(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962989
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】超音波トランスデューサスタック
(51)【国際特許分類】
H04R 1/44 20060101AFI20211025BHJP
A61B 8/00 20060101ALI20211025BHJP
H04R 17/00 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
H04R1/44 330G
A61B8/00
H04R17/00 330J
【請求項の数】18
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-203976(P2019-203976)
(22)【出願日】2019年11月11日
(62)【分割の表示】特願2016-542188(P2016-542188)の分割
【原出願日】2014年12月29日
(65)【公開番号】特開2020-43579(P2020-43579A)
(43)【公開日】2020年3月19日
【審査請求日】2019年12月9日
(31)【優先権主張番号】14/144,799
(32)【優先日】2013年12月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508286762
【氏名又は名称】アシスト・メディカル・システムズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】リック バウティスタ
(72)【発明者】
【氏名】ケンドール アール.ウォーターズ
【審査官】
堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】
実開平01−081100(JP,U)
【文献】
特開平07−030998(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/144117(WO,A1)
【文献】
特開2005−277988(JP,A)
【文献】
特開昭61−008033(JP,A)
【文献】
特開平02−049640(JP,A)
【文献】
特開平02−271845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/44
A61B 8/00
H04R 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波トランスデューサスタックであって、
バッキング層と、
活性層であって、前記バッキング層に面する第1表面と、前記活性層において前記第1表面と反対側の第2表面とを有し、前記第2表面は、前記第2表面上にマトリクス状に形成され、前記第2表面から前記第1表面に向かって部分的にのみ延在する複数のテクスチャを含む、活性層と、
前記活性層の前記第2表面に面する整合層であって、第1厚さ領域および第2厚さ領域を有し、前記第1厚さ領域は、第1の濃度の材料を含んでおり、前記第2厚さ領域は、前記第1の濃度と異なる第2の濃度の材料を含んでおり、前記第1厚さ領域は前記第2厚さ領域の厚さより大きな厚さを有し、前記活性層の前記第2表面が、前記第1表面からの第1の高さ位置において、前記第1の濃度の材料と接触するように、前記第1厚さ領域は、前記複数のテクスチャの中に延在し且つ前記活性層の前記第2表面に接触し、前記活性層の前記第2表面が、前記第1の高さ位置とは異なる前記第1表面からの第2の高さ位置において、前記第2の濃度の材料と接触するように、前記第2厚さ領域は、前記複数のテクスチャの中に延在せず且つ前記活性層の前記第2表面に接触する、整合層と、
を含む超音波トランスデューサスタック。
【請求項2】
前記第1厚さ領域が第1周波数と整合し、前記第2厚さ領域が第2周波数と整合し、前記第1周波数は前記第2周波数より高い、請求項1に記載の超音波トランスデューサスタック。
【請求項3】
前記第1周波数が60MHzである、請求項2に記載の超音波トランスデューサスタック。
【請求項4】
前記第2周波数が40MHzである、請求項3に記載の超音波トランスデューサスタック。
【請求項5】
前記第1厚さ領域が3/4λの厚さを有し、前記第2厚さ領域が1/4λの厚さを有し、ここでλは所望の波長である、請求項1に記載の超音波トランスデューサスタック。
【請求項6】
前記整合層が、1:1を超える第1厚さ領域/第2厚さ領域の比を有する、請求項1に記載の超音波トランスデューサスタック。
【請求項7】
前記整合層が、1:1未満の第1厚さ領域/第2厚さ領域の比を有する、請求項1に記載の超音波トランスデューサスタック。
【請求項8】
前記複数のテクスチャがそれぞれ円形状の表面テクスチャを有する、請求項1に記載の超音波トランスデューサスタック。
【請求項9】
前記複数のテクスチャが円の列のパターンとして提供される、請求項8に記載の超音波トランスデューサスタック。
【請求項10】
前記複数のテクスチャがそれぞれ街路状の表面テクスチャを有する、請求項1に記載の超音波トランスデューサスタック。
【請求項11】
前記複数のテクスチャが、交差する街路のパターンとして提供される、請求項10に記載の超音波トランスデューサスタック。
【請求項12】
前記複数のテクスチャが、交差しない街路のパターンとして提供される、請求項10に記載の超音波トランスデューサスタック。
【請求項13】
前記複数のテクスチャがそれぞれ正方形の深さ形状を有する、請求項1に記載の超音波トランスデューサスタック。
【請求項14】
前記複数のテクスチャがそれぞれ凹面の深さ形状を有する、請求項1に記載の超音波トランスデューサスタック。
【請求項15】
前記整合層が、第1整合層と、第1部分及び第2部分を有する第2整合層と、を含み、前記第1整合層は前記複数のテクスチャの中に延在し、前記第2整合層の前記第1部分は前記第1整合層に接触し、前記第2整合層の前記第2部分は前記活性層の前記第2表面に接触する、請求項1に記載の超音波トランスデューサスタック。
【請求項16】
超音波トランスデューサスタックを作製する方法であって、
(a)ウェハを形成するステップであって、
(i)バッキング層を提供するステップ、
(ii)前記バッキング層に面する第1表面と、前記第1表面と反対側の活性層側の第2表面と、を有し、前記バッキング層の上に横たわる前記活性層を提供するステップ、
(iii)前記活性層の前記第2表面上に、マトリクス状に形成された複数のテクスチャを形成するステップ、
(iv)前記活性層の前記第2表面の上に整合層を提供するステップであって、前記整合層が第1厚さ領域および第2厚さ領域を有し、前記第1厚さ領域は、第1の濃度の材料を含んでおり、前記第2厚さ領域は、前記第1の濃度と異なる第2の濃度の材料を含んでおり、前記第1厚さ領域が前記第2厚さ領域の厚さより大きな厚さを有し、前記活性層が、前記第1表面からの第1の高さ位置において、前記第1の濃度の材料と接触するように、前記第1厚さ領域は、前記複数のテクスチャの中に延在し前記活性層に接触し且つ前記複数のテクスチャを埋める、延在部を含み、前記活性層が、前記第1の高さ位置とは異なる前記第1表面からの第2の高さ位置において、前記第2の濃度の材料と接触するように、前記第2厚さ領域は、前記複数のテクスチャの中に延在せず且つ前記活性層に接触する、ステップ
を含むステップと、
(b)前記ウェハをセグメントに分割するステップであって、各セグメントが超音波トランスデューサスタックを形成するステップと
を含む方法。
【請求項17】
超音波トランスデューサスタックであって、
バッキング層と、
活性層であって、前記バッキング層に面する第1表面と、前記活性層において前記第1表面と反対側の第2表面とを有し、前記第2表面は、前記第2表面上にマトリクス状に形成された、複数のテクスチャを含む、活性層と、
前記活性層の前記第2表面に面する整合層であって、当該整合層が、第1整合層と、第1部分及び第2部分を有する第2整合層と、を含み、前記第1整合層は、第1の濃度の材料を含んでおり、前記第2整合層は、前記第1の濃度と異なる第2の濃度の材料を含んでおり、前記第1の濃度の材料が、前記第1表面からの第1の高さ位置において、前記活性層の前記第2表面と接触するように、前記第1整合層は、前記複数のテクスチャの中に延在し、前記第2の濃度の材料が、前記第1の高さ位置とは異なる前記第1表面からの第2の高さ位置において、前記活性層の前記第2表面と接触するように、前記第2整合層は、前記第2整合層の前記第1部分が、前記第1整合層と接触し、前記第2整合層の前記第2部分が、前記活性層の前記第2表面と接触する、整合層と、
を含む超音波トランスデューサスタック。
【請求項18】
前記第1整合層が、第1濃度にある材料を含み、前記第2整合層が、前記第1濃度と異なる第2濃度にある前記材料を含む、請求項17に記載の超音波トランスデューサスタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は概して、超音波トランスデューサ用のトランスデューサスタックに関する。本出願はさらに、医用画像形成に使用されるトランスデューサ用の超音波トランスデューサに関する。
【背景技術】
【0002】
医用超音波画像形成において、トランスデューサの性能は、超音波画像の質において重要な役割を果たす。超音波画像形成システムの1つの共通の型は、血管内超音波(IVUS:intravascular ultrasound)システムである。このシステムでは、IVUSトランスデューサはカテーテルの先端に提供され、カテーテルは血管に挿入される。IVUSシステムの共通の画像形成対象物は、冠状動脈壁である。従って、トランスデューサおよびカテーテルは、冠状動脈内に収まる小さな寸法を有さなければならない。IVUSトランスデューサは典型的に単一要素トランスデューサであり、これは冠状動脈内に収まるのに十分小さい。しかしながら、単一要素超音波トランスデューサは、トランスデューサ感度および帯域の両方の性能において固有の限界を有する。IVUSトランスデューサはまた、もっぱら使い捨て用として設計される。いったんIVUS手法が完了すると、IVUSトランスデューサは捨てられる。従って、IVUSトランスデューサを作製するために使用できる材料およびプロセスの種類を制限するコスト上の制約がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
より広い帯域および高められた感度を有する改良された単一要素超音波トランスデューサを有することは有利であろう。費用効率良く製造できる改良された使い捨てトランスデューサを有することも有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定の実施形態が、超音波トランスデューサスタックを提供する。超音波トランスデューサスタックは、いずれかの種類の超音波トランスデューサ、例えばIVUSトランスデューサの一部である。スタックは、バッキング層と、バッキング層の上に横たわる活性層と、活性層の上に横たわる整合層とを含む。活性層は複数のテクスチャを含む表面を有する。
【0005】
特定の実施形態が同じく、超音波トランスデューサスタックを作製する方法を提供する。方法は、(a)ウェハを形成するステップと、(b)ウェハをセグメントに分割するステップであって各セグメントが超音波トランスデューサスタックを形成するステップとを含むことができる。ウェハを形成するステップは、(i)バッキング層を提供するステップと、(ii)バッキング層の上に横たわる活性層を提供するステップと、(iii)活性層の表面に複数のテクスチャを形成するステップと、(iv)活性層の表面の上に整合層を提供するステップとを含むことができる。
【0006】
整合層は第1厚さ領域および第2厚さ領域を有し、ここで第1厚さ領域は第2厚さ領域の厚さより大きな厚さを有する。第1厚さ領域は複数のテクスチャの中に延在し、第2厚さ領域は複数のテクスチャの中に延在しない。いくつかの場合、第1厚さ領域は第1周波数と整合し、第2厚さ領域は第2周波数と整合し、ここで第1周波数は第2周波数より高い。一例において第1周波数は60MHzであり、第2周波数は40MHzである。他の場合、第1厚さ領域は3/4λの厚さを有し、第2厚さ領域は1/4λの厚さを有し、ここでλは所望の波長である。整合層はまた、第1厚さ領域/第2領域の比を有することができる。いくつかの場合、その比は1:1を超え、他の場合、その比は1:1未満である。
【0007】
活性層表面の複数のテクスチャは、任意の所望の表面形状、深さ形状またはパターンを有することができる。いくつかの実施形態において、複数のテクスチャはそれぞれ、円形状の表面形状を有することができる。同じく、いくつかの場合、円形状の表面形状は、円の列のパターンとして提供することができる。さらに、いくつかの場合、複数のテクスチャはそれぞれ、街路状の表面形状を有することができる。街路状の表面形状はまた、交差する街路のパターンとして、または交差しない街路のパターンとして提供することができる。他の場合、複数のテクスチャは、正方形の深さ形状または凹面の深さ形状を有することができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、整合層はまた、単一整合層を、または第1整合層および第2整合層を含むことができる。いくつかの場合、整合層は第1整合層および第2整合層を含み、ここで第1整合層は複数のテクスチャの中に延在する延在部を画定し、第2整合層は複数のテクスチャの中に延在しない。同じく、第1整合層および第2整合層は同じ材料または異なる材料を含むことができる。
【0009】
以下の図面は、本発明の幾つかの特定の例を説明し、従って本発明の範囲を限定するものではない。図面は(そのように記載される場合を除き)一定の縮尺ではなく、以下の詳細な記述の説明と併せた使用が意図される。以下、本発明の例を付随の図面と併せて記載する。図面中、同じ番号は同じ要素を示す。以下、幾つかの実施形態を付随の図面と併せて記載する。図面中、同じ番号は同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】特定実施形態によるトランスデューサスタックの一部の側断面図である。
【
図2】特定実施形態によるトランスデューサスタックの一部の斜視図である。
【
図3】特定実施形態によるトランスデューサスタックの一部の側断面図である。
【
図4】特定実施形態によるトランスデューサスタックの一部の斜視図である。
【
図5】特定実施形態によるトランスデューサスタックの一部の側断面図である。
【
図6】特定実施形態によるトランスデューサスタックの一部の斜視断面図である。
【
図7】特定実施形態によるトランスデューサスタックの一部の側断面図である。
【
図8】特定実施形態によるトランスデューサスタックの一部の斜視図である。
【
図9】特定実施形態によるトランスデューサスタックの一部の側断面図である。
【
図10】特定実施形態によるトランスデューサスタックの一部の斜視図である。
【
図11】特定実施形態によるトランスデューサスタックの一部の側断面図である。
【
図12】特定実施形態によるトランスデューサスタックの一部の斜視図である。
【
図13】特定実施形態によるトランスデューサスタックの一部の斜視図である。
【
図14】特定実施形態によるトランスデューサスタックの一部の斜視図である。
【
図15】特定実施形態によるウェハの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な記述は、本質的に例示のためのものであり、本発明の範囲、利用可能性、および構成を如何様にも限定するつもりはない。正確に言えば、以下の記述は、本発明の幾つかの例を実行するための幾つかの実例を提供する。構造、材料、寸法及び製造プロセスの例が、選択された要素に対して提供され、他の全ての要素は、当業者に知られているものを採用する。当業者は、記載される例の多くが様々な適切な代替案を有することを認識する。
【0012】
本出願は超音波トランスデューサで使用するためのトランスデューサスタックの実施形態を提供する。いくつかの場合、トランスデューサスタックは、血管内超音波(IVUS)トランスデューサ、心臓内心エコー検査トランスデューサ、および経食道的画像作成トランスデューサでの使用のために設計されたスタックである。さらなる場合、トランスデューサスタックは、単一要素トランスデューサでの使用のために設計されたスタックである。さらに他の場合、トランスデューサスタックは、使い捨てトランスデューサでの使用のために設計されたスタックである。同様にいくつかの場合、トランスデューサスタックは、厚モードで動作するトランスデューサでの使用のために設計されたスタックである。当然のことながら当業者は本出願が上で言及したトランスデューサに限定されないことを理解するであろう。
【0013】
図を広く参照すると、本出願は超音波トランスデューサスタック10の実施形態を提供する。トランスデューサスタック10は長方形の形状を有して示されている。しかしながら、当業者は、トランスデューサスタック10が代わりに、正方形、円形および楕円形の形状を含む他の形状を有することができることを認識するであろう。
【0014】
超音波トランスデューサスタック10は、バッキング層12、活性層14および整合層16を含む。バッキング層12は典型的に基部としての役割を果たし、活性層14はバッキング層12の上に提供される。整合層16が次に活性層14の上に提供される。本明細書で使用されるとき、用語「層」は、単層または複数の副層を意味することができる。例えば、整合層16は単層であることができる、または、それぞれが整合層を構成する複数の副層を含むことができる。
【0015】
活性層14は音波を生成するために電圧および振動を受ける。バッキング層12は活性層14から振動を吸収しそれを減衰する。整合層16は、超音波振動を周囲媒体に伝搬するために、および超音波振動を周囲媒体から受け取るために、トランスデューサスタック10の効率を改善する。例えば、整合層16は、活性層14と、トランスデューサスタックが配置される媒体(例えば生理食塩水)との間により優れた音響インピーダンス整合を提供する。
【0016】
バッキング層12は少なくとも1つのバッキング層を含む。いくつかの場合、バッキング層12は単一バッキング層を含む。他の場合、バッキング層12は複数のバッキング副層を含む。特定の場合、バッキング層12は、タングステン担持エポキシなどの電気伝導性エポキシを含む。
【0017】
活性層14は少なくとも1つの活性層を含む。いくつかの場合、活性層14は単一活性層を含む。他の場合、活性層14は複数の活性層を含む。活性層14は単一材料または複合材料を含むこともできる。いくつかの場合、活性層14は、一般にPZTとして知られるチタン酸ジルコン酸鉛などの単一セラミック圧電材料を含む。特定の場合、活性層14は、50オーム未満、40オーム未満、または27オームなど、ことによると30オーム未満の電気インピーダンスを有する材料を含む。他の場合、活性層14は、一般にPMN−PTおよびポリマーとして知られるニオブ酸鉛マグネシウム−チタン酸鉛単結晶などの複合材料を含む。
【0018】
整合層16は少なくとも1つの整合層を含む。いくつかの場合、整合層16は単一整合層を含む。他の場合、整合層16は複数の整合層を含む。いくつかの場合、整合層16は銀担持エポキシなどの電気伝導性エポキシを含む。
【0019】
トランスデューサスタック10はまた、金、クロムおよび/またはチタンなどの金属から形成可能な少なくとも1つの電極層(不図示)を含むことができる。一例において、トランスデューサスタック10は、バッキング層12と活性層14の間、および/または活性層14と整合層16の間に配置された薄い電極層を含むことができる。例えば、いくつかの場合、その厚さは金属に依存して0.005マイクロメートル〜0.3マイクロメートルの間であることができる。電極層は概して活性層14の電気的励起を促す。トランスデューサスタック10はまた、トランスデューサスタック10を電気的に励起するために、信号発生器(不図示)に電気的に接続することができる。トランスデューサスタック10はまた、トランスデューサスタック10によって電気信号に変換される圧力フィールドを検出するために受信器(不図示)に電気的に接続することができる。
【0020】
図1および7を参照すると、活性層14は第1表面20および第2表面22を含む。第1表面20はバッキング層12に面し(および時に直接的に接触し)、第2表面22は整合層16に面する。第2表面22は複数のテクスチャ18を含む。テクスチャ18は、窪み、ノッチ、凹みまたはキャビティとして、第2表面22から下方へ第1表面20に向かって延在する。
【0021】
特定の実施形態において、テクスチャ18は第2表面22から第1表面20に向かって下方へ部分的にのみ延在する。いくつかの場合、活性層はある厚さまたは深さを有し、およびテクスチャ18は活性層14の深さの約1/2未満の深さを下方に延在する。他の場合、テクスチャ18は活性層14の深さの約1/3未満の深さを下方に延在する。例として、活性層14は約50μm厚さを有することができ、テクスチャ18は約34μmの厚さが各テクスチャ18の下に残るように約16μmの厚さで下方に延在することができる。テクスチャ18の深さは、トランスデューサスタック10の所望の性能特性に依存して選択することができる。
【0022】
テクスチャ18はまた、所望の表面形状を有する。表面形状は、
図2、8、13および14に示されるものなど、活性層の上から見たときのテクスチャの形状である。例えば、テクスチャ18は、円形、楕円形、正方形、長方形または街路状の表面形状を有することができる。テクスチャ18の所望の表面形状はまた、トランスデューサスタック10の所望の性能特性に依存して選択される。
【0023】
テクスチャ18はまた、所望の深さ形状を有する。深さ形状は、第2表面22から第1表面20に向かって下方に延在するときのテクスチャの形状である。例えば、テクスチャ18は球形、放物線状、凹面、正方形、または長方形の深さ形状を有することができる。例えば、
図1に示される実施形態において、テクスチャ18は凹面深さ形状を有し、第2表面22に陥凹部を形成する。
図7に示される実施形態においてテクスチャ18は長方形の深さ形状を有する。テクスチャ18の深さ形状は、トランスデューサスタック10の所望の性能特性に依存して選択される。
【0024】
テクスチャ18はまた、活性層14の第2表面22にパターンとして提供することができる。テクスチャ18は第2表面22全体に均一または不均一に分配することができる。いくつかの場合、テクスチャ18は、127/1000mm(5/1000インチ)〜254/1000mm(10/1000インチ)の間の距離など、所望の距離だけ間隔を空けて離される。他の場合、テクスチャ18は、76.2/1000mm(3/1000インチ)〜254/1000mm(10/1000インチ)の間の表面直径または幅を有する。第2表面22上のテクスチャ18の適切な寸法、数および位置はまた、トランスデューサスタック10の特定の使用に依存して変わることができる。
【0025】
いくつかの場合、
図2に最もよく示されるように、テクスチャ18は、円の列38のパターンとして提供することができる。円の列38は、任意の所望の数の列と、各列内の任意の所望の数の円とを含むことができる。また、円の各列は、任意の所望の間隔寸法を使用して、別の円の列から間隔を空けて離すことができる。最後に、各列内の各円は、任意の所望の間隔寸法を使用して、別の円から間隔を空けて離すことができる。所望の列の数、円の数、列の間の間隔、および円の間の間隔は、トランスデューサスタック10の所望の性能特性に依存して選択することができる。
【0026】
他の場合、テクスチャ18は、
図8および14に最もよく示されるように、互いに交差する交差街路40のパターンとして提供される。交差街路は、垂直式または対角線または十字式など、いずれかの所望の様式で互いに交差することができる。他の場合、
図13に示されるように、テクスチャ18は、全てが単一の方向に走る非交差状街路42のパターンとして提供される。これらのパターンにおいて任意の所望の数の街路を提供することができる。
【0027】
また、街路は任意の所望の幅を有することができる。例えば、
図8の街路は
図14の街路よりも狭い幅を有する。いくつかの場合、街路は約127/1000mm(約5/1000インチ)〜約254/1000mm(約10/1000インチ)の幅を有する。同様に、街路は任意の所望の深さを有することができる。特定の場合において、街路は約10マイクロメートル〜20マイクロメートルの間の深さを有する。深さはトランスデューサの動作周波数に依存し得る。さらに、街路の深さは、正方形深さ形状、長方形深さ形状または凹面深さ形状など、任意の所望の深さ形状を有することができる。所望の街路数、街路幅、深さ形状および街路深さを、トランスデューサスタック10の所望の性能特性に依存して選択することができる。
【0028】
テクスチャ18は、当該技術分野で知られるいずれかのテクスチャ形成技術を使用して第2表面22に形成することができる。いくつかの場合、テクスチャ形成技術は、減法的な技術である。適切なテクスチャ形成技術は、アブレーション、摩耗、ブラスチング、機械加工、ダイシング、研削およびエッチング技術を含む。いくつかの場合、レーザアブレーション技術を使用して第2表面22にテクスチャ18を形成することができる。例えば、CO
2マーキング型レーザ、湿疹(eczema)レーザまたはYAG型レーザを使用して第2表面22にテクスチャ18を形成することができる。
【0029】
整合層16は活性層14の第2表面22の上に提供される。整合層は、バッキング層12および活性層14から離れる方を向く外側表面34を有する。整合層16は第1厚さ領域26および第2厚さ領域28を有する。第1厚さ領域26および第2厚さ領域28のそれぞれは、外側表面から下方へ活性層14の第2表面22まで延在する。
【0030】
第1厚さ領域26は第2厚さ領域28の厚さよりも大きな厚さを有する。第1厚さ領域26はまた、活性層14の第2表面22に形成されたテクスチャ18の中に延在する延在部24を有する。換言すると、延在部24はテクスチャ18を「埋める」。他方で、第2厚さ領域28は、テクスチャ18の中に延在せず、代わりに活性層14の第2表面22の上に横たわる。
【0031】
第1厚さ領域26および第2厚さ領域28を有する整合層により整合層16が1つより多い超音波周波数で整合することが可能になる。第1厚さ領域26は第1周波数で整合し、第2厚さ領域28は第2周波数で整合する。第1周波数は第2周波数より高い。いくつかの実施形態において第1周波数は60MHzであり、第2周波数は40MHzである。他の実施形態において第1周波数は15〜100MHzの範囲内の周波数であり、第2周波数は1〜15MHzの範囲内の周波数である。
【0032】
いくつかの実施形態において、第1厚さ領域26は3/4λの厚さを有し、第2厚さ領域28は1/4λの厚さを有し、ここでλは活性層によって提供される超音波振動の所望の波長である。そのような厚さ領域26、28の使用により、周囲媒体に送られる音響出力の帯域が広げられ、および跳ね返って戻る波から受け取る音響帯域が広げられる。厚さ領域26、28はまた、戻る波に対する感度を増大する。
【0033】
整合層16に所望の第1厚さ領域/第2厚さ領域比を与えることもできる。第1厚さ領域/第2厚さ領域比は、トランスデューサスタック10の所望の性能特性に依存して選択される。例えば、所望の性能特性が、高い方の周波数および低い方の周波数において等しい圧力を生成するトランスデューサスタック10である場合、第1厚さ領域/第2厚さ領域比は1:1であることができる。所望の性能特性が、高い方の周波数においてより大きな圧力を生成するトランスデューサスタック10である場合、第1厚さ領域/第2厚さ領域比は1:1から2:1、3:1.4:1などまで増大されることができる。所望の性能特性が、低い方の周波数においてより大きな圧力を生成するトランスデューサスタック10である場合、第1厚さ領域/第2厚さ領域比は1:1から1:2、1:3、1:4などまで低減されることができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、
図3〜4および9〜10に示されるように、整合層16は単一整合層である。そのような単一整合層16は単一整合材料を含む。整合層は均質層またはことによると段階的な層であることができる。特定の場合、単一整合層16は、銀担持エポキシなどの電気伝導性エポキシを含む均質層である。
【0035】
他の実施形態において、
図5〜6および11〜12に示されるように、整合層16は第1整合層16aおよび第2整合層16bを含む。ここで、第1整合層16aは第2表面22のテクスチャ18の中に延在する延在部24を画定し、第2整合層16bは延在部24および第2表面22の上に横たわる層を画定する。第2整合層16bの特定部分は延在部24と直接接触し、他の部分は活性層14の第2表面22と直接接触する。
【0036】
いくつかの実施形態において、第1整合層16aおよび第2整合層16bは、同じ材料から形成される。この同じ材料は、各整合層16a、16bに対して単一の濃度で、または異なる濃度で提供されることができる。例えば、いくつかの場合、第1整合層16aは第1濃度で材料「X」を含み、第2整合層16bは異なる濃度で材料「X」を含む。いくつかの場合、第1整合層16aおよび第2整合層16bのそれぞれは、同じ濃度を有する銀担持エポキシを含む。他の場合、第1整合層16aは銀の第1体積濃度を有する銀担持エポキシを含み、第2整合層16bは銀の第2体積濃度を有する銀担持エポキシを含む。
【0037】
他の場合、第1整合層16aは第1材料を含み、第2整合層16bは第2材料を含み、ここで第1材料は第2材料と異なる。例えば、いくつかの場合、第1整合層16aは銀担持エポキシを含み、第2整合層16bは、ポキシ(すなわち無担持エポキシ)、パリレン、およびフッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体(すなわちP(VDF−TrFE)などの異なる材料を含む。他の場合、第1整合層16aは異なる材料を含み、第2整合層16bは銀担持エポキシを含む。
【0038】
ここで
図7を参照して例示的な実施形態を記載する。この実施形態において、活性層14は約50μmの厚さでバッキング層12の上に提供される。次にテクスチャ18が約17μmの深さで活性層の表面22に形成される。
図9を参照すると、続いて整合層16が、テクスチャ18の中に延在する第1厚さ領域26と、活性層14の中に延在しない第2厚さ領域28とを有するように活性層14の上に提供される。第1厚さ領域26は約27μmの厚さを有し(ここで第1厚さ領域26の直接下にある活性層14は約34μmの厚さを有する)および第2厚さ領域28は約11μmの厚さを有する(ここで第2厚さ領域の直接下にある活性層14は約50μmの厚さを有する)。第1厚さ領域26は60MHz高周波数3/4λ位置で整合し、第2厚さ領域28は40MHz低周波数1/4λ位置で整合する。
【0039】
いくつかの実施形態はトランスデューサスタックを製造する方法を提供する。方法は、ウェハ100を形成することを最初に含み、これはバッキング層12を形成するステップと、バッキング層12の上に活性層14を形成するステップと、活性層14に複数のテクスチャ18を作製するステップと、複数のテクスチャ18の上に整合層16を形成するステップとを含む。例示的なウェハ100が
図15に示されている。方法はまた、ウェハ100を複数のセグメントに切断することを含み、各セグメントが超音波トランスデューサのトランスデューサスタックとして使用される。切断技術は機械加工、ダイシングおよびエッチングを含む。
【0040】
本発明の様々な例を記載してきた。本発明を特定の開示された実施形態を参照してかなり詳しく記載してきたが、これらの実施形態は説明のために提示され、限定ではない。本発明を組み込む他の実施形態が可能である。当業者であれば、本発明の趣旨および付随の請求項の範囲から逸脱することなく様々な変更、適応および修正が施されてもよいことを認識するであろう。