特許第6962877号(P6962877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6962877改良された圧縮性と運搬性とを有する、医療デバイス用固定アンカー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962877
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】改良された圧縮性と運搬性とを有する、医療デバイス用固定アンカー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20211025BHJP
   A61B 17/12 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   A61B17/04
   A61B17/12
【請求項の数】2
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-135725(P2018-135725)
(22)【出願日】2018年7月19日
(62)【分割の表示】特願2016-201061(P2016-201061)の分割
【原出願日】2010年6月17日
(65)【公開番号】特開2018-198941(P2018-198941A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2018年8月13日
【審判番号】不服2020-8346(P2020-8346/J1)
【審判請求日】2020年6月16日
(31)【優先権主張番号】61/187,688
(32)【優先日】2009年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】エドワード イー.ショー
【合議体】
【審判長】 千壽 哲郎
【審判官】 佐々木 一浩
【審判官】 栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−299456号(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00-17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスに連結されたデバイス取り付け部、バーブ部、及び該デバイス取り付け部と該バーブ部との間に配置された圧縮ベアリング部を含むアンカーを含む、拡張状態と抑制状態とを有する医療デバイスであって、該医療デバイスを該抑制状態に維持するため該医療デバイスの周囲に配置された抑制手段をさらに含み、該抑制状態では、該バーブ部と該デバイス取り付け部とが互いに一直線上に並び、該圧縮ベアリング部は、該医療デバイスが抑制状態にある間、該バーブ部の全体が該抑制手段に実質的に平行に延在するように該バーブ部と該抑制手段との間を分離させるように構成されており、かつ、該拡張状態では、該バーブ部が血管壁と結合するように該抑制手段が除去される、医療デバイス。
【請求項2】
a. 拡張状態と抑制状態との間を移行させるようにした医療デバイスと、
b. 抑制手段と、
を含む装置であって、該医療デバイスは、デバイス取り付け部、バーブ及び圧縮ベアリング部を含むアンカーを含み、
該圧縮ベアリング部は該デバイス取り付け部と該バーブとの間に配置されており、
該抑制手段は、該医療デバイスを該抑制状態に維持するために該医療デバイスの周囲に配置可能であり、
該抑制状態では、該バーブと、該デバイス取り付け部とが互いに一直線上に並び、かつ、該圧縮ベアリング部は、該医療デバイスが抑制状態にある間、該バーブの全体が該抑制手段に実質的に平行に延在するように該バーブと該抑制手段との間を分離させるように構成されており、かつ、
該拡張状態では、該バーブが血管壁と結合するように適合されている、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療デバイス用固定アンカーに関し、特には、アンカーを圧縮させて抑制手段によって拘束される方法と抑制手段を解放する方法とを改良するアンカーに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な医療デバイスが、対象サイトに固定又は固着するための何らかの形態を必要とする。通常の固着手段としては、バーブ、フック、縫合、又は周辺の生体組織にデバイスを取り付けるために用いられる他の機構等が挙げられる。アンカー手段を必要とするデバイスの幾つかの例示は、大静脈フィルター、ステント、ステントグラフト、胆汁/尿の導管ステント、腸/胃内のステント及びライナー、オクルダー、電気生理学的リード、様々なモニター用又は診断用デバイス、中心静脈カテーテル、並びに当該技術分野で周知である他のデバイス等である。これらのデバイスの多くは、小さな形状まで事前圧縮されて抑制されて、解剖学的部位まで低侵襲的な運搬をもたらす。好ましい部位に一旦配置されると、抑制手段を取り除き、デバイスを自己拡張させて周辺の生体組織に接合させる。
【0003】
現行のアンカーは、度々、デバイス圧縮プロセスを妨げる。例えば、デバイスが小さな径の抑制手段に押し込まれた場合に、バーブの鋭角な先端が抑制手段を妨害して突き刺す可能性がある。また、現行のアンカーは抑制手段の除去を危うくする可能性がある。例えば、抑制手段を取り除く場合に、鋭角なアンカーバーブが抑制部を貫通する可能性があり、結果として、運搬の不具合又は合併的な他の不具合を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は医療用固定デバイスを含み、その医療用固定デバイスは、
デバイス取り付け部と、圧縮ベアリング部と、バーブ部とを有するフレキシブルなアンカーを含み、
そのデバイス取り付け部が医療デバイスと連結し、
その圧縮ベアリング部がデバイス取り付け部とバーブ部との間に配置されて、
そのフレキシブルなアンカーが拡張(延伸又は膨張)状態と圧縮状態とを有し、
その圧縮状態が除去可能な抑制部によって維持され、
圧縮状態中は、その圧縮ベアリング部が除去可能な抑制部と接触し、
そして、圧縮状態中は、そのバーブ部が除去可能な抑制部から分離される。
【0005】
本発明の追加的な特徴及び利点は、本願明細書において述べられて、本発明の実施によって理解される。本発明のこれらの特徴及び他の利点は、明細書と、特許請求の範囲と、添付の図面とによって具体的に指し示された構成によって実現され、達成される。
【0006】
前述の一般的な記述及び次の詳細な記述の両方は、典型的であって、かつ、説明的であり、そして、特許請求の範囲に記載された本発明の更なる説明を提供することを目的とすることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付図面は、本発明を更に理解することを提供するために含まれて、本願明細書の一部として組み込まれて、本願明細書の一部を構成し、そして本発明の実施形態を示し、本願明細書の記述と併せて、本発明の原理を説明するのに役立つ。
図1A図1Aは、移植前の医療デバイスの側面図の一部である。医療デバイスは圧縮状態を示し、その圧縮状態は抑制手段によって維持される。
図1B図1Bは、医療デバイスの側面図の一部であり、その医療デバイスは、抑制手段を取り除いた後、自己拡張をする。
図2A図2Aは、周知であるフレキシブルなアンカーの側面図の一部であり、圧縮状態を示す。
図2B図2Bは、周知であるフレキシブルなアンカーの側面図の一部であり、拡張状態を示す。
図3A図3Aは、改良されたアンカーが圧縮ベアリング部を組み込んだ側面図の一部である。
図3B図3Bは、改良されたアンカーが圧縮ベアリング部を組み込んだ側面図の一部である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、医療デバイス用固着手段又は固定手段に関し、固着手段又は固定手段は、初期の圧縮及びその後のデバイス展開を容易にすることを可能とする。
【0009】
図1A及び1Bは、医療デバイスの運搬シーケンスの一般的な例示を示す。部分側面図に示されているように、図1Aは圧縮された医療デバイス100を示す。図示された具体的な医療デバイスは、自己拡張するステントグラフトであり、そのステントグラフトは、除去可能なシースの抑制手段102を有する。医療デバイスが、血管104内に配置されたことを示す。抑制された医療デバイスが、運搬カテーテル106上で圧縮された状態であることを示す。
【0010】
部分側面図で示されるように、図1Bは、拡張状態の医療デバイス100を示す。自己拡張するステントグラフト108と、運搬カテーテル106と、2つのフレキシブルなアンカー110とを示す。2つのフレキシブルなアンカー110が、少なくとも部分的に血管104を貫通することを示す。
【0011】
図2A及び2Bは、典型的な医療デバイス用アンカーの部分側面図を示す。フレキシブルなアンカー200が、抑制されたか、又は圧縮された状態で図2Aに示される。アンカー200は、アンカーを医療デバイスに接合するのに有用であるデバイス取り付け部202と、バーブ部204とを有する。フレキシブルなアンカーが抑制手段102によって抑制されていることが示されている。図2Aに示されているように、アンカーバーブ部204は、強制的に抑制手段102と接触し、干渉地点206が生じる。鋭利なバーブと抑制手段との間に在る干渉地点206によって、バーブが抑制手段を貫通することを可能にさせて、抑制手段102の除去を危うくする可能性がある過度な摩擦を生じさせる。
【0012】
図2Bに示されるように、アンカーのデバイス取り付け部202とバーブ部204は自己拡張して、抑制手段を除去する際、ルーメン壁104に接合する。また、バーブと血管との間の干渉又は貫通の地点208が示される。
【0013】
図3A及び3Bは、改良されたフレキシブルなアンカーの部分側面図である。アンカー300は、デバイス取り付け部302と、圧縮ベアリング部304と、バーブ部306とを有する。バーブ部は、ルーメン壁又はアンカーデバイスを接着させるための好ましい他の配置を突き刺すために効果的である任意の好ましい長さでよい。図3Aに示されるように、フレキシブルなアンカー300は、抑制手段102によって圧縮形状まで抑制される。抑制手段102には、接触地点308で圧縮ベアリング部304の荷重がかかる。圧縮状態の図で示されているように、バーブ部306は抑制手段102から分離されている。バーブ部と抑制手段との間の分離は、圧縮ベアリング部304の形状によって引き起こされる。圧縮ベアリング部304は、様々な方法によって構成されてよく、抑制状態でバーブと抑制手段との間の分離をするように作用すれば、曲線形状、突出形状、平面形状又は任意の他の形状を含んでよい。
【0014】
図3Bに示されるように、アンカー300のデバイス取り付け部302と、圧縮ベアリング部304と、バーブ部306とは、自己拡張して、抑制手段を除去する際、血管壁104と接合する。また、バーブと血管との間の干渉又は貫通の地点310が図示されている。
【0015】
図1図3で図示された医療デバイスは、自己拡張するステントグラフトであり、そのステントグラフトは、抑制シース102によって抑制状態で保たれる。抑制シースは、"リップコード"の縫目で終結しているプルコードを利用してよい。引っ張った場合に、プルコードが"縫目をほどいて"抑制シースを解放する。ステントグラフト及び抑制シースは、一般的には、例えば、Martinらの米国特許No.6,042,605号、Martinらの米国特許No.6,361,637号、Martinらの米国特許No.6,520,986号等に開示されている方法及び材料に従って、作製されてよい。
【0016】
自己拡張する医療デバイスのための除去可能な抑制手段は、シースを含んでよく、そのシースは、その後に、除去されるか又は埋め込まれたデバイスの近接した状態で放置される。複数のシースは、単一のデバイス又は複数のデバイスと共に用いられてよい。除去可能な抑制物の他の形態は、"プルバック"若しくは"プッシュアウト"チューブ、壊れやすい抑制物、除去可能な抑制ステッチ若しくはピン、又は当該技術分野において公知である任意の適切な手段を含む。
【0017】
意図する使用によって決まるが、フレキシブルなアンカーは、周知である材料(又はそれれの材料の組み合わせ)を含んでよく、周知である材料は、例えば、プラスチックポリメチルメタクリレート(PMMA又はアクリル)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、変性ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、セルロース酢酸ブチレート(CAB)等を含む非晶性の汎用熱可塑性物質、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE又はLLDPE)、ポリプロピレン(PP)、金属、ニチノール及びポリメチルペンテン(PMP)を含む半結晶性の汎用プラスチック、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、変性ポリフェニレンオキサイド(Mod PPO)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(Mod PPE)及び熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む非晶性エンジニアリング熱可塑性物質、ポリアミド(PA又はナイロン)、ポリオキシメチレン(POM又はアセタール)、ポリエチレンテレフタレート(PET、熱可塑性ポリエステル)、ポリブチレンテレフタレート(PBT、熱可塑性ポリエステル)及び超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)を含む半結晶性エンジニアリング熱可塑性物質、ポリイミド(PI、イミド化プラスチック)、ポリアミドイミド(PAI、イミド化プラスチック)及びポリベンズイミダゾール(PBI、イミド化プラスチック)を含む高性能熱可塑性物質、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルイミド (PEI)、ポリエーテル サルフォン (PES)及びポリアリールサルフォン(PAS)を含む非晶性の高性能熱可塑性物質、ポリフェニレンサルファイド(PPS)及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む半結晶性の高性能熱可塑性物質、並びにフッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンクロロトリフルオエチレン(ECTFE)、エチレン,エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)及びパーフルオロアルコキシ(PFA)を含む半結晶性の高性能熱可塑性物質であるフルオロポリマーが挙げられる。周知である医療用材料のその他としては、弾性オルガノケイ素ポリマー、ポリエーテルブロックアミド又は熱可塑性コポリエーテル(PEBAX)、生体吸収性材料及び、例えば、ステンレススチール、ニッケル/チタン合金等の金属、並びにそれらと同等な材料が含まれる。
【0018】
医療デバイスにアンカーを組み立てる際に用いられる典型的な方法としては、2つ以上のコンポーネント(部品)を取り付けるために用いられる周知の技術が含まれる。永久的な取り付けの例としては、にかわ、接着剤、溶接、インサート成形、強圧入(強プレスフィット)、1方向の留め金、ロック機能、圧搾ピン、ヒートステーキング、及びリベットの使用が含まれる。半永久的な取り付け又はコンポーネント(部品)を分離するために道具を必要とする取り付けの例は、スクリュー(ねじくぎ)、ねじ部品、止め輪及びスナップフィットが含まれる。取り外し可能な取り付け又は追加的な道具を使用することなく手動によって分離され得る取り付けとしては、スナップフィット、ツイストロック機能、取り外し機能を解除するためのプッシュ、取り外し機能を解除するためのスクーイーズ、スライドレバー、掛け金及び光圧入(光プレスフィット)が含まれる。
【0019】
アンカーは、様々な断面プロファイルを有してよく、断面プロファイルとしては、例えば、円形状、楕円形状、長方形状、その他多角形状等が挙げられる。また、アンカーは、外側に、滑剤層、滑剤被覆物又は滑剤包装物を組み込んでもよく、摩擦を最小限度にすることできる。さらに、アンカーは、特有の生物学的結果を得るために治療薬を組み込んでもよい。またさらに、アンカーは、X線不透過性マーカー又はX線増強器を含んでもよい。
【0020】
本発明の特定の実施形態が、本願明細書において例示されて述べられたが、本発明は、そのような例示及び記述に限定されるべきではない。以下の特許請求の範囲内であれば、変形例及び改良例が本発明の一部として組み込まれてよく、さらに具現化されてよい。
以下、本発明の好適な態様を列挙する。
(1)デバイス取り付け部と、バーブ部と、圧縮ベアリング部とを含む、アンカー。
(2)前記圧縮ベアリング部が、前記デバイス取り付け部と、前記バーブ部との間に配置される、(1)に記載のデバイス。
(3)a. 医療デバイスと、
b. バーブと、
c. 該デバイスと該バーブとの間に配置される圧縮ベアリング部と、
を含む、固着型医療デバイス。
(4)前記バーブ部が金属である、(1)に記載の医療用固定デバイス。
(5)前記圧縮ベアリング部が線形である、(1)に記載の医療用固定デバイス。
(6)前記圧縮ベアリング部が非線形である、(1)に記載の医療用固定デバイス。
(7)デバイス取り付け部と、圧縮ベアリング部と、バーブ部とを有するフレキシブルなアンカーを含む医療用固定デバイスであって、
該デバイス取り付け部が医療デバイスと連結し、
該圧縮ベアリング部が該デバイス取り付け部と該バーブ部との間に配置されて、
該フレキシブルなアンカーが拡張状態と圧縮状態とを有し、
該圧縮状態が除去可能な抑制部によって維持され、
該圧縮状態中は、該圧縮ベアリング部が該除去可能な抑制部と接触し、
そして、該圧縮状態中は、該バーブ部が該除去可能な抑制部から分離される、
医療用固定デバイス。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B