特許第6962987号(P6962987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962987
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/00 20060101AFI20211025BHJP
   H02G 3/22 20060101ALI20211025BHJP
   H01B 7/282 20060101ALI20211025BHJP
   H01B 17/58 20060101ALI20211025BHJP
   H01B 7/40 20060101ALI20211025BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   H01B7/00 301
   H02G3/22
   H01B7/282
   H01B17/58 C
   H01B7/40 307Z
   B60R16/02 620Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-201320(P2019-201320)
(22)【出願日】2019年11月6日
(65)【公開番号】特開2021-77472(P2021-77472A)
(43)【公開日】2021年5月20日
【審査請求日】2021年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠山 栄一
(72)【発明者】
【氏名】突田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】篠原 圭
【審査官】 和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2019−075882(JP,A)
【文献】 特開平10−172358(JP,A)
【文献】 特開2013−009527(JP,A)
【文献】 特開2001−231132(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2019/0115120(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/00
H02G 3/22
H01B 7/282
H01B 17/58
H01B 7/40
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と、前記電線を覆う編組導体と、前記電線及び前記編組導体が挿通される筒状の挿通部を有するグロメットと、前記挿通部の内周面と前記編組導体との間に挟まれる止水シートと、前記挿通部を縮径するように前記挿通部に取り付けられる固定具と、を備えるワイヤハーネスであって、
前記止水シートは、
当該止水シートの厚さ方向に連通する複数の孔を有する基材層と、前記基材層に積層されるシーリングコンパウンド層と、を有し、前記固定具が前記挿通部を縮径することにより、前記編組導体を構成する導体細線の間の隙間及び前記基材層の前記孔に入り込むように前記シーリングコンパウンド層が変形する、
ワイヤハーネス。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤハーネスにおいて、
前記シーリングコンパウンド層は、ブチルゴムを含むゴム成分を有し、
前記基材層は、網状の細線から構成されるメッシュ材を有する、
ワイヤハーネス。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のワイヤハーネスであって、
複数の前記電線と、前記複数の前記電線の間の隙間を埋める電線間止水材と、を更に備え、
前記編組導体は、
前記複数の前記電線及び前記電線間止水材を一括して覆う、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線と、止水用のグロメットと、電線とグロメットとの間を封止する止水シートと、を備えるワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車用のワイヤハーネスでは、自動車の車体の内外を連通する開口部などに電線を通す際、その開口部を通じて水や異物などが車体の内側に侵入することを防ぐべく、弾性材料から構成されたグロメットで開口部と電線との間を塞ぐようになっている。グロメットは、一般に、取付先の開口部の形状に対応した本体部と、電線を挿通する筒状の挿通部と、を有する(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019−062738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のグロメットは、筒状の挿通部に電線を通した後、挿通部の外周面に結束バンド等を巻きつけて締め付けるようになっている。これにより、挿通部が縮径されることで挿通部の内周面が電線に密着し、電線と挿通部との間を通じた水などの侵入が抑制されることになる。このように、グロメットを備えるワイヤハーネスでは、グロメットの挿通部における止水性を高めることが望まれている。
【0005】
本発明の目的の一つは、グロメットの挿通部における止水性を向上可能なワイヤハーネスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、下記[1]〜[3]を特徴としている。
[1]
電線と、前記電線を覆う編組導体と、前記電線及び前記編組導体が挿通される筒状の挿通部を有するグロメットと、前記挿通部の内周面と前記編組導体との間に挟まれる止水シートと、前記挿通部を縮径するように前記挿通部に取り付けられる固定具と、を備えるワイヤハーネスであって、
前記止水シートは、
当該止水シートの厚さ方向に連通する複数の孔を有する基材層と、前記基材層に積層されるシーリングコンパウンド層と、を有し、前記固定具が前記挿通部を縮径することにより、前記編組導体を構成する導体細線の間の隙間及び前記基材層の前記孔に入り込むように前記シーリングコンパウンド層が変形する、
ワイヤハーネスであること。
[2]
上記[1]に記載のワイヤハーネスにおいて、
前記シーリングコンパウンド層は、ブチルゴムを含むゴム成分を有し、
前記基材層は、網状の細線から構成されるメッシュ材を有する、
ワイヤハーネスであること。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載のワイヤハーネスであって、
複数の前記電線と、前記複数の前記電線の間の隙間を埋める電線間止水材と、を更に備え、
前記編組導体は、
前記複数の前記電線及び前記電線間止水材を一括して覆う、
ワイヤハーネスであること。
【0007】
上記[1]の構成のワイヤハーネスによれば、電線を覆う編組導体とグロメットの挿通部の内周面との間に止水シートが挟まれた状態で、固定具によって挿通部が縮径される。このとき、止水シートのシーリングコンパウンド層は、編組導体を構成する導体細線の間の隙間や止水シートの基材層の孔に入り込んで、これらの隙間や孔を埋めるように変形する。これにより、この止水シートが無い場合に比べ、編組導体を通じて水などが挿通部を通過することが適正に抑制される。更に、止水シートが基材層を有することで、シーリングコンパウンド層のみで止水シートが構成される場合に比べ、止水シートの取り扱いが容易である。また、基材層の孔を通じてシーリングコンパウンド層が基材層の裏側にまで押し出され得るため、止水シートのシーリングコンパウンド層が露出していない側の面においても、上記同様の止水効果が発揮され得る。よって、例えば、シーリングコンパウンド層が編組導体に対面し、基材層が挿通部の内周面に対面するように止水シートが配置されたとき、編組導体を通じた水の侵入が抑制されるだけでなく、基材層と挿通部の内周面との間を通じた水の侵入も抑制される。このように、本構成のワイヤハーネスは、グロメットの挿通部における止水性を向上可能である。
【0008】
上記[2]の構成のワイヤハーネスによれば、耐候性(特に耐寒性)及び自己融着性に優れたブチルゴムを含むゴム成分を有するシーリングコンパウンド層を用いることで、グロメットの挿通部の止水性を向上させ、且つ、その止水性を長期間にわたって適正に維持できる。また、網状の細線から構成されるメッシュ材を基材層に用いることで、グロメットの挿通部が縮径されたとき、メッシュ材の隙間を通じてシーリングコンパウンド層を容易にメッシュ材の裏側に押し出すことができる。また、シーリングコンパウンド層の柔軟性が損なわれることもない。更に、作業者の手や周囲の部材などにシーリングコンパウンド層が意図せず貼り付いてしてしまうこと等が抑制され、止水シートの取り扱いが容易になる。よって、止水シートを電線や編組導体に巻きつける等の作業の作業性を向上できる。
【0009】
上記[3]の構成のワイヤハーネスによれば、複数の電線を用いる場合であっても、電線間止水材を用いることで、複数の電線同士の間の隙間を通じた水などの侵入を抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、グロメットの挿通部における止水性を向上可能なワイヤハーネスを提供できる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、シースレス電線がパネルの開口を挿通し、且つ、グロメットがパネルの開口とシースレス電線との間を塞いだ状態にある本発明の実施形態に係るワイヤハーネスを示す斜視図である。
図2図2は、図1に示したワイヤハーネスを構成する各部材を説明するために、グロメットの挿通部から延出する各部材を露出させて示した斜視図である。
図3図3(a)は、平面状に拡げた止水シートを示す斜視図であり、図3(b)は、止水シートの側面の一部を拡大して示した側面図である。
図4図4(a)は、図1のA−A断面図であり、図4(b)は、図4(a)のB部の拡大図である。
図5図5は、変形例に係る図4(a)に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るワイヤハーネス1について説明する。ワイヤハーネス1は、典型的には、図1に示すように、自動車の車体の内外を仕切るパネルP(例えば、車体の床壁)に形成された開口(図示省略)にシースレス電線30を挿通させて、グロメット40によりパネルPの開口とシースレス電線30との間を塞いだ状態で使用される。
【0014】
ワイヤハーネス1は、図1図2及び図4に示すように、電線10及び電線10を覆う編組導体20からなるシースレス電線30と、シースレス電線30が挿通される筒状の挿通部42を有するグロメット40と、挿通部42の内周面とシースレス電線30(の編組導体20)との間に挟まれる止水シート50と、挿通部42を縮径するように挿通部42に取り付けられる固定具60(タイバンド等)と、を備える。以下、ワイヤハーネス1を構成する各部品の構成について順に説明する。
【0015】
先ず、シースレス電線30について説明する。シースレス電線30を構成する電線10は、本例では、図2及び図4に示すように、丸棒状の導体11と、導体11を覆う円筒状の樹脂製の被覆12と、から構成されている。シースレス電線30を構成する編組導体20は、円筒状の被覆12を取り囲むように被覆12の外周に円筒状に配置されている。導体11及び編組導体20は、典型的には、銅又は銅合金で構成される。シースレス電線30では、編組導体20を覆うシースが設けられていない(シースレス)構造を有する。このように、シースを省略することで、シースが設けられる態様と比べて、製造コストが抑えられる。
【0016】
次いで、グロメット40について説明する。グロメット40は、図1に示すように、パネルPの開口を塞ぐために当該開口の形状に対応した形状を備えた本体部41と、シースレス電線30を挿通する筒状の挿通部42と、を一体に備える。グロメット40は、典型的には、ゴム等の弾性材料で構成される。本体部41の外周側面には環状の嵌合部41aが形成されている。嵌合部41aをパネルPの開口縁に嵌合させることで、開口縁と嵌合部41aとの間の環状隙間を全周に亘って塞いで止水機能を発揮するように、グロメット40がパネルPに取り付けられる。
【0017】
次いで、止水シート50について説明する。止水シート50は、グロメット40の挿通部42の内周面とシースレス電線30の外周面(即ち、編組導体20)との間に介在し、挿通部42の内周面とシースレス電線30の外周面との間の環状隙間を全周に亘って塞いで止水する機能を果たす。
【0018】
止水シート50は、本例では、図3(a)に示すように、平面状に拡げた状態にて、矩形形状を有している。図3(b)に示すように、止水シート50は、基材層51とシーリングコンパウンド層52とが積層された2層構造を有している。基材層51は、本例では、ポリエステルからなる網状の細線から構成され且つ柔軟性に富んだメッシュ材で構成されている。即ち、基材層51には、厚さ方向に連通する多数の細孔が形成されている。
【0019】
シーリングコンパウンド層52は、本例では、耐候性(特に耐寒性)及び自己融着性(粘着性)に優れているブチルゴムを含み、且つ、外力付与により容易に変形可能なゴム材料で構成されている。シーリングコンパウンド層52は、例えば、基材層51の上にシーリングコンパウンド層52用のコンパウンドを層状に塗布することで、基材層51に積層されている。
【0020】
一例として、シーリングコンパウンド層52は、水酸化アルミニウム及びタルクの少なくとも一方を有する50重量%以上の充填材と、ブチルゴムを含む5〜20重量%のゴム成分と、を含むように構成され得る。シーリングコンパウンド層52は、その他の成分として、粘着付与剤、カーボンブラック、及び、硬度調整剤(オイル)等を含んでもよい。更に、シーリングコンパウンド層52は、基材層51上に100〜1000g/m2の層厚さとなるように塗布され得る。
【0021】
シーリングコンパウンド層52は、基材層51がシーリングコンパウンド層52の径方向外側に位置するように、挿通部42の内周面とシースレス電線30の外周面(即ち、編組導体20)との間に、円筒状に介在している(図4(b)参照)。
【0022】
次いで、固定具60について説明する。固定具60は、グロメット40の挿通部42の外周面に巻き付けて挿通部42を縮径するように締め付けるための部材である。固定具60として、本例では、結束バンドが使用されている。しかし、グロメット40の挿通部42の外周面に巻き付けて挿通部42を縮径するように締め付ける機能を発揮する部材である限りにおいて、固定具60として、結束バンド以外の部材が使用されてもよい。以上、ワイヤハーネス1を構成する各部品の構成について説明した。
【0023】
次いで、図1に示すように、ワイヤハーネス1をパネルPに取り付ける作業について説明する。先ず、シースレス電線30、グロメット40、止水シート50、及び固定具60を準備する。次いで、グロメット40の本体部41の嵌合部41aをパネルPの開口縁に嵌合させることで、グロメット40をパネルPに取り付ける(図1参照)。
【0024】
また、止水シート50を、基材層51が径方向外側となるように、シースレス電線30の外周面(即ち、編組導体20)に密着するように筒状に巻き付ける。このとき、止水シート50の周方向の端部同士を周方向にオーバーラップさせることが好適である。シースレス電線30に巻き付けられた止水シート50は、シーリングコンパウンド層52が有する自己融着性によって、シースレス電線30に巻き付けられた状態に維持される。なお、グロメット40のパネルPへの取り付けと、止水シート50のシースレス電線30への巻き付けと、の前後は問わない。シーリングコンパウンド層52が基材層51と一体化しているため、シーリングコンパウンド層52を単体で用いる場合に比べ、シーリングコンパウンド層52が作業者の手などに付着してしまうことが抑制される。これにより、止水シート50の巻き付け作業の作業性が著しく向上する。
【0025】
次いで、止水シート50が巻き付けられたシースレス電線30をグロメット40の挿通部42に挿通させる。具体的には、先ず、所定の開閉器(図示省略)を用いて挿通部42を弾性変形させて拡径した状態で、シースレス電線30を挿通部42に挿通させる。このとき、シースレス電線30に巻き付けられた止水シート50のシーリングコンパウンド層52が基材層51で覆われている(基材層51が外部に露出している)ので、シーリングコンパウンド層52が外部に露出する場合と比べて、シーリングコンパウンド層52が、作業者の手や周囲の部材(開閉器や挿通部42の内周面等)などに意図せず付着してしまうことが抑制され得る。
【0026】
シースレス電線30が挿通部42に挿通された後、挿通部42から開閉器を除去して挿通部42を弾性復帰させる(縮径させる)。これにより、挿通部42の内周面が、シースレス電線30に巻き付けられた止水シート50の基材層51に密着する。この結果、止水シート50が、シースレス電線30の編組導体20の外周面と、グロメット40の挿通部42の内周面との間に挟まれて、シーリングコンパウンド層52が編組導体20に密着し且つ基材層51が挿通部42の内周面に密着した状態となる。
【0027】
次いで、固定具60をグロメット40の挿通部42の外周面に巻き付けて、挿通部42を所定の締め付けトルクで縮径するように締め付ける。これにより、止水シート50のシーリングコンパウンド層52は、編組導体20を構成する導体細線の間の隙間、及び、止水シート50の基材層51の細孔を埋めるように変形する(図4(b)の白矢印を参照)。これにより、編組導体20を通じて水などが挿通部42を通過することが抑制される。更に、基材層51の細孔を通じてシーリングコンパウンド層52が挿通部42の内周面に向けて押し出され得るため、止水シート50と挿通部42の内周面との間を通じて水などが挿通部42を通過することも抑制される。以上により、ワイヤハーネス1が完成すると共に、ワイヤハーネス1をパネルPに取り付ける作業が完了する。
【0028】
<作用・効果>
本実施形態に係るワイヤハーネス1によれば、電線10を覆う編組導体20(シースレス電線30)と、グロメット40の挿通部42の内周面と、の間に止水シート50が挟まれた状態で、固定具60によって挿通部42が縮径される。このとき、止水シート50の粘着性を有するシーリングコンパウンド層52は、編組導体20を構成する導体細線の間の隙間や、止水シート50の基材層51の孔を埋めるように変形する。これにより、編組導体20を通じて水などが挿通部42を通過することが抑制される。更に、止水シート50が基材層51を有することで、シーリングコンパウンド層52のみで止水シート50が構成される場合に比べ、止水シート50の取り扱いが容易である。また、基材層51の孔を通じてシーリングコンパウンド層52が挿通部42の内周面に向けて押し出され得るため、止水シート50と挿通部42の内周面との間を通じて水などが挿通部を通過することも抑制される。したがって、本実施形態に係るワイヤハーネス1は、グロメット40の挿通部42における止水性を向上可能である。
【0029】
更に、上記実施形態に係るワイヤハーネス1によれば、耐候性(特に耐寒性)及び自己付着性に優れたブチルゴムを含むゴム成分を有するシーリングコンパウンド層52を用いることで、グロメット40の挿通部42の止水性を長期間にわたって適正に維持できる。また、網状の細線から構成されるメッシュ材を基材層51に用いることで、止水シート50の柔軟性を向上できる。そして、シーリングコンパウンド層52を基材層51に積層することで、作業者の手や周囲の部材などにシーリングコンパウンド層52が意図せず付着してしまうことが抑制され、止水シート50の取り扱いが容易になる。よって、止水シート50をシースレス電線30の編組導体20に巻きつける等の作業の作業性を向上できる。
【0030】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0031】
例えば、上記実施形態では、シースレス電線30として、1本の電線10の外周を編組導体20が覆うものが使用されている(図4(a)参照)。これに対し、図5に示すように、シースレス電線30として、複数(図5では、2本)の電線10の外周を編組導体20が一括して覆うものが使用されてもよい。この場合、図5に示すように、複数の電線10の間の隙間を埋める電線間止水材70が設けられて、編組導体20が、複数の電線10及び電線間止水材70を一括して覆うことが好ましい。これにより、複数の電線10同士の間の隙間を通じた水などの侵入を抑制できる。電線間止水材70は、例えば、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)で構成され得る。
【0032】
更に、上記実施形態では、シーリングコンパウンド層52は、基材層51がシーリングコンパウンド層52の径方向の外側に位置するように、配置されている。しかし、逆に、シーリングコンパウンド層52は、基材層51がシーリングコンパウンド層52の径方向の内側に位置するように、配置されてもよい。
【0033】
ここで、上述した本発明に係るワイヤハーネス1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
電線(10)と、前記電線(10)を覆う編組導体(20)と、前記電線(10)及び前記編組導体(20)が挿通される筒状の挿通部(42)を有するグロメット(40)と、前記挿通部(42)の内周面と前記編組導体(20)との間に挟まれる止水シート(50)と、前記挿通部(42)を縮径するように前記挿通部(42)に取り付けられる固定具(60)と、を備えるワイヤハーネス(1)であって、
前記止水シート(50)は、
当該止水シート(50)の厚さ方向に連通する複数の孔を有する基材層(51)と、前記基材層(51)に積層される粘着性のシーリングコンパウンド層(52)と、を有し、前記固定具(60)が前記挿通部(42)を縮径することにより、前記編組導体(20)を構成する導体細線の間の隙間及び前記基材層(51)の前記孔に入り込むように前記シーリングコンパウンド層(52)が変形する、
ワイヤハーネス(1)。
[2]
上記[1]に記載のワイヤハーネス(1)において、
前記シーリングコンパウンド層(52)は、ブチルゴムを含むゴム成分を有し、
前記基材層(51)は、網状の細線から構成されるメッシュ材を有する、
ワイヤハーネス(1)。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載のワイヤハーネス(1)であって、
複数の前記電線(10)と、前記複数の前記電線(10)の間の隙間を埋める電線間止水材(70)と、を更に備え、
前記編組導体(20)は、
前記複数の前記電線(10)及び前記電線間止水材(70)を一括して覆う、
ワイヤハーネス(1)。
【符号の説明】
【0034】
1 ワイヤハーネス
10 電線
20 編組導体
40 グロメット
42 挿通部
50 止水シート
51 基材層
52 シーリングコンパウンド層
60 固定具
70 電線間止水材
図1
図2
図3
図4
図5