(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第1の実施形態>
[車両構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用制御装置のブロック図であり、車両1を制御する。
図1において、車両1はその概略が平面図と側面図とで示されている。車両1は一例としてセダンタイプの四輪の乗用車である。
【0011】
図1の制御装置は、制御システム2を含む。制御システム2は車内ネットワークにより通信可能に接続された複数のECU20〜29を含む。各ECUは、CPUに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェース等を含むコンピュータとして機能する。記憶デバイスにはプロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。各ECUはプロセッサ、記憶デバイスおよびインタフェース等を複数備えていてもよい。
【0012】
以下、各ECU20〜29が担当する機能等について説明する。なお、ECUの数や、担当する機能については適宜設計可能であり、本実施形態よりも細分化したり、あるいは、統合したりすることが可能である。
【0013】
ECU20は、車両1の自動運転に関わる制御を実行する。自動運転においては、車両1の操舵と、加減速の少なくともいずれか一方を自動制御する。後述する制御例では、操舵と加減速の双方を自動制御する。
【0014】
ECU21は、電動パワーステアリング装置3を制御する。電動パワーステアリング装置3は、ステアリングホイール31に対する運転者の運転操作(操舵操作)に応じて前輪を操舵する機構を含む。また、電動パワーステアリング装置3は操舵操作をアシストしたり、あるいは、前輪を自動操舵したりするための駆動力を発揮するモータや、操舵角を検知するセンサ等を含む。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU21は、ECU20からの指示に対応して電動パワーステアリング装置3を自動制御し、車両1の進行方向を制御する。また、ECU21は、車両1の停止時や操作主体の切り替え時などに操舵角の維持制御を行う。
【0015】
ECU22および23は、車両の周囲状況を検知する検知ユニット41〜43の制御および検知結果の情報処理を行う。検知ユニット41は、車両1の前方を撮影するカメラであり(以下、カメラ41と表記する場合がある。)、本実施形態の場合、車両1のルーフ前部でフロントウィンドウの車室内側に取り付けられる。カメラ41が撮影した画像の解析により、物標の輪郭抽出や、道路上の車線の区画線(白線等)を抽出可能である。
【0016】
検知ユニット42は、Light Detection and Ranging(LIDAR:ライダ)であり(以下、ライダ42と表記する場合がある)、車両1の周囲の物標を検知したり、物標との距離を測距したりする。本実施形態の場合、ライダ42は5つ設けられており、車両1の前部の各隅部に1つずつ、後部中央に1つ、後部各側方に1つずつ設けられている。検知ユニット43は、ミリ波レーダであり(以下、レーダ43と表記する場合がある)、車両1の周囲の物標を検知したり、物標との距離を測距したりする。本実施形態の場合、レーダ43は5つ設けられており、車両1の前部中央に1つ、前部各隅部に1つずつ、後部各隅部に一つずつ設けられている。さらに、
図1には不図示であるが、車両1は、検知ユニット43と併せて、音波を用いるソナーを備えてよい。ソナーは、車両1の前方、後方、側方それぞれの物標を検知する位置に複数が設置され、後述する駐車支援制御にて利用可能である。
【0017】
ECU22は、一方のカメラ41と、各ライダ42の制御および検知結果の情報処理を行う。ECU23は、他方のカメラ41と、各レーダ43の制御および検知結果の情報処理を行う。また、ECU22、23は、カメラ41にて取得した画像データに基づき、周辺画像を生成する。ここでの周辺画像としては、車両およびその周辺の平面視に相当する俯瞰画像や、車両およびその進行方向の周辺を情報から見た三次元画像に相当する鳥瞰画像などが挙げられる。車両の周囲状況を検知する装置を二組備えたことで、検知結果の信頼性を向上でき、また、カメラ、ライダ、レーダ、ソナーといった種類の異なる検知ユニットを備えたことで、車両の周辺環境の解析を多面的に行うことができる。
【0018】
ECU24は、ジャイロセンサ5、GPSセンサ24b、通信装置24cの制御および検知結果あるいは通信結果の情報処理を行う。ジャイロセンサ5は車両1の回転運動を検知する。ジャイロセンサ5の検知結果や、車輪速等により車両1の進路を判定することができる。GPSセンサ24bは、車両1の現在位置を検知する。通信装置24cは、地図情報や交通情報を提供するサーバと無線通信を行い、これらの情報を取得する。ECU24は、記憶デバイスに構築された地図情報のデータベース24aにアクセス可能であり、ECU24は現在地から目的地へのルート探索等を行う。
【0019】
ECU25は、車車間通信用の通信装置25aを備える。通信装置25aは、周辺の他車両と無線通信を行い、車両間での情報交換を行う。
【0020】
ECU26は、パワープラント6を制御する。パワープラント6は車両1の駆動輪を回転させる駆動力を出力する機構であり、例えば、エンジンと変速機とを含む。ECU26は、例えば、アクセルペダル7Aに設けた操作検知センサ7aにより検知した運転者の運転操作(アクセル操作あるいは加速操作)に対応してエンジンの出力を制御したり、車速センサ7cが検知した車速等の情報に基づいて変速機の変速段を切り替えたりする。変速機の変速段の数や種類は特に限定するものではない。例えば、シフトポジションとしては、パーキング(P)レンジ、リバース(R)レンジ、ニュートラル(N)レンジ、ドライブ(D)レンジなどが挙げられる。車両1の運転状態が手動運転の場合、変速機の変速段は、シフトレバー(不図示)の操作により切り替えが行われる。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU26は、ECU20からの指示に対応してパワープラント6を自動制御し、車両1の加減速を制御する。
【0021】
ECU27は、方向指示器8(ウィンカー)を含む灯火器(ヘッドライト、テールライト等)を制御する。
図1の例の場合、方向指示器8は車両1の前部、ドアミラーおよび後部に設けられている。
【0022】
ECU28は、入出力装置9の制御を行う。入出力装置9は運転者に対する情報の出力と、運転者からの情報の入力の受け付けを行う。音声出力装置91は運転者に対して音声(文言)により情報を報知する。表示装置92は運転者に対して画像の表示により情報を報知する。表示装置92は例えば運転席正面に配置され、インストルメントパネル等を構成する。なお、ここでは、音声と表示を例示したが振動や光により情報を報知してもよい。また、音声、表示、振動または光のうちの複数を組み合わせて情報を報知してもよい。更に、報知すべき情報のレベル(例えば緊急度)に応じて、組み合わせを異ならせたり、報知態様を異ならせたりしてもよい。
【0023】
入力装置93は運転者が操作可能な位置に配置され、車両1に対する指示を行うスイッチ群であるが、音声入力装置も含まれてもよい。入力装置93を構成するスイッチ群の構成は、車両1の機能に応じて設定されてよい。また、本実施形態では、入力装置93として、ECU22、23により生成された各種画像を表示するタッチパネルディスプレイを備える。
【0024】
ECU29は、ブレーキ装置10やパーキングブレーキ(不図示)を制御する。ブレーキ装置10は例えばディスクブレーキ装置であり、車両1の各車輪に設けられ、車輪の回転に抵抗を加えることで車両1を減速あるいは停止させる。ECU29は、例えば、ブレーキペダル7Bに設けた操作検知センサ7bにより検知した運転者の運転操作(ブレーキ操作)に対応してブレーキ装置10の作動を制御する。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU29は、ECU20からの指示に対応してブレーキ装置10を自動制御し、車両1の減速および停止を制御する。ブレーキ装置10やパーキングブレーキは車両1の停止状態を維持するために作動することもできる。また、パワープラント6の変速機がパーキングロック機構を備える場合、これを車両1の停止状態を維持するために作動することもできる。
【0025】
車両1は、車内の状態を検出する車内検出手段50を更に備える。ここでは、車内検出手段50として、撮像部としてのカメラや、重量センサ、温度検知センサなどにより構成され、その種類は特に限定するものではない。なお、車内検出手段50は、車両1に設けられた座席ごとに設けられてもよいし、車内全体を俯瞰および監視可能なように単一の構成にて設けられてもよい。
【0026】
[制御機能の例]
本実施形態に係る車両1の制御機能は、車両1の駆動、制動、操舵の制御に関わる走行関連機能と、運転者に対する情報の報知に関わる報知機能と、を含む。
【0027】
走行関連機能としては、例えば、車線維持制御、車線逸脱抑制制御(路外逸脱抑制制御)、車線変更制御、前走車追従制御、衝突軽減ブレーキ制御、誤発進抑制制御、駐車支援制御を挙げることができる。報知機能としては、隣接車両報知制御、前走車発進報知制御、周辺物標報知制御を挙げることができる。また、報知機能は、音声、画像、映像などにより行われてよく、またこれらを組み合わせて行われてよい。
【0028】
車線維持制御とは、車線に対する車両の位置の制御の一つであり、車線内に設定した走行軌道上で車両を自動的に(運転者の運転操作によらずに)走行させる制御である。車線逸脱抑制制御とは、車線に対する車両の位置の制御の一つであり、白線または中央分離帯を検知し、車両が線を超えないように自動的に操舵を行うものである。車線逸脱抑制制御と車線維持制御とはこのように機能が異なっている。
【0029】
車線変更制御とは、車両が走行中の車線から隣接車線へ車両を自動的に移動させる制御である。前走車追従制御とは、自車両の前方を走行する他車両に自動的に追従する制御である。衝突軽減ブレーキ制御とは、車両の前方の障害物との衝突可能性が高まった場合に、自動的に制動して衝突回避を支援する制御である。誤発進抑制制御は、車両の停止状態で運転者による加速操作が所定量以上の場合に、車両の加速を制限する制御であり、急発進を抑制する。
【0030】
駐車支援制御とは、指定された領域(停止位置)に対して、移動経路を特定し、車両1を自動的に移動させ停止状態とする制御である。本実施形態では、駐車支援制御として、走行している位置から駐車位置へ入庫する入庫制御と、駐車位置から走行可能な位置へ出庫する出庫制御の両方を対象として説明を行う。
【0031】
隣接車両報知制御とは、自車両の走行車線に隣接する隣接車線を走行する他車両の存在を運転者に報知する制御であり、例えば、自車両の側方、後方を走行する他車両の存在を報知する。前走車発進報知制御とは、自車両およびその前方の他車両が停止状態にあり、前方の他車両が発進したことを報知する制御である。周辺物標報知制御とは、自車両の周辺において、物標を検知した際に行われる報知制御である。ここで検知範囲は、自車両の進行方向や、その時点での制御内容に応じて自車両が位置しようとする(移動しようとする)と想定される範囲に存在する物標を対象としてよい。これらの報知は上述した車内報知デバイスにより行うことができる。
【0032】
[操舵角維持]
本実施形態では、上述したような走行支援制御が完了した場合において、その完了時点における操舵角を維持し、システムから運転者に対して操作主体の受け渡しが容易になる構成について説明する。ここでは、走行支援制御の例として、駐車支援制御において出庫動作を完了した状況を例に挙げて説明するが、これに限定するものではない。例えば、そのほかの走行支援制御を対象としてもよいし、何らかの理由により走行支援制御が中断した際に適用してもよい。なお、本実施形態では、説明を簡単にするため、ステアリング軸の角度である操舵角と、前輪の角度である実舵角をまとめて「操舵角」として説明を行う。
【0033】
例えば、駐車支援制御において出庫動作が完了した後に、その完了時点の操舵角の維持を解除(開放)した場合、ステアリングの構造、物体や車軸のねじれ、タイヤにおける摩擦状態などに起因して操舵角(および、ハンドル)の戻りが生じる。この戻りにより運転者は受け渡し時および受け渡し後の操作において違和感が生じることがある。また、ハンドルを左に切った状態で走行支援制御が完了していた場合、その時点の操舵角を維持することでその後の走行動作をスムーズに行うことが可能となる。言い換えると、操舵角の維持が行われていない場合には、運転支援制御の完了時の操舵角から変化が生じ、その後の運転者による操舵角の調整など運転者の操作に手間が生じうる。上記を考慮し、本実施形態では、操舵角の維持制御を行う。
【0034】
図2は、車両201が駐車場などにおいて駐車領域から出庫する状況を説明するための図である。
図2(a)において、車両201は、駐車領域にて駐車しており、出庫の際の方向として、直進、右折、左折が選択可能であるとする。本実施形態に係る駐車支援制御における出庫動作は、運転者等の指示に基づき、駐車位置から所定の停止位置まで自動で移動するものとする。
【0035】
図2(b)は、駐車支援制御の出庫動作が完了し、停止位置にて停止している状態を示す。ここでは、運転者により右折による出庫が指示されたことに応じて、出庫動作が完了したものとする。この時点では、ステアリングは時計回りに回転させることで右折が行われている。このとき、例えば、ブレーキ装置10を制御して車両201の停止状態が維持される。
【0036】
図3は、本実施形態に係る舵角維持制御処理のフローチャートである。本処理フローは、例えば、車両1が備える各ECUが連携して処理を行うものとし、ここでは説明を簡略化するために、処理主体を走行支援システムとして動作可能な制御システム2として包括的に示す。また、本実施形態において、本処理フローは、車両1の走行支援制御の実行と併せて実行される。
【0037】
S301にて、制御システム2は、走行支援制御指示を受け付けたか否かを判定する。本実施形態において、走行支援指示は、運転者による操作に基づいて行われるものとする。例えば、上述したような駐車支援制御における出庫動作の指示を車両1が備えるスイッチ群などを介して受け付け可能であるとする。走行支援制御指示を受け付けた場合(S301にてYES)S302へ進み、受け付けていない場合(S301にてNO)受け付けるまで待機する。
【0038】
S302にて、制御システム2は、S301にて受け付けた指示に基づき、走行支援制御を開始する。走行支援制御は、上述したように駐車支援制御などが挙げられる。
【0039】
S303にて、制御システム2は、実行中の走行支援制御が中断したか否かを判定する。ここでの中断理由は、運転者の指示によるものであってもよいし、周辺環境の変化に基づいてシステム側で制御していてもよい。走行支援制御が中断した場合(S303にてNO)S304へ進み、中断していない場合(S303にてYES)S309へ進む。
【0040】
S304にて、制御システム2は、走行支援制御が完了したか否かを判定する。例えば、実行中の走行支援制御が駐車支援制御の出庫動作である場合、所定の出庫位置に車両1が到達したか否かを判定する。走行支援制御が完了した場合(S304にてYES)S305へ進み、完了していない場合(S304にてNO)S303へ戻り、走行支援制御を継続する。
【0041】
S305にて、制御システム2は、走行支援制御の完了に伴い、車両1の停止制御を行う。ここでの停止制御は、例えば、ブレーキ装置10に対するブレーキ操作により行われ、停止状態へと遷移する。
【0042】
S306にて、制御システム2は、走行支援制御の完了時における操舵角が所定の閾値以上か否かを判定する。ここでの操舵角に対する閾値についての詳細は、
図4および
図5を用いて後述する。操舵角が所定の閾値以上である場合(S306にてYES)S307へ進み、所定の閾値未満である場合(S306にてNO)S308へ進む。
【0043】
S307にて、制御システム2は、操舵角の維持制御を行う。例えば、電動パワーステアリング装置3を用いて、走行支援制御完了時における操舵角を維持するように制御する。このとき、操舵角の維持制御が行われていることを表示装置92による表示や、音声などにより報知を行う構成であってよい。そして、S308へ進む。
【0044】
S308にて、制御システム2は、S301にて指示された走行支援制御が完了したことを通知する。ここでの通知は、表示装置92にて行ってもよいし、音声などにより行ってもよい。そして、S313へ進む。
【0045】
S309にて、制御システム2は、走行支援制御の中断に伴い、車両1の停止制御を行う。ここでの停止制御は、例えば、ブレーキ装置10に対するブレーキ操作により行われ、停止状態へと遷移する。S305とS309それぞれの停止制御の内容は同一であってもよいし、異なっていてもよい。つまり、走行支援制御が正常に完了した場合と中断した場合の停止状態はそれぞれ異なっていてよい。
【0046】
S310にて、制御システム2は、走行支援制御の中断時における操舵角が所定の閾値以上か否かを判定する。ここでの操舵角に対する閾値についての詳細は、
図4および
図5を用いて後述する。操舵角が所定の閾値以上である場合(S310にてYES)S311へ進み、所定の閾値未満である場合(S310にてNO)S312へ進む。
【0047】
S311にて、制御システム2は、操舵角の維持制御を行う。例えば、電動パワーステアリング装置3を用いて、走行支援制御中断時における操舵角を維持するように制御する。このとき、操舵角の維持制御が行われていることを表示装置92による表示や、音声などにより報知を行う構成であってよい。そして、S308へ進む。
【0048】
S312にて、制御システム2は、S301にて指示された走行支援制御が何らかの理由により中断したことを通知する。ここでの通知は、表示装置92にて行ってもよいし、音声などにより行ってもよい。そして、S313へ進む。
【0049】
S313にて、制御システム2は、運転者による操舵操作が行われたか否かを判定する。ここでの操舵操作は、ハンドル把持であってもよいし、ハンドル操作であってもよい。操舵操作が行われた場合(S313にてYES)S315へ進み、操舵操作が行われていない場合は(S313にてNO)S314へ進む。
【0050】
S314にて、制御システム2は、運転者によるブレーキ操作が行われたか否かを判定する。ここでのブレーキ操作はブレーキペダル7Bに対する操作であってもよいし、パーキングブレーキの操作であってもよい。もしくは、シフトポジションをパーキングレンジへの変更であってもよい。この場合、変速機のパーキングロック機構を利用して一定の停止状態を維持することが可能である。ブレーキ操作が行われた場合(S314にてYES)S315へ進み、ブレーキ操作が行われていない場合(S314にてNO)S313へ戻り、停止状態を維持しつつ、運転者による操作を待ち受ける。
【0051】
S315にて、制御システム2は、S307やS311により操舵角の維持が行われているか否かを判定する。操舵角の維持が行われている場合(S315にてYES)S316へ進み、操舵角の維持が行われていない場合(S315にてNO)S317へ進む。
【0052】
S316にて、制御システム2は、実行している操舵角の維持を解除する。これにより、運転者はハンドルに対する操作の制限が解除される。操舵角の維持の解除が行われた場合でも、停止状態は維持されてよい。なお、操舵角の維持の解除は、運転者により操舵操作のみを受け付けた場合(S313にてYES)には停止状態の維持は継続されてよい。一方、運転者によりブレーキ操作が行われた場合(S314にてYES)には、運転者による制動操作が引き継がれるものとして、システム側による停止状態の維持も同時に解除してもよい。また、操舵角の維持が解除されたことを表示装置92による表示や、音声などにより報知を行う構成であってよい。そして、S317へ進む。
【0053】
S317にて、制御システム2は、運転者の指示に基づき動作状態を移行させる。例えば、手動運転に切り替えてもよい。そして、本処理フローを終了する。
【0054】
なお、上記の処理フローでは、S306およびS310にて、操舵角の判定を行っているが、この判定を行わずに常に操舵角の維持制御を行うような構成であってもよい。つまり、停止制御(S305やS309)が行われた場合は、操舵角維持制御(S307やS311)を行うような構成であってよい。この構成の場合には、S315の判定処理も省略されることとなる。
【0055】
[操舵角維持の実行判定]
図3のS306やS310にて行われる判定処理について説明する。
図4は、車両401において、前輪402が操舵操作により切り替わる状態を示す。
図4(a)は車両401が直進する際の前輪402の状態を示す。また、
図4(b)は前輪402の向きが正面方向に対して右側にα1の角度の分、傾いている。
図4(c)は前輪402の向きが正面方向に対して右側にα2の角度の分、傾いている。このとき、α1<α2となる。本実施形態では、この操舵角に対して閾値を設け、
図3のS306やS310にて行われる判定処理にて用いてよい。例えば、α1までの傾きであれば操舵角維持制御は行わず、α1以上の傾きであれば操舵角維持制御を行うような構成であってよい。これは、左右方向のいずれの傾きにおいて同様であってよい。
【0056】
判定処理の別の例について説明する。
図5は、本実施形態に係る車両1に備えられるハンドル501の概要構成を示す図である。ハンドル501は、時計回りもしくは反時計回りに回転操作が可能である。ここで、左右それぞれに対する回転角に対して閾値を設け、
図3のS306やS310にて行われる判定処理にて用いてよい。例えば、左右の回転角においてα3未満の範囲であれば操舵角維持制御は行わず、α3以上の回転角であれば操舵角維持制御を行うような構成であってよい。
【0057】
また、走行支援制御が正常完了した場合の閾値(
図3のS306)と走行支援制御が中断した場合の閾値(
図3のS310)とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、
図4の操舵角と
図5のハンドルの回転角の両方を考慮して判定を行うような構成であってもよい。
【0058】
上記の例では、走行支援制御の例として駐車支援制御の出庫動作を例に挙げて説明した。一方、駐車支援制御の入庫動作の場合には、車両の停止後に運転者による運転は行われないことが想定される。そのため、駐車支援制御の入庫動作の完了時には、操舵角の維持制御は行わないような構成であってもよい。なお、入庫動作であっても、縦列駐車の場合には、操舵角の維持を行っていた方が適切である場合がある。その場合には、上記のような操舵角の維持制御を行ってもよい。
【0059】
また、上記の例では、走行支援制御完了時の操舵角に基づいて操舵角維持制御を行うか否かを決定する形態(
図3のS306)について説明したが、これに限定するものではない。例えば、S305にて行った停止制御の内容に応じて、操舵角維持制御を行うか否かを決定してもよい。例えば、S305の停止制御において、ブレーキ制御により停止状態を維持するような停止制御を行った場合には、操舵角維持制御を行うような構成であってよい。一方、S305の停止制御において、ブレーキ制御に加え、シフトポジションをパーキングレンジに変更したり、パーキングブレーキによる制動制御を行ったりして停止状態を維持するような制御を行った場合は、操舵角維持制御を行わないような構成であってよい。つまり、以降の車両の動作として、走行ではなく駐車が行われると想定される場合には、操舵角の維持を行わないような構成であってよい。
【0060】
以上、本実施形態により、駐車支援制御が完了した際のシステム側から運転者への制御主体が切り替わる場合における運転者への適切な受け渡しが可能となる。例えば、狩猟運転に切り替える際の適切な操舵角の状態で運転者が運転操作を開始することが可能となる。
【0061】
<実施形態のまとめ>
1.上記実施形態の走行支援システムは、車両(例えば、1)の走行支援システム(例えば、2)であって、
前記車両の周辺の情報を検出する検出手段(例えば、41〜43)と、
前記検出手段にて検出された情報に基づいて、
駐車支援制御を行う制御手段(例えば、2)と、
前記制御手段による
駐車支援制御が完了または中断した際に前記車両を停止させる停止制御手段(例えば、2、3)と
を有し、
前記停止制御手段は、
前記停止を行っている間、前記
駐車支援制御が完了または中断した際の操舵角を維持するように操舵制御を行
い、
前記駐車支援制御の入庫動作の完了時には操舵角の維持を解除し、出庫動作完了時には操舵角の維持を行う。
【0062】
この実施形態によれば、
駐車支援制御が完了もしくは中断により車両が停止した際のシステム側から運転者への制御主体が切り替わる場合における運転者への適切な受け渡しが可能となる。
また、この実施形態によれば、駐車支援制御における出庫動作/入庫動作に応じて、操舵角の維持を適切に切り替えることが可能となる。
【0063】
2.上記実施形態では、前記停止制御手段は、
ブレーキ制御により停止状態を維持している場合には、操舵角の維持を行い、
パーキングレンジによる制動またはパーキングブレーキにより停止状態を維持している場合には、操舵角の維持を解除する。
【0064】
この実施形態によれば、停止状態に応じて操舵角の維持の実行を切り替えることができる。例えば、手動運転に切り替えて運転者による操作が行われるような状態である場合には操舵角を維持して適切な状態で運転者に引き継ぐことができ、一方、車両の停止状態から発進せずに駐車となる場合には不要な操舵角維持の負荷を削減することが可能となる。
【0067】
3.上記実施形態では、前記停止制御手段は、前記停止を行っている間に操舵操作を受け付けた場合には操舵角の維持を解除して、前記停止を継続させる。
【0068】
この実施形態によれば、運転者による操舵操作に起因して不意の発進を抑制しつつ、運転者に対して操舵操作を適切に引き継ぐことが可能となる。
【0069】
4.上記実施形態では、前記停止制御手段は、前記
駐車支援制御が完了または中断した際の操舵角に応じて、操舵角の維持を行うか否かを決定する。
【0070】
この実施形態によれば、
駐車支援制御が完了または中断した際の操舵角に応じて操舵角の維持を行うか否かを判定するため、不要な操舵角維持の負荷を削減することが可能となる。
【0071】
5.上記実施形態の走行支援システムの制御方法は、車両(例えば、1)の走行支援システム(例えば、2)の制御方法であって、
前記車両の周辺の情報を検出手段(例えば、41〜43)により検出する検出工程と、
前記検出手段にて検出された情報に基づいて、
駐車支援制御を行う制御工程と、
前記制御工程における
駐車支援制御が完了または中断した際に前記車両を停止させる停止制御工程と
を有し、
前記停止制御工程において、
前記停止を行っている間、前記
駐車支援制御が完了または中断した際の操舵角を維持するように操舵制御を行
い、
前記駐車支援制御の入庫動作の完了時には操舵角の維持を解除し、出庫動作完了時には操舵角の維持を行う。
【0072】
この実施形態によれば、
駐車支援制御が完了もしくは中断により車両が停止した際のシステム側から運転者への制御主体が切り替わる場合における運転者への適切な受け渡しが可能となる。
また、この実施形態によれば、駐車支援制御における出庫動作/入庫動作に応じて、操舵角の維持を適切に切り替えることが可能となる。
【0073】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。