【実施例1】
【0020】
実施例1に係るフランジ離間防止装置につき、
図1から
図10を参照して説明する。
図1及び
図2に示されるように、地中に埋設される流体管路は、複数の流体管1,1’,…(管路構成部材)を接続することにより構成されている。尚、流体管1,1’内の流体は、例えば、上水や工業用水、下水等の他、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。
【0021】
流体管1,1’は、ダクタイル鋳鉄管であって、断面視略円形状に形成されている。尚、本発明に係る流体管は、その他鋳鉄、鋼等の金属製、あるいはコンクリート製、塩化ビニール製、ポリエチレン製若しくはポリオレフィン製等であってもよい。さらに尚、流体管の内周面はエポキシ樹脂層、モルタル、めっき等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。
【0022】
ここで、流体管1,1’の接続態様を例に挙げて説明する。流体管1,1’は、端部に管軸に対して直交する方向(径方向)に張り出すフランジ1a,1a’(フランジ接続部)をそれぞれ有しており、フランジ1a,1a’を重ね合わせ、管軸方向に延びる接続ボルト2a及びナット2bによりフランジ1a,1a’を締め付けることで流体管1,1’同士が接続されている。また、一方の流体管1は、短管であるとともに、他方の流体管1’とは反対側の端部に補修弁等の構造部材3が接続されており、構造部材3の外面は流体管1の径方向に大きく張り出すようになっている。尚、構造部材3は、補修弁に限られず、その他バルブや継手などであってもよい。
【0023】
このような流体管1,1’の接続態様にあっては、周方向に配置された複数の接続ボルト2a及びナット2bのみで接続しているため、接続強度が不十分であり、流体管1,1’内を流れる流体の圧力や地震などの外力や老朽化による錆などの影響によりフランジ1a,1a’が離間してしまう虞があるため、本実施例においては、フランジ離間防止装置4,4’をフランジ1a,1a’に後付けで取付けることによりフランジ1a,1a’の接続強度を高めている。
【0024】
本実施例にあっては、フランジ離間防止装置4,4’は、フランジ1a,1a’の周方向に所定数等配されており(説明の便宜上、図では径方向に対向した2箇所に管軸方向に反転して取付けた状態で示す)、フランジ離間防止装置4’は、フランジ離間防止装置4に対して上下反転させた状態でフランジ1a,1a’に取付けられている。尚、フランジ1a,1a’に取付けられるフランジ離間防止装置4,4’の数量や取付け向きは、自由に変更しても構わないが、フランジ1a,1a’の周方向に略均等に狭持力を付与するために略等配に複数個取付けられることが好ましい。
【0025】
次に、フランジ離間防止装置4の構造について
図2〜
図6を用いて説明する。
図2及び
図4に示されるように、フランジ離間防止装置4は、狭持枠5と、狭持体6と、ボルト7と、から主に構成されている。尚、フランジ離間防止装置4,4’は、略同一構成であるため、フランジ離間防止装置4のみ説明し、フランジ離間防止装置4’の説明を省略する。
【0026】
最初に、狭持枠5について説明する。
図2に示されるように、狭持枠5は、一対のフランジ1a,1a’の外周面に対向する基部5aと、基部5aの両端に立設される狭持片部5b,5cと、からなる側面視略コ字形状の部材であり、フランジ1a,1a’の外径側から外嵌可能となっている。
【0027】
狭持枠5がフランジ1a,1a’に外嵌された状態にあっては、一方の狭持片部5b(本実施例では下側の狭持片部)は、下側のフランジ1a’の下方に配置され、他方の狭持片部5c(本実施例では上側の狭持片部)は、上側のフランジ1aの上方に配置され、基部5aは、フランジ1a,1a’の外径側に配置される。尚、以下、説明の便宜上、フランジ1a,1a’に取付けられていない状態であっても、狭持枠5における基部5a側をフランジ1a,1a’の外径側、狭持片部5b,5cの自由端部側をフランジ1a,1a’の内径側として説明する。
【0028】
図5に示されるように、狭持枠5の具体的な構成について説明すると、基部5aの下部は、狭持枠5の側面視で略垂直に立設する垂直部5dとなっており、基部5aの上部は、上方に向けて垂直部5dに対して外径側に傾斜して延びる傾斜部5eとなっている(特に
図5(f)参照)。垂直部5dの下端部には、下側のフランジ1a’の下面に沿って内径側に向けて略水平に延設される一方の狭持片部5bが設けられており(
図2参照)、狭持片部5bの延設方向先端部の略中央部には、前記先端部側に開口する切欠部5fが形成されている。これによれば、切欠部5fにナット2bを収容できるため、接続ボルト2a及びナット2bが配設された箇所に狭持片部5bを配置できるようになっている(
図1及び
図3参照)。
【0029】
また、狭持片部5bの先端部5gは、上方に若干突出しているとともに、突出した上面に複数の溝が網目状に形成されている(特に
図5(e)参照)。これによれば、先端部5gに複数の溝により凹凸が形成されることとなるため、フランジ1a’の下面に接触したときの摩擦力が大きくなり、グリップ力を高められている。
【0030】
他方の狭持片部5cは、基部5aの傾斜部5eの上端から内径側上方に傾斜して延設される上壁部5hと、上壁部5hの先端から内径側下方に傾斜して傾斜部5eに略平行に延設される前壁部5jと、傾斜部5e、上壁部5h、前壁部5jで構成される断面視コ字形状の部位の両側面を塞ぐように設けられる一対の側壁部5k,5kと、から構成されている(特に
図5(f)参照)。すなわち、傾斜部5e、上壁部5h、前壁部5j、及び側壁部5k,5kにより内径側の斜め下方に向けて開口する収容凹部51(収容部)が形成されており、収容凹部51は、前述した狭持体6を収容可能となっている。
【0031】
収容凹部51の内径側は、内径方向に向けて先細りするように構成されるテーパ部5q,5qとなっている(特に
図5(c)及び
図10(b)参照)。尚、このテーパ部5q,5qは、前壁部5jと側壁部5k,5kとのエッジ部分に形成されているため、側方から見て前壁部5jと同一角度に傾斜している。
【0032】
上壁部5hには、該上壁部5hの延設方向に対して略直角に貫通するネジ孔5mが形成されており、ネジ孔5mには、ボルト7を螺挿可能となっている。また、上壁部5hの上面側におけるネジ孔5mの周辺には、ボルト7の頭部を一部収容可能な凹部5nが形成されている。
【0033】
前壁部5jは、ネジ孔5mの中心軸と略平行に内径側下方に傾斜して延設されている。また、前壁部5jの先端縁の略中央部には、下方に開口する切欠部5pが形成されている。この切欠部5pの横幅は、寸法L3となっている(
図5(b)参照)。
【0034】
次に、狭持体6について
図6に基づいて説明する。
図6(a)(b)に示されるように、狭持体6は、フランジ1aの上面を押圧する押圧面6aと、ボルト7に押圧される被押圧面6bと、テーパ部5q,5qに接触可能なテーパ部6c,6cと、後述するように接続ボルト2aの頭部に係止可能な係止片6d,6dと、から主に構成されている。
【0035】
押圧面6aが設けられる狭持体6の下部は、その内径側が押圧面6aよりも上方に位置するように段部が形成されており、該段部の内径側端部から下方に突出するように係止片6d,6dが側方に離間して配設されている。狭持体6における前述した段部が設けられる部位には、接続ボルト2aの頭部を収容可能な切欠収容部6eが形成されており、切欠収容部6eは、その内径側及び下方側が開放されている。
【0036】
切欠収容部6eの内径側の開口部分は、係止片6d,6dから外径側に離間した位置に形成されており、その開口幅は、通常の規格の接続ボルト2aの頭部の幅よりも僅かに大きい寸法L1となっている。また、切欠収容部6eの上下幅は、接続ボルト2aの頭部の上下の厚みよりも大きく形成されているため、切欠収容部6eに接続ボルト2aの頭部を収容した状態において、接続ボルト2aの頭部と狭持体6とが上下に接触しないようになっている。
【0037】
また、狭持体6は、テーパ部6c,6cにより上面側から見て内径側が先細りするようになっている。すなわち、狭持体6の内径側端部6hの横幅は、狭持体6の外径側の横幅の寸法L5よりも小さな寸法L4となるように先細りしている(L4<L5)。また、狭持体6における内径側端部6hの横幅の寸法L4は、前述した切欠部5pの横幅の寸法L3よりも小さい(L3>L4)。
【0038】
尚、狭持体6の内径側端部6hは、上端部が下端部よりも外径側に位置するように傾斜している。さらに、テーパ部6c,6cは、狭持体6における側面と内径側端部6hとのエッジ部分に形成されていることから、側面側から見て上端部が下端部よりも外径側に位置するように傾斜している。
【0039】
また、狭持体6の両側面には、外径側上方から内径側下方に向けて傾斜する凹形状のスリット6f,6fが形成されており、このスリット6f,6fには、弾性を有する保持部材6g,6gを装着可能となっている。
図6(b)に示されるように、、保持部材6g,6gは、狭持体6を狭持枠5の収容凹部51に収容したときに、狭持体6と収容凹部51を構成する側壁部5k,5kとの間で圧縮されるようになっている。これによれば、狭持体6を狭持枠5の収容凹部51に収容したときに、狭持体6と側壁部5k,5kとの間で圧縮された保持部材6g,6gの弾性復元力により、狭持体6が収容凹部51から落下することを防止できる。すなわち、保持部材6g,6gにより狭持枠5と狭持体6をユニット化できるため、フランジ離間防止装置4のフランジ1a,1a’への取付け作業を簡便に行うことができる。
【0040】
また、
図6(c)(d)に示されるように、切欠収容部6e’の内径側の開口部分の開口幅を、寸法L1よりも大きい寸法L2とした狭持体6’を用意することで、規格の異なる接続ボルト(接続ボルト2aの頭部よりも大きな頭部を有する接続ボルト)に対応できる。尚、切欠収容部の開口幅を寸法L1よりも小さい寸法とした狭持体を用意して接続ボルト2aの頭部よりも小さな頭部を有する接続ボルトに対応できるようにしてもよい。さらに尚、切欠収容部6eの開口幅が異なる狭持体6を3種類以上用意して規格が異なる種々の接続ボルトに対応できるようにしてもよい。
【0041】
次に、フランジ離間防止装置4の動作について
図7を用いて説明する。
図7(a)に示されるように、ボルト7を締め込む前の状態にあっては、狭持枠5の収容凹部51内に狭持体6がほぼ収まるように収容されるとともに、収容凹部51を構成する上壁部5h、前壁部5jに接触することにより傾動しにくくなっている。尚、収容凹部51と狭持体6との径方向には、若干隙間が形成されているため、該隙間の範囲内で径方向に移動できるようになっている。
【0042】
また、ボルト7は、収容凹部51内に狭持体6が収容された状態において、狭持体6の被押圧面6bに対して略垂直となっているとともに、狭持体6の重心の近傍をボルト7の軸線が通るようになっている。また、ボルト7の押圧面7a(先端面)と被押圧面6bとは略平坦面同士で面当接するようになっているが、これに限らず、例えばボルト7の押圧面(先端面)を略球面に形成することで、狭持体6の略平坦面の被押圧面6bと点接触させてもよい。
【0043】
図7(b)に示されるように、
図7(a)の状態からボルト7を締め込むと、狭持体6がボルト7に押圧され、収容凹部51を形成する内周壁に案内されながら内径側に向けて斜め下方にスライドする。詳しくは、ボルト7の軸線方向に狭持体6の重心が存在することに加え、ボルト7は、狭持体6の被押圧面6bに対して略垂直となっているため、狭持体6がその姿勢を保ったまま、ボルト7の押圧方向と略平行にスライド移動するようになる。すなわち、ボルト7による押圧力を押圧方向とは異なる方向に分散させることなく、狭持体6に対して効率的に伝えることができる。
【0044】
また、ボルト7の押圧面7aと被押圧面6bとは面当接するようになっているため、ボルト7により狭持体6を押圧するときに、ボルト7と狭持体6との相対的な傾きが発生しにくく、狭持体6に対してボルト7による押圧力を分散して均等且つ効率的に伝えることができる。また、狭持体6が傾倒しても収容凹部51によりガイドされ、狭持体6の姿勢が維持される。
【0045】
狭持体6が所定距離押圧されると、狭持体6の内径側端部6hが狭持枠5における切欠部5pと対応する位置に案内されながら配置される。前述のように、狭持体6における内径側端部6hの横幅の寸法L4は、狭持枠5における切欠部5pの横幅の寸法L3よりも小さいため、狭持体6の内径側端部6hが切欠部5p内に移動(傾動)可能となる。これによれば、狭持体6によりフランジ1a,1a’を押圧するまでは、狭持体6の傾きを調整することができる。
【0046】
次に、フランジ離間防止装置4を実際にフランジ1a,1a’に仮設置した状態について
図8及び
図9に基づいて説明する。尚、ここでは、既存の流体管1,1’にフランジ離間防止装置4を仮設置する場合を例に挙げ説明する。
【0047】
図8は、狭持枠5の収容凹部51内に狭持体6を収容した状態でフランジ1a,1a’の外径側から外嵌させ、狭持体6の押圧面6aと狭持枠5の狭持片部5bとがフランジ1a,1a’の上面及び下面に当接するまでボルト7を締め込んだ仮設置状態を示している。尚、
図8の状態にあっては、狭持体6の押圧面6aと狭持枠5の狭持片部5bとがフランジ1aの上面及びフランジ1a’の下面に当接しているが、管軸方向に強く狭持していない状態となっている。
【0048】
フランジ離間防止装置4をフランジ1a,1a’に仮設置する場合には、図示しないが、フランジ1a,1a’を接続する既存の接続ボルト及びナットを、本実施例の接続ボルト2a及びナット2bに交換しておく。本実施例の接続ボルト2a及びナット2bは、防錆機能を有し、且つ剛性の高いステンレス等の金属により構成されている。尚、後述するように、接続ボルト2aの頭部が狭持体6の切欠収容部6eに収容されるように、接続ボルト2aの本実施例では六角形状の頭部の回転度合いを調整しておく。
【0049】
フランジ離間防止装置4をフランジ1a,1a’に仮設置した状態にあっては、前述したように、狭持枠5の切欠部5fにナット2bが収容されているとともに、狭持体6の切欠収容部6eに接続ボルト2aの頭部が収容されており、接続ボルト2aの頭部よりも内径側に離間して係止片6d,6dが配置される。
【0050】
言い換えれば、狭持枠5と狭持体6との一部が接続ボルト2a及びナット2bと管軸方向に重畳するようになっているため、接続ボルト2a及びナット2bにできるだけ近付けてフランジ離間防止装置4(狭持枠5及び狭持体6)を配置することができ、周方向に隣接する接続ボルト2a及びナット2bの離間幅が小さい場合(例えば、本実施例のようにフランジ1a,1a’に対して接続ボルト2a及びナット2bが8等配されている場合等)であっても、隣接する接続ボルト2a及びナット2bに干渉させることなくフランジ離間防止装置4を配置できる。すなわち、切欠部5f及び切欠収容部6eは、接続ボルト2a及びナット2bと管軸方向に重畳する重畳部として機能している。
【0051】
また、狭持体6の切欠収容部6eの内面と接続ボルト2aの頭部の外面とが接触しているため、フランジ離間防止装置4が回動することが規制されている。
【0052】
フランジ離間防止装置4をフランジ1a,1a’に仮設置した状態にあっては、狭持体6の押圧面6aと狭持枠5の狭持片部5bとがフランジ1a,1a’を管軸方向に強く狭持していない状態となっているため、外力がかかることにより、フランジ1a,1a’に対して外径側に相対移動することがある。また、フランジ離間防止装置4は、その重心がフランジ1a,1a’よりも外径側に位置しており、且つボルト7が狭持体6を押圧するときに生じる反力が外径側に作用するため、フランジ離間防止装置4をフランジ1a,1a’に仮設置するまでの途中段階では、フランジ離間防止装置4はフランジ1a,1a’に対して外径側に移動し易い。
【0053】
図9は、
図8の状態から外力により外径側にフランジ離間防止装置4が移動した状態を示している。フランジ離間防止装置4が外径側に移動した場合には、接続ボルト2aの頭部に係止片6d,6dが係止されるとともに、狭持体6のテーパ部6cに狭持枠5のテーパ部5qが係止される(図示略)ことにより、フランジ離間防止装置4がフランジ1a,1a’の外径側に移動して脱落することを防止できる。
【0054】
また、狭持体6の切欠収容部6eの内面と接続ボルト2aの頭部の外面とが接触しているとともに、接続ボルト2aの回動中心を挟んだ両側に係止片6d,6dが係止されるため、ボルト7の螺挿に伴うフランジ離間防止装置4の回動を好適に防止できる。また、接続ボルト2aの頭部と係止片6d,6dとの接触により接続ボルト2aが回転することを抑えることができる。
【0055】
次に、フランジ離間防止装置4を実際にフランジ1a,1a’に設置した状態について、
図10に基づいて説明する。
図10は、
図8の状態からボルト7を締め込んで狭持体6の押圧面6aと狭持枠5の狭持片部5bとによりフランジ1a,1a’を管軸方向に強く狭持した設置状態を示している。
【0056】
図10(a)に示されるように、
図8の状態からボルト7を締め込むと、狭持体6がフランジ1a,1a’の内径側斜め下方に向けて押圧されるとともに、狭持体6がフランジ1aを押圧する際に発生する反力がボルト7を介して狭持枠5に伝わり、狭持枠5がフランジ1a,1a’の外径側斜め上方に移動する。これにより、狭持体6の押圧面6aと狭持枠5の狭持片部5bとによりフランジ1a,1a’が管軸方向に強く狭持される。
【0057】
また、狭持片部5bの先端部5gがフランジ1a’の下面に直接的に接触するようになっており、該先端部5gには、複数の凹凸が形成されていることから、フランジ1a’の下面に接触したときの摩擦力が大きく作用し、狭持片部5bとフランジ1a’の下面とが摺動することを抑制できる。
【0058】
図10(b)に示されるように、
図8の状態からボルト7を締め込むと、狭持体6がフランジ1a,1a’の内径側斜め下方に移動し、狭持枠5がフランジ1a,1a’の外径側斜め上方に移動することから、狭持枠5のテーパ部5q,5q(移動規制部)に狭持体6のテーパ部6c,6cが接触し、狭持体6の内径側斜め下方への移動が規制される。尚、本実施例にあっては、狭持枠5のテーパ部5q,5qと狭持体6のテーパ部6c,6cとが接触するため、狭持枠5の前壁部5jと狭持体6の内径側端部6hとは接触しない。
【0059】
さらに、テーパ部5q,5qとテーパ部6c,6cとは、外径側上方から内径側下方に傾斜していることから、狭持体6の内径側斜め下方への移動が管軸方向下方側(フランジ1a側)への移動に変換される。このように、ボルト7とテーパ部5q,5qとにより狭持体6をフランジ1aに対して強力に押圧することができる。
【0060】
また、前述したように、切欠収容部6eに接続ボルト2aの頭部を収容した状態において、接続ボルト2aの頭部と狭持体6とが上下に接触しないようになっているため、狭持体6の押圧面6aによりフランジ1aに安定した状態で押圧できる。なお上述したように、ボルト7の締め込みにより、フランジ1a,1a’が強く挟圧された結果、フランジ1a,1a’に介在した図示しないパッキンが潰れ、フランジ1a,1a’同士の離間距離が狭まった場合、接続ボルト2a及びナット2bを増し締めすると良い。増し締めの際には、接続ボルト2aの頭部は狭持体6の切欠収容部6eに収容され回動が規制されているため、挟持枠5の切欠部5fに遊嵌状態で収容されたナット2bを図示しない工具等で回動操作することができる。
【0061】
以上説明したように、ボルト7は、狭持体6と狭持片部5bとで一対のフランジ1a,1a’を管軸方向に狭持した状態において、流体管1,1’の管軸方向に対して外径側に傾斜して狭持枠5に取付けられており、流体管1,1’の管軸方向に対し斜めに進退するようになっている。
【0062】
これによれば、本実施例のように、流体管1,1’の管軸方向に流体管1の径方向に大きく張り出す補修弁等の構造部材3が取付けられている場合であっても、ボルト7を流体管1,1’の管軸方向に対して斜めに進退させることで、構造部材3との干渉を避けてボルト7の締め付け作業を行うことができる。
【0063】
さらに、ボルト7が流体管1,1’の径方向に大きく張り出すことを抑制できるため、ボルト7の締め付け作業にかかる作業スペースを小さくすることできる。また、該作業後の埋め戻し時にかかる負荷(土圧等)への耐久性を高めることができるとともに、フランジ1a,1a’の周辺で所定の工事を行う際の再掘削時等に重機などが干渉し難いため、フランジ離間防止装置4の破損を回避して効率的にフランジ1a,1a’を挟持できる。
【0064】
また、本実施例では、狭持体6と狭持片部5bとで一対のフランジ1a,1a’を管軸方向に狭持した状態において、ボルト7は、流体管1,1’の管軸方向に対して略30度外径側に傾斜している。これによれば、ボルト7の押圧方向を流体管1,1’の管軸方向(フランジ1a,1a’の狭持方向)に近付けることができるため、ボルト7の押圧力をフランジ1a,1a’の狭持方向とは異なる方向に分散させることなく、フランジ1a,1a’の狭持方向に効率よく狭持体6に伝えることができる。
【0065】
尚、本実施例では、ボルト7が流体管1,1’の管軸方向に対して略30度外径側に傾斜する形態を例示したが、これに限られず、流体管1,1’の管軸方向に対するボルト7の角度は自由に変更できるが、ボルト7の押圧力をフランジ1a,1a’の狭持方向に効率よく伝えるという観点から、ボルト7は、流体管1,1’の管軸方向に対して45度以下の範囲で傾斜していることが好ましい。また、本実施例では、ボルト7の軸線が流体管1,1’の管軸と交差する形態を例示したが、ボルト7の軸線が流体管1,1’の管軸と交差しないようになっていてもよい。
【0066】
また、フランジ離間防止装置4,4’のように上下反転させた状態でフランジ1a,1a’に取付けることができる。具体的には、フランジ離間防止装置4の場合、ボルト7が流体管1,1’の管軸方向に対して略30度外径側に傾斜することとなり、フランジ離間防止装置4’の場合、ボルト7が流体管1,1’の管軸方向に対して略150度外径側に傾斜する。よって、フランジ離間防止装置を取付ける向きによって、流体管1,1’の管軸方向に対するボルト7の傾斜角度が変更されるため、種々の構造部材3に合わせてフランジ離間防止装置4,4’をフランジ1a,1a’に取付けることが可能となる。
【0067】
また、ボルト7を締め付けてフランジ1a,1a’を狭持した際には、フランジ離間防止装置4をボルト7の軸回りに回動するような力が発生するが、前述のように、狭持体6の切欠収容部6eと接続ボルト2aの頭部とが接触しているため、フランジ離間防止装置4が回動することが規制される。
【0068】
また、
図3に示されるように、フランジ離間防止装置4をフランジ1a,1a’に取付けた状態において、狭持枠5の基部5aの内径側の側縁部5r,5rがフランジ1a,1a’の外径側近傍に配置されることから、ボルト7の締め付け操作によりフランジ離間防止装置4が若干回動したとしても、側縁部5r,5rがフランジ1a,1a’に当接するため、フランジ離間防止装置4の回動が確実に規制される。
【0069】
尚、フランジ離間防止装置4を構成する狭持枠5、狭持体6、及びボルト7は、樹脂や絶縁塗装、めっき、ゴムライニングなどの保護層により被覆されていてもよい。これによれば、狭持枠5、狭持体6、及びボルト7に錆などが発生することを抑制できる。
【0070】
次に、
図11〜
図13を用いて変形例1〜変形例4を説明する。
図11(a)に示されるように、変形例1のフランジ離間防止装置41は、狭持枠511の前壁部51jに切欠部5pが形成されていない。これによれば、狭持体6は、ボルト7により所定距離押圧されても前壁部51jに干渉して傾動することが規制される。よって、変形例1にあっては、狭持体6が姿勢を保った状態(傾動が規制された状態)でフランジ1a,1a’に向けて移動するようになるため、狭持体6を基準としてフランジ1a,1a’に対するフランジ離間防止装置41の位置合わせを行いやすい。
【0071】
また、フランジ離間防止装置41は、前記実施例のテーパ部5q,5qを設けずに、前壁部51jが狭持体6の移動規制部として機能している。これによれば、ボルト7と略平行に傾斜する前壁部51jと狭持体6の内径側端部6hとが面当接することとなるため、狭持枠511と狭持体6との適切な相対的な角度を保つようにガイドされ、一対のフランジ1a,1a’を好適に狭持することができる。
【0072】
図11(b)に示されるように、変形例2のフランジ離間防止装置42は、前記実施例のテーパ部5q,5qが設けられておらず、前壁部52jの外径側の先端縁52aが移動規制部として機能して狭持体6の内径側端部6hに接触するようになっている。このように、移動規制部は、狭持体6と面当接するものに限られず、狭持体6に対して線接触するものでもよい。また、特に図示しないが、移動規制部は、狭持体6に対して点接触するようなものであってもよい。すなわち、移動規制部は、フランジ1a,1a’を狭持した状態において、狭持体6の内径方向への移動を規制できるものであればよい。
【0073】
尚、狭持体6の内径側端部6hは、ボルト7と略平行に傾斜するものに限られず、移動規制部に接触可能であればよく、例えば、ボルト7と交差するように形成されていてもよい。
【0074】
また、
図12に示されるように、変形例3のフランジ離間防止装置43は、狭持体63の切欠収容部63eが下面から見て径方向に長い略楕円形状を成すように全周に亘り壁部63a(係止片)に囲われて構成されている。これによれば、フランジ離間防止装置43が径方向に移動しても、切欠収容部63eに収容される接続ボルト2aに壁部63aが接触するため、フランジ離間防止装置43の径方向の移動を規制できる。
【0075】
尚、係止片は、狭持体に設けられる形態を例示したが、これに限られず、例えば、狭持枠5の前壁部5jなどに接続ボルト2aに係止可能な係止片を設け、フランジ離間防止装置の径方向の移動を規制してもよい。
【0076】
図13に示すように、変形例4のフランジ離間防止装置44は、狭持体64に接続ボルト2aの頭部を収容可能な切欠収容部が設けられていない。これによれば、狭持体64の下面全体を押圧面64aとすることができるため、フランジ1a,1a’にフランジ離間防止装置43を取付ける際に、広い押圧面64aを使ってフランジ1aを押圧できるため、フランジ1a,1a’を安定して押圧することができる。
【0077】
例えば、
図13(b)に示されるように、フランジ1a,1a’の周方向に接続ボルト2a及びナット2bが4等配され、隣接する接続ボルト2a及びナット2bの間の領域が比較的大きい場合などに有用である。
【0078】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0079】
前記実施例及び変形例1〜4では、流体管1,1’を管路構成部材として説明したが、これに限られず、管路を構成する補修弁や消火栓等のバルブ、筐体なども管路構成部材に含まれる。