特許第6962990号(P6962990)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6962990サルコイドーシスを処置するための1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の使用
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  • 特許6962990-サルコイドーシスを処置するための1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の使用 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6962990
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】サルコイドーシスを処置するための1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/185 20060101AFI20211025BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20211025BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20211025BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20211025BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20211025BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20211025BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20211025BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20211025BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20211025BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20211025BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20211025BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20211025BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20211025BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   A61K31/185
   A61K31/573
   A61P1/00
   A61P1/02
   A61P1/16
   A61P9/00
   A61P11/00
   A61P13/12
   A61P15/00
   A61P17/00
   A61P21/00
   A61P25/00
   A61P37/06
   A61P43/00 121
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-211209(P2019-211209)
(22)【出願日】2019年11月22日
(62)【分割の表示】特願2016-565303(P2016-565303)の分割
【原出願日】2015年4月29日
(65)【公開番号】特開2020-40978(P2020-40978A)
(43)【公開日】2020年3月19日
【審査請求日】2019年12月20日
(31)【優先権主張番号】61/986,719
(32)【優先日】2014年4月30日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502375437
【氏名又は名称】アイカーン スクール オブ メディスン アット マウント シナイ
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(72)【発明者】
【氏名】モーゲンソウ,アダム エス.
【審査官】 梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】 The Lancet,2014年03月29日,383(9923):1155-67.
【文献】 Respiratory Medicine,2012年10月,106(10):1351-1361.
【文献】 Sarcoidosis Vasculitis and Diffuse Lung diseases,2008年,25(2):76-89.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/185
A61K 31/573
A61P 1/00
A61P 1/02
A61P 1/16
A61P 9/00
A61P 11/00
A61P 13/12
A61P 15/00
A61P 17/00
A61P 21/00
A61P 25/00
A61P 37/06
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サルコイドーシスを有する対象を処置するために使用される医薬組成物であって、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む、前記医薬組成物
【請求項2】
前記対象が慢性サルコイドーシスを有する、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項3】
前記サルコイドーシスが、肺、肝臓、心臓、(脳を含め)神経系、皮膚、リンパ腺、筋骨格系(例えば、骨、関節、筋肉)、脾臓、眼、洞、鼻粘膜、喉頭、消化管、生殖器官、唾液腺および/または腎臓を侵す、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項4】
前記サルコイドーシスが肺を侵す、請求項3に記載の医薬組成物
【請求項5】
1回当たり少なくとも1mg/kgの1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩が前記対象に投与される、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項6】
前記1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩が1日1回を超えて投与される、請求項5に記載の医薬組成物
【請求項7】
前記1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩が1日2回、3回、4回、5回または6回投与される、請求項5に記載の医薬組成物
【請求項8】
1回当たり20mg/kg以下の1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩が前記対象に投与される、請求項5に記載の医薬組成物
【請求項9】
前記1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩が、経口送達、非経口送達、腹腔内送達、脊髄内送達、脳内送達、経鼻送達、粘膜送達、経皮送達、血管内送達、動脈内送達、筋肉内送達、または皮下送達により投与される、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項10】
前記1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩が経口送達により投与される、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項11】
前記1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩が1,3−プロパンジスルホン酸である、請求項1から10のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項12】
前記1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩が1,3−プロパンジスルホン酸の二ナトリウム塩である、請求項1から10のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項13】
サルコイドーシスを処置するために従来より用いられている第2の作用剤をさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記第2の作用剤がコルチコステロイドである、請求項13に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はサルコイドーシスを処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PCT特許出願のWO2007/004072号公報には、1,3−プロパンジスルホン酸を投与することによりAAアミロイドーシスを処置する方法が開示されている。PCT特許出願のWO2007/0238788号公報には、1,3−プロパンジスルホン酸を投与することにより糖尿病性神経障害を処置する方法が開示されている。
【0003】
サルコイドーシスは、ほとんどが肺および皮膚であるが身体の複数の器官において発生する可能性がある肉芽腫と呼ばれる赤く腫れた組織の小さな斑点を生じるまれな病態である。サルコイドーシスにおける治療の中心であるコルチコステロイドは、慢性肉芽腫性炎を非特異的に抑制し、しばしば衰弱を招く好ましくない副作用を引き起こすが、基礎疾患を治すわけではない。
【発明の概要】
【0004】
本開示の様々な態様および実施形態では、サルコイドーシスを有する対象を処置する方法であって、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の有効量ならびにかかる方法において使用するための関連組成物を前記対象に投与することを含む方法が提供される。ある特定の実施形態では、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩は、1,3−プロパンジスルホン酸である。本開示のある特定の実施形態では、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩は1,3−プロパンジスルホン酸の二ナトリウム塩である。
【0005】
本開示のいくつかの実施形態では、処置される対象は(急性サルコイドーシスとは異なって)慢性サルコイドーシスを有する。本開示のある特定の実施形態では、処置される対象は急性サルコイドーシスを有する。
【0006】
本開示の様々な実施形態では、サルコイドーシスが、肺、肝臓、心臓、(脳を含め)神経系、皮膚、リンパ腺、筋骨格系(例えば、骨、関節、筋肉)、脾臓、眼、洞、鼻粘膜、喉頭、消化管、生殖器官、唾液腺および/または腎臓のうち1つまたは複数を侵すおそれがある。
【0007】
本開示のある特定の実施形態では、サルコイドーシスが肺を特異的に侵す。
【0008】
いくつかの実施形態では、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の投与により、IL−18、IL−10およびTNFからなる群から選択される1つまたは複数の炎症伝達物質が低減される。
【0009】
いくつかの実施形態では、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の投与により、対象におけるサルコイドーシスの症状が低減および/または緩和される(例えば、肉芽腫形成、肉芽腫性炎など)。
【0010】
本開示のある特定の実施形態では、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の有効量には、1回当たりその少なくとも1mg/kgを前記対象に投与することが含まれる。
【0011】
本開示のある特定の実施形態では、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の有効量は、1日当たり1回を超えて投与される。例示的投与プロトコルは、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩を1日少なくとも2回、1日少なくとも3回、1日少なくとも4回、1日少なくとも5回、1日少なくとも6回、またはさらにより頻繁に(その連続投与を含む)投与することが意図されている。ある特定の実施形態では、1,3−プロパンジスルホン酸は、1回の投与当たり400mg用量、または800mg用量、または1200mg用量で対象に(例えば経口的に)投与される。いくつかの実施形態では、1,3−プロパンジスルホン酸は、1回の投与当たり400mg用量で1日4回(QID)、または600mg用量で1日4回、または800mg用量で1日4回、または1000mg用量で1日4回、または1200mg用量で1日4回対象に投与される。
【0012】
本開示のある特定の実施形態では、1回当たり20mg/kg以下の1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩が前記対象に投与される。
【0013】
1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩は様々な方法で、例えば、経口送達、非経口送達、腹腔内送達、脊髄内送達、脳内送達、経鼻送達、粘膜送達、経皮送達、血管内送達、動脈内送達、筋肉内送達、または皮下送達などにより投与することができる。
【0014】
本開示のある特定の実施形態では、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩は経口送達により投与される。
【0015】
本開示のある特定の実施形態では、サルコイドーシスを処置するための薬学的に許容される組成物であって、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩、およびそのための薬学的に許容される担体を含む組成物が提供される。
【0016】
本開示のある特定の実施形態では、上記薬学的に許容される組成物は、サルコイドーシスを処置するために従来より用いられている第2の作用剤をさらに含み得る。第2の作用剤の一例はコルチコステロイドである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】THP−1細胞における1,3−プロパンジスルホン酸(またはその薬学的に許容される塩)のSAA(血清アミロイドA)刺激性の炎症に対する効果を評価するために用いられるプロトコルを要約した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示により、サルコイドーシスを有する対象を処置する方法であって、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の有効量を前記対象に投与することを含む方法が提供される。
【0019】
「対象」という用語には、サルコイドーシスもしくは関連疾患が起こる可能性があるか、またはサルコイドーシスもしくは関連疾患に対して感受性である、生きている生物が含まれる。「対象」という用語には、動物(例えば、哺乳動物、例えばネコ、イヌ、ウマ、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、齧歯類、例えばマウスまたはラット、ウサギ、リス、クマ、霊長類(例えば、チンパンジー、サル、ゴリラ、およびヒト))、ならびにニワトリ、アヒル、北京ダック、ガチョウ、およびそれらのトランスジェニック種が含まれる。「対象」という用語は、1,3−プロパンジスルホン酸もしくはその薬学的に許容される塩、またはそれを含有する組成物を受けるように特に選択される対象、例えばヒトを含む。した
がって、いくつかの実施形態では、対象には、サルコイドーシスのリスクを有する、またはサルコイドーシスであると診断された対象が含まれる。サルコイドーシスを発症するリスクを有する対象には、炎症性疾患、感染症、遺伝性発熱、または新生物などの基礎疾患を有する対象が含まれる。いくつかの実施形態では、好ましい対象はヒトである。
【0020】
対象の「処置」または「処置する」という用語は、疾患もしくは病態、疾患もしくは病態の症状、または疾患もしくは病態のリスク(またはこれらへの感受性)を安定化させること、治療すること、治癒すること、緩和すること、軽減すること、変化させること、救済すること、悪化を減弱すること、回復させること、改善すること、または影響を及ぼすことを目的として、対象に1,3−プロパンジスルホン酸もしくはその薬学的に許容される塩、またはそれを含有する組成物の適用または投与(または対象からの細胞または組織への1,3−プロパンジスルホン酸もしくはその薬学的に許容される塩の適用または投与)を含む。「処置する」という用語は、緩解;寛解;悪化速度の減弱;安定化、症状または損傷発生の減少、対象により認容可能な病理または病態、変性速度の遅延もしくは低下;最終的な変性点をより消耗性でなくなるようにする;または対象の身体的もしくは精神的安寧を改善することなどの、客観的または主観的な任意のパラメータを含めて、損傷、病理、または病態の処置または回復における成功の任意の指標を指す。一実施形態では、「処置する」という用語には、対象の平均余命をのばすことを含むことができる。
【0021】
「治療的有効量」という用語は、対象を処置するために、例えばサルコイドーシスまたは関連疾患に関して対象を処置するのに、またはこれらに限定されないが、炎症性障害、悪性新生物、もしくは慢性微生物感染症などの、基礎疾患を有する対象を処置するのに有効である、化合物の量を指す。治療的有効量は、対象が罹患している特定の障害、特定の対象の年齢、体重、および生活様式に基づいて変化し得る。さらに、治療的有効量は、病態の重症度、臓器機能、腎機能、または基礎疾患(例えば、対象は炎症性疾患、悪性新生物、慢性感染症に罹患している場合もある)によって異なり得る。
【0022】
本開示の化合物を対象に投与した後に、所望の薬物動態パラメータおよび/または生物学的に好都合なパラメータが得られるように、本開示の方法において投与される投薬量を選択することができる。一実施形態では、投薬量は、対象が1回当たり少なくとも1mg/kgの1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩を受けるように選択され;別の実施形態では、投薬量は、対象が1回当たり少なくとも2mg/kgの1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩を受けるように選択され;なお別の実施形態では、投薬量は、対象が1回当たり少なくとも3mg/kgの1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩を受けるように選択され;さらに別の実施形態では、投薬量は、対象が1回当たり少なくとも4mg/kgの1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩を受けるように選択され;なおさらなる一実施形態では、投薬量は、対象が1回当たり少なくとも5mg/kgの1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩を受けるように選択され;いくつかの実施形態では、投薬量は、対象が1回当たり少なくとも6mg/kgの1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩を受けるように選択され;いくつかの実施形態では、投薬量は、対象が1回当たり少なくとも7mg/kgの1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩を受けるように選択され;いくつかの実施形態では、投薬量は、対象が1回当たり少なくとも8mg/kgの1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩を受けるように選択され;いくつかの実施形態では、投薬量は、対象が1回当たり少なくとも9mg/kgの1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩を受けるように選択され;いくつかの実施形態では、投薬量は、対象が1回当たり少なくとも10mg/kgの1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩を受けるように選択され;いくつかの実施形態では、投薬量は、対象が1回当たり少なくとも15mg/kgの1,3−プロパンジスルホン酸また
はその薬学的に許容される塩を受けるように選択される。いくつかの実施形態では、1回当たり20mg/kg以下の1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩が前記対象に投与される。
【0023】
さらなる一実施形態では、本開示はまた、少なくとも部分的には医薬製剤にも関する。製剤は、サルコイドーシスを処置または予防するのに有効な量で、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩である活性剤、および薬学的に許容される担体を含む。一実施形態では、製剤は、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の400mg用量で、サルコイドーシスを有する対象に経口投与される。別の実施形態では、製剤は、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の800mg用量、および薬学的に許容される担体で、サルコイドーシスを有する対象に経口投与される。さらに別の実施形態では、製剤は、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の1200mg用量、および薬学的に許容される担体とで、サルコイドーシスを有する対象に経口投与される。
【0024】
さらなる一実施形態では、本開示は、活性剤の400mg用量で;または活性剤の800mg用量で;または活性剤の1200mg用量で24カ月間、サルコイドーシスを有する対象に経口投与するための、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む医薬製剤に関する。
【0025】
別の実施形態では、本開示はまた、医薬製剤にも関し、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含み、その場合、製剤は、活性剤の400mg用量を1日4回;または活性剤の800mg用量を1日4回;または活性剤の1200mg用量を1日4回;または活性剤の1600mg用量を1日4回;または活性剤の2000mg用量を1日4回で7日間経口投与される。
【0026】
別のさらなる実施形態では、本開示はまた、サルコイドーシスを有する対象において腎機能を安定化するかもしくは改善させる方法、または腎疾患の進行を遅らせる方法にも関する。本方法には、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩、および1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含む製剤の有効量を経口投与することが含まれる。
【0027】
別の実施形態では、本開示は対象においてサルコイドーシスを処置または予防する方法に関する。本方法には、AAアミロイドーシスが処置または予防されるように、第2の作用剤と併用して、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の治療的有効量を、それを必要とする対象に投与することが含まれる。
【0028】
「併用する」という用語は、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩と第2の作用剤との共投与を指し;第2の作用剤の投与前に1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の投与を実行してもよく;また1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の投与前に第2の作用剤の投与を実行してもよい。
【0029】
本開示の化合物は、1つまたは複数の酸性官能基を含有し、したがって、薬学的に許容される塩基と薬学的に許容される塩を形成することができる。このような場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、1,3−プロパンジスルホン酸の比較的非毒性の、無機塩基付加塩および有機塩基付加塩を指す。
【0030】
これらの塩は同様に、作用剤の最終単離および精製の際にインサイチューで、またはその遊離酸型の精製作用剤を、薬学的に許容される金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩もしく
は重炭酸塩などの適した塩基と、アンモニアと、もしくは薬学的に許容される有機1級、2級、もしくは3級アミンと個別に反応させることによって調製することができる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、およびアルミニウム塩などが挙げられる。塩基付加塩の形成にとって有用な代表的な有機アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる。
【0031】
「薬学的に許容される塩」はまた、例えば以下におよび本出願において他所でさらに記載のように、それらの塩基性塩を作製することによって改変された、作用剤の誘導体を含む。薬学的に許容される塩の例としては、スルホネートなどの酸性残基のアルカリまたは有機塩が挙げられる。薬学的に許容される塩としては、例えば非毒性の無機酸または有機酸から形成された親作用剤の従来の非毒性の塩または4級アンモニウム塩が挙げられる。そのような従来の非毒性の塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、および硝酸などの無機酸に由来する塩;ならびに酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、メシル酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、およびイセチオン酸などの有機酸から調製される塩が挙げられる。薬学的に許容される塩は、従来の化学法によって塩基性部分または酸性部分を含有する親作用剤から合成することができる。一般的に、そのような塩は、これらの作用剤の遊離酸型または遊離塩基型を、水中でもしくは有機溶媒中で、または両方の混合物中で、適切な塩基または酸の化学量論的量と反応させることによって調製することができる。
【0032】
記載されている化合物の酸型、塩型、塩基型、ならびに他のイオン型および非イオン型の全てが本開示の化合物として含まれる。例えば、本明細書において一化合物が酸として示される場合、化合物の塩型も含まれる。同様に、一化合物が塩として示される場合、酸型および/または塩基型も含まれる。
【0033】
別の実施形態では、本開示は、サルコイドーシスを処置するための医薬製剤に関し、対象への投与時に製剤が少なくとも1つの好都合な生物学的特性(FBP)を有するように、製剤中に1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の治療的有効量を含む。
【0034】
「医薬製剤」という用語は、以下に記載の医薬組成物を含む。さらなる一実施形態では、医薬製剤は、本開示の化合物のサルコイドーシスおよび/または関連疾患の処置する能力を増強する好都合な生物学的特性を有するように設計される。製剤の好都合な生物学的特性は、臨床試験の際に対象に本開示の化合物を投与することによって発見された。
【0035】
本開示はまた、少なくとも部分的に、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩および第2の作用剤の治療的有効量含む医薬組成物に関する。さらなる一実施形態では、治療的有効量はサルコイドーシスを処置するのに有効である。
【0036】
さらなる一実施形態では、本開示は包装された医薬組成物に関する。包装された医薬組成物は、組成物を第2の作用剤と併用して投与することを勧める表示または添付文書との組合せで包装された1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の治療的有効量を含む。さらなる一実施形態では、治療的有効量はサルコイドーシスを処置するのに有効である。
【0037】
さらに別のさらなる実施形態では、本開示は、組成物を1,3−プロパンジスルホン酸
またはその薬学的に許容される塩と併用して投与することを勧める表示または添付文書との組合せで包装された第2の作用剤の治療的有効量を含む、包装された医薬組成物に関する。
【0038】
「表示または添付文書」という用語は、本開示の組成物の投与に関して、対象との、または対象の医療に実質的に責任を有する任意の人との全ての書面、電子的、または口頭による伝達を含むが、それらに限定されるわけではない。添付文書は、本開示の組成物を他の化合物または組成物、例えば第2の作用剤と共投与することに関する情報をさらに含んでもよい。さらに、添付文書は食物なしで本開示の組成物を投与することに関する説明書が含んでもよい。
【0039】
さらに別の形態では、本開示は、組成物を食物なしで投与することを勧める表示または添付文書との組合せで、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の治療的有効量を含む医薬組成物を保持する容器を含む、包装された医薬組成物に関する。
【0040】
1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩は、適切な溶媒による溶液、または溶媒を含まない型(例えば、凍結乾燥)で供給されてもよい。本開示の別の態様では、本開示の方法を行うのに必要な作用剤および緩衝剤はキットとして包装されてもよい。キットは、本明細書に記載の方法に従って商業的に使用されてもよく、本開示の方法において使用するための説明書を含んでもよい。さらなるキットの成分は、酸、塩基、緩衝薬、無機塩、溶媒、抗酸化剤、保存剤、または金属キレート剤が含んでもよい。さらなるキットの成分は純粋な組成物として、または1つもしくは複数のさらなるキットの成分が組み込まれている水溶液もしくは有機溶液として存在する。任意のまたは全てのキットの成分は任意選択で緩衝剤をさらに含む。
【0041】
1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩はまた、様々な方法、例えば、非経口、腹腔内、脊髄内、脳内などで投与されてもよい。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびその混合物において、ならびに油において分散液を調製することができる。通常の保存および使用条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を予防するために保存剤を含有してもよい。
【0042】
1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩を非経口投与以外で投与するために、その不活化を防止するための材料によって活性剤をコーティングするか、またはその材料を活性剤と共投与することが必要な場合もあるかもしれない。例えば、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩は、適切な担体、例えばリポソーム、または希釈剤において対象に投与してもよい。薬学的に許容される希釈剤は、生理食塩液および水性緩衝液を含む。リポソームは、水中油中水型CGF乳剤ならびに従来のリポソームを含む(Strejanら、J.Neuroimmunol.7、27(1984年))。「医薬組成物」という用語は、先に記載の「医薬製剤」を含むことを留意すべきである。
【0043】
注射での使用に適した医薬組成物は、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および滅菌注射用溶液または分散液を即時調製するための滅菌粉末を含む。全ての場合において、組成物は無菌的でなければならず、容易なシリンジ作動性が存在する程度に流動性でなければならない。これは、製造および保存条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染活動に対して保護されなければならない。
【0044】
適切な薬学的に許容される媒体は、経口、非経口、経鼻、粘膜、経皮、血管内(IV)、動脈内(IA)、筋肉内(IM)、および皮下(SC)投与経路にとって適した、リン
酸緩衝生理食塩液(PBS)などの、非免疫原性の任意の薬学的アジュバントを含むが、限定されるわけではない。
【0045】
媒体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散培地とすることができる。例えばレシチンなどのコーティングを使用することによって、分散液の場合には必要な粒子径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって、適切な流動性を維持することができる。微生物の活動の予防は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサルなどによって達成することができる。多くの場合において、組成物には、等張剤、例えば糖、塩化ナトリウム、またはマンニトールおよびソルビトールなどの多価アルコールが含まれる。注射可能な組成物の持続的な吸収は、吸収を遅らせる作用剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンを組成物に含めることによってもたらすことができる。
【0046】
滅菌注射液は、先に列挙した成分の1つまたは組合せと共に適切な溶媒において必要量の治療剤を組み入れて、必要に応じてその後濾過滅菌することによって調製することができる。一般的に、分散液は、基本分散培地と先に列挙したものからの他の必要な成分とを含有する滅菌媒体に治療剤を組み入れることによって調製される。滅菌注射液を調製するための滅菌粉末の場合、調整法は、予め濾過滅菌したその溶液から、活性成分(すなわち本開示の化合物)にさらなる所望の任意の成分を加えた粉末が得られる、真空乾燥および凍結乾燥である。
【0047】
1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩は、例えば不活性希釈剤または同化可能な食用担体と共に経口投与することができる。1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩および他の成分はまた、硬または軟シェルゼラチンカプセルに封入してもよく、錠剤に圧縮してもよく、対象の食事に直接組み入れてもよい。経口治療的投与の場合、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩は、賦形剤と共に組み入れ、摂取可能な錠剤、口腔内錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウェーハなどの形態で使用してもよい。組成物および調製物における1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の百分率は、当然変化してもよい。そのような治療的に有用な組成物における1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の量は、適切な用量が得られるような量である。
【0048】
したがって、本開示は、エアロゾル、経口および非経口投与向けの薬学的に許容される媒体中に、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩を含む医薬製剤を含む。また、本開示は、凍結乾燥されており、静脈内、筋肉内、または皮下注射によるような投与のための薬学的に許容される製剤を形成するように復元することができる、かかる化合物またはその塩を含む。投与はまた、皮内であっても経皮であってもよい。
【0049】
本開示によれば、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩は、固体として経口でもしくは吸入によって投与されてもよく、溶液、懸濁液、もしくは乳液として筋肉内もしくは静脈内に投与されてもよい。あるいは、その作用剤または塩はまた、リポソーム懸濁液として吸入により、静脈内に、または筋肉内に投与されてもよい。
【0050】
吸入によって、エアロゾルとしての投与に適した医薬組成物または医薬製剤も提供される。そのような製剤は、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の溶液もしくは懸濁液、または作用剤もしくは塩の複数の固体粒子を含む。所望の製剤を、小さいチャンバーに入れて噴霧してもよい。噴霧は、作用剤または塩を含む複数の液体
小滴または固体粒子を形成するように圧縮空気によりまたは超音波エネルギーにより行うことができる。液体小滴または固体粒子は、約0.5〜約5ミクロンの範囲内の粒子径を有させる。固体粒子は、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の固体作用剤を、微粉化によるなどの当業界で公知の適切な任意の方法で処理することにより得ることができる。固体粒子または小滴の大きさは、例えば約1から約2ミクロンであろう。この点で、この目的を達成するために市販のネブライザーが利用できる。
【0051】
エアロゾルとしての投与に適した医薬製剤は、液体の形態とすることができ、製剤は水を含む担体中に、1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の水溶性形態を含むことになる。噴霧に供した場合に所望の大きさの範囲内の小滴が形成されるように十分に製剤の表面張力を低下させる界面活性剤が存在してもよい。
【0052】
経口組成物としてはまた、液体溶液、乳剤、懸濁液などが挙げられる。そのような組成物の調製に適した薬学的に許容される媒体は、当業界で周知である。シロップ、エリキシル剤、乳剤および懸濁液の場合、典型的な担体成分としては、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体蔗糖、ソルビトール、および水が挙げられる。懸濁液の場合、典型的な懸濁剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、トラガカント、およびアルギン酸ナトリウムが挙げられ;典型的な湿潤剤としては、レシチンおよびポリソルベート80が挙げられ;ならびに典型的な保存剤としては、メチルパラベンおよび安息香酸ナトリウムが挙げられる。経口液体組成物はまた、先に開示した甘味料、着香料、および着色剤などの1つまたは複数の成分を含有してもよい。
【0053】
医薬組成物はまた、本作用剤は、所望の局所適用の近傍で、または所望の作用を持続させるように様々な時間で、消化管において放出されるように、従来の方法によって、一般的にはpHまたは時間依存的コーティングによってコーティングすることができる。そのような剤形は一般的に、それらに限定されないが、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニル酢酸フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース、ロウおよびシェラックの1つまたは複数を含む。
【0054】
1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の全身送達を得るのに有用な他の組成物としては、舌下、口腔内、および経鼻剤形が挙げられる。そのような組成物は、典型的には、蔗糖、ソルビトール、およびマンニトールなどの可溶性増量物質;ならびにアカシア、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの結合剤のうち1つまたは複数を含む。先に開示したグリダント、潤滑剤、甘味料、着色料、抗酸化剤、および着香料もまた含まれていてもよい。
【0055】
1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩はまた、例えば、対象の表皮もしくは上皮組織上にそれを含有する組成物を直接塗るもしくは塗り広げることによって、または「パッチ」によって経皮的に対象に局所投与することができる。そのような組成物は、例えば、ローション、クリーム、溶液、ゲル、および固体を含む。このような局所組成物は1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の有効量、通常少なくとも約0.1wt%、または約1wt%から約5wt%までさえ含むことができる。局所投与に適した担体は、一般的に、持続的な被膜として皮膚の所定位置に留まり、発汗または水への浸漬により除去されない。概して、担体は本質的に有機性であり、その中に治療剤を分散または溶解することができる。担体は、薬学的に許容されるエモリエント、乳化剤、増粘剤、溶媒などを含んでもよい。
【0056】
そのような作用剤の毒性および治療効力は、例えばLD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するた
めの、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定することができる。毒性効果と治療効果の用量比が、治療指数であり、LD50/ED50比として表記することができ、通常、より大きい治療指数がより有効である。毒性の副作用を示す化合物を使用することもあるが、侵されていない細胞に対し起こり得る損傷を最小限にして、それによって副作用を低減するために、かかる作用剤を、侵されている組織部位に標的化する送達系を設計するように注意しなければならい。
【0057】
適切な用量は、当業者の医師、獣医師、または研究者に理解できるいくつかの要因により異なると理解される。1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の用量は、例えば処置される対象または試料の性質、大きさ、および状態に応じて、該当する場合、組成物が投与される経路、および対象に及ぼしてほしいと当業者が所望する1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の効果にさらに応じて、変化するであろう。例示的用量として、対象または試料の重量1キログラムあたりミリグラムまたはマイクログラム量の1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩が挙げられる(例えば、約1マイクログラム/キログラム〜約500ミリグラム/キログラム、約100マイクログラム/キログラム〜約5ミリグラム/キログラム、または約1マイクログラム/キログラム〜約50マイクログラム/キログラム)。適切な用量は効力により異なるとさらに理解される。そのような適切な用量は、当業界で公知のアッセイを使用して決定することができる。1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩を動物(例えば、ヒト)に投与しようとする場合、医師、獣医師、または研究者は、例えば比較的低用量を最初に処方し、次いで適切な応答が得られるまで用量を増加させてもよい。さらに、特定の任意の動物対象向けの特有な用量レベルは、用いられる具体的化合物の活性、対象の年齢、体重、総合的健康状態、性別、および食事、投与期間、投与経路、排泄速度、ならびに任意の薬物併用を含む種々の要因により異なるであろうと理解される。
【0058】
サルコイドーシスを有する対象の場合、対象からの化合物のクリアランス速度に影響を及ぼす可能性があるクレアチニンクリアランス速度で例えば測定される、対象における腎機能の状態により用量が異なることもある。この場合、クレアチニンクリアランス速度がより低い対象は、クレアチニンクリアランス速度がより高い対象と比べると、より低い用量で特定の血漿濃度に達すると予想される。
【0059】
非経口組成物は、投与の容易さおよび投薬量の均一性のために単位剤形で製剤されてもよい。本明細書で使用されるとき、単位剤形とは、処置される対象にとって、単回の投薬量として適した物理的に分離した単位を指す;各単位は、必要な薬学的媒体を伴った、所望の治療効果を生じるように計算された1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の所定量を含有する。本開示の単位剤形の明細は、(a)治療剤の独自の特徴および達成される特定の治療効果、および(b)サルコイドーシスまたは関連疾患の処置のための1,3−プロパンジスルホン酸またはその薬学的に許容される塩の配合に関する当業界内の固有の限界によって決定されかつ直接に依存する。
【0060】
本開示の様々な態様を、以下の非限定的な実施例によって例示する。これらの実施例は、例示的な目的のためのものであり、本開示のいかなる実践においても限定ではない。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、変更および修正がなし得るということが理解されるであろう。当業者であれば、本明細書に記載の試薬および成分を合成する、または商業的に入手する方法を容易に知る。
【0061】
当業者は、本明細書に記載の具体的手順、実施形態、特許請求の範囲、および実施例に対する多数の均等物を単なる日常的な実験を使用して認識し、または確認することができるであろう。かかる均等物は本開示の範囲内であるとみなされ、本明細書に添付される特
許請求の範囲に含まれる。本出願を通して引用した全ての参考文献、発行済み特許、および公開された特許出願の内容は、参照により本明細書に組み入れられる。本開示は、さらに限定的であると解釈すべきではない以下の実施例によってさらに説明される。
【実施例】
【0062】
実施例1
THP−1細胞をPMA(ホルボール12−ミリステート13−アセテート(EMD Cat.♯524400))、SAA(血清アミロイドA(PeroTech Cat.#300−13))、および1,3−プロパンジスルホン酸(KIACTA C933(NRA610−01−CF))に曝した。プロトコルが図1に要約されている。SAA処理細胞を陽性対照として使用したが、SAAは炎症伝達物質、TNF、IL−18およびIL−10を増大させる。1,3−プロパンジスルホン酸を細胞培養に加え、TNF、IL−18およびIL−10レベルに対する影響を測定する。
【0063】
実施例2
実施例1に記載のプロトコルにおいて、5mg/ml以上の濃度で1,3−プロパンジスルホン酸は、THP−1細胞によるSAA誘導性の炎症伝達物質産生、IL−18産生を阻害する。
【0064】
実施例1に記載のプロトコルにおいて、2.5mg/ml以上の濃度で1,3−プロパンジスルホン酸は、THP−1細胞によるSAA誘導性の炎症伝達物質産生、IL−10産生を阻害する。
【0065】
実施例1に記載のプロトコルにおいて、1.25mg/ml以上の濃度で1,3−プロパンジスルホン酸は、THP−1細胞によるSAA誘導性の炎症伝達物質産生、IL−TNF産生を阻害する。
【0066】
実施例3
患者がサルコイドーシスと診断され、1,3−プロパンジスルホン酸が患者に投与される。その処置により、患者においてサルコイドーシスの症状が低減および/または緩和される。
【0067】
本開示の様々な修正が、本明細書に示され記載されたものに加え、上に記載の技術分野における当業者には明らかであろう。かかる修正もまた、添付された特許請求の範囲内であることが意図される。
【0068】
本明細書に記載の特許および公報は、本開示に関連する当業者のレベルを示す。これらの特許および公報は、各個々の出願または公報が参照により本明細書に具体的におよび個別的に組み込まれたのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
前述の説明は本開示の特定の実施形態を例示しているが、それらの実践に対する限定であることを意味しない。以下の請求項は、それらの全ての均等物を含め、本明細書に記載の発明の範囲を定義するよう意図されている。
図1