(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962785
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】電圧測定装置
(51)【国際特許分類】
G01R 19/00 20060101AFI20211025BHJP
G01R 19/25 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
G01R19/00 B
G01R19/25
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-215380(P2017-215380)
(22)【出願日】2017年11月8日
(65)【公開番号】特開2019-86422(P2019-86422A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2020年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】青島 豊
【審査官】
島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−10476(JP,A)
【文献】
特開2010−246227(JP,A)
【文献】
特開2010−57216(JP,A)
【文献】
特開2017−2887(JP,A)
【文献】
特開平8−129208(JP,A)
【文献】
特開2014−165982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/00
G01R 19/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PWM周期が共通し、非同期に動作する複数個のPWM回路を介して複数個の負荷に電力を供給する電源の電圧を測定する電圧測定装置であって、
前記PWM周期よりも短い周期で前記電源の電圧サンプリング値を取得するサンプリング部と、
前記PWM周期を単位として、前記電圧サンプリング値の平均化を行ない、測定電圧として出力する電圧算出部と、
を備えることを特徴とする電圧測定装置。
【請求項2】
前記電圧算出部は、前記PWM周期を単位とした測定期間を、複数個、時間的に重ねて設定することを特徴とする請求項1に記載の電圧測定装置。
【請求項3】
前記電圧算出部は、前記PWM周期を単位とした測定期間を、時間的に間隔を空けて設定することを特徴とする請求項1に記載の電圧測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧測定装置に関し、特に、PWM周期が共通し、非同期に動作する複数個のPWM回路を介して複数個の負荷に電力を供給する電源の電圧を測定する電圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直流電源から負荷に供給する電力を制御する際に、PWM(pulse width modulation)制御が広く用いられている。
図4は、PWM制御を用いた従来の電源システムの構成例を示すブロック図である。
【0003】
本図の例では、バッテリ等の電源200の電力を負荷210に供給する際に、制御部300とPWM回路350とによりPWM制御を行なっている。制御部300は、A/D変換部310で電源200の電圧をサンプリングし、電源電圧検出部320で電源電圧値を検出する。そして、検出した電源電圧値等に基づいてPWM制御部330がPWM回路350に対してデューティ比の設定等を行なう。PWM回路350は、あらかじめ定められた周期Tw毎に、設定されたデューティ比に従ったPWM動作を行なう。
【0004】
電源電圧は、負荷210への出力状態に応じて変動する場合がある。一般には、
図5に示すように、PWM制御のパルスが立ち上がっている期間で低くなり、パルスが立ち下がっている期間で高くなる。
【0005】
例えば、A/D変換部310によるサンプリングを、PWM回路350の周期Tw毎に行なう場合には、各周期において、ほぼパルスが立ち上がっているタイミング(周期の開始部分)でサンプリングを行なうことで、本図に示すように安定した測定電圧値を得ることができる。測定電圧が安定することで、PWM制御も安定し、負荷210の動作が不安定になることを避けることができる。
【0006】
また、図示していないが、ほぼパルスが立ち下がっているタイミング(周期の終了部分)でサンプリングを行なうことでも、安定した測定電圧値を得ることができる。この場合は、測定電圧値自体は前者より高く測定されるが、ここでは、測定電圧値の安定性を問題とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−208035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電源200から、複数個の負荷210に個別のPWM制御で電力を供給する場合であっても、各負荷210についてのPWM回路350が同期していれば、上述のように各周期の所定のタイミングで電源電圧のサンプリングを行なうことで安定した測定電圧値を得ることができる。
【0009】
しかしながら、各負荷210についてのPWM回路350が同期していない場合には、電源電圧が、各PWM回路350の出力状況の影響を非同期に受ける。このため、
図6に示すように、電源電圧が不規則に変動する。
【0010】
ここで、本図は、周期Twで共通する3つのPWM制御(PWM制御A、PWM制御B、PWM制御C)が非同期で動作している例を示している。3つともパルスが立ち上がっている期間が最も電源電圧が低下し、3つともパルスが立ち下がっている期間が最も電源電圧が高くなっており、電源電圧が複数段階で不規則に変動している。
【0011】
このため、PWM周期で電源電圧のサンプリングを行なうと、そのときの状況に応じて測定電圧値が変動するために、不安定な測定結果が得られてしまう。これにより、PWM制御も不安定となり、好ましくない。近年では、負荷210の多様化や数の増大等により、各PWM回路350を同期動作させることが困難であることも多い。
【0012】
そこで、本発明は、PWM周期が共通し、非同期に動作する複数個のPWM回路を介して複数個の負荷に電力を供給する電源の電圧を測定する際に、安定した測定電圧値を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の一態様である電圧測定装置は、PWM周期が共通し、非同期に動作する複数個のPWM回路を介して複数個の負荷に電力を供給する電源の電圧を測定する電圧測定装置であって、前記PWM周期よりも短い周期で前記電源の電圧サンプリング値を取得するサンプリング部と、前記PWM周期を単位として、前記電圧サンプリング値の平均化を行ない、測定電圧として出力する電圧算出部と、を備えることを特徴とする。
ここで、前記電圧算出部は、前記PWM周期を単位とした測定期間を、複数個、時間的に重ねて設定することができる。
また、前記電圧算出部は、前記PWM周期を単位とした測定期間を、時間的に間隔を空けて設定してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、PWM周期が共通し、非同期に動作する複数個のPWM回路を介して複数個の負荷に電力を供給する電源の電圧を測定する際に、安定した測定電圧値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一態様である電圧測定装置を車両制御ユニットに適用した例を示すブロック図である。
【
図2】車両制御ユニットの電圧測定動作について説明する図である。
【
図4】PWM制御を用いた従来の電源システムの構成例を示すブロック図である。
【
図5】単独あるいは同期した複数のPWM制御と測定電圧値との関係を説明する波形図である。
【
図6】非同期の複数のPWM制御と測定電圧値との関係を説明する波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一態様である電圧測定装置を車両制御ユニット10に適用した例を示すブロック図である。本図に示す車両制御ユニット10は、バッテリ等の電源200から、複数個の負荷210(負荷A210a、負荷B210b、負荷C210c…)に供給する電力を制御する装置である。負荷210は、例えば、照明装置、空調機器、音響機器等とすることができる。これらの負荷210には、安定したPWM制御による電力供給が要求されるものが含まれているものとする。
【0017】
車両制御ユニット10は、制御部100と、複数個のPWM回路150(PWM回路A150a、PWM回路B150b、PWM回路C150c…)を備えている。制御部100は、例えば、マイクロコンピュータを用いて構成することができる。
【0018】
各PWM回路150は、PWM周期が共通しているが、それぞれ非同期で動作する。ここで、PWM周期が共通するとは、N倍(Nは自然数)すると一致する周期も含むものとする。例えば、PWM周期TwのPWM回路X150xに対して、PWM周期(Tw/N)のPWM回路Y150yもPWM周期がTwで共通することになる。
【0019】
制御部100は、A/D変換部110、電圧算出部120、PWM制御部130を備えている。A/D変換部110は、サンプリング部として機能し、PWM周期よりも十分短い周期(例えば、1/10以下)で電源電圧のサンプリング値を取得する。
【0020】
電圧算出部120は、PWM周期を単位として、サンプリング値の平均化を行ない、測定電圧としてPWM制御部130に出力する。このため、電圧算出部120は、平均化演算に用いるサンプリング値を一時的に記憶するリングバッファを備えている。A/D変換部110と電圧算出部120とが協働することにより、本発明の一態様である電圧測定装置20として機能する。
【0021】
PWM制御部130は、電圧算出部120の測定電圧等に基づいて、デューティ比を設定する等により各PWM回路150の動作の制御を行なう。
【0022】
次に、本実施形態の車両制御ユニット10の電圧測定動作について
図2を参照して説明する。本実施形態において、各PWM回路150は、PWM周期がTwで共通するが、非同期に動作するため、本図に示すように、電源電圧が不規則に変動する。
【0023】
そこで、A/D変換部110は、PWM周期よりも短いサンプリング周期Tsでサンプリング値を取得する。例えば、PWM周期Twが18msであるとすると、0.5ms周期でサンプリング値を連続的に取得する。取得したサンプリング値はリングバッファに逐次格納する。
【0024】
そして、電圧算出部120が、PWM周期Twを単位として、サンプリング値の平均化を行ない、測定電圧値としてPWM制御部130に出力する。すなわち、PWM周期Twと等しい時間が電圧の測定期間となり、測定期間中のサンプリング値の平均値が測定電圧値となる。
【0025】
平均化演算は、Tw/Ts個のサンプリング値を用いて行なうため、電圧算出部120は、少なくともTw/Ts個分のリングバッファを備えておくようにする。例えば、PWM周期Twが18ms、サンプリング周期Tsが0.5msの場合、36個のサンプリング値の平均演算を行なうことになるため、リングバッファに少なくとも36個分のサンプリング値を記憶できるようにしておく。
【0026】
これにより、
図2に示すように、非同期に動作するPWM回路150によって電源電圧が不規則に変動するのにもかかわらず、安定した測定電圧値を得ることができる。
【0027】
なお、電圧算出部120は、任意のタイミングで電圧算出を行なうことができる。すなわち、PWM制御過程において、電源電圧が必要なタイミングで、直近のTw/Ts個のサンプリング値の平均演算を行なって、測定電圧として出力することができる。
【0028】
このため、例えば、
図3(a)に示すように、異なる測定期間が時間的に重なっていてもよい。また、
図3(b)に示すように、測定期間と測定期間との間が時間的に空いていてもよい。さらには、
図3(c)に示すように、不定間隔で測定期間を設けてもよい。
【0029】
本実施形態の車両制御ユニット10の電圧測定動作では、PWM周期を単位としたサンプリング値の平均値を測定電圧値としているため、例えば、制御部100の動作を司る制御プログラムのメインルーチンの動作周期にも依存せずに、任意のタイミングで安定した測定電圧値を得ることができる。
【符号の説明】
【0030】
10 車両制御ユニット
20 電圧測定装置
100 制御部
110 A/D変換部
120 電圧算出部
130 PWM制御部
150 PWM回路
200 電源
210 負荷