【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の概要
本発明は、架橋化合物ならびに有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物を含む架橋組成物であって、前記架橋化合物が、式(IV):
【化1】
(式中、Aは、10,000g/mol未満の分子量を有するアレーン部分であり、R
1は、ヒドロキシド(−OH)、アミン(−NH
2)、ハライド、エーテル、エステル、またはアミドからなる群から選択され、x=2.0〜6.0)の構造を有し、
前記架橋反応添加物が架橋化合物と反応してオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができ、反応性中間体オリゴマーが有機ポリマーを架橋することができる、架橋組成物を含む。
【0013】
前述の組成物中の架橋化合物は、以下の構造
【化2】
を有し得る。
【0014】
前述の架橋化合物のアレーン部分の分子量は、好ましくは、約1,000g/mol〜約9,000g/mol、より好ましくは約2,000g/mol〜約7,000g/molである。
【0015】
有機ポリマー(特に骨格中に芳香族基を有する有機ポリマー)の架橋および架橋化合物(以下の式(I)に示す9,9’−(ビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(9H−フルオレン−9−オール)など)の使用において十分に作用する1つの抑制剤は、例えば、本明細書中の1つの実施形態では、有機酸(氷酢酸、ギ酸、および/または安息香酸など)であり得る。
【化3】
【0016】
したがって、1つの実施形態では、架橋反応添加物は、氷酢酸、ギ酸、および/または安息香酸であり得る有機酸である。
【0017】
別の実施形態では、架橋反応添加物は、式(II):
【化4】
(式中、MはI族金属またはII族金属であり;R
2はアルキル、アリール、またはアラルキル基であり、アルキル基は、炭化水素基の鎖に沿ってか鎖中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基、好ましくは約0〜約5個のエステル基またはエーテル基を有する1〜約30個の炭素原子、好ましくは約1〜約15個の炭素原子の炭化水素基であり、R
2は、1つまたは複数のスルフェート、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボニル、エステル、ハライド、メルカプト、またはカリウムであり得る0〜約10個、好ましくは約0〜約5個の官能基を有し得る)の構造を有するアセテート化合物であり得る。より好ましくは、アセテート化合物は、酢酸リチウム水和物、酢酸ナトリウム、および/または酢酸カリウム、ならびにその塩および誘導体であり得る。
【0018】
架橋化合物の架橋反応添加物に対する重量百分率は、約10:1〜約10,000:1、より好ましくは約20:1〜約1000:1であり得る。
【0019】
別の実施形態では、本発明は、上記の式(IV)のような構造を有する架橋化合物;有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物;および少なくとも1つの有機ポリマーを含む、架橋化有機ポリマーの形成で用いる有機ポリマー組成物を含み、ここで、架橋反応添加物は架橋化合物と反応してオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができ、反応性中間体オリゴマーは有機ポリマーを架橋することができる。
【0020】
さらなる実施形態では、本発明は、有機ポリマーならびに上記の式(IV)のような構造を有する架橋化合物と有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物との反応生成物である反応性架橋オリゴマーを含む、架橋化有機ポリマーで用いる有機ポリマー組成物を含む。
【0021】
有機ポリマーは、好ましくは、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリフタルアミド、ポリアミド−イミド、ポリ(ベンズイミダゾール)、およびポリアラミドから選択されるポリマーである。
【0022】
有機ポリマーはまた、本明細書中の1つの実施形態では、その骨格に沿って、以下の構造:
【化5】
(式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、およびAr
4は同一のまたは異なるアリールラジカルであり、m=0〜1.0、そしてn=1−m)を有するポリマー繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)であるポリマーであり得る。
【0023】
1つのさらに好ましい実施形態では、有機ポリマーは、骨格中に芳香族基を有するポリマー(好ましくは、ポリ(アリーレンエーテル))であり、mは1であり、nは0であり、このポリマーは、その骨格に沿って、式(V):
【化6】
の構造を有する繰り返し単位を有する。
【0024】
この実施形態における架橋化合物は前述の種々の構造を有することができ、アレーン部分は前述の特徴を有することもできる。
【0025】
本発明の1つの実施形態では、架橋反応添加物は、氷酢酸、ギ酸、および/または安息香酸などの有機酸である。本発明の1つの別の実施形態では、架橋反応添加物は、アセテート化合物(式(II)の構造を有する前述のアセテート化合物など)である。より好ましくは、アセテート化合物は、1つまたは複数の酢酸リチウム水和物、酢酸ナトリウム、および/または酢酸カリウム、ならびにその塩および誘導体である。本実施例の組成物中の有機ポリマーの架橋化合物および架橋反応添加物の組み合わせ重量に対する重量百分率は、約1:1〜約100:1であってよく、好ましくは約3:1〜約10:1である。
【0026】
有機ポリマー組成物は、1つまたは複数の添加物をさらに含むことができる。好ましくは、添加物は、1つまたは複数の炭素繊維、グラスファイバー、織物状グラスファイバー、織物状炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluorethylene)(PTFE)繊維、セラミック繊維、ポリアミド繊維から選択される1つまたは複数の連続または不連続、長繊維または短繊維の強化用繊維、ならびに/またはカーボンブラック、シリケート、ファイバーグラス、硫酸カルシウム、ホウ素、セラミック、ポリアミド、アスベスト、フルオログラファイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、ホウ砂(ホウ酸ナトリウム)、活性炭、パーライト、亜鉛テレフタレート、グラファイト、タルク、マイカ、炭化ケイ素のウィスカまたは板状結晶、ナノフィラー、モリブデンジスルフィド、フルオロポリマー充填剤、カーボンナノチューブ、およびフラーレンチューブから選択される1つまたは複数の充填剤から選択される。
【0027】
添加物には、好ましくは、連続または不連続、長繊維または短繊維の繊維である強化用繊維が含まれ、この強化用繊維は、炭素繊維、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)繊維、および/またはグラスファイバーである。より好ましくは、添加物は、連続長繊維である強化用繊維である。好ましい実施形態における有機ポリマー組成物は、組成物中に約0.5重量%〜約65重量%の添加物、より好ましくは、組成物中に約5.0重量%〜約40重量%の添加物を含む。有機ポリマー組成物は、1つまたは複数の安定剤、難燃剤、色素、着色剤、可塑剤、界面活性剤、および/または分散剤をさらに含むことができる。
【0028】
有機ポリマーの架橋で用いる架橋化合物の架橋反応速度を制御する方法も本明細書中に提供する。本方法は、架橋化合物ならびに有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物を含む架橋組成物を提供する工程であって、架橋化合物が前述の式(IV)の構造を有し、架橋反応添加物が架橋化合物と反応して有機ポリマーの架橋のためのオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができる、工程;および架橋化合物のオリゴマー化が起こるように架橋組成物を加熱する工程を含む。
【0029】
1つの実施形態では、本方法は、熱成形前に架橋組成物を加熱する工程をさらに含む。別の実施形態では、本方法は、熱成形中に架橋組成物を加熱する工程をさらに含む。
【0030】
本方法で使用される架橋化合物は、前述の種々の構造のいずれかを有し得る。1つの実施形態では、架橋反応添加物は、上記の有機酸および/またはアセテートである。
【0031】
1つの実施形態では、本方法は、架橋化合物と架橋反応添加物とを溶媒中で合わせ、架橋化合物と架橋反応添加物とを反応させて反応性のオリゴマー化した架橋化合物を形成する工程をさらに含む。別の実施形態では、本方法は、架橋化合物と架橋反応添加物とを固体形態で合わせる工程をさらに含む。
【0032】
有機ポリマー組成物を形成する方法は、反応性のオリゴマー化した架橋化合物を有機ポリマーに添加して架橋性組成物を形成する工程、有機ポリマー組成物を架橋して架橋化有機ポリマーを形成する工程も含むことができる。本方法の有機ポリマーは、前述の種々のポリマーのうちの1つ(式(V)のような繰り返し単位を有する好ましいポリアリーレンポリマーが含まれる)であり得る。
【0033】
本発明はまた、ダウンホールおよび他の極端な条件下での究極的適用に有用な、有機ポリマー組成物および上記方法から形成される熱成形品を含む。この製品を、種々の方法または技術(押出し、射出成形、ブロー成形、ブローフィルム成形、圧縮成形、および/または射出/圧縮成形が含まれる)によって形成することができる。好ましくは、製品には
、例えば、耐酸コーティング、化学的流延フィルム、押出しフィルム、溶媒流延フィルム、ブローフィルム、カプセル化製品、絶縁材、包装材、複合セル、コネクタ、Oリング、Vリング、Uカップ、ガスケットの形状のシーリングアセンブリ、ベアリング、バルブシート、アダプタ、ワイパリング、シェブロンバックアップリング、および管材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
前述の化合物の使用に加えて、出願人は、かかる芳香族基含有有機ポリマーの粘度が増加するにつれて、速度制御のためにかかる架橋反応添加物を使用することによって達成され得る抑制度は常に十分でないかもしれず、その結果、本明細書中のいくつかの実施形態では、硬化速度および架橋速度を減少および/または制御するように末端効果を改善するためのさらなる改変が望ましいことを観察した。
【0035】
したがって、出願人は、前述の先行技術のような直接架橋プロセスを使用して達成することができる時間より長い可能性がある硬化時間枠および/または、さらに、上記または本明細書中の他の場所に記載の出願人の強化された架橋反応添加物を使用して達成される抑制効果を必要とする伝統的な成形技術を使用することが可能である、本明細書中に記載の技術を使用して形成されたか先行技術を使用して形成された架橋化有機ポリマーのより容易で円滑な加工および熱成形のための当該分野のニーズに応える溶液も開発した。
【0036】
したがって、本発明は、骨格中に芳香族基を有し、そして/または高ガラス転移温度ポリマーのカテゴリーに含まれる有機ポリマーに特に有用な架橋のための脱臭素化有機ポリマー、ならびにかかる脱ハロゲン化有機ポリマーを含む組成物およびその調製および架橋する方法をさらに提供する。得られる製品は制御された架橋反応速度を使用して形成され、それにより、脱ハロゲン化有機ポリマーの加工可能性の強化に起因してかかるポリマーの架橋中に伝統的な成形技術を使用することが可能である。本発明は、かかる材料に有利な性質(耐薬品性、高温高圧性能、および種々の究極的適用のための強度が含まれる)を提供する種々の固有かつ容易に成形可能な架橋化有機ポリマー製品の製造への道を切り開く。
【0037】
脱ハロゲン化有機ポリマーおよび少なくとも1つの架橋化合物を含む架橋化芳香族ポリマーの形成で用いる有機ポリマー組成物が本明細書中に含まれる。1つの実施形態では、脱ハロゲン化有機ポリマーは、脱臭素化有機ポリマーである。
【0038】
1つの実施形態では、架橋化合物は、式(IV):
【化7】
(式中、Aは10,000g/mol未満の分子量を有するアレーン部分であり、R
1は、ヒドロキシド(−OH)、アミン(−NH
2)、ハライド、エーテル、エステル、またはアミドからなる群から選択され、xは約2.0〜約6.0である)の構造を有する。
【0039】
さらなる実施形態では、架橋化合物は、以下
【化8】
からなる群から選択される構造を有する。
【0040】
アレーン部分の分子量は、約1,000g/mol〜約9,000g/mol、より好ましくは約2,000g/mol〜約7,000g/molであり得る。
【0041】
組成物はまた、有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物をさらに含むことができ、ここで、架橋反応添加物は、架橋化合物と反応してオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができ、反応性中間体オリゴマーは脱ハロゲン化有機ポリマーを架橋することができる。
【0042】
かかる架橋反応添加物は、氷酢酸、ギ酸、および/または安息香酸から選択される有機
酸であり得る。架橋反応添加物は、さらなる実施形態では、式(II):
【化9】
(式中、MはI族金属またはII族金属であり;R
2は、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり、アルキル基は、基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基、好ましくは0〜約5個のかかる基を有する1〜約30個の炭素原子の炭化水素基を含み、R
2は、スルフェート、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボニル、エステル、ハライド、メルカプト、またはカリウムから選択される0〜約10個の官能基を含む)の構造を有するアセテート化合物である。
【0043】
アセテート化合物は、好ましくは、酢酸リチウム水和物、酢酸ナトリウム、および/または酢酸カリウム、ならびにその塩および誘導体から選択される。
【0044】
架橋化合物の架橋反応添加物に対する重量百分率は、好ましくは、約10:1〜約10,000:1、より好ましくは約20:1〜約1,000:1であり得る。
【0045】
脱ハロゲン化有機ポリマーの架橋化合物と架橋反応添加物との組み合わせ重量に対する重量百分率は、例えば、約1:1〜約100:1、好ましくは約3:1〜約10:1であり得る。
【0046】
脱ハロゲン化有機ポリマーは、好ましくは、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリフタルアミド、ポリアミド−イミド、ポリ(ベンズイミダゾール)、およびポリアラミドから選択されるポリマーである。
【0047】
脱ハロゲン化有機ポリマーはまた、本明細書中の1つの実施形態では、その骨格に沿って、以下の構造:
【化10】
(式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、およびAr
4は同一のまたは異なるアリールラジカルであり、m=0〜1.0、そしてn=1−m)を有するポリマー繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)であるポリマーであり得る。
【0048】
1つのさらに好ましい実施形態では、脱ハロゲン化有機ポリマーは、骨格中に芳香族基を有するポリマー(好ましくは、ポリ(アリーレンエーテル))であり、mは1であり、nは0であり、このポリマーは、その骨格に沿って、式(V):
【化11】
の構造を有する繰り返し単位を有する。
【0049】
少なくとも1つの添加物を組成物に提供することもでき、添加物は、炭素繊維、グラスファイバー、織物状グラスファイバー、織物状炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluorethylene)繊維、セラミック繊維、ポリアミド繊維から選択される連続または不連続、長繊維または短繊維の強化用繊維;ならびにカーボンブラック、シリケート、ファイバーグラス、硫酸カルシウム、ホウ素、セラミック、ポリアミド、アスベスト、フルオログラファイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、ホウ砂(ホウ酸ナトリウム)、活性炭、パーライト、亜鉛テレフタレート、グラファイト、タルク、マイカ、炭化ケイ素のウィスカまたは板状結晶、ナノフィラー、モリブデンジスルフィド、フルオロポリマー、カーボンナノチューブ、およびフラーレンチューブから選択される1つまたは複数の充填剤であり得る。
【0050】
1つの実施形態では、添加物は、連続または不連続、長繊維または短繊維の炭素繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、およびグラスファイバーからなる群から選択される強化用繊維を含む。かかる添加物を前述のように使用する場合、組成物は、好ましくは約0.5重量%〜約65重量%の少なくとも1つの添加物、より好ましくは約5.0重量%〜約40重量%の少なくとも1つの添加物を有する。
【0051】
さらに、組成物は、安定剤、難燃剤、色素、可塑剤、界面活性剤、および/または分散剤をさらに含むことができる。
【0052】
脱ハロゲン化有機ポリマーを、本明細書中の1つの実施形態では、少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーをアルカリ金属化合物と反応させて少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーと少なくとも1つのハロゲン含有反応基中のハロゲン原子との間の結合を破壊し、それによりカルボカチオンを有する中間体を形成することによって形成することが好ましい。カルボカチオンを有する中間体を酢酸と反応させて脱臭素化有機ポリマーを形成する。1つの実施形態では、ハロゲン含有反応基は、臭素含有反応基である。
【0053】
かかる脱ハロゲン化反応で有用なアルカリ金属化合物は、好ましくは、構造R
3−M’を有するアルカリ金属化合物であり、M’はアルカリ金属であり、R
3はHであるか、基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエ
ーテル基を有する1〜約30個の炭素原子のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基から選択される分枝鎖または直鎖の有機基であり、R
3は置換または非置換であってよい。
【0054】
アルカリ金属化合物は、本明細書中の1つの好ましい実施形態では、t−ブチルリチウムであり得る。少なくとも1つのハロゲン含有末端基(臭素含有反応基など)を有する有機ポリマーを、好ましくは、溶媒中でアルカリ金属化合物と反応させ、また、少なくとも1つのハロゲン含有末端基を有する有機ポリマーを、好ましくは、溶媒中での反応前に乾燥させる。
【0055】
本発明はまた、上記および本明細書中にさらに記載の組成物から形成される成形品を含む。
【0056】
本発明はまた、架橋反応中の少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマー(好ましくは、ポリマーの骨格鎖中に芳香族基を有する有機ポリマー)の架橋反応速度を制御する方法を含む。本方法は、(a)少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーをアルカリ金属化合物と反応させて、少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーと少なくとも1つのハロゲン含有反応基中のハロゲン原子との間の結合を破壊し、それにより、カルボカチオンを有する中間体を形成する工程;(b)カルボカチオンを有する中間体を酢酸と反応させて脱ハロゲン化有機ポリマーを形成する工程;および(c)架橋反応を使用して脱ハロゲン化有機ポリマーを架橋する工程を含む。
【0057】
少なくとも1つのハロゲン含有反応基は、一般に、末端基であり、有機ポリマーは、前述の有機ポリマーのいずれか(ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリフタルアミド、ポリアミド−イミド、ポリ(ベンズイミダゾール)、およびポリアラミドなど)であってよく、好ましくは、ポリマーの骨格鎖中に芳香族基を有する有機ポリマーである。1つの実施形態では、ハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーは、その骨格に沿って、以下の構造:
【化12】
(式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、およびAr
4は同一のまたは異なるアリールラジカルであり、m=0〜1.0、そしてn=1−m)を有するポリマー繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)である。1つの実施形態では、かかる有機ポリマーはポリ(アリーレンエーテル)であり、mは1であり、nは0であり、前記ポリマーは、その骨格に沿って、式(V):
【化13】
の構造を有する繰り返し単位を有する。
【0058】
少なくとも1つのハロゲン含有反応基は、好ましくは、−R
4−(X)
pによって示され、R
4は炭素であるか、基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基、好ましくは0〜約5個のかかる基を有する1〜約30個の炭素原子のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基から選択される分枝鎖または直鎖の有機基であり、R
4は置換または非置換であってよく;Xはハロゲン原子であり、pは1または2である整数である。
【0059】
本明細書中の1つの実施形態では、アルカリ金属化合物は、R
3−M’からなる群から選択され、M’はアルカリ金属であり、R
3はHであるか、基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基、好ましくは0〜約5個のかかる基を有する1〜約30個の炭素原子のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基から選択される分枝鎖または直鎖の有機基であり、R
3は置換または非置換であってよく、かつt−ブチルリチウムであり得る。
【0060】
少なくとも1つのハロゲン含有末端基を有する有機ポリマーを、好ましくは、本明細書中に記載の方法の1つの実施形態にしたがって、溶媒中でアルカリ金属化合物と反応させる。溶媒は、好ましくは、少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーを溶解することができ、かつ前述の工程(a)における反応条件下でハロゲン含有反応基中のハロゲンと反応する官能基を含まない溶媒である。適切な溶媒には、ヘプタン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、およびジフェニルエーテルが含まれる。
【0061】
また、少なくとも1つのハロゲン含有末端基を有する有機ポリマーを、好ましくは、溶媒中でのアルカリ金属化合物との反応前に乾燥させる。
【0062】
脱ハロゲン化処理の第1の反応工程は、好ましくは、約−20℃未満の温度、より好ましくは約−70℃未満の温度で約2時間行う。
【0063】
前述の方法の工程(c)は、脱ハロゲン化有機ポリマーを架橋化合物と反応させることをさらに含み得る。かかる架橋化合物は、式(IV):
【化14】
(式中、Aは10,000g/mol未満の分子量を有するアレーン部分であり、R
1は、ヒドロキシド(−OH)、アミン(−NH
2)、ハライド、エーテル、エステル、またはアミドからなる群から選択され、xは約2.0〜約6.0である)の構造を有する。
【0064】
工程(c)はまた、有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物を提供することをさらに含むことができ、ここで、架橋反応添加物が架橋化合物と反応してオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができ、反応性中間体オリゴマーが脱ハロゲン化有機ポリマーを架橋することができる。
【0065】
架橋反応添加物は、氷酢酸、ギ酸、および/または安息香酸から選択される有機酸であり得る。架橋反応添加物はまた、式(II):
【化15】
(式中、MはI族金属またはII族金属であり;R
2は、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり、アルキル基は、基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基、好ましくは0〜約5個のかかる基を有する1〜約30個の炭素原子の炭化水素基を含み、R
2は、スルフェート、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボニル、エステル、ハライド、メルカプト、またはカリウムから選択される0〜約10個の官能基を含む)の構造を有するアセテート化合物であり得る。
【0066】
アセテート化合物は、好ましくは、酢酸リチウム水和物、酢酸ナトリウム、および/または酢酸カリウム、ならびにその塩および誘導体から選択される。
【0067】
上述の工程(c)はまた、架橋化合物および架橋反応添加物を、個別の組成物中で、架橋化合物がオリゴマー化して反応性中間体オリゴマーを形成するように加熱することを含むことができる。本方法はまた、反応性中間体オリゴマーを脱ハロゲン化有機ポリマーに添加して架橋性組成物を形成し、次いで、架橋性組成物を架橋して架橋化有機ポリマーを形成する工程をさらに含むことができる。
【0068】
本方法はまた、架橋化有機ポリマーを熱成形して熱成形製品を形成する工程をさらに含む。製品を、押出し、射出成形、ブロー成形、ブローフィルム成形、圧縮成形、または射出/圧縮成形などの技術を使用した熱成形によって形成することができる。
【0069】
本明細書中で作製された製品は、耐酸コーティング;化学的流延フィルム;押出しフィルム;溶媒流延フィルム;ブローフィルム;カプセル化製品;絶縁材;包装材;複合セル;コネクタ;シーリングアセンブリ(Oリング、Vリング、Uカップ、ガスケットが含まれる);ベアリング;バルブシート;アダプタ;ワイパリング;シェブロンバックアップリング;および管材料であり得る。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1) 架橋化合物ならびに有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物を含む組成物であって、該架橋化合物が、式(IV):
【化41】
(式中、Aは、10,000g/mol未満の分子量を有するアレーン部分であり、R
1は、ヒドロキシド(−OH)、アミン(−NH
2)、ハライド、エーテル、エステル、またはアミドからなる群から選択され、xは約2.0〜約6.0である)の構造を有し、
該架橋反応添加物が該架橋化合物と反応してオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができ、反応性中間体オリゴマーが有機ポリマーを架橋することができる、組成物。(項目2) 前記架橋化合物は、
【化42】
からなる群から選択される構造を有する、項目1に記載の組成物。
(項目3) 前記アレーン部分が約1,000g/mol〜約9,000g/molの分子量を有する、項目1に記載の組成物。
(項目4) 前記アレーン部分が約2,000g/mol〜約7,000g/molの分子量を有する、項目3に記載の組成物。
(項目5) 前記架橋反応添加物が、氷酢酸、ギ酸、および/または安息香酸から選択される有機酸である、項目1に記載の組成物。
(項目6) 前記架橋反応添加物が、式(II):
【化43】
(式中、MはI族金属またはII族金属であり;R
2は、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり、前記アルキル基は1〜約30個の炭素原子の炭化水素基を含み、前記アルキル基は、前記基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基を有し、R
2は、スルフェート、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボニル、エステル、ハライド、メルカプト、またはカリウムから選択される0〜約10個の官能基を含む)の構造を有するアセテート化合物である、項目1に記載の組成物。
(項目7) 前記アセテート化合物が、酢酸リチウム水和物、酢酸ナトリウム、および/または酢酸カリウム、ならびにその塩および誘導体から選択される、項目6に記載の組成物。
(項目8) 前記架橋化合物の前記架橋反応添加物に対する重量百分率が約10:1〜約10,000:1である、項目1に記載の組成物。
(項目9) 前記架橋化合物の前記架橋反応添加物に対する重量百分率が約20:1〜約1000:1である、項目8に記載の組成物。
(項目10) 少なくとも1つの有機ポリマーをさらに含み、前記架橋反応添加物が前記架橋化合物と反応してオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができ、反応性中間体オリゴマーが有機ポリマーを架橋することができる、項目1に記載の組成物。
(項目11) 前記有機ポリマーが、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリフタルアミド、ポリアミド−イミド、ポリ(ベンズイミダゾール)、およびポリアラミドから選択される、項目10に記載の有機ポリマー組成物。
(項目12) 前記有機ポリマーが、以下の構造:
【化44】
(式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、およびAr
4は同一のまたは異なるアリールラジカルであり、m=0〜1.0、そしてn=1−m)を有するポリマー繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)である、項目11に記載の有機ポリマー組成物。
(項目13) 前記有機ポリマーがポリ(アリーレンエーテル)であり、mが1であり、nが0であり、前記ポリマーが、式(V):
【化45】
の構造を有する繰り返し単位を有する、項目12に記載の有機ポリマー組成物。
(項目14) 前記架橋反応添加物が、氷酢酸、ギ酸、および/または安息香酸から選択される有機酸である、項目10に記載の有機ポリマー組成物。
(項目15) 前記架橋反応添加物が、式(II):
【化46】
(式中、MはI族金属またはII族金属であり;R
2は、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり、前記アルキル基は1〜約30個の炭素原子の炭化水素基を含み、前記アルキル基は、前記基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基を有し、R
2は、スルフェート、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボニル、エステル、ハライド、メルカプト、またはカリウムから選択される0〜約10個の官能基を含む)の構造を有するアセテート化合物である、項目10に記載の有機ポリマー組成物。
(項目16) 前記有機ポリマーの前記架橋化合物および前記架橋反応添加物の組み合わせ重量に対する重量百分率が約1:1〜約100:1である、項目10に記載の有機ポリマー組成物。
(項目17) 前記有機ポリマーの前記架橋化合物と前記架橋反応添加物との組み合わせ重量に対する重量百分率が約3:1〜約10:1である、項目16に記載の有機ポリマー組成物。
(項目18) 前記組成物が、炭素繊維、グラスファイバー、織物状グラスファイバー、織物状炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、セラミック繊維、ポリアミド繊維から選択される連続または不連続、長繊維または短繊維の強化用繊維;ならびにカーボンブラック、シリケート、ファイバーグラス、硫酸カルシウム、ホウ素、セラミック、ポリアミド、アスベスト、フルオログラファイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、ホウ砂(ホウ酸ナトリウム)、活性炭、パーライト、亜鉛テレフタレート、グラファイト、タルク、マイカ、炭化ケイ素のウィスカまたは板状結晶、ナノフィラー、モリブデンジスルフィド、フルオロポリマー、カーボンナノチューブ、およびフラーレンチューブから選択される1つまたは複数の充填剤から選択される少なくとも1つの添加物をさらに含む、項目10に記載の有機ポリマー組成物。
(項目19) 前記組成物が、約0.5重量%〜約65重量%の前記少なくとも1つの添加物を含む、項目18に記載の有機ポリマー組成物。
(項目20) 前記組成物が、安定剤、難燃剤、色素、可塑剤、界面活性剤、および/または分散剤をさらに含む、項目10に記載の有機ポリマー組成物。
(項目21) 項目10に記載の組成物から形成される成形品。
(項目22) 前記物品を、押出し、射出成形、ブロー成形、ブローフィルム成形、圧縮成形、または射出/圧縮成形を使用して成形する、項目21に記載の成形品。
(項目23) 項目10に記載の組成物から形成された製品であって、前記製品が、耐酸コーティング;化学的流延フィルム;押出しフィルム;溶媒流延フィルム;ブローフィルム;カプセル化製品;絶縁材;包装材;複合セル;コネクタ;シーリングアセンブリ(Oリング、Vリング、Uカップ、ガスケットが含まれる);ベアリング;バルブシート;アダプタ;ワイパリング;シェブロンバックアップリング;および管材料から選択される、製品。
(項目24) 架橋化有機ポリマーの形成で用いる有機ポリマー組成物であって、
有機ポリマー;および
式(IV):
【化47】
(式中、Aは10,000g/mol未満の分子量を有するアレーン部分であり、R
1は、ヒドロキシド(−OH)、アミン(−NH
2)、ハライド、エーテル、エステル、または/およびアミドからなる群から選択され、xは約2.0〜約6.0である)の構造を有する架橋化合物と有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物との反応生成物である反応性架橋オリゴマー
を含む、組成物。
(項目25) 項目24に記載の組成物から形成された成形品。
(項目26) 有機ポリマーの架橋で用いる架橋化合物の架橋反応速度を制御する方法であって、
a)架橋化合物ならびに有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物を含む架橋組成物を提供する工程であって、該架橋化合物が、式(IV):
【化48】
(式中、Aは10,000g/mol未満の分子量を有するアレーン部分であり、R
1は、ヒドロキシド(−OH)、アミン(−NH
2)、ハライド、エーテル、エステル、またはアミドからなる群から選択され、xは約2.0〜約6.0である)の構造を有し、該架橋反応添加物が該架橋化合物と反応して有機ポリマーの架橋のためのオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができる、工程;および
b)該架橋化合物のオリゴマー化が起こるように該架橋組成物を加熱する工程
を含む、方法。
(項目27) 工程(b)が、熱成形前に前記架橋組成物を加熱することをさらに含む、項目26に記載の方法。
(項目28) 前記架橋反応添加物は、氷酢酸、ギ酸、および/もしくは安息香酸から選択される有機酸、ならびに/または酢酸リチウム、酢酸ナトリウム水和物、および/もしくは酢酸カリウムから選択されるアセテート化合物、ならびにその塩および誘導体である、項目26に記載の方法。
(項目29) 前記架橋化合物と前記架橋反応添加物とを工程(a)において固体形態で合わせることをさらに含む、項目26に記載の方法。
(項目30) 前記架橋化合物と前記架橋反応添加物とを工程(a)において溶媒中で合わせ、前記架橋化合物と前記架橋反応添加物とを反応させて反応性のオリゴマー化した架橋化合物を形成する工程をさらに含む、項目26に記載の方法。
(項目31) (c)前記反応性のオリゴマー化した架橋化合物を有機ポリマーに添加して架橋性組成物を形成する工程、および
(d)前記有機ポリマー組成物を架橋して架橋化有機ポリマーを形成する工程
をさらに含む、項目30に記載の方法。
(項目32) 工程(c)において少なくとも1つの添加物を添加することをさらに含む、項目31に記載の方法。
(項目33) 前記有機ポリマーが、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリフタルアミド、ポリアミド−イミド、ポリ(ベンズイミダゾール)、および/またはポリアラミドから選択される、項目26に記載の方法。
(項目34) 前記有機ポリマーが、以下の構造:
【化49】
(式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、およびAr
4は同一のまたは異なるアリールラジカルであり、m=0〜1.0、n=1−m)を有するポリマー繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)である、項目33に記載の方法。
(項目35) 架橋化有機ポリマーの形成で用いる有機ポリマー組成物であって、
脱ハロゲン化有機ポリマー、および
少なくとも1つの架橋化合物
を含む、有機ポリマー組成物。
(項目36) 前記脱ハロゲン化有機ポリマーが脱臭素化有機ポリマーである、項目35に記載の有機ポリマー組成物。
(項目37) 前記架橋化合物が、式(IV):
【化50】
(式中、Aは10,000g/mol未満の分子量を有するアレーン部分であり、R
1は、ヒドロキシド(−OH)、アミン(−NH
2)、ハライド、エーテル、エステル、またはアミドからなる群から選択され、xは約2.0〜約6.0である)の構造を有する、項目35に記載の有機ポリマー組成物。
(項目38) 有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物をさらに含み、前記架橋反応添加物が前記架橋化合物と反応してオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができ、反応性中間体オリゴマーが前記脱ハロゲン化有機ポリマーを架橋することができる、項目35に記載の有機ポリマー組成物。
(項目39) 前記脱ハロゲン化有機ポリマーが、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリフタルアミド、ポリアミド−イミド、ポリ(ベンズイミダゾール)、およびポリアラミドから選択されるポリマーである、項目35に記載の有機ポリマー組成物。
(項目40) 前記脱ハロゲン化有機ポリマーが、その骨格に、以下の構造:
【化51】
(式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、およびAr
4は同一のまたは異なるアリールラジカルであり、m=0〜1.0、そしてn=1−m)を有するポリマー繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)である、項目39に記載の有機ポリマー組成物。
(項目41) 前記脱ハロゲン化有機ポリマーがポリ(アリーレンエーテル)であり、mが1であり、nが0であり、前記ポリマーが、その骨格に沿って、式(V):
【化52】
の構造を有する繰り返し単位を有する、項目40に記載の有機ポリマー組成物。
(項目42) 前記組成物が、炭素繊維、グラスファイバー、織物状グラスファイバー、織物状炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、セラミック繊維、ポリアミド繊維から選択される連続または不連続、長繊維または短繊維の強化用繊維;ならびにカーボンブラック、シリケート、ファイバーグラス、硫酸カルシウム、ホウ素、セラミック、ポリアミド、アスベスト、フルオログラファイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、ホウ砂(ホウ酸ナトリウム)、活性炭、パーライト、亜鉛テレフタレート、グラファイト、タルク、マイカ、炭化ケイ素のウィスカまたは板状結晶、ナノフィラー、モリブデンジスルフィド、フルオロポリマー、カーボンナノチューブ、およびフラーレンチューブから選択される1つまたは複数の充填剤から選択される少なくとも1つの添加物をさらに含む、項目35に記載の有機ポリマー組成物。
(項目43) 前記脱ハロゲン化有機ポリマーを、
少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーをアルカリ金属化合物と反応させて前記少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する前記有機ポリマーと前記少なくとも1つのハロゲン含有反応基中のハロゲン原子との間の結合を破壊し、カルボカチオンを有する中間体を形成すること;および
前記カルボカチオンを有する中間体を酢酸と反応させて前記脱ハロゲン化有機ポリマーを形成すること
によって形成する、項目35に記載の有機ポリマー組成物。
(項目44) 前記アルカリ金属化合物がR
3−M’からなる群から選択され、M’がアルカリ金属であり、R
3が、Hであるか、基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基を有する1〜約30個の炭素原子のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基から選択される分枝鎖または直鎖の有機基であり、R
3が置換または非置換であってよい、項目43に記載の有機ポリマー組成物。
(項目45) 前記アルカリ金属化合物がt−ブチルリチウムである、項目44に記載の有機ポリマー組成物。
(項目46) 前記ハロゲン含有反応基が臭素含有反応基である、項目43に記載の有機ポリマー組成物。
(項目47) 前記少なくとも1つのハロゲン含有末端基を有する有機ポリマーを溶媒中でアルカリ金属化合物と反応させ、前記少なくとも1つのハロゲン含有末端基を有する有機ポリマーを溶媒中での反応前に乾燥させる、項目43に記載の有機ポリマー組成物。
(項目48) 項目35に記載の組成物から形成される成形品。
(項目49) 架橋反応中に少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーの架橋反応速度を制御する方法であって、
a)前記少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーをアルカリ金属化合物と反応させて前記少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーと前記少なくとも1つのハロゲン含有反応基中のハロゲン原子との間の結合を破壊してカルボカチオンを有する中間体を形成する工程;
b)前記カルボカチオンを有する中間体を酢酸と反応させて脱ハロゲン化有機ポリマーを形成する工程;および
c)架橋反応を使用して前記脱ハロゲン化有機ポリマーを架橋する工程
を含む、方法。
(項目50) 前記少なくとも1つのハロゲン含有反応基が末端基であり、前記少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーが、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリフタルアミド、ポリアミド−イミド、ポリ(ベンズイミダゾール)、およびポリアラミドから選択されるポリマーである、項目49に記載の方法。
(項目51) 前記少なくとも1つのハロゲン含有反応基が−R
4−(X)
pで示され、R
4は、炭素であるか、基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基を有する1〜約30個の炭素原子のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基から選択される分枝鎖または直鎖の有機基であり、R
4は置換または非置換であってよく;Xはハロゲン原子であり、pは1または2である整数である、項目49に記載の方法。
(項目52) 前記アルカリ金属化合物がR
3−M’からなる群から選択され、M’はアルカリ金属であり、R
3はHであるか、基の鎖もしくは構造に沿ってまたは鎖もしくは構造中に0〜約10個のエステル基またはエーテル基を有する1〜約30個の炭素原子のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基から選択される分枝鎖または直鎖の有機基であり、R
3は置換または非置換であってよい、項目49に記載の方法。
(項目53) 前記アルカリ金属化合物がt−ブチルリチウムである、項目52に記載の方法。
(項目54) 前記少なくとも1つのハロゲン含有末端基を有する有機ポリマーを、溶媒中で前記アルカリ金属化合物と反応させる、項目49に記載の方法。
(項目55) 前記溶媒が、前記少なくとも1つのハロゲン含有反応基を有する有機ポリマーを溶解することができ、かつ、工程(a)のための反応条件下でハロゲン含有反応基中のハロゲンと反応する官能基を含まない、項目54に記載の方法。
(項目56) 前記溶媒が、ヘプタン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、およびジフェニルエーテルから選択される、項目55に記載の方法。
(項目57) 前記少なくとも1つのハロゲン含有末端基を有する有機ポリマーを、前記溶媒中での前記アルカリ金属化合物との反応前に乾燥させる、項目54に記載の方法。
(項目58) 工程(a)を約−20℃未満の温度で行う、項目49に記載の方法。
(項目59) 工程(a)を約−70℃未満の温度で約2時間行う、項目58に記載の方法。
(項目60) 工程(c)が、
前記脱ハロゲン化有機ポリマーを架橋化合物と反応させる工程
をさらに含む、項目49に記載の方法。
(項目61) 工程(c)が有機酸および/またはアセテート化合物から選択される架橋反応添加物を提供することをさらに含み、前記架橋反応添加物が前記架橋化合物と反応してオリゴマー形態の反応性中間体を形成することができ、反応性中間体オリゴマーが前記脱ハロゲン化有機ポリマーを架橋することができる、項目60に記載の方法。
(項目62) 工程(c)の前に、前記架橋化合物および前記架橋反応添加物を、個別の組成物中で、前記架橋化合物がオリゴマー化して反応性中間体オリゴマーを形成するように加熱する工程をさらに含む、項目61に記載の方法。
(項目63) 前記架橋化有機ポリマーを熱成形して熱成形製品を形成する工程をさらに含む、項目49に記載の方法。
(項目64) 前記製品を、押出し、射出成形、ブロー成形、ブローフィルム成形、圧縮成形、または射出/圧縮成形を使用して熱成形する、項目63に記載の方法。
(項目65) 前記製品が、耐酸コーティング;化学的流延フィルム;押出しフィルム;溶媒流延フィルム;ブローフィルム;カプセル化製品;絶縁材;包装材;複合セル;コネクタ;シーリングアセンブリ(Oリング、Vリング、Uカップ、ガスケットが含まれる);ベアリング;バルブシート;アダプタ;ワイパリング;シェブロンバックアップリング;および管材料から選択される、項目63に記載の方法。