特許第6963114号(P6963114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6963114伸縮可能なスライドドア用リニアモータ構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963114
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】伸縮可能なスライドドア用リニアモータ構造
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/60 20150101AFI20211025BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   E05F15/60
   E05D15/06 119
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-541956(P2020-541956)
(86)(22)【出願日】2018年9月25日
(65)【公表番号】特表2021-512243(P2021-512243A)
(43)【公表日】2021年5月13日
(86)【国際出願番号】CN2018107201
(87)【国際公開番号】WO2019148858
(87)【国際公開日】20190808
【審査請求日】2020年8月5日
(31)【優先権主張番号】201810105577.7
(32)【優先日】2018年2月2日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201820182464.2
(32)【優先日】2018年2月2日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520147083
【氏名又は名称】中山市欧派克五金製品有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHONGSHAN OPIKE HARDWARE PRODUCTS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】許 姜▲とく▼
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0260577(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/062834(WO,A1)
【文献】 特表2002−516059(JP,A)
【文献】 特開2006−016865(JP,A)
【文献】 特開2005−253194(JP,A)
【文献】 特開平11−324486(JP,A)
【文献】 特開2010−031475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00 − 15/79
E05D 15/00 − 15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部及び可動部を含む可動子アセンブリを備え、前記固定部は、永久磁石と当該永久磁石の下に位置する溝穴とを有し、前記可動部は、前記溝穴の一端からスライド可能に挿入する伸縮ロッドと、前記可動子アセンブリの動きを出力することができる動き出力部とを有し、前記可動部と前記固定部とは締め具を介して固定されることを特徴とする伸縮可能なスライドドア用リニアモータ構造。
【請求項2】
前記固定部は、上部と下部に分かれ、前記上部の長さは前記下部の長さよりも長く、前記上部と前記下部との間には前記伸縮ロッドを挿入させるための前記溝穴が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮可能なスライドドア用リニアモータ構造。
【請求項3】
前記伸縮ロッドは、一端が前記溝穴に挿入され、他端がガイドプーリーに連結され、当該ガイドプーリーの上部は前記溝穴内でスライド可能で、前記固定部の下部の端部までスライドすることができ、前記ガイドプーリーの両側にはプーリーが設けられ、前記動き出力部は前記ガイドプーリーの中央に配置されることを特徴とする請求項2に記載の伸縮可能なスライドドア用リニアモータ構造。
【請求項4】
前記固定部の他端には伸縮ロッドのない独立ガイドプーリーが設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の伸縮可能なスライドドア用リニアモータ構造。
【請求項5】
前記独立ガイドプーリーは、両側にプーリーが取り付けられた取付ブロックを有し、前記取付ブロックの上部の両側には、可動子アセンブリの長さ方向に沿って可動子アセンブリの異なる位置に挿入できる挿入部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の伸縮可能なスライドドア用リニアモータ構造。
【請求項6】
前記独立ガイドプーリーと前記溝穴との間には、独立ホイールセットがさらに設けられ、前記独立ホイールセットの上部は、前記溝穴内にスライド可能に配置され、前記独立ホイールセットの両側にはプーリーがそれぞれ設けられ、且つ、前記固定部と互いに固定できる固定穴を有していることを特徴とする請求項4に記載の伸縮可能なスライドドア用リニアモータ構造。
【請求項7】
前記可動部は、2つあり、それぞれ左端と右端から前記溝穴に挿入されることを特徴とする請求項1に記載の伸縮可能なスライドドア用リニアモータ構造。
【請求項8】
前記伸縮ロッドは、前記動き出力部をスライド可能に挿入させる溝部位を有していることを特徴とする請求項7に記載の伸縮可能なスライドドア用リニアモータ構造。
【請求項9】
前記動き出力部は、垂直ロッドと水平バーとを備え、前記水平バーは前記伸縮ロッドの溝部位に挿入できることを特徴とする請求項8に記載の伸縮可能なスライドドア用リニアモータ構造。
【請求項10】
前記水平バーにはネジ穴が設けられ、前記ネジ穴には前記動き出力部と前記伸縮ロッドを固定するためのネジが取り付けられることを特徴とする請求項9に記載の伸縮可能なスライドドア用リニアモータ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアモータ構造に関し、特に、伸縮可能なスライドドア用リニアモータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
リニアモータは、通常、ステーターアセンブリと可動子アセンブリとを備え、ステーターアセンブリはレールの上に取り付けて固定され、可動子アセンブリは、ステーターアセンブリの下に平行に取り付けられ、ステーターアセンブリとの間に一定のギャップを有する永久磁石を備えている。作動中、コントローラーによってステーターアセンブリに流れる電流を変化させ、電磁誘導の原理により、レール内で左右スライドするように永久磁石を備える可動子アセンブリを駆動することができ、そして可動子アセンブリをドア本体に連結させ、その動きをドア本体に伝達すると、ドア本体の開閉を実現することができる。従来技術では、可動子アセンブリは通常調整不可能であり、一旦決定されると、特定の幅のドア枠にのみ適用可能であり、異なる幅の他のドア枠については、対応する可動子アセンブリを改めて製造することしかない。つまり、従来技術における可動子アセンブリの適用可能な機会は固定されており、様々なドア枠の幅に対応できない。そのため、製造業者は製造中に各種類のドア枠の幅に対して可動子アセンブリの仕様をそれぞれ設計しなければならない。よって、多種多様で高コストである等の欠点が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服し、従来技術を改善した伸縮可能なスライドドア用リニアモータ構造を提供することである。従って、本発明は新規な設計及び合理的な構造を有し、可動子アセンブリの長さを柔軟に調整できるため、様々なドア枠の幅への使用に適応することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は以下の技術的手段を提供している。
【0005】
伸縮可能なスライドドア用リニアモータ構造は、固定部及び可動部を含む可動子アセンブリを備え、固定部は、永久磁石と当該永久磁石の下に位置する溝穴とを有し、可動部は、溝穴の一端からスライド可能に挿入する伸縮ロッドと、可動子アセンブリの動きを出力することができる動き出力部とを有し、可動部と固定部とは締め具を介して固定される。
【0006】
従来技術では、可動子アセンブリは通常調整不可能であり、一旦決定されると、特定の幅のドア枠にのみ適用可能であり、異なる幅の他のドア枠については、対応する可動子アセンブリを改めて製造することしかない。つまり、従来技術における可動子アセンブリの適用可能な機会は固定されており、様々なドア枠の幅に対応できない。そのため、製造業者は製造中に各種類のドア枠の幅に対して可動子アセンブリの仕様をそれぞれ設計しなければならない。よって、多種多様で高コストである等の欠点が生じる。この問題を解決するために、本発明では伸縮可能なスライドドア用リニアモータ構造を設計し、具体的に、伸縮可能な可動子アセンブリを設計した。当該可動子アセンブリは、固定部と可動部とを備え、永久磁石は固定部に取り付けられ、その一部が外部に露出し、この露出した部分がステーターアセンブリの真下に位置し、使用時に、ステーターアセンブリに通電されると、電磁誘導の原理により、当該ステーターアセンブリの下に位置する可動子アセンブリの固定部は磁場の力の下でレールに沿って左右に移動する。永久磁石の下には溝穴がさらに設けられ、可動部の伸縮ロッドは当該溝穴内に挿入されて、当該溝穴内で左右にスライドでき、可動部はさらに動き出力部を備え、当該動き出力部はドア本体と連結され、可動子アセンブリの動きをドア本体に出力することができる。固定部は磁場の力の下で左右にスライドし、可動部は伸縮ロッドを介して固定部の溝穴内に挿入されるため、固定部のスライドを可動部に伝達するためには、締め具により可動部と固定部を連結し固定する必要がある。
【0007】
このように、ドア枠の幅が異なる場合は、伸縮ロッドの溝穴内に挿入される長さを調整するだけで、可動子アセンブリの伸縮を実現することができる。即ち、ドア枠の幅が広い場合は、伸縮ロッドを溝穴内から比較的多く引き出し、ドア枠の幅が狭い場合は、伸縮ロッドを溝穴から比較的少なく引き出せばよい。つまり、必要に応じて溝穴から引き出される伸縮ロッドの長さを柔軟に調整することができ、それによって、可動子アセンブリはドア枠の幅が異なる様々な場面に適用でき、優れた汎用性を有する。伸縮ロッドの長さが特定の状況に応じて調整されたら、締め具を使用して可動部と固定部を連結及び固定することができ、可動部と固定部のスライドを同期させることができる。これによって、当該スライドを可動部における動き出力部を介してドア本体にさらに伝達することができ、ドア本体が伴に開閉される。
【0008】
また、一実施例において、固定部は、上部と下部に分かれ、その固定部の上部の長さは固定部の下部の長さよりも長く、上部と下部との間には伸縮ロッドを挿入させるための溝穴が形成される。このような配置の目的は、可動部の動き出力部が固定部の上部の下にスライドし、固定部の下部の端部に接触できるようにすることである。これにより、可動子アセンブリ全体の長さをさらに短くできるため、より狭いドア枠に適用させ、可動子アセンブリの適応性を最大化することができる。
【0009】
さらに、伸縮ロッドは、一端が溝穴に挿入され、他端がガイドプーリーに連結され、当該ガイドプーリーの上部は溝穴内でスライド可能で、前記固定部の下部の端部までスライドすることができ、前記ガイドプーリーの両側にはプーリーが設けられ、動き出力部はガイドプーリーの中央に配置される。
【0010】
また、伸縮ロッドの一端は溝穴に挿入され、実際の必要に応じて溝穴から引き出される長さを調整することで、可動子アセンブリの伸縮機能を実現する。伸縮ロッドの他端はガイドプーリーに連結され、当該ガイドプーリーの上部は溝穴内でスライド可能で、ドア枠が狭い場合、ガイドプーリーは伸縮ロッドに伴って溝穴内でスライドし、固定部の下部の端部までスライドして固定部の上部の下に位置することができる。これにより、可動子アセンブリはより狭いドア枠に適応することができる。また、動き出力部はガイドプーリーの中央に配置され、使用時に、当該動き出力部とドア本体は連結され、ガイドプーリーが伸縮ロッドに伴ってレールをスライドすると、それに連結されているドア本体が同期してスライドするように駆動する。ガイドプーリーの両側にはプーリーがさらに設けられ、一方はレール上をスライドしてドア本体をガイドし、もう一方はドア本体の重量も支える。
【0011】
さらに、固定部の他端には伸縮ロッドのない独立ガイドプーリーが設けられている。前述のように、伸縮ロッドと連結されるガイドプーリーはその動き出力部を介してドア本体の一端に連結され、バランスを保つために、ドア本体の他端も同様に連結する必要があり、具体的な方法として、固定部の他端に独立ガイドプーリーを設け、当該独立ガイドプーリーは取付ブロックを含み、取付ブロックの両側にはプーリーが取り付けられ、取付ブロックの上部の両側には、可動子アセンブリの長さ方向に沿って可動子アセンブリの異なる位置に挿入できる挿入部が対称的に設けられる。このように、ドア枠が狭い場合、独立ガイドプーリーの上部は溝穴内にスライドして入ることができ、ドア枠が広い場合、独立ガイドプーリーの上部は溝穴から外れて固定部の一端から離れた位置でドア本体と連結することができる。つまり、固定部の他端に伸縮ロッドのない独立ガイドプーリーを設けると、固定部の長さの制限を打ち破り、適応可能なドア枠の幅をさらに広げることができる。
【0012】
また、独立ガイドプーリーと固定部の下部との間には、独立ホイールセットの上部がさらに設けられ、当該独立ホイールセットは、溝穴内にスライド可能に配置され、その前後両側にはプーリーがそれぞれ設けられ、且つ、固定部と互いに固定できる固定穴を有する。固定部の上部の長さが固定部の下部の長さよりも長いため、独立ガイドプーリーの上部が溝穴内にある場合、独立ガイドプーリーは固定部の上部をある程度支え、その変形を防止する。独立ガイドプーリーの上部が溝穴から外れると、固定部の上部の部分は固定部の下部の部分より長くて支えられていない状態となり、経時変形の恐れがある。この問題を解決するために、当該部分に1つの独立ホイールセットを設けて、固定部の上部を支持し、その変形を防止する。独立ホイールセットの上部は溝穴をスライドすることができる。ドア枠が狭く、独立ガイドプーリーの上部が溝穴にスライドして入ると、当該独立ホイールセットを固定部の下部の端部までスライドさせて、独立ガイドプーリーのためのスペースを作ることができる。ドア枠が広く、独立ガイドプーリーの上部が溝穴から外れると、独立ホイールセットを溝穴の外端に向けてスライドさせ、固定部の上部を支持することができる。独立ホイールセットにはさらに固定穴が設けられ、その位置の調整が完了すると、当該固定穴を介して固定部に連結固定でき、溝穴内での自由なスライドを防止する。また、独立ホイールセットの両側にはプーリーがさらにそれぞれ設けられ、固定部を良好にレール上をスライドさせることができる。
【0013】
さらに、他の実施例において、可動部は、2つあり、それぞれ左端と右端から溝穴に挿入される。本実施例では、2つの可動部はいずれも伸縮ロッドと動き出力部を備え、左右対称の状態にある。使用時に、ドア枠の実幅に合わせてそれぞれ左右の2つの可動部を溝穴から同時に一定の長さまで引き出し、ドア枠が広い場合、比較的長く引き出し、ドア枠が狭い場合、比較的短く引き出す。このような調整によって様々な幅のドア枠に適用させることができる。
【0014】
また、伸縮ロッドは、動き出力部をスライド可能に挿入させる溝部位を有している。
【0015】
さらに、本実施例において、動き出力部は、垂直ロッドと水平バーを含むT字形構造であり、当該垂直ロッドはドア本体と連結するためのものであり、可動子アセンブリの動きをドア本体に出力して、ドア本体と共にスライドするように駆動する。水平バーは伸縮ロッドの溝部位に挿入して伸縮ロッドと一体に固定するためのものである。
【0016】
また、水平バーと伸縮ロッドの固定の具体的な方法として、水平バーにネジ穴を設け、ネジ穴にネジを配置し、固定する必要がある場合、当該ネジを締めればよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施例又は従来技術の技術的手段を更に詳細に説明するため、下記では実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。当然のことながら、下記の説明における図面は本発明の幾つかの実施例のみであり、当業者にとって、創造的労働を果たさない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1】本発明の実施例1の分解図である。
図2】本発明の実施例1の固定部の斜視図である。
図3図2の左側面図である。
図4】本発明の実施例1の永久磁石とプーリーを実装した斜視図である。
図5】本発明の実施例1の可動部の斜視図である。
図6】本発明の実施例1の独立ガイドプーリーの斜視図である。
図7】本発明の実施例1の独立ホイールセットの斜視図である。
図8】本発明の実施例1の広いドア本体に取り付けられた可動子アセンブリの模式図である。
図9】本発明の実施例1の狭いドア本体に取り付けられた可動子アセンブリの模式図である。
図10】本発明の実施例2の分解図である。
図11】本発明の実施例2の動き出力部の斜視図である。
図12】本発明の実施例2の動き出力部の組立模式図である。
図13】本発明の実施例2の動き出力部と伸縮ロッドの組立模式図である。
図14】本発明の実施例2の可動子アセンブリの組立模式図である。
図15】本発明の実施例2の広いドア本体に取り付けられた可動子アセンブリの模式図である。
図16】本発明の実施例2の狭いドア本体に取り付けられた可動子アセンブリの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の実施例の添付図面を参照しながら、本発明の実施例の技術的手段を明確かつ完全に説明する。当然のことながら、ここで説明する実施例は本発明の実施例の全てではなく一部にすぎない。当業者が創造的な作業なしに本発明の実施例に基づいて得られる他の全ての実施例は、本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【0019】
なお、本発明の実施例におけるすべての方向性の指示(上、下、左、右、前、後、外、内など)は、ある特定の姿勢(図面に示すように)での各部材間の相対的な位置関係や運動状況等を解釈するためにのみ使用され、当該特定の姿勢が変化すると、それに応じて当該方向性の指示も変化する。
【0020】
伸縮可能なスライドドア用リニアモータ構造は、図1及び図10に示すように、可動子アセンブリ1を備え、可動子アセンブリ1は固定部11と可動部13を含み、固定部11は永久磁石111を有し、当該永久磁石111の下には溝穴112があり、可動部13は、溝穴112の一方端からスライド可能に挿入される伸縮ロッド14と、可動子アセンブリ1の動きを出力できる動き出力部15とを備え、可動部13と固定部11との間は締め具19を介して固定される。
【0021】
従来技術では、可動子アセンブリ1は通常調整不可能であり、一旦決定されると、特定の幅のドア枠にのみ適用可能であり、異なる幅の他のドア枠については、対応する可動子アセンブリ1を改めて製造することしかない。つまり、従来技術における可動子アセンブリ1の適用可能な機会は固定されており、様々なドア枠の幅に対応できない。そのため、製造業者は製造中に各種類のドア枠の幅に対して可動子アセンブリ1の仕様をそれぞれ設計しなければならない。よって、多種多様で高コストである等の欠点が生じる。この問題を解決するために、本発明では伸縮可能なスライドドア用リニアモータ構造を設計し、具体的に、伸縮可能な可動子アセンブリ1を設計した。当該可動子アセンブリ1は、固定部11と可動部13とを備え、永久磁石111は固定部11に取り付けられ、その一部が外部に露出し、この露出した部分がステーターアセンブリ2の真下に位置し、使用時に、ステーターアセンブリ2に通電されると、電磁誘導の原理により、当該ステーターアセンブリ2の下に位置する可動子アセンブリ1の固定部11は磁場の力の下でレール3に沿って左右に移動する。永久磁石111の下には溝穴112がさらに設けられ、可動部13の伸縮ロッド14は当該溝穴112内に挿入されて、当該溝穴112内で左右にスライドでき、可動部13はさらに動き出力部15を備え、当該動き出力部15はドア本体4と連結され、可動子アセンブリ1の動きをドア本体4に出力することができる。固定部11は磁場の力の下で左右にスライドし、可動部13は伸縮ロッド14を介して固定部11の溝穴112内に挿入されるため、固定部11のスライドを可動部13に伝達するためには、締め具19により可動部13と固定部11を連結し固定する必要がある。
【0022】
このように、ドア枠の幅が異なる場合は、伸縮ロッド14の溝穴112内に挿入される長さを調整するだけで、可動子アセンブリ1の伸縮を実現することができる。即ち、ドア枠の幅が広い場合は、伸縮ロッド14を溝穴112内から比較的多く引き出し、ドア枠の幅が狭い場合は、伸縮ロッド14を溝穴112から比較的少なく引き出せばよい。つまり、必要に応じて溝穴112から引き出される伸縮ロッド14の長さを柔軟に調整することができ、それによって、可動子アセンブリ1はドア枠の幅が異なる様々な場面に適用でき、優れた汎用性を有する。伸縮ロッド14の長さが特定の状況に応じて調整されたら、締め具19を使用して可動部13と固定部11を連結及び固定することができ、可動部13と固定部11のスライドを同期させることができる。これによって、当該スライドを可動部13における動き出力部15を介してドア本体4にさらに伝達することができ、ドア本体4が伴に開閉される。
【0023】
また、一実施例において、図2乃至図9に示すように、固定部11は、上部114と下部115に分かれ、その固定部の上部114の長さは固定部の下部115の長さよりも長く、上部114と下部115との間には伸縮ロッド14を挿入させるための溝穴112が形成される。このような配置の目的は、可動部13の動き出力部15が固定部の上部114の下にスライドし、固定部の下部115の端部に接触できるようにすることである。これにより、可動子アセンブリ1全体の長さをさらに短くできるため、より狭いドア枠に適用させ、可動子アセンブリ1の適応性を最大化することができる。
【0024】
また、伸縮ロッド14は、一端が溝穴112に挿入され、他端がガイドプーリーに連結され、当該ガイドプーリー16の上部は溝穴112内でスライド可能で、その両側にはプーリー12が設けられ、動き出力部15はガイドプーリー16の中央に配置される。
【0025】
また、伸縮ロッド14の一端は溝穴112に挿入され、実際の必要に応じて溝穴112から引き出される長さを調整することで、可動子アセンブリ1の伸縮機能を実現する。伸縮ロッド14の他端はガイドプーリー16に連結され、当該ガイドプーリー16の上部は溝穴112内でスライド可能で、ドア枠が狭い場合、ガイドプーリー16の上部は伸縮ロッド14に伴って溝穴112内でスライドし、固定部の下部115の端部までスライドして固定部の上部114の下に位置することができる。これにより、可動子アセンブリ1はより狭いドア枠に適応することができる。また、動き出力部15はガイドプーリー16の中央に配置され、使用時に、当該動き出力部15とドア本体4は連結され、ガイドプーリー16が伸縮ロッド14に伴ってレール3をスライドすると、それに連結されているドア本体4が同期してスライドするように駆動する。ガイドプーリー16の両側にはプーリー12がさらに設けられ、一方はレール3上をスライドしてドア本体4をガイドし、もう一方はドア本体4の重量も支える。
【0026】
さらに、固定部11の他端には伸縮ロッド14のない独立ガイドプーリー20が設けられている。前述のように、伸縮ロッド14と連結されるガイドプーリー16はその動き出力部15を介してドア本体4の一端に連結され、バランスを保つために、ドア本体4の他端も同様に連結する必要があり、具体的な方法として、固定部11の他端に独立ガイドプーリー20を設け、当該独立ガイドプーリー20は取付ブロックを含み、取付ブロックの両側にはプーリー12が取り付けられ、取付ブロックの上部の両側には、可動子アセンブリ1の長さ方向に沿って可動子アセンブリ1の異なる位置に挿入できる挿入部が対称的に設けられる。このように、ドア枠が狭い場合、独立ガイドプーリー20の上部は溝穴112内にスライドして入ることができ、ドア枠が広い場合、独立ガイドプーリー20の上部は溝穴112から外れて固定部11の一端から離れた位置でドア本体4と連結することができる。つまり、固定部11の他端に伸縮ロッド14のない独立ガイドプーリー20を設けると、固定部11の長さの制限を打ち破り、適応可能なドア枠の幅をさらに広げることができる。
【0027】
また、独立ガイドプーリー20と固定部の下部115との間には、独立ホイールセット18がさらに設けられ、当該独立ホイールセット18の上部は、溝穴112内にスライド可能に配置され、その前後の両側にはプーリー12がそれぞれ設けられ、且つ、固定部11と互いに固定できる固定穴181を有している。固定部の上部114の長さが固定部の下部115の長さよりも長いため、独立ガイドプーリー20の上部が溝穴112内にある場合、独立ガイドプーリー20は固定部の上部114をある程度支え、その変形を防止する。独立ガイドプーリー20の上部が溝穴112から外れると、固定部の上部114の部分は固定部の下部115の部分より長くて支えられていない状態となり、経時変形の恐れがある。この問題を解決するために、当該部分に1つの独立ホイールセット18を設けて、固定部の上部114を支持し、その変形を防止する。独立ホイールセット18の上部は溝穴112をスライドすることができる。ドア枠が狭く、独立ガイドプーリー20が溝穴112にスライドして入ると、当該独立ホイールセット18を固定部の下部115の端部までスライドさせて、独立ガイドプーリー20のためのスペースを作ることができる。ドア枠が広く、独立ガイドプーリー20の上部が溝穴112から外れると、独立ホイールセット18を溝穴112の外端に向けてスライドさせ、固定部の上部114を支持することができる。独立ホイールセット18にはさらに固定穴181が設けられ、その位置の調整が完了すると、当該固定穴181を介して固定部11に連結固定でき、溝穴112内での自由なスライドを防止する。また、独立ホイールセット18の両側にはプーリー12がさらにそれぞれ設けられ、固定部11を良好にレール3上をスライドさせることができる。
【0028】
さらに、他の実施例において、可動部13は、2つあり、それぞれ左端と右端から溝穴112に挿入される。本実施例では、2つの可動部13はいずれも伸縮ロッド14と動き出力部15を備え、左右対称の状態にある。使用時に、ドア枠の実幅に合わせてそれぞれ左右の2つの可動部13を溝穴112から同時に一定の長さまで引き出し、ドア枠が広い場合、比較的長く引き出し、ドア枠が狭い場合、比較的短く引き出す。このような調整によって様々な幅のドア枠に適用させることができる。
【0029】
また、伸縮ロッド14は、動き出力部15をスライド可能に挿入させる溝部位を有している。
【0030】
さらに、本実施例において、動き出力部15は、垂直ロッド151と水平バー152を含むT字形構造であり、当該垂直ロッド151はドア本体4と連結するためのものであり、可動子アセンブリ1の動きをドア本体4に出力して、ドア本体と共にスライドするように駆動する。水平バー152は伸縮ロッド14の溝部位に挿入して伸縮ロッド14と一体に固定するためのものである。
【0031】
また、水平バー152と伸縮ロッド14の固定の具体的な方法として、水平バー152にネジ穴153を設け、ネジ穴153にネジ154を配置し、固定する必要がある場合、当該ネジ154を締めればよい。
【0032】
以上より本発明について幾つかの実施例を参照しながら説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な改良を行うことができ、その中の構成要素を同等物で置き換えることができる。特に、構造的に矛盾がない限り、本発明で開示された各実施例における各特徴は、任意の方式で互いに組み合わせることができ、本明細書では、ただスペースを省略しリソースを節約するために、これらの組み合わせについて完全に説明していない。従って、本発明は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲に含まれるすべての技術的手段を含む。
【符号の説明】
【0033】
1 可動子アセンブリ
11 固定部
112 溝穴
114 固定部の上部
115 固定部の下部
12 プーリー
13 可動部
14 伸縮ロッド
15 動き出力部
151 垂直ロッド
152 水平バー
153 ネジ穴
154 ネジ
16 ガイドプーリー
19 締め具
20 独立ガイドプーリー
18 独立ホイールセット
181 固定穴
2 ステーターアセンブリ
3 レール
4 ドア本体
図1
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