【実施例】
【0021】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0022】
(参考例)(−)−ムスタコン及び(+)−ムスタコンの製造
(a)(−)−ムスタコンの製造
ガージャンバルサム油(gurjum balsam)5gを、順相中圧分取クロマトグラフィ(溶離液:ヘキサン)により精製し、1.5gの(−)−α−コパエンを得、文献(Tetrahedron(1965),21, 607−618)に記載の方法に準じて(−)−ムスタコンを得た。
【0023】
(b)(+)−ムスタコンの製造
アンジェリカシード油(angelica seed oil)200gからシリカゲルカラムクロマトグラフィにより炭化水素画分168gを得た。得られた画分のうち100gを用い、逆相中圧分取クロマトグラフィ(溶離液:水及びアセトニトリル)により精製し、0.2gの(+)−α−コパエンを得、上記文献に記載の方法に準じて(+)−ムスタコンを得た。
【0024】
(c)(±)−ムスタコンの調製
前記(a)及び(b)で得られた(−)体及び(+)体を等量混合し、(±)−ムスタコンを調製した。
【0025】
(実施例1)グレープフルーツ食品用香料組成物
下記処方に従って、グレープフルーツ食品用香料組成物(A−1)、(A−2)、(A−3)を調製した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
(比較例1)
比較例1として、下記処方に従いグレープフルーツ食品用香料組成物(B)を調製した。
【0030】
【表4】
【0031】
(比較試験例1)
実施例1及び比較例1で得られたグレープフルーツ食品用香料組成物(A−1)、(A−2)、(A−3)及び(B)をそれぞれ水に0.1重量%添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、実施例1の香料組成物(A−1)、(A−2)、(A−3)を添加した水のほうが、比較例1の香料組成物(B)を添加した水よりも、自然でみずみずしい果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0032】
(実施例2)市販グレープフルーツ果汁飲料への添加
市販グレープフルーツ果汁飲料に(±)−ムスタコンを5ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(±)−ムスタコンを添加することにより、ボリューム感に富んだ自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0033】
(実施例3)市販グレープフルーツ果汁飲料への添加
市販グレープフルーツ果汁飲料に(−)−ムスタコンを5ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(−)−ムスタコンを添加することにより、ボリューム感に富んだ自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0034】
(実施例4)市販グレープフルーツ果汁飲料への添加
市販グレープフルーツ果汁飲料に(+)−ムスタコンを5ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(+)−ムスタコンを添加することにより、ボリューム感に富んだ自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0035】
(実施例5)グレープフルーツ食品用香料組成物
下記処方に従って、グレープフルーツ食品用香料組成物(C−1)、(C−2)、(C−3)を調製した。
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
【表7】
【0039】
(比較例2)
比較例2として、下記処方に従いグレープフルーツ食品用香料組成物(D)を調製した。
【0040】
【表8】
【0041】
(比較試験例2)
実施例5及び比較例2で得られたグレープフルーツ食品用香料組成物(C−1)、(C−2)、(C−3)及び(D)をそれぞれ水に0.1重量%添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、実施例5の香料組成物(C−1)、(C−2)、(C−3)を添加した水のほうが、比較例2の香料組成物(D)を添加した水では感じられない、自然で濃厚な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0042】
(実施例6)オレンジ食品用香料組成物
下記処方に従って、オレンジ食品用香料組成物(E−1)、(E−2)、(E−3)を調製した。
【0043】
【表9】
【0044】
【表10】
【0045】
【表11】
【0046】
(比較例3)
比較例3として、下記処方に従いオレンジ食品用香料組成物(F)を調製した。
【0047】
【表12】
【0048】
(比較試験例3)
実施例6及び比較例3で得られたオレンジ食品用香料組成物(E−1)、(E−2)、(E−3)及び(F)をそれぞれ水に0.1重量%添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、実施例6の香料組成物(E−1)、(E−2)、(E−3)を添加した水のほうが、比較例3の香料組成物(F)を添加した水よりも、自然でみずみずしい果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0049】
(実施例7)市販オレンジ果汁飲料への添加
市販オレンジ果汁飲料に(±)−ムスタコンを5ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(±)−ムスタコンを添加することにより、ボリューム感に富んだ自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0050】
(実施例8)市販オレンジ果汁飲料への添加
市販オレンジ果汁飲料に(−)−ムスタコンを5ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(−)−ムスタコンを添加することにより、ボリューム感に富んだ自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0051】
(実施例9)市販オレンジ果汁飲料への添加
市販オレンジ果汁飲料に(+)−ムスタコンを5ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(+)−ムスタコンを添加することにより、ボリューム感に富んだ自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0052】
(実施例10)オレンジ食品用香料組成物
下記処方に従って、オレンジ食品用香料組成物(G−1)、(G−2)、(G−3)を調製した。
【0053】
【表13】
【0054】
【表14】
【0055】
【表15】
【0056】
(比較例4)
比較例4として、下記処方に従いオレンジ食品用香料組成物(H)を調製した。
【0057】
【表16】
【0058】
(比較試験例4)
実施例10及び比較例4で得られたオレンジ食品用香料組成物(G−1)、(G−2)、(G−3)及び(H)をそれぞれ水に0.1重量%添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、実施例10の香料組成物(G−1)、(G−2)、(G−3)を添加した水のほうが、比較例4の香料組成物(H)を添加した水では感じられない、自然で重厚な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0059】
(実施例11)レモン食品用香料組成物
下記処方に従って、レモン食品用香料組成物(I−1)、(I−2)、(I−3)を調製した。
【0060】
【表17】
【0061】
【表18】
【0062】
【表19】
【0063】
(比較例5)
比較例5として、下記処方に従いレモン食品用香料組成物(J)を調製した。
【0064】
【表20】
【0065】
(比較試験例5)
実施例11及び比較例5で得られたレモン食品用香料組成物(I−1)、(I−2)、(I−3)及び(J)をそれぞれ水に0.1重量%添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、実施例11の香料組成物(I−1)、(I−2)、(I−3)を添加した水のほうが、比較例5の香料組成物(J)を添加した水よりも、自然でみずみずしい果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0066】
(実施例12)市販レモン果汁飲料への添加
市販レモン果汁飲料に(±)−ムスタコンを5ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(±)−ムスタコンを添加することにより、ボリューム感に富んだ自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0067】
(実施例13)市販レモン果汁飲料への添加
市販レモン果汁飲料に(−)−ムスタコンを5ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(−)−ムスタコンを添加することにより、ボリューム感に富んだ自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0068】
(実施例14)市販レモン果汁飲料への添加
市販レモン果汁飲料に(+)−ムスタコンを5ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(+)−ムスタコンを添加することにより、ボリューム感に富んだ自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0069】
(実施例15)レモン食品用香料組成物
下記処方に従って、レモン食品用香料組成物(K−1)、(K−2)、(K−3)を調製した。
【0070】
【表21】
【0071】
【表22】
【0072】
【表23】
【0073】
(比較例6)
比較例6として、下記処方に従いレモン食品用香料組成物(L)を調製した。
【0074】
【表24】
【0075】
(比較試験例6)
実施例15及び比較例6で得られたレモン食品用香料組成物(K−1)、(K−2)、(K−3)及び(L)をそれぞれ水に0.1重量%添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、実施例15の香料組成物(K−1)、(K−2)、(K−3)を添加した水のほうが、比較例6の香料組成物(L)を添加した水では感じられない、自然で重厚な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0076】
(実施例16)市販アップル果汁飲料への添加
市販アップル果汁飲料に(±)−ムスタコンを0.5ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(±)−ムスタコンを添加することにより、固い果肉の印象を伴った自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0077】
(実施例17)市販アップル果汁飲料への添加
市販アップル果汁飲料に(−)−ムスタコンを0.5ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(−)−ムスタコンを添加することにより、固い果肉の印象を伴った自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0078】
(実施例18)市販アップル果汁飲料への添加
市販アップル果汁飲料に(+)−ムスタコンを0.5ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(+)−ムスタコンを添加することにより、固い果肉の印象を伴った自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0079】
(実施例19)アップル食品用香料組成物
下記処方に従って、アップル食品用香料組成物(M−1)、(M−2)、(M−3)を調製した。
【0080】
【表25】
【0081】
【表26】
【0082】
【表27】
【0083】
(比較例7)
比較例7として、下記処方に従いアップル食品用香料組成物(N)を調製した。
【0084】
【表28】
【0085】
(比較試験例7)
実施例19及び比較例7で得られたアップル食品用香料組成物(M−1)、(M−2)、(M−3)及び(N)をそれぞれ水に0.1重量%添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、実施例19の香料組成物(M−1)、(M−2)、(M−3)を添加した水のほうが、比較例7の香料組成物(N)を添加した水よりも、固い果肉の印象を伴った自然な果肉感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0086】
(実施例20)市販グレープ果汁飲料への添加
市販グレープ果汁飲料に(±)−ムスタコンを1ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(±)−ムスタコンを添加することにより、濃厚で自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0087】
(実施例21)市販グレープ果汁飲料への添加
市販グレープ果汁飲料に(−)−ムスタコンを1ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(−)−ムスタコンを添加することにより、濃厚で自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0088】
(実施例22)市販グレープ果汁飲料への添加
市販グレープ果汁飲料に(+)−ムスタコンを1ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(+)−ムスタコンを添加することにより、濃厚で自然な果汁感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0089】
(実施例23)
下記処方に従って、グレープ食品用香料組成物(O−1)、(O−2)、(O−3)を調製した。
【0090】
【表29】
【0091】
【表30】
【0092】
【表31】
【0093】
(比較例8)
比較例8として、下記処方に従いグレープ食品用香料組成物(P)を調製した。
【0094】
【表32】
【0095】
(比較試験例8)
実施例23及び比較例8で得られたグレープ食品用香料組成物(O−1)、(O−2)、(O−3)及び(P)をそれぞれ水に0.1重量%添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、実施例23の香料組成物(O−1)、(O−2)、(O−3)を添加した水のほうが、比較例8の香料組成物(P)を添加した水よりも、濃厚で自然な果肉感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0096】
(実施例24)市販ピーチ果汁飲料への添加
市販ピーチ果汁飲料に(±)−ムスタコンを1ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(±)−ムスタコンを添加することにより、繊維質のイメージを伴った自然な果肉感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0097】
(実施例25)市販ピーチ果汁飲料への添加
市販ピーチ果汁飲料に(−)−ムスタコンを1ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(−)−ムスタコンを添加することにより、繊維質のイメージを伴った自然な果肉感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0098】
(実施例26)市販ピーチ果汁飲料への添加
市販ピーチ果汁飲料に(+)−ムスタコンを1ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(+)−ムスタコンを添加することにより、繊維質のイメージを伴った自然な果肉感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0099】
(実施例27)
下記処方に従って、ピーチ食品用香料組成物(Q−1)、(Q−2)、(Q−3)を調製した。
【0100】
【表33】
【0101】
【表34】
【0102】
【表35】
【0103】
(比較例9)
比較例9として、下記処方に従いピーチ食品用香料組成物(R)を調製した。
【0104】
【表36】
【0105】
(比較試験例9)
実施例27及び比較例9で得られたピーチ食品用香料組成物(Q−1)、(Q−2)、(Q−3)及び(R)をそれぞれ水に0.1重量%添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、実施例27の香料組成物(Q−1)、(Q−2)、(Q−3)を添加した水のほうが、比較例9の香料組成物(R)を添加した水よりも、繊維質のイメージを伴った自然な果肉感が付与され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0106】
(実施例28)市販ワインテイスト飲料への添加
市販ワインテイスト飲料に(±)−ムスタコンを1ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(±)−ムスタコンを添加することにより、自然な樽香及び熟成感が強化され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0107】
(実施例29)市販ワインテイスト飲料への添加
市販ワインテイスト飲料に(−)−ムスタコンを1ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(−)−ムスタコンを添加することにより、自然な樽香及び熟成感が強化され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0108】
(実施例30)市販ワインテイスト飲料への添加
市販ワインテイスト飲料に(+)−ムスタコンを1ppb添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、(+)−ムスタコンを添加することにより、自然な樽香及び熟成感が強化され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0109】
(実施例31)
下記処方に従って、ワイン食品用香料組成物(S−1)、(S−2)、(S−3)を調製した。
【0110】
【表37】
【0111】
【表38】
【0112】
【表39】
【0113】
(比較例10)
比較例10として、下記処方に従いワイン食品用香料組成物(T)を調製した。
【0114】
【表40】
【0115】
(比較試験例10)
実施例31及び比較例10で得られたワイン食品用香料組成物(S−1)、(S−2)、(S−3)及び(T)をそれぞれ水に0.1重量%添加し、5名の専門パネラーによる官能試験を行ったところ、実施例31の香料組成物(S−1)、(S−2)、(S−3)を添加した水のほうが、比較例10の香料組成物(T)を添加した水よりも、自然な樽香及び熟成感が強化され、格段に優れていると全員が指摘した。
【0116】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2016年8月22日出願の日本特許出願(特願2016−162071)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。