(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アーク部材は、第1のアーク構成要素および第2のアーク構成要素を備え、前記第1のアーク構成要素および前記第2のアーク構成要素は、前記針状器具がそれらのアーク構成要素を通り抜けることを可能にする十分な距離のところに、互いに実質的に平行に配置され、
前記第1のアーク構成要素と前記第2のアーク構成要素のうちの一方のアーク構成要素は、前記針状器具を装着し、前記針状器具を前記プローブホルダから取り外すように構成された間隙を含む、
請求項1に記載の医療ガイダンス装置。
前記アーク部材の前記第1の端部は、前記回転可能リングのアークヒンジセクションに配置された円筒形のピンにヒンジ式に旋回可能に取り付けられたc字形のクリップを含み、
前記アーク部材が前記回転可能リングに対して旋回可能であるような態様で、前記c字形のクリップは、前記円筒形のピンの周りを回転可能であり、
前記アーク部材が前記回転可能リングに対して旋回される構成において、前記円筒形のピンから前記c字形のクリップを離脱させることによって、前記アーク部材は、回転可能リングから取外し可能である、
請求項1に記載の医療ガイダンス装置。
前記アーク部材が前記回転可能リングに対して旋回される構成において、前記アーク部材および前記プローブホルダが前記ベースアセンブリの前記開口の妨げとならないように、前記アーク部材の前記第1の端部および前記第2の端部は、前記回転可能リングの平面に対して直角または直角よりも大きな角度で配置された、
請求項15に記載の医療ガイダンス装置。
【発明を実施するための形態】
【0026】
これらの図を通じて、特段の言及がない限り、示された実施形態の同様の特徴、要素、構成要素または部分には同じ参照番号および符号が使用されている。加えて、プライム記号「’」を含む参照符号(例えば12’または24’)は、同じ性質および/または同じ種類の2次要素および/または2次参照を示す。また、これらの添付図を参照して主題の開示が詳細に説明されるが、その説明は、例示的な実施形態に関してなされる。添付の請求項によって定義されるこの主題の開示の真の範囲および趣旨から逸脱することなく、記載された実施形態に変更および改変を加えることができることが意図されている。
【0027】
この説明を参照するに際しては、開示した例を完全に理解することができるように、具体的な詳細を記載した。他の例では、本開示が不必要に長くならないように、周知の方法、手順、構成要素および材料については詳細な説明は省いた。
【0028】
本明細書では、1つの要素もしくは部分が、別の要素もしくは部分「上にある」、「に当たっている」、「に接続されている」もしくは「に結合されている」と記載されている場合、その要素もしくは部分は、直接にその別の要素もしくは部分「上にあり」、「に当たっており」、「に接続されており」もしくは「に結合されている」ことができ、または介在要素もしくは介在部分が存在してもよいことを理解すべきである。反対に、1つの要素が、別の要素または部分「上に直接にある」、「に直接に接続されている」、または「に直接に結合されている」と記載されている場合、介在要素または介在部分は存在しない。用語「および/または」が使用されているとき、この用語は、記載された関連アイテムのうちの1つまたは複数のアイテムの全ての組み合わせを含む。
【0029】
本明細書では、説明および/または例示を容易にするため、さまざまな図に示されている1つの要素または特徴の別の要素または特徴に対する関係を記述するために、「の下(under)」、「の下方(beneath)」、「よりも下(below)」、「下部(lower)」、「よりも上(above)」、「上部(upper)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」などの空間に関する相対的な用語が使用されていることがある。しかしながら、空間に関するこれらの相対的な用語は、図に示された向きに加えて、デバイスの使用または動作の異なる向きを包含することが意図されていることを理解すべきである。例えば、図に示された装置が裏返された場合、別の要素または別の特徴の「下方にある」または「下にある」と記載された要素は、その別の要素「よりも上」になることになる。したがって、「よりも下」などの空間に関する相対的な用語は、上と下の両方の向きを包含しうる。これとは異なる向き(90度回転させた向きまたはその他の向き)に装置が配置されることもあり、その場合、本明細書で使用される空間に関する相対的な用語はそれに応じて解釈されるべきである。
【0030】
本明細書では、第1の、第2の、第3のなどの用語が、さまざまな要素、構成要素、領域、部分および/またはセクションを記述するために使用されることがある。これらの用語によってこれらの要素、構成要素、領域、部分および/またはセクションが制限されることはないことを理解すべきである。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、部分またはセクションを別の領域、部分またはセクションから区別するためだけに使用されている。したがって、以下で論じる第1の要素、構成要素、領域、部分またはセクションが、本明細書の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、部分またはセクションと呼ばれることもある。
【0031】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記述することだけが目的であり、それらの用語が、特定の実施形態を限定することは意図されていない。文脈からそうではないことが明らかでない限り、本明細書で使用されるとき、単数形の「a」、「an」および「the」は、複数形も含むことが意図されている。本明細書で使用されるとき、用語「含む(includes)」および/または「含む(including)」は、明示された特徴、完全体(integer)、ステップ、操作、要素および/または構成要素の存在を指定するが、明示されていない1つまたは複数の他の特徴、完全体、ステップ、操作、要素、構成要素および/またはこれらのグループの存在または追加を排除しないことも理解すべきである。用語「位置」または「配置」は、空間的位置と角方位の両方を含むと理解すべきである。
【0032】
本開示のいくつかの実施形態は、コンピュータシステムと連携して実施することができ、そのようなコンピュータシステムは、一般に、情報および命令を処理するための1つまたは複数のプロセッサ、情報および命令を記憶するためのRAM、静的情報および命令を記憶するためのROM、情報(例えばMRI画像)および命令を記憶するためのデータ記憶デバイス、例えば磁気または光ディスクおよびディスクドライブ、任意選択のユーザ出力装置、例えばコンピュータユーザに情報を表示するためのディスプレイデバイス(例えばモニタ)、ならびに任意選択のユーザ入力デバイスを含む。
【0033】
当業者には理解されるが、本開示のいくつかの態様は、少なくとも部分的に、コンピュータが使用可能なプログラムコードがその中に記憶された有形の表現媒体として実現されたコンピュータプログラム製品として実施することができる。例えば、フローチャートおよび/またはブロック図を参照して以下で説明する、方法、装置(システム)およびコンピュータプログラム製品のいくつかの態様は、コンピュータプログラム命令によって実施することができる。それらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置に特定の方式で機能するよう指示することができるコンピュータ可読媒体に、そのコンピュータ可読媒体に記憶された命令が、フローチャートおよび/またはブロック図に指定された機能/動作/ステップを実施する命令およびプロセスを含む製造物を構成するような態様で記憶することができる。
【0034】
以下の説明では、例示的な実施形態の図解である添付図面を参照する。しかしながら、当業者であれば、本開示の新規性および範囲を逸脱しない他の構造的および機能的変更を思いつくことがあることを理解すべきである。
【0035】
図1は、例示的な実施形態に基づく医療ガイダンス装置100の透視図である。
図2は、医療ガイダンス装置100の上面図である。
図3Aは、医療ガイダンス装置100の部分分解図である。
図4は、
図2の線4−4に沿って切った断面図であり、
図5は、
図2の線5−5に沿って切った断面図である。医療ガイダンス装置100は、一般に、ベースアセンブリ(ベース)110およびガイド150を含む。ガイド150は、結合もしくは嵌合または他の手法でベースアセンブリ110に機械的に係合されるように構成されている。ガイド150は、さらに、その係合された状態において、円形の経路上を運動することもしくは回転することができるように、または他の態様でベースアセンブリ110に対して回旋、転回もしくは旋回するように構成されている。
図1および
図2は、ベースアセンブリ110に結合されたガイド150(結合された状態または係合された状態)を示している。それに応じて、ベースアセンブリ110からガイド150を分離し、離脱させ、または他のやり方で取り外すこともできる。
図3は、ベースアセンブリ110から取り外されたガイド150(取り外された状態、分離された状態または離脱した状態)を示している。ガイド150のさらなる説明およびガイド150がベースアセンブリ110に結合される手法については、後で詳細に説明する。
【0036】
これらのさまざまな図に示されているように、ベースアセンブリ110は、内周114および外周116を有するリング形の形態のベースリング112を含む(
図1、
図4および
図5を参照されたい)。内周114は、開口118を画定する。開口118は、医療ガイダンス装置100が患者の体表に装着されているときに患者へのアクセスを提供する。すなわち、開口118は、患者の皮膚が露出され、アクセス可能となるエリアを提供する。ベースリング112は、患者に対して固定可能であり、患者に固定された後は回転することができないため、「固定リング」または「静止リング」と呼ばれることもある。ベースリング112の幅(すなわち内周114から外周116までの半径方向の距離。この距離は、ベースリング112の内半径と外半径の差でもある)は、開口118の直径の1/6ないし1/2、より好ましくは1/4ないし1/3とすることができる。一例では、ベースリング112の外径が50から150mm(例えば80mm)、内径(すなわち開口118の直径)が30mmから110mm(例えば60mm)である。
【0037】
ベースアセンブリ110は、さらに可動リング120を含む。可動リング120は、
図3A、
図4および
図5に最もよく示されている。可動リング120は、内周122および外周124を有するリング形の形態をとることができる。内周122は、開口126を画定し、開口126も患者へのアクセスを提供する。可動リング120の幅(すなわち内周122から外周124までの半径方向の距離。この距離は、可動リング120の内半径と外半径の差でもある)は、開口126の直径の1/6ないし1/2、より好ましくは1/4ないし1/3とすることができる。一例では、可動リング120の外径が50から150mm(例えば75mm)、内径(すなわち開口126の直径)が30mmから110mm(例えば65mm)である。可動リング120は、中心点Cを通る軸Axの周りを回転することができるため、本明細書では、可動リング120がベースアセンブリの「回転可能リング」と呼ばれることもある。中心点Cは、内周122によって画定された円形の開口126の中心である。軸Axは、中心点Cを通って垂直に、すなわちベースアセンブリ110が装着される表面を画定する水平面B(例えば
図4および
図5を参照されたい)に対して垂直に延びる。
【0038】
図4および
図5に最もよく示されているように、可動リング120は、軸受128によってベースリング112に対して回転もしくは回旋し、または他の態様で運動することができる。したがって、回転することができないためベースリング112が固定リングと呼ばれることがあるのに対して、可動リング120は、軸受128によってベースリング112に対して回転可能であるため、回転可能リングと呼ばれることがある。軸受128は、玉軸受、または同心の2つのリング間の相対運動を可能にする当技術分野で知られている他の適当な軸受構造とすることができる。軸受128は、例えば、平軸受、ころ軸受などとすることができる。
図4および
図5に示されているように、ベースアセンブリ110は、さらにシール129を含むことができる。シール129は、外部環境からの汚染物が軸受128と接触することを防ぐことによって軸受128を保護する。
【0039】
ベースアセンブリ110は、さらに取っ手またはつまみ113を含むことができる。つまみ113は、ベースリング112に取り付けられていてもよく、またはベースリング112と一体であってもよい。つまみは、医療用器具を挿入する間、操作者がベースアセンブリ110をつかみ、ベースアセンブリ110の安定性を増大させるための機構を提供する。さらに、つまみ113は、LEDアレイの使用に関係した電子構成要素を収容することができる。LEDアレイの使用については、
図9に関して後に論じる。つまみ113は、可視マーカまたは他のタイプのインジケータを含むこともできる。
【0040】
ガイド150は、フレームリング152およびアーク部材154を備える。フレームリング152は、ベースリング112および可動リング124に似たリング形を有することができる。したがって、フレームリング152は、内周156および外周158を有する。内周156は、開口160を画定する。開口160は、開口118および開口126と同心であり、患者へのアクセスを提供する。フレームリング152のリング形の幅(すなわち内周156から外周158までの半径方向の距離。この距離は、フレームリング152の内半径と外半径の差でもある)は、開口の直径の1/6ないし1/2、より好ましくは1/4ないし1/3とすることができる。一例では、フレームリング152の外径が50から150mm(例えば75mm)、内径(すなわち開口160の直径)が30mmから110mm(例えば65mm)である。
【0041】
図1および
図3Aに示されているように、アーク部材154は、第1の端部162および第2の端部164を含むことができる。端部162および端部164は、それぞれ、フレームリング152の直径に沿って対向する側でフレームリング152に接続することができ、それによってフレームリング152を第1の半部分(half)166と第2の半部分168とに2分することができる(
図2に最もよく示されている)。アーク部材154を旋回させることができるように、さまざまな実施形態で、アーク部材154の第1の端部162に、フレームリング152に旋回式に取り付けるためのヒンジを提供し、前記第2の端部164に留め具を提供することができる。他の実施形態では、アーク部材154をフレームリング152に取外し可能に固定することが意図されたロッキングデバイスまたは他の留め具によって、第2の端部164をフレームリング152に固定することができる。追加の実施形態では、第1の端部162と第2の端部164の両方の端部でアーク部材154をフレームリング152に取外し可能に取り付けることができ、したがってアーク部材154を完全に取り外すことを可能にすることができる。第1の端部162および第2の端部164は、アーク部材154をフレームリング152に取外し可能に固定することが意図されたロッキングデバイスまたは他の留め具(例えばピン、Rクリップ、ばねクリップ)によってフレームリング152に固定することができる。さらに、アーク部材154の容易な取外しおよびフレームリング152へのアーク部材154の容易な再取付けを促進にするために、第1の端部162および/または第2の端部164でアーク部材154をフレームリング152に摺動可能に取り付けることも企図される。
【0042】
フレームリング152は、連続する円形の構造体であってもよく、またはフレームリング152の第2の半部分168が非連続となるような態様の間隙170を含んでもよい。すなわち、間隙170は、フレームリング152の第2の半部分168を中断する役目を果たす。間隙170のサイズは、医療用器具が間隙170を通ってフレームリング152の開口160に入ることができるようなものとすることができる。医療用器具は、クライオアブレーション(cryoablation)、マイクロ波アブレーション、高周波アブレーション、レーザアブレーションおよび不可逆性エレクトロポレーションアブレーションにおけるアブレーションプローブとすることができるができる。医療用器具を、針状デバイス、例えば生検針、吸引針および排液針とすることもできる。間隙170は、間隙を通して医療用器具を挿入および解放するのに十分な幅を有する。言い換えると、間隙170は、器具がフレームリング152を出るための経路を提供するために、フレームリング152の内周156から外周158まで延びることができる。この経路については、後で詳細に論じる。間隙170は、開口160の中心に関して半径方向にフレームリング152を貫いて延びることができる。間隙170は、半径方向以外の方向に(すなわち開口160の中心に関して曲線状または螺旋状に)延びてもよい。フレームリング152の第1の半部分166は、連続していてもよく、間隙を持たなくてもよい。すなわち、アーク部材154の第1の端部162がフレームリング152と交わるフレームリング152上の点から、アーク部材154の第2の端部164がフレームリング152と交わるフレームリング152上の点まで、フレームリング152は、連続した構造体である。言い換えると、フレームリング152の第1の半部分166は、閉じられた構造を有し、フレームリング152の第2の半部分168は、閉じられていない/開いた構造または中断のある構造を有する。
【0043】
アーク部材154は、水平面Bに対して角度170を張るアークの形状を有する(
図4を参照されたい)。角度170は、60度から170度、より好ましくは120度から150度とすることができる。アーク部材154は、器具のためのガイダンスエリアを提供する案内面(guide surface)172を含むことができる。アーク部材153は、案内面172に複数の角度参照マーク174を含むことができる。案内面172は、アーク部材154の反対側の表面の色とは異なる色を有することができる(
図9および
図10も参照されたい)。異なる色を有すると、操作者は、どちらの表面が案内面であるのかを迅速かつ容易に確認することができる。後で論じるが、このことは、特に、この複数の参照マークがない実施形態で有用である。角度参照マーク174は、中心点Cの周りの角度を示す。
【0044】
角度参照マーク174の使用については、医療用器具を案内する方法の一部として後で説明する。角度参照マーク174は、光学的に、ならびに放射線不透過性物質を利用したCTおよびX線画像内で目に見えるものとすることができる。放射線不透過性物質は、限定はされないが、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、オキシ塩化ビスマス、タングステンなどの充填材を含むプラスチックとすることができる。
図3Bに示されているように、アーク部材154は、厚さ176を有することができる。厚さ176は、開口160の直径の1/15ないし1/3、より好ましくは開口160の直径の1/12ないし1/5、より好ましくは開口160の直径の1/10ないし1/5とすることができる。さまざまな実施形態で、角度参照マーク174は、
図3Bに示されているように、アーク部材154の少なくとも1つの側に提供することができる。しかしながら、アーク部材154の厚さ176の部分に角度参照マーク174を提供することもでき、したがって、上方からこの角度を見ることを可能にすることもできる。角度参照マーク174は、所望のきざみ幅および/または目盛りで提示することができ、指示目的によって、さまざまなきざみ幅が異なるサイズを有する。
【0045】
ガイド150の全体がモノリシックに(monolithically)に形成されるように、アーク部材154の端部162および164は、フレームリング152と一体に形成することができる。すなわち、ガイド150の全体を単一の材料片として成形することができる。さらに、
図3Bに示されているように、端部162および164は、それぞれ、アーク部材153の閉じられた第1の半部分166に移行する側にフィレット構造(fillet structure)178を含むことができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、案内面172の複数の角度参照マーク174は、LEDインジケータを備える。これらのLEDインジケータは、案内面の照明を提供し、またはLEDインジケータをオンにして、例えば計画された挿入角度を示すことができる(例えば計画された挿入角度のところに赤く点灯したインジケータが現れる)。装置内または装置の近くに配置された針の角度を検出するように構成された医療ガイダンス装置については、LEDを使用して、針が「適正な角度」に近づいていることまたは針が「適正な角度」にあることを、例えばその角度のところにある緑に点灯したインジケータで知らせることによって表示することができる。すなわち、計画された挿入角度のところに赤く点灯したインジケータが現れ、針状器具が適正な角度に接近しているとき、または針状器具が適正な角度にあるときに、緑に点灯したインジケータが現れる。
【0047】
ガイド150のモノリシック構造、フレームリング152の第1の半部分166の閉じられた構造、アーク部材154の厚さ176およびフィレット構造178は、それぞれ、先行技術のデバイスに比べて有利な構造上の利点に寄与する。具体的には、アーク部材154の案内面172にDの方向の力が加えられたときに(
図2および
図5を参照されたい)、これらの構造特徴は、支持を提供し、撓み(deflection)を最小限に抑えるのに十分なこわさ(stiffness)および剛性(rigidity)を提供し、それによって針状器具を配置および駆動するのに十分な支持を提供する。この構造は、高い剛性を提供し、同時に、針が出るための開口を依然として提供する。このことは、カンチレバー形状、すなわち開いたフレームとは対照的であり、モノリシック構造体は、より大きなこわさを有し、針の配置および操作に関連した力に、より小さな撓みで耐えることができる。さらに、第2の半部分168の間隙170を維持しつつ、閉じられた第1の半部分の厚さを厚くすることによって、閉じられた第1の半部分166のこわさを向上させることもできる。
【0048】
さらに、モノリシック構造のため、組立ての誤差を回避することができる。ガイド150のこの構造は、第2の半部分168に間隙170があるにも関わらず、この構造支持を提供することができる。
【0049】
図3Aに最もよく示されているが、ベースアセンブリ110およびガイド150は、それぞれ、テーパの付いた(またはある角度をなす)対応する部分130および180を含むことができる。ベースアセンブリ110のテーパ部分130は、可動リング120の部分として形成することができ、可動リング120の全周にわたって広がっていてもよい。ガイド150のテーパ部分180は、フレームリング152の全周にわたって形成することができる。テーパの付いた2つの部分130および180は、ガイド150のテーパの付いた部分180がベースアセンブリ110のテーパの付いた部分130の中に幾何学的にぴったりとはまるような形で合同に(congruently)形成することができる。合同な幾何形状を有することによって、ガイド150は、テーパの付いた部分130および180を介してベースアセンブリ110と容易に嵌合することができる。より容易な嵌合を可能にすることに加えて、テーパの付いたこれらの部分は、角度参照マーク174の角度範囲を、テーパの付いていない構成に比べてより大きくする。さらに、このテーパ特徴は、ガイダンス中にアーク部材154に加えられる医療用器具の力に対抗するアーク部材154の構造的剛性を高める。
【0050】
別の態様では、可動リング120が存在しないとき(後で論じる)に、ベースアセンブリ110のテーパの付いた部分130を、可動リング120の代わりにベースリング112に直接に形成することができる。このような構成では、ガイド150のテーパの付いた部分180が可動リング120のテーパ部分130と幾何学的に合同であるのと同様に、テーパ部分180は、ベースリング112のテーパ部分130と幾何学的に合同である。言い換えると、これらのテーパ部分を使用して、ガイド150をベースリング112に摩擦により直接に嵌合させることができる。
図4には、テーパの付いた部分180のテーパの角度または量が角度170として例示されている。しかしながら、テーパのこの特定の角度は、テーパの角度を限定するものではない。いくつかの実施形態では、ベースアセンブリのテーパ部分ならびにテーパ部分130および180を円錐形の界面として理解することができ、この界面では、ベースアセンブリ110およびガイド150は、テーパ部分130および180で、円錐形の界面の中心軸と幾何学的に整列する。運動学的に、テーパの付いた界面は、ベースアセンブリ110とガイド150との間の平面内相対運動(in−plane relative motion)を排除し、同時に、ガイド150が軸Axの周りを傾くことなく回転することを可能にする。
【0051】
上述のとおり、ガイド150は、テーパの付いた構造を介してベースアセンブリ110に回転可能に結合されていてもよい。一態様では、これが、ガイド150のフレームリング152を可動リング120に、機械的インタフェース(mechanical interface)を介して機械的に結合することによって達成される。
図6は、ガイド150をベースアセンブリ110に機械的に嵌合する原理の略断面図を示す。
図6に示されているように、ガイド150は、第1の機械構成要素182aを含むことができ、可動リング120は、第2の機械構成要素182bを含むことができる。第1および第2の機械構成要素182aおよび182bは、全体として、ガイド150をベースアセンブリ110の可動リング120に結合することを可能にする機械的インタフェースである。これらの機械構成要素は、対応する雄−雌構成要素、スナップばめ(snap fitting)、バイオネットマウント(bayonet mount)およびベルクロ式留め具(Velcro−style fastner)など、適当な嵌合構造体とすることができる。機械的インタフェースの具体的な1つの例が、
図3Aおよび
図3Bに示されている。
図3Bは、第1の機械構成要素182aを示しており、
図3Aは、第2の機械構成要素182bを示している。この例では、第1の機械構成要素182aがキー溝であり、第2の機械構成要素182bがキーである。
図3Aは、2つの第2の機械構成要素182b(すなわち2つのキー)を示している。
図3Bには、1つのキー溝(182a)だけが示されているが、
図3Aに示された反対側のキーと嵌合するために、アーク部材154の対称的に反対側の端部にある第2のキー溝も存在する。第2の機械構成要素182b(例えばキー)は、案内面172の平面の位置と整列するように構成されていてもよい。さらに、
図3Bに示されているように、第1の機械構成要素182a(例えばキー溝)は、案内面172の部分を含んでいてもよい。それに応じて、第2の機械構成要素182b(例えばキー)を第1の機械構成要素182a(例えばキー溝)に嵌合させたとき、アーク部材154は、ベースアセンブリ110に対して所定の向き/整列を有する。
【0052】
可動リング120を介してガイド150がベースアセンブリ110に嵌合された後、ガイド150は、可動リング120を介して自由に回転することができる。すなわち、軸Axの周りを可動リング120が静止ベースリング112に対して回転可能であること(上述)、およびガイド150が可動リング120に結合されていることによって、ガイド150と可動リング120は、可動リング120またはガイド150に回転力が加えられたときに、軸Axの周りを一緒に回転することができる。
【0053】
図7は、ベースアセンブリ110に対するガイド150のコンピュータ支援位置決めを可能にする追加の特徴を含む医療ガイダンス装置100の分解略透視図を示す。
図7に示されているように、医療ガイダンス装置100は、さらに、スケール184とモジュール186とから形成された回転エンコーダを含むことができる。回転エンコーダは、角度位置をアナログまたはディジタル信号に変換する、当技術分野で知られている任意のデバイスとすることができる。回転エンコーダは、回転スケール184と、センサヘッド/センサ回路基板および関連電子部品を有するモジュール186とを備えることができる。回転スケール184が回転可能リング120と一緒に回転することができるように、回転スケール184は、可動リング120に結合されていてもよく、および/または可動リング120と一体であってもよい。センサヘッドは、回転可能リング120に装着された回転スケール184の方を向いており、センサ回路基板に電気的に接続されている。回転エンコーダは、ベースリング112に対する回転可能リング120の角度位置を測定する。
【0054】
電気ケーブル502を介して医療ガイダンス装置100にコントローラボックス500を電気的に接続することができる。コントローラボックス500は、表示器504、マイクロコントローラ(図示せず)および電源(例えば電池)(図示せず)を含むことができる。マイクロコントローラは、医療ガイダンス装置100のセンサ回路基板と通信することができる。センサ回路基板は、センサヘッドによる回転スケール184の角度位置の測定信号を処理し、角度位置をマイクロコントローラに出力する。電源は、表示器504、センサ回路基板およびマイクロコントローラに電力を供給することができる。回転エンコーダを介して決定された可動リング120のリアルタイム回転位置に対応する数値を表示するため、表示器504は、LEDまたはLCDディスプレイを含むことができる。回転エンコーダを使用して、可動リング120の精確な位置、したがって可動リング120に結合されたガイド150の精確な位置を決定することは、A軸の周りのガイド150の精確な位置決めを可能にする。いくつかの実施形態では、コントローラボックス500を使用して、医療ガイダンス装置から離れた位置に、1つまたは複数の電源およびマイクロコントローラを収容することは、このことが、電源が発生させる場を患者から遠ざけることになるため有利である。このような実施形態では、ベースアセンブリ110内に配置する必要がない回路をコントローラボックス内に置くこともできる。
【0055】
別の態様では、針位置決め装置100から可動リング120を完全になくすことができる。このような構成では、軸受128もないことになる。ベースリング112に対するガイド150の回転運動を達成するため、この構成では、上述のテーパの付いたセクションを介して、機械的嵌合構成要素なしで(すなわちキーおよびキー溝なしで)、ガイド150をベースリング112に回転可能に嵌合させることができる。ガイド150のテーパは、ベースリング112のテーパと幾何学的に合同であるため、ガイド150は、ガイド150の下面がベースリング112の上面と接触しているような態様で、ベースリング112に同心で載せることができる。摩擦/重力が、ベースリング112上のそのままの位置にガイド150が留まることを可能にする。それでも、ガイド150は、ベースリング112に機械的に接続されておらず、一方で、ベースリング112は、その場に固定されているため、ガイド150が回転するとは可能である。したがって、ガイド150に手動で回転力を加えることによって、ガイド150を軸Axの周りで回転させることができる。言い換えると、同心の内リングが同心の外リングと接触しているときに、ガイド150を回転させることができる。そのために、あるタイプの潤滑をフレームリング152とベースリング112の間で使用することが望ましいことがある。
【0056】
図8は、別の実施形態に基づく医療ガイダンス装置のガイド1150の透視図を示す。ガイド1150は、
図1〜
図3に示されたガイド150に似ており、類似の参照符号は、対応する特徴を表す。したがって、ガイド1150も同様に、フレームリング1152、アーク部材1154、内周1156、外周1158、開口1160、第1の端部1162、第2の端部1164、第1の半部分1166、第2の半部分1168、間隙1170、案内面1172、複数の角度参照マーク1174およびアーク部材厚さを含む。
【0057】
フレームリング1152のリング形の幅(すなわち内周1156から外周1158までの半径方向の距離。この距離は、フレームリング1152の内半径と外半径の差でもある)は、フレームリング152の場合と同じとすることができる。アーク部材1154は、アーク部材154の場合の角度範囲と同じ角度範囲を張るアークの形状を有することができる。ガイド1150の全体がガイド150と同様にモノリシックに形成されるように、アーク部材1154は、フレームリング1152と一体に形成することができる。したがって、ガイド1150は、ガイド150に関して上で述べたものと同じ構造上および組立て上の利点を有する。
【0058】
ガイド150と同様に、ガイド1150も、
図3A、
図3Bおよび
図4に関して説明したのと同様の方式でベースアセンブリに結合することができる。ガイド1150は、上述の機械構成要素と同じ機械構成要素を介して結合されてもよく、または
図8に示されたスロット1182などの別の機構を用いて結合されてもよい。ガイド1150をベースアセンブリに結合するために、可動リングまたはベースリング上に対応する特徴が存在してもよい。ガイド1150は、ガイド150と同じように回転することができる。
【0059】
ガイド1150とガイド150の違いは、アーク部材1154にある。
図8に示されているように、1154のアーク部材は、第1のアーク構成要素1155aおよび第2のアーク構成要素1155bを備えることができる。第1のアーク構成要素1155aおよび第2のアーク構成要素1155bは、アークの形状を有し、これらはともに、フレームリング1152の第1の端部1162から第2の端部1164まで延びている。第1のアーク構成要素1155aおよび第2のアーク構成要素1155bは、それぞれ、第1の端部から第2の端部までの同じ範囲の角度を張ることができる。第1のアーク構成要素1155aおよび第2のアーク構成要素1155bは、それぞれ、頂面または側面に形成された角度参照マーク1174を含むことができる。第1のアーク構成要素1155a上のそれぞれの角度参照マーク1174は、第2のアーク構成要素1155b上の別の角度参照マークと一致している。2重参照の角度参照マーク1174を有することは、器具のより容易な視覚的整列を可能にする。第1のアーク構成要素1155aは、さらに間隙1157を含み、間隙1157は、器具が間隙1157を通り抜けるのに十分なサイズを有する。さらに、第1のアーク構成要素1155aは、空間または間隙1559によって第2のアーク構成要素1155bから分離されており、空間または間隙1559も、器具が空間または間隙1559を通り抜けるのに十分なサイズを有する。したがって、第1のアーク構成要素1155aと第2のアーク構成要素1155bとの間の間隙1159に入るために、案内対象の器具は、最初に、第1のアーク構成要素1155aの間隙1157を通り抜けることができる。第1のアーク構成要素1155aと第2のアーク構成要素1155bとの間の間隙1159内に器具が置かれた後は、第1のアーク構成要素1155aと第2のアーク構成要素1155bとの間の面1172に沿って器具を移動させることができる。第1のアーク構成要素155aおよび第2のアーク構成要素155bの分離された2つの物理表面によって案内面1172を表すことにより、医療用器具がこれらの部分に触れる必要がない。したがって、操作者は、上質の触覚フィードバックを得ながら医療用器具を挿入することができる。さらに、第1のアーク構成要素1155aと第2のアーク構成要素1155bとの間に空間があると、操作者は、案内面1172上に位置するように医療用器具を容易に調整することができる。
【0060】
図9は、別の実施形態に基づく医療ガイダンス装置2000の透視図を示す。医療ガイダンス装置2000は、ガイド2150およびベースアセンブリ2110を含む。ベースアセンブリ2110およびガイド2150は、
図1〜
図6に示されたベースアセンブリ110およびガイド150に似ており、類似の参照符号は、対応する特徴および機能を表す。したがって、ベースアセンブリ2110も同様に、静止ベースリングおよび可動リングを含むことができる。ガイド2150も同様に、フレームリング2152、アーク部材2154、内周1156、外周2158、開口2160、第1の端部2162および第2の端部2164、第1の半部分2166、第2の半部分2168、間隙2170、ガイド側面2172ならびにアーク部材厚さを含むことができる。アーク部材厚さは、第1および第2の端部のところにテーパを有する。
【0061】
フレームリング2152のリング形の幅(すなわち内周2156から外周2158までの半径方向の距離。この距離は、フレームリング2152の内半径と外半径の差でもある)は、フレームリング152の場合と同じとすることができる。アーク部材2154は、アーク部材154の場合の角度範囲170(
図4参照)と同じ角度範囲を張るアークの形状を有することができる。ガイド2150の全体がガイド150と同様にモノリシックに形成されるように、アーク部材2154は、フレームリング2152と一体に形成することができる。したがって、ガイド2150は、ガイド150に関して上で述べたものと同じ構造上の利点を有する。
【0062】
ガイド150と同様に、ガイド2150も、ベースアセンブリ2110に回転可能に結合することができる。ガイド2150は、上述の機械構成要素と同じ機械構成要素を介して結合されてもよく、または別の機構を用いて結合されてもよい。ガイド2150をベースアセンブリ2110に結合するために、可動リングまたはベースリング上に対応する特徴が存在してもよい。ガイド2150は、ガイド150と同じように、ベースアセンブリ2110に対して回転することができる。
【0063】
ガイド2150とガイド150の違いは、アーク部材2154にある。
図9に示されているように、2154のアーク部材は、レール2155および器具ホルダ2157を備えることができる。レール2155は、案内面2172に形成することができ、アーク部材2154によって画定された同じアーク経路に沿ったアークの形状を有する。器具ホルダ2157は、矢印2159によって示された経路に沿ってレール2155上を摺動可能なものとすることができる。器具ホルダ2157は、針状器具2161、例えば生検針またはアブレーションプローブを受け入れるようにサイズ設定された半円筒形の溝の形状を有することができる。実施を希望する手技に応じて、他の器具に適合するような形状に器具ホルダ2157を形成することができる。器具ホルダ2157は、器具2161の拘束されたガイダンス(constrained guidance)を提供する。器具ホルダ2157は、ターゲット切開点と交差する角度(軌道)に半円筒形の溝を向けることによって、器具2161を正確に案内することができる。したがって、器具ホルダ2157は、正確さを増大させ、介入時間を短くすることができる。
【0064】
器具ホルダ2157によって2本以上の針が保持されるように配置された、予め設定された幾何学的配置の多数の器具、例えば多数のクライオアブレーション針に適合するような形状に器具ホルダ2157を形成することができる。例えば、ともにアーク部材2154の近くにまたはアーク部材に対して接線方向に配置された2本の針を同時に保持することができる。他の例では、器具ホルダ2157によって、3本、4本または5本以上の針が、三角形、正方形、菱形などの配置で同時に保持される。器具ホルダ2157は、手技の間、器具が、器具間の幾何学的関係(例えば平行挿入)を維持するために、拘束されたガイダンスを提供することができる。
【0065】
図9に示された(
図1に関する)別の違いは、他の例示的な実施形態で使用される物理的な角度参照マーク174に加えて、または角度参照マーク174の代わりに、第1の照明インジケータ2174aおよび第2の照明インジケータ2174bが使用されていることである。すなわち、
図9に示されているように、アーク部材2154には、上記の実施形態に記載された線状の角度参照マーク174または角度参照マーク1174のような線マークがない。むしろ、
図9に示されているように、アーク部材2154の頂面に沿って照明インジケータ2174aを配置することができる。照明インジケータ2174aは、上で論じた線マーカと同じ機能を果たすものとすることができる。アーク部材2154上には、1つの照明インジケータ2174aが示されているが(これは、1つの照明インジケータ2174aだけが点灯されているためである)、アーク部材2154の全長にわたって、複数の照明インジケータを、他の例示的な実施形態に示されたハッチマーク(hatch mark)の間隔と同じ間隔で配置することができる。アーク部材に沿って器具が配置されるべき正確な姿勢(場所、位置および/または向き)を操作者に示すために、使用中に1つの照明インジケータだけを点灯することができる。したがって、
図9の照明インジケータ2174aは、器具のその時点の所望の位置を示している。この照明インジケータがあると、操作者は、特定のマーカをアークに沿って視覚的に見つける必要なしに、器具を配置すべきアークに沿った場所を容易かつ迅速に見つけることができる。ベースアセンブリ2110の外周に第2の照明インジケータ2174bを提供することができる。照明インジケータ2174bは、ガイド2150の所望の回転位置に関して第1の照明インジケータ2174aと同じ機能を果たすものとすることができる。照明インジケータ2174bは、挿入平面(
図15および下の議論を参照されたい)を示すものとすることができる。
図9に示された例では、1つのインジケータだけが点灯されているが、それに応じて、ベースリングに関する複数の照明インジケータ2174bを全周に沿って配置することができる。このように、操作者が角度参照マークを読む必要性があるため、介入の継続時間および操作者の精神的ストレスが低減される。照明インジケータは、LEDアレイを含むことができ、このアレイのため、アレイを電気的に駆動するための電子部品がつまみ2113の中に格納される。本明細書に開示された例示的な他の任意の実施形態に、これらの照明インジケータを適用することができることを理解すべきである。すなわち、この照明インジケータは相互排除特徴(mutually exclusive feature)ではなく、ハッチマークの代わりに、またはハッチマークに加えて使用することができる。案内面2172および/またはフレームリング2152の第2の半部分2168の全体を、アーク部材の案内面とは反対側の面および/またはフレームリング2152の第1の半部分2166とは異なる色にすることができる。
【0066】
図9に示されている、いくつかの実施形態の別の任意選択の特徴は、ガイド2150上に位置する識別マーカ(differentiating marker)である。識別マーカは、使用中に目に見える、ガイド2150の表面に位置する異なる色または色相として示される。この色は、針が配置され案内される医療ガイダンス装置の部分を識別する。識別マーカは、例えば、針配置中にデバイスのどの部分を使用すべきかを迅速に識別するために医師が使用することができる異なる色、接着性材料、パターンまたは他の何らかの識別特徴である。
【0067】
図10は、さらなる実施形態に基づく医療ガイダンス装置3000の透視図を示す。医療ガイダンス装置3000は、ガイド3150およびベースアセンブリ3110を含む。ベースアセンブリ3110およびガイド3150は、
図1〜
図6に示されたベースアセンブリ110およびガイド150に似ており、同様の参照符号は対応する特徴および機能を表す。したがって、ベースアセンブリ3110は、
図3Aに示されたものと同様の静止ベースリングおよび可動リングを含むことができる。ガイド3150も同様に、フレームリング3152、アーク部材3154、内周3156、外周3158、開口3160、第1の端部3162、第2の端部3164、第1の半部分3166、第2の半部分3168、間隙3170、案内面3172およびアーク部材厚さを含むことができる。
【0068】
フレームリング3152のリング形の幅(すなわち内周3156から外周3158までの半径方向の距離。この距離は、フレームリング3152の内半径と外半径の差でもある)は、フレームリング152の場合と同じとすることができる。アーク部材3154は、アーク部材154の場合の角度範囲と同じ角度範囲を張るアークの形状を有することができる。ガイド3150の全体がガイド150と同様にモノリシックに形成されるように、アーク部材3154は、フレームリング3152と一体に形成することができる。したがって、ガイド3150は、ガイド150に関して上で述べたものと同じ構造上の利点を有する。
【0069】
ガイド150と同様に、ガイド3150も、ベースアセンブリ2110に回転可能に結合することができる。ガイド3150は、上述の機械構成要素と同じ機械構成要素を介して結合されてもよく、または別の機構を用いて結合されてもよい。ガイド3150をベースアセンブリ3110に結合するために、可動リングまたはベースリング上に対応する特徴が存在してもよい。ガイド3150は、ガイド150と同じように、そのベースアセンブリに対して回転することができる。
【0070】
図10に示されているように、ガイド3150とガイド150の違いは、ガイド3150が器具ホルダ3155を備えていることである。器具ホルダ3155は、貫通穴3157を含む。貫通穴3157は、器具3161を緩く保持するのに十分な大きさを有するものとすることができる。器具ホルダ3155は、さらにスリット3159を含むことができる。スリット3159は、器具3161が挿入された後に器具が貫通穴3157に到達するための通路を提供する。器具ホルダ3155は、スリット3159を通して器具3161を移動させるために力を加えたときに、スリット3159が広がることを可能にする十分な柔軟性/変形可能性を有する材料から製作することができる。この材料は、さらに、操作者による力がもはや加えられていないときに、
図10に示された元の外形にスリット3159が戻る、柔軟性/変形可能性に対する十分な抵抗性を有しているべきである。このようにすると、貫通穴3157の中に器具3161が置かれた後は、その意図なしに器具3161がスリット3159の外に出ることはない。
【0071】
図10には示されていないが、アーク部材3154の案内面3172とは反対側の面は、
図9に示されたレールと同様のレールを備えることができる。このレールも、アーク部材3154によって画定された同じアーク経路に沿ったアークの形状を有することができる。器具ホルダ3155は、
図9の矢印2159によって示された方向と同じ方向に沿ってレール上を摺動可能なものとすることができる。器具ホルダ3155は、さらに、矢印3163に沿ってアーク部材3154から引っ込めることができ、また、アーク部材の案内面3172とは反対側の面に取り付けることができるものとすることができる。実施中の手技に応じて、他の器具に適合するような形状に器具ホルダ3155を形成することができる。
【0072】
器具ホルダ3155は、器具3161の拘束されたガイダンスを提供する。器具ホルダ3155は、器具3161をターゲット軌道に向けることによって、器具3161を正確に案内することができる。器具ホルダ3155を用いると、器具3161は、貫通穴3157の中で自由に動くことができ、また、操作者が器具3161を保持していないときでも器具3161が落下することがない。したがって、器具ホルダ3155は、手技の全体にわたって器具3161のハンドリング管理を改善することができる。
【0073】
図11は、ベースアセンブリ110の上面図を示す。ガイド150は取り外されている。同じベースアセンブリ110をガイド3510に適用することができる。
図11は、ベースアセンブリ110の下面に接着マーカ300が取り付けられた、ベースアセンブリ110の例示的な実施形態を示す。接着マーカ300は、支持材302、開口118および126と整列した剥離部分304、ならびに接着剤306を含むことができる。接着剤306は、人間の皮膚に対して使用するのに適した既知の任意の接着剤であって、手技の間、患者の体表における医療ガイダンス装置の位置を維持するのに十分な強度を有する既知の任意の接着剤とすることができる。接着剤の例は、皮膚にしっかりと貼り付くが、皮膚を傷つけることなく取り除くことができる外科用テープおよび医療用テープである。接着マーカ300は、ベースリング112の下面に直接に取り付けることができる。この取付けは、支持材の上面303の別の接着剤層(図示せず)によって、または知られている他の任意の取付け機構によって、達成することができる。接着マーカ300は、剥離部分304上に位置する中心マーカ308を含むことができる。
図11に示されているように、中心マーカ308は、それらの交点が単一の点を画定する複数の線、例えば十字パターンを含むことができる。中心マーカ308は、操作者が、患者の体表の所望の挿入点に中心点Cを容易に整列させることを可能にする。中心マーカ308を除き、支持材302は、透明とすることができる。
【0074】
いくつかの実施形態(図示せず)では、さらに、ベースアセンブリ110上に1つまたは複数のタブが含まれる。これらのタブは、例えば接着用の追加のエリアを含めるのに役立ち、それらのタブは、上で論じた接着剤306と同じ接着剤または追加の接着剤を有することができる。その代わりにまたはそれに加えて、これらのタブは、接着剤を含まず、患者に装着されたときに追加の支持を提供し、かつ/または、ベースアセンブリ110を患者に固定するために使用される外科用テープまたは別の固定構成要素を使用するための表面を提供する。これらの1つまたは複数のタブの使用は、モノリシック構造の高い剛性と協力して機能する。これらのタブは、堅く装着することができ、またはデバイスが異なる解剖学的構造に従うことを可能にするために、ヒンジ式に装着することができる。
【0075】
図12は、
図11の線12−12に沿って切った、剥離部分304を取り除く前の断面図である。
図13は、
図11の線12−12に沿って切った、剥離部分304を取り除いた後の断面図である。
図12に示されているように、ベースアセンブリ110、より具体的にはベースリング112は、ベースアセンブリの下面に取り付けられた接着マーカ300を有する。接着剤306は、剥離部分304を含む、接着支持材302の下面305の全体にわたって広がっている。
図12に示された状態では、接着剤306を有する支持材302は、剥離部分304を含め、表面B(すなわち患者の皮膚)と接触しており、したがってベースアセンブリ110を患者に固定している。中心点Cが表面Bの挿入点と整列するように中心マーカ308を整列させた後、操作者は、剥離部分304の剥がすこと、したがって表面Bに通じる開口118、126を露出させることができる。操作者が剥離部分304を剥がすことを可能にするため、支持材は、剥離部分304を画定するミシン目部分(図示せず)を含むことができる。支持材は、さらに、把持用のタブ、または剥離部分304を剥がす際に助けとなる他の機構を含むことができる。この状態が
図13に示されており、ベースリング112および可動リング120の開口の中には、もはや支持材がない。分かりやすくするために支持材302および接着剤304の寸法は誇張されており、支持材302および接着剤304の寸法に対するベースリング112および可動リング120の相対寸法は、図の比率のとおりではないことを理解すべきである。すなわち、実際には、支持材302および接着剤304の厚さ(または
図12および
図13における垂直高さ)は、ベースリング112および可動リング120の高さよりも数桁小さい(例えばセンチメートル規模に対してミクロン規模)。したがって、実際には、接着マーカ300があっても、ベースリング112の下面は本質的に表面Bにほとんど接触している。
【0076】
上述の接着マーカ300は、相互排除特徴でなく、本明細書に記載された例示的な任意の実施形態に適用することができることを理解すべきである。すなわち、接着剤マーカ300は、患者の体表の処置スポットにベースアセンブリを固定し、適切に整列させるために、本明細書に記載された任意の医療ガイダンス装置の下面に適用することができる。
【0077】
上述の医療ガイダンス装置100、1000、2000、3000を使用する方法に移る。
図14は、本開示の別の実施形態に基づく医療ガイダンスシステム4000を示す機能ブロック図である。単純にするため、以下では、医療ガイダンス装置100の実施形態の参照符号を使用する。しかしながら、以下の議論は、本開示で論じる全ての実施形態に適用可能であることを理解すべきである。医療ガイダンスシステム4000は、医療撮像デバイス4114から画像データを受け取る画像サーバ4113に/からデータを送信および受信する。医療ガイダンスシステム4000は、バスを介して通信可能に結合されたコンピュータ4015および医療ガイダンス装置100を含む。画像サーバ4113は、限定はされないが、医療画像化デバイス4114から画像データを受け取り、その画像データをDICOM(登録商標)形式で記憶するPACS(画像保管通信システム(Picture Archiving and Communication System))サーバまたは等価物を含む。医療画像化デバイス114は、限定はされないが、コンピュータ連動断層撮影(CT)スキャナ、磁気共鳴画像化(MRI)スキャナ、陽電子断層撮影(PET)スキャナ、単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)スキャナ、X線透視スキャナまたはこれらの組み合わせを含む。
【0078】
医療ガイダンスシステム4000のコンピュータ4015は、特に、ユーザインタフェース4115およびナビゲーションソフトウェア4116を含む。ユーザインタフェース4115は、ユーザが、コンピュータ4015にアクセスし、コンピュータ4015を制御して、患者の体内への針状医療用デバイスの適切な挿入角度を、ナビゲーションソフト4116に従って決定することを可能にする。この挿入角度は、医療撮像デバイス4114から受け取り、画像サーバ4113に記憶された画像データに基づいて決定される。ナビゲーションソフトウェア4116は、さらに操作者情報を提供する。操作者情報は、限定はされないが、医療ガイダンス装置100の使用法を含むプロトコル、ならびに医療ガイダンス装置100の視覚的な向きおよび位置情報を含む。
【0079】
医療ガイダンス装置100は、ベースアセンブリ110のベース可動リング120に結合されたガイド150を含み、またはベースアセンブリ110のベース可動リング120に結合されたガイド150に動作可能に接続されている。
図7に示されているように、ベース可動リング120は、回転スケール184およびモジュール186を含む。マイクロコントローラ4110、メモリユニット4111および回路ボックス4103は、やはり
図7に示されたコントロールボックス500と等価である。
【0080】
ベースリング112は、ベースリングの周りの4つのコーナに、またはつまみ113上/内に、基準マーカ(fiducial marker)(図示せず)を含むことができる。この基準マーカは、光学的に、ならびに放射線不透過性物質を利用したCTおよびX線画像内で目に見える。放射線不透過性物質は、限定はされないが、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、オキシ塩化ビスマス、タングステン充填材を含むプラスチックとすることができる。それぞれのコーナにおいて、基準マーカは、一群のマーカを形成し、それぞれのコーナにおける基準マーカの数は異なる。したがって、CTおよびX線画像中の基準マーカだけを使用して、ベースリング112の位置および向きを幾何学的に識別することができる。
【0081】
上述のとおり、軸Axは、装着表面Bの点Cを通り、角度参照マーク174は、点Cの周りのアーク部材154の案内面172(
図4を参照されたい)の角度を示すための線マークである。可動リング120をガイド150と一緒に軸Axの周りで回転させることによって、角度参照マーク174も軸Axの周りで回転する。角度参照マーク174を使用することによって、医療用装置ガイド100は挿入平面を限局(localize)し、さらに、点Cを含む遠隔運動中心(remote center of motion)の微細なグリッドを限局(localize)する。このグリッドは、旋回軸としての点Cに沿った母線Eを有する円錐形のグリッドである。
【0082】
遠隔運動中心は、針状医療用ツールの操作者の操作をモデル化する。したがって、点Cは、医療用ツールの皮膚挿入点に整列し、皮膚挿入点は、患者の皮膚の近くの障害物を考慮することによって画定される。点Cが固定された場合、操作者は、回転可能リング120/ガイド150と角度参照マーク174との間の適当な関係を使用することによって、ターゲットまでの意図された軌道を選択することができる。
【0083】
回転可能リング120の位置(それによってさらにガイド150の位置)および角度参照マーク174を決定した後、操作者は、ターゲット角度参照マーク174におけるガイド150からのガイダンスによって、針状医療用ツールを挿入することができる。
【0084】
マイクロコントローラ4110は、コンピュータ4015およびセンサ回路基板4107からの情報を処理し、コンピュータ4015およびセンサ回路基板4107と通信して、それらの間でコマンドおよびターゲット情報を交換する。具体的には、マイクロコントローラ4110は、回転エンコーダによって測定された可動リング120の角度位置を開始し、必要に応じてコンピュータ4015に送る。
【0085】
マイクロコントローラ4110は、さらに、メモリユニット4111に電気的に接続されている。メモリユニット4111は、少なくとも、設計に応じて決定される、医療ガイダンス装置100の局所座標に基づく医療ガイダンス装置100の変換行列を記憶している。マイクロコントローラ4110は、次いで、ナビゲーションソフトウェア4116が変換行列を必要としているときに、メモリユニット4111内のそれらの変換行列を取り出し、コンピュータ4015に送る。
【0086】
具体的には、回路ボックス4103は、ベースリング112内のセンサ回路基板4107のところで、回転エンコーダ4104に、電気ケーブルを介して、ベースリング112とは別個の部分として電気的に接続されている。その結果、ベッドサイドのまたは患者の近くの、介入エリアには近いがベースリング112からは分離された位置に、回路ボックス4103を置くことができる。回路ボックス4103がベースリング112から分離されていると、ベースリング112は、フットプリントおよび介入のために必要なエリアを小さくすることができる。回路ボックス4103は、さらに表示器を含む。この表示器は、可動リング120のリアルタイム角度位置を、ディジタル表示器によって映し出す。さらに、この表示器は、医療ガイダンス装置100に関するさまざまな情報、例えば可動リング120のターゲット角度位置、ターゲット角度参照マーク、可動リング120のターゲット角度位置と現在の角度位置との比較、および残留電池電力の推定量を表示する。回路ボックス4103上に表示器があると、操作者は、患者および介入のエリアを離れる必要なく、医療ガイダンス装置100に関する情報をその場で確認することができる。
【0087】
図15は、システム4000の制御下にある医療ガイダンス装置100を使用して針状器具をガイダンスするための例示的なプロセスを示すフローチャートである。ステップS1201において、操作者は、医療撮像デバイス4114を使用して医療用画像を撮影する。この特定の実施形態では、医療撮像デバイス4114がCTスキャナであり、医療撮像デバイス4114は、コンピュータ4015内のナビゲーションソフトウェア4116に画像サーバ4113を介してCT画像を送る。
【0088】
ステップS1202において、操作者は、ユーザインタフェース4115が表示しているCT画像を用いて、針状医療用ツールを用いた経皮的介入のための1つまたは複数のターゲットおよび皮膚挿入点を画定する。同時に、操作者は、ナビゲーションソフトウェア4116を使用して、ターゲットを皮膚挿入点に仮想的につなぐことにより、針状医療用ツールの挿入軌道のための平面を決定することができる。さらに、このステップにおいて、操作者は、例えば(
図11に示されているもののような)可視格子マーカを患者の体表で使用して患者の体表の皮膚挿入点に印を付ける。これは標準的なプラクティスである。
【0089】
ステップS1203において、操作者は、デバイスを較正するためにデバイスをセットアップし、医療ガイダンス装置100の適切な初期状態を設定する。より具体的には、ステップS1203では、原ゼロ位置(original zero position)を適切に確立するために、回転エンコーダ4104をセットアップすることを含む。
【0090】
デバイスをセットアップした後、操作者は、ステップS1204において、患者の体表に医療ガイダンス装置100を、点Cを皮膚挿入点に整列させて装着する。接着マーカ300が利用されているとき、操作者は、中心マーカ308を皮膚挿入点(切開点)に整列させ、次いで、接着剤306によって医療ガイダンス装置100をその場に取り付けることができる。操作者は、次いで、マーカ300の剥離部分304を取り除いて、患者の皮膚を露出させることができる。
【0091】
デバイスを装着した後、操作者は、ステップS1205において、医療ガイダンス装置100を含むCT画像を撮影し、それらのCT画像をナビゲーションソフトウェア4116に送る。ステップS1206において、操作者は、医療ガイダンス装置100が写ったそれらのCT画像を使用して、デバイス−画像の位置合わせを実施する。このステップでは、ナビゲーションソフトウェア4116は、ベースリング112のコーナに位置する基準マーカを使用することによって、患者の体表の医療ガイダンス装置100の位置および向きを、CT画像内で、すなわちCT画像の座標上で認識する。この基準マーカの検出は、ユーザインタフェース4115を介した操作者の命令によって手動で実行することができ、またはコンピュータアルゴリズムを使用することによって完全に自動化することができる。検出された基準マーカは、医療ガイダンス装置100内の基準マーカの設計幾何学的配置と比較され、ナビゲーションソフトウェアは、次いで、CT画像内の医療ガイダンス装置100の位置および向きを認識することができる。このステップでは、ナビゲーションソフトウェア4116は、さらに、2つのデバイスパラメータを用いて軌道のプランを映し出すことができる。この2つのデバイスパラメータは、可動リング120の角度位置およびガイド150の挿入角度である。
【0092】
ステップS1207において、ナビゲーションソフトウェア4116は、操作者に、デバイス−画像の位置合わせが適当であるか否かを尋ねることができる。適当でない場合(ステップS1207が「No」)、操作者は、デバイス−画像の位置合わせが許容可能なものとなるまでステップS1206を繰り返し実施することができる。
【0093】
デバイス−画像の位置合わせが適当である場合(ステップS1207の「Yes」)場合、制御フローは、ステップS1208に進み、S1208において、操作者は、ターゲットデバイスパラメータをマイクロコントローラ4110に送ることができる。
【0094】
その後、ステップS1209において、操作者は、可動リング120を介してガイド150を手動で回転させ、その間に、ナビゲーションソフトウェア4116は、マイクロコントローラ4110からの可動リング120のリアルタイム角度位置を使用することによって案内面の断面画像をインタラクティブに(interactively)更新する。さらに、マイクロコントローラ4110は、可動リング120のリアルタイム角度位置をターゲット角度位置と比較する。可動リング120がターゲット角度位置に到達した後、マイクロコントローラ4110は、可動リング120のターゲッティングの終了をナビゲーションソフトウェア4116およびインジケータ504に知らせる。次いで、ナビゲーションソフトウェア4116および/またはインジケータ504は、ターゲッティングの終了を操作者に知らせる。
【0095】
可動リング120(およびそれによってガイド150)のターゲット角度位置を確立した後、操作者は、ステップS1210において、ターゲット挿入角度によって指示されたガイド150上の特定の角度参照マーク174を選び、その特定の角度参照マーク174を用いて、皮膚挿入点からターゲットまで針状医療用ツールを挿入する。(
図1〜
図6に示されているような)医療ガイダンス装置100の場合、操作者は、適当な角度参照マーク174に到達するまで案内面172に沿って針状医療用ツールを摺動させることができる。その際に、Dの方向の力を操作者が加える可能性がある。しかしながら、ガイド150の閉じられた/モノリシック構造によって提供される上で論じた構造上の利点のため、アーク部材154は、撓んだりまたは曲がったりすることなく、その力を十分に耐えることができる。ガイド1150(
図8)が使用されている場合、操作者は、針状医療用ツールを、間隙1157を通して、2つのアーク部材構成要素1155a及び1155bの間のエリア1159に入れる。操作者は、次いで、適当なマーカ1174に到達するまで針状医療用ツールをアークの形状に沿って移動させる。案内面1172も、上述の構造上の利点を有する。ガイド2150(
図9)が使用されている場合、操作者は、針状医療用ツールを器具ホルダ2157に通す。操作者は、次いで、器具ホルダ2157を介して、適当なマーカインジケータ2174a(またはマーカが存在する場合にはマーカ)に到達するまで針状医療用ツールをレール2155に沿って移動させる。案内面2172も、上述の構造上の利点を有する。ガイド3150(
図10)が使用されている場合、操作者は、方向矢印3163に沿って器具ホルダ3155を前進させ(まだ前進させていない場合)、アーク部材3154に接する位置に器具ホルダ3155を配置する。次に、操作者は、器具ホルダ3155の貫通穴3157に針状医療用ツールを通す。操作者は、次いで、器具ホルダ3155を介して、適当なマーカインジケータまたはマーカに到達するまで針状医療用ツールをレールに沿って移動させる。案内面3172も、上述の構造上の利点を有する。
【0096】
器具挿入の最初の試みの後、操作者は、ステップ1211において、挿入された針状医療用ツールおよび医療ガイダンス装置100のCT画像を、医療撮像デバイス4114を使用して撮影する。システム4000は、そのCT画像を、ナビゲーションソフトウェア4116による処理のためにコンピュータ4015に送る。挿入された針状医療用ツールのCT画像を用いて、操作者は、挿入された針状医療用ツールの位置を評価する。
【0097】
ステップS1212において、挿入された針状医療用ツールの位置が確認され、その位置が最適とは言えないと操作者が考えた場合(ステップS1212の「No」)、フローはステップS1208に戻り、操作者は、ナビゲーションソフトウェア4116を用いて軌道を更新して、針状医療用ツールの位置を改善することができる。同時に、ステップS1207において、操作者は、最新のCT画像を用いて、医療ガイダンス装置100のターゲット、皮膚挿入点のうちの1つまたは複数に転位(移動)がないかどうかを確認する。転位が見られた場合、操作者(またはシステム)は、医療ガイダンス装置100の位置合わせされた位置および向きを更新する。したがって、操作者は、最新のCT画像を用いてデバイス−画像の再位置合わせを実施することができる。デバイス−画像の位置合わせを更新することによって、操作者は、医療ガイダンス装置100とターゲットとの間の実際の幾何学的関係の食い違いを低減させることができる。具体的には、医療ガイダンス装置100は、患者に装着されており、患者の体と一緒に移動しうるため、デバイス−画像の位置合わせの更新は、以前に取得された(古い)CT画像からの患者の厳密な(rigid)転位を効果的に補償することができる。
【0098】
軌道の更新された平面およびデバイス−画像の位置合わせを用いて、操作者は、最初の試みと同じステップS1208〜S1211を使用して、もう一度、挿入を試みることができる。
【0099】
ステップS1212において、挿入された針状医療用ツールの位置が確認され、操作者がその結果に満足した場合(ステップS1212の「Yes」)、フローは、ステップS1213に進む。ステップS1213では、別の針状医療用ツールの挿入が必要かどうかに関する判定が実施される。別の針状医療用ツールの挿入が必要である場合(ステップS1213の「Yes」)、フローは、ステップS1208に戻り、次の針状医療用ツールのためのターゲットの座標が医療ガイダンス装置100に送られる。別の針状医療用ツールの挿入が必要でない場合(ステップS1213の「No」)、フローは、完了となる。別の針状医療用ツールを挿入するときに、操作者は、必要に応じて、ベースアセンブリ110を取り外す必要なしにベースアセンブリ110からガイド150を分離することができる。ガイド2150、3150のうちの一方のガイドに別の針状医療用ツールを挿入する場合、操作者は、器具ホルダ2157、3155から以前の針状医療用ツールを取り除かなければならない。
【0100】
全ての針状医療用ツールが挿入された後、操作者は、可動リング120からガイド150を分離することができる。ガイド150が分離され、ガイド150を自由に持ち上げて取り除くことができるようになったら、操作者は、それぞれの針状医療用ツールが間隙170を通過するように、ガイド150の向きを変更することができる。したがって、経皮的アブレーションプローブ用のツールなどのように針状医療用ツールに線がつながれているときであっても、手技部位からガイド150を完全に除去することができる。
【0101】
図16から
図20は、針状医療用ツール(例えば生検針)を保持するためのプローブホルダ600の使用を含む、主題の開示のさまざまな図を示す。プローブホルダ600は、アーク部材154に摺動可能に取り付けられ、さまざまな実施形態では、アーク部材154から取外し可能なものとすることができる。プローブホルダ600は、医療用器具によって意図されたターゲット/患者と接触するために、一定の軌道を維持しながら、アーク部材154の周りで摺動するように構成されている。言い換えると、プローブホルダ600がアーク部材154に沿って配置される角度に関わらず、医療用器具のターゲット穿刺点は一定であり、その一方でターゲット/患者への挿入角度は変化する。いくつかの実施形態では、ホルダ600は、多数の穿刺点に対応する多数の医療用器具を同時に保持することも企図される。
【0102】
図20は、医療ガイダンス装置100に取り付けられたプローブホルダ600の透視図を示し、より具体的には、プローブホルダ600は、アーク部材154に取り付けられている。アークを描く矢印は、アーク部材154上に配置されている間のホルダ600の角運動を表している。この画像は、さらに、アーク部材154を支持するフレームリング152、およびターゲットエリアへのアクセスを提供する開口160を示している。プローブホルダ600は、アーク部材154上の所望の位置にプローブをロックするためのロッキングレバー604、およびドア610を含む。
【0103】
プローブホルダ600は、アーク部材154が通るための開口または開裂部(fissure)602、およびアーク部材154の所望の位置にプローブホルダ600を固定するように構成されたロッキングレバー604を備える。ロッキングレバー604は、カムロックまたは他の解放可能な固定手段とすることができる。この例示的な実施形態では、ロッキングレバー604がプローブホルダ600の側面に配置されているが、プローブホルダ600上の他の位置にロッキングレバー604を配置することも企図され、その方がより都合がよいことがある。
図16および
図17は、カムアーム606を有するロッキングレバー604の一例を示す。
図16は、閉じられた位置(以後、閉位置)にあるロッキングレバー604を示しており、
図17は、開いた位置(以後、開位置)にあるロッキングレバー604を示している。ロッキングレバー604の操作は、アーク部材154の厚さ176の周りでプローブホルダ600が摺動することを可能にする。
図16および
図17には、それぞれ、アーク部材154と係合したロッキングレバー604のカムアーム606、およびアーク部材154から離脱したカムアーム606が示されている。
【0104】
図18および
図19は、ガイド150上のアーク部材154に装着されたプローブホルダ600の上面図を示す。プローブホルダ600は、プローブホルダ600の頂部に配置された表示器608を備え、表示器608は、アーク部材154の厚さ176上に提供されることがある角度参照マーク174に対応することが意図されている。他の実施形態では、エンドユーザによる視認がさらに容易になるように、プローブホルダ600上の追加の位置または代替位置に表示器608を配置することができる。追加の実施形態では、表示器608は、角度参照マーク174を拡大するための凸レンズ(図示せず)を有する透明窓を利用してもよい。
【0105】
プローブホルダ600は、さらに、プローブを受け入れ、保持するように構成されたヒンジ式ドア610を含む。
図18では、ドア610が閉位置にあり、
図19では、ドア610が開位置にある。ドア610は、プローブホルダ600上の溝614と嵌合するように構成された溝またはタブ612を含み、これらは、プローブ(図示せず)を保持するための圧縮ばめを形成する。タブ612および/または溝614は、プローブホルダ600によって保持されるさまざまなサイズ(ゲージ)のプローブを収容するために、柔軟なさまざまな材料から構築することができる。加えて、さまざまなプローブサイズ(ゲージ)およびプローブ構成を収容するために、タブ612および/または溝614の形状および長さを変更することができる。他のさまざまな実施形態では、プローブホルダ600内に追加のプローブを収容するために、対応する多数のタブ612および溝614を置くことができる。
【0106】
図19は、開位置にあるヒンジ式ドア610を示しており、プローブホルダ600のヒンジ618、タブ612、溝614およびロック616を詳細に示している。ヒンジ式ドア610およびロック616が示されているが、代替閉鎖手段を利用することも企図され、代替閉鎖手段には、限定はされないが、摺動可能な閉鎖手段または折り畳み可能な閉鎖手段が含まれる。加えて、ドア610は、取外し可能または交換可能なものとすることができ、交換ドアは、追加のプローブサイズ(ゲージ)を収容するためにさまざまな溝を含むことができ、または他の医療用器具を収容するように構成されていてもよい。例示的なドア610は、閉位置にあるヒンジ618およびロック616を含むが、追加の閉鎖手段が含まれていてもよく、追加の閉鎖手段には、限定はされないが、ピン、止めねじ、カムロック、キーならびに他の代替物および派生物が含まれる。例えば、
図28Aを参照して後に説明するように、調整可能な保持力で針状器具を溝614に押し付けて針状器具を保持するように、ドア610が構成されていてもよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、
図22A〜
図27Bで説明するように、アーク部材154と一緒にまたはアーク部材154とは別にガイド150から取り外すことができるように、プローブホルダ600が構成される。取り外す理由としては、異なるゲージ針を支持するため、運動中心の位置を変化させるため(すなわち以前に挿入されたプローブとの衝突を回避するために針スロットを半径方向に遠ざけるため)、または特定のパターンの多数の角度スロットを有するためなどが考えられる。プローブホルダ600は、プローブホルダ600を持ち上げてアークから外すことができる開口を有することによって取り外されてもよい。この開口は、例えば、ピンまたはドアによってロック可能とすることができる。加えて、例えば、ねじ、スナップまたは他の固定手段によって一体に保持された多数のセクションを有することにより、プローブホルダ600を取り外すこともできる。ヒンジ式のアーク部材154では、アーク部材154の自由端を摺動させて取り外すようにプローブホルダ600が構成されていてもよい。
【0108】
図20は、医療ガイダンス装置100に、より具体的にはアーク部材154に取り付けられたプローブホルダ600の透視図を示す。アークに示された矢印は、アーク部材154上にホルダ600が装着されている間のホルダの角運動を表している。
図20に示されているように、プローブ600は、アーク部材154に沿った所望の位置にプローブをロックするためのロッキングレバー604、およびドア610を含む。ドア610は、閉位置にある。
【0109】
図21Aは、プローブホルダ600がない医療ガイダンス装置100の透視図を示す。
図21Bは、ガイド150のアーク部材154上にプローブホルダ600が装着された、医療ガイダンス装置100の上面図を示す。
図21Aおよび
図21Bは、閉状態またはロックされた状態にある医療ガイダンス装置100を示している。
【0110】
これまでの図と同様に、医療ガイダンス装置100は、ベースアセンブリ110およびガイド150からなる。ベースアセンブリ110は、患者(図示せず)の体表にデバイスを装着するように適合されており、ガイド150は、患者の体内の関心のエリアに針状器具を案内するように適合された少なくとも2つの自由度を有するように構成されている。一実施形態では、医療ガイダンス装置100は、開口160を通して患者の皮膚の針挿入点に針状器具を挿入することができるよう患者の体の表面(皮膚)に置かれるように構成された針ガイドデバイスである。その目的のため、医療ガイダンス装置100は、最初に、ストラップまたはベルト(
図27B参照)で患者に固定され、その後、アーク部材154上に針状器具100が装着され、針状器具は、上述のとおり、ナビゲーションソフトウェア4116を使用して関心のターゲットエリアに自動的に(または手動で)案内される。いくつかの実施形態では、
図11〜
図13を参照して上で説明したように、ベースアセンブリ110は、(ベルトに並置されて)接着材で患者の皮膚に取り付けられる。デバイス−画像の位置合わせを容易にするために、ベースアセンブリ110および/またはリング152に、複数の基準マーカ(図示せず)を含める(埋め込む)ことができる。
【0111】
カムラッチ機構(40、41)を使用して、回転リング152をベースアセンブリ110に任意の位置で固定することができる。アーク部材154(アーク形ガイド)は、一端(第1の端部162)が、旋回可能なヒンジ機構60を介してリング152にヒンジ式に取り付けられており、他端(第2の端部164)が、スナップジョイントロッキング機構80を介してリング152上にスナップばめされている。一実施形態では、旋回可能なヒンジ機構60は、アーク部材154を閉位置(
図21B)から開位置(
図22A)まで旋回可能とすることができるように、円筒形のピン64上に圧力クリップ留めすることができるc字形のヒンジ(
図24A〜
図24C参照)である。開位置では、第1の端部162と第2の端部164とを結ぶ線Bxがリング152の回転軸Axと平行になるような態様で、アーク部材154を90度以上回転させることができる。したがって、回転可能リング152に対してアーク部材154が旋回する構成では、アーク部材154およびプローブホルダ600がベースアセンブリ110の開口160の妨げとならないように、アーク部材154の第1の端部および第2の端部を、回転可能リング152の平面に対して直角以上の角度で配置することができる。加えて、c字形ヒンジは、円筒形のピン64上にクリップ留めすること、または円筒形のピン64から取り外すことができるため、必要ならば、リング152からアーク154を完全に取り外すことができる。アーク形ガイドが回転リング152に堅く取り付けられることを保証するため、回転リング152は、直径に沿って実質的に互いの反対側に配置されたヒンジ取付けセクション61およびアーク支持セクション90を含む。
図23A〜
図23Cおよび
図24A〜
図24Cにより詳細に示されているとおり、ヒンジ取付けセクション61とアーク支持セクション90は、ともに、丸みのある対応するそれぞれの下部ガセット(gusset)63及び93によって補強されている。
【0112】
図22Bは、アーク部材154上に装着されたプローブホルダ600の詳細図を示す。プローブホルダ600は、プローブホルダロック604およびドア610を含む。プローブホルダ600のドア610に形成されたプローブチャネルまたは溝(614、612)の中に、図示されていない針状器具(プローブ)が配置される。プローブホルダ600は、アーク154に沿ってアーク状経路35上を摺動し、プローブホルダロック604を使用して、アーク154に沿った所与の任意の位置にプローブホルダ600を固定することができる。プローブホルダゲートまたはドア610は、ヒンジ618の周りを揺動する。プローブホルダゲートまたはドア610は、スナップジョイントロック616(616a 616b)を含み、またはドア610は、プローブチャネルまたは溝(612 614)の中に針状器具を固定するために、ばね解放ヒンジまたはスナップラッチヒンジを含むことができる。ラッチヒンジまたはばね解放ヒンジ(ロック616)は、ばね式のプレートまたは取っ手を有することができ、このプレートまたは取っ手は、ドア610をアーク部材154に押し付けて、溝(612 614)の中に異なる太さの針状器具を固定し、また、ドア610をアーク部材154から引き離して、プローブホルダ600から針状器具を解放する役目を果たす。代替の実施形態では、1つまたは複数の止めねじでドア610をプローブホルダ600に取り付けることができ、この止めねじは、ドア610をアーク部材154に押し付けて溝(612 614)の中に異なる太さの針状器具を固定するように調整可能なものとすることができる。このようにすると、調整可能な保持力で針状器具を溝614に押し付けて針状器具を保持するように、ドア610を構成することができる。これについては、後で
図28Aを参照してさらに説明する。
【0113】
一実施形態では、ベースアセンブリ110の開口160は、実質的に円筒形であり、約50ミリメートル(mm)の直径を有する。第1および第2の端部(162、164)においてアーク部材154が回転リング152に取り付けられているとき、アーク部材154は、アークの内面の下に半円形の開口部を形成する。一実施形態では、ガイダンス装置100が閉じられている(閉状態にある)ときに、アーク部材154および回転リング152は、リング152の上面とアーク部材154の内(下)面の最高点との間に約50mmの半円形の開口部を形成する。本明細書で使用されるとき、アークまたはアーク部材(またはアーク形ガイド)という用語は、所与の直径を有する円の円周の(曲線全体ではなく)任意の部分を指す。アークの長さは、アークの外表面を構成する曲線に沿った距離である。したがって、例えば、約50mmの半円形の開口部を形成するためには、アーク部材154のアークの長さは半径50mmの円の半周を指すが、直径100mmの円の円周の(曲線全体ではなく)任意の部分も適用可能であることがある。いくつかの実施形態(
図22A、
図27A、
図27B)では、アーク部材が円周の半分として示されているが、他の実施形態(
図26A〜
図26C)では、アーク部材が円周の1/4として示されている。しかしながら、アーク部材の内周の直径が100mmである場合、アーク部材154が回転リング152に取り付けられているときに、アーク部材154は、アークの内面の下に50mmの開口部を形成する。
【0114】
一実施形態では、ベースアセンブリ110に対する回転可能リング152の位置を測定するために、回転エンコーダ(
図24Cの16)が使用される。加えて、回転エンコーダ16からの信号を処理するために、回路基板およびマイクロコントローラ(
図24Cの12)を提供することができる。ベースアセンブリ110に対するリング152の回転を容易にするため、玉軸受14および15を提供することができる。ベースアセンブリ110のベースプレート20上に、回転エンコーダ16、回路基板およびマイクロコントローラ12を提供することができ、回転可能リング152の支持体またはハウジング21によって、これらの要素を少なくとも部分的に覆うことができる。
【0115】
図22Aは、開状態(開かれた位置)にある医療ガイダンス装置100の例示的な実施形態を示す。この構成では、アーク部材154の第2の端部164のクリップ留めが外されて第2の端部164が回転リング152から解放されており、プローブホルダ600を含むアーク部材154の全体が、軸Axと一致する器具挿入経路55から外れている。開位置では、リング152またはベースアセンブリ110の平面に対して実質的に垂直にアーク部材154を配置することができる。しかしながら、患者の体表の関心のエリアにアクセスするためにより大きな空間が必要な場合には、アーク部材154の第1の端部162も、旋回可能なヒンジ機構60のところで取り外すことができる。そのために、旋回可能なヒンジ機構60を、
図24A〜
図24Cに示されているようにC字形に設計することができる。この設計は、さまざまな介入手技の数多くの要件に従って医療ガイダンス装置100(ガイダンスシステム)が使用されることを可能にする。
【0116】
例えば、
図21Bに示されているように、針挿入手技の間、アーク部材154がその両端においてリング152に堅く取り付けられていることは、非常に有利である。しかしながら、患者の体表の関心のエリアへのより容易なアクセスを可能にするため、針挿入手技の前または後に、リング152からアーク部材154を完全に分離する(取り外す)ことができる。上述のとおり、ベースアセンブリ110は、偶発的な移動を回避するために、ストラップまたは他の手段で患者の体に取り付けられるように構成されている。したがって、精確な針挿入位置にガイダンス装置100を配置する好機をユーザ(医師)に与えるため、手技の始めに、ベースアセンブリ110およびリング152だけを患者の体に取り付けることができる。
【0117】
他方、針挿入手技が完了した後、例えば第1の針が関心のエリアに挿入された後に、検査または確認のために医師が挿入点にアクセスする必要があることがある。その場合には、スナップジョイントロッキング機構80を動作させることによって、アーク部材154をリング152からロック解除でき、次いで、アーク154を、
図22Aに示された位置まで旋回可能に回転させることができる。これは、針挿入の必要な観察および確認のためのアクセスを医師に与える。加えて、関心の挿入エリアにアクセスするためにより大きな空間が必要な場合には、アーク部材154の全体および針ホルダ600をリング152から取り外すことができるように、リング152のヒンジ取付けセクション61からヒンジ機構60を離脱させることができる。しかしながら、アーク部材154および針ホルダ600が取り外された後も、ベースアセンブリ110およびリング152は、患者の体に堅く取り付けられたままである。ベースアセンブリ110に対してリング152が回転することを回避するため、固定された(非回転)位置にリング152を維持するラッチカム40は、リング152の周囲に沿った任意の位置に提供される。
【0118】
したがって、新たな針挿入手技が実行される必要がある場合、例えば多数の針状器具を使用する必要がある場合には、単純に、旋回可能なヒンジ機構60を係合させ、アークロッキング機構80をクリック式に装着することによって、針ホルダ600を含むアーク部材154をリング152上に再装着することができる。このように、この旋回可能でかつ取外し可能なアーク部材154および針ホルダ600は、(i)関心のエリアへの容易なアクセス、(ii)針状器具挿入に対するこわさおよび剛性の高い支持、(iii)器具挿入中の精確なガイダンス、および(iv)効果的な挿入再現性を提供することができる。効果的な挿入再現性が提供されるのは、介入手技中は常に、ベースアセンブリ110およびリング152を患者の体に堅く取り付けられたままにしておくことができるためである。
【0119】
図23Aから
図24Cは、回転リング152にアーク部材154を取り付けることができるさまざまな手法の例示的な詳細図を示す。
図23Aは、閉位置にあるアークロッキング機構80の例示的な透視図を示す。
図23Bは、リング152の側壁またはハウジングが取り除かれた、閉位置にあるアークロッキング機構80の詳細断面透視図を示す。
図23A、
図23Bおよび
図23Cは、アークロッキング機構80がスナップジョイント(またはクリップ)型の機構であることを示している。スナップジョイントは、2つの異なる構成要素を接続する非常に単純で、経済的でかつ迅速な手法である。ほとんどのタイプのスナップジョイントは、1つの構成要素の突出部、例えばフック、スタッドまたはビードが接続操作中に一時的に偏向され、嵌合構成要素の凹陥部(アンダーカット(undercut)またはインデント(indent))に引っ掛かるという原理を共通して有する。
図23A〜
図23Cでは、回転リング152は、開口またはアンダーカット92と受表面(receiving surface)91とを含むアーク支持セクション90を含む。アークロッキング機構80は、突出部82aを有するフック形のクリップ82(U字形のスナップジョイント)を含む。このようにすると、アーク部材154をリング152に接続する操作中に、アークロッキング機構80は、フック形のクリップ82に偏向力を加え、突出部82aは、開口もしくはアンダーカット92に引っ掛かり、または開口もしくはアンダーカット92と係合する。
【0120】
接続操作の後、ロッキング機構80およびアーク支持セクション90のスナップばめ特徴は、応力のない状態に戻る。アーク部材154とリング152の間のジョイントは堅いが、ロッキング機構80に力を加えて突出部82aをアンダーカット92から離脱させることによって、分離可能である。スナップばめジョイントの構成要素を分離するのに必要な力は、設計および必要な荷重によって変化する。ロッキング機構80としてのスナップばめジョイントは、一般に、ある種のポリウレタン材料を使用して実施され、それらのポリウレタン材料は、剛性が高いことが知られており、ある量の応力に耐えることができる。また、それらの高い柔軟性レベルを考えれば、通常はプラスチックも、この接続技法に非常に適した材料である。
【0121】
図23B〜
図23Cに示されているように、フック形のクリップ82は、U字形のスナップジョイントとして記載されているが、スナップジョイントの他の設計可能性も存在することに留意すべきである。知られているいくつかのタイプのスナップジョイントは、荷重が主に曲げ荷重であるカンチレバースナップジョイント(U字形スナップジョイントはカンチレバータイプの変型である)、剪断応力が荷重を支えるねじれスナップジョイント、および、概ね回転対称であり、多軸応力を含む環状スナップジョイントを含む。
【0122】
図25Aおよび
図25Bは、ベースアセンブリ110に対するアーク部材154の安定性を向上させるためにスナップジョイントの使用に対して適用可能な例示的な力を示す。本開示の一実施形態では、ロッキング機構80を開閉する(係合および離脱させる)ためのラッチング力(F
Latch)が、アーク部材154の長手方向に平行な方向に加えられる、カンチレバー形のU字形タイプが使用される。この力F
Latchは、アーク部材154に針状器具が装填されたときに、針状器具によって加えられる荷重力(F
Needle)に対して実質的に垂直である(
図25A〜
図25B参照)。このように、ラッチング力F
Latchは、荷重力F
Needleに対して垂直であるため、この設計は、ラッチング機構80のねじれを最小化することを可能にする。アークロッキング機構80は、リング152上のアーク部材154を閉位置に固定するためのばねクリップを有する。このラッチング方向は、針状器具がプローブホルダ600に装填されるときに横力が存在する場合に、アークのコンプライアンスにクリップ機構のコンプライアンスが加えられないように、アーク部材154の長手方向に沿った方向になるように意図的に設計されている。
【0123】
図24A、
図24Bおよび
図24Cは、アークの旋回可能なヒンジ機構60の1つの例示的な実施態様を示す。
図24Aは、リング152の内面に沿って見た旋回可能なヒンジ60を示す。
図24Bは、リング152の外面に沿って見たアークの旋回可能なヒンジ60を示す。アーク部材154のヒンジ動作は、ピン64の周りで旋回するcクリップ式のヒンジインタフェースを使用して達成される。具体的には、回転リング152のアーク支持セクション61に堅いピン24が一体化されている。アーク部材154は、第1の端部162の末端に、ピン64の上にはまるための相補的なcクリップ62を有する。ピン64の直径、ヒンジの方向およびヒンジの寸法は、全て、アーク部材154に対するしっかりとした堅い支持を得るためのこの設計のこわさに寄与する。
図24Cは、旋回可能なヒンジ60およびベースアセンブリ110の部分を示す、
図24Bの線63−63に沿った断面図を示す。
図24Cに示されているように、アーク部材154の第1端部162は、ピン64に押し付けてピン64の上にスナップばめすることができるc字形ヒンジ62を有する。ベースアセンブリ110は、ベースプレート20、トッププレート21、およびトッププレートとボトムプレートとをつなぐ円筒形の開口160を含む。
【0124】
図25Aおよび
図25Bは、アーク部材154上に装着されるときに針状器具によって誘起された力およびアーク部材154へのリング152のジョイントによって生成された反作用支持力のベクトル図を示す、医療ガイダンス装置100の上面図および側面図である。特に、上述のとおり、アーク部材154は、第1の端部162ではヒンジ機構60によって、第2の端部164ではロッキング機構80のばねクリップによって、回転リング152に堅く取り付けることができる。ばねクリップ機構をアーク支持セクション90に挿入するアーク部材154の部分は、回転リング152の平らな受表面91によって両側がしっかりと保持される。このしっかりと保持されたジョイントは、アーク部材154が横方向に傾いたりまたは倒れたりすることを防ぐ。
図25Aに示されているように、アーク部材154は、回転リング152を横切って実質的に直径に沿って配置される。しかしながら、安定性を提供するため、開口160の中心(すなわち円筒形の開口の軸Ax)は、針またはプローブがリング152に対して垂直であるときの器具挿入経路55と実質的に一致する。さらに、プローブホルダ600がアーク部材154上をアーク状経路35に沿って摺動し、リング152が軸Axの周りを回転したときでも、挿入経路55は依然として、ベースアセンブリ110の底面で円筒形の開口160の軸Axと交差する(
図4参照)。このように、ガイダンス装置100は、おおよそ挿入点のところに遠隔運動中心(RCM)を有すると言われる。
【0125】
さらに、寸法に関して言うと、第1の端部162においてヒンジ長は、アーク部材154の幅(厚さ)よりもかなり大きく、アーク部材154上に器具が装着されるときにアーク部材154に加えられる横力(F
needle)に耐える大きなモーメントアームを生み出す。cクリップ式の旋回可能ヒンジ60は、ピン64とcクリップヒンジとの間の直径許容差を除去するように、およびアーク部材154を回転リング152に堅く固定するように、構成されている。これらの設計特徴の結果は、アーク部材154が回転リング152に堅くしっかりと取り付けられることである。例えば、介入手技中に、アーク部材154に力(F
needle)が加えられたとき、その力は、アーク部材154を通して回転リング152に伝えられる。アーチ部材154が回転リング152およびベースアセンブリ110に接続されるこの方式のため、加えられた力(F
needle)は、力F1、F2、F3およびF4としてベースアセンブリ110の全体にわたって分散する。力F1〜F2は、ガイダンス装置100の設計によって生成される反作用支持力である。すなわち、これらの2つの体(アーク部材154と回転リング152)の間には、このような堅い接続が存在するため、アーク部材154に加えられた力は、回転リング152およびベースアセンブリ110のエリア全体に伝達される。このようにすると、モーメントまたはトルクは、最初に、アーク部材154の装着特徴(ヒンジおよびクリップ)および可動リングに加えられ、次いで、リング152を通してベースアセンブリ110に分散する。このことは、ベースに対するアークのこわさとベースからアークを容易に取り外す可能性とが提供されていない既知のガイドデバイスよりもかなり優れている。
【0126】
図26A、
図26Bおよび
図26Cは、取外し可能なアーク形ガイドを有する医療ガイダンス装置100の例示的なさらなる実施形態を示す。
図26Aは、アーク部材254が取り外された状態にある、ガイダンス装置100を示す。
図26Bは、ガイダンス装置100の断面図を示す。
図26Cは、組み立てられた状態または取り付けられた状態のガイダンス装置100の透視図を示す。この実施形態では、被検者の体表の関心のエリアへのさらなるアクセス可能性を提供するために、アーク部材254は、その一端(第1の端部)だけが回転リング152に解放可能に取り付けられたアークを含む。上述の実施形態と同様に、ガイダンス装置100は、ベースアセンブリ110、回転リング152、アーク254およびプローブホルダ600を含む。ベースアセンブリ110は、上述の実施形態と同様に、実質的に円筒形の開口160を含む。
【0127】
回転リング152は、クイックロックベース221(アーク支持セクション)およびクイックロックレバー240を含む。プローブホルダ600は、プローブホルダロック272およびプローブチャネル271を含む。この実施形態では、組立ておよび分解を容易にするため、取外し可能なアーク部材254は、カムレバーロッキング機構を利用する。クイックロックレバー240が開かれているときに、アークベース280は、回転リング支持セクション221に挿入される。
図26Cに示されているようにクイックロックレバー240が閉じられたとき、アーク部材254は、カムロック機構によってロックされ、その場に堅く保持される。針チャネル271は、ベースアセンブリ110の底面で円筒形の開口160の中心(軸Ax)と交わる方向に向けられていることが好ましい。このようにすると、挿入経路55は、アーク部材254に沿った針ホルダ600の位置に関わらず、ベースアセンブリ110の底平面の点Cで円筒軸(開口160の軸Ax)と交差する。
図26Cに示されているように、アーク部材254は、アーク部材の1つまたは複数の表面に沿って角度参照マーク174を含む。したがって、アーク部材254は、挿入角度に沿って針状器具を正確に案内するための分度器(protractor)アセンブリの働きを有効に果たす。
【0128】
図27Aおよび
図27Bは、取外し可能なアーク部材354(アーク形ガイド)、回転リング152およびベースアセンブリ110を有するガイダンス装置100の例示的な別の実施形態を示す。他の実施形態と同様に、ガイダンス装置100は、開口160を有するベースアセンブリ110、回転可能リング152、およびプローブホルダ600を保持し案内するように構成されたアーク部材354を含む。この実施形態では、アーク部材354は、第1および第2の端部で回転リング354に接続し、ばね式のピンの作用によって回転リング152から完全に分離する。より具体的には、アーク部材354のそれぞれの端部に、「足(foot)」の働きをする支持セクション332が存在する。それらの足は、以下の3つの方式で回転リング152とインタフェースする:(a)垂直方向を除く全ての方向について足が拘束されるような態様で、足が回転リング152にはめ込まれ、(b)足が回転してはめ込まれた状態から脱することを防ぐ拘束バー380の下に足の先端が挿入され、(c)リング152とアーク部材354の間の堅くしっかりとした接続を保証するため、ピンのばね力が回転リング152に対してアーク部材354を引き下げるような態様で、回転リング152とインタフェースするばね式のピン335が、足332の平らな縁に提供される。プローブホルダ600は、プローブロック/針ロック371およびプローブホルダロック372を含み、プローブホルダロック372は、アーク部材354上でプローブホルダ600を所望の挿入角度にロックする役目を果たす。アーク部材354の表面の角度参照マーク174は、ユーザが挿入角度を参照する手段を有することを可能にする。加えて、回転リング152をベースアセンブリ110に対して所与の位置にロックするためにロッキング機構340が提供されている。ベースアセンブリ110は、ストラップまたはベルト399(
図27Bに示されている)を使用して患者の体にガイダンス器具100を取り付けるのに役立つ開口312を備える。
【0130】
上述の実施形態は、異なるサイズおよび直径の針状器具を保持するように構成されたプローブホルダ600を示していた。上で説明したとおり、単一プローブアブレーションとして知られているプロセスにおいて、プローブホルダ600を使用して、プローブ、例えば、17、14および13のゲージのクライオプローブを個別に案内することによって、1本または数本のプローブを被検者のターゲットエリアに配置することができる。しかしながら、例えば多プローブアブレーションのために、多数のプローブを並行して同時に使用することも可能である。
【0131】
図28Aから
図28Cは、多プローブ用途向けに構成されたプローブホルダ600の一実施形態を示す。
図28Aは、異なるサイズおよび直径の複数の針状器具、例えば18から13のゲージの範囲のアブレーションプローブを同時に保持するように構成されたプローブホルダ600を示す。プローブホルダ600は、上述の実施形態と同様のカムロック機構によって、アーク部材154に固定されている。
図28Aには、ロックされた位置にあるカムロック機構のロッキングレバー604が示されている。この実施形態では、プローブホルダ600は、第1のドア610aおよび第2のドア610bを含み、第1のドア610aおよび第2のドア610bは、それぞれ、第1の止めねじ626aおよび第2の止めねじ626bなどの対応する固定機構によって、プローブホルダ600に固定されている。プローブホルダ600は、アーク部材154上に装着されており、アーク部材154の形状によって画定されたアーク状経路35に沿って移動するように構成されている。他の実施形態と同様に、アーク部材154は、アーク部材154の1つまたは複数の表面の少なくとも一部分に沿って角度参照マーク174を含む。
【0132】
プローブホルダ600の表面には、複数の溝614a、614bおよび614cが形成されている。プローブホルダ600は、溝が形成されたプローブホルダの表面に対して別々に固定されるように構成された複数のドア(610a 610b)を含む。
図28Aでは、第1のドア610aは、プローブホルダ600の第1の表面に形成された2つの溝(第1の溝614aおよび第2の溝614b)と整合する2つのタブまたは切欠き(または溝)を含む。このようにすると、プローブホルダ600の第1のドア610aと第1の表面の組み合わせが、第1および第2のプローブの対応する対(図示せず)をその中に固定するための2つのチャネルを形成する。第2のドア610bは、プローブホルダ600の第2の表面に形成された第3の溝614cと整合する1つのタブまたは切欠き(または溝)を含む。プローブホルダ600の第2のドア610bと第2の表面の組み合わせは、第3のプローブをその中に固定するための第3のチャネルを形成する。ドア610a及び610bは、指定されたそれぞれの止めねじを使用することによって別々に締めたり緩めたりすることができる。ドアと止めねじのそれぞれの対は、その最大調整レベルまで緩められたときでも、ドアが依然としてプローブホルダ600に取り付けられたままであるように設計される。止めねじによってドアが調整可能であることにより、ユーザは、異なるサイズのプローブをその場にしっかりと固定することができ、またはある程度の緩みを有する(弛み)それぞれのプローブを、ユーザの好みに基づく任意の深さまで案内している間、自由かつ安全に摺動させることができる。言い換えると、それぞれの調整機構(止めねじなど)は、複数のドア(610a、610b)のうちの1つのドアを、調整可能な保持力でプローブホルダ600に対して保持するように構成されている。
【0133】
プローブの挿入深さをより都合よく制御するため、プローブホルダ600の頂面は、プローブホルダ600の頂面がそれぞれのプローブチャネルに対して垂直になるような態様で平らにされている。このようにすると、3本のプローブが挿入される場合に、それらの3本のプローブが互いに平行になり、全てのプローブを同じ深さに挿入して、軌道に沿った同じ距離のところにプローブの先端を配置することができる。この配置は、多プローブアブレーションの所望の配置である。
【0134】
この実施形態では、プローブホルダ600の幅は、単一プローブアブレーション用のプローブホルダの幅よりもかなり大きい。
図28Aの実施形態でプローブホルダの幅が広くなっているのは、複数のプローブを収容するためだけではなく、止めねじを収容するためでもある。プローブホルダ600が幅広設計を有することには、基部の幅がより広くなるため、アーク上においてプローブホルダがより安定するという利点がある。幅広のプローブホルダの追加の1つの利点は、ドアが、調整可能な保持力を提供することである(すなわち、ユーザは、所望の保持力になるまで止めねじを締めたりまたは緩めたりすることができる)。
【0135】
いくつかの実施形態では、プローブホルダ600は、アーク部材154から取外し可能ではない。しかしながら、アーク部材は、ベースアセンブリ110から取外し可能である。この特徴が存在する理由は、アークの最上部からデバイスの最下部までおよそ6cmあることである。15cmのプローブを挿入するときには、これによって、可能な挿入深さから6cmが減じられることになる(すなわち9cmよりも深い位置には達し得ない)。しかしながら、プローブをプローブの案内チャネルから解放することができるようにし、さらにアークを取外し可能にすることにより、医師は、部分的に挿入された針を解放し、アーク部材154を取り外し、例えば画像ガイダンス下で針をさらに押し込むことができる。したがって、9cmよりも深い位置に到達可能である。
【0136】
プローブホルダのそれぞれの溝の形状は、多数の針ゲージの使用を可能にするように設計される。いくつかの実施形態では、全ての溝が同じ形状、例えば「v」字形の溝または「c」字形の溝を有するが、それぞれの溝の深さおよび/または幅が互いに異なる。さらに、いくつかの実施形態では、それぞれの溝に異なる医療用ツールをぴったりとはめるために、それぞれの溝が異なる形状(すなわち異なる断面)を有する。さらに、止めねじを緩めることによって、ドアとプローブホルダの間の間隔が増すため、溝に挿入することができるプローブの最大直径が大きくなる。このようにすると、
図28Aのプローブホルダ600を用いて、異なる複数のプローブもしくは他の針状器具、またはそれらの組み合わせを同時に使用することができる。
【0137】
図28Bは、
図28Aの多プローブホルダ600の対応する溝614a、614bおよび614cの中に装着することができる複数のプローブP1、P2およびP3の例示的な配置を示す。当然ながら、溝の配置、数、サイズ、形状などは、
図28Aおよび
図28Bに示されたものだけに限定されない。さらに、ドアおよび止めねじの数を変更することもでき、例えば、それぞれのプローブを別々に操作することができるように、それぞれの溝が一対のドアと止めねじに対応することができるような形で、ドアおよび止めねじの数を変更することもできる。
図28Cは、頂面が平らであり、さらに、それぞれのプローブP1、P2のチャネルに対して頂面が垂直であるプローブホルダ600を示す。プローブホルダ600は、アーク部材154に沿ってアーク状経路35上を移動する(摺動する)ように構成されている。針の挿入深さをより精確に監視および制御するため、アーク部材154の外面(最高点)の接線の方向を向くように、針ホルダ600の頂面を設計することができる。したがって、挿入角度に関わらず、プローブを互いに平行に維持することができ、挿入深さを平らな頂面から測定することができる。
【0139】
以上のそれぞれの修正におけるベースアセンブリ110とガイド150の組み合わせは、安定性の向上および開口160を通した関心のエリアへの容易なアクセスという有利な利益を提供する。
図1〜
図4に示されたガイダンス装置では、ベースアセンブリ110のテーパの付いた設計ならびにテーパ部分130および180を円錐形の界面として理解することができ、この界面では、ベースアセンブリ110およびガイド150は、テーパ部分130、180で、円錐形の界面の中心軸と幾何学的に整列する。運動学的に、この界面は、ベースアセンブリ110とガイド150との間の平面内相対運動を排除し、同時に、ガイド150は、増大した安定性で回転することを可能にする。
図8、
図9および
図10に示された実施形態では、
図1〜
図4のガイド150と同様に、ガイド1150、2150の全体がモノリシックに形成されるように、アーク部材1154、2154を、リングフレームリング1152、2152と一体に形成することができる。したがって、ガイド2150は、ガイド150に関して上で述べたものと同じ構造上の利点を有する。
【0140】
図1〜
図10に示されたガイダンス装置のうちの1つのガイダンス装置を使用して2本以上の針状器具を挿入する場合、操作者は、新たな針状器具の挿入を開始するために、プローブホルダから以前の針状器具を解放しなければならない。しかしながら、このプロセスでは、それらの針状器具のうちの1本または数本の針状器具が挿入された後に、操作者は、ベースアセンブリ110の可動リングからガイド150を分離することができる。ベースアセンブリからガイド150が分離された後、操作者は、例えば針の挿入を確認するために、ガイド150を自由に持ち上げてガイド150を挿入経路から離すことができる。さらに、操作者は、ガイド150を分離し、ガイド150の向きを、それぞれの針状器具が所望の挿入点を通るように変更することができる。したがって、少なくともいくつかの実施形態では、経皮的アブレーションプローブ用の器具などのように針状器具に依然として線がつながれているときであっても、手技部位からガイド150を完全に除去することができる。
【0141】
図20〜
図27Bに示されたさまざまな実施形態では、取外し可能なアーク部材154は、取外し可能なアークを有することの利益を排除することなしに、モノリシックアーク/リング設計を有することの利益を凌駕している。本明細書に開示された医療ガイダンス装置100は、このアーク形ガイドおよび閉フレーム構造とともに針ホルダを使用することによって、非常に剛性の高いガイドを提供する。したがって、このガイダンス装置は、医療用ツールを計画された軌道に沿ってターゲット位置まで精確に案内することができ、ベースアセンブリを患者の表面に固定された状態に維持しながら案内部品(ガイド150)の少なくとも一部分を除去することによって、ターゲットエリアにすぐにアクセスすることができる。
【0142】
さらに、少なくともいくつかの実施形態では、円周の第1の部分の空間を使用することによって、医療用ツールが挿入された後でも、プローブホルダを取り付けたり、可動構造体から取り外したりすることができる。針ガイドを取り外すことにより、医師は、主開口を使用して必要な治療を患者に与えることができ、デバイスのリングおよびベースを移動させることなく、挿入された針に対する潜在的障害を排除することができる。これに加えて、この医療ガイダンス装置は、可動リングと針ガイドの間に1つの機械的インタフェースだけを有し、針ガイドの取外しおよび取付けのための最小限の組立ステップを提供することができる。したがって、この医療ガイダンス装置は介入の効率を増大させることができ、組立てに起因する位置の誤差および人的要因による誤差を減らすことができる。
【0144】
視認性およびアクセスの観点から、必要ならば、クリップ留めを外してアークを回転リングから解放することによって、またはモノリシックガイドの全体(アークおよび回転リング)を取り外すことによって、挿入点または手術エリアからアーク部材を完全に除去することができる。依然として設置されている(モノリシックに構築されている、またはリングにヒンジ式に取り付けられている)が、一端が開いたアークを用いると、ガイド150を挿入経路の外に移動させて、挿入点への十分なアクセスを提供することができる。設置され閉じられたアークであっても、デバイスのベースアセンブリの開口部およびアークの開設計は、視認と手技の両面で医師が挿入点にアクセスすることを可能にする。
【0146】
針状器具(例えば針、アブレーションプローブまたはカテーテル)を案内するための医療ガイダンス装置の1つの実用例は、ベースプレート開口と、患者の体に装着された底面とを含むベースアセンブリを含む。ベースプレートは、任意の形状を有することができる。しかしながら、いくつかの用途では、円形のベース形状が有利であり、ベースの外径は約50〜150mm、内径は30〜100mmとすることができ、アーク部材は、直径約50〜150mmの円の円周の(曲線全体を除く)任意の部分である。全ての電子構成要素を収容し、改良された安定性を提供するのに必要なベースアセンブリの最低高は、材料に応じて、約5mmから25mmの範囲とすることができる。ベースアセンブリに取り付けられた可動または回転可能リングは、全体が回転するものとすることができ、または固定された外リングと回転可能な内リングとを含む2つの部品を有するものとすることもできる。
【0147】
可動(回転可能)リングは、ベースアセンブリに対して所望の角度でロックすることができる。アーク部材またはアーク形ガイドは、アーク形ガイドの一端または両端をリングに堅く取り付けるために使用される一体化された装着特徴(c字形の旋回可能ヒンジ、ラッチロッキング機構)を含む。いくつかの実施形態では、アーク部材を、回転リングとモノリシックに形成することができる。この場合には、回転リングとアーク部材とからなるガイド全体をベースアセンブリから取外し可能とすることができる。
【0148】
特定の寸法要件(ヒンジの長さがアークの厚さよりも大きいこと)は、リングにアークを取り付けるための堅い基部を提供する。両端がリングに固定されたアーク部材を含む針ガイドは、堅くて安定した接続を提供する。同時に、アークは、片側がヒンジ式に取り付けられており、もう一方の側が解放可能に取り付けられているため、挿入経路から離れる方向にアークを旋回させること、および/またはアークをリングから完全に取り外すことができる。
【0149】
アークの厚さに対して大きなヒンジ長は、ヒンジ上のアークのノースロップフィット(no−slop fit)、アークとラッチ基部の側壁との間のノースロップフィットを提供する。ラッチング力が荷重力に対して垂直であるフック形の強力なクリップは、プローブの装着およびガイダンスの間、安定してリング上にラッチされた状態にアーク部材を維持することを可能にする。ヒンジセクションおよびラッチセクションの基部のガセットは、カンチレバー形のアークのこわさを向上させるのに役立つ。アーク部材と回転リングの間の堅い接続は、モノリシックアーク/リングジョイントを効果的に生み出す。同時に、手技および視認のための関心の挿入エリアへのアクセス可能性を高めるために、アークのラッチを迅速に外し、アークを開くことができる。挿入部位への完全なアクセスを可能にするために、ヒンジからアークを取り外すことができる。
【0150】
アーク形ガイドに取外し可能に取り付けられたプローブホルダも、有利である。いくつかの実施形態では、プローブホルダは、器具を受け入れ、固定するため、または前記器具を解放するためのラッチングドアを有する。プローブホルダは、アークに沿って摺動することができ、次いで、プローブホルダを、アークに沿った任意の位置に、ベースプレートまたは回転リングに対する垂線と角度をなして固定することができる。プローブホルダは、直径約0.5mm〜3.5mmの範囲の器具を受け入れることができる。
【0151】
この医療ガイダンス装置は、医療用の自動化された(ロボット)介入デバイスの一部として実施されるとき、本開示の実施形態は、記憶媒体(より完全にはこの記憶媒体を「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」と呼ぶこともできる)上に記録されたコンピュータ実行可能命令(例えば1つもしくは複数のプログラム)を読み出し、実行して、上述の1つもしくは複数の実施形態の機能を実行し、かつ/または上述の1つもしくは複数の実施形態の機能を実行するための1つもしくは複数の回路(例えば特定用途向けIC(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)ボード)を含む、システムまたは装置のコンピュータにより実現することもでき、また、このシステムまたは装置のコンピュータが、例えばこの記憶媒体からコンピュータ実行可能命令を読み出し、実行して、上述の1つもしくは複数の実施形態の機能を実行することによって、および/または、上記の1つもしくは複数の回路を制御して、上述の1つもしくは複数の実施形態の機能を実行することによって実行される方法により実現することもできる。このコンピュータ実行可能命令を読み出し実行するために、このコンピュータは、1つまたは複数のプロセッサ(例えば中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッシングユニット(MPU))を備えることができ、また、別個のコンピュータまたは別個のプロセッサのネットワークを含むこともできる。このコンピュータ実行可能命令は、例えばネットワークまたは記憶媒体からコンピュータに提供することができる。この記憶媒体は、例えば、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、分散型コンピューティングシステムの記憶装置、光学ディスク(例えばコンパクトディスク(CD)、ディジタルバーサタイルディスク(DVD)もしくはBlu−rayディスク(BD)(商標))、フラッシュメモリデバイス、メモリカードなどのうちの1つまたは複数の記憶媒体を含む。キーボード、ディスプレイ、マウス、タッチスクリーン、タッチレスインタフェース(例えばジェスチャ認識デバイス)、印刷デバイス、ライトペン、光学記憶デバイス、スキャナ、マイクロホン、カメラ、ドライブ、通信ケーブルおよびネットワーク(有線または無線)などを含む入力および出力デバイスに対する通信インタフェースを提供するために、I/Oインタフェースを使用することができる。
【0152】
定義
この説明を参照するに際しては、開示した例を完全に理解することができるように、具体的な詳細を記載した。他の例では、本開示が不必要に長くならないように、周知の方法、手順、構成要素および回路については、詳細な説明は省いた。
【0153】
本明細書で、1つの要素もしくは部分が、別の要素もしくは部分「上にある」、「に当たっている」、「に接続されている」もしくは「に結合されている」と記載されている場合、その要素もしくは部分は、直接にその別の要素もしくは部分「上にあり」、「に当たっており」、「に接続されており」もしくは「に結合されている」ことができ、または介在要素もしくは介在部分が存在してもよいことを理解すべきである。反対に、1つの要素が、別の要素または部分「上に直接にある」、「に直接に接続されている」、または「に直接に結合されている」と記載されている場合、介在要素または介在部分は存在しない。用語「および/または」が使用されているとき、この用語は、記載された関連アイテムのうちの1つまたは複数のアイテムの全ての組み合わせを含む。
【0154】
本明細書では、説明を容易にするため、さまざまな図に示されている1つの要素または特徴の別の要素または特徴に対する関係を記述するために、「の下(under)」、「の下方(beneath)」、「よりも下(below)」、「下部(lower)」、「よりも上(above)」、「上部(upper)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」などの空間に関する相対的な用語が使用されていることがある。しかしながら、空間に関するこれらの相対的な用語は、図に示された向きに加えて、デバイスの使用または操作の異なる向きを包含することが意図されていることを理解すべきである。例えば、図に示された装置が裏返された場合、別の要素または別の特徴「よりも下にある」または「下方にある」と記載された要素は、その別の要素「よりも上」になることになる。したがって、「よりも下」などの空間に関する相対的な用語は、上と下の両方の向きを包含しうる。これとは異なる向き(90度回転させた向きまたはその他の向き)に装置が配置されることもあり、その場合、本明細書で使用される空間に関する相対的な用語はそれに応じて解釈されるべきである。同様に、空間に関する相対的な用語「近位」と「遠位」も、適用可能な場合には相互に交換可能である。
【0155】
本明細書で使用されているとき、用語「約」は、例えば10%以内、5%以内または5%未満を意味する。いくつかの実施形態では、用語「約」は、測定誤差以内を意味する。
【0156】
本明細書では、第1の、第2の、第3のなどの用語が、さまざまな要素、構成要素、領域、部分および/またはセクションを記述するために使用されることがある。これらの用語によってこれらの要素、構成要素、領域、部分および/またはセクションが制限されることはないことを理解すべきである。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、部分またはセクションを別の領域、部分またはセクションから区別するためだけに使用されている。したがって、以下で論じる第1の要素、構成要素、領域、部分またはセクションが、本明細書の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、部分またはセクションと呼ばれることもある。
【0157】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記述することだけが目的であり、それらの用語が、特定の実施形態を限定することは意図されていない。文脈からそうではないことが明らかでない限り、本明細書で使用されるとき、単数形の「a」、「an」および「the」は、複数形も含むことが意図されている。本明細書で使用されるとき用語「含む(includes)」および/または「含む(including)」は、明示された特徴、完全体(integer)、ステップ、操作、要素および/または構成要素の存在を指定するが、明示されていない1つまたは複数の他の特徴、完全体、ステップ、操作、要素、構成要素および/またはこれらのグループの存在または追加を排除しないことも理解すべきである。
【0158】
図面に示された例示的な実施形態を説明する際には、分かりやすくするために特定の用語が使用される。しかしながら、本特許明細書の開示が、選択された特定の用語に限定されることは意図されておらず、特定の要素はそれぞれ、同様の方式で機能する全ての技術等価物を含むことを理解すべきである。
【0159】
例示的な実施形態を参照して本開示を説明してきたが、本開示は、開示された例示的な実施形態だけに限定されないことを理解されたい。このような全ての変更ならびに等価の構造および機能を包含するように、以下の特許請求の範囲には、最も広い解釈が与えられる。
【0160】
例示的な特定の実施形態に関して示し、論じた全ての非相互排除特徴は、例示的な他の全ての実施形態に適用することができることを理解すべきである。例えば、全ての実施形態について、角度マーカを照明器の代わりに使用すること、および照明器を角度マーカの代わりに使用することができ、案内面に異なる色を有することを全ての実施形態に適用することができ、つまみを有することを全ての実施形態に適用することができ、接着マーカを有することを全ての実施形態に適用することができ、エンコーダを使用することを全ての実施形態に適用することができ、多数のプローブを案内するために1つのプローブホルダを使用することを全ての実施形態に適用することができる。
【0161】
例示的な実施形態を参照して本開示を説明してきたが、本発明は、開示された例示的な実施形態だけに限定されないことを理解されたい。このような全ての変更ならびに等価の構造および機能を包含するように、以下の特許請求の範囲には最も広い解釈が与えられる。