【文献】
Aoi, W., et al.,Muscle-enriched microRNA miR-486 decreases in circulation in response to exercise in young men,Frontiers in physiology,2013年,Vol.4, No.80,pp.1-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
配列番号3の26番目の位置のG、及び/又は配列番号4の26番目の位置のC、及び/又は配列番号5の26番目の位置のCの存在を決定することが、前記対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、前記対象は、1つ以上の食事介入の前記対象への適用後、血糖値のコントロールをより良好に改善すると予測されることを示す、請求項1に記載の方法。
前記方法が、miRNA−486のレベル、及び/又はmiR−486に遺伝的に関連した1つ以上の多型位置にある前記対象のヌクレオチドの決定を、前記対象の1つ以上の人体計測値及び/又は生活習慣の特徴と組み合わせるステップを更に含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
前記人体計測値が、性別、体重、身長、年齢、体脂肪組成、及び体格指数からなる群から選択され、前記生活習慣の特徴が、前記対象が喫煙者であるか又は非喫煙者であるかに関するものである、請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0049】
減量の程度の予測
本発明は、一態様において、1つ以上の食事介入を対象に適用することによって達成可能な減量の程度、及び/又は1つ以上の食事介入後の減量の維持の程度を予測するための方法に関する。本発明により、減量介入前及び/又は体重維持介入前に、患者の体重の推移の正確な予測が可能となる。
【0050】
本方法を用い、対象の減量及び/又は減量を維持する能力について情報に基づいた予測を行い、それに応じて1つ以上の食事介入を選択又は調整することができる。
【0051】
例えば、本発明を用い、体重管理プログラムの結果を予測すること、体重管理プログラムを適合させること、並びにこのようなプログラム後の患者を効果が高いプロファイルの群又は効果が低いプロファイルの群に層別化することができる。例えば、本方法を用い、食事介入の適用によって減量を達成する尤度の「高い」又は「低い」対象を同定することができる。同様に、本方法を用い、食事介入後に減量を維持する尤度の「高い」又は「低い」対象を同定することができる。
【0052】
特定の実施形態において、本方法を用い、対象の減量する能力について情報に基づいた予測を行い、それに応じて1つ以上の食事介入を選択又は調整することができる。例えば、食事介入が低カロリー食療法である場合、本方法を用い、対象にとって適切な食事を選択すること、又は減量の程度に影響する1日当たりのカロリー摂取量若しくは特定の食事の継続期間を調整すること、又は対象にとって現実的な期待値を設定することによって低カロリー食療法の遵守を高めることが可能になる。また本方法を用い、対象の生活習慣の改善を支援することができる。
【0053】
本方法は、当業者に対し、どの対象が特定の食事介入、例えば低カロリー食療法から効果を得る可能性が最も高いかを評価するための有用な手段を提供する。したがって、本方法によって、低カロリー食療法などの食事介入及び生活習慣の改善を最適化することができる。
【0054】
本明細書で定義される減量は、体重(例えばキログラム)、体格指数(kgm
−2)、又は腹囲(例えばセンチメートル)、又はウエスト・ヒップ比(例えばセンチメートル)などのパラメータの減少を指す場合がある。減量は、食事介入の開始時の前述のパラメータの値から、食事介入の終了時の前述のパラメータのうちの1つ以上の値を差し引くことによって算出することができる。減量の程度は、食事介入を適用することによって対象が達成すると予測される体格指数によって表すのが好ましい。
【0055】
減量の程度は、対象の体重(例えばキログラム)又は体格指数(kgm
−2)のパーセント値で表す場合がある。例えば、対象は、自身の初期体重の少なくとも10%、自身の初期体重の少なくとも8%、又は自身の初期体重の少なくとも5%を減量すると予測され得る。単に例として、対象は、自身の初期体重の5〜10%を減量すると予測される場合がある。
【0056】
一実施形態において、減量の程度が初期体重の少なくとも10%である場合、肥満関連の併存症のリスクが大幅に低下する。
【0057】
本明細書で定義される体重維持は、食事介入後の体重(例えばキログラム)、体格指数(kgm
−2)、ウエスト・ヒップ比(例えばセンチメートル)、体脂肪量(例えばキログラム)、腰回り(例えばセンチメートル)、又は腹囲(例えばセンチメートル)などのパラメータの維持を指し得る。
【0058】
体重維持の程度は、食事介入の終了後、ある期間中の前述のパラメータのうちの1つ以上における変化を求めることにより算出できる。この期間は、例えば、食事介入の終了後、少なくとも4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、又は52週間とすることができる。
【0059】
体重維持の程度は、食事介入の終了後、ある期間中の体重変化のパーセント値で表す場合がある。例えば、体重を維持しやすい対象は、再増加量が、食事介入中の減量の50、40、30、20、10、5%、又は1%未満となる見込みであり得る。
【0060】
血糖コントロール改善の程度の予測
本発明は、一態様において、1つ以上の食事介入を対象に適用することによって達成可能な血糖コントロール改善の程度を予測するための方法に関する。本発明により、減量介入前及び/又は体重維持介入前に、患者の血糖コントロールの推移の正確な予測が可能となる。
【0061】
本方法を用い、対象の血糖コントロールを改善する能力について情報に基づいた予測を行い、それに応じて1つ以上の食事介入を選択又は調整することができる。
【0062】
特定の実施形態において、本方法を用い、対象の血糖コントロールを改善する能力について情報に基づいた予測を行い、それに応じて1つ以上の食事介入を選択又は調整することができる。例えば、食事介入が低カロリー食療法である場合、本方法を用い、対象にとって適切な食事を選択すること、又は血糖コントロール改善の程度に影響する1日当たりのカロリー摂取量若しくは特定の食事の継続期間を調整すること、又は対象にとって現実的な期待値を設定することによって低カロリー食療法の遵守を高めることが可能になる。また本方法を用い、対象の生活習慣の改善を支援することができる。
【0063】
本方法は、当業者に対し、どの対象が特定の食事介入、例えば低カロリー食療法から効果を得る可能性が最も高いかを評価するための有用な手段を提供する。したがって、本方法によって、低カロリー食療法などの食事介入及び生活習慣の改善を最適化することができる。
【0064】
本明細書で定義される血糖コントロールは、対象における血糖値のコントロールを指し得る。
【0065】
グルコースは体の主要エネルギー源であり、体は、代謝恒常性の一部として、血糖値を厳密に、自然に制御している。外因性グルコースは腸から吸収され、内因性グルコースと共に血流中に循環し、細胞は血流よりグルコースを利用する。骨格筋並びに肝臓及び脂肪組織の細胞は、膵臓のβ細胞によって産生されるインスリンの作用に応じて、グルコースを利用する。
【0066】
血糖値が高すぎると、体は短期間にわたり食欲を抑制する。しかしながら、長期間の高血糖値(高血糖症)は、心臓疾患、眼、腎臓、及び神経障害などの多くの健康障害の原因となる。
【0067】
血糖値が一定の範囲内であれば、典型的には、良好な健康を伴う。高血糖症は、インスリン抵抗性、前糖尿病、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、又は心臓血管疾患などの状態と関連性があり得る。これに対し、血糖値が非常に低いと、場合によっては、致命的な低血糖症を来す可能性がある。低血糖症は、無気力、精神機能障害;易刺激性;ふるえ、単収縮、腕及び脚の筋肉の衰弱;青ざめた顔色;発汗;妄想性又は攻撃的精神状態、及び意識消失などの症状と関連性があり得る。
【0068】
血糖値及び血糖コントロールは、例えば、空腹時血漿グルコース(FPG)濃度の測定、並びに糖化ヘモグロビン(HbA1c)、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)、インスリン抵抗性の恒常性モデル評価(HOMA−IR)、又はMatsuda指数によって求めることができる。
【0069】
例えばFPG又はOGTT試験を用いて血糖値を求める場合、典型的には、血清又は血漿を用いて求める。血液試料を採取し、血液画分を分離する手法は、当該技術分野において周知である。例えば、静脈血試料は、針を用いて患者から採取し、プラスチック管中に保管することができる。採取管は、例えば、スプレーコーティングしたシリカ、及び血清分離のためのポリマーゲルを含んでいてもよい。血清は、1300RCFにおいて室温で10分間の遠心分離によって分離し、小型プラスチック管中、−80℃で保管することができる。
【0070】
血糖コントロールにおける改善は、本明細書において、FPG値、OGTT血糖値、HbA1cのパーセント値、HOMA−IR、又はMatsuda指数スコアなどのパラメータの低減によって言及することができる。
【0071】
FPG試験は、対象の空腹時血糖値を、食後約8〜14時間、例えば8、12、又は14時間測定することを含む。世界保健機関は、以下の空腹時血糖検査結果を定義している:
正常:6.1mmol/L(110mg/dL)未満
空腹時血糖障害:6.1〜6.9mmol/L(111mg/dL〜125mg/dL)
糖尿病:7.0mmol/L以上(126mg/dL以上)
一実施形態において、血糖コントロールの改善の程度は、対象のFPG値のパーセント値で表す場合がある。例えば、対象のFPGは、食事介入前のFPG値に比べ、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも7%、又は少なくとも10%低下すると予測され得る。
【0072】
HbA1c試験は、1日の任意の時点における対象の糖化ヘモグロビンのパーセント値を測定することを含む。世界保健機関は6.5%のHbA1cを糖尿病診断の推奨カットオフポイントとしており、また、6.5%未満の値であっても糖尿病を除外せず、糖尿病は、血糖検査を用いて更に診断され得る。
【0073】
一実施形態において、血糖コントロールの改善の程度は、対象のHbA1cのパーセント値で表す場合がある。例えば、対象のHbA1cのパーセント値は、食事介入前のHbA1c値に比べ、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも7%、又は少なくとも10%低下すると予測され得る。
【0074】
HOMA−IRスコアは、空腹時血糖値及びインスリン値から得られる(Matthews et al.;1985;Diabetologia.;28(7):412〜419)。HOMA−IRスコアが高くなるほど、インスリン感受性がより低いことを示す。インスリン抵抗性を定義するためのカットポイントは、母集団、年齢、及び性別に依存し得る(Gayoso−Diz et al.BMC Endocrine Disorder4s 2013,13:47)。例えば、17の欧州系母集団の大規模試験(Stern et al.;2005;Diabetes;54:333〜339)において、インスリン抵抗性の診断は以下のように定義された:
BMI>28.9kg/m
2かつHOMA−IR>4.65
BMI>27.5kg/m
2かつHOMA−IR>3.60
臨床診療においては、HOMA−IR>3(又は場合によっては>2)でインスリン抵抗性と定義し、HOMA−IR>5で重篤なインスリン抵抗性と定義する。
【0075】
一実施形態において、血糖コントロールの改善の程度は、対象のHOMA−IRのパーセント値で表す場合がある。例えば、対象のHOMA−IRのパーセント値は、食事介入前のHOMA−IR値に比べ、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも7%、又は少なくとも10%低下すると予測され得る。
【0076】
OGTTは、対象への経口グルコースの投与と、グルコースが血中から消失する速度の測定を伴う。典型的には、ゼロ時間(ベースライン)の血液試料の線を引き、ベースラインの血糖値及び/又はインスリン値を求められるようにした後、ゼロ時間から5分以内に経口グルコース用量を対象に投与し、グルコース投与後の間隔で以降の血糖値を測定する。グルコース用量は典型的には75gであり、結果は、通常、グルコース摂取後1又は2時間の血糖値に基づいて求める。
【0077】
1時間の血糖値が10mmol/L(180mg/dL)未満であれば、典型的には正常とみなされる。2時間の血糖値が7.8mmol/L(140mg/dL)未満であれば正常であり、一方、これよりも高い血糖値は高血糖症であることを示す。血漿グルコースが7.8mmol/L(140mg/dL)〜11.1mmol/L(200mg/dL)であれば「耐糖能障害」を示し、2時間の値が11.1mmol/L(200mg/dL)超であれば、糖尿病の診断が確定する。
【0078】
一実施形態において、血糖コントロールの改善の程度は、対象のOGTT血糖値のパーセント値で表す場合がある。例えば、対象のOGTT血糖値は、食事介入前のOGTT血糖値に比べ、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも7%、又は少なくとも10%低下すると予測され得る。
【0079】
Matsuda指数は総合指数であり、本明細書に記載の経口ブドウ糖負荷試験によって得られたデータから、全身の生理的インスリン感受性を評価する(Matsuda et al.;1999;Diabetes Care;22:1462〜1740)。
【0080】
したがって、Matsuda指数は、OGTT値とインスリン感受性値との合成値を提供する。Matsuda指数の算出は、1ミリリットル当たりのマイクロ単位(μU/mL)で示されるインスリン値と、OGTT及び対応する空腹時の値から得られる1デシリットル当たりのミリグラム(mg/L)で示される血糖値とに基づく。全身のインスリン感受性の指数は、肝組織及び末梢組織の両方のインスリン感受性を合算している。この指数は、空腹状態及びOGTT中の血漿グルコース濃度(mg/dL)及びインスリン濃度(mIU/L)から算出する。
【0081】
【数1】
I
0−空腹時血漿インスリン濃度(mIU/L)、
G
0−空腹時血漿グルコース濃度(mg/dL)、
G
平均−OGTT中の平均血漿グルコース濃度(mg/dL)、
I
平均−OGTT中の平均血漿インスリン濃度(mU/L)、
10,000−0〜12の数値を得るための単純化定数(simplifying constant)。
【0083】
一実施形態において、血糖コントロールの改善の程度は、対象のMatsuda指数スコアのパーセント値で表す場合がある。例えば、対象のMatsuda指数スコアは、食事介入前のMatsuda指数スコアに比べ、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも7%、又は少なくとも10%低下すると予測され得る。
【0084】
血糖コントロールの改善の程度は、食事介入の終了後、一定期間中の前述のパラメータのうちの1つ以上における変化を求めることにより算出できる。この期間は、例えば、食事介入の終了後、少なくとも4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、又は52週間とすることができる。
【0085】
対象
好ましくは、対象は哺乳動物、好ましくはヒトである。あるいは、対象は、ヒト以外の哺乳動物、例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、又はブタなどであってもよい。一実施形態において、対象は、イヌ又はネコなどのコンパニオンアニマルである。
【0086】
試料
本発明は、対象から得られた1つ以上の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベルを測定するステップを含む。
【0087】
試料は、血液、唾液、又は尿由来であることが好ましい。試料は、血液由来であることがより好ましい。試料は、血液画分を含有していてもよい、又は、全血であってもよい。試料は、好ましくは血漿又は血清を、最も好ましくは血漿を含む。対象から試料を採取するための手法は、当該技術分野において周知である。
【0088】
試料は、脂肪組織試料であっても骨格筋試料であってもよい。
【0089】
本発明は、個体からあらかじめ取り出された試料からの、本明細書で定義されるバイオマーカー(上記定義のものであり得る)の検出を含む。
【0090】
食事介入
用語「食事介入」は、対象の食事に変化をもたらす、対象に適用される外部要因を意味する。一実施形態において、食事介入は低カロリー食療法である。
【0091】
好ましくは、低カロリー食療法は、約600〜約1500kcal/日、より好ましくは約600〜約1200kcal/日、最も好ましくは約800kcal/日のカロリー摂取量を含む。一実施形態において、低カロリー食療法は、1日当たり所定量(グラム単位)の野菜、好ましくは最大約400g/日の野菜、例えば約200g/日の野菜を含み得る。
【0092】
低カロリー食療法は、少なくとも1種のダイエット食品の投与を含み得る。ダイエット食品は、例えば対象の食欲を抑制し得る、食事代替食品又は栄養補助食品であってもよい。ダイエット食品としては、食品製品、飲料、ペットフード製品、栄養補助食品、機能性食品、食品添加物、又は栄養配合物を挙げることができる。
【0093】
一実施形態において、低カロリー食療法は、Optifast(登録商標)又はModifast(登録商標)などの製品を含み得る。これには、総エネルギー摂取量が約2.5MJ(600kcal/日)となるように、非デンプン質の野菜を3回に分けて補充してもよい。これには、1日当たり少なくとも2Lの、水、又はエネルギーを含まない他の飲料を更に補充してもよい。
【0094】
別の実施形態において、低カロリー食療法は、例えば、46.4%の炭水化物、32.5%のタンパク質、並びに合わせて20.1%の脂肪、ビタミン、ミネラル、及び微量元素であり、1日当たり2.1MJ(510kcal/日)である組成物を含み得る。これには、総エネルギー摂取量が約2.5MJ(600kcal/日)となるように、非デンプン質の野菜を3回に分けて補充してもよい。これには、1日当たり少なくとも2Lの、水、又はエネルギーを含まない他の飲料を更に補充してもよい。
【0095】
一実施形態において、低カロリー食療法は、最長12週間の継続期間を有する。好ましくは、低カロリー食療法は、6〜12週間、好ましくは8〜10週間、例えば8週間の継続期間を有する。
【0096】
バイオマーカー
miR−486
microRNA(miRNA)は、mRNAの安定性及び翻訳の両方に影響を及ぼすことによって、多細胞生物における遺伝子発現の転写後調節に関与する、短い(例えば20〜24nt)非コードRNAである。
【0097】
ヒトには、2つのmiR−486アイソフォーム、hsa−miR−486−1(miR−486−1)及びhsa−miR−486−2(miR−486−2)がある。
【0098】
例示的なmiR−486−1の配列は、受託番号NR_030161.1によって同定され、本明細書では配列番号1として示す。
【0099】
配列番号1
GCATCCTGTACTGAGCTGCCCCGAGGCCCTTCATGCTGCCCAGCTCGGGGCAGCTCAGTACAGGATAC
例示的なmiR−486−2の配列は、受託番号NR_106984.1によって同定され、本明細書では配列番号2として示す。
【0100】
配列番号2
TCCTGTACTGAGCTGCCCCGAGCTGGGCAGCATGAAGGGCCTCGGGGCAGCTCAGTACAGGATG
本明細書で用いる場合、用語miR−486は、miR−486−1又はmiR−486−2を指し得る。
【0101】
miRNA、例えば、試料中のmiR−486のレベルの測定に用いられ得る多数の方法があることが、当業者には明らかであろう。
【0102】
例えば、試料からRNAを単離する方法は当該技術分野において既知であり、例えば、mirVana PARISキット(Ambion)及びTrizol LS(Invitrogen)などの市販のRNA単離キットが挙げられる。RNA(miRNAを含む)の単離は、RNaseが存在する場合にこれを活性化するため、チオシアン酸グアニジン、LiCl、ドデシル硫酸ナトリウム、及び/又はフェノールなどの強力な変性剤の存在下で実施され得る。RNAを事前に単離せずに、例えば、試料から微小胞などの小胞を単離することによって、miRNA配列の検出用試料を処理することも可能である。
【0103】
試料中のmiRNAの検出方法は当該技術分野において既知であり、これらに限定されるものではないが、ノーザンブロット法(Va(’)rallyay et al;2008;Nature Protocols;3;190〜196)、マイクロアレイ(Barad et al;2004;Genome Res;14(12):2486〜94)、in situハイブリダイゼーション(Song et al;2010;Methods Mol Biol;629:287〜294)、液相中の単一分子検出(Arata et al;2012;PLoS ONE;7(11):e48329)、超並列配列決定(massively parallel sequencing)(Eminaga et al;2013;Curr Protoc Mol Biol;103:4.17〜4.17.14)、及び定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)(Varkonyi−Gasic et al.;2005)が挙げられる。
【0104】
試料中のRNAは、miRNA配列の検出前に増幅することができる。試料中のRNAを増幅する方法は当該技術分野において既知であり、逆転写PCR(RT−PCR)、核酸配列ベース増幅(NASBA)が挙げられる。
【0105】
RT−PCRによるcDNA合成のプライマーは、全てのmiRNA配列に共通の配列を供給することにより、例えば、ライゲーション又はターミナルトランスフェラーゼの作用と、その後のアダプターオリゴッド(T)プライマー(adaptor-oligo(dT)primer)のアニーリングでポリ(A)テールなどを供給することにより、提供することができる。更なる方法は、ステムループプライマーの使用及び/又はmiRNA特異的プライマーの使用を含む。
【0106】
多型位置
用語「多型」は、ヌクレオチド配列が異なる、又は、様々な数の反復ヌクレオチド単位を有する、遺伝子座の母集団における2種以上の別の形態(対立遺伝子)を指す。多型は、遺伝子の翻訳領域(エクソン)、非翻訳領域、又は遺伝子外領域(遺伝子間領域)に生じる。
【0107】
「対立遺伝子」は、遺伝子の他の形態、遺伝子マーカー、又は他の遺伝子座と区別できる、遺伝子の特定の形態、遺伝子マーカー、又は他の遺伝子座である。用語「対立遺伝子」としては、例えば、これに限定するものではないが、一塩基多型(SNP)の一形態が挙げられる。それぞれは、二倍体細胞中の特定の対立遺伝子についてホモ接合の場合があり、すなわち、対になる両方の染色体上の対立遺伝子は同一である、又は、上記の対立遺伝子についてヘテロ接合の場合があり、すなわち、対になる両方の染色体上の対立遺伝子は同一ではない。
【0108】
用語「遺伝子」は、1つの機能を実行するDNAの単位を指す。通常、この機能は1つのRNA又は1つのタンパク質の産生に相当する。遺伝子は、翻訳領域、イントロン、非翻訳領域、及び調節領域を含有し得る。
【0109】
本明細書で用いる場合、語句「遺伝子マーカー」は、ある個体の、対象とする1つ以上の遺伝子座に関連するゲノム(例えば、ある個体のゲノム中に存在するヌクレオチド配列又はポリヌクレオチド配列)の特徴を指す。典型的には、遺伝子マーカーは多型であり、遺伝子マーカーの変異型としては、他にも多くの例はあるがとりわけ、例えば、一塩基多型(SNP)、インデル(すなわち、挿入/欠失)、単純反復配列(SSR)、制限断片長多型(RFLP)、ランダム増幅多型DNA法(RAPD)、開裂増幅多型配列(CAPS)マーカー、多様性アレイ法(Diversity Arrays Technology)(DArT)マーカー、及び増幅断片長多型(AFLP)、マイクロサテライト、又は単純反復配列(SSR)が挙げられる。
【0110】
「一塩基多型(SNP)」は、ゲノム(又はある種の個体間で共有されている他の配列)中の単一のヌクレオチド−A(アデニン)、T(チミン)、C(シトシン)、又はG(グアニン)−が、ある種の個体間(又は個体における対になる染色体間)で異なる場合に生じる、DNA配列の変異である。
【0111】
「遺伝子型」は、本明細書で用いる場合、個体において対になる(相同)染色体上の単一の遺伝子座上の遺伝子マーカーの両方の対立遺伝子の組み合わせを指し、例えば、SNPに限定されない。
【0112】
用語「ハプロタイプ」は、同一の染色体上に共に位置する別個のマーカー(例えば、SNP)の変異型又は対立遺伝子を指す。
【0113】
「連鎖不平衡」(「対立遺伝子の相関」とも呼ばれる)は、所与の母集団において個体頻度から予期されるよりも高頻度で親から子孫へと分離する場合に、2つ以上の遺伝子座にある特定の対立遺伝子が共に連鎖群を保つ傾向にある現象を指す。
【0114】
一態様において、本発明は、1つ以上の食事介入を対象に適用することによって達成可能な減量の程度、及び/又は1つ以上の食事介入後の減量の維持の程度を予測するための方法であって、方法が、対象から得られた1つ以上の試料中のマイクロRNA−486(miR−486)のレベルを測定するステップ、及び/又はmiR−486に遺伝的に関連した1つ以上の多型位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含む、方法を提供する。
【0115】
別の態様において、本発明は、1つ以上の食事介入を対象に適用することによって達成可能な血糖コントロールの改善の程度を予測するための方法であって、方法が、対象から得られた1つ以上の試料中のマイクロRNA−486(miR−486)のレベルを測定するステップ、及び/又はmiR−486に遺伝的に関連した1つ以上の多型位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含む、方法を提供する。
【0116】
多型部位は、対象母集団において、1つ以上の食事介入を適用することによって達成可能な減量、及び/又は1つ以上の食事介入後の減量の維持との関連性を有するものであり得る。これは、多型部位の特定のヌクレオチド又はヌクレオチド配列が、上記の減量及び/又は維持に関連することを意味する。
【0117】
多型部位は、対象母集団において1つ以上の食事介入を適用することによって達成可能な血糖コントロールの改善との関連性を有するものであり得る。これは、多型部位の特定のヌクレオチド又はヌクレオチド配列が、上記の血糖コントロールの改善と相関性があることを意味する。
【0118】
miR−486に遺伝的に関連した多型位置は、表1及び/又は表2で同定されるSNPのうちの1つ以上であり得る。
【0119】
したがって、本方法は、配列番号3〜33のうちの1つ以上の26番目の位置の対象のヌクレオチドを決定するステップを含み得る。
【0120】
本方法は、配列番号3(rs545936)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号3の26番目の位置のGの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されることを示す。
【0121】
本方法は、配列番号4(rs6981587)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号4の26番目の位置のCの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されることを示す。
【0122】
本方法は、配列番号5(rs190249167)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号5の26番目の位置のCの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmiR−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0123】
本方法は、配列番号6(rs56306962)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号6の26番目の位置のCの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されることを示す。
【0124】
本方法は、配列番号7(rs518629)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号7の26番目の位置のTの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されることを示す。
【0125】
本方法は、配列番号8(rs77072645)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号8の26番目の位置のGの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されることを示す。
【0126】
本方法は、配列番号9(rs486499)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号9の26番目の位置のGの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されることを示す。
【0127】
本方法は、配列番号10(rs554340)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号10の26番目の位置のCの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されることを示す。
【0128】
本方法は、配列番号11(rs519619)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号11の26番目の位置のAの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されることを示す。
【0129】
本方法は、配列番号12(rs11996576)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号12の26番目の位置のGの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されることを示す。
【0130】
本方法は、配列番号13(rs3736217)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号13の26番目の位置のGの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されることを示す。
【0131】
本方法は、配列番号14(rs6983305)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号14の26番目の位置のTの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されることを示す。
【0132】
本方法は、配列番号15(rs55794933)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号15の26番目の位置のAの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmir−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0133】
本方法は、配列番号16(rs72638941)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号16の26番目の位置のCの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmir−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0134】
本方法は、配列番号17(rs72638952)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号17の26番目の位置のGの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmir−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0135】
本方法は、配列番号18(rs72638939)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号18の26番目の位置のCの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmir−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0136】
本方法は、配列番号19(rs72638940)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号19の26番目の位置のAの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmir−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0137】
本方法は、配列番号20(rs117956059)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号20の26番目の位置のCの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmir−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0138】
本方法は、配列番号21(rs72638943)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号21の26番目の位置のTの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmir−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0139】
本方法は、配列番号22(rs72638944)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号22の26番目の位置のGの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmir−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0140】
本方法は、配列番号23(rs72638945)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号23の26番目の位置のCの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmir−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0141】
本方法は、配列番号24(rs72638947)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号24の26番目の位置のCの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmir−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0142】
本方法は、配列番号25(rs72638950)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号25の26番目の位置のAの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmir−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0143】
本方法は、配列番号26(rs78673930)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号26の26番目の位置のAの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmir−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0144】
本方法は、配列番号27(rs139183594)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号27の26番目の位置のTの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmir−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0145】
本方法は、配列番号28(rs77385495)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号28の26番目の位置のTの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmir−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0146】
本方法は、配列番号29(rs117135799)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号29の26番目の位置のTの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmir−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0147】
本方法は、配列番号30(rs117308321)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号30の26番目の位置のAの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmir−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0148】
本方法は、配列番号31(rs76356889)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号31の26番目の位置のTの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmir−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0149】
本方法は、配列番号32(rs80105613)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号32の26番目の位置のTの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmir−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0150】
本方法は、配列番号33(rs116964396)の26番目の位置にある対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができ、配列番号33の26番目の位置のAの存在が、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、より減量すると予測されること、及び/又は、対象は減量をより良好に維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールをより良好に改善すると予測されること、及び/又は、対象はより高いmir−486レベルを有すると予測されることを示す。
【0151】
上記で言及した「26番目の位置のX」(ここで、「X」は、配列番号3〜33のそれぞれについての26番目の位置でそれぞれ同定されるヌクレオチドである)は、対象が、上記の部位にXのコピーを少なくとも1つ有することを意味し、すなわち、対象は、遺伝子型X/X(ホモ接合)又はX/Y(ヘテロ接合)(ここで、YはX以外のいずれかのヌクレオチドである)を有する場合がある。
【0152】
例えば、「配列番号3の26番目の位置のG」は、対象が、上記の部位にGのコピーを少なくとも1つ有することを意味し、すなわち、対象は、遺伝子型G/G(ホモ接合)又はG/Y(ヘテロ接合)(ここで、YはG以外のいずれかのヌクレオチドである)を有する場合がある。
【0153】
本出願において、SNPは、例えば、配列番号3〜33における位置(例えば26番目の位置)を参照することによって言及されることに留意されたい。しかしながら、このような参照がなされる場合、本発明は、配列番号に記載の通りの正確な配列に限定されるものではなく、これらの変異型及び誘導体を含むものであることが理解されよう。むしろ、類似配列におけるSNPの位置の同定(すなわち、配列番号において同定された位置に相当するものと同業者によりみなされ得る位置にあるSNP)が想定される。当業者は、類似配列を容易に特定し、同じSNP位置を特定することができる。
【0154】
配列番号3〜33の26番目の位置のヌクレオチドと塩基対を形成する、配列番号3〜33に対する相補鎖中のヌクレオチドの検出は、当然のことながら、本発明の特許請求の範囲内にあることを更に留意されたい。
【0155】
用語「1つ以上の多型位置」は、本明細書で用いる場合、本明細書に記載の多型位置のうちの、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、若しくは少なくとも30個、又は全てを含み得る。
【0156】
一実施形態において、1つ以上の多型位置は、(i)配列番号3(rs545936)の26番目の位置、(ii)配列番号4(rs6981587)の26番目の位置、及び(iii)配列番号5(rs190249167)の26番目の位置から選択される。
【0157】
本方法は、配列番号3の26番目の位置のG若しくはA、及び/又は配列番号4の26番目の位置のT若しくはC、及び/又は配列番号5の26番目の位置のT若しくはCの存在を決定するステップを含むことが好ましい。
【0158】
一実施形態において、本方法は、配列番号3の26番目の位置のG、及び/又は配列番号4の26番目の位置のC、及び/又は配列場号5の26番目の位置のCの存在を決定するステップを含み得る。
【0159】
対象が、上記で同定した配列番号3〜33のうちのいずれか1つの26番目の位置のヌクレオチド(複数可)を有していない場合、これらのヌクレオチド(複数可)を有している対象に比べ、対象は、1つ以上の食事介入の適用後、減量がより少ないことが予測されること、及び/又は、対象は減量を維持すると予測されること、及び/又は、対象は、1つ以上の食事介入の対象への適用後、血糖コントロールの改善がより低いことが予測されることを示し得るのが、当業者には明らかであろう。
【0160】
本発明の1つ以上の多型位置における変異ヌクレオチドの存在又は非存在の検出に用いられ得る数多くの分析手順が存在することは、当業者には明らかであろう。概して、対立遺伝子変異の検出は、変異を識別する手法、場合によっては増幅反応、場合によってはシグナル発生系を必要とする。
【0161】
対立遺伝子の検出
試料から得られた核酸の遺伝子型を決定し、マーカー遺伝子座に存在する特定の対立遺伝子を同定することができる。試料からマーカーの対立遺伝子を直接検出するのに十分な量の試料を得ることができる。
【0162】
あるいは、より少量の試料を対象から得て、検出前に核酸を増幅する。場合により、核酸試料は、マーカー対立遺伝子の検出前に精製(又は部分的に精製)される。
【0164】
対立遺伝子特異的PCR
対立遺伝子特異的PCRは、変異若しくは多型が存在する又は存在しない(presence of absence)という点で異なる標的領域を区別する。PCR増幅プライマーは、本明細書に開示の配列などの標的配列に対する相補性に基づいて選択される。プライマーは、標的配列の特定の対立遺伝子に対してのみ結合する。
【0165】
対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドスクリーニング法
更なるスクリーニング法は、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)スクリーニング法(例えば、Saiki et al.,Nature 324:163〜166,1986を参照)を利用する。
【0166】
任意の特定の対立遺伝子に対し、1つ以上の塩基対のミスマッチを有するオリゴヌクレオチドが生成される。ASOスクリーニング法は、標的ゲノム又はPCR増幅したDNA中の1つの対立遺伝子と、他の対立遺伝子と間のミスマッチを検出し、第2の対立遺伝子(すなわち、他の対立遺伝子)オリゴヌクレオチドに比べ、オリゴヌクレオチドの結合の減少を示す。オリゴヌクレオチドプローブは、低ストリンジェンシー下では対立遺伝子の多型形態の両方に結合するが、高ストリンジェンシー下ではこれらが対応する対立遺伝子に結合するよう設計できる。あるいは、ストリンジェンシー条件は、本質的に二値応答が得られるように考案することができ、すなわち、標的遺伝子の変異型に対応するASOは、対立遺伝子とはハイブリダイズし、野生型対立遺伝子とはハイブダイズしない。
【0167】
リガーゼによる対立遺伝子検出法
リガーゼを用い、ライゲーション増幅反応におけるSNPなどの点変異を検出することもできる(例えば、Wu et al.,Genomics 4:560〜569,1989に記載)。ライゲーション増幅反応(LAR)は、連続した一連のテンプレート依存型ライゲーションを用いる、特異的DNA配列の増幅を利用する(例えば、上記のWu、及びBarany,Proc.Nat.Acad.Sci.88:189〜193,1990に記載)。
【0168】
変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法
ポリメラーゼ連鎖反応を用いて生成された増幅産物は、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法を用いて分析することができる。異なる対立遺伝子は、異なる配列に依存した融解特性、及び溶液中のDNAの電気泳動に基づいて同定することができる。DNA分子は、高温条件下又は変性条件下で、融解ドメインと呼ばれるセグメントで融解する。
【0169】
各融解ドメインは、別個の塩基特異的融解温度(Tm)で、協同的に融解する。融解ドメインは少なくとも20塩基対の長さで、最大数百塩基対の長さとなり得る。
【0170】
配列特異的融解ドメインの違いに基づく対立遺伝子間の識別は、Chapter 7 of Erlich,ed.,PCR Technology,Principles and Applications for DNA Amplification,W.H.Freeman and Co.,New York(1992)に記載のポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いて評価することができる。
【0171】
概して、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法によって分析される標的領域を、標的領域に隣接するPCRプライマーを用いて増幅する。増幅されたPCR産物を、Myers et al.,Meth.Enzymol.155:501〜527,1986、及びMyers et al.,in Genomic Analysis,A Practical Approach,K.Davies Ed.IRL Press Limited,Oxford,pp.95 139,1988に記載のように、線形の変性剤濃度勾配を有するポリアクリルアミドゲルにアプライする。電気泳動システムは、標的配列の融解ドメインのTmよりもわずかに低い温度で維持する。
【0172】
変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法の代替法では、標的配列を、上記のChapter 7 of Erlichに記載の、GCクランプと呼ばれるGCヌクレオチドの区間に最初に取り付ける場合がある。一例において、GCクランプ中のヌクレオチドの少なくとも80%が、グアニン又はシトシンのいずれかである。別の例において、GCクランプは、少なくとも30塩基長である。この方法は、高Tmを有する標的配列に特に好適である。
【0173】
概して、標的領域は、上記のポリメラーゼ連鎖反応により増幅される。オリゴヌクレオチドPCRプライマーのうちの一方は、その5’末端に、増幅中に標的領域の5’末端に組み込まれる、少なくとも30塩基のGCリッチ配列を有するGCクランプ領域を有する。得られた標的領域の増幅産物を、上記の変性剤濃度勾配条件下で、電気泳動ゲルにおいて泳動する。単一の塩基の変化によって異なるDNA断片は、ゲル中を通過して異なる位置まで泳動し、これは臭化エチジウム染色によって可視化することができる。
【0174】
温度勾配ゲル電気泳動法
温度勾配ゲル電気泳動法(TGGE)は、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法と同じ原理に基づくものである。ただし、変性剤濃度勾配は、化学変性剤の濃度の違いの代わりに、温度の違いによりもたらされる。標準的なTGGEは、電気泳動経路に沿って温度勾配が連続している電気泳動装置を利用する。化学変性剤の濃度が均一なゲル中を試料が泳動するのにつれ、試料は温度の上昇を受ける。TGGEの代替法である経時的温度勾配ゲル電気泳動法(TTGE又はtTGGE)は、電気泳動ゲル全体の温度を絶え間なく上昇させ、同じ結果をもたらす。試料がゲル中を泳動するのにつれ、ゲル全体の温度が上昇し、これによって、試料がゲル中を泳動するのにつれ、温度の上昇を受けることになる。試料の調製は、GCクランプを組み込むPCR増幅、及び産物の可視化を含め、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法と同じである。
【0175】
一本鎖高次構造多型解析
標的配列又は対立遺伝子は、例えば、Orita et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.85:2766〜2770,1989に記載のように、一本鎖PCR産物の電気泳動に変更を加えて塩基の違いを同定する、一本鎖高次構造多型解析を用い、識別することができる。増幅したPCR産物を上記のように生成し、加熱又は何らかの方法により変性し、一本鎖の増幅産物を形成することができる。一本鎖核酸はリフォールディングする場合がある、又は、塩基配列に部分的に依存する二次構造を形成する場合がある。したがって、一本鎖増幅産物の電気泳動により、対立遺伝子間又は標的配列間の塩基配列の違いを検出することができる。
【0176】
ミスマッチの化学的又は酵素的切断
標的配列間の違いは、例えば、Grompe et al.,Am.J.Hum.Genet.48:212〜222,1991に記載のように、ミスマッチした塩基対の特異的な化学的切断により検出することもできる。別の方法において、標的配列間の違いは、Nelson et al.,Nature Genetics 4:11〜18,1993に記載のように、ミスマッチした塩基対の酵素的切断により検出することができる。簡潔に説明すると、動物由来及び何らかの影響を受けたファミリーメンバー(affected family member)由来の遺伝物質を用い、ミスマッチのないヘテロハイブリッドDNA二本鎖を作製することができる。本明細書で用いる場合、「ヘテロハイブリッド」は、ある動物に由来する1つ目のDNA鎖と、別の動物に由来する2つ目のDNA鎖とを含むDNA二本鎖を意味し、通常、動物は、対象とする形質について表現型が異なる。
【0177】
非ゲルシステム
有用であり得る他の手法としては、TaqMan(商標)(Perkin Elmer)などの非ゲルシステムが挙げられる。このシステムでは、オリゴヌクレオチドPCRプライマーが、対象とする変異に隣接し、この領域をPCR増幅させるように設計される。次いで、3番目のオリゴヌクレオチドプローブは、この遺伝子の異なる対立遺伝子間の変化を受けた塩基を含む領域にハイブリダイズするように設計される。このプローブは、5’末端及び3’末端の両方で、蛍光色素により標識される。これらの色素は、互いに近接している間はこれらのうちの一方の蛍光が他方によって消光され、検出不能となるように選択される。Taq DNAポリメラーゼは、テンプレートの5’末端に配置されたPCRプライマーからプローブに対して伸長し、アニーリングしたプローブの5’末端に結合している色素を、Taq DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性によって切断する。これによって消光効果がなくなり、プローブの3’末端の色素からの蛍光が検出可能となる。異なるDNA配列間の識別は、テンプレート分子に対するプローブのハイブリダイゼーションが完全でない場合、すなわち、何らかの形態のミスマッチがある場合には色素の切断が起こらないことによってなされる。したがって、オリゴヌクレオチドプローブのヌクレオチド配列が、結合するテンプレート分子と完全に相補的な(complimentary)場合にのみ、消光がなくなる。反応混合物は、存在し得る異なる対立遺伝子に対してそれぞれ設計された2つの異なるプローブ配列を含むことができ、したがって、1回の反応で両方の対立遺伝子を検出することができる。
【0178】
対立遺伝子変異を検出するための多くの現行の方法が、Nollau et al,Clin.Chem.43,1114〜1120,1997;並びに標準的なテキスト、例えば、「Laboratory Protocols for Mutation Detection」,Ed.by U.Landegren,Oxford University Press,1996、及び「PCR」,2nd Edition by Newton & Graham,BIOS Scientific Publishers Limited,1997でレビューされている。
【0179】
バイオマーカーの組み合わせ
本発明の方法において、個々のバイオマーカーが予測値を有し得るが、一方、本方法の品質及び/又は予測能力は、複数のバイオマーカーから得られる値を組み合わせることによって改善することができる。
【0180】
例えば、本方法は、本明細書に記載の1つ以上の多型位置にある、対象のヌクレオチドを決定するステップを含むことができる。
【0181】
本方法は、miR−486のレベルを、本明細書に記載の1つ以上の多型位置にある、対象のヌクレオチドを決定するステップと組み合わせるステップを含むことができる。
【0182】
試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベルの測定
一実施形態において、1つ以上のバイオマーカーのレベルを、食事介入の前に測定する。別の実施形態において、1つ以上のバイオマーカーのレベルを、食事介入の前後に測定する。バイオマーカーレベルはまた、食事介入の期間中、所定の時点で測定してもよい。これらの所定の時点は、食事介入期間中、例えば、毎日若しくは3日ごとといった定期的なものであってもよく、又は試験されている対象、分析されている試料の種類、及び/若しくは達成すると予測される減量の程度によって異なってもよい。
【0183】
食事介入前に得られた場合、バイオマーカーレベルは「空腹時レベル」と呼ばれることがある。食事介入後に得られた場合、バイオマーカーレベルは「カロリー摂取時レベル」と呼ばれることがある。例えば、バイオマーカーレベルは、空腹時に測定してもよく、又は空腹時及びカロリー摂取後に測定してもよい。各バイオマーカーの空腹時レベルを測定することが、最も好ましい。
【0184】
一実施形態において、バイオマーカーレベルを基準値と比較する。この場合、試料中のバイオマーカーレベル及び基準値は、同じ分析方法を用いて測定する。
【0185】
基準又は対照との比較
本方法は、試験試料中のバイオマーカー(例えばmiR−486)のレベルを1つ以上の基準値又は対照値と比較するステップを更に含む場合がある。基準値は、対象が食事介入後に減量及び/又は血糖コントロールを改善する、あらかじめ定義された能力と関連する場合がある。いくつかの実施形態において、基準値は、ある特定の食事介入後の対象又は対象の群について以前に得られた値である。基準値は、食事介入後の対象の群から得られる平均レベル、例えば平均値又は中央値レベルに基づいていてもよい。
【0186】
人体計測値及び/又は生活習慣の特徴とバイオマーカーレベルとの組み合わせ
一実施形態において、本方法は、miR−486のレベル、及び/又は本明細書で言及する遺伝子型の決定(例えば、多型マーカー、例えば、本明細書に記載のSNPの存在の決定)を、対象の1つ以上の人体計測値及び/又は生活習慣の特徴と組み合わせるステップを更に含む。この情報を組み合わせることにより、対象により達成可能な減量及び/又は血糖コントロールの改善の程度について、改良された予測モデルがもたらされる。
【0187】
当該技術分野において知られているように、人体計測値は対象の測定値である。一実施形態において、人体計測値は、性別、年齢(年)、体重(キログラム)、身長(センチメートル)、体脂肪組成(キログラム)、及び体格指数(kg/m
2)からなる群から選択される。他の人体計測値も当業者には既知であろう。
【0188】
用語「生活習慣の特徴」は、対象が行う任意の生活習慣の選択であり、これには、生活習慣、動機づけ、又は嗜好に関する質問表から得られる全ての食事摂取量データ、活動性尺度又はデータが含まれる。一実施形態において、生活習慣の特徴は、対象が喫煙者であるか又は非喫煙者であるかに関するものである。これはまた、本明細書では対象の喫煙状況とも言う。
【0189】
好ましい実施形態において、対象から得た試料について、miR−486レベルの測定及び/又は本明細書で言及する遺伝子型の決定(例えば、多型マーカー、例えば、本明細書に記載のSNPの存在の決定)が行われ、これらのレベルは、対象によって達成可能な減量及び/又は血糖コントロールの改善を予測するため、対象の性別、年齢、喫煙状況、及び体格指数と組み合わされる。減量の程度は、食事介入を適用することによって対象が達成すると予測される体格指数によって表すのが好ましい。
【0190】
一実施形態において、対象は欧州系の祖先を持つ。
【0191】
対象の層別化
本発明の方法によって予測される、減量及び/又は血糖コントロールの改善の程度はまた、1つ以上の所定の閾値と比較される場合がある。このような閾値を用い、対象を、予測される減量及び/又は血糖コントロールの改善の程度を示すカテゴリー、例えば、減量及び/又は血糖コントロールの改善について予測される程度が低い、中程度である、高い、及び/又は非常に高いことを示すカテゴリーに層別化することができる。閾値からの逸脱の程度は、どの対象が特定の介入から最も効果を得るのかを特定するのに有用である。このようにして、食事介入及び生活習慣の改善を最適化することができ、対象によって達成される減量及び/又は血糖コントロールの改善について現実的な期待値を設定することができる。
【0192】
一実施形態において、カテゴリーには減量抵抗性の対象及び易減量性(weight loss sensitive)の対象が含まれる。
【0193】
用語「減量抵抗性」は、予測される減量の程度が所定の値よりも低いことを意味する。「減量抵抗性」は、減量のパーセント値が所定の値よりも低い対象であると定義するのが好ましく、例えば、対象に期待される減量の10、15、20、又は30パーセンタイル未満の減量が予測される対象である。
【0194】
減量の程度をBMI単位数の低下によって表すのが好ましく、ここで、BMIの低下=((BMI1−BMI2)
*100)/BMI1であり、BMI1は食事介入前の対象の体格指数であり、BMI2は食事介入後の対象に予測される体格指数である。
【0195】
用語「易減量性」は、予測される減量の程度が所定の値よりも高いことを意味する。「易減量性」は、減量のパーセント値が所定の閾値を上回る対象であると定義するのが好ましく、例えば、期待される減量の85、80、又は75パーセンタイル超の減量が予測される対象である。
【0196】
「期待される減量」は、試験されるものとして同じ食事介入を受けた対象の母集団のデータから得ることができる。
【0197】
別の実施形態において、対象を、肥満又は肥満関連疾患に関する対象のリスク低減、例えば、小さい、中程度の、大きい、及び/又は非常に大きいリスク低減を示す、「易減量性」又は「減量抵抗性」のカテゴリーに層別化してもよい。リスク低減が小さい群、中程度の群、及び大きい群は、絶対的な減量によって定義することができ、ここで、絶対的な減量は、肥満又は特定の肥満関連疾患についての臨床基準に関するものである。
【0198】
例えば、目的が肥満者の2型糖尿病に関するリスクを低減することである場合、「非常に大幅なリスク低減」は、食事介入後に少なくとも10%の減量が予測されるものと定義することができる。これは、Part II of the World Health Organ Tech Rep Ser.2000;894:i−xii,1〜253に記載の基準に準拠するものである。更に、肥満者の体重が1%減少するごとに、収縮期血圧及び拡張期血圧の低下、並びに低密度リポタンパクコレステロールの低下がもたらされ、したがって心血管疾患及び脂質異常症のリスクがそれぞれ低減される。
【0199】
一実施形態において、カテゴリーには血糖コントロール抵抗性の対象及び血糖コントロール感応性(glycemic control sensitive)の対象が含まれる。
【0200】
用語「血糖コントロール抵抗性」は、予測される血糖コントロールの改善の程度が所定の値よりも低いことを意味する。「血糖コントロール抵抗性」は、対象の血糖コントロールの改善のパーセント値が所定の値よりも低いことと定義するのが好ましく、例えば、予測される血糖コントロールの改善が、対象に期待される血糖コントロールの改善の10、15、20、又は30パーセンタイル未満である。
【0201】
血糖コントロールの改善の程度は、本明細書に記載の血糖コントロールの測定値における変化によって表すのが好ましく、ここで、血糖コントロールの改善=((GC1−GC2)
*100)/GC1であり、GC1は食事介入前の対象の血糖コントロールの測定値であり、GC2は食事介入後の対象の血糖コントロールの測定値である。
【0202】
用語「血糖コントロール感応性」は、予測される血糖コントロールの改善の程度が所定の値よりも高いことを意味する。「血糖コントロール感応性」は、血糖コントロールの改善のパーセント値が所定の閾値を上回る対象であると定義するのが好ましく、例えば、期待される血糖コントロールの改善の85、80、又は75パーセンタイル超の血糖コントロールの改善が予測される対象である。
【0203】
「期待される血糖コントロールの改善」は、試験されるものとして同じ食事介入を受けた対象の母集団のデータから得ることができる。
【0204】
別の実施形態において、対象を、肥満又は肥満関連疾患に関する対象のリスク低減、例えば、小さい、中程度の、大きい、及び/又は非常に大きいリスク低減を示す、「血糖コントロール感応性」又は「血糖コントロール抵抗性」のカテゴリーに層別化することができる。リスク低減が小さい群、中程度の群、及び大きい群は、絶対的な減量によって定義することができ、ここで、絶対的な減量は、肥満又は特定の肥満関連疾患についての臨床基準に関するものである。
【0205】
例えば、目的が肥満者の2型糖尿病に関するリスクを低減することである場合、「非常に大幅なリスク低減」は、食事介入後に少なくとも10%の減量が予測されるものと定義することができる。これは、Part II of the World Health Organ Tech Rep Ser.2000;894:i〜xii,1〜253に記載の基準に準拠するものである。更に、肥満者の体重が1%減少するごとに、収縮期血圧及び拡張期血圧の低下、並びに低密度リポタンパクコレステロールの低下がもたらされ、したがって心血管疾患及び脂質異常症のリスクがそれぞれ低減される。
【0206】
対象の生活習慣の改善を選択するための方法
更なる態様において、本発明は、対象の生活習慣を改善するための方法を提供する。対象における生活習慣の改善は、本明細書に記載のような任意の変更であってもよく、例えば、食事の変更、より多くの運動、異なる作業環境及び/又は生活環境などである。
【0207】
改善は、本明細書に記載の食事介入であることが好ましい。食事介入は、少なくとも1種のダイエット食品の投与を含むことがより好ましい。ダイエット食品は、以前に摂取されていなかった、又は、対象によって異なる量で摂取されていたものであることが好ましい。ダイエット食品は、本明細書に記載の通りであり得る。また対象の生活習慣の変更には、対象が自身の生活習慣を変える必要性を示すこと、例えば、より多くの運動又は禁煙を指示することが含まれる。
【0208】
例えば、低カロリー食療法で、対象に減量及び/又は血糖コントロールの改善が予測されない場合、改善には、対象の生活習慣において、より多くの運動が含まれる場合がある。
【0209】
ダイエット食品の使用
一態様において、本発明は、減量のための低カロリー食療法の一部として用いるためのダイエット食品を提供する。ダイエット食品は、本明細書に記載の方法によって、減量の程度、体重維持、及び/又は血糖コントロールの改善の程度を達成すると予測される対象に投与される。
【0210】
別の態様において、本発明は、肥満又は肥満関連疾患の治療に用いるためのダイエット食品であって、ダイエット食品が、本明細書に記載の方法によって減量の程度、体重維持、及び/又は血糖コントロールの改善の程度を達成すると予測される対象に投与される、ダイエット食品を提供する。
【0211】
肥満関連疾患は、糖尿病(例えば2型糖尿病)、脳卒中、高コレステロール、心臓血管疾患、インスリン抵抗性、冠動脈性心疾患、メタボリックシンドローム、高血圧、及び脂肪肝からなる群から選択され得る。更なる態様において、本発明は、減量のための低カロリー食療法におけるダイエット食品の使用であって、ダイエット食品が、本明細書に記載の方法によって減量の程度、体重維持、及び/又は血糖コントロールの改善の程度を達成すると予測される対象に投与される、使用を提供する。
【0212】
プライマー/プローブ
本発明の一態様によると、本明細書に記載の多型位置にある多型(例えば表1又は表2に示したもの)を検出可能な、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマー又は対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブが提供される。
【0213】
本発明の別の態様によると、
(i)配列番号3(rs545936)の26番目の位置
(ii)配列番号4(rs6981587)の26番目の位置、又は
(iii)配列番号5(rs190249167)の26番目の位置
から選択される多型位置を検出可能な、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマー又は対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブが提供される。
【0214】
本明細書に記載の多型位置を検出可能な対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマー又は対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブについて言及する場合は、本明細書に記載の多型の相補体(compliment)(例えば表1又は表2に示したもの)を検出可能な、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマー又は対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを含むことに留意されたい。
【0215】
例えば、配列番号3の26番目の位置、配列番号4の26番目の位置、又は配列番号5の26番目の位置から選択される多型位置を検出可能な対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマー又は対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブは、これらの位置のそれぞれの相補体(compliment)を検出可能な対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマー又は対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを含む。
【0216】
本発明は、1つ以上の食事介入後に減量の程度及び/又は減量の維持の程度及び/又は血糖コントロールの改善の程度を達成すると予測される対象の特定に用いるための、本明細書に記載の多型位置にある多型(例えば表1又は表2に示したもの)を検出可能な対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマーを更に提供する。
【0217】
本発明は、1つ以上の食事介入後に減量の程度及び/又は減量の維持の程度及び/又は血糖コントロールの改善の程度を達成すると予測される対象の特定に用いるための、本明細書に記載の多型位置にある多型(例えば表1又は表2に示したもの)を検出可能な対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを更に提供する。
【0218】
本発明の対立遺伝子特異的プライマーは、概して、例えばARMS(商標)アッセイに用いられるように、特定の配列位置における1種の対立遺伝子を選択的に増幅することによって対立遺伝子同士を識別する、PCR反応などの増幅反応において、コンスタントプライマー(constant primer)と共に用いられる。本発明の対立遺伝子特異的プライマーは、好ましくは15〜50ヌクレオチド、より好ましくは約15〜35ヌクレオチド、更により好ましくは約17〜30ヌクレオチドである。
【0219】
プライマーは、任意の従来の合成法を用いて製造することができる。このような方法の例は、標準的なテキスト、例えば、「Protocols for Oligonucleotides and Analogues;Synthesis and Properties」,Methods in Molecular Biology Series;Volume 20;Ed.Sudhir Agrawal,Humana ISBN:0−89603−247−7;1993;1st Editionに見出すことができる。必要とされる場合、プライマー(複数可)を標識して検出を容易にすることができる。
【0220】
プローブの設計は、当業者である分子生物学者には明らかであろう。このようなプローブは、例えば、最大100塩基長、最大50塩基長、最大40塩基長、及び最大30塩基長などの、任意の好都合な長さである。例えば、プローブは、10〜30塩基長、好ましくは18〜30塩基長であり得る。プローブは、標的配列に完全に相補的な塩基配列を含み得る。しかしながら、必要とされる場合、オリゴヌクレオチドプローブの識別能が過度に影響を受けなければ、1つ以上のミスマッチが導入されていてもよい。本発明のプローブは、検出を容易にする1つ以上の標識を有し得る。
【0221】
本明細書に記載の多型位置にある多型を検出可能な対立遺伝子特異的プローブは、ハイブリダイゼーション反応において、表1又は表2に「Ref対立遺伝子」として示した塩基を配列番号3〜36のそれぞれの26番目の位置にそれぞれ含む配列(又はこのような遺伝子若しくは断片に相補的な配列)と、異なる塩基を配列番号3〜36のそれぞれの26番目の位置にそれぞれ含む配列(又はこのような遺伝子若しくは断片に相補的な配列若しくは断片)とを識別することができる。
【0222】
例えば、配列番号3の26番目の位置にある多型を検出可能な対立遺伝子特異的プローブは、ハイブリダイゼーション反応において、塩基Aを配列番号3の101番目の位置に含む配列(又はこのような遺伝子若しくは断片に相補的な配列)と、塩基Gを配列番号3の26番目の位置に含む配列(又はこのような遺伝子若しくは断片に相補的な配列若しくは断片)とを識別することができる。
【0223】
本発明のプライマー及び/又はプローブは、典型的には、核酸(例えばDNA又はcDNA)の形態となろう。あるいは、プライマー及び/又はプローブは、核酸類似体、例えば、PNA(ペプチド核酸)、LNA(ロックド核酸)、又はBNA(架橋核酸)であってもよい。プライマー又はプローブは、LNA又はPNAにより部分的に置換された核酸であってもよい。
【0224】
プライマー設計戦略
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法の使用の増加に伴い、PCR用のプライマーとして用いられるオリゴヌクレオチドの設計又は選択を支援する多くのプログラムの開発が活発となった。インターネットを通じて無料で利用できるこのようなプログラムの4例には、以下のものがある:すなわち、PRIMER(Whitehead InstituteのMark Daly及びSteve Lincolnによる)(UNIX(登録商標)、VMS、DOS、及びMacintosh)、オリゴヌクレオチド選択プログラム(OSP)(Washington University(St.Louis)のPhil Green及びLaDeana Hillerによる)(UNIX(登録商標)、VMS、DOS、及びMacintosh)、PGEN(Yoshiによる)(DOSのみ)、及びAmplify(University of WisconsinのBill Engelsによる)(Macintoshのみ)。
【0225】
概してこれらのプログラムは、若干の既知の反復配列エレメントを検索した後、推定プライマーの長さ及びGC含量を解析してTmを最適化することにより、PCRプライマーの設計を支援する。市販のソフトウェアも35種ほど利用可能であり、プライマー選択手順が、最も一般的な配列解析パッケージに急速に含まれつつある。
【0226】
プライマーとして用いるオリゴヌクレオチドを設計する際には、標的を特異的に認識する適切な配列を選択した後、この配列を試験し、オリゴヌクレオチドが安定な二次構造を有してしまう可能性を排除する必要がある。配列中の逆方向反復は、反復同定プログラム又はRNAフォールディングプログラムを用いて同定できる。
【0227】
考えられるステム構造が観察された場合、プライマーの配列をいずれかの方向に数ヌクレオチド分ずらし、予測される二次構造を最小限に抑えることができる。
【0228】
ゲノムDNAの増幅に用いられるPCRプライマーについては、プライマー配列をGenBankデータベース中の配列と比較し、何らかの有意なマッチが生じるか否かを判定する必要がある。何らかの既知のDNA配列中に、更に重要なことに、何らかの既知の反復エレメント中に、オリゴヌクレオチド配列が存在する場合、そのプライマー配列は変更すべきである。
【0229】
キット
本発明の別の態様によると、本発明の対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブ及び/又は本発明の対立遺伝子特異的プライマーを含む、診断キットが提供される。
【0230】
一実施形態において、診断キットは、
(i)配列番号3(rs545936)の26番目の位置
(ii)配列番号4(rs6981587)の26番目の位置、及び/又は
(iii)配列番号5(rs190249167)の26番目の位置
の多型位置を検出可能な、2種以上の対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマー及び/又は対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを含む。
【0231】
一実施形態において、診断キットは、配列番号3の26番目の位置のG、及び/又は配列番号4の26番目の位置のC、及び/又は配列番号5の26番目の位置のCの存在を決定することができる、2種以上の対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマー及び/又は対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを含む。
【0232】
診断キットは、本発明の方法に用いるための適切なパッケージ及び使用説明書を含み得る。このようなキットは、緩衝剤(複数可)と、ポリメラーゼ(複数可)、例えばtaqポリメラーゼなどの熱安定性ポリメラーゼなどとを更に含み得る。
【0233】
コンピュータプログラム製品
本明細書に記載の方法は、1つ以上のコンピュータプロセッサなどの汎用ハードウェア上で動作するコンピュータプログラムとして実施してもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の機能を、スマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータなどのデバイスによって実施してもよい。
【0234】
一態様において、本発明は、プログラム可能なコンピュータに本明細書に記載のバイオマーカーのレベルに基づいて減量の程度を予測させるためのコンピュータで実行可能な命令を含む、コンピュータプログラム製品を提供する。
【0235】
別の態様において、本発明は、使用者から得られるmiR−486及び/又は本明細書で言及する遺伝子型の決定(例えば、多型マーカー、例えば、本明細書に記載のSNPの存在の決定)を考慮して、デバイスに減量の程度、体重維持、及び/又は血糖コントロールの改善の程度を予測させるための、コンピュータで実行可能な命令を含む、コンピュータプログラム製品を提供する。miR−486レベルは空腹時レベルであることが好ましい。コンピュータプログラム製品には、使用者から得られる人体計測値及び/又は生活習慣の特徴を入力してもよい。本明細書に記載のように、人体計測値には、年齢、体重、身長、性別、及び体格指数が含まれ、生活習慣の特徴には喫煙状況が含まれる。
【0236】
一実施形態において、使用者は、miR−486のレベル及び/又は本明細書で言及する遺伝子型(例えば、多型マーカー、例えば、本明細書に記載のSNP)をデバイスに入力し、場合によっては、年齢、体格指数、性別、及び喫煙状況と共に入力する。次いで、デバイスはこの情報を処理し、使用者が食事介入により達成可能な減量の程度についての予測を提示する。
【0237】
デバイスは、概してネットワーク上のサーバであってもよい。しかしながら、バイオマーカーデータ並びに/又は人体計測データ及び生活習慣データを、プロセッサ、中央処理装置(CPU)などを用いて処理できる限り、任意のデバイスを用いてもよい。デバイスは、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータであってもよく、また使用者により達成可能な減量の程度を示す情報を出力してもよい。
【0238】
当業者は、開示された本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の本発明の全ての特徴を自由に組み合わせることができることを、当業者であれば理解するであろう。
【0239】
ここで、本発明の様々な好ましい特徴及び実施形態を、非限定的な実施例によって説明する。
【0240】
本発明の実施には、別途記載しない限り、化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA及び免疫学の従来技術を用いており、これらの技術は当業者の能力の範囲内である。このような手法は、文献に説明されている。例えば、J.Sambrook,E.F.Fritsch,and T.Maniatis,1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Books 1〜3,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubel,F.M.et al.(1995 and periodic supplements;Current Protocols in Molecular Biology,ch.9,13,and 16,John Wiley & Sons,New York,N.Y.);B.Roe,J.Crabtree,and A.Kahn,1996,DNA Isolation and Sequencing:Essential Techniques,John Wiley&Sons;J.M.Polak and James O’D.McGee,1990,In Situ Hybridization:Principles and Practice;Oxford University Press;M.J.Gait(Editor),1984,Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,Irl Press;D.M.J.Lilley and J.E.Dahlberg,1992,Methods of Enzymology:DNA Structure Part A:Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology,Academic Press;及びE.M.Shevach and W.Strober,1992 and periodic supplements,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,New York,NY.を参照されたい。これらの一般的なテキストのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0241】
実施例1−miR−486 SNPは、減量を予測する
Ottawa及びDiogenesコホートのゲノムワイド関連解析(二段階解析、FDRを5%に設定)後、miR−486遺伝子座が、低カロリー食(LCD)に際しての減量についての有意な予測因子であることが明らかとなった。結果は、単一SNPを用いた場合と、遺伝子に基づいた手法を用いた場合との両方で有意であった。遺伝子に基づいた結果は以下の通りであった。
【0242】
Ottawa発見コホートp=2.2e
−5
Diogenes検証コホートp=6.61e
−4
2つのコホートのメタ解析p=2e
−6
単一SNPの結果は
図1に示す。miR−486遺伝子座の近傍に位置する130のSNPのうち、11のSNPが、p<0.0001であった。
【0243】
これらの上位11のSNPの結果を、以下の表1に示す。
【0244】
【表1】
【0245】
rs6981587は、調節変異(Ensembl.orgリリース75)であると予測される。このSNPは転写因子結合部位と重複し、DNase感受性クラスター内に位置し、プロモーター領域に近い。このSNPはまた、最上位のSNP rs545936と強い連鎖不平衡にある(r平方=86.5%)。
【0246】
実施例2−miR−486レベルは、LCD及び体重維持に際し、臨床転帰の変化を予測する
miRNA Affymetrixアレイを用いて定量したmiR−486(下記のmiRNAレベルの定量の項を参照)を用い、減量中のmiR−486のベースラインレベルと臨床転帰との関連性を求めた。
【0247】
ベースラインmiR−486レベルは、LCD後及び体重維持相後の両方で、体重及び血糖の転帰と有意に関連していた。
【0248】
【表2】
【0249】
これらの結果は、ベースラインmiR−486レベルが、減量及び体重維持介入に反応する患者の能力の指標となることを示した。
【0250】
具体的には、高レベルのmiR−486は、減量に際し、体重(
図2参照)及び血糖コントロール(
図3)の両方について正の臨床転帰(すなわち改善)の指標となる。また、高レベルのmiR−486は、体重維持後の臨床改善を予測する(
図4及び
図5参照)。
【0251】
実施例3−miRNA SNPは、miRNAレベルを予測する
量的形質解析(QTL)により、miR−486の発現レベルに関連した、miR−486遺伝子近傍のSNPを同定した(
図6)。上位21のSNP(p<5%)を、下記の表に示す。
【0252】
【表3】
【0253】
したがって、miR−486の発現レベルは、近傍の遺伝子マーカーによって部分的に調節される。
【0254】
材料及び方法
コホートの説明
Diogenes−Diogenes試験(clinical trial.gov NCT00390637)は、介入多施設汎欧州試験である(Larsen,T.M.et al.;N.Engl.J.Med.363,2102〜2113(2010)及びObes.Rev.Off.J.Int.Assoc.Study Obes.11,76〜91(2010))。ブルガリア、チェコ共和国、デンマーク、ドイツ、ギリシャ、オランダ、スペイン、及びイギリスの8パートナーが本試験に参加した。参加者は、Modifast(登録商標)(800kcal/日)を用いた8週間の低カロリー食に従った。デンマーク及びオランダの被験者について、初期体重の少なくとも8%を減量した参加者を、6ヶ月又は12ヶ月の5つの維持食のうちの1つに無作為に割り付けた。合計1209人の成人をスクリーニングし(平均年齢41歳、体格指数34kg/m
2)、このうち938人が、本試験の低カロリー食相に入った。この相を完了し、かつ初期体重の少なくとも8%を減量した合計773人の参加者を、5つの維持食のうちの1つに無作為に割り付け、548人が介入を完了した。
【0255】
Ottawa−本コホートは、オタワ病院の体重管理クリニカル(Weight Management Clinical of The Ottawa Hospital)の2383人の過体重及び肥満患者を含む。これらの患者は、減量のために、Optifast(登録商標)を用いた、6〜12週間の、運動療法と組み合わせた食事代替プログラム食を受け、通院ごとに体重、身長、血圧を最長36週間モニターし、1週目に、脂質プロファイルから空腹時インスリン及び血糖に至る一連の生化学測定を実施した。除外基準適用後、2032人の患者(女性1448人及び男性584人)が残った。
【0256】
miRNAのレベルの定量
脂肪組織生検から得たmiRNAレベルの定量を、Affymetrix Gene Chip miRNA 4.0アレイ(http://www.affymetrix.com)を用いて実施した。試験は、製造業者の手順書に従って実施した。
【0257】
臨床データ解析
臨床転記とベースラインmiRNAレベルとの関連性を、線形効果モデルを用いて検定した。ベースラインmiRNAレベル、性別及び年齢は固定効果としてモデル化し、一方、国(施設)は変量効果としてモデル化した。
【0258】
遺伝子型の同定
Illumina Human Coreアレイ(www.illumina.com)において、製造業者の推奨に従い、被験者の遺伝子型を同定した。低コールレート(<95%)、ハーディ・ワインベルグ平衡不適合(FDR<20%)、又は低対立遺伝子頻度(<0.2%)のいずれかを呈するSNPは棄却した。更なる遺伝マーカーの補完を、1000 Genome Projectの最新バージョンを用いて行った。後処理により、INFOスコアが0.8未満又は対立遺伝子頻度が1%未満のSNPを棄却した。低コールレート(<95%)、臨床記録との比較による性別不一致、異常な常染色体ヘテロ接合性、又は近縁者(identify−by−state>95%)の被験者を棄却した。品質管理の結果、698人のDiogenes被験者及び1166人のOttawa被験者についてのデータが得られ、両コホートとも、約5百万のマーカーについての遺伝子型データを有した。これは、包括的な評価が、通常のマーカー(すなわち、頻度が1%超の高頻度のSNP)によりなされたことを示している。
【0259】
遺伝子データの解析
単一SNP GWAは、線形混合効果モデルを用いて実施し、母集団の層別化について補正した(Yang et al.;Nat.Genet.46,100〜106(2014))。補正は、「1つの染色体を残す(leave-one-chromosome out)」手法を用いて行った。遺伝子に基づいた解析は、VEGAS(Mishra et al;win Res.Hum.Genet.Off.J.Int.Soc.Twin Stud.18,86〜91(2015))を用い、1000 Genome Projectの欧州系の祖先を持つ母集団のLDパターンを用い、遺伝子ブロックサイズ(gene-block size)20Kbで、上位80%のSNPを解析について考慮して行った。表現型(LCD中のBMIの変化)を、被験者の性別及び年齢について補正した。単一SNP解析及び遺伝子に基づいた解析を、2つのコホート(Diogenes及びOttawa)について別々に行った。2つのコホートから得た単一SNP及び遺伝子に基づいた結果を、次いでGWAMA(Maegi et al;BMC Bioinformatics 11,288(2010))を用い、変量効果モデル及び二重ゲノム対照補正を用いてメタ解析した。遺伝子に基づいた解析に対し、Benjamini−Hochberg補正(Benjamin et al;J.R.Stat.Soc.Ser.B Methodol.57,289〜300(1995))を用い、複数試験について補正を行った。
【0260】
量的形質解析
解析を、Diogenesコホートから得たデータ(Affymetrix Gene Chipによって定量した5M超の遺伝子マーカー及びmiR−486ベースラインレベル)を用いて行った。関連性を、線形混合効果モデルを用いて単一SNPレベルで試験した(上記のYang et al)。表現型(CID1におけるmiR−486レベル)を、被験者の性別及び年齢について補正した。