(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記係止部を第1係止部とした場合に、前記切り替え部は、前記規制位置で前記他方を係止する第2係止部を含み、前記第2係止部による前記他方の係止と係止解除とを切り替えることで前記第1形態と前記第2形態との間で形態を変化させることができる、請求項1に記載のオスコネクタ。
前記雄ねじ部を第1雄ねじ部とし、前記雌ねじ部を第1雌ねじ部とした場合に、前記移動体の内周壁には第2雌ねじ部が形成され、前記メスコネクタの外周壁には前記第2雌ねじ部と螺合可能な第2雄ねじ部が形成され、
前記第1係止部は、前記第2雌ねじ部を含む、請求項4に記載のオスコネクタ。
前記移動体が前記ハウジング本体に対して所定の向きに回転することで前記第1雄ねじ部と前記第1雌ねじ部との螺合によって前記移動体が移動する方向と、前記メスコネクタが前記移動体に対して前記所定の向きに回転することで前記第2雄ねじ部と前記第2雌ねじ部との螺合によって前記メスコネクタが移動する方向とは、同一である、請求項5に記載のオスコネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、各実施形態に係る医療器具について、図面を参照して説明する。各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るオスコネクタ1a及びメスコネクタ2aを示す側面図であり、
図2は、
図1のI−I線に沿う断面図である。
図1及び
図2に示すオスコネクタ1a及びメスコネクタ2aは、相互に接続される前(非接続接続)の各々単体の状態を示している。以下、各実施形態に係るオスコネクタ及びメスコネクタにおいて、輸液ラインにて薬液等の流体の流路下流側(
図1の上方)となる一端側を「遠位端」側、輸液ラインにて流体の流路上流側(
図1の下方)となる他端側を「近位端」側と記載する。
【0024】
図1及び
図2に示すように、オスコネクタ1aは、ハウジング10aと、流路管部材40aと、弁体50aと、を備えている。ハウジング10aは、中空部11を区画しており、流路管部材40aは、中空部11内に延在すると共に延在方向の遠位端側の一端部に開口42を有し、弁体50aは、中空部11内に位置すると共に流路管部材40aの延在方向の遠位端側の一端部を覆うことで開口42を閉鎖している。
【0025】
また、
図1及び
図2に示すように、メスコネクタ2aは、ハウジング60aと、弾性弁体70と、を備えている。ハウジング60aは中空部としてオスコネクタ挿入部61及び流路66を区画しており、弾性弁体70は、ハウジング60aの近位端に位置し、天面がオスコネクタ挿入部61に面し、底面がメスコネクタ2aの外部に面している。
【0026】
以下、オスコネクタ1a及びメスコネクタ2aそれぞれの構成について詳細に説明する。説明の便宜上、オスコネクタ1aのハウジング10aを「第1ハウジング10a」、メスコネクタ2aのハウジング60aを「第2ハウジング60a」と記載する。また、説明の便宜上、オスコネクタ1aの流路41を「第1流路41」、メスコネクタ2aの流路66を「第2流路66」と記載する。
【0027】
<オスコネクタ1a>
第1ハウジング10aは、ハウジング本体20aと、ハウジング本体20aに対して移動可能な移動体30aとを備えている。第1ハウジング10aの中空部11は、ハウジング本体20aが区画する中空部29及び移動体30aが区画する中空部39により構成されている。
【0028】
ハウジング本体20aは、近位端側の一端が第1ハウジング10aの近位端18を構成し、近位端側から遠位端側に延在する筒状部材である。ハウジング本体20aの内周壁21には、第1雌ねじ部23が形成されている。また、ハウジング本体20aの内周壁21には、内部に突出した爪状の凸部22が設けられている。凸部22の遠位端側の端面は、径方向内側ほど近位端側に向かうように傾斜している。一方、凸部22の近位端側の端面は、径方向と略平行になっている。
【0029】
移動体30aは、近位端側から遠位端側に延在する筒状部材であり、近位端側に近位端側筒部32、遠位端側に遠位端側筒部33をそれぞれ備えている。遠位端側筒部33の遠位端側の一端は、第1ハウジング10aの遠位端19を構成している。近位端側筒部32の外周壁(近位端側外周壁)34には、第1雄ねじ部35が形成されている。この第1雄ねじ部35がハウジング本体20aの内周壁21に形成された第1雌ねじ部23と螺合することにより、移動体30aは、ハウジング本体20aに対して近位端側及び遠位端側に移動可能である。本例では、移動体30aがハウジング本体20aに対して右回りに相対的に回転することで、第1雄ねじ部35と第1雌ねじ部23との螺合によって移動体30aが近位端側に移動し、相対的に左回りに回転することで遠位端側に移動する。また、遠位端側筒部33の内周壁(遠位端側内周壁)36には、後述するメスコネクタ2aに形成された第2雄ねじ部65aと螺合可能な第2雌ねじ部37aが形成されている。
【0030】
移動体30aは、近位端側筒部32と遠位端側筒部33との間の外周壁に、凹部31が設けられている。この凹部31に、ハウジング本体20aの内周壁21に設けられた第2係止部としての凸部22が嵌合して係止することで、
図2に示すように、移動体30aは、流路管部材40aが弁体50aを貫通せずに、流路管部材40aの開口42が弁体50aに閉鎖される形態(以下、適宜「第1形態」と記載する)を維持するように移動が規制される。以下、第1形態を維持するように移動体30aの移動を規制するときの凸部22の位置、すなわち凹部31に嵌合して係止した凸部22の位置を規制位置と記載する。本例では、
図2のA−A線に沿う断面図として
図3に示すように、ハウジング本体20aの内周壁21の周方向に沿って略等間隔に設けられた4つの凸部22が、移動体30aの外周壁の周方向全周に亘って連続的に設けられた凹部31としての環状の溝に嵌合している。
【0031】
また、移動体30aは、弁体50aの遠位端側の端部を内部に保持する筒状の弁体保持部38を備えている。弁体保持部38は、遠位端側筒部33の内側に設けられている。更に、近位端側筒部32の内壁には、近位端側に面する段差面32’が形成されている。弁体50aは、移動体30aがハウジング本体20aに対して近位端側に移動する際に、移動体30aの段差面32’に押圧されることにより、近位端側に圧縮変形する。
【0032】
第1ハウジング10aを形成するハウジング本体20a及び移動体30aの材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリスチレン;ポリアミド;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリカーボネート;ポリ−(4−メチルペンテン−1);アイオノマー;アクリル樹脂;ポリメチルメタクリレート;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂);アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂);ブタジエン−スチレン共重合体;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル;ポリエーテル;ポリエーテルケトン(PEK);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルイミド;ポリアセタール(POM);ポリフェニレンオキシド;変性ポリフェニレンオキシド;ポリサルフォン;ポリエーテルサルフォン;ポリフェニレンサルファイド;ポリアリレート;芳香族ポリエステル(液晶ポリマー);ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂;などの各種樹脂材料が挙げられる。また、これらのうちの1種以上を含むブレンド体やポリマーアロイなどでもよい。その他に、各種ガラス材、セラミックス材料、金属材料であってもよい。
【0033】
流路管部材40aは、内部に第1流路41を区画し、第1流路41は開口42を通じて外部と連通している。流路管部材40aは、第1ハウジング10aの近位端18でハウジング本体20aと連結し、ハウジング本体20aの中空部29の近位端側を封止している。流路管部材40aは、近位端側の端部に、医療用チューブ等の医療器具と接続可能な医療器具接続部43を備えている。また、流路管部材40aは、第1ハウジング10aの中空部11内に延在し、遠位端部に開口42が形成されている流路管本体46を備えている。第1流路41は医療器具接続部43の近位端から流路管本体46の遠位端部の開口42まで連通している。また、流路管部材40aは、遠位端側の端部に、流路管部材40aの延在方向の遠位端側に向かって縮径する先端部44を備えている。本実施形態では、先端部44は縮径率の異なる2つのテーパー部分からなる形状であるが、半紡錘形状や円錐形状であってもよい。
【0034】
流路管部材40aは、上述した第1ハウジング10aと同様の材料により形成することが可能である。
【0035】
弁体50aは、第1ハウジング10a内で、流路管本体46を覆っている。具体的に、本実施形態の弁体50aは、遠位端側及び近位端側に弾性変形可能な蛇腹筒部56と、この蛇腹筒部56の中空部の遠位端側を閉鎖するように蛇腹筒部56に連続し、移動体30aの弁体保持部38に保持される先端部57と、を有している。蛇腹筒部56の近位端側の端部は流路管部材40aと当接している。先端部57は、移動体30aの弁体保持部38に保持されている。具体的に、弁体50aの蛇腹筒部56と先端部57との間には径方向外側に突出する環状フランジ部58が形成されており、この環状フランジ部58が上述した移動体30aの段差面32’に突き当たることにより、先端部57が、弁体保持部38の遠位端から突出することなく、弁体保持部38内に収容された状態を維持することができる。また、先端部57には、近位端側から遠位端側に貫通するスリット51が形成され、遠位端側の端面である天面52は、凸状の曲面を有し、弁体保持部38から外部に露出している。本実施形態では、天面52全体が凸状の曲面を形成しているが、スリット51の周囲のみが凸状の曲面であってもよい。天面52は、凸状の曲面を有することにより、後述するメスコネクタ2aの弾性弁体70の天面72と密着しやすくなり、接続されたメスコネクタ2aが抜去される際に、薬液等の液体が外部に漏れ出すことをより確実に抑制することができる。また、
図2に示す第1形態では、流路管部材40aの開口42を含む遠位端側の端部は弁体50aに覆われており、開口42は閉鎖されている。弁体50aは、硬度がショアA硬度10以上70以下であることが好ましく、ショアA硬度20以上50以下であることがより好ましい。硬度がショアA硬度10より小さいと、第1流路41内の圧力が高まったときに、薬液等の流体が外部に漏れ出すおそれがある。硬度がショアA硬度70より大きいと、弁体50aと接続されたメスコネクタ2aの弾性弁体70との当接が不十分になり、接続されたメスコネクタ2aが抜去される際に、薬液等の流体が外部に漏れ出すおそれがある。また、弁体50aは、硬度がショアA硬度20以上50以下であれば、メスコネクタ2aとの好適な密着性を確保することができ、接続されたメスコネクタ2aが抜去される際に、薬液等の流体が外部に漏れ出すことをより確実に抑制することができる。
【0036】
弁体50aは、金型成形され、弾性変形可能に形成される。この弁体50aの材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムのような各種ゴム材料や、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合したものであってもよい。弁体50aを、別々の材料により形成することも、同一の材料により形成することも可能である。
【0037】
<メスコネクタ2a>
第2ハウジング60aは、オスコネクタ1aが外方から挿入されるオスコネクタ挿入部61を区画するキャップ62と、このキャップ62を支持し、第2流路66を区画するホルダ63とを備えている。オスコネクタ挿入部61は、キャップ62及びホルダ63により区画された中空部であり、第2流路66は、ホルダ63により区画された中空部であり、オスコネクタ挿入部61は第2流路66より近位端側に区画されている。第2ハウジング60aが区画する中空部は、オスコネクタ挿入部61と第2流路66とで構成されている。
【0038】
キャップ62の外周壁64には、移動体30aの遠位端内周壁36に形成された第2雌ねじ部37aと螺合可能な第2雄ねじ部65aが形成されている。本例では、メスコネクタ2aが移動体30aに対して相対的に右回りに回転することで、第2雄ねじ部65aと第2雌ねじ部37aとの螺合によって、メスコネクタ2aが近位端側に移動し、相対的に左回りに回転することで遠位端側に移動する。すなわち、移動体30aがハウジング本体20aに対して所定の向き(右回り又は左回り)に回転することで第1雄ねじ部35と第1雌ねじ部23との螺合によって移動体30aが移動する方向と、メスコネクタ2aが移動体30aに対して当該所定の向きに回転することで第2雄ねじ部65aと第2雌ねじ部37aとの螺合によってメスコネクタ2aが移動する方向とは、同一である。第2ハウジング60aは、上述したオスコネクタ1aの第1ハウジング10aと同様の材料により形成することが可能である。
【0039】
弾性弁体70には、近位端側から遠位端側に貫通するスリット71が形成されている。弾性弁体70の底面72は、近位端側から外部に露出している。弾性弁体70は、上述したオスコネクタ1aの弁体50aと同様の材料により形成することが可能である。弾性弁体70は、硬度がショアA硬度20以上60以下であることが好ましい。また、弾性弁体70は、硬度がオスコネクタ1aの弁体50aの硬度より大きいことが好ましい。弾性弁体70の硬度を弁体50aの硬度より大きくすることで、第2流路66内の圧力が高まったときに、薬液等の流体が外部に漏れ出すことを抑えつつ、オスコネクタ1aとメスコネクタ2aとを接続した際の弾性弁体70の変形量を抑え易くなる。弾性弁体70の変形量が大きいと、メスコネクタ2aからオスコネクタ1aを抜去した際に、第2流路66内に負圧が発生し、第2流路66と連通している患者の血管から血液を吸引するおそれがある。
【0040】
以下、
図2、
図4及び
図5を参照しながら、オスコネクタ1aとメスコネクタ2aとを接続する手順について説明する。
図4は、オスコネクタ1a及びメスコネクタ2aの第1接続状態を示す断面図であり、
図5は、オスコネクタ1a及びメスコネクタ2aの第2接続状態を示す断面図である。
図2、
図4及び
図5中の白抜き矢印は、メスコネクタ2aをオスコネクタ1aに接続させる際に、メスコネクタ2aをオスコネクタ1aに対して相対的に回転させる向きを示している。第1接続状態及び第2接続状態の詳細については後述する。
【0041】
図2に示すように、ハウジング本体20aの第2係止部としての凸部22が移動体30aの凹部31に嵌合して係止した状態、すなわち規制位置にある状態で、第1形態が維持されたオスコネクタ1aに対して、オスコネクタ1aの遠位端側にメスコネクタ2aの近位端側を接近させながら、メスコネクタ2aをオスコネクタ1aに対して相対的に右回りに回転させる。すると、メスコネクタ2aの第2雄ねじ部65aとオスコネクタ1aの第2雌ねじ部37aとの螺合によってメスコネクタ2aがオスコネクタ1aに対して相対的に近位端側に移動し、
図4に示すように、メスコネクタ2aの弾性弁体70の底面72とオスコネクタ1aの弁体50aの天面52とが当接して当接領域73を形成する。当接領域73は、弾性弁体70の底面72と弁体50aの天面52との全面が当接して形成する必要はなく、両者の流路管部材40aが通過する部分が少なくとも当接していればよい。本実施形態では、弾性弁体70のスリット71の周辺と、弁体50aのスリット51の周辺と、が少なくとも当接して当接領域73を形成していればよい。このとき、メスコネクタ2aの第2雄ねじ部65aとオスコネクタ1aの第2雌ねじ部37aとが螺合することで、メスコネクタ2aがオスコネクタ1aに対して係止する。換言すると、オスコネクタ1aの第2雌ねじ部37aは、第2雄ねじ部65aとの螺合によってメスコネクタ2aを係止する第1係止部を構成する。このとき、第2係止部としての凸部22は、規制位置で凹部31との嵌合状態(係止状態)を維持している。以下、
図4に示すようなオスコネクタ1a及びメスコネクタ2aの接続状態を、「第1接続状態」と記載する。本例では、第1接続状態においては、移動体30aの遠位端19がメスコネクタ2aのキャップ62に当接した状態となっている。第1接続状態において、移動体30aの遠位端19がメスコネクタ2aのキャップ62に当接する代わりに、弁体保持部38の遠位端がメスコネクタ2aのキャップ62に当接した状態となっていてもよい。
【0042】
図4に示す第1接続状態において、メスコネクタ2aをオスコネクタ1aに対して更に相対的に右回りに回転させる。すると、移動体30aの遠位端19がメスコネクタ2aのキャップ62に当接した状態となっているため、移動体30aが、メスコネクタ2aと一体的にハウジング本体20aに対して相対的に右回りに回転しようとする。そのため、凸部22と凹部31との嵌合状態が解除される。換言すると、第2係止部としての凸部22は、第1係止部としての第2雌ねじ部37aが当接領域73を維持してメスコネクタ2aを係止している状態のまま、移動体30aを係止して移動を規制する規制位置から移動体30aの係止を解除して移動を許容する許容位置へと変位する。より詳細には、凸部22は、上述したように、遠位端側の端面が径方向内側ほど近位端側に向かうように傾斜しているため、近位端側に進行しようとする移動体30aによって径方向外側に押し出されることで、許容位置へと変位することになる。
【0043】
凸部22が許容位置に変位した後、メスコネクタ2aをオスコネクタ1aに対して更に相対的に右回りに回転させると、移動体30aは、第1雄ねじ部35と第1雌ねじ部23との螺合状態を変化させることにより、メスコネクタ2aと一体的にハウジング本体20aに対して相対的に近位端側に移動する。これにより、移動体30aは、第2雌ねじ部37aによりメスコネクタ2aを係止している状態のまま、流路管部材40aが弁体50aを貫通せず開口42が弁体50aに閉鎖される第1形態から、流路管部材40aが弁体50aを貫通して開口42が弁体50aから開放される形態(以下、適宜「第2形態」と記載する)に変化するように、弁体50aを変形又は移動させて、
図5に示す状態となる。このとき、流路管部材40aは、当接領域73を通じて弁体50a及び弾性弁体70を貫通するため、開口42を通じて第1流路41と第2流路66とを連通させる。以下、
図5に示すようなオスコネクタ1a及びメスコネクタ2aの接続状態を、「第2接続状態」と記載する。
【0044】
一方、
図5に示す第2接続状態で、メスコネクタ2aをオスコネクタ1aに対して相対的に左回りに回転させると、移動体30aは、第1雄ねじ部35が第1雌ねじ部23との螺合状態を変化させることにより、第2雌ねじ部37aによりメスコネクタ2aを係止している状態のままメスコネクタ2aと一体的にハウジング本体20aに対して相対的に遠位端側に移動する。これにより、移動体30aは、第2形態から第1形態に変化するように、弁体50aを変形又は移動させる。また、第2形態から第1形態に変化するように移動体30aを移動させることにより、流路管部材40aは当接領域73を通じて弾性弁体70から抜去される。弁体50aは、第2形態では移動体30aの近位端側への移動によって圧縮されており、移動体30aを復元力により第1形態となるように付勢するため、第1形態から第2形態に変化させるよりも弱い力で第2形態から第1形態に変化させることができる。そして、移動体30aの凹部31がハウジング本体20aの凸部22の位置に到達すると、凸部22が凹部31に嵌合して規制位置に変位し、
図4に示す第1接続状態となる。
【0045】
図4に示す第1接続状態から、メスコネクタ2aをオスコネクタ1aに対してさらに相対的に左回りに回転させると、移動体30aは凸部22を介してハウジング本体20aに移動が規制されているため、メスコネクタ2aの第2雄ねじ部65aと移動体30aの第2雌ねじ部37aとの螺合によって、メスコネクタ2aが移動体30aに対して相対的に遠位端側に移動する。より詳細には、凸部22は、上述したように、近位端側の端面が径方向と略平行になっているため、遠位端側に進行しようとする移動体30aによっても径方向外側には押し出されず、規制位置に留まり続ける。このとき、メスコネクタ2aの弾性弁体70の底面72とオスコネクタ1aの弁体50aの天面52との当接は解除される。すなわち、当接領域73がなくなる。そして、メスコネクタ2aの第2雄ねじ部65aと移動体30aの第2雌ねじ部37aとの螺合が解除され、メスコネクタ2aを移動体30aに対して相対的に遠位端側に引き抜くことで、
図2に示すような非接続状態となる。
【0046】
このように、第2係止部としての凸部22は、移動体30aの係止と係止解除とを切り替えることで、第1形態と第2形態との間で形態を変化させることができる。すなわち、凸部22は規制位置と許容位置との間で変位可能な切り替え部を構成する。
【0047】
以上のように、本実施形態に係るオスコネクタ1aによると、オスコネクタ1aの流路管部材40aがメスコネクタ2aの弾性弁体70に抜き差しされる際には、移動体30aの第2雌ねじ部37aと第2ハウジング60aの第2雄ねじ部65aとの螺合によって、メスコネクタ2aが、オスコネクタ1aの弁体50aとメスコネクタ2aの弾性弁体70とが当接して当接領域73を形成した状態で、オスコネクタ1aに係止される。流路管部材40aは、この当接領域73を通じて弁体50aと弾性弁体70とを貫通する。従って、オスコネクタ1aの流路管部材40aがメスコネクタ2aに対して抜き差しされる際には、オスコネクタ1aの弁体50aとメスコネクタ2aの弾性弁体70とが当接しているため、オスコネクタ1aの流路管部材40aの開口42から流体が外部に漏れ出すことを抑制できる。
【0048】
また、本実施形態に係るオスコネクタ1aによると、メスコネクタ2aを接続する際には、メスコネクタ2aをオスコネクタ1aに対して相対的に右回りに回転させ続けることで第1接続状態を経て第2接続状態とすることができ、メスコネクタ2aを抜去する際には、メスコネクタ2aをオスコネクタ1aに対して相対的に左回りに回転させ続けることで第2接続状態から第1接続状態を経て抜去することができる。従って、オスコネクタ1aにメスコネクタ2aを接続する際にも抜去する際にも、メスコネクタ2aをオスコネクタ1aに対して所定の向き(本例では一回転方向)に回転させるという一動作のみでよいため、取り扱いが容易である。
【0049】
図6は、本実施形態に係るオスコネクタ1aの変形例に係るオスコネクタ1a’を示す断面図であり、
図7は、
図6のB−B線に沿う断面図である。
図6及び
図7に示すように、オスコネクタ1a’は、第1ハウジング10a’と、流路管部材40aと、弁体50aと、を備えている。
【0050】
第1ハウジング10a’は、ハウジング本体20a’と、ハウジング本体20a’に対して移動可能な移動体30a’とを備えている。ハウジング本体20a’は、ハウジング本体20aの凸部22に代えて、内周壁21に凹部22’を設け、その他の構成をハウジング本体20aと同一としている。移動体30a’は、移動体30aの凹部31に代えて、近位端側筒部32と遠位端側筒部33との間の外周壁に凸部31’を設け、その他の構成を移動体30aと同一としている。
【0051】
このような第1ハウジング10a’によっても、第1ハウジング10aと同様に、
図6に示すように、凸部31’が凹部22’に嵌合して係止する規制位置に配置されることで、第1形態を維持するように、移動体30a’のハウジング本体20a’に対する移動が規制される。また、第1ハウジング10a’の移動体30a’に設けられた凸部31’は、第1ハウジング10aのハウジング本体20aに設けられた凸部22と同様に、第1係止部としての第2雌ねじ部37aがメスコネクタ2aを係止している状態のまま、第1形態に維持するように移動体30a’のハウジング本体20a’に対する移動を規制する規制位置と、第1形態から第2形態へ変化するように移動体30a’のハウジング本体20a’に対する移動を許容する許容位置と、の間で変位可能な切り替え部を構成する。
【0052】
凸部31’を規制位置から許容位置に変位させる際には、オスコネクタ1aと同様に、メスコネクタ2aをオスコネクタ1a’に対して相対的に右回りに回転させることで、凸部31’と凹部22’との嵌合状態が解除される構成としてもよいが、例えば
図7の白抜き矢印で示すように、凸部31’を外部から押圧することで許容位置に変位させ、凹部22’との嵌合状態を解除する構成としてもよい。
【0053】
図8は、本実施形態に係るオスコネクタ1aのハウジング本体20aの他の変形例に係るハウジング本体20a’’の一部を示す断面図である。
図8に示すように、ハウジング本体20a’’は、凸部22に加えて、又は凸部22に代えて、第1雌ねじ部23の遠位端側の端部付近の溝内壁に、突起24を有する構成としてもよい。かかる場合に、移動体30a’’は、凹部31に加えて、又は凹部31に代えて、第1雌ねじ部23の螺旋状の溝に沿って摺動して移動する突起部31’’を有する。
図8では、説明の便宜上、移動体30a’’の突起部31’’を二点鎖線により示している。ハウジング本体20a’’の突起24は、移動体30a’’の突起部31’’を第1雌ねじ部23の溝の遠位端の端部との間で保持して、第1形態に維持するように移動体30a’’の移動を規制する規制位置と、突起部31’’を突起24を越えて近位端側に移動させて第1形態から第2形態へ変化するように移動体30a’’の移動を許容する許容位置と、の間で変位可能な切り替え部を構成する。
【0054】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係るオスコネクタ1b及びメスコネクタ2bを示す断面図である。
図9に示すオスコネクタ1b及びメスコネクタ2bは、相互に接続される前(非接続接続)の各々単体の状態を示している。
【0055】
図9に示すように、オスコネクタ1bは、第1ハウジング10bと、流路管部材40aと、弁体50aと、を備えている。第1ハウジング10bは、ハウジング本体20bと、ハウジング本体20bに対して移動可能な移動体30bとを備えている。
【0056】
ハウジング本体20bは、第1雌ねじ部23が形成されていないこと以外は、第1実施形態のハウジング本体20aと同一の構成を有する。移動体30bは、第1雄ねじ部35及び第2雌ねじ部37aが形成されず、かつ、凸部37bが設けられている以外は、第1実施形態の移動体30aと同一の構成を有する。凸部37bは、移動体30bの遠位端側筒部33の遠位端に設けられた、内部に突出した爪状の突起である。
【0057】
図9に示すように、メスコネクタ2bは、第2ハウジング60bと、弾性弁体70と、を備えている。第2ハウジング60bは、第2雄ねじ部65aが形成されず、かつ、凹部65bが設けられている以外は、第1実施形態の第2ハウジング60aと同一の構成を有する。凹部65bは、オスコネクタ1bの移動体30bに設けられた凸部37bが嵌合可能に形成されている。
【0058】
以下、
図9、
図10及び
図11を参照しながら、オスコネクタ1bとメスコネクタ2bとを接続する手順について説明する。
図10は、本実施形態に係るオスコネクタ1b及びメスコネクタ2bの第1接続状態を示す断面図であり、
図11は、本実施形態に係るオスコネクタ1b及びメスコネクタ2bの第2接続状態を示す断面図である。
図9、
図10及び
図11中の白抜き矢印は、メスコネクタ2bをオスコネクタ1bに接続させる際に、メスコネクタ2bをオスコネクタ1bに対して相対的に移動させる方向を示している。本実施形態の第1接続状態及び第2接続状態は、第1実施形態の各接続状態と同様の接続状態を意味する。
【0059】
図9に示すように、ハウジング本体20bの凸部22が移動体30bの凹部31に嵌合して係止した状態、すなわち規制位置にある状態で、第1形態が維持されたオスコネクタ1bに対して、オスコネクタ1bの遠位端側にメスコネクタ2bの近位端側を接近させて、メスコネクタ2bのキャップ62を移動体30bの遠位端側筒部33に押し込む。すると、メスコネクタ2bのキャップ62に押されることで移動体30bの遠位端側筒部33に設けられた凸部37bが拡径方向に変位し、キャップ62が遠位端側筒部33の中空部39に挿入されて近位端側に移動する。そして、
図10に示すように、メスコネクタ2bの弾性弁体70の底面72とオスコネクタ1bの弁体50aの天面52とが当接して当接領域73を形成しつつ、凸部37bが凹部65bに嵌合し、メスコネクタ2bがオスコネクタ1bに対して係止する。換言すると、オスコネクタ1bの凸部37bは、凹部65bとの嵌合によってメスコネクタ2bを係止する第1係止部を構成する。このとき、第2係止部としての凸部22は、規制位置で凹部31との嵌合状態(係止状態)を維持している。
【0060】
図10に示す第1接続状態において、メスコネクタ2bをオスコネクタ1bに対して更に押しこむ。すると、移動体30bが、メスコネクタ2bと一体的にハウジング本体20bに対して近位端側に移動しようとするため、凸部22と凹部31との嵌合状態が解除される。換言すると、第2係止部としての凸部22は、第1係止部としての凸部37bがメスコネクタ2bを係止している状態のまま、移動体30bを係止して移動を規制する規制位置から移動体30bの係止を解除して移動を許容する許容位置へと変位する。具体的に、本実施形態の第2係止部としての凸部22は、径方向外側に移動することで、規制位置から許容位置へと変位し、径方向内側に移動することで、許容位置から規制位置へと変位する。
【0061】
凸部22が許容位置に変位した後、メスコネクタ2bをオスコネクタ1bに対して更に押し込むと、移動体30bは、ハウジング本体20bの内周壁21に沿って、メスコネクタ2bと一体的にハウジング本体20bに対して相対的に近位端側に移動する。これにより、移動体30bは、凸部37bによりメスコネクタ2bを係止している状態のまま、流路管部材40aが弁体50aを貫通せず開口42が弁体50aに閉鎖される第1形態から、流路管部材40aが弁体50aを貫通して開口42が弁体50aから開放される第2形態に変化するように、弁体50aを変形又は移動させて、
図11に示す状態となる。このとき、流路管部材40aは、当接領域73を通じて弁体50a及び弾性弁体70を貫通するため、開口42を通じて第1流路41と第2流路66とを連通させる。
【0062】
一方、
図11に示す第2接続状態で、メスコネクタ2bをオスコネクタ1bに対して遠位端側に引っ張ると、移動体30bは、ハウジング本体20bの内周壁21に沿って、凸部37bによりメスコネクタ2bを係止している状態のままメスコネクタ2bと一体的にハウジング本体20bに対して相対的に遠位端側に移動する。これにより、移動体30bは、第2形態から第1形態に変化するように、弁体50aを変形又は移動させる。弁体50aは、第2形態では移動体30bの近位端側への移動によって圧縮されており、移動体30bを復元力により第1形態となるように付勢するため、第1形態から第2形態に変化させるよりも弱い力で第2形態から第1形態に変化させることができる。そして、移動体30bの凹部31がハウジング本体20bの凸部22の位置に到達すると、凸部22が凹部31に嵌合するように規制位置に変位し、
図10に示す第1接続状態となる。
【0063】
図10に示す第1接続状態から、メスコネクタ2bをオスコネクタ1bに対してさらに遠位端側に引っ張ると、移動体30bは凸部22を介してハウジング本体20bに移動が規制されているため、メスコネクタ2bの凹部65bと移動体30bの凸部37bとの嵌合状態が解除され、メスコネクタ2bがオスコネクタ1bに対して相対的に遠位端側に移動する。このとき、メスコネクタ2bの弾性弁体70の底面72とオスコネクタ1bの弁体50aの天面52との当接は解除される。そして、メスコネクタ2bを遠位端側に引き抜くことで、
図9に示すような非接続状態となる。
【0064】
このように、第2係止部としての凸部22は、移動体30bの係止と係止解除とを切り替えることで、第1形態と第2形態との間で形態を変化させることができる。すなわち、凸部22は規制位置と許容位置との間で変位可能な切り替え部を構成する。
【0065】
以上のように、本実施形態に係るオスコネクタ1bによると、オスコネクタ1bの流路管部材40aがメスコネクタ2bの弾性弁体70に抜き差しされる際には、移動体30bの凸部37bと第2ハウジング60bの凹部65bとの嵌合によって、メスコネクタ2bが、オスコネクタ1bの弁体50aとメスコネクタ2bの弾性弁体70とが当接して当接領域73を形成した状態で、オスコネクタ1bに係止される流路管部材40aは、この当接領域73を通じて弁体50aと弾性弁体70とを貫通する。従って、オスコネクタ1bの流路管部材40aがメスコネクタ2bに対して抜き差しされる際には、オスコネクタ1bの弁体50aとメスコネクタ2bの弾性弁体70とが当接しているため、オスコネクタ1bの流路管部材40aの開口42から流体が外部に漏れ出すことを抑制できる。
【0066】
また、本実施形態に係るオスコネクタ1bによると、メスコネクタ2bを接続する際には、メスコネクタ2bをオスコネクタ1bに対して相対的に近位端側に押し込み続けることで第1接続状態を経て第2接続状態とすることができ、メスコネクタ2bを抜去する際には、メスコネクタ2bをオスコネクタ1bに対して相対的に遠位端側に引っ張り続けることで第2接続状態から第1接続状態を経て抜去することができる。従って、オスコネクタ1bにメスコネクタ2bを接続する際にも抜去する際にも、メスコネクタ2bをオスコネクタ1bに対して移動させたい方向(本例では一直線方向)に付勢するという一動作のみでよいため、取り扱いが容易である。
【0067】
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態に係るオスコネクタ1c及びメスコネクタ2aを示す断面図である。
図12に示すオスコネクタ1c及びメスコネクタ2aは、相互に接続される前(非接続接続)の各々単体の状態を示している。
【0068】
図12に示すように、オスコネクタ1cは、第1ハウジング10cと、流路管部材40cと、弁体50cと、を備えている。第1ハウジング10cは、ハウジング本体20cと、ハウジング本体20cに対して移動可能な移動体30cとを備えている。
【0069】
ハウジング本体20cは、第1雌ねじ部23に代えて、第1雌ねじ部23とは逆ねじの関係にある第1雌ねじ部23’を備えること以外は、第1実施形態のハウジング本体20aと同一の構成を有する。移動体30cは、第1雄ねじ部35に代えて、第1雄ねじ部35とは逆ねじの関係にある第1雄ねじ部35’を備え、かつ、遠位端側筒部33及び弁体保持部38に代えて、遠位端側により長い遠位端側筒部33’及び弁体保持部38’を備えること以外は、第1実施形態の移動体30aと同一の構成を有する。
【0070】
流路管部材40cは、遠位端側により長いこと以外は、第1実施形態の流路管部材40aと同一の構成を有する。弁体50cは、遠位端側により長いこと以外は、第1実施形態の弁体50aと同一の構成を有する。
【0071】
以下、
図12、
図13及び
図14を参照しながら、オスコネクタ1cとメスコネクタ2aとを接続する手順について説明する。
図13は、本実施形態に係るオスコネクタ1c及びメスコネクタ2aの第1接続状態を示す断面図であり、
図14は、本実施形態に係るオスコネクタ1c及びメスコネクタ2aの第1接続状態を示す断面図である。
図12、
図13及び
図14中の白抜き矢印は、メスコネクタ2aをオスコネクタ1cに接続させる際に、メスコネクタ2aをオスコネクタ1cに対して相対的に回転させる向きを示している。本実施形態の第1接続状態及び第2接続状態は、第1実施形態の各接続状態と同様の接続状態を意味する。
【0072】
図12に示すように、ハウジング本体20cの凸部22が移動体30cの凹部31に嵌合して係止した状態、すなわち規制位置にある状態で、第1形態が維持されたオスコネクタ1cに対して、オスコネクタ1cの遠位端側にメスコネクタ2aの近位端側を接近させながら、メスコネクタ2aをオスコネクタ1cに対して相対的に右回りに回転させる。すると、メスコネクタ2aの第2雄ねじ部65aとオスコネクタ1cの第2雌ねじ部37aとの螺合によってメスコネクタ2aがオスコネクタ1cに対して相対的に近位端側に移動し、
図13に示すように、メスコネクタ2aの弾性弁体70の底面72とオスコネクタ1cの弁体50aの天面52とが当接して当接領域73を形成する。このとき、メスコネクタ2aの第2雄ねじ部65aとオスコネクタ1cの第2雌ねじ部37aとが螺合することで、メスコネクタ2aがオスコネクタ1cに対して係止する。換言すると、オスコネクタ1cの第2雌ねじ部37aは、第2雄ねじ部65aとの螺合によって当接領域73を維持したままメスコネクタ2aを係止する第1係止部を構成する。このとき、第2係止部としての凸部22は、規制位置で凹部31との嵌合状態(係止状態)を維持している。
【0073】
図13に示す第1接続状態において、例えば移動体30cを把持して、移動体30cをハウジング本体20cに対して相対的に左回りに回転させる。すると、移動体30cが、メスコネクタ2aと一体的にハウジング本体20cに対して相対的に左回りに回転しようとするため、凸部22と凹部31との嵌合状態が解除される。換言すると、第2係止部としての凸部22は、第1係止部としての第2雌ねじ部37aがメスコネクタ2aを係止している状態のまま、移動体30cを係止して移動を規制する規制位置から移動体30cの係止を解除して移動を許容する許容位置へと変位する。
【0074】
凸部22が許容位置に変位した後、移動体30cをハウジング本体20cに対して更に相対的に左回りに回転させると、移動体30cは、第1雄ねじ部35’と第1雌ねじ部23’との螺合状態を変化させることにより、メスコネクタ2aと一体的にハウジング本体20cに対して相対的に近位端側に移動する。これにより、移動体30cは、第2雌ねじ部37aによりメスコネクタ2aを係止している状態のまま、流路管部材40cが弁体50cを貫通せず開口42が弁体50cに閉鎖される第1形態から、流路管部材40cが弁体50cを貫通して開口42が弁体50cから開放される形態(以下、適宜「第2形態」と記載する)に変化するように、弁体50cを変形又は移動させて、
図14に示す状態となる。このとき、流路管部材40cは、当接領域73を通じて弁体50c及び弾性弁体70を貫通するため、開口42を通じて第1流路41と第2流路66とを連通させる。
【0075】
一方、
図14に示す第2接続状態で、移動体30cをハウジング本体20cに対して相対的に右回りに回転させると、移動体30cは、第1雄ねじ部35’が第1雌ねじ部23’との螺合状態を変化させることにより、第2雌ねじ部37aによりメスコネクタ2aを係止している状態のままメスコネクタ2aと一体的にハウジング本体20cに対して相対的に遠位端側に移動する。これにより、移動体30cは、第2形態から第1形態に変化するように、弁体50cを変形又は移動させる。弁体50cは、第2形態では移動体30cの近位端側への移動によって圧縮されており、移動体30cを復元力により第1形態となるように付勢するため、第1形態から第2形態に変化させるよりも弱い力で第2形態から第1形態に変化させることができる。そして、移動体30cの凹部31がハウジング本体20cの凸部22の位置に到達すると、凸部22が凹部31に嵌合して規制位置に変位し、
図13に示す第1接続状態となる。
【0076】
図13に示す第1接続状態から、メスコネクタ2aをオスコネクタ1cに対して相対的に左回りに回転させると、移動体30cは凸部22を介してハウジング本体20cに移動が規制されているため、メスコネクタ2aの第2雄ねじ部65aと移動体30cの第2雌ねじ部37aとの螺合によって、メスコネクタ2aがオスコネクタ1cに対して相対的に遠位端側に移動する。このとき、メスコネクタ2aの弾性弁体70の底面72とオスコネクタ1cの弁体50cの天面52との当接は解除される。そして、メスコネクタ2aの第2雄ねじ部65aと移動体30cの第2雌ねじ部37aとの螺合が解除され、メスコネクタ2aを遠位端側に引き抜くことで、
図12に示すような非接続状態となる。
【0077】
このように、第2係止部としての凸部22は、移動体30cの係止と係止解除とを切り替えることで、第1形態と第2形態との間で形態を変化させることができる。すなわち、凸部22は規制位置と許容位置との間で変位可能な切り替え部を構成する。
【0078】
以上のように、本実施形態に係るオスコネクタ1cによると、オスコネクタ1cの流路管部材40cがメスコネクタ2aの弾性弁体70に抜き差しされる際には、移動体30cの第2雌ねじ部37aと第2ハウジング60aの第2雄ねじ部65aとの螺合によって、メスコネクタ2aが、オスコネクタ1cの弁体50cとメスコネクタ2aの弾性弁体70とが当接して当接領域73を形成した状態で、オスコネクタ1cに係止される。流路管部材40cは、この当接領域73を通じて弁体50cと弾性弁体70とを貫通する。従って、オスコネクタ1cの流路管部材40cがメスコネクタ2aに対して抜き差しされる際には、オスコネクタ1cの弁体50cとメスコネクタ2aの弾性弁体70とが当接しているため、オスコネクタ1cの流路管部材40cの開口42から流体が外部に漏れ出すことを抑制できる。
【0079】
(第4実施形態)
最後に、上述したオスコネクタ1a、1a’、1b又は1c(以下、総称して「オスコネクタ1」と記載する)を備える医療器具としての輸液チューブセット100について説明する。
図15は、第4実施形態としての、オスコネクタ1を備える輸液チューブセット100を、上述したメスコネクタ2a又は2b(以下、総称して「メスコネクタ2」と記載する)を備える別の輸液チューブセット110に接続する様子を示す図である。輸液チューブセット100及び別の輸液チューブセット110は、生体に薬液等の輸液を投与するために用いられる。
図15に示すように、輸液チューブセット100は、薬液容器200と接続される接続器具102と、この接続器具102よりも下流側(遠位端側)に位置するオスコネクタ1と、接続器具102とオスコネクタ1とを繋ぐ医療用チューブ103と、を備えている。また、医療用チューブ103の途中には、その部分を閉塞するクランプ104が装着されていてもよい。このクランプ104は、医療用チューブ103を外側から挟持するように押圧して、医療用チューブ103内を圧閉するよう構成される。
【0080】
このような構成の輸液チューブセット100では、クランプ104を取り外した状態で、薬液容器200内の薬液等の液体が接続器具102から医療用チューブ103を通じてオスコネクタ1に流入する。そして、オスコネクタ1が、例えば、混注ポートとして上述したメスコネクタ2を備える別の輸液チューブセット110に、メスコネクタ2を介して接続されている場合には、オスコネクタ1に流入した液体は、オスコネクタ1及びメスコネクタ2内を通過し、別の輸液チューブセット110へと流入し、生体まで供給される。
【0081】
接続器具102は、近位端部に位置し、薬液容器200に接続される第1接続部105と、遠位端部に位置し、医療用チューブ103に接続される第2接続部106と、外壁から側方に向かって突出して設けられ、シリンジが接続される第3接続部107と、を備えている。接続器具102内には、第1接続部105から第2接続部106まで連通し、薬液容器200内の液体を医療用チューブ103へと輸送可能なメイン流路と、第1接続部105と第3接続部107との間で連通し、薬液容器200と第3接続部107に接続されるシリンジとの間で液体の輸送が可能なサブ流路と、が区画されている。
【0082】
したがって、例えば抗癌剤を含む薬液が内部に収容されたシリンジを、接続器具102の第3接続部107と接続することにより、シリンジ内の薬液を接続器具102のサブ流路を介して薬液容器200へと輸送することができる。そして、薬液容器200内に収容された抗癌剤を含む薬液は、接続器具102のメイン流路及び医療用チューブ103内を通じて、オスコネクタ1まで供給される。
【0083】
上述したように、オスコネクタ1の遠位端側にメスコネクタ2を接続し、抗癌剤を含む薬液を別の輸液チューブセット110内へ供給することにより、抗癌剤を含む薬液を生体へと投与することができる。そして、薬液投与が完了し、オスコネクタ1とメスコネクタ2との接続を解除する際には、オスコネクタ1の弁体50a又は50cが閉鎖するため、オスコネクタ1の遠位端から抗癌剤を含む薬液が漏れ出ることが抑制される。
【0084】
オスコネクタ1を備える医療器具として輸液チューブセット100を例示したが、オスコネクタ1は、輸液チューブセットに限らず、他の医療器具に用いることも可能である。例えば、シリンジ本体の先端部にオスコネクタ1を備えるシリンジとしてもよい。かかる場合には、例えば、上述した接続器具102の第3接続部107をメスコネクタ2と同様の構成とし、オスコネクタ1を備えるシリンジを、第3接続部107に接続するようにすればよい。
【0085】
本開示に係るオスコネクタ、オスコネクタを備える医療器具、及びオスコネクタとメスコネクタとの接続方法は、上述した実施形態の構成に限定されず、特許請求の範囲で記載された内容を逸脱しない範囲で、様々な構成により実現することが可能である。例えば、弁体50a、50cは、流路管部材40a、40cの遠位端側の一端を覆わなくてもよく、第1形態で流路管部材40a、40cの開口42を閉鎖し、第2形態で流路管部材40a、40cの開口42を開放する構成であればよい。
【0086】
また、弁体50a、50cのスリット51及び弾性弁体70のスリット71は、予め設けられている必要はなく、流路管部材40a、40cに穿刺されて連通可能な構成であればよい。
【0087】
また、凸部22の近位端側の端面は、径方向と略平行である必要はなく、遠位端側に進行しようとする移動体30aによっても径方向外側に押し出されず規制位置に留まり続ける構成であればよい。例えば、凸部22の近位端側の端面は、径方向内側ほど近位端側に向かうように傾斜していてもよい。