(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連結部は、本体部と、付勢力により前記本体部の径方向外側に突出する係合爪を有する係合部とを備え、前記係合部は、前記孔に挿入される際に前記係合爪が付勢力に抗して前記本体部の径方向内側に変位し、前記孔を通過した後に前記係合爪が付勢力により元の位置に復帰することにより前記周縁部に係合される、請求項1又は2に記載の作業用足場。
少なくとも一部分が前記足場本体内に収容されると共に水平に配置されかつ前記建物ユニットとは反対の側から前記連結部の前記本体部の内部に挿入可能な棒状部材を備え、前記棒状部材が前記建物ユニット側に前進して前記係合部を押すことにより前記係合爪を付勢力に抗して前記本体部の径方向内側に変位させて前記係合部と前記周縁部との係合状態を解除する係合解除部を更に備える、請求項3に記載の作業用足場。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記先行技術による場合、作業対象物である建物側にも足場を連結するための部材を設ける必要がある。
【0005】
ところで、いわゆるユニット建物を構成する建物ユニットの組立においては、工場内において、建物ユニットの躯体を組み立てた後に、各建物ユニットに対して外壁、内壁、設備等の取り付け作業が行われる。ここで、上記先行技術による走行移動足場を建物ユニットに対して適用しようとした場合、作業対象の建物ユニットごとに足場を連結するための部材を設けることとなり、複雑な構成となる。
【0006】
また、建物ユニットの組立作業においては、工場内の別の場所に建物ユニットを移動させる場合があるが、先行技術のようにガイドレールとローラーとの係合により足場を建物ユニットに連結した場合には、建物ユニットが移動可能な場合であっても、足場を建物ユニットに連結したまま移動させることは構造上困難である。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、作業対象物である建物ユニット側に、作業用足場を連結するための追加の部材を要することなく、簡単な構成により建物ユニットに連結することができると共に、建物ユニットに連結された状態で移動可能な作業用足場を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様に係る作業用足場は、下面にキャスターを備え、作業者が乗ることが可能な足場本体と、前記足場本体の側面に設けられ、建物ユニットの躯体フレームの側面に形成された孔に挿入されて前記孔の周縁部に係合されることにより、前記足場本体を前記建物ユニットに連結させる連結部と、を備える。
【0009】
第1の態様に係る作業用足場によれば、連結部が、建物ユニットの躯体フレームの側面に形成された孔に挿入され、孔の周縁部に係合されることにより足場本体が建物ユニットに連結される。このため、配線等の他の用途のために建物ユニットに形成された孔を作業用足場の連結に利用することが可能であり、建物ユニット側に追加の部材を要することなく、簡単な構成により作業用足場を建物ユニットに連結することができる。
【0010】
また、足場本体の下面にキャスターが取り付けられているため、作業用足場を移動させることが可能である。ここで、建物ユニットの躯体フレームの側面に形成された孔に連結部が係合されるため、作業用足場は建物ユニットの躯体フレームに支持されることとなり、ガイドレールとローラーとの係合により足場を建物ユニットに連結した場合等と比べて、作業用足場が建物ユニットに強固に連結される。このため、作業用足場が連結された状態で建物ユニットを移動させることが可能である。
【0011】
第2の態様に係る作業用足場は、第1の態様に係る作業用足場において、前記孔は、前記建物ユニットの床大梁の側面に形成されている。
【0012】
第2の態様に係る作業用足場によれば、連結部が挿入され、係合される建物ユニットの孔は、床大梁の側面に形成される。建物ユニットを構成する主要な躯体フレームであり強度の高い床大梁に形成された孔に連結部が係合されることにより、作業用足場が建物ユニットに強固に連結される。
【0013】
第3の態様に係る作業用足場は、第1又は第2の態様に係る作業用足場において、前記連結部は、本体部と、付勢力により前記本体部の径方向外側に突出する係合爪を有する係合部とを備え、前記係合部は、前記孔に挿入される際に前記係合爪が付勢力に抗して前記本体部の径方向内側に変位し、前記孔を通過した後に前記係合爪が付勢力により元の位置に復帰することにより前記周縁部に係合される。
【0014】
第3の態様に係る作業用足場によれば、連結部が付勢力により本体部の径方向外側に突出する係合爪を有する係合部を備える。建物ユニットの躯体フレームの側面に形成された孔に挿入される際に係合爪が付勢力に抗して本体部の径方向内側に変位し、孔を通過した後に係合爪が付勢力により元の位置に復帰することにより、係合部が孔の周縁部に係合される。このため、連結部を床大梁の孔に挿入する操作のみで作業用足場を建物ユニットに連結することが可能である。
【0015】
第4の態様に係る作業用足場は、第3の態様に係る作業用足場において、少なくとも一部分が前記足場本体内に収容され水平に配置されると共に前記建物ユニットとは反対の側から前記連結部の前記本体部の内部に挿入可能な棒状部材を備え、前記棒状部材が前記建物ユニット側に前進して前記係合部を押すことにより前記係合爪を付勢力に抗して前記本体部の径方向内側に変位させて前記係合部と前記周縁部との係合状態を解除する係合解除部を更に備える。
【0016】
第4の態様に係る作業用足場によれば、係合解除部を構成する棒状部材が、建物ユニットとは反対の側から連結部の内部に挿入可能に構成される。この棒状部材が建物ユニット側に前進して係合部が押されることにより、係合爪が付勢力に抗して本体部の径方向内側に変位されて、係合部と孔の周縁部との係合状態が解除される。このため、係合解除部を押す操作のみで係合部と孔の周縁部との係合状態を解除して作業用足場を建物ユニットから取り外すことができる。また、作業用足場を建物ユニットに対して容易に着脱することができるため、1つの建物ユニットでの作業が終わった後に、作業用足場を取り外し、他の建物ユニットに付け替える作業を容易に行うことが可能である。
【0017】
また、建物ユニットとは反対の側から係合解除部を操作して前進させ、建物ユニットから作業用足場を取り外すことができる。このため、建物ユニットと作業用足場との連結部分に係合解除部を設ける場合と比べて、建物ユニットと作業用足場とを近接させた状態で連結することができるため、作業性が増すと共に、連結した状態で移動する際に連結部にかかる回転モーメントを抑制することができ、連結部の変形、破断等を抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明に係る作業用足場は、作業対象物である建物ユニット側に、作業用足場を連結するための追加の部材を要することなく、簡単な構成により建物ユニットに連結することができると共に、建物ユニットに連結された状態で移動可能であるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1〜
図7を用いて、本発明に係る作業用足場10の実施形態について説明する。
【0021】
<全体構成>
図1には、本実施形態に係る作業用足場10及び作業用足場10が連結される建物ユニット12の斜視図が示されている。建物ユニット12は、キャスター14により移動可能に構成された架台16の上に載置されている。
【0022】
建物ユニット12は、直方体の箱型ユニットであり、四隅に立設された4本の柱18と、これらの柱18の上端同士を連結しユニット天井を形成する天井パネル20と、柱18の下端同士を連結しユニット床を形成する床パネル22と、によってその躯体が構成されている。
【0023】
天井パネル20は、柱18の上端同士を連結する溝形鋼で構成された長短二種類の天井大梁24、26と、長辺側の天井大梁24間に所定間隔で配置された複数の天井小梁28と、天井大梁24、26及び天井小梁28の下面側に図示しない野縁を介して取り付けられた天井面材30と、を備えている。
【0024】
床パネル22は、天井パネル20と同様に構成されており、柱18の下端同士を連結する溝形鋼で構成された長短二種類の床大梁32、34と、長辺側の床大梁32間に所定間隔で配置された、図示しない床小梁と、床大梁32、34及び床小梁の上面に敷設された床面材36と、を備えている。また、「躯体フレーム」としての長辺側の床大梁32の側面38には、配線、配管等のための孔38Aが形成されている。本実施形態では、直径65mmの孔38Aが2つ設けられているが、直径は他の値であってもよく、孔38Aの数は3つ以上であってもよい。
【0025】
柱18は断面形状が方形の鋼管柱によって構成されており、上端及び下端には方形のプレートが被嵌されていると共に、他の建物ユニットと連結するための図示しない連結プレートを取り付け可能に構成されている。
【0026】
上記躯体の組立作業の後に取り付けられる建物ユニット12の構成部材として、本実施形態に係る建物ユニット12には、内壁パネル40及び間仕切り42が取り付けられている。なお、建物ユニット12には、階段やキッチン設備等、建物ユニット12の用途に応じた構成部材が取り付けられる。
【0027】
建物ユニット12は、スペーサー44を介して架台16の上に載置されていると共に、架台16に回動可能に取り付けられた牽引部46を図示しない移動用車両に連結して牽引することにより、移動することができるように構成されている。
【0028】
作業用足場10は、作業者が乗ることが可能な足場本体48と、足場本体48の下面に取り付けられたキャスター50と、足場本体48の建物ユニット12側の側面材52に設けられ、建物ユニット12の長辺側の床大梁32の側面38に形成された孔38Aに挿入されて孔38Aの周縁部38Bに係合されることにより足場本体48を建物ユニット12に連結させる連結部54と、連結部54の建物ユニット12への係合状態を解除するための係合解除部56と、を含んで構成されている。足場本体48は更に、作業者が上面材58に上り下りするために建物ユニット12とは反対の側に設けられた踏み段部60を備えている。
【0029】
<本実施形態の要部構成>
次に、本実施形態に係る作業用足場10の要部の構成について詳細に説明する。
【0030】
図2には、本実施形態に係る作業用足場10が建物ユニット12に連結された状態の要部の拡大断面図が示されている。
図2は、
図1の2−2線に沿って切断した拡大断面図である。
【0031】
作業用足場10が建物ユニット12に連結された連結状態において、足場本体48の上面材58の上面の高さH1と、スペーサー44を介して架台16の上に載置された建物ユニット12の床面材36の上面の高さH2との差は、作業者が足場本体48の上面材58から建物ユニット12側に移動しやすいように設定されている。本実施形態では、高さH1と高さH2とが略同一に設定されているが、作業者の移動が可能な程度の段差があってもよい。
【0032】
足場本体48は、金属製の骨組61で躯体が構成されている。具体的には、
図3(A)に示されるように、足場本体48の上面材58を支持する上側のフレームが平面視で矩形状に形成されており、長辺側に配置された2本の鋼材62が、端部及び中央部において鋼材64を介して互いに連結されている。骨組61の下側のフレームも上側のフレームと同様に平面視で矩形状に構成されているが、下側のフレームには更に、長手方向の鋼材66が1本追加され、隣合う鋼材62と端部及び中央部において鋼材68を介して連結されている。これらの追加の鋼材66、68は、踏み段部60を支持するためのものである。上側のフレームと、下側のフレームとは、鋼材70を介して高さ方向に連結されている。骨組61の下側のフレームを構成する鋼材64及び踏み段部60(
図2、
図3(B)参照)を構成する鋼材68の底面には、キャスター50が取り付けられている。
【0033】
図3(B)に示されるように、骨組61の上部及び側部が木製の上面材58、側面材52、72、76、78、及び踏み段部60の上面材74、側面材75により覆われている(
図3(B)参照)。側面材52には、連結部54が貫通されて支持される支持孔52Aが形成されている。同様に、側面材72には、係合解除部56が貫通されて支持される支持孔72Aが形成されている。
図3(B)に示される例では、足場本体48の長手方向の両端が側面材76、78で覆われているが、必ずしも覆われていなくてもよい。また、足場本体48の下側は木板で覆われていないが、下側のフレーム上に木板を取り付けて底面としてもよい。なお、
図2、
図3(A)以外の図面においては、骨組61の図示は省略されている。
【0034】
図2に戻ると、連結部54は、建物ユニット12に連結された状態で建物ユニット12に対向する側面材52の支持孔52Aを貫通する円筒状の本体部80と、連結前の初期状態及び連結完了後の係合状態において本体部80の径方向外側に突出する係合爪82を備えた「係合部」としてのロックレバー84(
図4、
図5参照)と、を含んで構成されている。本体部80は、図示しない固定部材によって側面材52に固定されている。一例として、連結部54の外周に沿って環状の固定部材が設けられ、この固定部材が側面材52にビス等で固定されていてもよい。
【0035】
図2に示されている連結状態においては、作業用足場10の係合爪82が建物ユニット12の長辺側の床大梁32の側面38に形成された孔38Aの周縁部38Bに係合されている。本体部80には、その外周に沿って径方向外側に突出すると共に、係合状態において床大梁32の側面38の室外側に位置するように構成された環状のフランジ86が設けられている(
図5(B)参照)。これにより、連結部54が係合状態における位置よりも更に作業用足場10側に前進することが防止されている。
【0036】
係合解除部56は、足場本体48をその短手方向に水平に貫通する棒状部材88として構成されている。具体的には、棒状部材88の建物ユニット12側の一端には、円錐部分88Aが形成されており(
図4(C)参照)、連結部54の本体部80の内部に建物ユニット12とは反対の側から挿入されている。棒状部材88の他端は、足場本体48の建物ユニット12とは反対側の側面材72の支持孔72Aから外側に突出している。棒状部材88は、側面材72に固定されておらず、摺動可能に支持孔72Aに挿通されている。棒状部材88の側面材72の内側の位置にはフランジ90が設けられている。これにより、棒状部材88の側面材72からの脱落が防止されている。
【0037】
図4(A)〜
図4(C)には、作業用足場10の連結部54の長手方向に沿った縦断面図が示されている。連結部54の本体部80は、先端が円錐形状とされた円筒状に形成されており、その内部に一対のロックレバー84が配置されている。
【0038】
図5(A)に示されるように、ロックレバー84は、長手方向に切断した断面形状がL字状となるように形成されており、L字の長辺を構成するレバー本体92と、レバー本体92の長手方向の一端から垂直に延出され、L字の短辺を構成する延出部94と、延出部94の先端に設けられた係合爪82と、を備えている。
【0039】
レバー本体92には、長手方向の他端に、延出部94と略平行にバネ96が設けられていると共に、バネ96よりも中央寄りの側面に、L字状の断面を貫通する向きに一対のピン98が形成されている。このピン98は、連結部54の本体部80の内壁から径方向内側に突出されてロックレバー84を挟むように配置されている一対の支持板100に形成された貫通孔100A(
図5(B)参照)に挿通されて、ロックレバー84の回転中心となる。
【0040】
係合爪82は、延出部94のバネ96に対向する面が延長されて形成された係合面82Aと、係合面82Aの端部から、延出部94の端部まで延在する傾斜面82Bと、を含んで構成されている。
【0041】
図4(A)〜
図4(C)に戻って、作業用足場10が建物ユニット12に連結される前の初期状態、連結される際の状態、及び係合状態が解除される係合解除状態の各状態における連結部の構成を説明する。
【0042】
図4(A)には、建物ユニット12に連結される前の初期状態における連結部54の長手方向に沿った縦断面図が示されている。初期状態においては、ロックレバー84のレバー本体92は本体部80の長手方向に沿って延在し、延出部94は本体部80の径方向に沿って延在している。係合爪82は、本体部80に設けられた孔102(
図5(B)参照)から、バネ96の付勢力により本体部80の径方向外側に突出している。
【0043】
図4(B)には、作業用足場10が矢印Eの方向に前進することにより、建物ユニット12の床大梁32の孔38Aに挿入される際の連結部54の長手方向に沿った縦断面図が示されている。係合爪82の傾斜面82B(
図5(A)参照)が床大梁32の孔38Aの周縁部38Bに当接して押圧されることにより、ロックレバー84の係合爪82がバネ96の付勢力に抗してピン98回りに本体部80の径方向内側(矢印F方向)に回転変位されている。連結部54が矢印Eの方向に更に前進して床大梁32の孔38Aを通過した後には、ロックレバー84はバネ96の付勢力により矢印Fと逆方向に回転し、初期状態と同じ位置(
図4(A)参照)に復帰する。これにより、係合爪82が床大梁32の38Aの周縁部38Bに係合された係合状態となる。係合状態における床大梁32の周縁部38Bは、
図4(A)に二点鎖線により示されている。
【0044】
図4(C)には、係合解除状態の連結部54の長手方向に沿った縦断面図が示されている。係合解除部56の棒状部材88が建物ユニット12側(矢印Gで示される方向)に前進して、棒状部材88の先端の円錐部分88Aの外周面がロックレバー84のレバー本体92の端部をバネ96の付勢力に抗して径方向外側に押圧している。これにより、ロックレバー84は、係合状態の位置からピン98を中心に矢印Fで示される方向に回転変位されており、係合爪82がバネ96の付勢力に抗して本体部80の径方向内側に変位されて周縁部38Bとの係合状態が解除されている。この状態において作業用足場10を建物ユニット12から離れる方向に移動させることにより、作業用足場10を建物ユニット12から取り外すことができる。なお、挿入の際(
図4(B)参照)と係合解除状態(
図4(C)参照)とでは、ロックレバー84を回転させる外力が、挿入の際には床大梁32の周縁部38Bによる押圧であり、係合解除状態においては棒状部材88による押圧である点が異なり、力点も異なるが、ロックレバー84の回転変位はほぼ同じである。挿入時及び係合解除時におけるロックレバー84の動作については、後述する。
【0045】
(作用・効果)
次に、本実施形態に係る作業用足場10の組立手順と作業用足場10の用い方について説明し、その説明を通して本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0046】
まず、
図3(A)に示されるように、長尺状の鋼材62、64、66、68、70を接合して、足場本体48の躯体としての骨組61が組み立てられる。また、骨組61の下側のフレームを構成する鋼材64及び踏み段部60を構成する鋼材68の底面には、キャスター50が取り付けられる。
【0047】
次に、骨組61に木板を取り付けることにより、上面材58、側面材52、72、76、78が形成される。側面材52には、連結部54を配置するための支持孔52Aが予め形成され、側面材72には、棒状部材88を貫通させるための支持孔72Aが予め形成される。踏み段部60の上面及び側面にも、木板が取り付けられ、上面材74、側面材76が形成される。
【0048】
次に、棒状部材88が側面材52の支持孔52Aから挿入され、足場本体48を水平に貫通して支持孔72Aに挿入される。このとき、棒状部材88は、足場本体48に固定されず、摺動可能に支持孔72Aに挿通される。棒状部材88が抜け落ちることを防ぐために、棒状部材88の側面材72の内側の位置にフランジ90が予め設けられる。
【0049】
次に、棒状部材88の先端が連結部54の本体部80の内側に挿入され、連結部54が側面材52の支持孔52Aに挿入されて固定される。連結部54の本体部80には、孔102と、外周に沿って径方向外側に突出する環状のフランジ86とが予め形成される。また、本体部80の内部には、一対の支持板100が予め形成されて、この支持板100に支持される一対のロックレバー84が配置される。このとき、バネ96の付勢力により係合爪82が本体部80の孔102から突出されると共に、ロックレバー84のレバー本体92が本体部80の内壁に略平行となるように、バネ96の長さ及び弾性係数と、ピン98の位置と、支持板100の貫通孔100Aの位置とが設定される。
【0050】
次に、作業用足場10が建物ユニット12に連結される。まず、
図1に示されるように、作業用足場10が建物ユニット12の桁側の側面に対向して配置される。次いで、作業用足場10が建物ユニット12の側面に向かって押され、作業用足場10の連結部54が、建物ユニット12の床大梁32の側面38に形成された孔38Aに挿入される。このとき、連結部54のロックレバー84が初期状態(
図4(A)参照)から挿入時の状態(
図4(B)参照)を経て係合状態に到ることにより、作業用足場10が建物ユニット12に連結される。
【0051】
図6(A)を用いて、初期状態から、挿入時を経て係合状態に到るまでのロックレバー84の動作を以下に補足説明する。
【0052】
挿入前の初期状態において、ロックレバー84は、実線で示される位置Pにある。床大梁32の孔38Aの周縁部38Bも同様に、実線で示される位置Pにある。
【0053】
作業用足場10が建物ユニット12の側面に向かって押されることにより、連結部54が建物ユニット12側(矢印Xで示される方向)に前進して係合爪82が孔38Aに差し掛かると、係合爪82の傾斜面82Bが周縁部38Bに当接した状態で前進する。これにより、係合爪82がバネ96の付勢力に抗しながら本体部80の径方向内側に押圧されて位置Pから位置Qに徐々に移動する。
【0054】
このとき、ロックレバー84は矢印Fで示される方向に回転変位される。ロックレバー84の回転が妨げられることがないように、傾斜面82Bの傾斜角度とピン98の位置とが設定される。具体的には、傾斜面82Bの上端が描く軌道の半径R1が、傾斜面の下端が描く軌道の半径R2よりも小さくなるように設定される。ロックレバー84が位置Pから位置Qに移動するとき、バネ96は収縮する(収縮した状態は図示しない)。
【0055】
連結部54が矢印Xの方向に更に前進して係合爪82が孔38Aを通過すると、係合爪82はバネ96の付勢力により矢印Fと逆の方向に回転し、初期状態と同じ元の位置(位置Rで示される)に復帰する。このとき、係合爪82の係合面82Aが床大梁32の周縁部38Bの室内側の面に当接し、周縁部38Bに係合される。連結部54のフランジ86は、周縁部38Bの室外側の面の近傍に位置するように設定されている。これにより、連結部54が更に前進することを防止すると共に、係合爪82の係合面82Aとフランジ86との間に床大梁32の周縁部38Bが挟持され、係合をより強固にしている。
【0056】
次に、必要な場合には、作業用足場10が建物ユニット12に連結された状態で架台16の牽引部46(
図1参照)が移動用車両に連結されて、牽引される。作業用足場10が建物ユニット12に連結された状態で移動が必要になるのは、一例として、作業用足場10を建物ユニット12に連結した状態で工場の所定の場所で作業を行っている途中で、その所定の場所を他の建物ユニットのために明け渡す必要が生じた場合である。所定の場所を他の建物ユニットに明け渡す際に、建物ユニット12に対する作業に作業用足場10が引き続き必要である場合には、作業用足場10が建物ユニット12に連結された状態で移動される。
【0057】
建物ユニット12に対する作業に作業用足場10が必要とされなくなった場合には、係合解除部56を操作してロックレバー84の係合状態が解除され、作業用足場10が取り外される。
【0058】
図6(B)を用いて、係合状態から、係合解除状態(
図4(C)参照)に到るまでのロックレバー84及び係合解除部56の動作を以下に補足説明する。
【0059】
係合状態において、ロックレバー84は、実線で示される位置Pにある。このとき、係合解除部56の棒状部材88は、ロックレバー84に当接しない位置Pにある。
【0060】
棒状部材88が建物ユニット12側(矢印Xで示される方向)に前進し、円錐部分88Aがロックレバー84のレバー本体92の端部に当接した状態でバネ96の付勢力に抗して更に前進すると、ロックレバー84がピン98を中心に矢印Fで示される方向に回転する。このとき、円錐部分88Aが位置Sまで前進するとロックレバー84も対応する位置Sまで回転する。位置Sにおいて、係合爪82はバネ96の付勢力に抗して本体部80の径方向内側に変位され、床大梁32の周縁部38Bとの係合状態が解除される。この状態で作業用足場10を建物ユニット12から離れる方向(矢印Yで示される方向)に移動させ、連結部54を床大梁32の孔38Aから引き出すことにより、作業用足場10を建物ユニット12から取り外すことができる。
【0061】
このように、本実施形態では、連結部54が、建物ユニット12の床大梁32の側面38に形成された孔38Aに挿入され、孔38Aの周縁部38Bに係合されることにより建物ユニット12に連結される。このため、配線等の他の用途のために建物ユニット12に形成された孔38Aを作業用足場10の連結に利用することが可能であり、建物ユニット12側に追加の部材を要することなく、簡単な構成により作業用足場10を建物ユニット12に連結することができる。
【0062】
また、足場本体48の下面にキャスター50が取り付けられているため、作業用足場10を移動させることが可能である。作業用足場10が建物ユニット12に連結された状態において、連結部54は床大梁32の側面38に形成された孔38Aに係合され、建物ユニット12の躯体フレームに支持される。このため、作業用足場10が建物ユニット12に強固に連結され、作業用足場10が連結された状態で建物ユニット12を移動させることが可能である。
【0063】
また、本実施形態では、連結部54が挿入され、係合される建物ユニット12の孔38Aは、床大梁32の側面38に形成される。建物ユニット12を構成する主要な躯体フレームであり強度の高い床大梁32に形成された孔38Aに連結部54が係合されることにより、作業用足場10が建物ユニット12に強固に連結される。
【0064】
また、本実施形態では、建物ユニット12の床大梁32の側面38に形成された孔38Aに挿入される際に係合爪82がバネ96の付勢力に抗して連結部54の本体部80の径方向内側に変位され、孔38Aを通過した後に係合爪82がバネ96の付勢力により元の位置に復帰することにより、ロックレバー84が孔38Aの周縁部38Bに係合される。このため、連結部54を床大梁32の孔38Aに挿入する操作のみで作業用足場10を建物ユニット12に連結することが可能である。
【0065】
また、本実施形態では、係合解除部56を構成する棒状部材88が、建物ユニット12とは反対の側から連結部54の内部に挿入可能に構成される。この棒状部材88が建物ユニット12側に前進してロックレバー84のレバー本体92が押されることにより、係合爪82がバネ96の付勢力に抗して本体部80の径方向内側に変位されて、ロックレバー84と孔38Aの周縁部38Bとの係合状態が解除される。このため、係合解除部56を押す操作のみでロックレバー84と孔38Aの周縁部38Bとの係合状態を解除して作業用足場10を建物ユニット12から取り外すことができる。また、作業用足場10を建物ユニット12に対して容易に着脱することができるため、1つの建物ユニット12での作業が終わった後に、作業用足場10を取り外し、他の建物ユニット12に付け替える作業を容易に行うことが可能である。
【0066】
また、本実施形態では、建物ユニット12とは反対の側から係合解除部56を操作して前進させ、建物ユニット12から作業用足場10を取り外すことができる。このため、建物ユニット12と作業用足場10との連結部分に係合解除部56を設ける場合と比べて、建物ユニット12と作業用足場10とを近接させた状態で連結することができる。これにより、作業性が増すと共に、連結した状態で移動する際に連結部54にかかる回転モーメントを抑制することができ、連結部54の変形、破断等を抑制することができる。
【0067】
<変形例>
図7には、本実施形態の変形例に係る作業用足場10の概略斜視図が示されている。連結部54については、上述の本実施形態に係る連結部54と同じ構成であるため、説明及び図示を省略する。変形例に係る構成では、係合解除部110の2つの棒状部材112同士が足場本体48の内部で連結部材114によって連結されており、連結部材114の中央部分には、1つの操作部116が連結されている。操作部116は側面材72の支持孔72Bを貫通して外側に突出し、摺動可能に構成されている。操作部116の連結部材114への連結位置は、操作部116と足場本体48の骨組61の中央に配置された鋼材70との干渉を避ける位置に設定されている。
【0068】
上記変形例によれば、建物ユニット12とは反対側の側面材72から突出された操作部116は1つのみであり、この操作部116を押すことによって、連結部54の建物ユニット12への係合状態を解除することができる。このため、棒状部材112の間隔(床大梁32の2つの孔38Aの間隔)が、1人の作業者が同時に操作できない程に離れている場合であっても、操作部116を矢印Xで示される方向に押すことにより、1人で係合解除の作業を行うことが可能である。
【0069】
なお、本実施形態においては、係合解除部56、110の棒状部材88、又は操作部116を建物ユット12側に押す操作によって係合爪82と周縁部38Bとの係合状態を解除する構成としたが、この構成に限定されるものではない。例えば、係合解除部56、110の足場本体48の側面材72から突出する部分に把持部材を設け、把持部材を引く、上下に動かす、又は回転させる操作によって棒状部材88、112が建物ユニット12側に前進し、ロックレバー84のレバー本体92が押されて係合爪82と周縁部38Bとの係合状態が解除される構成としてもよい。
【0070】
また、本実施形態においては、連結部54及び棒状部材88はそれぞれ2つずつ設けられているが、床大梁32の側面38に形成された孔38Aが3つ以上である場合には、これ対応して連結部54及び棒状部材88を3つ以上設けてもよい。