【実施例1】
【0011】
本開示に係る眼科装置の一実施形態としての実施例1の眼科装置10を、
図1から
図9を用いて説明する。先ず、実施例1の眼科装置10の全体構成を説明する。なお、
図5および
図7では、繁雑になることを避けるために、測定ヘッド16を単なる直方体形状として示している。
「全体構成」
【0012】
眼科装置10は、
図1に示すように、被検者が左右の被検眼を開放した状態で、被検眼の情報を両眼同時に取得する両眼開放タイプの眼科装置である。眼科装置10は、基台11と検眼用テーブル12と支柱13とアーム14と駆動機構15と一対の測定ヘッド16とを備える。眼科装置10では、検眼用テーブル12と正対する被検者が、両測定ヘッド16の間に設けられた額当部17に当てた状態で、被検眼の情報を取得する。以下では、被検者から見て、左右方向をX方向とし、上下方向(鉛直方向)をY方向とし、X方向およびY方向と直交する方向(測定ヘッド16の奥行き方向(被検者側を手前側とする))をZ方向とする。
【0013】
検眼用テーブル12は、後述する検者用コントローラ25や被検者用コントローラ26を置いたり検眼に用いるものを置いたりするための机であり、基台11により支持されている。検眼用テーブル12は、Y方向での位置(高さ位置)を調節可能に基台11に支持されていてもよい。支柱13は、検眼用テーブル12の後端部でY方向に伸びるように基台11により支持され、先端にアーム14が設けられる。アーム14は、検眼用テーブル12上で駆動機構15を介して両測定ヘッド16を吊り下げるもので、支柱13から手前側へとZ方向に伸びている。アーム14は、支柱13に対してY方向に移動可能とされている。なお、アーム14は、支柱13に対してX方向およびZ方向に移動可能とされていてもよい。このアーム14の先端には、駆動機構15により吊り下げられて両測定ヘッド16が支持されている。このため、支柱13およびアーム14は、検眼用テーブル12から上方に伸びて、先端に駆動機構15が設けられる支持腕部として機能する。
【0014】
測定ヘッド16は、被検者の左右の被検眼に個別に対応すべく対を為して設けられ、以下では個別に述べる際には左眼用測定ヘッド16Lおよび右眼用測定ヘッド16Rとする。左眼用測定ヘッド16Lは、被験者の左側の被検眼の情報を取得し、右眼用測定ヘッド16Rは、被験者の右側の被検眼の情報を取得する。左眼用測定ヘッド16Lと右眼用測定ヘッド16Rとは、X方向で双方の中間に位置する鉛直面に関して面対称な構成とされている。各測定ヘッド16では、偏向部材18が設けられ、偏向部材18を通じて後述する眼情報取得部21により対応する被検眼の情報が取得される。このため、眼科装置10では、被検者が左右の両眼を開放した状態で、被検眼の情報を両眼同時に取得することができる。
【0015】
各測定ヘッド16には、被検眼の眼情報を取得する眼情報取得部21(個別に述べる際には右眼情報取得部21Rおよび左眼情報取得部21Lとする(
図2参照))が収容されている。その眼情報は、被検眼の画像や、被検眼の眼底の画像や、被検眼の網膜の断層画像や、被検眼の角膜内皮画像や、被検眼の屈折力や、被検眼の角膜形状や、被検眼の眼圧等をいう。各眼情報取得部21は、提示する視標を切り替えつつ視力検査を行う視力検査装置、矯正用レンズを切り換えて配置させて被検眼の適切な矯正屈折力を取得するフォロプタ、屈折力を測定するレフラクトメータや波面センサ、眼底の画像を撮影する眼底カメラ、網膜の断層画像を撮影する断層撮影装置(OCT)、角膜内皮画像を撮影するスペキュラマイクロスコープ、角膜形状を測定するケラトメータ、眼圧を測定するトノメータ等が、単独でまたは複数組み合わされて構成される。
【0016】
各眼情報取得部21は、固視投影系、観察系、アライメント検出系、測定系等の光学系が設けられて構成され、各光学系には適宜光源やセンサ、駆動部等が設けられる。固視投影系は、被検眼に固視標を呈示して、被検眼の視軸を固定する。観察系は、被検眼の前眼部を撮影し、その画像(観察画像)を表示部や接続された外部機器等に表示させる。これにより、被検眼の状態の確認を可能とするとともに、画像中の基準点(瞳孔や虹彩など)や投影した視標像に基づく光軸に直交する方向(XY方向)のアライメント情報の取得を可能とする。アライメント検出系は、各眼情報取得部21の光軸方向(Z方向(作動距離方向))のアライメント情報やXY方向のアライメント情報を取得する。そのアライメント情報は、各眼情報取得部21の被検眼に対するアライメント(位置合わせ)に用いる情報である。測定系は、被検眼の眼特性を取得するための光束を被検眼に照射し、反射光を受光することで眼特性を取得する。
【0017】
両測定ヘッド16は、アーム14の先端に設けられた駆動機構15により移動可能に吊り下げられている。駆動機構15は、実施例1では、
図2に示すように、左眼用測定ヘッド16Lに対応する左鉛直駆動部22Lと左水平駆動部23Lと左回旋駆動部30Lと、右眼用測定ヘッド16Rに対応する右鉛直駆動部22Rと右水平駆動部23Rと右回旋駆動部30Rと、を有する。この左眼用測定ヘッド16Lに対応する各駆動部の構成と、右眼用測定ヘッド16Rに対応する各駆動部の構成と、は、X方向で双方の中間に位置する鉛直面に関して面対称な構成とされており、個別に述べる時を除くと単に鉛直駆動部22と水平駆動部23と回旋駆動部30と記す。駆動機構15では、上から鉛直駆動部22、水平駆動部23、回旋駆動部30の順に設けられており、アーム14に対して対応する測定ヘッド16を移動させる。
【0018】
鉛直駆動部22は、アーム14の先端に固定され、アーム14に対して水平駆動部23をY方向(鉛直方向)に移動させる。水平駆動部23は、鉛直駆動部22に固定され、鉛直駆動部22に対して回旋駆動部30を水平方向すなわちX方向およびZ方向に移動させる。鉛直駆動部22と水平駆動部23とは、例えばパルスモータのような駆動力を発生するアクチュエータと、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオン等のような駆動力を伝達する伝達機構と、が設けられて構成される。水平駆動部23は、例えばX方向とZ方向とで個別にアクチュエータおよび伝達機構の組み合わせを設けることで、容易に構成できるとともに水平方向の移動の制御を容易なものにできる。
【0019】
回旋駆動部30は、水平駆動部23に固定され、水平駆動部23に対して対応する測定ヘッド16を、対応する被検眼の眼球回旋軸を中心に回転させる。この回旋駆動部30の構成に関しては、後に詳細に説明する。これにより、駆動機構15は、各測定ヘッド16を個別にまたは連動させて、X方向、Y方向およびZ方向に移動させることができるとともに、被検眼の眼球回旋軸を中心に回転させることができる。
【0020】
基台11には、眼科装置10の各部を統括的に制御する制御部24が、制御ボックスに収納されて設けられる(
図1参照)。制御部24は、
図2に示すように、上記した各眼情報取得部21と、駆動機構15としての各鉛直駆動部22、各水平駆動部23および各回旋駆動部30と、に加えて、検者用コントローラ25と被検者用コントローラ26と記憶部27と、が接続されている。眼科装置10では、商用電源から制御部24に電力が供給され、制御部24が駆動機構15および眼情報取得部21に電力を供給する。検者用コントローラ25は、検者が眼科装置10を操作するために用いられる。被検者用コントローラ26は、被検眼の各種の眼情報の取得の際に、被検者が応答するために用いられる。制御部24は、検者用コントローラ25や被検者用コントローラ26とそれぞれ有線または無線の通信路を介して接続される。制御部24は、接続された記憶部27または内蔵する内部メモリ24aに記憶したプログラムを例えばRAM(Random Access Memory)上に展開することにより、適宜検者用コントローラ25や被検者用コントローラ26に対する操作に応じて、眼科装置10の動作を統括的に制御する。実施例1では、内部メモリ24aは、RAM等で構成され、記憶部27は、ROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等で構成される。
【0021】
眼科装置10は、制御部24の制御下で、自動でアライメントを行って被検眼の眼情報を取得する。詳細には、制御部24は、眼情報取得部21(そのアライメント検出系)および駆動機構15(鉛直駆動部22、水平駆動部23および回旋駆動部30)を動作させて、上記のアライメント検出系からのアライメント情報に基づいて対応する被検眼に対する眼情報取得部21(測定ヘッド16)のXYZ方向のアライメントを行う。その後、制御部24は、適宜眼情報取得部21を駆動して、被検眼の各種の眼情報を取得させる。眼科装置10では、手動すなわち検者が検者用コントローラ25を操作することで、被検眼に対して眼情報取得部21をアライメントし、眼情報取得部21を駆動して被検眼の各種の眼情報を取得できる。眼科装置10では、被検眼の各種の眼情報を取得する際、被検者が被検者用コントローラ26を操作することで応答することができ、被検眼の各種の眼情報の取得を補助する。
(回旋駆動部)
【0022】
次に、眼科装置10における駆動機構15の回旋駆動部30の構成を説明する。回旋駆動部30は、
図3に示すように、設置部材31に回旋部材32と回旋駆動モータ33とが設けられて構成されている。設置部材31は、板状部材が断面L字形状に屈曲されて構成され、水平方向に伸びる設置板部分34と、そこから鉛直方向の上側に伸びる取付板部分35と、を有する。設置板部分34には、回旋部材32および回旋駆動モータ33が設けられる。取付板部分35は、水平駆動部23に固定される。このため、設置部材31は、鉛直駆動部22および水平駆動部23により、アーム14に対してY方向(鉛直方向)と、X方向およびZ方向(水平方向)と、に移動可能とされている。
【0023】
回旋部材32は、板状部材が断面U字形状に屈曲されて構成され、水平方向に伸びる案内板部分36と、そこから鉛直方向の下側に伸びる連結板部分37と、そこから水平方向に伸びる固定板部分38と、を有する。案内板部分36には、円弧状に伸びる案内溝41と、外縁部に設けられたギヤ部42と、が設けられている。案内溝41には、設置板部分34からY方向に突出して設けられた一対の案内突起43が通されている。案内板部分36は、案内溝41および両案内突起43による案内作用により、案内溝41が伸びる方向すなわち案内溝41が描く円弧に沿って設置板部分34に対して移動することができる状態で、設置板部分34に設けられている。これにより、案内板部分36は、設置板部分34に対して、案内溝41が描く円弧の中心となる回転軸44を軸線として回転することが可能とされている。案内板部分36では、回旋駆動モータ33側の外縁部が案内溝41の円弧と同心状の円弧とされており、その外縁部にギヤ部42が設けられている。このギヤ部42は、回旋駆動モータ33の後述する回旋出力軸47のギヤ溝48を噛み合わせることが可能とされている。
【0024】
連結板部分37は、案内板部分36と固定板部分38とを連結する。固定板部分38は、対応する測定ヘッド16に固定される箇所で、実施例1では連結板部分37から伸びる板状とされており、測定ヘッド16への接続のための接続軸45が設けられている。この接続軸45は、Y方向に伸びる棒状とされ、固定板部分38から下方に突出して設けられており、下端部45aが対応する測定ヘッド16の上面に相対的な回転が防止された状態で固定される。この固定の構成については、後に詳細に説明する。
【0025】
回旋駆動モータ33は、設置部材31の設置板部分34に固定されたモータ本体46から回旋出力軸47が伸びて構成され、駆動されることで回旋出力軸47を回転させる。回旋出力軸47の外周面には、案内板部分36のギヤ部42に噛み合わせることのできるギヤ溝48が設けられている。回旋駆動モータ33は、回旋出力軸47のギヤ溝48が、案内板部分36のギヤ部42に噛み合わせられた状態で、モータ本体46が設置板部分34に固定されて設けられる。この回旋出力軸47と案内板部分36とは、回旋出力軸47の回転力を、回転軸44を中心として案内板部分36を回転させる回転力に変換するウォームギヤとして機能する。回旋駆動モータ33は、制御部24の制御下で駆動されることで、案内板部分36を案内溝41が描く円弧に沿って移動させる。これにより、回旋駆動部30は、取付板部分35が固定された水平駆動部23に対して、接続軸45に取り付けられた測定ヘッド16を、回転軸44を中心とする回転方向に移動させることができる。
【0026】
駆動機構15は、鉛直駆動部22および水平駆動部23により被検眼に対する眼情報取得部21(測定ヘッド16)のXYZ方向のアライメントを行うことで、回旋駆動部30の回転軸44が被検眼の眼球回旋軸と一致される。これにより、回旋駆動部30は、対応する被検眼の眼球回旋軸を中心に測定ヘッド16を回旋させることができる。このとき、回旋駆動部30は、左眼用測定ヘッド16Lと右眼用測定ヘッド16Rとを逆方向に回旋させることで、被検眼を開散(開散運動)させたり輻輳(輻輳運動)させたりすることができる。これにより、眼科装置10は、開散運動および輻輳運動のテストを行うことや、両眼視の状態で遠用検査や近用検査を行って両被検眼の各種の眼情報を取得することができる。
(測定ヘッドの取り付け構造)
【0027】
次に、測定ヘッド16を回旋駆動部30に取り付ける取り付け構造に関して説明する。この取り付け構造では、測定ヘッド16の接続軸45に挿入側接続部50が設けられ、測定ヘッド16には、受入側接続部60(
図5等参照)が設けられている。この取り付け構造は、挿入側接続部50が受入側接続部60に挿入された状態で相対的に回転されることで、回転を防止した状態で接続軸45に測定ヘッド16を固定するものである。
【0028】
挿入側接続部50は、
図4に示すように、接続軸45の下端部45aに設けられ、接続軸部分51と接続板部分52とを有する。接続軸部分51は、下端部45aから下方に伸びて設けられ、円柱状とされている。接続板部分52は、下端部45aの下端に設けられ、接続軸45の軸線と直交する面となるXZ平面に沿う板状とされている。接続板部分52は、接続軸45の軸線と直交する一方向となるX方向に長尺とされており、Z方向(短尺方向)の寸法が接続軸部分51の径寸法よりも小さくされている。
【0029】
接続板部分52には、X方向(長尺方向)の両端部52aの上面52bに板側傾斜面53が設けられている。板側傾斜面53は、外側(接続軸部分51から離れる側)へ向かうに連れて接続板部分52の厚さを小さくするように傾斜された平面とされている。この板側傾斜面53が設けられた接続板部分52の両端部52aは、角を無くすように丸められている。
【0030】
接続軸45の下端部45aでは、外周面45bに固定ネジ溝54が設けられている。この固定ネジ溝54は、
図8に示すナット55の取り付けのために設けられている。ナット55は、接続軸45の下端部45aを取り巻くことのできる環状とされており、内周面に固定ネジ溝54と噛み合わせることのできるネジ溝55a(
図8参照)が設けられている。
【0031】
受入側接続部60は、
図5に示すように、測定ヘッド16の上端部16aに接続板61が設けられ、その接続板61を貫通する接続穴62が設けられて構成されている。接続板61は、XZ平面に沿う板状とされ、接続穴62が設けられる位置が、部分的に厚さ寸法(Y方向の寸法)が小さくされている(
図6参照)。接続穴62は、
図5および
図6に示すように、回転穴部分63と板状穴部分64とを有する。回転穴部分63は、Y方向に正面視して円形状に接続板61を貫通しており、接続軸45に設けられた挿入側接続部50の接続軸部分51を回転可能に嵌め入れることのできる大きさとされている。板状穴部分64は、正面視して長方形状に接続板61を貫通しており、接続軸45に設けられた挿入側接続部50の接続板部分52を通すことのできる大きさとされている。板状穴部分64は、回転穴部分63と連続しており、回転穴部分63を中心としてZ方向の双方に伸びている。このため、接続穴62は、正面視して、Y方向に長尺な長方形状の板状穴部分64の中央が部分的に回転穴部分63により膨らんだ形状とされている。
【0032】
受入側接続部60では、板状穴部分64と挿入側接続部50の接続板部分52との伸びる方向が一致すると、Y方向に挿入側接続部50すなわち接続軸部分51および接続板部分52を通すことができる。また、受入側接続部60では、板状穴部分64と接続板部分52との伸びる方向が異なるもの(不一致)とされると、接続板部分52が接続板61における板状穴部分64のX方向の両側部に引っ掛かってY方向に挿入側接続部50を通すことができなくなる。受入側接続部60では、上側から挿入側接続部50が挿入される。このため、受入側接続部60では、
図6に示すように、接続板61の下側に向けられた裏面61aにおいて、板状穴部分64のX方向の両側部が接続板部分52を通すことを阻む接触部分65となる。
【0033】
受入側接続部60では、両接触部分65に接触側傾斜面66が設けられている。接触側傾斜面66は、内側(接続穴62に近付く側)へ向かうに連れて接続板61の厚さを小さくするように傾斜された平面とされており、XZ平面に対する傾斜角度が挿入側接続部50の板側傾斜面53と等しくされている。両接触側傾斜面66は、X方向で向き合うように対を為して設けられており、それぞれに板側傾斜面53が面接触されるように挿入側接続部50の接続板部分52を受け入れることが可能とされている(
図8参照)。
【0034】
次に、測定ヘッド16の回旋駆動部30への取り付け方について、
図7を用いて説明する。なお、
図7では、繁雑になることを避けるために回旋駆動部30を接続軸45のみで示すとともに、接続穴62に対する接続軸部分51および接続板部分52の状態の把握を容易とするためにナット55を省略して示している。先ず、挿入側接続部50の接続軸45の下端部45aに、固定ネジ溝54とネジ溝55aとを噛み合わせつつ最も上側に位置するようにナット55を設ける(
図8参照)。その後、
図7の左側に示すように、接続軸45においてX方向に伸びる接続板部分52に合わせて、受入側接続部60の接続穴62の板状穴部分64がX方向に伸びる状態となるように測定ヘッド16の向きを調整する。
【0035】
その後、
図7の真ん中に示すように、測定ヘッド16を上方に移動させて接続板部分52を板状穴部分64に通して、挿入側接続部50の接続軸部分51を受入側接続部60の接続穴62の回転穴部分63に嵌め入れる。この状態では、回転穴部分63内の接続軸部分51を回転軸として、接続板61(測定ヘッド16)と接続軸45(回旋駆動部30)との相対的な回転が可能とされている(
図9参照)。また、この状態では、接続軸部分51が回転穴部分63に嵌っていることにより、接続板61と接続軸45とは、XZ平面に沿う方向での相対的な移動が防止されているとともに、Y方向での相対的な移動が可能とされている(
図9参照)。
【0036】
その後、
図7の右側に示すように、測定ヘッド16を回転させて、接続穴62の板状穴部分64がZ方向に伸びる状態とする。すると、受入側接続部60の両接触側傾斜面66と、挿入側接続部50の両接触側傾斜面66と、がY方向で対向することとなる。そして、測定ヘッド16の支持を解除すると、測定ヘッド16の自重で両接触側傾斜面66と両接触側傾斜面66とが面接触した状態で、接続板部分52が受入側接続部60の接触部分65に接触する(
図8参照)。このとき、両接触側傾斜面66と両接触側傾斜面66とが完全に正対していない、すなわち板状穴部分64の伸びる方向がX方向とは一致されていなくても、両接触側傾斜面66と両接触側傾斜面66との案内作用により接続軸45に対して接続板61(測定ヘッド16)が回転し、両傾斜面が面接触した状態となる。これにより、接続板61(測定ヘッド16)と接続軸45(回旋駆動部30)との相対的な回転が防止される。
【0037】
その後、接続軸45に設けたナット55を回転させて締め付けて、ナット55が接続軸45に対して下方に移動させることで、
図8に示すように、両接触側傾斜面66と両接触側傾斜面66とをすなわち接続板部分52と接触部分65とを密着させる。すると、接続板61と接続軸45とは、Y方向での相対的な移動が防止される。このとき、
図9に示すように、接続軸部分51が回転穴部分63に嵌っていることにより、XZ平面に沿う方向での相対的な移動が防止されているので、相対的な移動および回転が防止された状態で接続板61と接続軸45とが接続される。これにより、測定ヘッド16は、回旋駆動部30(その接続軸45)対して位置ずれおよび回転が防止された状態で固定される。このため、測定ヘッド16は、回旋駆動部30が接続軸45を被検眼の眼球回旋軸を中心に回転移動させることにより、眼球回旋軸を中心に回転移動されることとなる。
【0038】
本開示に係る眼科装置の実施例1の眼科装置10は、以下の各作用効果を得ることができる。
【0039】
眼科装置10は、駆動機構15が測定ヘッド16を吊り下げて移動可能に支持する構成としている。その駆動機構15と測定ヘッド16とは、駆動機構15の回旋駆動部30の接続軸45の下端部45aの挿入側接続部50を、測定ヘッド16の上端部16aの受入側接続部60に挿入して相対的に回転させることで、固定することを可能とする。このため、眼科装置10は、回旋駆動部30に対して測定ヘッド16を簡単に取り付けたり取り外したりすることができるので、測定ヘッド16に設けた眼情報取得部21の修理や交換を容易なものにできる。また、眼科装置10は、駆動機構15が測定ヘッド16を吊り下げて移動可能に支持しているので、被検者の前方に駆動機構15を位置させる必要がなく、XYZ方向での移動を可能としつつ被検者の前方に空間を設けることができ、被検者が圧迫感を覚えることを防止できる。
【0040】
眼科装置10は、接続軸45の接続板部分52と受入側接続部60の接続穴62の板状穴部分64との方向が一致するように測定ヘッド16の向きを調整することで、接続板部分52を板状穴部分64に通して、挿入側接続部50の接続軸部分51を接続穴62の回転穴部分63に嵌め入れることができる。このとき、挿入側接続部50と受入側接続部60とは、接続軸部分51および回転穴部分63により、XZ平面に沿う方向での相対的な移動が防止され、Y方向での相対的な移動が可能とされ、かつ接続軸部分51を回転中心とする相対的な回転が可能とされている。その後、接続穴62の板状穴部分64がZ方向に伸びる状態となるように測定ヘッド16の向きを調整すると、接続軸45の接続板部分52を受入側接続部60の接触部分65に接触する状態とでき、測定ヘッド16を接続軸45に取り付けることができる。これにより、測定ヘッド16の接続軸45への取り付け作業を容易なものにできる。
【0041】
眼科装置10は、接続軸部分51を回転穴部分63に嵌めた状態において、接続穴62の板状穴部分64がZ方向に伸びる状態となるように測定ヘッド16の向きを調整すると、両接触側傾斜面66と両接触側傾斜面66とをY方向で向き合う位置関係にできる。そして、測定ヘッド16の支持を解除すると、測定ヘッド16の自重で両接触側傾斜面66と両接触側傾斜面66とを面接触させた状態で、接続板部分52を受入側接続部60の接触部分65に接触させることができる。このとき、両接触側傾斜面66と両接触側傾斜面66とが完全に正対していなくても、双方による案内作用により接続軸45に対して測定ヘッド16が回転して両傾斜面が面接触した状態となり、測定ヘッド16と接続軸45との相対的な回転を防止する状態にできる。これにより、測定ヘッド16の接続軸45への取り付け作業を容易なものにできる。
【0042】
眼科装置10は、左右の被検眼に対応して対を為して測定ヘッド16を設けるとともに、鉛直駆動部22と水平駆動部23と回旋駆動部30とを、左右の測定ヘッド16に対応して対を為して設けている。このため、眼科装置10は、両眼視の状態で各被検眼の眼情報を取得することができる。また、眼科装置10は、各回旋駆動部30の接続軸45に対する各測定ヘッド16の取り付けおよび取り外しが容易なものとされているので、各測定ヘッド16に設けた眼情報取得部21の修理や交換を容易なものにできる。
【0043】
眼科装置10は、被検者が正対する検眼用テーブル12と、そこから上方に伸びる支持腕部としての支柱13およびアーム14を備え、その支持腕部の先端に駆動機構15を設けている。このため、検眼用テーブル12上に駆動機構15を設ける必要がなく、検眼用テーブル12を眼情報の取得(検眼)に用いるものや検者や被検者が利用するコントローラ(検者用コントローラ25、被検者用コントローラ26)の置き場等に利用することができる。
【0044】
したがって、本開示に係る眼科装置の一実施例としての眼科装置10では、眼情報取得部21毎の修理や交換が可能となる。
【0045】
以上、本開示の眼科装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0046】
例えば、実施例1では、回旋駆動部30の設置部材31が水平駆動部23に固定されている。しかしながら、回旋駆動部30は、鉛直駆動部22および水平駆動部23により鉛直方向および水平方向に移動可能とされていれば、鉛直駆動部22に固定されていてもよく、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0047】
また、実施例1では、回旋駆動部30が設置部材31に対して回旋部材32が回転軸44を中心とする回転方向に移動することが可能とされて構成されている。しかしながら、回旋駆動部30は、接続軸45に固定した測定ヘッド16を被検眼の眼球回旋軸を中心に回転させることができるものであればよく、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。