(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の駆動ユニットは、駆動モータと、前記駆動モータと前記牽引装置との間に配置されたカップリングとを含み、前記第2の駆動ユニットは、前記駆動モータと、前記駆動モータと前記ローラ駆動装置との間に配置された第2のカップリングとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の移動式駆動装置。
前記牽引装置は、前記支持面において直線又は曲線に沿って前記シャシフレームを選択的に移動させるように適合されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の移動式駆動装置。
前記ローラ駆動装置は、コンベヤベルトと前記コンベヤベルトを移動させるための駆動装置とを備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の移動式駆動装置。
前記コンベヤベルトは、前記ローラコンベヤの1つ又は複数のローラの摩擦対向面と係合するための上向きの摩擦面を有することを特徴とする、請求項7に記載の移動式駆動装置。
前記ローラ駆動装置は、前記ローラコンベヤの2つのローラの間の空間における形状係止係合のための形状係止要素と、前記ローラコンベヤの少なくとも1つのローラにおける摩擦係合のための摩擦要素とを備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の移動式駆動装置。
前記牽引装置は、前記エンドレス軸受トラムを含み、前記第1の駆動ユニットは、前記エンドレス軸受トラムを駆動するように適合されていることを特徴とする、請求項11に記載の移動式駆動装置。
前記センサ装置はカメラであり、前記制御ユニットは、物体を識別するために前記カメラによって提供された画像信号を処理するように適合されていることを特徴とする、請求項18に記載の移動式駆動装置。
前記摩擦係合は、前記摩擦車又は前記コンベヤベルトを前記シャシフレームに対して持ち上げることによって確立されることを特徴とする、請求項21又は22に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
ローラコンベヤは、所定の経路に沿って物品を輸送するための物流用途において使用されている。典型的には、そのようなローラコンベヤは、任意のそのような物品を直接に搬送するために、又はそのような物品を含むパレット、ボックスなどを搬送するために使用することができる。
【0003】
ローラコンベヤの通常の構成は、フレーム内に回転可能に取り付けられた複数のローラを含む。ローラコンベヤを真っ直ぐな搬送方向に設定するために、ローラの回転軸は互いに平行であってもよい。曲がる搬送方向を有する構成において、ローラの回転軸は互いに角度をなしていてもよく、そのような曲がる経路で使用されるローラは円錐形状を有していてもよい。
【0004】
このようなローラコンベヤの主な利点は、前記ローラコンベヤ上の複数の物品の搬送動作を、搬送される物品ごとに対して個別に、単一のローラ又はローラグループを選択的に制御することが選択可能であることにある。通常、ローラコンベヤは、複数のコンベヤゾーンに分割され、各コンベヤゾーンは、個別に駆動されて前記ゾーン内に置かれた物品の搬送を行い、前記物品を隣接する下流ゾーンに搬送する。例えば、ローラコンベヤは、ブロックモードで複数の物品を搬送するように制御されてもよく、当該ブロックモードモードにおいて、全てのコンベヤゾーン内の全ての物品は、同時に搬送される。又はシングルモードで物品を搬送してもよく、当該シングルモードにおいて、単一のコンベヤゾーン内の単一の物品又は複数の物品は、隣接する下流ゾーンが空の場合にのみ、一のゾーンから隣接する下流ゾーンに搬送される。
【0005】
ローラコンベヤにおける搬送動作の個別的且つ選択的な制御は、個別制御を可能にするための複数の駆動ユニットを必要とする。通常、1つのコンベヤゾーンは、単一のモータ駆動ローラと複数の遊動ローラとを含む。単一のモータ駆動ローラは、搬送動作を行うために用いられる。これに関して、モータ駆動ローラ自体は、その外周面、すなわち、外側ローラ本体を介して搬送作業を行う。更に、モータ駆動ローラは、例えば、ローラの一端にあるベルト伝動装置によって、コンベヤゾーンの隣接する遊動ローラを駆動してもよい。
【0006】
他の実施形態において、モータが複数の遊動ローラの下の各コンベヤゾーンに設置され、チェーン駆動、ベルト駆動などを介して下から前記遊動ローラを駆動する。一般に、このタイプのローラコンベヤは、複数の物品がそのようなローラコンベヤで高い搬送速度で搬送されることができるように、物品の効果的な搬送を可能にする。しかしながら、このようなローラコンベヤに使用される複数のコンベヤゾーンの個別の制御及び駆動動作が必要とされ、前記搬送動作を行うために、大量の駆動ユニット、制御ユニット、及びプログラミング作業を必要とする。更に、搬送される物品の予想される量に応じてこのようなローラコンベヤを設計及び設定することは可能であるが、その物品の量が変化した場合に再構成する必要なしにそのローラコンベヤを適合させることは、一般に不可能である。これにより、搬送作業が長時間に中断されることになる。結果として、ローラコンベヤは、通常、搬送されるべき物品の予想最大量に対応するように設計される。従って、多くの場合、ローラコンベヤは、長期間にわたってその容量の僅か一部しか使用されない状態で駆動される。
【0007】
本発明の一般的な要望及び目的は、ローラコンベヤの設定を迅速に変更することを可能にすることによって、少量又は大量の物品を効率的に搬送することを可能にすることである。
【0008】
この目的は、ローラコンベヤを駆動するための移動式駆動装置によって実現され、当該移動式駆動装置は、シャシフレームと、牽引装置と、第1の駆動ユニットと、ローラ駆動装置と、第2の駆動ユニットとを備える。牽引装置は、前記シャシフレームに取り付けられ、支持面において前記シャシフレームを移動させるように適合される。第1の駆動ユニットは、前記牽引装置に機械的に結合され、前記支持面において前記シャシフレームを移動させるための駆動力を前記牽引装置に伝達する。ローラ駆動装置は、前記シャシフレームに取り付けられ、前記ローラコンベヤの1つ又は複数のローラに機械的結合するように適合されている。第2の駆動ユニットは、前記ローラ駆動装置に機械的結合され、前記ローラ駆動装置に搬送力を伝達する。
【0009】
本発明によれば、ローラコンベヤを駆動するように適合された移動式駆動装置が提供される。本発明の第1の重要な態様として、ローラコンベヤのローラを駆動するために使用される駆動装置は移動式であり、そのため、駆動装置は、ローラコンベヤに対して相対的に移動でき、ローラコンベヤの異なる場所に配置することができる。これにより、駆動装置によるローラコンベヤのローラへの駆動作用は、異なる位置に与えることができ、従って、ローラコンベヤの異なるローラを駆動することができる。
【0010】
移動式駆動装置の移動性を達成するために、移動式駆動装置は、シャシフレームと前記シャシフレームに取り付けられた牽引装置とによって構成される。シャシフレームは、プラットフォーム、フレームワーク等であってもよく、牽引装置は、前記シャシフレームをある場所から別の場所へ移動させることを可能にする任意種類の機械的構成であってもよい。一般に、牽引装置は車輪、ローラ、キャタピラなどを含むことができ、それらは同時に、支持面、例えば、地面、案内フレーム、又はレールなどにシャープフレームを支持することができる。そして、前記シャシフレームから対向面、例えば、支持面上に駆動力を伝達して、移動式駆動装置を前記支持面上で推進する。しかしながら、牽引装置の他の変形例は、ローラコンベヤと相互作用するデバイスを含み、例えば、そのフレーム又はフレームワーク、又は当該ローラコンベヤ付近の他の設備で相互作用することによって、移動式駆動装置を当該ローラコンベヤに沿って又は2つの異なるローラコンベヤの間で、ある場所から別の場所へ駆動する。牽引装置は、限られた自由度を有してローラコンベヤの一部のみに沿ってシャシフレームを駆動してもよく、又は、全自由度を有して、大型ローラコンベヤ構成内の任意の位置にシャシフレームを駆動してもよく、或いは、あるローラコンベヤから別のローラコンベヤへシャシフレームを駆動することもできる。基本的に、シャシフレームは、地面上に支持されてもよいが、他の変形例において、シャシフレームは、フレームワーク内に支持されてもよく、例えば、任意の他の種類の機械的構造内に支持され、当該機械的構造は、支持面を構成し、そのため、シャシフレームは、地面から一定の距離を離れた支持面上で移動する。
【0011】
移動式駆動装置は、前記牽引装置を駆動するための第1の駆動ユニットを更に備える。これによって、移動式駆動装置は、自走式であり、前記牽引装置によってある位置から別の位置へと独立して移動することができる。第1の駆動装置は、例えば、電気モータであってもよく、前記牽引装置のみを介して前記シャシフレームを駆動するのみでなく、それ以外の他の目的のためにも機能する。例えば、当該電気モータは、ローラコンベヤのローラを駆動するためにも機能することができる。
【0012】
本発明による移動式駆動装置は、ローラ駆動装置を更に備える。当該ローラ駆動装置は、ローラコンベヤの単一のローラ又は同時に複数のローラとの機械的結合を可能にし、シャシフレームの位置に応じて、別の単一のローラ又は複数のローラを前記ローラ駆動装置に機械的結合することができる。機械的結合が、ローラ駆動装置から前記ローラコンベヤの前記ローラ(又は複数のローラ)への駆動力をもたらすと理解される。一般に、ローラコンベヤのローラは、遊動ローラであって、そして、ローラコンベヤは、遊動ローラのみから構成される。本発明による単一又は複数の移動式駆動装置は、ローラコンベヤのローラを駆動するために利用することができる。
【0013】
しかしながら、他の種類の利用において、移動式駆動装置は、通常のローラコンベヤ構成において、故障したモータ駆動ローラを代替するために利用することができる。また、移動式駆動装置は、重力ローラコンベヤに詰まったパレットを再始動させるように機能することができる。
【0014】
ローラ駆動装置の1つ又は複数のローラへの機械的結合は、摩擦力によって、形状係止作用によって、又はこれらの組み合わせによって行うことができる。一般に、ローラ駆動装置の単一又は複数のローラへの機械的結合は、移動駆動装置の位置に応じて、移動式駆動装置をローラコンベヤの異なるローラへの結合を可能にするように、解除可能であるべきである。ローラ駆動装置は、第2の駆動ユニットによって駆動され、当該第2の駆動ユニットは、ローラによる物品の駆動、そして搬送を行うように用いられる。前記第2の駆動ユニットは、例えば、同一のモータを共有することによって第1の駆動ユニットと部分的に一体であってもよく、又は完全に独立した駆動装置であってもよい。また、第2の駆動ユニットは、例えば、電気モータを備えてもよい。
【0015】
第1の好ましい実施形態によれば、前記第1の駆動ユニットは、駆動モータと、前記駆動モータと前記牽引装置との間に配置されたカップリングとを含み、前記第2駆動ユニットは、前記駆動モータと、前記駆動モータと前記ローラ駆動装置との間に配置された第2のカップリングとを含む。本実施形態によれば、第1の駆動ユニットと第2の駆動ユニットとの両方は、同一のモータからそれらの駆動力を受け取る。そのため、移動式駆動装置において、1つのモータのみが用いられる。第1の駆動ユニット及び第2の駆動ユニットの駆動力を独立して制御することを可能にするために、駆動モータと牽引装置との間にカップリングが配置され、駆動モータとローラ駆動装置との間には更にカップリングが配置される。これらのカップリングは、駆動力の駆動列に機能的に配置されていると理解される。カップリングは、解放可能なクラッチであってもよい。更に、牽引装置及びローラ駆動装置の移動に関連して駆動モータの回転及びトルクの増減をもたらすために、ギアが駆動列又は各駆動列に配置されてもよく、そのようなギアはカップリングと一体であってもよい。更に、例えば、牽引装置内部の駆動力の特定の分配を可能にするために、追加のカップリング、クラッチ、又はギアが存在してもよいことが理解されたい。これによって、牽引装置のローラ、車輪、又は履帯は、異なる速度で駆動することができ、それによって、曲がる経路に沿った駆動、又は移動式駆動装置のその垂直軸を中心とする回転、又は他のタイプの移動を行う。
【0016】
更なる好ましい実施形態によれば、前記第1の駆動ユニットは、第1の駆動モータを備え、前記第2の駆動ユニットは、第2の駆動モータを備える。本実施形態によれば、第1駆動ユニットと第2駆動ユニットとの両方は、それぞれ駆動モータを備える。従って、移動式駆動装置は、少なくとも2つの駆動モータを備えている。当該構成によれば、第1の駆動モータ及び第2の駆動モータをそれぞれ制御することによって、第1の駆動ユニットと第2の駆動ユニットとを個別に制御することができる。2つの駆動モータを備える本実施形態は、前述した実施形態の代替として利用できることが理解されるが、本実施形態の好ましい実施形態において、第1駆動モータが、第1の駆動ユニットと第2の駆動ユニットとのために2つのカップリングを介して共通に使用され、第2駆動モータが、牽引装置又はローラ駆動装置を駆動するために更に設けられる。牽引装置及びローラ駆動装置を個別に駆動するための2つの駆動モータが基本構成を形成することが一般に理解され、当該基本構成には、牽引装置とローラ駆動装置とのいずれか又は両方に更なる駆動モータが備えられ、よりインテリジェントな駆動制御を実現し、これらの装置に付加的な機能又はパワーを提供することができる。
【0017】
更なる好ましい実施形態によれば、前記牽引装置は、ローラ配置と、複数の車輪と、履帯とを備える。
【0018】
牽引装置の構成は、必要な機能及び環境に応じて設計することができる。移動式駆動装置が曲がる経路及び直線経路を辿り、敏捷で高い操縦性を有することが要求される場合、装置の各隅に独立した車輪、例えば、四輪配置、装置の両側に2つの軌道を有する履帯を有する構成などが好ましいであり得る。車輪、ローラ、又は履帯は、操向可能であってもよく、又はシャシフレームに対して固定配向であってもよい。しかしながら、一般に、牽引装置は、2つの単一のローラのみ、3車輪配置、単一の履帯、又は移動式駆動装置を推進するための他の任意タイプの配置を備えることもできる。
【0019】
牽引装置は同時に、地面のような支持面において移動式駆動装置を支持するように機能することができると理解される。しかしながら、牽引装置は支持面とは接触していなくてもよく、むしろ他の構成要素、例えば、移動式駆動装置によって駆動されるローラコンベヤの任意の構成要素と接触していてもよい。そのような場合、追加のローラ又は車輪が存在してもよい。追加のローラ又は車輪は、支持面で移動式駆動装置のシャシフレームを支持し、牽引機能を有していなくてもよく、又は付加的な牽引機能を提供して移動式駆動装置を推進してもよい。
【0020】
更なる好ましい実施形態によれば、前記牽引装置は、前記支持面において、直線に沿って又は曲線に沿って前記シャシフレームを選択的に移動させるように適合されている。本実施形態によれば、牽引装置は、直線又は曲線経路を選択的に辿るように構成されている。これは、操向車輪又はローラによって、又はシャシフレームに対して固定配向を有する車輪、ローラ、又は履帯によって実現することができ、これらを、移動駆動装置の両側で異なる速度を提供するように制御することができる。一般に、この実施例により提供される軽快さは、ローラコンベヤが直線経路及び曲がる経路を辿るのに有益であり、更に、近道で移動式駆動装置をローラコンベヤにおける目的地、すなわち、移動式駆動装置が駆動装置として利用され場所へ導くように利用することができる。
【0021】
更なる好ましい実施形態によれば、移動式駆動装置は、前記ローラ駆動装置を前記シャシフレームに対して持ち上げるための昇降装置によって改善される。本実施形態によれば、ローラ駆動装置は、昇降動作によってローラコンベヤの単一又は複数のローラに結合され、又はローラコンベヤの単一又は複数のローラから分離されることができる。これにより、ローラ駆動装置の切り離された状態において、移動式駆動装置を、ローラコンベヤの下に配置し、ローラコンベヤ装置の昇降動作によって、ローラ駆動装置をローラコンベヤのローラに結合させることが可能となる。ローラコンベヤ装置の少なくとも一部が当該昇降動作中に持ち上げられて、結合を行うことが理解される。更に、昇降装置は、ローラ駆動装置の構成要素をローラコンベヤのローラ又は複数のローラに押し付けて、摩擦力を引き起こす又はローラへの駆動力の安全な伝達を行うために使用されてもよい。ローラは、ローラ駆動装置と係合するときに力の高い摩擦伝達を提供するように、その外周面又は外周面の一部が、例えば、ローレット又は特殊のコーテイングによって修飾されてもよい。
【0022】
特に好ましくは、延伸可能要素が昇降装置に含まれ、前記延伸可能要素は、チェーンのようなベルト、バンド、又は他の任意の種類のトラム(trum)の少なくとも一部分に沿って延びる。前記延伸可能要素は、延伸状態において、ローラコンベヤのローラとの接触を確立するような方向において延伸可能であるように適合されている。延伸可能要素は、ベルトによって複数のローラに与える圧力を調和させるために使用することができる。更に、延伸可能要素は昇降装置として利用されてもよく、延伸されていない状態において、ローラ駆動装置とローラとの間にギャップが存在し、そのためローラが駆動されない。一般に、延伸可能要素は、延伸状態でローラと直接接触してもよいが、好ましくは、延伸可能要素とローラとの間にチェーン、バンドなどのようなベルトが介在している。特に、ローラ駆動装置は、支持面とベルトとを備え、延伸可能要素は前記支持面上に支持され、ベルトは前記延伸可能要素上に支持されている。よって、前記延伸可能要素は、前記支持面と前記ベルトとの間に挟まれている。更に、スライド移送要素は、前記延伸可能要素と前記ベルトとの間に挿入されてもよく、前記スライド移送要素は、前記延伸可能要素に対して静止しており、前記ベルトは、駆動されたときに前記スライド移送要素に沿ってスライドする。
【0023】
延伸可能要素は、ベルト部分に沿って延びるホースのような管状体によって形成されてもよい。管状体は、空気圧又は水圧で駆動される加圧空気源に接続された内部容積を有してもよい。延伸可能要素の延伸の程度を制限するために停止要素が設けられてもよい。例えば、スライド移送要素は、案内部材によって案内されてもよく、当該案内部材は、当接面を有して前記スライド移送要素の移動範囲を制限する。
【0024】
昇降装置は、個別の駆動ユニットによって駆動されてもよく、又は第2の駆動ユニットによって一体的に駆動されてもよい。
【0025】
代替又は付加的な特徴として、ローラ駆動装置及び牽引装置は、以下のように制御ユニットによって制御されてもよい。すなわち、シャシフレームがローラコンベヤのローラに対して移動し、ローラ駆動装置が前記ローラに結合され、ローラ駆動装置の駆動運動は、シャシフレームの移動を補償するように、且つ前記ローラを静止状態、すなわち回転しない状態に維持するように制御される。これによって、移動式駆動装置は、ローラの回転を引き起こすことなくローラに結合され、ローラコンベヤに沿って移動することができ、そのため、当該ローラコンベヤ上の物品は静止状態に保たれる。このような制御によって、昇降装置を省くことができる。
【0026】
更なる好ましい実施形態によれば、前記ローラ駆動装置は、コンベヤベルトと、前記コンベヤベルトを移動させるための駆動装置とを備える。この実施形態によれば、コンベヤベルトは、前記コンベヤベルト用の対応する駆動装置を介して前記第2の駆動ユニットによって駆動される。
【0027】
本発明によれば、ベルト駆動装置は、好ましくはエンドレス駆動トラム(endless drive trum)として形成することができる。しかしながら、いくつかの実施形態において、非エンドレス駆動トラムをベルト駆動装置として、例えば、往復駆動パターンで使用することができる。更に、ベルトは、一般的には、例えば、チェーン、バンド、歯付きバンド又はチェーンのような任意のタイプのトラムとして形成されると理解される。複数のそのようなトラムは、互いに平行に配置されて前記ベルトを形成することができる。
【0028】
駆動装置は、コンベヤベルトが巻き掛けられたドラムであってもよく、ドラムは、ドラムモータであって第2の駆動ユニットを組み入れてもよい。ローラ駆動装置におけるコンベヤベルトの使用は、ローラコンベヤの複数のローラへの安全な摩擦係合を実現し、これらのローラを搬送動作へと駆動することを可能にする。コンベヤベルトは真っ直ぐな上面を提供してもよく、複数のローラへの摩擦係合が引き起こされるように支持されてもよい。コンベヤベルトは、エンドレスベルトであってもよく、2、3、4、5、6、7、8、又は更に多くのローラが同時にコンベヤベルトと接触するように、複数のローラと接触する有効牽引長さを有してもよい。
【0029】
更なる好ましい実施形態によれば、前記コンベヤベルトは、前記ローラコンベヤ装置の1つ又は複数のローラの摩擦対向面と係合するための上向きの摩擦面を備える。一般に、ローラ駆動装置は、下からローラコンベヤのローラに駆動力を加えることができる。そうすることによって、ローラコンベヤによって搬送されるべき物品がローラコンベヤの上に配置されるとともに、ローラ駆動装置が前記物品の反対側の下からローラに摩擦係合することができる。
【0030】
更なる好ましい実施形態によれば、前記ローラ駆動装置は、形状係止要素と摩擦要素とを備える。形状係止要素は、前記ローラコンベヤの2つのローラの間の空間における形状係止係合のために用いられ、摩擦要素は、前記ローラコンベヤの少なくとも1つのローラの摩擦係合のために用いられる。好ましくは、前記形状係止要素と前記摩擦要素とは、摩擦係合及び形状係止係合によって力を伝達するための伝達要素によって一体的に形成される。本実施形態によれば、ローラ駆動装置は、形状係止係合と摩擦係合との両方でローラコンベヤと係合するように適合されている。これは、ローラコンベヤのローラとの接触によって達成され、2つのローラの間の空間が形状係止係合に利用され、ローラの表面が摩擦係合に利用される。これは一体型装置によって実現することができる。特に、ローラ駆動装置からローラへの駆動作用を提供すると同時に、前記形状係止係合によって、ローラコンベヤに沿ってローラ駆動装置を推進するように、二重係合を使用することができる。
【0031】
更なる好ましい実施形態によれば、前記ローラ駆動装置は、1つ又は複数の摩擦車を含み、好ましくは、前記第2の駆動ユニットは、前記1つ又は複数の摩擦車を駆動するように適合されている。本実施形態において、ローラ駆動装置からローラコンベヤのローラへ駆動力を伝達するために、単一又は複数の摩擦車が使用される。単一の摩擦車を使用して、ローラコンベヤの2つのローラへの接触を確立することができる。すなわち、摩擦車は、2つのローラ間の間隙に配置されることによって両方のローラに対して押圧される。好ましくは、1つ又は複数の摩擦車は、駆動力を効果的に伝達するために、両方のローラと接触するのに十分な直径を有する。摩擦車の直径は、好ましくは、ローラコンベヤのローラの直径よりも大きい。複数の摩擦車がローラ駆動装置に設けられている場合、これらの摩擦車は、摩擦車の上部に摩擦外周の上面と同じ高さの平面を提供するように整列されてもよい。複数の摩擦車は、これらの摩擦車のピッチが、摩擦車によって駆動されるローラコンベヤのローラのピッチに対応するように、移動式駆動装置に配置されてもよい。当該ピッチは、ローラの2つの隣接する回転軸の間の距離、或いは摩擦車の2つの隣接する軸の間の距離として理解される。しかしながら、他の実施形態において、摩擦車の軸の位置は、ローラコンベヤのローラの異なるピッチに適応できるように可変であってもよい。そのような場合、ローラ駆動装置の摩擦車の複数の軸又は摩擦車の単一の軸の水平方向の移動は、ローラ駆動装置を異なるピッチを有するローラコンベヤに結合させることを可能にするように機能する場合がある。
【0032】
更に別の好ましい実施形態によれば、前記ローラ駆動装置は、前記複数の摩擦車を含み、各摩擦車は、前記ローラコンベヤの前記ローラの摩擦対向面に係合するための摩擦外周駆動面を含む。更に、各摩擦車は、車輪軸を中心に回転可能であり、前記車輪軸は、エンドレス軸受トラムに沿って配置されている。前記エンドレス軸受トラムは、トラム駆動ユニットによって駆動され、前記摩擦車は、車輪駆動ユニットによって駆動される。本実施形態によれば、摩擦車自体は、エンドレス軸受トラムに取り付けられ、エンドレス軸受トラムは、エンドレスベルト又はチェーンなどであってもよい。
【0033】
チェーンの好ましい実施形態は、ローラと接触し、ローラを駆動する外周面に摩擦板を有する。特に、2列の摩擦板を有し、その第1列の摩擦板が第2列の摩擦板に対してずらして配置されるように適合されたチェーンは、ローラのノンスタッタリング駆動を実現するために好ましい。また、2列の摩擦板は、2つの分離チェーン又は双鎖チェーンによって実現されてもよい。2つのチェーン又は双鎖チェーンの利点は、駆動スプロケットを、駆動スプロケットの回転軸を中心に、互いに僅かな回転角で取り付けることができることである。これにより、チェーンとスプロケットとの間の遊びを最小限に抑えて、ノンスタッタリング駆動を実現することができる。
【0034】
前記エンドレス軸受トラムは、摩擦車の回転軸を位置決めし、前記摩擦車をシャシフレームに対して閉じた経路に沿って移動させるように機能する。本実施形態によって、摩擦車をローラコンベヤの第1のローラセットに結合し、続いて摩擦車をローラコンベヤの他のローラに結合することによって、ローラコンベヤの軌道に沿ってローラ駆動装置を移動させることが可能である。ローラコンベヤの軌道に沿った当該移動は、エンドレス軸受トラムの一端において、摩擦車をローラコンベヤのローラに連続的に結合させるとともに、エンドレス軸受トラムを移動させ、エンドレス軸受トラムの他端において、ローラコンベヤのローラから摩擦車を連続的に切り離すことによって行うことができる。従って、ローラ駆動装置全体の昇降は、ローラーコンベアの軌道を辿る当該移動には必要とされなくてもよい。
【0035】
摩擦車をローラに連続的に結合させ、ローラから切り離すことが可能であることの第2の機能として、エンドレス軸受トラムの移動は牽引装置として役に立つことができることである。すなわち、移動式駆動装置は、この種の牽引装置がローラ駆動装置のエンドレス軸受トラムに組み込まれることによって、ローラコンベヤの軌道に沿って駆動される。
【0036】
従って、更に好ましくは、前記牽引装置が前記エンドレス軸受トラムを備え、前記第1の駆動ユニットが前記エンドレス軸受トラムを駆動するように適合される。本実施形態によれば、移動式駆動装置を推進するための駆動力は、エンドレス軸受トラムに作用し、そして移動式駆動装置は、当該エンドレス軸受トラムの移動によって推進される。特に、エンドレス軸受トラムにおいて支持されている摩擦車がローラコンベヤのローラと接触している場合、当該移動は、ローラコンベヤの軌道を正確に辿ることを可能にする。一般的に理解されるように、摩擦車は、第1の駆動ユニットの駆動力を用いた機械的係合によっても駆動することができる。更に、第2の駆動ユニットを摩擦車に結合してもよいことが理解されたい。そうすることによって、摩擦車のそれらの回転軸を中心とした回転を引き起こし、それにより、摩擦車の回転をエンドレス軸受トラムの動きから独立して制御することができる。
【0037】
一般に、エンドレス軸受トラムの動き及び摩擦車の回転は、以下のように制御することができる。すなわち、摩擦車の外周面は相対運動を行い、当該相対運動は、エンドレス軸受トラムに対して摩擦車がその先端部で2倍の速さで移動し、且つエンドレス軸受トラムとは反対方向に移動するように配向される。これにより、摩擦車をローラコンベヤの軌道に沿って移動させ、下から摩擦車とローラとの間の摩擦係合によってローラコンベヤのローラを駆動することを可能にし、そして、移動式駆動装置を、摩擦車の駆動作用により、ローラコンベヤの上で輸送される物品と同一の速度で推進する。このように、輸送される物品と移動式駆動装置とは、ローラコンベヤの軌道に沿って同期的に移動し、摩擦車はローラの下から倍速の逆回転によってローラに駆動力を提供する。
【0038】
更なる好ましい実施形態によれば、前記シャシフレームは、受動的運動又は従動的運動に適合された下部運び台によって前記支持面に支持されている。移動式駆動装置は、前記第1の駆動ユニットを制御するように適合された制御ユニットによって更に改善することができる。すなわち、
第1の牽引モードにおいて、前記エンドレス軸受トラムは、前記第1の駆動ユニットによって駆動され、前記下部運び台は、受動的運動状態に維持される。
第2の牽引モードにおいて、前記エンドレス軸受トラムは、受動的運動状態に維持され、前記下部運び台は駆動される。
【0039】
本実施形態によれば、移動式駆動装置を駆動するための2つの異なるモードを選択することができる。第1の牽引モードにおいて、エンドレス軸受トラムが駆動され、そして、摩擦車は、例えば、摩擦力又は形状係止作用によって支持され、対抗面に抗して作用して移動駆動装置を駆動する。従って、当該第1の牽引モードにおいて、エンドレス軸受トラムの運動は、移動式駆動装置を推進するように機能する。そして、下部運び台は、受動的運動状態に維持され、移動式駆動装置の重量を支え、移動式駆動装置が前記支持面上でスライドする又は転動することを可能にするのみに機能する。受動的運動状態は、下部運び台が移動式駆動装置の動きに従うことを可能にすることが理解される。すなわち、受動的運動状態において、下部運び台は、駆動力も制動力も提供しない。第2の牽引モードにおいて、下部運び台は、駆動されて、移動式駆動装置が地面上で移動するための推進力を提供する。当該第2の牽引モードにおいて、エンドレス軸受トラムは受動的運動状態に維持され、従って、移動式駆動装置の支持面における移動に駆動力又は制動力を提供することなく、摩擦車及びエンドレス軸受トラムは、移動式駆動装置に対して、又は移動式駆動装置において、相対運動を行うことができる。
【0040】
更なる好ましい実施形態によれば、前記摩擦車は駆動面によって駆動される。本実施形態によれば、駆動面が存在し、当該駆動面は、摩擦車に結合された、又は摩擦車で具現化された外周面に対する接線面として摩擦車に接触することができる。駆動面の当該特定の配置は、摩擦車の回転軸の並進運動によって摩擦車を回転させることを可能にする。摩擦車の回転軸の並進運動は、エンドレス軸受トラムの移動又は回転軸の他の任意タイプの案内及び移動によって達成される。駆動面は、摩擦車の摩擦外周面に直接作用し、当該摩擦車は、同時に移動式駆動装置によって駆動されるローラコンベヤのローラに駆動力を伝達する。代替的に、摩擦車は、外周面に結合されてもよく、当該外周面は、ローラコンベヤのローラと接触している摩擦車の外周面よりも小さい直径を有してもよい。これによって、移動式駆動装置において静止状態の駆動面に沿った回転軸の並進運動によって駆動されるときに摩擦車の増大した回転速度が達成される。従って、ローラコンベヤの軌道に沿って移動式駆動装置を駆動し、ローラコンベヤのローラと接触している摩擦車に対して回転軸の相対運動が変化しないように、摩擦車をエンドレス軸受トラムに沿って誘導することができ、駆動面への接触により摩擦車の回転を駆動することができる。駆動面は、移動式駆動装置において静止であるため、摩擦車の回転軸に対して移動式駆動装置と共に移動する。摩擦車輪は、ローラコンベヤのローラに接触し、静止状態である。
【0041】
好ましい実施形態において、前記駆動面は固定面であるか、又は前記駆動面は、駆動ベルトに配置される。前記駆動ベルトは、駆動ユニットによって駆動されるか又は静止位置に保持される。本実施形態によれば、駆動面は、摩擦車の機能性及び相対回転、並びに前述したような摩擦車の回転軸の動きを可能にするための固定面とすることができる。更に、駆動面は駆動ベルトに配置されてもよく、駆動ベルトは、駆動ユニットによって駆動されて移動式駆動装置のシャシフレームに対して相対運動するように、又は前記シャシフレームに対して静止状態に保たれるように制御されてもよい。当該構成は、駆動ベルトが動かされて摩擦車を回転させるという点で、移動駆動装置が、摩擦車によって駆動されるローラコンベヤに対して静止したままであっても、摩擦車を回転させることを可能にする。特に、前記駆動ベルトは、摩擦車の回転軸が配置されているエンドレス軸受トラムと平行に配置されていてもよい。
【0042】
更なる好ましい実施形態によれば、移動式駆動装置は、前記第1及び第2の駆動ユニットに接続されたエネルギー貯蔵装置によって改善される。このようなエネルギー貯蔵装置は、外部エネルギーの供給を必要とすることなく、移動式駆動装置を動かすことを可能にし、外部エネルギー供給を必要とすることなく、ローラコンベヤを駆動することを可能にする。エネルギー貯蔵装置は、第1及び第2の駆動ユニットに結合されてこれらの駆動ユニットにエネルギーを供給することができる。エネルギー貯蔵装置は、例えば、エネルギー貯蔵装置としてのバッテリー、又は充電式バッテリー、又は水素燃料電池を使用することによって電気エネルギーを蓄積又は生成するように適合されてもよい。
【0043】
更なる好ましい実施形態によれば、移動式駆動装置は、前記第1の駆動ユニットに結合された制御ユニットによる特徴によって改善される。前記制御ユニットは、前記第1の駆動ユニットが前記支持面における所定の経路に沿って又は前記支持面における所定の目的地に向かって前記シャシフレームを駆動するように、前記第1の駆動ユニットを制御するように適合される。本実施形態によれば、移動式駆動装置は、制御ユニットを更に備え、当該制御ユニットは、速度及び方向に関して移動式駆動装置の移動を制御するように適合される。これにより、移動式駆動装置を所定の経路に沿って駆動すること、又は地面における所定の目的地まで駆動することができる。このような移動の制御は、事前にプログラムされて制御ユニットに結合されたメモリに記憶されるか、又は外部中央制御装置から制御ユニットに送信されてもよい。更に、環境に関する情報を制御ユニットに提供するセンサなどからの関連信号によって、移動式駆動装置の独立した合理的な動きとして当該動きを制御するように適合されてもよいことが理解される。更に、制御ユニットは、代替的又は追加的にリアルタイム制御信号を受信するように適合されてもよい。当該リアルタイム制御信号は、移動駆動装置に搭載された制御ユニットとのデータ転送のために無線通信している外部制御ユニットからの所定の経路又は所定の目的地に関する情報を含む。更に、制御ユニットは、移動式駆動装置がローラコンベヤと接触し、ローラコンベヤを駆動するときに、特定の搬送動作を実行するように、第1の駆動ユニットを制御するように適合されてもよい。ローラコンベヤにおける特定の所定の搬送動作を実行するために、第1の駆動ユニットと第2の駆動ユニットとの両方を制御するためには、第2の駆動ユニットへの信号送信のために制御ユニットを更に結合することができる。
【0044】
また更に、前記移動式駆動装置は、前記支持面が座標系を画定するX軸及びY軸に沿って延びることによって更に改善することができる。前記制御ユニットは、前記シャシフレームが前記支持面の前記座標系に対して所定の配向に位置決めされるように、前記第1の駆動ユニットを制御するように適合される。更なる好ましい実施形態によれば、制御ユニットは更に、移動式駆動装置が支持面、例えば、地面上の垂直軸に対して特定の配向に位置決めされるように適合される。このような所定の配向は、その後前記ローラコンベヤを駆動するために、ローラ駆動装置をローラコンベヤに安全且つ正確に結合することを保証するのに役立つ。
【0045】
更なる好ましい実施形態によれば、移動式駆動装置は、前記第1の駆動装置及び前記第2の駆動装置に結合された制御ユニットによって改善される。前記制御ユニットは、第1のモードにおいて前記第1の駆動ユニットが停止され、且つ前記第2の駆動ユニットが駆動されるように前記第1及び第2の駆動ユニットを制御するように適合されている。第2のモードにおいて、前記第1の駆動ユニットは、前記シャシフレームが前記支持面に沿って第1の速度で移動するように駆動され、前記第2の駆動ユニットは、前記ローラ駆動装置の摩擦面が第2の速度で駆動されるように駆動される。前記第2の速度は、第1の速度の2倍である。本実施形態によれば、制御ユニットは、牽引装置とローラ駆動装置とを少なくとも2つのモードで制御するように適合される。
【0046】
第1のモードにおいて、牽引装置が移動式駆動装置を、地面を横切って移動させないように第1の駆動装置が停止され、ローラ駆動装置がローラコンベヤのローラを駆動して、ローラコンベヤ上の物品の搬送を行うように第2の駆動装置が駆動される。当該第1のモードにおいて、ローラコンベヤ上の物品は、移動式駆動装置に対して搬送されることが理解される。従って、移動式駆動装置と物品との間の距離は、当該運搬作用によって増大する。これは、典型的には、物品がローラ駆動装置によって駆動される搬送ゾーンから外に移動されることに繋がる。従って、第1のモードは、ローラコンベヤ上の商品を、移動式駆動装置の範囲外の別の位置、例えば、下流側のコンベヤゾーンへ移送処理するために利用することができる。
【0047】
第2のモードにおいて、移動式駆動装置は、第1の速度で地面を横切って移動され、ローラ駆動装置は、ローラコンベヤのローラに接触している摩擦面において第2の速度で駆動される。これによって、駆動力をローラコンベヤのローラに伝達することができ、伝達された駆動力は、ローラに対するローラ駆動装置の相対運動を補償し、更に、ローラに駆動力を加えて、移動式駆動装置の移動速度と同様の速度、すなわち第1の速度でこれらのローラに配置された物品を搬送する。これによって、移動式駆動装置とローラコンベヤ上の物品(複数の物品を含む)とが同期的に移動し、移動式駆動装置の駆動力によって、ローラコンベヤの全軌道に沿って、且つ複数のコンベヤゾーンを横切って商品を搬送することができる。
【0048】
また更に、移動式駆動装置は、前記シャシフレームを駆動するための前記第1の駆動ユニットへの信号送信のために結合された制御ユニットによって改善することができる。前記制御ユニットは、前記シャシフレームに配置されたセンサ装置への信号送信のために結合され、前記センサ装置は、前記シャシフレームの周囲の物体を認識し、物体が認識された場合にセンサ信号を前記制御ユニットに送信するように適合される。好ましくは、前記制御ユニットは、前記物体との衝突を回避するように前記駆動ユニットを制御するように適合される。本実施形態によれば、移動式駆動装置は、物体を認識するように適合されたカメラのような少なくとも1つのセンサを備える。物体は、移動式駆動装置の位置及び/又は配向に関する情報を提供するのに役立つ障害物、又は構造、又はパターンであってもよい。例えば、物体は、センサによって検知されるプリントコード、バーコード、又はRFIDタグのようなパターンであってもよい。制御ユニットは、前記センサ信号から、移動式駆動装置が現在係合しているローラコンベヤに関する情報、又はそのようなローラコンベヤの搬送経路に沿った位置に関する情報を抽出するように適合されている。特に、制御ユニットは、所定の物体を識別し、センサによって検出された物体の大きさを他の大きさの物体と比較することによって、コンベヤ経路に沿った位置を判定し、前記比較ステップより、物体からセンサまでの距離を計算するように適合されてもよい。サイズが比較される他の物体は、制御装置のメモリに記憶されている基準値であるか、又は前記センサ若しくは前記制御ユニットに接続された他のセンサによって検出される他の位置における他の物体であってもよい。特に、制御ユニットによってサイズが比較される2つの物体は、移動式駆動装置の両側に配置されてもよい。これによって、位置を非常に正確に判定することができる。コンベヤの軌道に沿った位置の判定と、制御ユニットによるコンベヤの軌道の識別とを同時に可能にするために、物体は、個別のコードを含むことができる。
【0049】
更に、本実施形態によれば、移動式駆動装置は、自動運転又は部分的自動運転のために配置することができる。その場合、移動式駆動装置は、周囲の任意の記号又は障害物を検出するための前記1つ又は複数のセンサを備える。これにより、制御ユニットは、所定の目的地への経路上の障害物を回避する別個の知能的経路を選択することによって、所定の目的地に到達するように牽引装置を制御することができる。
【0050】
特に、好ましくは、前記センサ装置はカメラであり、前記制御ユニットは、前記物体を識別するように前記カメラによって提供された画像信号を処理するように適合されている。一般に、異なる方向に向けられている1つのカメラ又は2つのカメラは、移動式駆動装置の周囲の任意の障害物を検出することを可能にすることができる。そのような場合、画像処理は、制御装置により実行されて、そのような障害物を識別し、移動式駆動装置の周囲の任意のランドマーク又は他の兆候を認識する。
【0051】
また更に、好ましくは、前記牽引装置は、前記シャシフレームを、前記ローラコンベヤにおいて形成された支持軌道面に支持するように適合される。これにより、シャシフレームを、ローラコンベヤのフレーム内で又はフレーム上で誘導し、安全に移動させることができる。例えば、シンプルで耐久性のある構成において、牽引装置は、ローラコンベヤの2つの側方のフレーム輪郭に支持され、当該ローラコンベヤにおいて、ローラは、回転可能に取り付けられており、従って、牽引装置は、ローラの下に設置されて前記側方のフレームに沿って移動することができる。
【0052】
最後に、移動式駆動装置は、支持軌道面を有するコンベヤ軌道セクションによって更に改善することができる。前記コンベヤ軌道セクションは、コンベヤ軌道セクション牽引装置を含み、コンベヤ軌道セクションの第1の位置における第1のコンベヤ軌道に結合するように適合され、コンベヤ軌道セクション牽引装置を駆動することによって第2の位置に移動し、コンベヤ軌道セクションの前記第2の位置において第2のコンベヤ軌道に結合する。好ましくは、前記コンベヤ軌道セクション牽引装置は、前記コンベヤ軌道セクションを前記第1のコンベヤ軌道の搬送方向と直交する方向に移動させるように適合される。本実施形態において、移動式駆動装置は、コンベヤ軌道セクション内に又はコンベヤ軌道セクションにおいて配置されるように適合され、そのコンベヤ軌道セクション自体は、地面又は他の任意の支持面において移動可能である。コンベヤ軌道セクション自体は、移動式駆動装置の牽引装置を支えるための支持面を備える。これによって、移動式駆動装置は、コンベヤ軌道セクションと共に移動可能であり、そしてコンベヤ軌道に移動することができる。コンベヤ軌道セクションがローラコンベヤのコンベヤ軌道に結合されている場合、移動式駆動装置は、コンベヤ軌道セクションから出てコンベヤ軌道の全体に沿って移動することができる。コンベヤ軌道セクションは、コンベヤ軌道セクションのローラの上における物品又はパレットを取り上げるように適合されてもよく、そうすることによって、当該物品又はパレットは、コンベヤ軌道セクションと共に、1つのコンベヤ軌道から別のコンベヤ軌道へ移動される。
【0053】
本発明の更なる態様によれば、ローラコンベヤ上の物品を搬送する方法であって、当該方法は、前記シャシフレームに配置された牽引装置によって、シャシフレームをローラコンベヤに駆動するステップと、前記シャシフレームに配置されたローラ駆動装置をローラコンベヤに結合させるステップと、摩擦係合によって前記ローラコンベヤのローラを駆動するステップとを含み、前記摩擦係合は、前記ローラ駆動装置の摩擦車又はコンベヤベルトの間で確立される。
【0054】
この方法は、摩擦車又はコンベヤベルトがシャシフレームに関して移動され、シャシフレームがローラコンベヤに関して移動される点で改善することができる。
【0055】
この方法は、摩擦係合が、シャシフレームに対して摩擦車又はコンベヤベルトを持ち上げることによって確立される点で更に改善することができる。
【0056】
更に、この方法は、シャシフレームがローラコンベヤに沿って駆動される点で改善することができる。
【0057】
最後に、この方法は、摩擦係合が複数の摩擦車によって確立され、各摩擦車は、車輪軸を中心に回転し、車輪軸は、エンドレス経路に沿って移動される点で改善することができる。
【0058】
本発明の方法及びこの方法の好ましい実施形態は、前述した移動式駆動装置を使用して好ましく実行することができる。本方法の特定の態様及び特徴、並びにその機能は、前述のように、移動式駆動装置のそれぞれの特徴、機能、及び態様に対応し、従って、移動式駆動装置を参照しながら本明細書に記載の説明に検討することが理解されたい。
【0059】
本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【発明を実施するための形態】
【0061】
先ず、
図1及び
図2を参照すると、本発明の第1実施形態に係る移動式駆動装置は、シャシフレーム10を備え、シャシフレーム10は、4つの車輪20a−dによって地面1に支持されている。車輪は、基本的に装置の四隅にあり、地面にシャシフレームを支持するように配置されている。基本的に、車輪はレール上、又はローラコンベヤフレームのようなフレーム内に設けられた任意の表面に装置を支持することができる。
【0062】
シャシフレームの内側には、電気モータ30が設置されている。電気モータ30は、ブレーキ41を組み込んだクラッチ40を介して、モータの一端において伝動システムに結合されている。伝動システムは、ギア42と、シャフト44へのベルト伝動部43とを備え、当該シャフトは、電気モータ30の駆動力をシャシフレームの両側に分配する。
【0063】
シャフト44からのベルト伝動部45a、bは、シャシフレームの一端のシャフト44からの駆動力をシャシフレームの反対側の端部に分配する。シャフト44に隣接する車輪20a、cは、シャフト44からのギア46a、bによって駆動され、車輪20b、dは、ベルト伝動部45a、bによって駆動され、このように、本実施形態において、四輪駆動のシャシフレームが設けられている。
【0064】
ベルト伝動部45a、bは省略されてもよく、その結果、車輪20a、cによる二輪駆動となることが理解されたい。更に、シャフト44及びベルト伝動部45bが省略されてもよく、その結果、車輪20a、20bによるシャシフレームの片方側の二輪駆動になることが理解されたい。
【0065】
電気モータ30は、クラッチ40の反対側の他端における第2のクラッチ50を介してギア51に結合されており、ギア51は、エンドレス駆動トラム60に結合されている。エンドレス駆動トラムは、外面に摩擦パッドを有する2つの平行なエンドレスチェーン60a、bを含むベルト伝動部として構成されている。これら2本の平行なチェーンは、ローラコンベヤ3のローラ2a−dに摩擦係合による結合のために用いられ、そしてエンドレスチェーンを駆動することによって、ローラを回転させてローラ2a−d上にあるパレット4を搬送することができる。
【0066】
図1に示すように、エンドレスチェーン60a、bは、昇降装置70を介してシャシフレーム10に結合され、昇降装置70は、地面1に対してエンドレスチェーンを上昇させる、又はエンドレスチェーンを降下させることを可能にする。これによって、エンドレスチェーン60a、bは、ローラコンベヤ3のローラ2a−dに結合され、ローラの底部円周部分に摩擦係合することができる。昇降装置70は、ローラ2a−d上に載置されたパレット4を搬送するための摩擦駆動力をローラに伝達するのに十分な接触圧力を加えることができる。
図1に示すように、移動式駆動装置によってパレット4がコンベヤ軌道に沿って搬送される典型的な動作モードにおいて、移動式駆動装置は、一定の速度vで地面を横切って駆動され、エンドレスチェーンは、一定の速度2*v、すなわち、地面に対してシャシフレームの速度の倍速で駆動される。エンドレスチェーンは、上部61が、地面に対するシャシフレームの移動に対して反対方向に移動する方向に駆動される。これによって、パレット4とシャシフレーム10は、ローラコンベヤ3の軌道に沿って同期的に移動し、移動式駆動装置によってパレット4をコンベヤ軌道の全体に沿って搬送することができる。
【0067】
図3は、車輪20を有するシャシフレーム10の側面概略図を示す。本実施形態に示される特徴及び詳細は、前述した第1実施形態及び以下に説明する第2実施形態の両方に適用できることが理解されたい。図から分かるように、2つの飛行時間型カメラ90a、bは、前端部及び後端部でシャシフレーム10に取り付けられており、シャシフレームの前後の周囲状況を観察するように配向されている。飛行時間型カメラは、シャシフレームの前後の水平空間を観察し、更に、シャシフレームの上方に配置されたローラコンベヤのローラの間及び上方の空間を観察することに留意されたい。これによって、飛行時間型カメラは、シャシフレーム又はその側方の経路における障害物及び何らかのマークと、ローラコンベヤ上のパレットとの両方を検出することができる。従って、2つの飛行時間型カメラによって検出された画像の制御ユニットによる画像解析は、パレットがシャシフレームの範囲内に又は上方にあるかを正確に判定し、シャシフレームを当該パレットの真下に位置決めするようにシャシフレームの移動を制御することを可能にする。
【0068】
次に、
図4a−cを参照すると、これらの図には3つの異なる動作モードが示されている。
【0069】
図4aにおいて、シャシフレーム10は、駆動されている車輪20によって地面を横切って移動しており、エンドレスチェーン60a、bはローラコンベヤに結合されていない。これにより、移動式駆動装置をローラコンベヤ3のローラの下方に配置することができる。
【0070】
図4bにおいて、エンドレスチェーン60a、bは、ローラの底部円周部分に接触することによってローラコンベヤのローラ2a−cに結合されている。シャシフレーム10は、車輪20a−dによって駆動され、エンドレスチェーン60a、bも駆動される。この動作モードにおいて、エンドレスチェーン60a、bの駆動速度は、シャシフレーム10の駆動速度の2倍であり、エンドレスチェーンの上部61は、シャシフレームの反対側でローラと接触し、上部61の移動方向は、地面1に対するシャシフレームの移動方向とは反対である。これにより、ローラコンベヤのローラ2a−cは、これらのローラ上に配置されたパレット4がシャシフレーム10と同期的に駆動されるように回転され、すなわち、パレット4は、地面1に対するシャシフレーム10の移動と同一の速度及び方向を有して移動される。これによって、移動式駆動装置によって、パレット4をローラによって形成されたコンベヤ軌道に沿って連続的に移動させることができる。
【0071】
図4cに示す動作モードにおいて、シャシフレーム10は、地面1上に静止したままであり、エンドレスチェーン60a、bは駆動される。この動作モードにおいて、パレット4を、コンベヤ軌道の隣接する下流又は上流側のゾーンに引き渡すことができる。この場合、エンドレスチェーンの速度は、パレット4の搬送速度に対応し、
図4bの地面に対するシャシフレームの速度と一致してもよいが、方向が
図4bと同じ方向である。こうすることによって、
図4bから
図4cまで不変の搬送速度を維持することができる。
【0072】
ここで
図5a及び5bを参照すると、本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態の構成と同様の構成でシャシフレーム110及び牽引車輪120a、bを備える。また、牽引車輪120a、bは、電気モータによって駆動することができ、二輪駆動、又は四輪駆動、更には一輪駆動を実現することができる。
【0073】
第2の実施形態において、ローラ駆動装置は、複数の摩擦車160a−iを含み、すなわち、全部で9個のそのような摩擦車が具現化されているが、変形例において他の数の摩擦車を含むことも可能であることが理解されたい。各摩擦車160a−iは、回転軸161a−iを中心とする回転運動のために取り付けられており、前記回転軸161a−iは、エンドレス軸受トラム162に取り付けられている。エンドレス軸受トラム162は、フラットな上部及びフラットな下部軌道セクションを有する楕円形経路に沿って誘導される。摩擦車160a−iは、エンドレス軸受トラム162に沿って均等に分配され、回転軸161a−iは、楕円形経路に沿ってエンドレス軸受トラム162と共に移動する。
【0074】
図5a、bから一般に分かるように、上部軌道セクション162u内の摩擦車160a−dは、摩擦車の上に配置されたローラコンベヤ103のローラ102a−eと摩擦係合する。上部軌道セクション160u内の各摩擦車は、ローラコンベヤの2つのローラと接触しており、ローラコンベヤの各ローラは、2つの摩擦車と接触している。下部軌道セクション162l内の摩擦車と、前端及び後端の摩擦車(上部軌道セクションと下部軌道セクションとの間における切り替え摩擦車)は、ローラコンベヤのローラとは接触しない。
各摩擦車は2つのローラの間の空間に達するため、摩擦車とローラとの間に摩擦係合及び形状係止係合が確立される。
【0075】
回転軸161a−iを中心とした摩擦車160a−iの回転運動は、ローラコンベヤ103のローラ102a−eを駆動し、そして、図示されるように、ローラコンベヤのローラ上に配置されたパレット104に対する搬送動作を引き起こす。
【0076】
図5a、bに示された配置において、摩擦車は反時計回りに回転してパレット103を右側に動かすことができ、そして、摩擦車の上部摩擦面は左側に移動する、すなわち、パレット103の移動と反対に移動する。
【0077】
摩擦車は、駆動ベルト180によって駆動される。駆動ベルト180は、エンドレス軸受トラム162と平行に走行するが、エンドレス軸受トラム162によって画定された経路の内側に配置されている。駆動ベルト180は、シャシフレーム110の前端部及び後端部における2つのドラム181a、bによって誘導される。
【0078】
駆動ベルト180は、摩擦車160a−iと同軸で機械的に連結された摩擦駆動ローラ163a−iと摩擦係合している。従って、各摩擦車160a−iは、駆動ベルト180によって駆動される摩擦駆動車輪163a−lに機械的に結合されている。
【0079】
更に、エンドレス軸受トラムの誘導は、端部ドラム181a、181bと同軸の端部ドラム165によって提供されてもよいことが理解される。代替的に、エンドレス軸受トラム162の誘導は、駆動ベルト180と接触している摩擦駆動車輪163a−iの接触によって提供されてもよい。従って、エンドレス軸受トラム162は、ドラムなどによる個別の誘導を必ずしも必要としない。しかしながら、エンドレス軸受トラムは、レール、ドラムなどによって誘導されてもよいことが理解される。
【0080】
摩擦駆動車輪163a−iの直径は、摩擦車163a−iの直径の半分であり、これによって、駆動ベルト180から摩擦車160a−iの摩擦外周面へのギア伝達が生じる。
【0081】
図
5aに示す動作モードにおいて、牽引車輪120a、bは、時計回りに駆動され、シャシフレーム110を図の右の第1の方向に推進する。摩擦駆動ベルト180は、車輪120aと同じ速度で駆動され、上部軌道セクション180uは、第1の方向に、右へ、すなわち、シャシフレーム110の移動と同じ方向に駆動される。これによって、摩擦車160a−lは、ローラコンベヤのローラと接触している外周の摩擦面において2倍の速度で反時計回りに駆動される。これにより、シャシフレームの移動は過剰に補償され、パレット104をシャシフレーム110と同じ速度で搬送するようにローラ102a−eが駆動されて、シャシフレームとパレット104とは、ローラコンベヤ103の軌道に沿って同期的に移動する。エンドレス軸受トラム162は、シャシフレームに対する摩擦車の相対運動に従うように、受動モードに保たれる。これにより、上部軌道セクション162uは、シャシフレームに対して後方へ移動し、シャシフレームの移動方向とは逆方向に移動する。
【0082】
図
5bに示す動作モードにおいて、摩擦駆動ベルト180は、図
5aの動作モードと同じように駆動される、すなわち、上部軌道セクション180uは、第1の方向に、右へ駆動される。当該動作モードにおいて、牽引車輪120a−bは受動状態に保持されている。従って、これらの牽引車輪による駆動力又は制動力は生じないが、これらの車輪は回転でき、シャシフレームに作用する力により生じた移動に従うことができる。
【0083】
エンドレス軸受トラム162は、摩擦駆動ベルト180の左側ドラム181aと同軸のドラム165によって駆動される。エンドレス軸受トラム162の移動は、摩擦駆動ベルト180の移動とは反対方向であって、同一速度である。これによって、回転軸161a−iは、エンドレス軸受トラム162によって動かされ、そして、摩擦車160a−lは、形状係止力伝達作用でローラコンベヤ103のローラ102a−eに係合する。これにより、摩擦車をローラコンベヤのローラに水平に支持して、エンドレス軸受トラムを、それに固定された摩擦車によって駆動することによって、駆動力が伝達される。従って、図
5bに示される動作モードの一般的なタイプの運動は、図
5aに示されるモードと同様であるが、駆動力は、図
5bにおいて、従動型エンドレス軸受トラム162により生じるが、図
5aにおいて、従動型牽引輪120a、bにより生じる。続いて、両方の動作モードにおいて、摩擦車160a−lは、シャシフレームの前端部110aでローラコンベヤのローラと係合し、シャシフレームの後端部110bでローラコンベヤのローラから離れる。このようにして、摩擦車のローラコンベヤのローラにおける一種の水平昇段動作(horizontal climbing action)が発生し、駆動力を提供する。
【0084】
図6a−cは、3つの異なる動作モードを示しており、
図6a及び
図6bに示す両方のモードは、
図5aに係る従動輪及び受動型エンドレス軸受トラム、又は
図5bに係る受動輪及び従動型エンドレス軸受トラムのいずれによっても達成できることが一般的に理解される。
【0085】
図6aの動作モードにおいて、摩擦駆動ベルト180の上部軌道セクションは、第1の方向に、右へ駆動され、摩擦車160a−iを推進し、シャシフレームは、第1の方向に、右へ駆動される。これは、本図示の構成において、エンドレス軸受トラム162の上部軌道セクションを、第1の方向とは反対の第2の方向に、左へ駆動することによって実現される。これにより、シャシフレーム及びパレットは、コンベヤ軌道に沿って同期的に移動される。
【0086】
図6bに示す動作モードにおいて、シャシフレームは同様に第1の方向に駆動され、これもまた、エンドレス軸受トラム162の上部軌道セクションを第2の方向に駆動することによって実現される。当該動作モードにおいて、駆動ベルト180の上部軌道セクションも同様に第2の方向に駆動され、それによって、エンドレス軸受トラムに伴う回転軸の移動を補償し、摩擦車160a−iを、回転軸161a−iを中心に、非回転位置に維持する。これにより、シャシフレームはコンベヤ軌道に沿って駆動され、パレットは、ローラコンベヤのローラ上の固定位置に維持される。
【0087】
図6cに示す動作モードにおいて、エンドレス軸受トラム162を不変の固定位置にブロックすることによって、又は牽引車輪120a、bをブレーキによってブロックすることによって、シャシフレームを固定位置に維持する。摩擦駆動ベルト180の上部軌道セクションは、第1の方向に、右へ駆動され、そして、摩擦車162a−iを反時計回りに駆動する。これによって、シャシフレームを固定したままで、パレット104を第1方向に、右へ駆動する。こうすることによって、パレット104を右側の下流側コンベヤゾーンに引き渡すことができる。
【0088】
図7a、7bを参照すると、コンベヤ軌道203a、bを備えるコンベヤ構成が示されている。各コンベヤ軌道203a、bは、コンベヤフレーム204a、b、205a、b内に配置された複数のローラを含む。
【0089】
コンベヤ軌道モジュール206は、コンベヤ軌道セクション204a、bの間に嵌合するように、又はコンベヤ軌道セクション205a、bの間に嵌合するように適合されている。コンベヤ軌道モジュールは、コンベヤ軌道203a、bのコンベヤ方向と垂直な方向に移動するように適合され、従って、コンベヤ軌道セクション204a、bの間の位置から、コンベヤ軌道セクション205a、bの間の位置に移動することができる。その逆の移動も同様にできる。コンベヤ軌道モジュール206がコンベヤ軌道セクション204a、b、又は205a、bの間のギャップをそれぞれ埋める位置にあるとき、コンベヤ軌道は連続軌道となる。
【0090】
コンベヤ軌道モジュールにおいて、シャシフレームは、コンベヤ軌道モジュールのフレーム部分における車輪によって支持される。シャシフレームは、コンベヤ軌道203a、bの搬送方向において移動するように配向されている。シャシフレームは、ローラ搬送装置を備えていてもよく、前述した第2の実施形態の第1態様のように形成されていてもよい。移動式軌道セクション206とその中に配置された移動式駆動装置は、2つの軌道セクションの間で交換可能な移動式駆動装置を形成することが理解される。移動式軌道セクション206が2つのコンベヤ軌道セクション204a,b、又は205a,bの間に結合された場合、移動式駆動装置は、全体の軌道セクション203a又は203bのそれぞれに沿って移動することができ、そして、例えば、当該コンベヤ軌道セクションに沿ってパレットを移動させる。パレットは、移動式軌道セクション206の上に配置され、移動式軌道セクション内の移動式駆動装置と共に他のコンベヤ軌道セクションに搬送される。以後、移動式駆動装置は、他のコンベヤ軌道セクションに沿ってパレットを駆動することができる。
【0091】
図8を参照すると、ベルト駆動部360がローラコンベヤのローラ320a−dに係合する部分図が示されている。ベルト駆動部360は、互いに平行に配置され、同期的に駆動される2つの分離したエンドレスチェーン366a、bを備える。各チェーンは複数のチェーンリンク367を備えている。摩擦パッド368a、bは、チェーンのローラ320a−dに面する側のチェーンリンクに取り付けられている。摩擦パッドは、駆動力を伝達するためにローラと摩擦接触する。前記摩擦パッド367a、bは、前記チェーンから取り外すことができ、破損した場合に交換することができる。
図8から分かるように、摩擦パッド367bが、2つの隣接する摩擦パッド367aの間のギャップに対応する同一の駆動位置にあるように、摩擦パッド367aは、摩擦パッド367bに対して多少ずれている。これによって、ローラへのスムーズな、かつ不変の摩擦駆動伝達が確立される。
【0092】
図9a、
図9bを参照すると、空気圧駆動式昇降装置が示されている。昇降装置は、管状弾性ホース410を備え、当該管状弾性ホース410は、圧力ライン11を介して加圧空気源と流体連通している。前記ホース410の加圧を制御するために、3/2電気作動式空気圧式バルブのような制御弁を前記圧力ライン内に挿入することができる。ホース410は、非加圧状態で示されている。この非加圧状態において、昇降装置は下げた状態である。
【0093】
ホース410は、静止支持レール450によって支持されている。前記支持レールは、駆動ベルトの上部460uと前記駆動ベルトの下部460lとの間に配置されており、駆動ベルトはエンドレス駆動トラムを形成する。駆動ベルトは、両端でスプロケット車輪465、466によって駆動され、偏向される。示されているように、ホース410は、2つのスプロケット465、466の間の全空間にわたって長手方向において延びる。
【0094】
スライド移送レール470がホースの上に配置されており、ホースの長手方向の延伸を横切る方向において移動可能である。圧力ラインを介してホースの内部容積に圧力を加えることによってホースを膨らませたとき、スライド移送レール470を上下に動かして昇降装置を昇降させることができる。スライド移送レールは、チェーンの上部460uと接触する上部スライド面を有する。
【0095】
スライド移送レール470及びホース410は、ホース410及び移送レール470に沿って延びるガイド及びストッパーフレーム480の内側に配置されている。ガイド及びストッパーフレーム480は、スライド移送レールを垂直方向に移動させるように誘導し、ストッパ480a、bがスライド移送レールにおける対応するストッパ面470a、bに当接することによって、垂直方向の移動範囲を制限する。これにより、ホース410を膨らませると、スライド移送レールは、所定の高さまで持ち上げられる。
【0096】
図10a、bは、
図9a、bの配置を示す。圧力ラインを介してホースの内部容積を加圧することによってホースを膨らませた状態である。示されているように、スライド移送レール470は、ストッパ480a、bに当接するように持ち上げられ、そして、スライド移送レールは、駆動ベルト460の上部460uを持ち上げる。これによって、駆動ベルト460の上部摩擦面パッドは、ローラ420a−dと摩擦接触し、ベルト460の駆動運動は、前記ローラ420a−dの回転運動を生じさせる。