特許第6962797号(P6962797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6962797-研磨用シリカ系粒子および研磨材 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962797
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】研磨用シリカ系粒子および研磨材
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/14 20060101AFI20211025BHJP
   C01B 33/152 20060101ALI20211025BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20211025BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20211025BHJP
【FI】
   C09K3/14 550D
   C01B33/152 B
   H01L21/304 622B
   H01L21/304 622D
   B24B37/00 H
【請求項の数】7
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-231312(P2017-231312)
(22)【出願日】2017年12月1日
(65)【公開番号】特開2018-90798(P2018-90798A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2020年9月18日
(31)【優先権主張番号】特願2016-235227(P2016-235227)
(32)【優先日】2016年12月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 光章
(72)【発明者】
【氏名】江上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】荒金 宏忠
(72)【発明者】
【氏名】村口 良
(72)【発明者】
【氏名】平井 俊晴
【審査官】 中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/087965(WO,A1)
【文献】 特開2003−213249(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/035613(WO,A1)
【文献】 特開2010−182811(JP,A)
【文献】 特開2012−104800(JP,A)
【文献】 特開平11−061043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K3/14
B24B37/00
C01B33/113
H01L21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコキシ基を含有する三次元的重縮合構造のシリカ系粒子であって、
平均粒子径(d)が5〜300nm、アスペクト比が1.20を超え5.00 以下、アルコキシ基に由来する炭素含有量が0.005質量%以上0.50質量%未満であることを特徴とする研磨用シリカ系粒子。
【請求項2】
アルカリ金属、アルカリ土類金属、Fe、Ti、Zn、Pd、Ag、Mn、Co、Mo、Sn、Al、Zrの各々の含有量が0.1ppm未満、Cu、Ni、Crの各々の含有量が1ppb未満、U、Thの各々の含有量が0.3ppb未満であることを特徴とする請求項1に記載の研磨用シリカ系粒子。
【請求項3】
動的光散乱粒子径(γ)と平均長軸径(b)との比(γ/b)が0.70以上3.00以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の研磨用シリカ系粒子。
【請求項4】
BET法の比表面積(SA)から算出した等価球換算粒子径(γ)と平均粒子径(d)との比(γ/d)が0.80以上1.00未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の研磨用シリカ系粒子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の研磨用シリカ系粒子を含んでなる研磨材。
【請求項6】
さらに、平均粒子径(d)が5〜300nm、アスペクト比が1.00以上1.20以下、炭素含有量が0.005質量%以上0.50質量%未満である、アルコキシ基を含有する三次元的重縮合構造のシリカ系粒子を含んでなることを特徴とする請求項5に記載の研磨材。
【請求項7】
一次研磨用であることを特徴とする請求項5または6に記載の研磨材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の平坦化のため、特に半導体集積回路における金属配線層の形成等において有用な研磨用シリカ系粒子および該研磨用粒子を含んでなる研磨材に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピューター、各種電子機器には、各種の集積回路が用いられており、これらの小型化、高性能化に伴い、回路の高密度化と高性能化が求められている。
例えば、半導体集積回路は、シリコンウエハー等の基材上に配線層間膜(絶縁膜)を成膜し、その配線層間膜(絶縁膜)上に金属配線用の溝パターンを形成し、必要に応じてスパッタリング法などによって窒化タンタル(TaN)等のバリアメタル層を形成し、ついで金属配線用の銅を化学蒸着(CVD)法等により成膜する。ここで、TaN等のバリアメタル層を設けた場合には層間絶縁膜への銅や不純物などの拡散や侵食に伴う層間絶縁膜の絶縁性の低下などを防止することができ、また層間絶縁膜と銅の接着性を高めることができる。
次いで、溝内以外に成膜された不要な銅及びバリアメタル(犠牲層ということがある)を化学機械研磨(CMP)法により研磨して除去するとともに上部表面を可能な限り平坦化して、溝内にのみ金属膜を残して銅の配線・回路パターンを形成する。
【0003】
このCMP法で使用される研磨材は、通常、シリカやアルミナ等の金属酸化物からなる平均粒子径が5〜300nm程度の球状の研磨用粒子、配線・回路用金属の研磨速度を早めるための酸化剤、有機酸等の添加剤、及び純水などの溶媒から構成されている。
従来のシリカやアルミナなどの研磨用粒子による研磨では、研磨後、被研磨材の表面にスクラッチ(傷)が観察されたり、残った研磨粒子によってスクラッチが新たに発生したりするという問題があった。この点に関しては、スクラッチの発生を抑えるための研磨用粒子として、有機ポリマー骨格と、該有機ポリマー骨格中の少なくとも1個の炭素原子にケイ素原子が直接化学結合した有機ケイ素を分子内に有するポリシロキサン骨格とを含み、該ポリシロキサン骨格を構成するSiOの量が25重量%以上である有機質無機質複合体粒子が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、スクラッチの発生を抑制し、充分な研磨速度をもって基板表面を平坦に研磨することができる研磨用粒子として、シリカ粒子中にアルコキシド由来のアルコキシ残基の炭素含有量が0.5〜5重量%含有して、10%圧縮弾性率が500〜3000kgf/mm、シリカ粒子中のナトリウム含有量がNaとして100ppm以下の研磨用粒子が開示されている(特許文献2参照)。
【0005】
また、不純分の少ない研磨用のシリカ粒子として、平均二次粒子径が20〜1000nm、シリカ濃度が10〜50重量%、金属不純物含有量が1ppm以下のもの(特許文献3参照)や、CV値が20以下で、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウムから選ばれるアルカリ土類金属、鉄、チタン、ニッケル、クロム、銅、亜鉛、鉛、銀、マンガン及びコバルトから選ばれる重金属類、並びにヒドロキシ陰イオン以外の陰イオンの含有量が、各々1重量%以下(特許文献4参照)の研磨用粒子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−324174号公報
【特許文献2】特開2003−213249号公報
【特許文献3】特開2005−060217号公報
【特許文献4】特開2013−082584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の有機質無機質複合体粒子は、ポリシロキサン骨格の有するSiOの含有量によって粒子の硬さが異なり、有機ポリマー含有量が多くSiOの含有量が少ない場合には、スクラッチの発生は少ないものの研磨速度が遅くなる。逆に、有機ポリマー含有量が少なくSiOの含有量が多い場合には、研磨速度が速くなるもののスクラッチが発生し易い傾向にある。しかしながら、スクラッチが発生しない範囲でSiO含有量を多くしても、充分な研磨速度が得られないという点が隘路となっている。
【0008】
次に、特許文献2では、研磨レートや面精度はある程度高い研磨材が得られるが、研磨後に、研磨砥粒(研磨用シリカ粒子)が付着して洗浄してもなかなか落ちず、粒子が基板に付着した状態(いわゆる粒子付着性による粒子の「後残り」がある状態)となる問題がある。この付着の原因は明らかではないが、この研磨砥粒が過剰な−OR基(アルコキシ基)を有しているため、研磨スラリー(研磨材)を調製する際に添加する酸やアルカリにより、アルコキシ残基が加水分解して、活性な−OH基が生成され、基板との相互作用が強くなるためと推察される。
【0009】
次に、特許文献3および4では、原料であるシリコンアルコキシド自体は高純度であるため、アルコールや触媒をそのまま使用しても従来の電子機器では問題なかったが、半導体の高集積化、高密度化にともない、更なる金属不純分含有量の低減が必要である。
【0010】
本発明の課題は、基板表面の研磨速度が速く、かつ研磨後の基板への粒子の後残りを抑制した、一次研磨に特に適した研磨用シリカ系粒子および該研磨用シリカ系粒子を含んでなる研磨材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の研磨用シリカ系粒子は、平均粒子径(d)が5〜300nm、アスペクト比が1.20を超え5.00以下、炭素含有量が0.005質量%以上0.50質量%未満である、アルコキシ基を含有する三次元的重縮合構造のシリカ系粒子である。本発明の研磨用シリカ系粒子は、高い硬度を有し、真球ではない「異形状」であることから、研磨時の研磨速度が高く、また、粒子中のアルコキシ基が少ないことから、基板への「後残り」が少なくなる。
【0012】
このシリカ系粒子は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Fe、Ti、Zn、Pd、Ag、Mn、Co、Mo、Sn、Al、Zrの各々の含有量が0.1ppm未満、Cu、Ni、Crの各々の含有量が1ppb未満、U、Thの各々の含有量が0.3ppb未満の範囲にあることが好ましい。この範囲であることで、配線ノードが40nm以下の高集積なロジックやメモリー、及び三次元実装用の研磨砥粒として使用可能である。
【0013】
また、このシリカ系粒子は、動的光散乱粒子径(γ)と平均長軸径(b)との比(γ/b)が0.70以上3.00以下であることが好ましい。この範囲にあると、シリカ系粒子が、凝集していない状態であるため、粒子の弾力性が無くても研磨時の研磨速度が速く、平滑性も向上し、さらに基板への粒子の「後残り」もより低減される。
さらに、BET法の比表面積から算出した等価球換算粒子径(γ)と平均粒子径(d)の比(γ/d)が0.80以上1.00未満であることが好ましい。比(γ/d)がこの範囲であると、シリカ系粒子が多孔性粒子を含むため、粒子自体に弾力性が無くても、粒子が硬くなく、平滑性を向上させることができる。
【0014】
本発明の研磨材は、前記シリカ系粒子を含んでなることを特徴とし、一次研磨用として好ましく用いられる。
本発明の研磨材は、さらに、平均粒子径(d)が5〜300nm、アスペクト比が1.00以上1.20以下、炭素含有量が0.005質量%以上0.50質量%未満である、アルコキシ基を含有する三次元的重縮合構造のシリカ系粒子を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の研磨用シリカ系粒子および該研磨用シリカ系粒子を含んでなる研磨材は、研磨速度が速く、さらに、研磨後の基板への粒子の後残りを抑制することができる。したがって、本発明の研磨用シリカ系粒子および該研磨用シリカ系粒子を含んでなる研磨材は、一次研磨(粗研磨)に特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明における平均粒子径(d)の算出方法を説明する図である。黒塗り部は粒子間の接合部のイメージであり、接合部は空間を含んでいてもよい。
図2】本発明におけるアスペクト比(b/a;ただしb≧a)及び平均長軸径(b)の算出方法を説明する図である。aが短軸径、bが長軸径を表す。黒塗り部は粒子間の接合部のイメージであり、接合部は空間を含んでいてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〈研磨用粒子〉
本発明に係る研磨用シリカ系粒子の平均粒子径(d)は、5〜300nmであり、要求される研磨速度や研磨精度等によって適宜設定することができる。この平均粒子径(d)は、電子顕微鏡写真を撮影し、任意の100個の粒子について、図1に例示するように各粒子の一次粒子の最長径を測定し、その平均値として得たものである。
ここで、平均粒子径が5nm未満の場合は、シリカ系粒子分散液の安定性が不充分となる傾向にあり、また粒子径が小さすぎて充分な研磨速度が得られず、また表面積が大きいため、研磨後に粒子が基板に「後残り」しやすい場合がある。平均粒子径が300nmを超える場合は、基板または絶縁膜の種類にもよるが、スクラッチが発生しやすく、充分な平滑性が得られないことがある。平均粒子径は、好ましくは10〜200nm、より好ましくは15〜100nmである。
【0018】
本発明の研磨用シリカ系粒子は、アスペクト比が1.20を超え5.00以下である。
このアスペクト比は、走査型電子顕微鏡で粒子を観察し、100個の粒子について、図2に例示するように粒子を長方形で囲んだ時、最も長い辺を辺bとして縦横比を測定し、その平均値として得たものである。アスペクト比がこの範囲にあると、粒子は真球ではない「異形状」となる。また、アスペクト比がこの範囲にあると、粒子表面に凸な部分が存在するため、研磨時に応力が集中して、基板の研磨速度を速くできる。このため、本発明の研磨用シリカ粒子は、特に、一次研磨砥粒として適している。
ここで、アスペクト比が1.00以上1.20以下であると、粒子が真球もしくは真球に近い形状であるため、特に一次研磨においては研磨速度が不充分となるおそれがある。
一方、アスペクト比が5.00を超えると、粒子が過剰に凝集した状態であったり、粒子の形状が、極端に異形である場合や矩形である場合が多く、研磨において均一な研磨が望めず、スクラッチが発生して、研磨粒子としての適性を満たさない。
【0019】
本発明の研磨用シリカ系粒子の一次粒子は、三次元的重縮合構造をとる。これは、アルコキシシランの加水分解および重縮合がアルカリ性側で行われることで、平面状(二次元的)のみに進行するのではなく、立体的(三次元的)に進行するためである。このような構造をもった粒子を用いた研磨材は、粒子の分散性が高く、充分な研磨速度が得られるので好適である。一方、酸性側で加水分解および重縮合を行うと二次元的に進行し、球状粒子が得られない。
その構造は、透過電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡で確認して、粒子として存在することで判断できる。
【0020】
本発明の研磨用シリカ系粒子は、アルコキシ基を含有するシリカ系粒子である。この研磨用シリカ系粒子中のアルコキシ基に由来する炭素の含有量は0.005質量%以上0.50質量%未満である。炭素含有量がこの範囲にあると、これを用いた研磨材を使用すると、粒子付着が低く、粒子が洗い流されやすい(粒子の「後残り」が少ない)基板が得られる。
【0021】
このメカニズムは特定されていないが、従来、粒子の「後残り」が多かったのは、上述のように、研磨スラリー(研磨材)の調製時において、酸やアルカリの添加により、研磨用シリカ系粒子の過剰なアルコキシ残基が加水分解して、活性な−OH基の生成が多くなるためと推察される。これに対して、本発明は、研磨用シリカ系粒子中の炭素含有量が、0.005質量%以上0.50質量%未満の範囲であり、研磨材を調製した段階で、アルコキシ残基の加水分解による−OH基の生成量が微少なため、基板との相互作用が低くなり、粒子付着量の少ない(粒子の「後残り」が少ない)基板が得られると考えられる。
【0022】
ここで、炭素含有量が0.50質量%以上の場合は、アルコキシ残基が多くなるため、充分な研磨速度が得られず、研磨後の粒子付着も多くなり好ましくない。
一方、炭素含有量が0.005質量%未満の場合は、炭素源であるアルコキシ残基が少なく、シロキサン結合が進行する。このため、粒子が非常に硬くなり、研磨速度は速いものの、他の条件を調整してもスクラッチが発生して、研磨面の平滑性が不充分となる。また、シリカ系粒子と他材料との混合安定性が低くなるため、研磨スラリー化時に凝集を引き起こし、研磨時にスクラッチが発生する場合がある。このように、シリカ系粒子の純度を上げるために炭素含有量を0.005質量%よりもさらに減じても研磨材としての性能が不充分となるおそれがある。
炭素含有量は、より好ましくは0.01質量%以上0.30質量%未満、さらに好ましくは0.01質量%以上0.20質量%未満である。
【0023】
本発明の研磨用シリカ系粒子は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Fe、Ti、Zn、Pd、Ag、Mn、Co、Mo、Sn、Al、Zrの各々の含有量が0.1ppm未満、Cu、Ni、Crの各々の含有量が1ppb未満、U、Thの各々の含有量が0.3ppb未満であるの範囲にあることが好ましい。
これら不純分の金属元素の含有量が上述の範囲を超えて多く存在すると、シリカ系粒子を用いて研磨した基板に金属元素が残存し、この金属元素が半導体基板に形成された回路の絶縁不良を起こしたり回路が短絡したりして、絶縁用に設けた膜(絶縁膜)の誘電率が低下し、金属配線にインピーダンスが増大し、応答速度の遅れ、消費電力の増大等が起きることがある。また、金属元素イオンが移動(拡散)し、使用条件がより過酷になった場合や使用が長期にわたった場合に前記不具合を生じることがある。特に、U、Thの場合は、放射線を発生するため微量でも残存した場合に放射線による半導体の誤作動を引き起こす点で好ましくない。
ここで、アルカリ金属とは、Li、Na、K、Rb、Cs、Frを表す。アルカリ土類金属とは、Be,Mg、Ca、Sr,Ba,Raを表す。
【0024】
このような不純分の含有量が少ない高純度シリカ系粒子を得るには、粒子を調製する際の装置の材質をこれらの元素を含まず、かつ耐薬品性が高いものにすることが好ましく、具体的には、テフロン(登録商標)、FRP、カーボンファイバー等のプラスチック、無アルカリガラス等が好ましい。
また、使用する原料については、蒸留・イオン交換・フィルター除去で精製することが好ましい。特にアルコキシドの加水分解時に使用するアルコールは、タンク等からの金属不純分や合成時の触媒が残存するおそれがあり、特に精度の高い精製を必要とする場合がある。
【0025】
高純度シリカ系粒子を得る方法としては、上述のように、予め不純分の少ない原料を準備したり、粒子調製用の装置からの混入を抑えたりする方法がある。これ以外にも、そのような対策を充分にとらずに調製された粒子を得た後に不純分を低減することは可能である。しかしながら、不純分がシリカ粒子内に取り込まれていたりするため、イオン交換やフィルター除去で精製することは効率が悪く、高コストになるおそれがある。このため、このような方法で、不純分の含有量が少ないシリカ系粒子を得るのは現実的でない。
【0026】
本発明の研磨用シリカ系粒子は、動的光散乱粒子径(γ)と平均長軸径(b)との比(γ/b)が0.70以上3.00以下であることが好ましい。動的光散乱法により測定される平均粒子径、すなわち動的光散乱粒子径(γ)は、測定原理が動的光散乱法による測定機器により得られる。動的光散乱粒子径(γ)は、ブラウン運動する粒子の、短軸径aと長軸径bの両者の情報より粒子径を算出するため、アスペクト比が1.20を超え5.00以下のものは、サンプルの状態にもよるが、ナノ粒子のブラウン運動の影響で、平均長軸径(b)よりも小さく出る場合がある。ただし、比(γ/b)がこの範囲にあると、シリカ系粒子の凝集が小さいため、研磨時の研磨速度が速く、平滑性も向上し、さらに基板への粒子の「後残り」もより低減される。
なお、平均長軸径(b)は、走査型電子顕微鏡で観察した100個の粒子についての長軸(b)(図2参照)の測定値を平均した値である。
【0027】
本発明の研磨用シリカ系粒子は、窒素吸着法(BET法)の比表面積(SA)から算出される等価球換算粒子径(γ)と平均粒子径(d)の比(γ/d)が、0.80以上1.00未満が好ましい。この等価球換算粒子径(γ)は、BET法を用いて、窒素の吸着量からBET1点法により比表面積を算出し、等価球換算粒子径(γ)=6000/(SA×密度)の式から、シリカの密度を2.2として等価球換算粒子径(γ)を求める。
比(γ/d)がこの範囲であると、見かけの粒子サイズ(平均粒子径、d)より等価球換算粒子径(γ)の方が小さいため、粒子は多孔性である。そのため、粒子自体に弾力性が無くても粒子が硬くないので、平滑性を向上させることができる。
ここで、比(γ/d)が1.00の時は、粒子自身の内部が詰まっている(中実)状態で、粒子自体に弾力性がない場合、研磨において平滑性が高い基板が得られにくい場合がある。比(γ/d)が0.80未満の場合は、粒子が疎の状態で脆く、充分な研磨ができないおそれがある。
【0028】
上記のように、本発明の研磨用シリカ系粒子は一次研磨等に有用であり、この一次研磨の後に、仕上げ研磨粒子を用いて仕上げ研磨(二次研磨)を行うことが好ましい。また、本発明の研磨用シリカ系粒子と仕上げ研磨粒子とを混合して用いることもできる。このような仕上げ研磨粒子としては、平均粒子径(d)が5〜300nm、アスペクト比が1.00以上1.20以下、炭素含有量が0.005質量%以上0.50質量%未満である、アルコキシ基を含有する三次元的重縮合構造のシリカ系粒子を好ましく例示することができる。かかる粒子は、本発明者らが、特願2016−216956号において提案する粒子であり、高い硬度を有することから研磨時の研磨速度が高く、真球に近い形状で、スラリー調製時に粒子の凝集が少なく、分散性が高いことから、研磨時の平滑性も高く、粒子中のアルコキシ基が少ないことから基板への「後残り」が少なくなり、研磨速度、平滑性、スクラッチの発生抑制、後残りの抑制といった研磨材に求められる4つの要求を同時に満足することができるものである。
【0029】
すなわち、本発明の一実施形態として、上記説明した本発明の研磨用シリカ系粒子を含んでなる研磨材と、平均粒子径(d)が5〜300nm、アスペクト比が1.00以上1.20以下、炭素含有量が0.005質量%以上0.50質量%未満である、アルコキシ基を含有する三次元的重縮合構造のシリカ系粒子(仕上げ研磨粒子)を含んでなる研磨材と、を含む研磨材の組合せを挙げることができる。より具体的には、上記のように、本発明の研磨用シリカ系粒子を含む研磨材を用いた後に仕上げ研磨粒子を含む研磨材を用いて研磨する一次研磨用研磨材及び二次研磨用研磨材の組合せの態様と、両者を混合する組合せの態様が挙げられる。
【0030】
両者を混合して用いる場合、両者の混合物における仕上げ研磨粒子の質量割合は、好ましくは0.1〜70%であり、より好ましくは、1〜10%である。70%を超えると研磨速度が低下し、一次研磨の目的である高研磨速度の特性が得られないおそれがある。0.1%未満であると、仕上げ研磨粒子を混合しても、研磨速度が速くなることもない。1〜10%の範囲であると、一次研磨粒子単独よりも、平滑性が高く、研磨速度が非常に速くなる。研磨速度が速くなる理由は定かでないが、研磨時に、研磨パッドと基材間に存在するシリカ系粒子の回転速度が、アスペクト比が低い球状粒子が存在することで、ギア効果が発現し、一次研磨粒子が単独で存在するよりも速くなり、そのため研磨速度が向上すると考えている。
そのため本発明の研磨用シリカ系粒子の平均粒子径と仕上げ研磨粒子の平均粒子径比(仕上げ研磨粒子径/本発明の研磨用シリカ系粒子径)は、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.05〜0.85である。
【0031】
上記仕上げ研磨に好適な仕上げ研磨粒子は、好ましくは下記の特徴を有するものである。
(1)アルカリ金属、アルカリ土類金属、Fe、Ti、Zn、Pd、Ag、Mn、Co、Mo、Sn、Al、Zrの各々の含有量が0.1ppm未満、Cu、Ni、Crの各々の含有量が1ppb未満、U、Thの各々の含有量が0.3ppb未満である。
(2)動的光散乱粒子径(γ)と平均粒子径(d)との比(γ/d)が1.00以上1.50以下である。
(3)BET法の比表面積(SA)から算出した等価球換算粒子径(γ)と平均粒子径(d)との比(γ/d)が0.80以上1.00未満である。
【0032】
〈研磨用シリカ系粒子の製造〉
本発明の研磨用シリカ系粒子の製造方法としては、上述の粒子が得られれば格別の制限はない。
なお、アルカリ金属等の不純分や、アルコキシ残基由来の炭素成分の含有量を低下させる方法としては、特許文献2に開示したアルコキシド由来のアルコキシ残基の炭素含有量が0.5〜5質量%含有するシリカ粒子を、限外濾過膜等を使用して未反応アルコキシシランを除去し、更に洗浄してアルコキシ基由来の炭素含有量を低減したり、オートクレーブ等を使用してシリカ粒子の分散液をアルカリ性(pH9〜11)の条件下でさらに水熱処理したり、焼成して解砕したりすることも可能である。これらの方法は、併用することも可能である。
【0033】
以下に具体的な研磨用シリカ系粒子の製造方法を例示する。本発明の研磨用シリカ系粒子を得る方法としては、1)アルコキシシランを加水分解して真球状もしくは球状に近い粒子を得た後、酸性〜弱アルカリ性(pH8以下)の条件下で水熱処理等を行うことで、粒子同士を接合させアスペクト比が1.20を超え5.00以下の粒子を得る製造方法(製造方法1)と、2)アルコキシシランを加水分解した際に、アスペクト比が1.20を超え5.00以下の粒子を得る製造方法(製造方法2)の大きく二つの方法に分けられる。
【0034】
〈研磨用シリカ系粒子の製造/製造方法1〉
まず、1)アルコキシシランを加水分解して真球状もしくは球状に近い粒子を得た後、酸性〜弱アルカリ性(pH8以下)の条件下で水熱処理等を行うことで粒子同士を接合させアスペクト比が1.20を超え5.00以下の粒子を得る製法について説明する。
【0035】
真球状もしくは球状に近い粒子は、下記式[1]で表されるアルコキシシランの1種または2種以上を加水分解して得られる。
【0036】
Si(OR)4−n ・・・[1]
【0037】
式中、Xは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはビニル基を示し、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはビニル基を示し、nは0〜3の整数である。
これらのアルコキシシランの内、特に、テトラメトキシシラン(TMOS)やテトラエトキシシラン(TEOS)といったアルキル鎖が短いものを使用することが好ましい。これは、これらを使用する場合、加水分解速度が速くなり、炭素含有量の少ないシリカ粒子が得られる傾向にあるからである。さらに好ましいのは、アルキル鎖が短いテトラメトキシシラン(TMOS)である。
【0038】
アルコキシシランの加水分解は、水、有機溶媒および触媒の存在下に行われる。この加水分解に必要な水の量は、アルコキシシランを構成するアルコキシ基(−OR基)1モル当たり4を超え50モル以下、好ましくは4を超え25モル以下となるような量であることが望ましい。これらの範囲では、アスペクト比が1.00以上1.20以下の粒子が得られやすい。
また、触媒は、アルコキシシラン1モル当たり、0.005〜1モル、好ましくは0.01〜0.8モルとなるように添加されていることが望ましい。ここで、アルコキシシラン1モル当たりの触媒が0.005モル未満であると加水分解が生じにくく粒度分布の広い粒子が得られる場合がある。アルコキシシラン1モル当たりの触媒が1モルを超えると、加水分解スピードが著しく速くなるため、粒子が得られにくく、ゲル状物となる場合がある。
【0039】
上記有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類などが挙げられる。より具体的には、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノプロピルエーテルなどのグリコールエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル類が用いられる。
【0040】
上記触媒としては、アンモニア、アミン、アルカリ金属水素化物、第4級アンモニウム化合物、アミン系カップリング剤など、塩基性を示す化合物が用いられる。なお、触媒としてアルカリ金属水素化物を用いることもできるが、前記アルコキシシランのアルコキシ基の加水分解を促進し、このため得られる粒子中に残存するアルコキシ基(炭素)が減少するので、研磨速度は高いもののスクラッチが発生することがあり、さらにアルカリ金属元素の含有量が高くなるおそれがある。
【0041】
上記式[1]で表されるアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン以外に、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラオクトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジフルオロジメトキシシラン、ジフルオロジエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0042】
上記アルコキシシランの加水分解は、通常、常圧下で、使用する溶媒の沸点以下の温度、好ましくは沸点より5〜10℃程度低い温度で行われる。オートクレーブなどの耐熱耐圧容器を用いる場合には、この温度よりもさらに高い温度で行うこともできる。
上記のような条件で加水分解すると、アルコキシシランの重縮合が三次元的に進行し、平均粒子径が5〜300nmの粒径を有するアスペクト比が1.00以上1.20以下の粒子が得られやすい。
【0043】
上述のように加水分解により生成したシリカ系粒子は、(1)好ましくは洗浄処理をし、(2)酸性〜弱アルカリ性(pH8以下)の条件下で300℃以下の温度で水熱処理をして不純物除去を行うことで、本発明の研磨用シリカ粒子を得ることができる。この研磨用シリカ系粒子は、必要に応じて、焼成して解砕処理することができる。これらの処理のいずれか、またはこれらの処理を組み合わせて行うことによって、所望の炭素含有量に低下させることができる。炭素分の除去は、炭素鎖の短い構造のシランアルコキシドほど容易で、上述のシランアルコキシドの中ではテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。特に、テトラメトキシシランは、炭素鎖が最も短いので、簡単な水洗浄で炭素分を除去することが可能である。
【0044】
まず、上記工程の(1)洗浄処理について説明する。製造方法1においては、この処理は任意であるが、行うことが好ましい。
洗浄処理に使用する洗浄剤は、アルコキシシランを溶解するものであればよい。なかでも純水やアルコールが好ましい。さらに好ましいのはアルコールで、中でも、メタノールやエタノールは好適に用いることができる。アルコールで洗浄すると、洗浄条件にもよるが、アルコキシドの溶解性が高いため、粒子内部の未反応アルコキシドまで除去することが可能である。
【0045】
このため、BET法の比表面積(SA)から算出した等価球換算粒子径(γ)と平均粒子径(d)の比(γ/d)が0.80以上1.00未満のものが得られやすい。一方、アルコキシドの溶解度の低い水で洗浄すると粒子表面のアルコキシドが洗浄されやすく、比(γ/d)が1.00のものが得られやすい。また、水で洗浄すると理由は定かでないが、比(γ/d)が大きくなる場合がある。これは、理由は特定できていないが、粒子表面のアルコキシド量の影響と推定している。
【0046】
アルコールでの洗浄法としては、限外膜やセラミック膜を使用した洗浄法が好ましい。また、洗浄用の純水やアルコールの量については、シリカ系粒子分散液の濃度によって異なるが、好ましくは分散液量の4〜100倍量、より好ましくは分散液量の8〜100倍量である。ここで、洗浄用の純水やアルコールの量が分散液量の4倍量未満の場合は、特許文献1,2に示すような未反応アルコキシシランを除去するには適しているが、粒子表面や内部のアルコキシド基由来の炭素を低減することは困難である。一方、洗浄用の純水やアルコールの量が分散液量の100倍を超えると、炭素含有量も低減せず、経済的にも効率が悪い。
洗浄した粒子は、限外膜やロータリーエバポレーターを用いて水に置換して、シリカ系粒子の濃度を1〜5質量%に調整する。
【0047】
次に、(2)酸性〜弱アルカリ性(pH8以下)での300℃以下の温度での水熱処理について説明する。製造方法1においては、この処理は必須の処理である。
【0048】
洗浄処理を行った、アスペクト比が1.20以下のシリカ系粒子の濃度1〜5質量%の分散液は、酸性側(酸性〜弱アルカリ性、すなわちpH8以下)で水熱処理を行うことで、粒子が2個以上連結した、アスペクト比が1.20〜5.00の粒子を得ることができる。これは、酸性条件(酸性〜弱アルカリ性、すなわちpH8以下)下では、シリカの溶解度が低いためオストワルト成長が不均一に生じるためと推定される。そのpHは3〜7がより好ましい。この範囲以外の場合、動的光散乱粒子径(γ)と平均長軸径(b)との比(γ/b)が3.00を超える凝集状態のものが得られるおそれがある。このような短繊維状シリカ系粒子や凝集したシリカ系粒子を研磨材として用いるとスクラッチが発生することがあるので好ましくない。
【0049】
水熱処理温度は、好ましくは100〜300℃、より好ましくは100〜250℃である。
水熱処理温度が低く、pHが低い場合は、炭素含有量は高く、多孔性の高いシリカ系粒子が得られやすい。このため、BET法の比表面積(SA)から算出した等価球換算粒子径(γ)と平均粒子径(d)の比(γ/d)が低くなる傾向がある。
【0050】
水熱処理した粒子は、イオン交換樹脂を用い精製し、限外膜やロータリーエバポレーターを用いて水に置換、ついで濃縮し、研磨用シリカ系粒子を得ることができる。
【0051】
得られた研磨用シリカ系粒子は、焼成して解砕する場合は、焼成温度は200℃〜600℃が好ましい。ここで、焼成温度が200℃未満だと未反応のアルコキシドが反応せず、粒子中の炭素含有量が0.50質量%以上の粒子が得られる場合がある。逆に、焼成温度が600℃を超えるとアルコキシドが分解され炭素含有量が0.005質量%未満の粒子が得られる場合がある。このとき、たとえ、炭素含有量が0.005質量%以上のものが得られたとしても、粒子間が接合され、解砕後も球状な粒子が得られないおそれがある。解砕法は、従来公知の解砕法を用いることが可能であり、ビーズミルで解砕する方法が好ましい。
【0052】
〈研磨用シリカ系粒子の製造/製造方法2〉
次に、2)アルコキシシランを加水分解した際に、アスペクト比が1.20を超え5.00以下の粒子を得る製造法について説明する。
【0053】
アスペクト比が1.20を超え5.00以下の粒子は、下記式[1]で表されるアルコキシシランの1種または2種以上を加水分解して得られる。
【0054】
Si(OR)4−n ・・・[1]
【0055】
式中、Xは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはビニル基を示し、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはビニル基を示し、nは0〜3の整数である。
これらのアルコキシシランの内、特に、テトラメトキシシラン(TMOS)やテトラエトキシシラン(TEOS)といったアルキル鎖が短いものを使用することが好ましい。これは、これらを使用する場合、加水分解速度が速くなり、炭素含有量の少ないシリカ粒子が得られる傾向にあるからである。さらに好ましいのは、アルキル鎖が短いテトラメトキシシラン(TMOS)である。
【0056】
アルコキシシランの加水分解は、水、有機溶媒および触媒の存在下に行われる。この加水分解に必要な水の量は、アルコキシシランを構成するアルコキシ基(−OR基)1モル当たり0.1〜4モル、好ましくは0.2〜2モルとなるような量であることが望ましい。これらの範囲では、アスペクト比が1.20を超え5.00以下の粒子が得られやすい。ここで、アルコキシシランを構成するアルコキシ基1モル当たりの水の量が0.1モル未満の場合は、加水分解自体が進まず、未反応のアルコキシシランが残存し、得られた粒子が凝集したりする場合がある。アルコキシシランを構成するアルコキシ基1モル当たりの水の量が4モルを超える場合は、球状の粒子やアスペクト比が1.00〜1.20の粒子が得られやすい。
また、触媒は、アルコキシシラン1モル当たり、0.005〜1モル、好ましくは0.01〜0.8モルとなるように添加されていることが望ましい。ここで、アルコキシシラン1モル当たりの触媒が0.005モル未満であると加水分解が生じにくく粒度分布の広い粒子が得られる場合がある。アルコキシシラン1モル当たりの触媒が1モルを超えると、加水分解スピードが著しく速くなるため、粒子が得られにくく、ゲル状物となる場合がある。
【0057】
上記有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類などが挙げられる。より具体的には、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノプロピルエーテルなどのグリコールエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル類が用いられる。
【0058】
上記触媒としては、アンモニア、アミン、アルカリ金属水素化物、第4級アンモニウム化合物、アミン系カップリング剤など、塩基性を示す化合物が用いられる。なお、触媒としてアルカリ金属水素化物を用いることもできるが、前記アルコキシシランのアルコキシ基の加水分解を促進し、このため得られる粒子中に残存するアルコキシ基(炭素)が減少するので、研磨速度は高いもののスクラッチが発生することがあり、さらにアルカリ金属元素の含有量が高くなるおそれがある。
【0059】
上記式[1]で表されるアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン以外に、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラオクトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジフルオロジメトキシシラン、ジフルオロジエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0060】
上記アルコキシシランの加水分解は、通常、常圧下で、使用する溶媒の沸点以下の温度、好ましくは沸点より5〜10℃程度低い温度で行われる。また、オートクレーブなどの耐熱耐圧容器を用いる場合には、この温度よりもさらに高い温度で行うこともできる。
上記のような条件で加水分解すると、アルコキシシランの重縮合が三次元的に進行し、平均粒子径が5〜300nmの粒径を有するアスペクト比が1.20を超え5.00以下の研磨用シリカ系粒子を得ることができる。
【0061】
上述のように加水分解により生成したシリカ系粒子は、(1)洗浄処理、及び(2)アルカリ性(pH9〜11)の条件下で300℃以下の温度で水熱処理の少なくとも一方をして不純物除去を行うことで、本発明の研磨用シリカ粒子を得ることができる。この研磨用シリカ系粒子は、必要に応じて、焼成して解砕処理することができる。これらの処理のいずれか、またはこれらの処理を組み合わせて行うことによって、所望の炭素含有量に低下させることができる。炭素分の除去は、炭素鎖の短い構造のシランアルコキシドほど容易で、上述のシランアルコキシドの中ではテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。特に、テトラメトキシシランは、炭素鎖が最も短いので、簡単な水洗浄で炭素分を除去することが可能である。
【0062】
洗浄処理及び焼成・解砕方法としては、上記製造方法1で説明したのと同様の処理が挙げられる。
【0063】
(2)アルカリ性(pH9〜11)の条件下で300℃以下の温度で水熱処理について説明する。
本水熱処理を行うことにより、シリカ系粒子のアルコキシド基の加水分解を促進させ、炭素含有量をさらに低減することができ、緻密な粒子を得ることがきる。酸性条件では、シリカの溶解度が低いため、加水分解の促進が進まない場合があり、炭素含有量低減できなく、粒子も密になりにくい。そのため、BET法の比表面積(SA)から算出した等価球換算粒子径(γ)と平均粒子径(d)の比(γ/d)が0.9〜1.00と値の高いものが得られやすい。好ましいアルカリ条件のpHは9〜11である。水熱処理温度は、好ましくは300℃以下、より好ましくは80〜300℃、さらに好ましくは100〜200℃、最も好ましくは100〜150℃以下である。
【0064】
ここで、水熱処理時のpHが9未満の条件では、シリカの溶解度が低く、加水分解が促進されない場合がある。水熱処理時のpHが11を超えると、シリカ溶解度が高いためシリカ系粒子が溶解し不定形状の粒子となる場合がある。水熱処理温度が80℃未満の場合は、温度が低いため加水分解の促進が進まない場合がある。水熱処理温度が300℃を超える場合は、温度が高いためシリカの溶解度もより高くなりシリカ系粒子が溶解し不定形状の粒子となる場合がある。
上述と同様に、pHが9〜11で300℃以下での水熱処理において、この範囲以外の場合、粒子が不安定な状態での処理となるため、動的光散乱粒子径(γ)と平均長軸径(b)との比(γ/b)が3.00を超える凝集状態のものが得られるおそれがある。このような短繊維状シリカ系粒子や凝集したシリカ系粒子を研磨材として用いるとスクラッチが発生することがあるので好ましくない。
【0065】
水熱処理した粒子は、イオン交換樹脂を用い精製し、限外膜やロータリーエバポレーターを用いて水に置換、ついで濃縮し、研磨用シリカ系粒子を得ることができる。
【0066】
〈研磨材〉
本発明に係る研磨材は、上述の研磨用シリカ系粒子を分散媒に分散したものである。
分散媒としては通常、水を用いるが、必要に応じてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類を用いることができ、他にエーテル類、エステル類、ケトン類など水溶性の有機溶媒を用いることができる。
研磨材中の研磨用シリカ系粒子の濃度は2〜50質量%、さらには5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。ここで、濃度が2質量%未満の場合は、基材や絶縁膜の種類によっては濃度が低すぎて研磨速度が遅く生産性が問題となることがある。シリカ系粒子の濃度が50質量%を越えると研磨材の安定性が不充分となり、研磨速度や研磨効率がさらに向上することもなく、また研磨処理のために分散液を供給する工程で乾燥物が生成して付着することがあり、スクラッチ発生の原因となることがある。
【0067】
本発明の研磨材には、被研磨材の種類によっても異なるが、必要に応じて従来公知の過酸化水素、過酢酸、過酸化尿素などおよびこれらの混合物を添加して用いることができる。このような過酸化水素等を添加して用いると被研磨材が金属の場合には効果的に研磨速度を向上させることができる。
また、必要に応じて、硫酸、硝酸、リン酸、フッ酸等の酸、あるいはこれら酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩およびこれらの混合物などを添加して用いることができる。この場合、複数種の材質の被研磨材を研磨する際に、特定成分の被研磨材の研磨速度を速めたり、遅くしたりすることによって、最終的に平坦な研磨面を得ることができる。その他の添加剤として、例えば、金属被研磨材表面に不動態層あるいは溶解抑制層を形成して基材の浸食を防止するために、ポリビニールアルコール、ポリビニルピロリドン、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾールなどを用いることができる。
【0068】
また、上記不動態層を拡散するために、クエン酸、乳酸、酢酸、シュウ酸、フタル酸、等の有機酸あるいはこれらの有機酸塩などの錯体形成材を用いることもできる。
研磨材スラリーの分散性や安定性を向上させるためにカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系の界面活性剤を適宜選択して添加することができる。
さらに、上記各添加剤の効果を高めるために、必要に応じて酸または塩基を添加して研磨材スラリーのpHを調節することができる。
【0069】
本発明の研磨用シリカ系粒子および該研磨用シリカ系粒子を含んでなる研磨材は、研磨速度が速い。また、このシリカ系粒子は、炭素含有量が少なく基板への粒子の「後残り」が少ないため、一次研磨に特に有用である。さらに、このシリカ系粒子はナトリウム等の不純分の金属元素成分を実質的に含まない場合には、研磨した半導体基板や酸化膜表面に金属元素が付着することがなく、このため基板の平坦化、特に半導体集積回路における金属配線層の形成等において特に有用である。
【実施例】
【0070】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0071】
[実施例1]
〈研磨用シリカ系粒子(A)の製造〉
純水139.1gとメタノール(中国精油(株)製(以下同様))169.9gとを混合した混合溶媒を60℃に保持し、これにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製 エチルシリケート28、SiO=28質量%(以下同様))の水−メタノール溶液(水/メタノール(質量比2/8)混合溶媒2450gにテトラエトキシシランを532.5g溶解したもの)2982.5gおよび濃度0.25質量%のアンモニア水596.4g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3887.9gであった。その後、熟成品の3倍量に相当する純水11663.7gを用い限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、さらにメタノールを熟成品の10倍量に相当する38879g用いて限外濾過膜で洗浄し、ついで純水を用いて限外濾過膜にて水に置換し、1質量%に調整した。その後塩酸を用いてpHを3.0に調整してオートクレーブにて250℃で20時間熟成した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(A)の分散液を得た。
【0072】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した(以下同様)。テトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した(以下同様)。研磨用シリカ系粒子(A)の平均粒子径、アスペクト比、平均長軸径、動的光散乱粒子径、等価球換算粒子径、アルコキシ基の有無、炭素含有量、ナトリウム等の不純分の金属元素の含有量を測定し、結果を表1および表2に示す(以下同様)。
【0073】
《平均粒子径の測定》
平均粒子径(d)は、シリカ系粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、任意の100個の粒子について、図1に例示するように一次粒子の最も径が長い部分を測定し、その平均値として得た。
【0074】
《アスペクト比の測定》
アスペクト比は、シリカ系粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、任意の100個の粒子について、図2に例示するように粒子を長方形で囲んだ時、最も長い辺を辺bとして縦横比を測定し、その平均値として得た。
【0075】
《平均長軸径の測定》
シリカ系粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、任意の100個の粒子について、図2に例示するように粒子を長方形で囲んだ時、最も長い辺を辺bとして測定し、その平均値として平均長軸径(b)を得た。
【0076】
《アルコキシ基の測定》
シリカ系粒子中のアルコキシ基は、シリカ系粒子分散液を150℃で乾燥させ、フーリエ変換型赤外分光装置(日本分光製 型番:FT/IR−6100)を使用して測定し、−OR基の有無を確認した。
【0077】
《炭素含有量の測定》
シリカ系粒子中の炭素含有量は、シリカ系粒子分散液を150℃で乾燥させ、炭素硫黄分析装置(HORIBA製 EMIA−320V)を用いて測定した。
【0078】
《金属元素含有量の測定》
シリカ系粒子中のアルカリ金属、アルカリ土類金属、Fe、Ti、Zn、Pd、Ag、Mn、Co、Mo、Sn、Al、Zrの含有量、Cu、Ni、Crの含有量、およびU、Thの含有量については、本発明のシリカ系粒子をフッ酸で溶解し、加熱してフッ酸を除去した後、必要に応じて純水を加え、得られた溶液についてICP誘導結合プラズマ発光分光質量分析装置(株式会社島津製作所製 ICPM−8500)を用いて測定した。
【0079】
《動的光散乱粒子径の測定》
動的光散乱粒子径(γ)は、研磨用シリカ系粒子をpH10.5のアンモニア水を用いて0.1%に希釈し、動的光散乱粒度分布測定装置(大塚電子株式会社製 PAR-III)を用いて測定し、そのキュムラント粒子径をγとした。
【0080】
《等価球換算粒子径の測定》
等価球換算粒子径(γ)は、シリカ系粒子分散液を150℃で乾燥させ、比表面積測定装置(マウンテック社製 装置名Macsorb−1200)でBET法を用いて測定した。窒素の吸着量からBET1点法により比表面積(SA)を算出し、等価球換算粒子径(γ)=6000/(SA×密度)の式から、シリカの密度を2.2として等価球換算粒子径(γ)を求めた。
【0081】
〈研磨材(A)の製造〉
研磨用シリカ系粒子を3.0質量% 、ヒドロキシエチルセルロース(H E C ) を175ppm、アンモニアを225ppm 含有する研磨材(A)を製造した。
【0082】
〈研磨用基板〉
一次研磨の性能を評価すべく、結晶構造が(1.0.0)である単結晶シリコンウェハーを用いた。
【0083】
《研磨試験》
研磨用基板を用い、研磨装置(ナノファクター(株)製 NF300)にセットし、研磨パッドSUBA600、基板加重15kPa、テーブル回転速度50rpm、スピンドル速度60rpmで、上記研磨材(A)を250ml/分の速度で研磨用基板の研磨を10分間行った。その後、純水にて洗浄し風乾した。その後、研磨用基板の重量減を測定し研磨速度を算出した。得られた研磨基板の研磨表面を観察し、表面の平滑性を以下の基準(スクラッチの程度)で評価し、結果を表3に示す。
スクラッチは認められない :◎
小さなスクラッチが僅かに認められた。 :○
小さなスクラッチが広範囲に認められた。 :△
大きなスクラッチが点在して認められた。 :×
大きなスクラッチが広範囲に認められた。 :××
【0084】
研磨基板上の粒子の「後残り」は、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製 VK−X250)を用いて粒子の数を数えた下記の評価基準で評価し、結果を表3に示した。
粒子の「後残り」0個 :◎
粒子の「後残り」1〜10個 :○
粒子の「後残り」11〜50個 :△
粒子の「後残り」51〜100個:×
粒子の「後残り」101個〜 :××
【0085】
《総合判定》
上述の研磨試験の結果と、高集積半導体回路用の研磨材としての使用を考慮して、一次研磨用研磨材としての性能を総合的に判断した。判定結果の区分は下記の通りであった。結果を表3に示した。
研磨材として 好適 :◎
研磨材として 適 :○
研磨材として 可 :△
研磨材として 不適 :×
研磨材として 著しく不適:××
【0086】
[実施例2]
〈研磨用シリカ系粒子(B)の製造、研磨材(B)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を50℃に保持し、これにテトラメトキシシラン(多摩化学(株)製 正珪酸メチル SiO=39.6質量%(以下同様))とメタノールの混合溶液(メタノール2450gにテトラメトキシシランを376.5g溶解したもの)2826.5gおよび濃度0.25質量%のアンモニア水596.4g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3731.9gであった。その後、熟成品の4倍量に相当する純水14927.6gを用い限外濾過膜で未反応のテトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、及びアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させ、1質量%に調整した。その後塩酸を用いてpHを3.0に調整してオートクレーブにて150℃で4時間熟成した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(B)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(B)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(B)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0087】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0088】
[実施例3]
〈研磨用シリカ系粒子(C)の製造、研磨材(C)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を50℃に保持し、これにテトラメトキシシランとメタノールの混合溶液(メタノール2450gにテトラメトキシシランを376.5g溶解したもの)2826.5gおよび濃度0.25質量%のアンモニア水596.4g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3731.9gであった。その後、熟成品の4倍量に相当する純水14927.6gを用い限外濾過膜で未反応のテトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、及びアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させ、1質量%に調整した。その後塩酸を用いてpHを3.0に調整してオートクレーブにて250℃で48時間熟成した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(C)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(C)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(C)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0089】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0090】
[実施例4]
〈研磨用シリカ系粒子(D)の製造、研磨材(D)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を50℃に保持し、これにテトラメトキシシランとメタノールの混合溶液(メタノール2450gにテトラメトキシシランを376.5g溶解したもの)2826.5gおよび濃度0.25質量%のアンモニア水596.4g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3731.9gであった。その後、熟成品の8倍量に相当する純水29855.2gを用い限外濾過膜で未反応のテトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、及びアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させ、1質量%に調整した。その後塩酸を用いてpHを3.0に調整してオートクレーブにて150℃で4時間熟成した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(D)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(D)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(D)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0091】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0092】
[実施例5]
〈研磨用シリカ系粒子(E)の製造、研磨材(E)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を50℃に保持し、これにテトラメトキシシランとメタノールの混合溶液(メタノール2450gにテトラメトキシシランを376.5g溶解したもの)2826.5gおよび濃度0.25質量%のアンモニア水596.4g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3731.9gであった。その後、熟成品の4倍量に相当する純水14927.6gを用い限外濾過膜で未反応のテトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、及びアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させ、1質量%に調整した。その後塩酸を用いてpHを3.0に調整してオートクレーブにて100℃で2時間熟成した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(E)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(E)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(E)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0093】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0094】
[実施例6]
〈研磨用シリカ系粒子(F)の製造、研磨材(F)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を60℃に保持し、これにテトラエトキシシランの水−メタノール溶液(水/メタノール(質量比2/8)混合溶媒2450gにテトラエトキシシランを532.5g溶解したもの)2982.5gおよび濃度0.25質量%のアンモニア水596.4g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3887.9gであった。その後、熟成品の4倍量に相当する純水15551.6gを用い限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、及びアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させ、さらにメタノールを熟成品の10倍量に相当する38879g用いて限外濾過膜で洗浄し、さらにアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させて、水に置換し、1質量%に調整した。その後塩酸を用いてpHを3.0に調整してオートクレーブにて100℃で2時間熟成した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(F)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(F)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(F)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0095】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0096】
[実施例7]
〈研磨用シリカ系粒子(G)の製造、研磨材(G)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を50℃に保持し、これにテトラメトキシシランとメタノールの混合溶液(メタノール2450gにテトラメトキシシランを376.5g溶解したもの)2826.5gおよび濃度0.25質量%のアンモニア水596.4g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3731.9gであった。その後、熟成品の8倍量に相当する純水29855.2gを用い限外濾過膜で未反応のテトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、及びアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させ、1質量%に調整した。その後塩酸を用いてpHを3.0に調整してオートクレーブにて150℃で4時間熟成した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(G)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(G)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(G)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0097】
なお、設備は、ナトリウムガラス容器及びSUS304製のオートクレーブ設備を使用した。テトラメトキシシラン、メタノールは、蒸留せず使用した。
【0098】
[実施例8]
〈研磨用シリカ系粒子(H)の製造、研磨材(H)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を50℃に保持し、これにテトラメトキシシランとメタノールの混合溶液(メタノール2450gにテトラメトキシシランを376.5g溶解したもの)2826.5gおよび濃度0.50質量%のアンモニア水596.4g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3731.9gであった。その後、熟成品の4倍量に相当する純水14927.6gを用い限外濾過膜で未反応のテトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、及びアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させ、さらに、熟成品の10倍量の37319gのメタノールで洗浄し、さらにアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させて、水に置換し、1質量%に調整した。その後塩酸を用いてpHを3.0に調整してオートクレーブにて100℃で1時間熟成した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(H)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(H)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(H)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0099】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0100】
[実施例9]
〈研磨用シリカ系粒子(I)の製造、研磨材(I)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を50℃に保持し、これにテトラメトキシシランとメタノールの混合溶液(メタノール2450gにテトラメトキシシランを376.5g溶解したもの)2826.5gおよび濃度28.8質量%のアンモニア水5.18g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3140.68gであった。その後、熟成品の4倍量に相当する純水12562.72gを用い限外濾過膜で未反応のテトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、及びアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させ、さらに、熟成品の10倍量の31406.8gのメタノールで洗浄し、さらにアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させて、水に置換した。その後塩酸を用いてpH3.0に調整してオートクレーブにて100℃で2時間熟成した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(I)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(I)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(I)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0101】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0102】
[実施例10]
〈研磨用シリカ系粒子(J)の製造、研磨材(J)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を50℃に保持し、これにテトラメトキシシランとメタノールの混合溶液(メタノール2450gにテトラメトキシシランを376.5g溶解したもの)2826.5gおよび濃度28.8質量%のアンモニア水5.18g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3140.68gであった。その後、熟成品の4倍量に相当する純水12562.72gを用い限外濾過膜で未反応のテトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、及びアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させ、さらに、熟成品の10倍量の31406.8gのメタノールで洗浄し、さらにアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させて、水に置換した。その後塩酸を用いてpHを3.0に調整してオートクレーブにて100℃で0.5時間熟成した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(J)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(J)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(J)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0103】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0104】
[実施例11]
〈研磨用シリカ系粒子(K)の製造、研磨材(K)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を50℃に保持し、これにテトラメトキシシランとメタノールの混合溶液(メタノール2450gにテトラメトキシシランを376.5g溶解したもの)2826.5gおよび濃度28.8質量%のアンモニア水5.18g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3140.68gであった。その後、熟成品の4倍量に相当する純水12562.72gを用い限外濾過膜で未反応のテトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、及びアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させ、さらに、熟成品の10倍量の31406.8gのメタノールで洗浄し、さらにアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させて、水に置換した。その後塩酸を用いてpH3.0に調整してオートクレーブにて150℃で20時間熟成した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(K)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(K)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(K)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0105】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0106】
[実施例12]
〈研磨用シリカ系粒子(L)の製造、研磨材(L)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を60℃に保持し、これにテトラエトキシシランとメタノールの混合溶液(メタノール2450gにテトラエトキシシランを532.5g溶解したもの)2982.5gおよび濃度28.8質量%のアンモニア水5.18g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.035)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3296.68gであった。その後、熟成品の4倍量に相当する純水13186.72gを用い限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、及びアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させ、さらに、熟成品の10倍量の32966.8gのメタノールで洗浄し、さらにアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させて、水に置換し、1質量%に調整した。その後塩酸を用いてpH3.0に調整してオートクレーブにて150℃で20時間熟成した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(L)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(L)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(L)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0107】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0108】
[実施例13]
〈仕上げ研磨粒子(M)の製造、研磨材(M)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を60℃に保持し、これにテトラエトキシシランの水−メタノール溶液(水/メタノール(質量比2/8)混合溶媒2450gにテトラエトキシシランを266.3g溶解したもの)2716.3gおよび濃度0.25質量%のアンモニア水596.4g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に10時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3621.75gであった。その後、熟成品の3倍量に相当する純水10865.25gを用い限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去した(このとき、アルコキシ基由来の炭素は多く存在した)。さらにメタノールを熟成品の10倍量に相当する36217.5g用いて限外濾過膜で洗浄し、ついで純水を用いて限外濾過膜にて水に置換し1質量%に調整した。その後塩酸を用いてpH3.0に調整してオートクレーブにて150℃で20時間熟成した。両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(M)の分散液を得た。
実施例1で製造した研磨用シリカ系粒子(A)を2.8質量%、研磨用シリカ系粒子(M)を0.2質量%用いた以外は実施例1と同様に研磨材(M)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0109】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0110】
[実施例14]
〈研磨用シリカ系粒子(N)の製造、研磨材(N)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒をテフロン(登録商標)ライニングした圧力容器に入れ120℃に保持し、これにテトラメトキシシランとメタノールの混合溶液(メタノール2450gにテトラメトキシシランを7358.18溶解したもの)9808.18gおよび濃度0.25質量%のアンモニア水11331.6g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に60時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、21448.78gであった。その後、熟成品の3倍量に相当する純水64346.34gを用い限外濾過膜で未反応のテトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、さらにメタノールを熟成品の12倍量に相当する257385.4g用いて限外濾過膜で洗浄し、ついで純水を用いて限外濾過膜にて水に置換し、1質量%に調整した。その後塩酸を用いてpHを3.0に調整してオートクレーブにて150時間熟成した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(N)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(N)を2.8質量%、実施例13で製造した研磨用シリカ系粒子(M)を0.2質量%用いた以外は実施例1と同様に研磨材(N)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0111】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0112】
[実施例15]
〈研磨用シリカ系粒子(O)の製造、研磨材(O)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を10℃に保持し、これにテトラメトキシシランとメタノールの混合溶液(メタノール2450gにテトラメトキシシランを1.6g溶解したもの)2451.6gおよび濃度0.25質量%のアンモニア水2.50g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に1秒かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、2763.1gであった。その後、熟成品の8倍量に相当する純水22104.8gを用い限外濾過膜で未反応のテトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、及びアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させ、1質量%に調整した。その後塩酸を用いてpHを3.0に調整してオートクレーブにて200℃で3時間熟成した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(O)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(O)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(O)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0113】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0114】
[実施例16]
〈研磨用シリカ系粒子(N)の製造、研磨材(P)の製造、研磨試験〉
実施例14で製造した研磨用シリカ系粒子(N)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(P)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0115】
[実施例17]
〈研磨用シリカ系粒子(Q)の製造、研磨材(Q)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒をテフロン(登録商標)ライニングした圧力容器に入れ120℃に保持し、これにテトラメトキシシランとメタノールの混合溶液(メタノール2450gにテトラメトキシシランを11380.1溶解したもの)13830.1gおよび濃度0.25質量%のアンモニア水17282g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に80時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、31421.1gであった。その後、熟成品の3倍量に相当する純水94263.3gを用い限外濾過膜で未反応のテトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、さらにメタノールを熟成品の12倍量に相当する377053.2g用いて限外濾過膜で洗浄し、ついで純水を用いて限外濾過膜にて水に置換し、1質量%に調整した。その後塩酸を用いてpHを3.0に調整してオートクレーブにて150時間熟成した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(Q)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(Q)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(Q)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0116】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0117】
[実施例18]
〈研磨用シリカ系粒子(R)の製造、研磨材(R)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を50℃に保持し、これにテトラメトキシシランとメタノールの混合溶液(メタノール2450gにテトラメトキシシランを376.5g溶解したもの)2826.5gおよび濃度0.25質量%のアンモニア水596.4g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3731.9gであった。その後、熟成品の20倍量に相当する純水29855.2gを用い限外濾過膜で未反応のテトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、及びアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させ、1質量%に調整した。その後塩酸を用いてpHを3.0に調整してオートクレーブにて150℃で10時間熟成した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(R)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(R)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(R)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0118】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0119】
[比較例1]
〈研磨用シリカ系粒子(RF−A)の製造、研磨材(RF−A)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を60℃に保持し、これにテトラエトキシシランの水−メタノール溶液(水/メタノール(質量比2/8)混合溶媒2450gにテトラエトキシシランを532.5g溶解したもの)2982.5gおよび濃度0.25質量%のアンモニア水596.4g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3887.9gであった。その後、熟成品の3倍量に相当する純水11663.7gを用い限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去した(このとき、アルコキシ基由来の炭素は多く存在した)。さらにメタノールを熟成品の10倍量に相当する38879g用いて限外濾過膜で洗浄し、ついで純水を用いて限外濾過膜にて水に置換し1質量%に調整した。その後アンモニアを用いてpH10に調整してオートクレーブにて150℃で20時間熟成した。両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(RF−A)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(RF−A)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(RF−A)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0120】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0121】
[比較例2]
〈研磨用シリカ系粒子(RF−B)の製造、研磨材(RF−B)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を60℃に保持し、これにテトラエトキシシランの水−メタノール溶液(水/メタノール(質量比2/8)混合溶媒2450gにテトラエトキシシランを532.5g溶解したもの)2982.5gおよび濃度0.25質量%のアンモニア水596.4g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3887.9gであった。その後、熟成品の3倍量に相当する純水11663.7gを用い限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去した(このとき、アルコキシ基由来の炭素は多く存在した)。ついで、両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(RF−B)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(RF−B)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(RF−B)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0122】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0123】
[比較例3]
〈研磨用シリカ系粒子(RF-C)の製造、研磨材(RF−C)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を50℃に保持し、これにテトラメトキシシランとメタノールの混合溶液(メタノール2450gにテトラメトキシシランを376.5g溶解したもの)2826.5gおよび濃度28.8質量%のアンモニア水5.18g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3140.68gであった。その後、熟成品の1倍量に相当する純水3140.68gを用い限外濾過膜で未反応のテトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアを除去し、及びアルコキシ基由来の炭素含有量を低減させ、ロータリーエバポレーターを用いて水に置換した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(RF−C)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(RF−C)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(RF−C)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0124】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0125】
[比較例4]
〈研磨用シリカ系粒子(RF−D)の製造、研磨材(RF−D)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を60℃に保持し、これにテトラエトキシシランの水−メタノール溶液(水/メタノール(質量比2/8)混合溶媒2450gにテトラエトキシシランを532.5g溶解したもの)2982.5gおよび濃度0.25質量%のアンモニア水596.4g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3887.9gであった。その後、熟成品の3倍量に相当する純水11663.7gを用い限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、さらにメタノールを熟成品の10倍量に相当する38879g用いて限外濾過膜で洗浄し、ついで純水を用いて限外濾過膜にて水に置換し、1質量%に調整した。その後塩酸を用いてpHを3.0に調整してオートクレーブにて350℃で20時間熟成した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(RF−D)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(RF−D)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(RF−D)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0126】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0127】
[比較例5]
〈研磨用シリカ系粒子(RF−E)の製造、研磨材(RF−E)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を60℃に保持し、これにテトラエトキシシランの水−メタノール溶液(水/メタノール(質量比2/8)混合溶媒2450gにテトラエトキシシランを532.5g溶解したもの)2982.5gおよび濃度0.25質量%のアンモニア水596.4g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3887.9gであった。その後、熟成品の3倍量に相当する純水11663.7gを用い限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、1質量%に調整した。その後塩酸を用いてpHを3.0に調整してオートクレーブにて250℃で20時間熟成した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(RF−E)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(RF−E)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(RF−E)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0128】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0129】
[比較例6]
〈研磨用シリカ系粒子(RF-F)の製造、研磨材(RF−F)の製造、研磨試験〉
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を50℃に保持し、これにテトラメトキシシランとメタノールの混合溶液(メタノール2450gにテトラメトキシシランを376.5g溶解したもの)2826.5gおよび濃度28.8質量%のアンモニア水5.18g(触媒/アルコキシシランのモル比=0.034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その時の重量は、3140.68gであった。その後、熟成品の150倍量に相当するメタノール471102gを用い限外濾過膜で未反応のテトラメトキシシラン、メタノール、アンモニア及びアルコキシ基由来の炭素源をほぼ完全に除去し、ついで水に置換した。その後アンモニアを用いてpH11に調整してオートクレーブにて150℃で3時間熟成した。ついで両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の研磨用シリカ系粒子(RF-F)の分散液を得た。
研磨用シリカ系粒子(RF−F)を用いた以外は実施例1と同様に研磨材(RF−F)を製造し、実施例1と同様に研磨試験を行った。
【0130】
なお、設備は、テフロン(登録商標)ライニングした設備を使用した。テトラメトキシシラン、メタノール、アンモニアは、蒸留して表2記載のナトリウム等の不純分を0.01ppb未満に低減させたものを使用した。
【0131】
【表1】
【0132】
【表2】
【0133】
【表3】

図1
図2