(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962954
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】ワーク反転装置及びワークの反転方法
(51)【国際特許分類】
B21K 27/00 20060101AFI20211025BHJP
B21J 9/06 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
B21K27/00 D
B21J9/06 A
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-49143(P2019-49143)
(22)【出願日】2019年3月15日
(65)【公開番号】特開2020-146752(P2020-146752A)
(43)【公開日】2020年9月17日
【審査請求日】2020年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 俊明
【審査官】
永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−107300(JP,A)
【文献】
実開昭60−20396(JP,U)
【文献】
特開2004−337965(JP,A)
【文献】
特開平8−168846(JP,A)
【文献】
実開平6−39239(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21K 27/00
B21J 9/06
B30B 13/00
B21D 43/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸状基端部及びカップ状先端部を有する鍛造後のワークを反転するワーク反転装置において、
上記ワークが軸状基端部から挿入されるワーク挿入用凹部を外周面に複数備える回転体と、
上記ワーク挿入用凹部に挿入された上記ワークを押さえ付けて保持すると共に、該ワークが反転された状態で該ワークを解放する保持機構と、
上記反転されたワークを、上記カップ状先端部を下にした状態で搬送する搬送コンベアとを備えている
ことを特徴とするワーク反転装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワーク反転装置において、
上記回転体の上記ワーク挿入用凹部は、鍛造プレス機械のトランスファー装置が鍛造後のワークを上記軸状基端部を下にした状態で解放する位置に配置可能に構成されている
ことを特徴とするワーク反転装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のワーク反転装置において、
上記保持機構は、上記回転体が、上記ワークが挿入される位置にあるときに縮小され、挿入後に伸張されて該ワークを保持し、上記回転体が、上記ワークが解放される位置にあるときに再び縮小されるシリンダを備える
ことを特徴とするワーク反転装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のワーク反転装置において、
上記保持機構は、上記回転体が、上記ワークが挿入される位置にあるときに開き、挿入後に閉じ、上記回転体が、上記ワークが解放される位置にあるときに再び開くシャッター部材を備える
ことを特徴とするワーク反転装置。
【請求項5】
軸状基端部及びカップ状先端部を有する鍛造後のワークを反転するワークの反転方法において、
上記ワークが軸状基端部から挿入されるワーク挿入用凹部を外周面に複数備える回転体と、
上記ワーク挿入用凹部に挿入された上記ワークを押さえ付けて保持すると共に、該ワークが反転された状態で該ワークを解放する保持機構と、
上記反転されたワークを、上記カップ状先端部を下にした状態で搬送する搬送コンベアとを備えたワーク反転装置を用意し、
鍛造プレス機械のトランスファー装置が鍛造後のワークを上記軸状基端部を下にした状態で上記ワーク挿入用凹部の上方で解放し、
上記保持機構で上記ワークを保持し、
上記回転体を180°回転させた後、
上記保持機構で上記ワークを解放し、
上記搬送コンベアの上に載置された上記ワークを該搬送コンベアで後工程へ搬送する
ことを特徴とするワークの反転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍛造後のワークを反転させるワーク反転装置及びワークの反転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プレスラインにおいて、後工程のために加工後のワークを反転するワーク反転装置は知られている。
【0003】
例えば、特許文献1のもののように、風車型ターンオーバと呼ばれる、コンベアで搬送されてくる板状ワークを反転装置の回転体の平行をなす一対の受入れ片の間に入れ、回転体を90°回転して止め、次の90°回転でワークを取り出し方向に向けるものが知られている。このワークを取り出し台上に取り出すことで、ワークが最初の受入れ姿勢から180°反転させられて取り出し姿勢となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−156686号公報(特に
図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術のような板状ワークであれば反転後も安定して搬送できるので、反転も容易である。
【0006】
一方、自動車のユニバーサルジョイントの軸状部材などのように、鍛造後に後工程に搬送する場合、コンベア上に転がり落ちるように搬送すると、鍛造品に傷が付き安く、品質面で問題がある。
【0007】
このため、軸状部材であっても傷を付けずに後工程のために安定してワークを搬送したいというニーズがある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、鍛造後の軸状部材を反転させて傷を付けずに安定して搬送できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明では、ワーク形状に合わせた凹部を外周面に有する回転体で反転させるようにした。
【0010】
具体的には、第1の発明では、軸状基端部及びカップ状先端部を有する鍛造後のワークを反転するワーク反転装置を前提とする。
【0011】
上記ワーク反転装置は、
上記ワークが軸状基端部から挿入されるワーク挿入用凹部を外周面に複数備える回転体と、
上記ワーク挿入用凹部に挿入された上記ワークを押さえ付けて保持すると共に、該ワークが反転された状態で該ワークを解放する保持機構と、
上記反転されたワークを、上記カップ状先端部を下にした状態で搬送する搬送コンベアとを備えている。
【0012】
上記の構成によると、回転体自身の外周面にワーク挿入用凹部を設けているので、回動可能な、ある程度の長さを有するアームを備えている場合に比べ、狭いスペースでの配置が可能であり、ワークをカップ状先端部が下になるように確実かつ容易に反転させて搬送コンベアに搬送できる。また、アームの場合、ワークを掴んで離す動きを繰り返すため、行って帰る動作が必要となるが、上記の構成によると、回転体を1方向にのみ動かすことでもワークの収容、保持、解放を繰り返すことができ、サイクルタイムが短くなる。このため、簡易な構成でワークに傷を付けずに安定して搬送することができる。
【0013】
第2の発明では、第1の発明において、
上記回転体の上記ワーク挿入用凹部は、鍛造プレス機械のトランスファー装置が鍛造後のワークを上記軸状基端部を下にした状態で解放する位置に配置可能に構成されている。
【0014】
上記の構成によると、トランスファー装置がワークを搬送する工程を利用して、プレス後のワークをワーク挿入用凹部に挿入できる。このため、鍛造プレス機械を駆動させたままワークを搬出できるので、効率の良いワークのハンドリングを行える。
【0015】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記保持機構は、上記回転体が、上記ワークが挿入される位置にあるときに縮小され、挿入後に伸張されて該ワークを保持し、上記回転体が、上記ワークが解放される位置にあるときに再び縮小されるシリンダを備える。
【0016】
上記の構成によると、シリンダを設けた簡単な構成でワークの挿入、保持及び解放を行える。
【0017】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、
上記保持機構は、上記回転体が、上記ワークが挿入される位置にあるときに開き、挿入後に閉じ、上記回転体が、上記ワークが解放される位置にあるときに再び開くシャッター部材を備える。
【0018】
上記の構成によると、シャッター部材を設けた簡単な構成でワークの挿入、保持及び解放を行える。
【0019】
第5の発明では、軸状基端部及びカップ状先端部を有する鍛造後のワークを反転するワークの反転方法を対象とし、
上記ワークの反転方法は、
上記ワークが軸状基端部から挿入されるワーク挿入用凹部を外周面に複数備える回転体と、
上記ワーク挿入用凹部に挿入された上記ワークを押さえ付けて保持すると共に、該ワークが反転された状態で該ワークを解放する保持機構と、
上記反転されたワークを、上記カップ状先端部を下にした状態で搬送する搬送コンベアとを備えたワーク反転装置を用意し、
鍛造プレス機械のトランスファー装置が鍛造後のワークを上記軸状基端部を下にした状態で上記ワーク挿入用凹部の上方で解放し、
上記保持機構で上記ワークを保持し、
上記回転体を180°回転させた後、
上記保持機構で上記ワークを解放し、
上記搬送コンベアの上に載置された上記ワークを該搬送コンベアで後工程へ搬送する構成とする。
【0020】
上記の構成によると、カップ状先端部を鍛造プレス機械でプレスした後、そのトランスファー装置を利用して搬送に適したカップ状先端部を下にして搬送コンベアで搬送できるので、ワークに傷を付けずに安定して搬送することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、鍛造後の軸状部材を反転させて傷を付けずに安定して搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係るワーク反転装置の概要を示す正面図である。
【
図3】鍛造プレス機及びトランスファー装置の一部並びにワーク反転装置を示す正面図である。
【
図4】鍛造プレス機及びトランスファー装置の一部並びにワーク反転装置を示す平面図である。
【
図5】実施形態の変形例に係る回転体及び保持機構の概要を拡大して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1〜
図4は、本発明の実施形態のワーク反転装置1を示し、このワーク反転装置1は、鍛造プレス機械60に設けられ、鍛造後のワーク50を反転するものである。本実施形態における鍛造プレス機械60は、ワーク50を鍛造するための下型61及び上型62を備え、さらにワーク50をハンドリングするトランスファー装置63を備えている。ワーク反転装置1は、鍛造プレス機械60のフレーム64内に配置されている。
【0025】
図1に示すように、ワーク50は、例えば、無段変速機のシャフトに連結されるユニバーサルジョイントの構成部品であり、丸棒状の軸状基端部51及びこの軸状基端部51よりも外径が大きく、上方に開口する凹部を有するカップ状先端部52を備えている。ワーク50のカップ状先端部52の外径は、軸状基端部51の外径よりも大きいので、立てて搬送する場合には、カップ状先端部52を下にするのが良い。一方で、鍛造プレス機60によってカップ状先端部52が下型61及び上型62によってプレスされて加工される。例えば、このワーク50は、カップ状先端部52の外径が100mm程度で、全長が200mm程度である。
【0026】
そして、ワーク反転装置1は、ワーク50が軸状基端部51から挿入されるワーク挿入用凹部3を複数備える回転体2を備えている。この回転体2は、例えば電動モータ4によって2〜3秒で半回転するように、CPU等を備えた制御装置7によって制御されている。なお、制御装置7は、鍛造プレス機械60全体の制御も行うようになっている。
【0027】
ワーク挿入用凹部3は、断面円形で、奥側にワーク50の軸状基端部51が挿入される部分を有し、外周面側にカップ状先端部52の外径と同程度の断面円形状の凹部を有する。本実施形態では、1つの回転体2に2つのワーク挿入用凹部3が設けられているが、この数は、1つでも3つ以上でも良い。この回転体2のワーク挿入用凹部3は、鍛造プレス機械60のトランスファー装置63が鍛造後のワーク50を軸状基端部51を下にした状態で解放する位置の真下に配置可能に構成されている。
【0028】
ワーク反転装置1は、さらに、ワーク挿入用凹部3に挿入されたワーク50を押さえ付けて保持すると共に、回転体2が回転され、このワーク50が下側に反転された状態でワーク50を解放する保持機構5を備えている。
【0029】
この保持機構5は、例えば、回転体2が、ワーク50が挿入される位置にあるときに縮小され、挿入後に伸張されてワーク50を保持し、回転体2が、ワーク50が解放される位置にあるときに再び縮小される油圧シリンダ5aを備えている。これにより、簡単な構成でワーク50の挿入、保持及び解放を行えるようになっている。保持機構5は、油圧シリンダ5aが伸張して押されたときにワーク50を保持し、油圧シリンダ5aが縮小して離れたときに、圧縮コイルバネ等よりなる付勢部材5cによって押し戻されてワーク50を解放する押圧部材5bを備えている。なお、油圧シリンダ5aは、空圧シリンダ、電動シリンダで構成してもよい。
【0030】
さらにワーク反転装置1は、反転されたワーク50を、カップ状先端部52を下にした状態で搬送する搬送コンベア6を備えている。この搬送コンベア6は、ステンレス鋼板等で構成された搬送装置6aを有し、鍛造後の高温のワーク50でも搬送できるようになっている。一方で、表面が硬いので、ワーク50を丁寧に載置しないと、ワーク50に傷を付けるおそれがある。このため、搬送装置6aの位置は、解放されたワーク50が回転体2に接触しないで搬送できる最低限の高さを確保した位置に設けられる。
【0031】
次に、本実施形態に係るワーク50の反転方法について説明する。
【0032】
まず、上述したワーク反転装置1を用意する。このワーク反転装置1を、上述したように、鍛造プレス機械60のトランスファー装置63が鍛造後のワーク50を軸状基端部51を下にした状態で解放する位置の真下に、上側にあるワーク挿入用凹部3が来るように配置する。
【0033】
以下、制御装置7が全体の制御を行う。鍛造プレス機械60のトランスファー装置63は、プレス動作の度にワーク50を
図3で右側に1ピッチずつずらしながら把持及び解放を繰り返す。
【0034】
トランスファー装置63は、鍛造を終えた後、ワーク50を軸状基端部51を下にした状態でワーク挿入用凹部3の上方でワーク50を解放する。すると、ワーク50が回転体2のワーク挿入用凹部3に挿入される。このように本実施形態では、トランスファー装置63がワーク50を搬送する工程を利用して、プレス後のワーク50をワーク挿入用凹部3に容易に挿入できる。このため、効率の良いワーク50のハンドリングを行える。
【0035】
次いで、保持機構5を作動させてワーク50を保持する。本実施形態では、油圧シリンダ5aを伸張させて押圧部材5bでワーク50を押さえ付けて保持する。
【0036】
次いで、電動モータ4を駆動し、回転体2を180°回転させる。すると、ワーク50は、カップ状先端部52が下になった状態になる。
【0037】
次いで、保持機構5でワーク50を解放する。具体的には、油圧シリンダ5aを短縮させ、押圧部材5bによって押し付けて保持していたワーク50を落下させ、搬送装置6a上に載置する。このとき、搬送装置6aの位置を、解放されたワーク50が回転体2に接触しないで搬送できる最低限の高さを確保した位置にしているので、落下の衝撃によってカップ状先端部52に傷が付きにくい。
【0038】
次いで、搬送コンベア6の上に載置されたワーク50を搬送コンベア6で後工程へ搬送する。後工程では、例えば、ボンデ処理(潤滑油処理)、サイジング等が行われる。
【0039】
このように、本実施形態では、カップ状先端部52を鍛造プレス機械60でプレスした後、そのトランスファー装置63を利用して搬送に適したカップ状先端部52を下にして搬送コンベア6で搬送できるので、ワーク50に傷を付けずに安定して搬送することができる。
【0040】
また本実施形態では、回転体2自身の外周にワーク挿入用凹部3を設けているので、狭いスペースでの配置が可能である。
【0041】
さらに、アームで搬送する場合には、ワークを掴んで離す動きを繰り返すため、行って帰る動作が必要となるが、本実施形態では、回転体2を1方向にのみ動かすことでもワーク50の収容、保持、解放を繰り返すことができ、サイクルタイムが短くなる。
【0042】
したがって、本実施形態に係るワーク反転装置1によると、鍛造後のワーク50を反転させて傷を付けずに安定して搬送できる。
【0043】
−変形例−
図5は本発明の実施形態の変形例を示し、保持機構105の構成が異なる点で上記実施形態と異なる。なお、以下の各変形例では、
図1〜
図4と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0044】
本変形例に係るワーク反転装置101では、保持機構105は、回転体102が、ワーク50が挿入される位置で開き、ワーク50の挿入後に閉じ、回転体2が、ワーク50が解放される位置で再び開くシャッター部材105aを備えている。シャッター部材105aは、上記実施形態と同様に、制御装置7によって制御された油圧シリンダ5a、空圧シリンダ、電動シリンダによって駆動される。
【0045】
本変形例でも、簡単な構成でワーク50の挿入、保持及び解放を行える。
【0046】
なお、シャッター部材105aでワーク50のカップ状先端部52を半径方向外側から塞ぐ必要がある関係で、ワーク挿入用凹部103を大きくする必要があり、上記実施形態よりも回転体102の外径が大きくなっている。
【0047】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としても良い。
【0048】
すなわち、上記実施形態では、ワーク50は、ユニバーサルジョイントの構成部品としたが、これに限定されず、要は、軸状基端部及びカップ状先端部を有する鍛造後のワークであれば良い。
【0049】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0050】
1 ワーク反転装置
2 回転体
3 ワーク挿入用凹部
4 電動モータ
5 保持機構
5a 油圧シリンダ(シリンダ)
5b 押圧部材
5c 付勢部材
6 搬送コンベア
6a 搬送装置
50 ワーク(軸状部材)
51 軸状基端部
52 カップ状先端部
60 鍛造プレス機
60 鍛造プレス機械
61 下型
62 上型
63 トランスファー装置
64 フレーム
101 ワーク反転装置
102 回転体
103 ワーク挿入用凹部
105 保持機構
105a シャッター部材