特許第6962851号(P6962851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962851
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】電源供給回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20211025BHJP
   H02M 3/07 20060101ALI20211025BHJP
   G05F 1/56 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   H02M3/00 W
   H02M3/07
   G05F1/56 310K
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-69012(P2018-69012)
(22)【出願日】2018年3月30日
(65)【公開番号】特開2019-180169(P2019-180169A)
(43)【公開日】2019年10月17日
【審査請求日】2021年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 考太郎
【審査官】 栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−300769(JP,A)
【文献】 特開2003−018822(JP,A)
【文献】 特開平11−003125(JP,A)
【文献】 特開2008−192083(JP,A)
【文献】 特開2008−015719(JP,A)
【文献】 特開2015−028817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
H02M 3/07
G05F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子と、
出力端子と、
接地端子と、
入力が前記入力端子に接続され出力が前記出力端子に接続され、Pチャネル型MOSFETの出力トランジスタと、差動増幅回路と、第1の抵抗と、第2の抵抗と、第1のスイッチと第2のスイッチを有するシリーズレギュレータ型降圧電源回路と、
入力が前記入力端子に接続され出力が前記出力端子に接続されたチャージポンプ型昇圧電源回路と、
前記入力端子の電圧と前記出力端子の電圧を入力し、前記入力端子の電圧と前記出力端子の電圧のうち高い方の電圧を出力する電圧選択回路と、を有し、
前記シリーズレギュレータ型降圧電源回路は、
前記出力端子と前記接地端子の間に前記第1の抵抗と前記第2の抵抗を直列に接続し、
前記第1の抵抗と前記第2の抵抗の接続点を前記差動増幅回路の入力に接続し、
前記差動増幅回路の出力を前記第1のスイッチを介して前記出力トランジスタのゲート端子に接続し、
前記電圧選択回路の出力を前記第2のスイッチを介して前記出力トランジスタのゲート端子に接続し、
前記電圧選択回路の出力を前記出力トランジスタの基板電極端子に接続したことを特徴とする電源供給回路。
【請求項2】
入力端子と、
出力端子と、
接地端子と、
入力が前記入力端子に接続され出力が前記出力端子に接続され、Nチャネル型MOSFETの出力トランジスタと、差動増幅回路と、第1の抵抗と、第2の抵抗と、第1のスイッチと第2のスイッチを有するシリーズレギュレータ型降圧電源回路と、
入力が前記入力端子に接続され出力が前記出力端子に接続されたチャージポンプ型昇圧電源回路と、を有し、
前記シリーズレギュレータ型降圧電源回路は、
前記出力端子と前記接地端子の間に前記第1の抵抗と前記第2の抵抗を直列に接続し、
前記第1の抵抗と前記第2の抵抗の接続点を前記差動増幅回路の入力に接続し、
前記差動増幅回路の出力を前記第1のスイッチを介して前記出力トランジスタのゲート端子に接続し、
前記接地端子を前記第2のスイッチを介して前記出力トランジスタのゲート端子に接続し、
前記接地端子を前記出力トランジスタの基板電極端子に接続したことを特徴とする電源供給回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電源回路を切り替えて負荷へ電源供給する電源供給回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電源供給回路については、特許文献1に示すような構成が知られている。図9は、特許文献1に示されている電源供給回路を図示したものである。
【0003】
特許文献1に示されている電源供給回路110は、電源回路120、電源回路140、スイッチ111、スイッチ112、動作モード検出手段160で構成され、電池101と負荷102との間に直列に接続されている。
【0004】
負荷に流れる電流を動作モード検出手段160にて検出し、負荷電流大のときは電源回路120を有効にする為にスイッチ111、スイッチ112をオンする。これによって、電源回路120と電源回路140の両方から電源が供給される。負荷電流小のときは、電源回路120を無効、電源回路140を有効とする為にスイッチ111、スイッチ112をオフする。これによって、電源回路140のみから電源が供給される。
【0005】
上記動作によって、負荷に応じて最適な電源回路を選択できる為、効率がよくなる。
【0006】
電源回路120はスイッチングレギュレータで構成されており、電源回路140はシリーズレギュレータで構成される。電源回路140の出力部には電源回路120の出力から電流が逆流することを防止する逆流防止用のダイオード141が付加されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−112457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の電源供給回路は、電源回路を切り替えるためのスイッチや逆流防止ダイオードが電池と負荷に直列に挿入されており、各電源回路で生成した電圧がスイッチのオン抵抗またはダイオードの順方向降下電圧によって電圧降下した電圧が負荷へ供給されていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電源供給回路は、入力端子と、出力端子と、接地端子と、入力が入力端子に接続され出力が出力端子に接続され、Pチャネル型MOSFETの出力トランジスタと、差動増幅回路と、第1の抵抗と、第2の抵抗と、第1のスイッチと第2のスイッチを有するシリーズレギュレータ型降圧電源回路と、入力が入力端子に接続され出力が出力端子に接続されたチャージポンプ型昇圧電源回路と、入力端子の電圧と出力端子の電圧を入力し、入力端子の電圧と出力端子の電圧のうち高い方の電圧を出力する電圧選択回路と、を有し、出力端子と接地端子の間に第1の抵抗と第2の抵抗を直列に接続し、第1の抵抗と第2の抵抗の接続点を差動増幅回路の入力に接続し、差動増幅回路の出力を第1のスイッチを介して出力トランジスタのゲート端子に接続し、電圧選択回路の出力を第2のスイッチを介して出力トランジスタのゲート端子に接続し、記電圧選択回路の出力を前記出力トランジスタの基板電極端子に接続した。
本発明の別の電源供給回路は、入力端子と、出力端子と、接地端子と、入力が入力端子に接続され出力が出力端子に接続され、Nチャネル型MOSFETの出力トランジスタと、差動増幅回路と、第1の抵抗と、第2の抵抗と、第1のスイッチと第2のスイッチを有するシリーズレギュレータ型降圧電源回路と、入力が入力端子に接続され出力が出力端子に接続されたチャージポンプ型昇圧電源回路と、を有し、出力端子と接地端子の間に第1の抵抗と第2の抵抗を直列に接続し、第1の抵抗と第2の抵抗の接続点を差動増幅回路の入力に接続し、差動増幅回路の出力を第1のスイッチを介して出力トランジスタのゲート端子に接続し、接地端子を第2のスイッチを介して出力トランジスタのゲート端子に接続し、接地端子を出力トランジスタの基板電極端子に接続した。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、電圧を切替えるために電池と負荷の間に直列に接続されるスイッチやダイオードがなく、スイッチやダイオードによる電圧降下がない電源供給回路を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態の電源供給回路を示す図である。
図2】第1の実施形態の第1電源回路を示す図である。
図3】第1の実施形態の第2電源回路を示す図である。
図4】第1の実施形態の電圧選択回路を示す図である。
図5】第2の実施形態の電源供給回路を示す図である。
図6】第2の実施形態の電圧選択回路を示す図である。
図7】第3の実施形態の電源供給回路を示す図である。
図8】第3の実施形態の第3電源回路を示す図である。
図9】従来の電源供給回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態の電源供給回路10を示す図である。電源供給回路10は、第1電源回路20、第2電源回路40a、モード選択回路60、電圧選択回路80a、入力端子IN、出力端子OUTで構成される。電源供給回路10は、電池1と負荷2の間に直列に接続され、電池1が端子Voから入力端子INに電圧Vinを供給し、負荷2が出力端子OUTから端子Linに電源供給を受ける。入力端子INは、ノードN11を介して、第1電源回路20の端子Q1inと、第2電源回路40aの端子Q2inと、電圧選択回路80aの端子Vs1inに接続される。モード選択回路60は、端子S1oが第1電源回路20の端子S1inに接続され、端子S2oが第2電源回路40aの端子S2inに接続される。電圧選択回路80aは、端子Vsoが第2電源回路40aの端子Vsinに接続される。第1電源回路20は、端子Q1がノードN12を介して、電圧選択回路80aの端子Vs2inと、第2電源回路40aの端子Q2と、出力端子OUTに接続される。
【0014】
図2は、第1の実施形態の第1電源回路20を示す図である。第1電源回路20は、スイッチ素子としてPMOSトランジスタP1、P2、P3、NMOSトランジスタN1と、抵抗R1、R2と、容量C1、C2と、基準電圧回路V1と、差動増幅回路21と、制御回路22と、端子Q1in、Q1、S1inと、で構成される。
【0015】
端子Q1inは、PMOSトランジスタP2のソース端子とPMOSトランジスタP3のソース端子に接続される。PMOSトランジスタP2は、ゲート端子が制御回路22の信号Φ1に接続され、ドレイン端子が容量C1の一方の端子とPMOSトランジスタP1のソース端子に接続される。PMOSトランジスタP1は、ゲート端子が制御回路22の信号Φ2に接続され、ドレイン端子が容量C2の一方の端子と抵抗R1の一方の端子と端子Q1に接続される。PMOSトランジスタP3は、ゲート端子が制御回路22の信号Φ2に接続され、ドレイン端子が容量C1の他方の端子とNMOSトランジスタN1のドレイン端子に接続される。NMOSトランジスタN1は、ゲート端子が制御回路22の信号Φ1に接続され、ソース端子が容量C2の他方の端子と接地端子に接続される。抵抗R1は、他方の端子が差動増幅回路21の一方の入力と抵抗R2の一方の端子に接続される。抵抗R2は、他方の端子が接地端子に接続される。差動増幅回路21は、他方の入力が基準電圧回路V1に接続され、出力が制御回路22に接続される。制御回路22は、端子S1inから信号を受け、信号Φ1がトランジスタP2,N1へ、信号Φ2がトランジスタP1、P2へ出力される。
【0016】
図3は第1の実施形態の第2電源回路40aを示す図である。第2電源回路40aは、スイッチSW1、SW2と、出力トランジスタとしてPMOSトランジスタP4と、抵抗R3、R4と、基準電圧回路V2と、差動増幅回路41と,インバータ42と、端子S2in、Q2in、Vsin、Q2と、で構成される。
【0017】
端子Q2inは、PMOSトランジスタP4のソース端子に接続される。端子Vsinは、PMOSトランジスタP4の基板電極端子とスイッチSW2の他方の端子に接続される。端子S2inはインバータ42の入力とスイッチSW1の制御端子に接続される。インバータ42は、出力がスイッチSW2の制御端子に接続される。PMOSトランジスタP4は、ドレイン端子が端子Q2と抵抗R3の一方の端子に接続され、ゲート端子がスイッチSW1の一方の端子とスイッチSW2の一方の端子に接続される。抵抗R3は、他方の端子が差動増幅回路41の一方の入力と抵抗R4の一方の端子に接続される。抵抗R4は、他方の端子が接地端子に接続される。差動増幅回路41は、他方の入力が基準電圧回路V2に接続され、出力がスイッチSW1の他方の端子に接続される。
【0018】
図4は第1の実施形態の電圧選択回路80aを示す図である。電圧選択回路80aは、PMOSトランジスタP5、P6と、差動増幅回路81と、インバータ82と、端子Vs1in、Vs2in、Vsoと、で構成される。
【0019】
端子Vs1inは、差動増幅回路81の一方の入力とPMOSトランジスタP6のソース端子に接続される。端子Vs2inは、差動増幅回路81の他方の入力とPMOSトランジスタP5のソース端子に接続される。PMOSトランジスタP5は、ドレイン端子がPMOSトランジスタP6のドレイン端子と端子Vsoと差動増幅回路81の電源端子とインバータ82の電源端子に接続される。差動増幅回路81は、出力がPMOSトランジスタP5のゲート端子とインバータ82の入力に接続される。インバータ82は、出力がPMOSトランジスタP6のゲート端子に接続される。
【0020】
上記のように構成された第1の実施形態の電源供給回路10の動作について説明する。
【0021】
第1の実施形態の電源供給回路10は、第1電源回路20がチャージポンプ型の2倍昇圧回路であり、第2電源回路40aがシリーズレギュレータである。モード選択回路60は、第1電源回路20を選択する信号S1を端子S1oから出力し、第2電源回路40aを選択する信号S2を端子S2oから出力する。第1電源回路20は、端子S1inに信号S1を受けると、端子Q1inから入力された電圧Vinを2倍昇圧し、昇圧した電圧Vuを端子Q1から出力する。第2電源回路40aは、端子S2inに信号S2を受けると、端子Q2inから入力された電圧Vinを降圧し、降圧した電圧Vdを端子Q2から出力する。第1電源回路20が出力する電圧Vuと第2電源回路40aが出力する電圧Vdは、電圧Vu>電圧Vdの関係がある。電圧選択回路80aは、端子Vs1inと端子Vs2inに入力された電圧を差動増幅回路81で比較し、いずれか大きい方の電圧が入力された端子に接続された側のPMOSトランジスタを導通させて、大きい方の電圧を端子Vsoから出力する。
【0022】
[第1電源回路選択時]
第1電源回路選択時は、モード選択回路60が第1電源回路20を選択する信号S1を出力し、第2電源回路40aを選択する信号S2の出力を停止する。第1電源回路20は、第1電源回路を選択する信号S1の入力によって制御回路22が動作を開始し、設定された出力電圧となるようにPMOSトランジスタP1、P2、P3、NMOSトランジスタN1を制御して、第1電源回路20の端子Q1に抵抗R1,R2と基準電圧回路V1の電圧で設定する出力電圧Vuを生成する。電圧選択回路80aは、端子Vs2inに入力された第1電源回路20の出力電圧Vuと端子Vs1inに入力された電池1の電圧Vinを比較し、大きい方の電圧Vuを電圧選択回路80aの端子Vsoから出力する。
【0023】
一方、図3に示す第2電源回路40aは、第2電源回路40aを選択する信号S2が入力されないため、スイッチSW1が非導通状態でスイッチSW2が導通状態となる。第2電源回路40aは、スイッチSW1が非導通状態の為、シリーズレギュレータとしての動作を行わない。PMOSトランジスタP4は、電圧選択回路80aから端子Vsinに入力された電圧Vuが、基板電極端子とスイッチSW2を介してゲート端子に供給される為、完全にオフ状態となる。PMOSトランジスタP4は、基板電極端子が単独で引き出されており、ドレイン端子がアノード、ソース端子がカソードとなる寄生ダイオードが存在しない。その為、第2電源回路40aは、第1電源回路20の出力電圧Vu(PMOSトランジスタP4のドレイン端子電圧)が電池1の電圧Vin(PMOSトランジスタP4のソース端子電圧)より高い電圧となった場合でも完全に遮断することが可能となり、端子Q1と端子Q2の間の逆流防止ダイオードは不要となる。
【0024】
[第2電源回路選択時]
第2電源回路選択時は、モード選択回路60が第1電源回路20を選択する信号S1の出力を停止し、第2電源回路40aを選択する信号S2を出力する。第1電源回路20は、信号S1が入力されないため、制御回路22が動作を停止し、PMOSトランジスタP1、P2、P3、NMOSトランジスタN1を全てオフ状態とし、端子Q1への電圧出力を停止する。電圧選択回路80aは、端子Vs2inに入力される電圧と端子Vs1inに入力される電池1の電圧Vinを比較するが、第1電源回路から電圧Vuが入力されないので、端子Vs1inに入力される電圧Vinを電圧選択回路80aの端子Vsoから出力する。
【0025】
第2電源回路40aは、第2電源回路を選択する信号S2の入力によってスイッチSW1が導通状態、スイッチSW2が非導通状態となり、スイッチSW1が導通状態の為、シリーズレギュレータとしての動作を開始する。
【0026】
PMOSトランジスタP4は、端子Vsinに入力された電圧選択回路80aからの電圧Vinが基板電極端子に供給され、基板電極端子の電位がソース端子と同電位になる。PMOSトランジスタP4は、シリーズレギュレータの出力トランジスタとして動作を開始し、第2電源回路40aの端子Q2に出力する電圧Vdが抵抗R3,R4と基準電圧回路V2の電圧で設定された出力電圧となるよう動作する。
【0027】
第1電源回路20は、端子Q1in(電池1の電圧Vin)と端子Q1(第2電源回路の出力電圧)との間に電位差が生じているが、第1電源回路20のPMOSトランジスタP2、P1は完全にオフしており、第1電源回路20の端子Q1inと端子Q1を経由して第2電源回路40aの端子Q2と電池1の端子Voとの間で電流を流すことはない。
【0028】
このような構成にすることにより、第1電源回路20と負荷2の間、及び第2電源回路40aと負荷2の間に電源回路を切替えるための素子を配置しないで済む為、電圧降下なく電圧を負荷へ供給できる。電源回路を切替えるための素子が不要になるのでチップ面積も削減できる。
【0029】
図示していないが、第1電源回路20において抵抗R2と接地間にスイッチを追加し、電流パスを遮断することや、差動増幅回路21を停止することで、第1電源回路が動作しない場合の消費電流を削減してもよい。また、第2電源回路40aにおいて抵抗R4と接地端子間にスイッチを追加し、電流経路を遮断することや、差動増幅回路41を停止することで、第2電源回路が動作しない場合の消費電流を削減してもよい。
【0030】
<第2の実施形態>
図5は、第2の実施形態の電源供給回路11を示す図であり、第1の実施形態の電源供給回路10の電圧選択回路80aを電圧選択回路80bに置き換えたものである。電圧選択回路80bは、端子Vsb1inがノードN11を介して入力端子INに接続され、端子Vsb2inがノードN12を介して第1電源回路の端子Q1と第2電源回路の端子Q2と出力端子OUTに接続され、端子Sb1inがノードN13を介してモード選択回路60の端子S1oに接続され、端子Vsboが第2電源回路40aの端子Vsinに接続される。その他の接続は第1の実施形態の電源供給回路10と同様である。
【0031】
図6は第2の実施形態の電圧選択回路80bを示す図である。電圧選択回路80bは、PMOSトランジスタP7、P8と、インバータ84と、端子Vsb1in、Vsb2in、Sb1in、Vsboと、で構成される。
【0032】
端子Vsb1inは、PMOSトランジスタP8のソース端子に接続される。端子Vsb2inは、PMOSトランジスタP7のソース端子に接続される。端子Sb1inは、PMOSトランジスタP7のゲート端子とインバータ84の入力に接続される。インバータ84は、出力がPMOSトランジスタP8のゲート端子に接続される。PMOSトランジスタP7は、ドレイン端子がPMOSトランジスタP8のドレイン端子と端子Vsboに接続される。
【0033】
上記のように構成された第2の実施形態の電源供給回路11の動作について説明する。
【0034】
電圧選択回路80bは、端子Vsb1inと端子Vsb2inに入力された電圧のいずれか一方を、端子Sb1inに入力された信号に基づいて端子Vsoから出力する。
【0035】
[第1電源回路選択時]
第2の実施形態の電源供給回路11の動作は基本的に第1の実施形態の電源供給回路10と同様である為、第1の実施形態の電源供給回路10と異なる動作のみ説明する。
【0036】
第1電源回路選択時は、モード選択回路60が第1電源回路20を選択する信号S1を出力し、第2電源回路40aを選択する信号S2の出力を停止する。電圧選択回路80bは、PMOSトランジスタP7がオン状態、PMOSトランジスタP8がオフ状態となり、電圧選択回路80bの端子Vsboからは第1電源回路の出力電圧Vuが出力される。以下の動作は第1の実施形態と同じである。
【0037】
[第2電源回路選択時]
第2電源回路選択時は、モード選択回路60が第1電源回路20を選択する信号S1の出力を停止し、第2電源回路40aを選択する信号S2を出力する。電圧選択回路80bは、PMOSトランジスタP7がオフ、PMOSトランジスタP8がオンとなり、電圧選択回路80bの端子Vsboからは電圧Vinが出力される。以下の動作は第1の実施形態と同じである。
【0038】
この構成は、第1電源回路および第2電源回路を動作させるタイミングがあらかじめ決まっている場合に有効であり、差動増幅回路81がない為に第1の実施形態の電源供給回路10よりも消費電流が低く、チップ面積をさらに削減することが可能となる。
【0039】
<第3の実施形態>
図7は、第3の実施形態の電源供給回路12を示す図であり、第1の実施形態の第2電源回路40aを第3電源回路40bに置き換え、電圧選択回路80aを削除したものである。
【0040】
図8は、第3電源回路40bを示す図である。第2電源回路40aは、PMOSトランジスタP4をNMOSトランジスタN2に置き換えたものである。
【0041】
端子Q3inは、NMOSトランジスタN2のドレイン端子に接続される。端子Sb2inはインバータ42の入力とスイッチSW1の制御端子に接続される。インバータ42は、出力がスイッチSW2の制御端子に接続される。NMOSトランジスタN2は、ソース端子が端子Q3と抵抗R3の一端に接続され、ゲート端子がスイッチSW1の一端とスイッチSW2の一端に接続される。抵抗R3は、他方の端子が差動増幅回路41の一方の入力と抵抗R4の一方の端子に接続される。抵抗R4は、他方の端子が接地端子に接続される。差動増幅回路41は、他方の入力が基準電圧回路V2に接続され、出力がスイッチSW1の他方の端子に接続される。
【0042】
上記のように構成された第3の実施形態の電源供給回路12の動作について説明する。
【0043】
第3の実施形態の電源供給回路12の動作は基本的に第1の実施形態の電源供給回路10と同様である為、第1の実施形態の電源供給回路10と異なる動作のみ説明する。
【0044】
本実施形態の電源供給回路12の第3電源回路40bは、出力トランジスタにNMOSトランジスタN2を使用した。NMOSトランジスタN2は、基板電極端子を接地端子の電圧に、ゲート端子の電圧も接地端子の電圧となるようにしたため、第3電源回路40bを動作させない場合にNMOSトランジスタN2を完全にオフにすることができる。
【0045】
NMOSトランジスタN2は、基板電極端子が単独で引き出されており、ソース端子がアノード、ドレイン端子がカソードとなる寄生ダイオードが存在しない。その為、第3電源回路40bは、第1電源回路20の出力電圧Vu(NMOSトランジスタN2のソース端子電圧)が電池1の電圧Vin(NMOSトランジスタN2のドレイン端子電圧)より高い電圧となった場合でも完全に遮断することが可能となり、端子Q1と端子Q3の間の逆流防止ダイオードは不要となる。
【0046】
このような構成にすることにより、電圧選択回路80aが不要となる為、消費電流の削減が可能となり、更なるチップ面積の削減が可能となる。
【0047】
図示していないが、第3電源回路40bにおいて抵抗R4と接地端子間にスイッチを追加し、電流パスを遮断することや、差動増幅回路41を停止することで、第3電源回路が動作しない場合の消費電流を削減してもよい。ここでは2つの電源回路を例としてあげたが、3つ以上の複数の電源回路としてもよい。第1〜3の実施形態の電源供給回路の構成は一例であり、請求の範囲を逸脱しない範囲で変形が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 電池
2 負荷
10、11、12 電源供給回路
20 第1電源回路
40a 第2電源回路
40b 第3電源回路
60 モード選択回路
80a、80b 電圧選択回路
101 電池
102 負荷
110 電源供給回路
120 電源回路
140 電源回路
160 動作モード検出手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9