食させるという欠点にもつながっていた。
そのため、均一な帯電性の抑制と、物品への帯電防止剤の移行とが防止可能な発泡成形体及び、この発泡成形体を与え得る複合樹脂粒子、発泡性粒子及び発泡粒子の提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の発明者は、鋭意検討の結果、帯電防止剤としてのホウ素含有化合物を特定の範囲で表層から中心部に含む複合樹脂粒子により、帯電防止性の優れた発泡成形体が製造可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とをこれらの合計に対してそれぞれ38.8〜17.9質量%及び61.2〜82.1質量%の範囲で含む発泡粒子製造用の複合樹脂粒子であり
前記複合樹脂粒子が、その1kgあたり、1.0〜15.0mgのホウ素量に対応する帯電防止剤として、かつ前記複合樹脂粒子から得られた100mm×100mm×30mmの大きさの発泡成形体を、その両面に表皮がある状態で、超純水100mLに25℃で72時間浸漬した際に、超純水に移行するホウ素量が0.20mg/L以下となるように、ホウ素含有化合物を含み、前記ホウ素含有化合物が、前記複合樹脂粒子の表層から中心部に存在し、かつ
前記複合樹脂粒子が、前記複合樹脂粒子から得られた発泡成形体を温度65℃かつ湿度90%の環境下に、500時間曝した場合、前記発泡成形体に1×1010Ω以下の表面抵抗値を与えることを特徴とする複合樹脂粒子が提供される。
【0006】
更に、本発明によれば、上記複合樹脂粒子の製造方法であって、
ホウ素含有化合物、又はホウ素含有化合物を含むポリオレフィン系樹脂製のマスターバッチと、ポリオレフィン系樹脂との溶融物をカットすることにより種粒子を得、
前記種粒子に、スチレン系単量体を含浸及び重合させることにより複合樹脂粒子を得ることを特徴とする複合樹脂粒子の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、上記複合樹脂粒子と揮発性発泡剤とを含む発泡性粒子が提供される。
更に、本発明によれば、上記発泡性粒子を発泡させて得られた発泡粒子が提供される。
また、本発明によれば、上記発泡粒子を発泡成形させて得られた発泡成形体が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、帯電防止性能の向上した発泡粒子及び発泡成形体を与え得る複合樹脂粒子、その製造方法及び発泡性粒子、帯電防止性能の向上した発泡粒子及び発泡成形体を提供できる。
以下のいずれかの場合、より帯電防止性能の向上した発泡粒子及び発泡成形体を与え得る複合樹脂粒子を提供できる。
(1)複合樹脂粒子は、複合樹脂粒子から得られた100mm×100mm×30mmの大きさの発泡成形体を、その両面に表皮がある状態で、超純水100mlに25℃で72時間浸漬した際に、超純水に移行するホウ素量が0.20mg/L以下となるように、ホウ素含有化合物を含む。
(2)ホウ素含有化合物が、ドナー成分としての半極性有機ホウ素化合物と、アクセプタ成分としての塩基性窒素化合物とを反応させて得られるドナー・アクセプター系分子化合物である。
(3)複合樹脂粒子は、複合樹脂粒子から得られた発泡成形体を温度65℃かつ湿度90%の環境下に、500時間曝した場合、発泡成形体に1×1010Ω以下の表面抵抗値を与える。
(4)ポリオレフィン系樹脂が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びこれらの混合物から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(複合樹脂粒子)
複合樹脂粒子は、発泡粒子製造に使用される。また、複合樹脂粒子は、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを、これらの合計に対して、それぞれ50〜10質量%及び50〜90質量%の範囲で含む。更に、複合樹脂粒子は、その1kgあたり、1.0〜15.0mgのホウ素量に対応する帯電防止剤としてのホウ素含有化合物を含む。また更に、ホウ素含有化合物は、複合樹脂粒子の表層から中心部に存在している。
【0009】
(1)ポリオレフィン系樹脂
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されず、公知の樹脂が使用できる。また、ポリオレフィン系樹脂は、架橋していてもよい。例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、これら重合体の架橋体等のポリエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂が挙げられる。上記例示中、低密度は、0.91〜0.94g/cm3であることが好ましく、0.91〜0.93g/cm3であることがより好ましい。高密度は、0.95〜0.97g/cm3であることが好ましく、0.95〜0.96g/cm3であることがより好ましい。中密度はこれら低密度と高密度の中間の密度である。ポリオレフィン系樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びこれらの混合物から好適に選択できる。
【0010】
(2)ポリスチレン系樹脂
ポリスチレン系樹脂としては、スチレン系単量体を主成分とする樹脂であれば特に限定されず、スチレン又はスチレン誘導体の単独又は共重合体が挙げられる。
スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。これらのスチレン系単量体は、単独で用いられても、併用されてもよい。
【0011】
ポリスチレン系樹脂は、スチレン系単量体と共重合可能なビニル系単量体を併用したものであってもよい。
ビニル系単量体としては、例えば、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン等のジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性単量体;(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、多官能性単量体が好ましく、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン単位数が4〜16のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンがより好ましく、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。尚、単量体は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、単量体を併用する場合、その含有量は、スチレン系単量体が主成分となる量(例えば、50質量%以上)になるように設定されることが好ましい。
【0012】
(3)樹脂成分の含有割合
ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とは、これらの合計に対して、それぞれ50〜10質量%及び50〜90質量%の範囲で含まれる。
ポリスチレン系樹脂が50質量%未満の場合、発泡性、成形加工性が不十分になることがある。一方、ポリスチレン系樹脂が90質量%より多い場合、耐衝撃性や柔軟性が不十分になることがある。
ポリエチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とは、これらの合計に対して、それぞれ40〜15質量%及び60〜85質量%の範囲で含まれることが好ましい。
【0013】
(4)ホウ素含有化合物
ホウ素含有化合物は、帯電防止剤として機能し、ホウ素を含有しさえすれば特に限定されない。例えば、アクセプタ成分と、ホウ素を含有するドナー成分とから構成されるホウ素含有化合物が挙げられる。
アクセプタ成分としては、例えば、アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピラジニウムカチオン、キノリウムカチオン、イソキノリウムカチオン、オキソニウムカチオン、ピリリウムカチオン、スルホニウムカチオン、スルホキソニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、ヨードキソニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、オキサゾリウムカチオン、チアゾリウムカチオン、ベンゾイミダゾリウムカチオン、ベンゾオキサゾリウムカチオン及びベンゾチアゾリウムカチオン等が挙げられる。
ドナー成分としては、例えば、ホウ素原子に4つの置換基が結合した成分が挙げられる。4つの置換基としては、例えば、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基及び複素環基が挙げられる。4つの置換基の内、隣接する2つの置換基が結合して、ホウ素原子と共に環を形成してもよい。
好適なホウ素含有化合物としては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0014】
【化1】
【0015】
上記化合物は、ドナー成分としての半極性有機ホウ素化合物と、アクセプタ成分としての塩基性窒素化合物とを反応させて得られるドナー・アクセプター系分子化合物である。このドナー・アクセプター系分子化合物は、比較的少量で所望の帯電防止性を発泡成形体に与え得る。そのため、複合樹脂粒子から発泡成形体を得るまでの工程に悪影響を与えにくい化合物である。
上記式中、R1〜4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよいアルキル基である。アルキル基の炭素数は、1〜4であることが好ましい(但し、置換基を構成する炭素数は未算入)。アルキル基には、構造異性体が含まれる。置換基としては、水酸基、炭素数1〜20のアルキルカルボニルオキシ基等が挙げられる。R5は、結合手、アルキレン基(例えば、炭素数1〜4)等が挙げられる。
具体的なR1及びR2としては、R−CO−OCH−(Rは、炭素数1〜20のアルキル基である)及びHOCH−が挙げられる。R3及びR4としては、CH−、C−、HOCH−、HOC−及びHOCHCH(CH)−等が挙げられる。R5としては、結合手、−CH2−、−C−及び−C−が挙げられる。
式(1)で表される化合物としては、ボロン研究所社製のビオミセルシリーズが挙げられる。特に、ビオミセルBN−105が好適である。
【0016】
複合樹脂粒子中のホウ素量は、複合樹脂粒子1kgあたり、1.0〜15.0mgである。複合樹脂粒子中には、このホウ素量に対応する量のホウ素含有化合物が含まれている。ホウ素量が1.0mg未満の場合、帯電の防止効果を十分得られないことがある。ホウ素量が15.0mgより多い場合、複合樹脂粒子から発泡成形体を得るまでの工程に悪影響を与えることがある。ホウ素量は、2.0〜11.0mgであることが好ましく、3.0〜8.0mgであることがより好ましい。
ホウ素含有化合物は、複合樹脂粒子の表層から中心部に存在している。そのため、この複合樹脂粒子から得られた発泡成形体は、ホウ素含有化合物の脱離が抑制されている。ホウ素含有化合物の複合樹脂粒子内での存在状態は、脱離が抑制できていさえすれば、表層から中心部までに均一に存在していてもよく、偏在していてもよい。
【0017】
(5)物性
複合樹脂粒子は、複合樹脂粒子から得られた100mm×100mm×30mmの大きさの発泡成形体を、その両面に表皮がある状態で、超純水100mLに25℃で72時間浸漬した際に、超純水に移行するホウ素量が0.20mg/L以下となるように、ホウ素含有化合物を含むことが好ましい。ホウ素量が0.20mg/L以下であることは、複合樹脂粒子から得られた発泡成形体に含まれているホウ素含有化合物が、脱落し難いことを意味する。その結果、均一な帯電性の抑制と、物品への帯電防止剤の移行とが防止可能な発泡成形体を提供できる。ホウ素量は、0.15mg/L以下であることがより好ましく、0.10mg/L以下であることが更に好ましい。ホウ素量の下限は0mg/Lである。
複合樹脂粒子は、帯電防止性の劣化を測定するための加速試験として、複合樹脂粒子から得られた発泡成形体を温度65℃かつ湿度90%の環境下に、500時間曝した場合、発泡成形体に1×1010Ω以下の表面抵抗値を与えることが好ましい。この表面抵抗値を有することは、複合樹脂粒子に含まれるホウ素含有化合物が、表面に付着しておらず、表層から中心部に存在していることを意味する。加えて、この表面抵抗値を有することは、本発明の複合樹脂粒子を発泡粒子の製造に使用すれば、帯電防止性能を長期間持続し、発泡成形体に接する他の物品への帯電防止剤の移行を抑制し得ることを意味する。
複合樹脂粒子は、1.0〜2.0mmの平均粒子径を有することが好ましい。平均粒子径は、1.2〜1.6mmであることがより好ましい。
複合樹脂粒子の質量平均分子量:Mwは、250,000〜450,000程度である。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定できる。
【0018】
(6)製造方法
複合樹脂粒子は、特に限定されないが、例えば、シード重合法により製造できる
(a)シード重合法
シード重合法では、一般に、種粒子に単量体を吸収させ、吸収させた後又は吸収させつつ単量体の重合を行うことにより複合樹脂粒子を得ることができる。また、重合させた後又は重合させつつ複合樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得ることもできる。
【0019】
具体的には、まず、水性媒体中で、種粒子に、スチレン系単量体を吸収させ、吸収させた後又は吸収させつつスチレン系単量体の重合を行うことで複合樹脂粒子を得る。
スチレン系単量体は、これを構成する単量体を全て同時に水性媒体中に供給する必要はなく、単量体の全部あるいは一部を別々のタイミングで水性媒体中に供給してもよい。複合樹脂粒子中に添加剤を含有させる場合には、添加剤をスチレン系単量体や水性媒体中に添加しても、あるいは、種粒子中に含有させてもよい。
尚、単量体と樹脂の量はほぼ同一である。
【0020】
スチレン系単量体の重合は、例えば、60〜150℃で、2〜40時間加熱することにより行うことができる。
重合工程では、重合温度で長時間保持する、すなわちアニールするのが好ましい。
アニール工程に至るそれまでの工程において、種粒子に吸収させたスチレン系単量体及び重合開始剤は完全には反応を完了しておらず、複合樹脂粒子内部には未反応物も少なからず存在している。そのため、アニールせずに得た複合樹脂粒子を用いて発泡成形体を得た場合、スチレン系単量体等低分子量の未反応物の影響により、発泡成形体の機械的物性や耐熱性の低下や揮発性の未反応物を原因とした臭気が問題となる。そこで、アニール工程を導入することによって未反応物が重合反応を起こす時間を確保し、発泡成形体の物性に影響しないように残存する未反応物を除去できる。
スチレン系単量体としては、複合樹脂粒子の項に例示のものが挙げられ、その使用量は、複合樹脂粒子の項に記載の範囲である。
【0021】
(b)種粒子
種粒子は、ポリオレフィン系樹脂とホウ素含有化合物を含む。種粒子は、例えば、ポリオレフィン系樹脂とホウ素含有化合物を混合・溶融混錬後、ストランド状に押し出し、所望の粒子径でカットする方法により得ることができる。ホウ素含有化合物は、予めポリオレフィン系樹脂と混合されたマスターバッチの形態で、種粒子の製造に使用されてもよい。ホウ素含有化合物がこの形態で使用されることで、ホウ素含有化合物を種粒子内により均一に分散できる。
種粒子の粒子径は、複合樹脂粒子の平均粒子径に応じて適宜調整できる。好ましい粒子径は、0.2〜1.5mmの範囲であり、その平均質量は10〜100mg/100粒である。また、その形状は、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状等が挙げられる。
【0022】
(c)水性媒体
水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、メチルアルコールやエチルアルコール等の低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。
【0023】
(d)分散剤
水性媒体には、スチレン系単量体の液滴及び種粒子の分散性を安定させるために分散剤を用いてもよい。このような分散剤としては、例えば、部分けん化ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の有機系分散剤;ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム等の無機系分散剤が挙げられる。これらの中でも、より安定な分散状態を維持できることがあるため、無機系分散剤が好ましい。
無機系分散剤を用いる場合には、界面活性剤を併用することが好ましい。このような界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0024】
(e)重合開始剤
スチレン系単量体は、通常重合開始剤の存在下で重合する。重合開始剤は、通常スチレン系単量体と同時に種粒子に含浸させる。
重合開始剤としては、従来からスチレン系単量体の重合に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。これら重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合開始剤の使用量は、スチレン系単量体100質量部に対して、例えば0.1〜5質量部の範囲である。
【0025】
重合開始剤を種粒子又は種粒子から成長途上の粒子に均一に吸収させるために、重合開始剤を水性媒体中に添加するにあたって、重合開始剤を水性媒体中に予め懸濁又は乳化分散させた上で分散液中に添加するか、あるいは重合開始剤をスチレン系単量体に予め溶解させた上で水性媒体中に添加することが好ましい。
【0026】
重合開始剤の好ましい添加量は、スチレン系単量体100質量部あたり0.1〜0.9質量部である。
重合開始剤の添加量が0.1質量部未満では、分子量が高くなりすぎて発泡性が低下することがある。一方、重合開始剤の添加量が0.9質量部を超えると、重合速度が速くなりすぎて、ポリスチレン系樹脂の粒子がポリオレフィン系樹脂中の分散状況を制御しきれないことがある。重合開始剤のより好ましい添加量は、0.2〜0.5質量部である。
【0027】
(f)他の成分
なお、複合樹脂粒子には、物性を損なわない範囲内において、可塑剤、結合防止剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、滑剤、着色剤、融着促進剤、展着剤、難燃剤及び難燃助剤等の添加剤を添加してもよい。
【0028】
複合樹脂粒子には、加熱発泡時に用いられる水蒸気の圧力が低くても良好な発泡成形性を維持させるために、1気圧下における沸点が200℃を超える可塑剤を含有させることができる。
可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリントリステアレート、グリセリンジアセトモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ジイソブチルアジペート等のアジピン酸エステル、ヤシ油等の可塑剤が挙げられる。
複合樹脂粒子中における可塑剤の含有量は、0.1〜3.0質量%が好ましい。
【0029】
結合防止剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、ステアリン酸亜鉛、水酸化アルミニウム、エチレンビスステアリン酸アミド、第三リン酸カルシウム、ジメチルシリコン等が挙げられる。
気泡調整剤としては、エチレンビスステアリン酸アミド、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
架橋剤としては、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン等の有機過酸化物等が挙げられる。
充填剤としては、合成又は天然に産出される二酸化ケイ素等が挙げられる。
滑剤としては、パラフィンワックス、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0030】
着色剤としては、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、黒鉛、炭素繊維等のカーボンブラック、黄鉛、亜鉛黄、バリウム黄等のクロム酸塩、紺青等のフェロシアン化物、カドミウムイエロー、カドミウムレッド等の硫化物、鉄黒、紅殻等の酸化物、群青のようなケイ酸塩、酸化チタン等の無機系の顔料、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アゾレーキ、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の多環式顔料等の有機系の顔料が挙げられる。
【0031】
融着促進剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸トリグリセリド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸ソルビタンエステル、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、シリコンオイル等が挙げられる。
【0032】
(発泡性粒子)
発泡性粒子は、複合樹脂粒子と、揮発性発泡剤とを含み、公知の方法により、複合樹脂粒子に揮発性発泡剤を含浸させることにより製造できる。
複合樹脂粒子に揮発性発泡剤を含浸させる温度としては、低いと、含浸に時間を要し、発泡性粒子の製造効率が低下することがある一方、高いと、発泡性粒子同士の合着が多量に発生することがあるので、50〜130℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。
【0033】
(1)発泡剤
揮発性発泡剤としては、従来からポリスチレン系樹脂の発泡に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、イソブタン、n−ブタン、イソペンタン、n−ペンタン、ネオペンタン等炭素数5以下の脂肪族炭化水素等の揮発性発泡剤が挙げられ、特にブタン系発泡剤、ペンタン系発泡剤が好ましい。尚、ペンタンは可塑剤としての作用も期待できる。
【0034】
発泡性粒子中における揮発性発泡剤の含有量は、通常5〜13質量%の範囲とされ、8〜12質量%の範囲が好ましく、9〜11質量%の範囲が特に好ましい。
揮発性発泡剤の含有量が少なく、例えば5質量%未満では、発泡性粒子から低密度の発泡成形体を得ることができないことがあると共に、型内発泡成形時の二次発泡力を高める効果が得られないために、発泡成形体の外観が低下することがある。一方、揮発性発泡剤の含有量が多く、例えば13質量%を超えると、発泡性粒子を用いた発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなり生産性が低下することがある。
【0035】
(2)発泡助剤
発泡性粒子には、発泡剤と共に発泡助剤を含有させることができる。
発泡助剤としては、従来からポリスチレン系樹脂の発泡に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族有機化合物、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等の1気圧下における沸点が200℃以下の溶剤が挙げられる。
【0036】
発泡性粒子中における発泡助剤の含有量は、通常0.3〜3.5質量%の範囲とされ、0.5〜2質量%の範囲が好ましい。
発泡助剤の含有量が少なく、例えば0.3質量%未満では、ポリスチレン系樹脂の可塑化効果が発現しないことがある。一方、発泡助剤の含有量が多く、3.5質量%を超えると、発泡性粒子を発泡させて得られる発泡成形体に収縮や融けが発生して外観が低下する、あるいは発泡性粒子を用いた発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなることがある。
【0037】
(発泡粒子)
発泡粒子は、公知の方法により、発泡性粒子を所定の嵩密度に発泡させることにより得られ、蒸気を導入するバッチ式発泡や連続発泡、加圧下からの放出発泡が挙げられる。
発泡粒子は、20〜200kg/m3の範囲の嵩密度を有することが好ましい。発泡粒子の嵩密度が20kg/m3未満では、発泡成形体が収縮しやすく外観を損なうことがある。一方、発泡粒子の嵩密度が200kg/m3を超えると、発泡成形体として軽量化のメリットが損なわれることがある。好ましい発泡性粒子の嵩密度は、20〜100kg/m3の範囲である。
発泡においては、必要に応じて発泡する際にスチームと同時に空気を導入してもよい。
【0038】
(発泡成形体)
発泡成形体は、公知の方法、例えば、発泡粒子を発泡成形機の金型内に充填し、再度加熱して発泡粒子を発泡させながら、発泡粒同士を熱融着させることにより得られる。
発泡成形体は、20〜200kg/m3の範囲の密度を有するのが好ましい。発泡成形体の密度が20kg/m3未満では、遅燃性及び耐衝撃性が十分でないことがある。一方、発泡成形体の密度が200kg/m3を超えると、発泡成形体の質量が増加し、輸送コストが高くなるため好ましくないことがある。好ましい発泡成形体の密度は、20〜100kg/m3の範囲である。
発泡成形体は、家電製品等の緩衝材(クッション材)、電子部品、各種工業資材、食品等の搬送容器、自動車関連部品(例えば、車輌用バンパーの芯材、ドア内装緩衝材等の衝撃エネルギー吸収材、下肢部衝撃吸収材やフロア嵩上げ材、ツールボックス)等に用いることができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の例示にすぎず、本発明は以下の実施例のみに限定されない。
実施例及び比較例においては、得られた複合樹脂粒子、発泡粒子及び発泡成形体を次のようにして評価した。
<複合樹脂粒子のホウ素量 金属元素含有量分析(ICP測定)>
(前処理方法)
試料約1.0gを精秤して450℃×3hr灰化し、濃塩酸2mLを加えた後、不溶分をNo.7濾紙で濾過した。得られたろ液を50mLにメスアップしてホウ素(B)濃度を下記条件にて測定して検量線より試料中B量を算出した。
B量(mg/kg)=B濃度(μg/mL)×50(mL)÷試料重量(g)
(ICP測定条件)
測定装置:島津製作所社製 マルチタイプICP発光分光分析装置 ICPE−9000
測定元素:B(249.773nm)
観測方向=軸方向、高周波出力=1.20kw、キャリアー流量=0.7L/min、プラズマ流量=10.0L/min、補助流量=0.6L/min、露光時間=30秒
検量線用標準液:米国SPEX社製XSTC−8(汎用混合標準溶液) 13元素混合(ベース5%HNO)−各約10mg/Lを超純水で適宜希釈し、5ppm、2.5ppm、1ppm、0.25ppm標準液を調製した。
(灰化条件)
測定装置:電気炉 マッフル炉STR−15K(いすず社製)
灰化条件:450℃×3hr(試料量=約1.0g)
【0040】
<発泡粒子の嵩密度及び嵩倍数>
発泡粒子の嵩密度は、下記の要領で測定する。
まず、発泡粒子をメスシリンダに500cm3の目盛りまで充填する。但し、メスシリンダを水平方向から目視し、発泡粒子が一粒でも500cm3の目盛りに達していれば、充填を終了する。次に、メスシリンダ内に充填した発泡粒子の質量を小数点以下2位の有効数字で秤量し、その質量をW(g)とする。次式により発泡粒子の嵩密度を算出する。
嵩密度(kg/m3)=W÷500×1000
嵩密度の逆数の1000倍が嵩倍数である。
【0041】
<発泡成形体の密度及び発泡倍数>
発泡成形体の密度は、JIS A9511:1995「発泡プラスチック保温板」記載の方法で測定する。
得られた発泡成形体から10cm×10cm×3cm(300cm3)の試験片を切り出し、その質量W(g)を小数以下2位で秤量する。
得られた発泡成形体の質量W及び発泡成形体の体積から、次式により、発泡倍数(倍)を算出する。
発泡成形体の密度(kg/m3)=W÷300×1000
密度の逆数の1000倍が倍数である。
【0042】
<発泡成形体の表面固有抵抗値>
JIS K 6911:1995「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に記載の方法により測定した。即ち、試験装置( アドバンテスト社製デジタル超高抵抗/微小電流計R8340及びレジスティビティ・チェンバR12702A)を使用し、試料サンプルに、約30Nの荷重で電極を圧着させ、500Vで1分間充電後の抵抗値を測定した。測定値から次式より表面抵抗率を算出した。
ρs=π(D+d)/(D−d)×Rs
ρs:表面抵抗率(MΩ)
D:表面の環状電極の内径(cm)
d:表面電極の内円の外形(cm)
Rs: 表面抵抗(MΩ)
試料サンプルは、100mm×100mm×厚さ10mm以下の大きさを有し、同一の発泡成形体から切り出した。
試料サンプルを、20℃、湿度65%の環境下に24時間程度保存した後、試料サンプルの抵抗値を測定した。
【0043】
<発泡成形体の水抽出試験によるホウ素量 金属元素溶出試験(ICP測定)>
(前処理方法(成形品の溶出試験))
(1)発泡成形体を100(mm)×100(mm)×厚さ30(mm)(両面表皮有り)にカットした。
(2)上記サンプルをチャック袋に入れ、100mLの超純水を投入し、水平面に静置させて、25℃の環境下で3日間置いた。
(3)得られた超純水中ホウ素(B)濃度(mg/L)を下記条件にて測定して検量線より算出した。測定限界値以下のホウ素量は「ND」と表記した。
超純水中のホウ素量 0.20mg/L以下は「○」、0.20mg/Lを超えている場合は「×」とした。
(ICP測定条件)
測定装置:島津製作所社製 マルチタイプICP発光分光分析装置 ICPE−9000
測定元素:B(249.773nm)
観測方向=軸方向、高周波出力=1.20kw、キャリアー流量=0.7L/min、プラズマ流量=10.0L/min、補助流量=0.6L/min、露光時間=30秒
検量線用標準液:米国SPEX社製XSTC−8(汎用混合標準溶液) 13元素混合(ベース5%HNO)−各約10mg/Lを超純水で適宜希釈し、5ppm、2.5ppm、1ppm、0.25ppm標準液を調製した。
【0044】
実施例1
(複合樹脂粒子の作製)
ポリエチレン系樹脂(直鎖状低密度ポリエチレンLLDPE:日本ポリエチレン社製ハーモレックスNF366A)100質量部と、帯電防止剤を含むマスターバッチ(ボロン研究所社製ビオミセルBN−105)5質量部をタンブラーミキサーに投入し、10分間混合した。
次いで、この樹脂混合物を単軸押出機(型式:CER40Y 3.7MB−SX、星プラスチック社製、口径40mmφ、ダイスプレート(口径1.5mm))に供給して温度230〜250℃で溶融混練し、ストランドカット方式によりファンカッター(星プラスチック社製、型式:FCW−110B/SE1−N)にて円筒状0.40〜0.60mg/個(平均0.5mg/個)に切断し、種粒子を得た。
ビオミセルBN−105は、ポリエチレン系樹脂中に帯電防止剤としてのドナー・アクセプター系分子化合物を含むマスターバッチであり、有効成分99%以上の白色顆粒状固体である。ドナー・アクセプター系分子化合物は、上記式(1)において、R1及びR2がCH(CH16−CO−OCH、又はHOCHで、かつ少なくとも一方がCH(CH16−CO−OCHであり、R3及びR4がCH、C、HOCH、HOC、又はHOCHCH(CH)であり、R5が結合手の化合物である。
次に、攪拌機付の5リットルのオートクレーブに、ピロリン酸マグネシウム30g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.15gを純水1.9kgに分散させて分散用媒体を得た。
【0045】
分散用媒体に30℃で上記種粒子400gを分散させて10分間保持し、次いで60℃に昇温して懸濁液を得た。
更に、この懸濁液に、重合開始剤としてジクミルパーオキサイドを0.50g溶解させたスチレン単量体200gを30分かけて滴下した。滴下後、60分間保持することで、種粒子中にスチレン単量体を含浸させた。含浸後、135℃に昇温し、この温度で2時間重合(第1重合)させた。
【0046】
次に、115℃に下げた懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.65gを純水0.1kgに溶解した水溶液を投入した後、t−ブチルパーオキシベンゾエートを4.8g溶解させたスチレン単量体1400gを4時間かけて滴下した。スチレン単量体合計量は、種粒子100質量部に対して、400質量部とした。滴下後、気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミド3.4gを投入し、115℃で1時間保持することで、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂粒子中にスチレン単量体を含浸させた。含浸後、140℃に昇温し、この温度で2時間保持して重合(第2重合)させた。この重合の結果、複合樹脂粒子を得ることができた。
【0047】
(発泡性粒子の作製)
次いで、30℃以下まで冷却し、オートクレーブから複合樹脂粒子を取り出した。複合樹脂粒子2kgと水2リットルとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.50gを、5リットルの攪拌機付オートクレーブに入れた。更に、発泡剤としてブタン(n−ブタン:イソブタン=7:3(質量比))520ミリリットル(300g)をオートクレーブに入れた。この後、70℃に昇温し、3時間攪拌を続けることで発泡性粒子を得ることができた。
その後、30℃以下まで冷却して、発泡性粒子をオートクレーブから取り出し、脱水乾燥させた。
【0048】
(発泡粒子及び発泡成形体の作製)
次いで、得られた発泡性粒子を嵩密度50kg/m3に発泡させることで、発泡粒子を得た。得られた発泡粒子を1日間室温(23℃)に放置した後、400mm×300mm×30mmの大きさの成形用金型に入れた。その後、0.10MPa(ゲージ圧)の水蒸気を50秒間導入して加熱し、次いで、発泡成形体の面圧が0.01MPaに低下するまで冷却することで、密度50kg/m3の発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
【0049】
実施例2
マスターバッチの添加量を10質量部とし、発泡粒子の嵩密度及び発泡成形体の密度を33.3kg/m3とすること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例3
マスターバッチの添加量を15質量部とし、発泡粒子の嵩密度及び発泡成形体の密度を25.0kg/m3とすること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例4
LLDPEに代えてポリエチレン系樹脂(高密度ポリエチレンHDPE:東ソー社製TOSOH−HMS グレード名:10S65B、密度0.940g/cm3、mp126℃、MFR2.0g/10分)を使用し、第1の重合時の種粒子の量を600g、スチレン単量体の量を240gとし、第2の重合時のスチレン単量体の量を1160gとし、第2の重合時の温度を125℃、t−ブチルパーオキシベンゾエートをジクミルパーオキサイドに変更し、発泡粒子の嵩密度及び発泡成形体の密度を33.3kg/m3とすること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例5
LLDPEに代えて実施例4のHDPEを使用し、マスターバッチの添加量を10質量部とし、第1の重合時の種粒子の量を600g、スチレン単量体の量を240gとし、第2の重合時のスチレン単量体の量を1160gとし、第2の重合時の温度を125℃、t−ブチルパーオキシベンゾエートをジクミルパーオキサイドに変更すること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
【0050】
実施例6
LLDPEに代えて実施例4のHDPEを使用し、マスターバッチの添加量を15質量部とし、第1の重合時の種粒子の量を600g、スチレン単量体の量を240gとし、第2の重合時のスチレン単量体の量を1160gとし、第2の重合時の温度を125℃、t−ブチルパーオキシベンゾエートをジクミルパーオキサイドに変更し、発泡粒子の嵩密度及び発泡成形体の密度を33.3kg/m3とすること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例7
LLDPEに代えてポリエチレン系樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA:NUC社製NUC−3450)を使用し、第1の重合時の種粒子の量を800g、スチレン単量体の量を336gとし、第2の重合時のスチレン単量体の量を864gとし、第2の重合時の温度を90℃、t−ブチルパーオキシベンゾエートをベンゾイルパーオキサイドに変更すること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例8
LLDPEに代えて実施例7のEVAを使用し、マスターバッチの添加量を10質量部とし、第1の重合時の種粒子の量を800g、スチレン単量体の量を336gとし、第2の重合時のスチレン単量体の量を864gとし、第2の重合時の温度を90℃、t−ブチルパーオキシベンゾエートをベンゾイルパーオキサイドに変更し、発泡粒子の嵩密度及び発泡成形体の密度を33.3kg/m3とすること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例9
LLDPEに代えて実施例7のEVAを使用し、マスターバッチの添加量を15質量部とし、第1の重合時の種粒子の量を800g、スチレン単量体の量を336gとし、第2の重合時のスチレン単量体の量を864gとし、第2の重合時の温度を90℃、t−ブチルパーオキシベンゾエートをベンゾイルパーオキサイドに変更し、発泡粒子の嵩密度及び発泡成形体の密度を33.3kg/m3とすること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
【0051】
実施例10
LLDPEに代えて実施例7のEVAを使用し、マスターバッチの添加量を10質量部とし、第1の重合時の種粒子の量を200g、スチレン単量体の量を100gとし、第2の重合時のスチレン単量体の量を1700gとし、第2の重合時の温度を90℃、t−ブチルパーオキシベンゾエートをベンゾイルパーオキサイドに変更し、発泡粒子の嵩密度及び発泡成形体の密度を33.3kg/m3とすること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例11
LLDPEに代えて実施例7のEVAを使用し、マスターバッチの添加量を20質量部とし、第1の重合時の種粒子の量を200g、スチレン単量体の量を100gとし、第2の重合時のスチレン単量体の量を1700gとし、第2の重合時の温度を90℃、t−ブチルパーオキシベンゾエートをベンゾイルパーオキサイドに変更し、発泡粒子の嵩密度及び発泡成形体の密度を25.0kg/m3とすること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例12
マスターバッチの添加量を10質量部とし、第1の重合時の種粒子の量を300g、スチレン単量体の量を150gとし、第2の重合時のスチレン単量体の量を1550gに変更し、発泡粒子の嵩密度及び発泡成形体の密度を25.0kg/m3とすること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
実施例13
マスターバッチの添加量を15質量部とし、第1の重合時の種粒子の量を300g、スチレン単量体の量を150gとし、第2の重合時のスチレン単量体の量を1550gに変更し、発泡粒子の嵩密度及び発泡成形体の密度を33.3kg/m3とすること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
【0052】
比較例1
マスターバッチの添加量を4質量部とし、発泡粒子の嵩密度及び発泡成形体の密度を33.3kg/m3とすること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
比較例2
LLDPEに代えて実施例4のHDPEを使用し、マスターバッチの添加量を2.5質量部とし、第1の重合時の種粒子の量を600g、スチレン単量体の量を240gとし、第2の重合時のスチレン単量体の量を1160gとし、第2の重合時の温度を125℃、t−ブチルパーオキシベンゾエートをジクミルパーオキサイドに変更し、発泡粒子の嵩密度及び発泡成形体の密度を33.3kg/m3とすること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
比較例3
LLDPEに代えて実施例7のEVAを使用し、マスターバッチの添加量を2質量部とし、第1の重合時の種粒子の量を800g、スチレン単量体の量を336gとし、第2の重合時のスチレン単量体の量を864gとし、第2の重合時の温度を90℃、t−ブチルパーオキシベンゾエートをベンゾイルパーオキサイドに変更すること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
比較例4
マスターバッチの添加量を3質量部とし、第1の重合時の種粒子の量を300g、スチレン単量体の量を150gとし、第2の重合時のスチレン単量体の量を1550gに変更し、発泡粒子の嵩密度及び発泡成形体の密度を33.3kg/m3とすること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
【0053】
比較例5
マスターバッチにペレスタット300(三洋化成社製)を使用し、マスターバッチの添加量を20質量部とし、第1の重合時の種粒子の量を600g、スチレン単量体の量を240gとし、第2の重合時のスチレン単量体の量を1160gに変更した結果、重合工程中に多数の結合粒子が発生し、良好な複合樹脂粒子を得ることができなかった。
【0054】
比較例6
LLDPEに代えてポリエチレン系樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA:NUC社製NUC−3450)を使用し、マスターバッチの添加量を0質量部とし、第1の重合時の種粒子の量を800g、スチレン単量体の量を336gとし、第2の重合時のスチレン単量体の量を864gとし、第2の重合時の温度を90℃、t−ブチルパーオキシベンゾエートをベンゾイルパーオキサイドに変更すること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観及び融着は共に良好であった。
測定に使用する面に、成形体表面積に対しホウ素系化合物溶液「アンチスタH(ボロン研究所、ホウ素系帯電防止剤濃度1%の水溶液)」をホウ素系化合物が30g/mとなるように、霧吹きでまんべんなく噴霧した。表面固有抵抗値と水抽出試験の結果を表2に示す。
【0055】
比較例7
ポリスチレン発泡性樹脂粒子を通常の方法で予備発泡、型内で発泡成形して、成形体密度33.3kg/m3のポリスチレン系発泡成形体(300mm×400mm×30mm(t))を作製した。測定に使用する面に、成形体表面積に対しホウ素系化合物溶液「アンチスタH(ボロン研究所、ホウ素系帯電防止剤濃度1%の水溶液)」をホウ素系化合物が30g/m2となるように、霧吹きでまんべんなく噴霧した。表面固有抵抗値と水抽出試験の結果を表2に示す。
実施例及び比較例の製造条件及び各種物性を表1及び2に示す。
なお、実施例10〜13は参考例である。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
表1及び2から、ホウ素量が、複合樹脂粒子1kgあたり、1.0〜15.0mgの範囲内であれば、表面固有抵抗値の高い(帯電防止効果の高い)発泡成形体が得られることが分かる。