(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金型開閉装置が、作動流体の供給もしくは排出に応じた内圧の増減により、前記金型を開く方向の動き又は閉じる方向の動きをそれぞれもたらす型開側液圧室及び型閉側液圧室を有し、
前記制御装置が、金型装置の型締状態から型開状態への移行に際し、前記型締終了指令で型締装置による金型装置への型締力の作用を終了させる前に、作動流体の充満で保持されている型閉側液圧室の内圧を前記型開開始指令で解放させる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の射出成形機。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を参照しつつ、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態の射出成形機1は、
図1に例示するように、概して、成形材料を溶融させて金型装置101内に向けて射出する射出装置21と、射出装置21を金型装置101に対して前進・後退変位させる移動装置26と、固定プラテン32a、可動プラテン32b及び中間金型保持部材32cを有し、金型装置101を型締状態と型開状態との間で稼働させる型締装置31とを備える。
【0013】
図示の射出成形機1は、射出吹込成形機とも称され得るものであり、インジェクションブロー成形に用いられる。この射出成形機1に使用する金型装置101は、射出成形用金型111、吹込み成形用金型121及び中間金型131を有するものであり、それらのうち、射出成形用金型111は型締装置31の固定プラテン32a側に、また吹込み成形用金型121は型締装置31の可動プラテン32b側にそれぞれ取り付けられる。また、中間金型131は、型締装置31の固定プラテン32aと可動プラテン32bとの間に位置する枠状等の中間金型保持部材32cに保持される。具体的には、中間金型保持部材32cには回転軸部41が設けられており、この回転軸部41に、中間金型131がその成形面の向きを射出成形用金型111側又は吹込み成形用金型121側に切り替えることができるように回転可能に保持されている。
【0014】
金型装置101はより詳細には、
図2(b)に示すように、射出成形用金型111の、中間金型131と対向する成形面に、射出側凹型部112が設けられている。また、吹込み成形用金型121は、中間金型131と対向する成形面に、
図3(b)に示すように、吹込み側凹型部122が設けられている。そしてまた、中間金型131には、射出成形用金型111と対向する成形面及び、吹込み成形用金型121と対向する成形面の両面のそれぞれに、型締状態で射出側凹型部112内または吹込み側凹型部122内に配置される凸型部132が設けられる。なお、金型装置101は、製造しようとする成形品211の形状等に応じて適宜、射出成形機1に取り付けられ、また交換され得るものであり、射出成形機1の一部とはみなさない。
【0015】
図3に示す型締状態では、型締装置31による金型装置101への所要の型締力の作用の下、射出側凹型部112と凸型部132との間に射出成形キャビティが区画され、そこに成形材料が射出されるとともに加圧注入されてプリフォーム201が成形される。射出成形キャビティでプリフォーム201が成形された後、金型装置101が、
図2に示すように型開状態になり、凸型部132はプリフォーム201を保持しつつ、回転軸部41による中間金型131の回転とともに反転し、吹込み成形用金型121と対向する。そして再度、金型装置101が、
図3に示すように型締状態になると、吹込み側凹型部122と、プリフォーム201を保持した凸型部132との間に、吹込み成形キャビティが区画される。吹込み成形キャビティでは、プリフォーム201は、その内側から空気等の気体その他の流体が吹き込まれて膨張して吹込み成形キャビティの内面に加圧され、成形品211になる。金型装置101の型締状態で、射出側凹型部112又は吹込み側凹型部122と、射出成形用金型111側及び吹込み成形用金型121側の成形面のそれぞれに設けられた凸型部132とで区画される射出成形キャビティ及び吹込み成形キャビティでは、このような射出成形及び吹込み成形が同時進行で行われる。
【0016】
(金型開閉制御)
図示の金型装置101では、
図2(b)及び
図3(b)に示すように、吹込み成形用金型121が、たとえば水平面内にて型締装置31による金型装置101の型締方向(
図2、3の左右方向)と直交する方向(
図2(b)及び
図3(b)の上下方向、金型幅方向)に開閉する対をなす割型124を有するものである。かかる割型124を開閉するため、射出成形機1の型締装置31は、たとえば可動プラテン32b等に取り付けられた油圧式その他の液圧式の割型開閉機構62を有するものとしている。また、型締装置31には、固定プラテン32a又は可動プラテン32bに対して中間金型保持部材32cを動かす液圧式の中間金型移動機構61を設けることがある。ここでは、金型開閉装置を割型開閉機構62とした例について詳細に説明するが、この発明でいう金型開閉装置は、中間金型移動機構61や、図示は省略するが、射出吹込成形機とは異なる他の射出成形機が備える金型開閉装置とすることもできる。
【0017】
液圧式の割型開閉機構62は、この実施形態では、
図4に拡大断面図で示すように、シリンダ64と、一端部側がシリンダ64の内部に配置されるとともに、他端部側がシリンダ64から外部に突出して割型124に接続されたピストンロッド65とを有するものである。そして、シリンダ64の内部は、ピストンロッド65の一端部により区画され、それぞれ作動流体が供給され又は排出される型開側液圧室64aと型閉側液圧室64bに区画されている。
【0018】
型閉側液圧室64bからの作動流体の排出とともに型開側液圧室64aに作動流体を供給して、型開側液圧室64aの内圧が増大すると、
図4(a)に示すように、ピストンロッド65がシリンダ64内に引き込まれ、対をなす割型124を互いに離隔する向きに動かせて開くことができる。一方、型開側液圧室64aからの作動流体の排出及び、型閉側液圧室64bへの作動流体の供給によって、型閉側液圧室64bの内圧が増大する。これにより、
図4(b)に示すように、シリンダ64内からピストンロッド65が押し出されるので、対をなす割型124が互いに接近する向きに動いて割型124を閉じることができる。
【0019】
なお仮に、この例のように、吹込み成形用金型121が複数対の割型124を有する場合、
図2(b)及び
図3(b)に示すように、対をなす割型124のうち、金型幅方向の一方側(
図2(b)及び
図3(b)の下方側)に位置する片側割型部分124aどうし及び、他方側(
図2(b)及び
図3(b)の上方側)に位置する片側割型部分124bどうしをそれぞれ、割型連結部材63a、63bで連結しておくことにより、複数個の一方側の片側割型部分124a及び複数個の他方側の片側割型部分124bのそれぞれをともに、各割型開閉機構62で開閉させることができる。
【0020】
ところで、金型装置101の型締状態では、型閉側液圧室64bに作動流体が充満しており、型閉側液圧室64bの内圧が増大したままで保持され、
図4(b)に示すように、割型124が閉じられている。そして、金型装置101がこの型締状態から型開状態へ移行するとき、型締装置31による金型装置101への型締力の作用が終了した後に、割型開閉機構62で割型124を開くべく型閉側液圧室64bの内圧を減少させるとともに型開側液圧室64aの内圧を増大させると、型閉側液圧室64bの内圧が十分に減少するまで若干の時間を要することに起因して、ピストンロッド65がシリンダ64内に円滑に引き込まれず、割型124を開く動作に遅れが生じ得る。特にこの例のように、吹込み成形用金型121が複数対の割型124を有する場合は、互いに異なる割型開閉機構62によってそれぞれ駆動される一方側の片側割型部分124aと他方側の片側割型部分124bとの間で、割型124の開く動作をもたらす動きにばらつきが生じ、当該動作が安定しないことがある。
【0021】
これに対し、この実施形態の射出成形機1が備える制御装置は、金型装置101の型締状態から型開状態への移行に際し、型締装置31による金型装置101の型締終了指令よりも前に、割型開閉機構62による割型124の型開開始指令を出す。型開開始指令により、作動流体の充満で保持されていた型閉側液圧室64bの内圧が解放される。その後の型締終了指令では、型締装置31が金型装置101に作用させていた型締力が作用しなくなる。より詳細には、制御装置は、金型装置101を型締状態から型開状態に移行させる際に、作動流体の充満で保持されている型閉側液圧室64bの内圧を、型締装置31による金型装置101への型締力の作用の終了前に解放するように、割型開閉機構62を制御する。
【0022】
このことによれば、型締終了指令によって型締装置31による金型装置101への型締力の作用の終了したときには、その前に出された型開開始指令で既に型閉側液圧室64bの内圧の解放が始まっている。そのため、型開側液圧室64aの内圧の増大によりピストンロッド65がシリンダ64内に迅速に引き込まれ、割型124を円滑に開くことができる。なお、このように型閉側液圧室64bの内圧を解放しても、金型装置101には型締装置31による型締力が作用しているので、金型装置101の型開状態前における、割型124の意図しない開きは抑制される。
【0023】
また、複数対の割型124がある場合、全ての割型開閉機構62を上記のように制御したときは、各割型124がともに円滑に開くので、一方側の片側割型部分124aと他方側の片側割型部分124bとの動きのばらつきを有効に低減することができる。
【0024】
なお、この射出成形機1は、上記の制御装置として、
図5に示すように、金型開閉装置としての割型開閉機構62や、射出成形機1における型締装置31の型締モータ35その他の各種の駆動機構、射出成形機1に設けた各種のセンサーに接続された制御装置を備えることができる。制御装置は、金型開閉装置及び型締装置31の動作の制御だけに用いる専用のものとしてもよいが、多くの場合、制御装置は、金型開閉装置の動作の制御のみならず、射出成形機1全体の動作の制御に用いられる。また、射出成形機1は、金型開閉装置の動作を制御する制御装置及び、型締装置31の動作を制御する制御装置を含む複数の制御装置を備えるものであってもよい。この場合、金型開閉装置用の制御装置と型締装置31用の制御装置とを連動させて、ここで述べる制御を実行することができる。この実施形態では、制御装置は、操作者が所定の情報を入力する入力装置、操作者に種々の情報を視覚的に伝える表示装置、及び、情報ないしデータを記憶する記憶装置にも接続されている。上述した割型124の開閉動作の制御は、記憶装置に記憶されたプログラム及び/又は入力装置からの操作者の入力情報等に基づいて実行され得る。
【0025】
型締力の作用の終了前における型閉側液圧室64bの内圧の解放は、割型124内での成形材料の加圧後で成形品の冷却の間に行うことが好ましい。このことを詳説すると、次のとおりである。
【0026】
インジェクションブロー成形等の成形材料の成形では、金型装置101は、
図6にフロー図で示すように、型閉状態、型締状態、型開状態の順序で状態が移り変わり、この一連の状態移行が繰り返される。なお、
図6中の「金型」は、ここでいう割型124に相当するが、このフローは、先にも述べたように、割型124以外の金型の開閉にも適用可能である。なおここでは、プリフォーム201のことを成形材料ということもある。
【0027】
なお型開状態のとき、射出成形キャビティで成形されて中間金型131の凸型部132に保持されているプリフォーム201が、回転軸部41による中間金型131の回転で、吹込み成形用金型121の割型124と対向する。
そして、型閉状態では、制御装置は、割型開閉機構62について、作動流体の排出により型開側液圧室64aの内圧を減少させるとともに、型閉側液圧室64bの内圧を増大させ、割型124が閉じるように制御する。それとともに、型締装置31の後述する中間金型移動機構61及びプラテン移動機構33がそれぞれ、中間金型保持部材32c及び可動プラテン32bを固定プラテン32aに向けて接近させる。これにより、金型装置101は型閉状態となり、プリフォーム201(成形材料)が中間金型131の凸型部132とともに、吹込み側凹型部122内に配置される。
【0028】
その後の型締状態では、型締装置31により金型装置101に所要の型締力を作用させ、その型締力の作用下で、プリフォーム201から成形品211を成形する。この際に、割型開閉機構62の型閉側液圧室64bでは、型閉状態のときに増大させた内圧が保持される。ここでは、プリフォーム201は、その内側への流体の供給によって膨張して吹込み成形キャビティの内面に加圧されて、成形品211になり、その後に成形品211は割型124内で冷やされる。
【0029】
型閉側液圧室64bの内圧の解放は、
図6に示すように、型締装置31による金型装置101への型締力の作用の終了前に行うところ、より具体的には、その内圧解放のタイミングを、上述した成形時の、プリフォーム201(成形材料)の加圧後であって成形品211の冷却の間とすることが好適である。割型124にそれを開く方向の比較的大きな力が作用し得るプリフォーム201の加圧後で、成形品211の冷却時であれば、型閉側液圧室64bの内圧を解放しても割型124が閉じたままに維持されやすく、また当該内圧解放が成形品211に及ぼす影響は実質的に無い。
【0030】
なお、型締装置31による金型装置101への型締力の作用が終了した後は、型開側液圧室64aに作動流体を供給して、型開側液圧室64aを作動流体で充満させる。このとき、型閉側液圧室64bは、型締力の作用の終了前から内圧を解放していたことにより、該内圧が有効に減少している。それにより、型開側液圧室64aの内圧は、型閉側液圧室64bの内圧の影響を受けずに即座に増大し得る。割型124が開いて型開状態になったとき、成形品211を割型124から取り出す。
【0031】
詳細な説明は省略するが、射出成形キャビティでプリフォーム201を成形する際に、このような金型開閉装置の制御を適用する場合は、当該プリフォーム201が、
図6でいう成形品に相当する。
【0032】
上述したような液圧式の割型開閉機構62の液圧回路は、型閉側液圧室64bの内圧の保持及び、型締力の作用の終了前における当該内圧の解放が可能であれば特に問わない。割型開閉機構62の液圧回路は、途中で大気に開放される液圧開回路とすることもできるが、大気開放されずに型閉側液圧室64bと型開側液圧室64aとが接続された液圧閉回路とすることが好適である。
図7及び8に、割型開閉機構62に設けることができる液圧閉回路66の一例を示す。
【0033】
図7及び8に例示する液圧閉回路66は、型開側液圧室64a及び型閉側液圧室64bのそれぞれに対する作動流体の供給又は排出を行う液圧ポンプHPと、液圧ポンプHPと型開側液圧室64aとを連結する型開側流路67aと、液圧ポンプHPと型閉側液圧室64bとを連結する型閉側流路67bと、液圧ポンプHPを作動するACサーボモータ等のサーボモータSMとを有する。型開側流路67a及び型閉側流路67bのそれぞれには、サーボモータSMにより作動される液圧ポンプHPで、型開側流路67a又は型閉側流路67bを介して作動流体の供給もしくは排出が行われる。
【0034】
なお、この割型開閉機構62では、型開側流路67a及び型閉側流路67bのそれぞれに接続されて途中の合流点Pmで合流し、液圧ポンプHPにつながる逃がし流路68と、逃がし流路68の型開側流路67aと合流点Pmとの間の部分及び型閉側流路67bと合流点Pmとの間の部分のそれぞれに設けられ、当該流路での設定圧力を超える圧力が作用した際に該圧力を解放するリリーフバルブ69と、逃がし流路68にタンク用流路70aで連結されたタンク70とが設けられている。
【0035】
上記の液圧閉回路66は、型閉側流路67bに、パイロットチェック弁71を設けることが好ましい。このパイロットチェック弁71は、通常は作動流体が液圧ポンプHPから型閉側液圧室64bへの方向に流れ、その逆方向の流れを防止するものである。一方、型開側流路67aのパイロット圧が所定の圧力よりも増大すると、パイロットライン71aを介してパイロットチェック弁71が開き、型閉側液圧室64bから液圧ポンプへの作動流体の流れが許容される。
【0036】
そして、制御装置は、型締力の作用の終了前に型閉側液圧室64bの内圧を解放するに当たり、
図8に矢印で示すように、型開側流路67aに作動流体を供給してパイロット圧を増大させる。これにより、パイロットチェック弁71が開いて型閉側液圧室64bから液圧ポンプHPに作動流体が流れ、型閉側液圧室64bの内圧が減少する。その後、割型124を閉じるには、型開側流路67aへの作動流体の供給を継続し、型開側流路67aの内圧を増大させることができる。
【0037】
(型締装置)
型締装置31は、固定プラテン32a、可動プラテン32b及び中間金型保持部材32cを有する金型保持機構32と、固定プラテン32aに対して中間金型保持部材32cを動かす中間金型移動機構61と、固定プラテン32aに対して可動プラテン32bを動かすプラテン移動機構33と、吹込み成形用金型121の割型124を開閉する先述の割型開閉機構62とを有する。
【0038】
金型保持機構32は、射出装置21及び金型装置101の相互間に位置する固定プラテン32aと、固定プラテン32aとの間で金型装置101を隔てて位置し、固定プラテン32aに対して接近・離隔変位が可能な可動プラテン32bと、固定プラテン32aと可動プラテン32bとの間に配置され、固定プラテン32aに対して接近・離隔変位が可能な中間金型保持部材32cとを含む。また、型締装置31には、固定プラテン32aから後述のリヤプラテン34側に延びて固定プラテン32aとリヤプラテン34とを連結する一本又は複数本のタイバー32dが設けられている。可動プラテン32b及び中間金型保持部材32cは、この例では、タイバー32dにより固定プラテン32aに対する離隔・接近変位がガイドされるものとしているが、タイバー32dでガイドされない場合もある。
【0039】
金型保持機構32のうち、固定プラテン32aは、ベースフレーム2上に固定して取り付けられる。一方、可動プラテン32b及び中間金型保持部材32cはそれぞれ、ベースフレーム2上に敷設されたガイド部材32e上に配置され、互いに独立して、固定プラテン32aに対して離隔する方向及び接近する方向にスライドすることができる。
【0040】
なお、固定プラテン32aに対して可動プラテン32b及び中間金型保持部材32cが離隔する位置では、金型装置101の吹込み成形用金型121及び中間金型131が射出成形用金型111から開いた型開状態となる。この離隔位置から可動プラテン32b及び中間金型保持部材32cのそれぞれを固定プラテン32aに向けて接近させることで、吹込み成形用金型121及び中間金型131が射出成形用金型111に対して閉じた型閉状態となるとともに、さらに可動プラテン32b及び中間金型保持部材32cをそれぞれ固定プラテン32aにて接近させて、吹込み成形用金型121及び中間金型131が射出成形用金型111に対して押し付けられた型締状態となる。ここでは、金型装置101の射出成形用金型111が取り付けられる固定プラテン32aに接近する向きを前方側とし、固定プラテン32aから離隔する向きを後方側とする。型締装置31の固定プラテン32aを除く多くの部分については、
図1では、固定プラテン32aに接近する右向きが前方側になり、固定プラテン32aから離隔する左向きが後方側になる。
【0041】
図示の中間金型保持部材32cは、正面視で矩形等の枠状を有し、水平面に平行な平面内で前後方向に直交する金型幅方向(
図2(b)及び
図3(b)では上下方向)に延びる回転軸部41が回転可能に設けられている。回転軸部41は、中間金型131が取り付けられ、これを保持する。この例では、回転軸部41の軸方向を水平方向と平行な方向にしているが、回転軸部の軸方向はこれに限らず、たとえば鉛直方向と平行な方向等とすることも可能である。竪型の射出吹込成形機としてもよい。
【0042】
また、中間金型保持部材32cには、回転軸部41を回転駆動し、それとともに中間金型131を回転させる中間金型回転機構が設けられる。この中間金型回転機構は、図示は省略するが、中間金型保持部材32cに設けたモータ等とすることができる。なお、中間金型131と中間金型保持部材32cとの間で、回転軸部41の周囲にはスプリットリング等の筒状部材42が設けられている。
【0043】
固定プラテン32aに対して中間金型保持部材32cを動かす中間金型移動機構61は、たとえば、
図2及び3に示すように、固定プラテン32a及び中間金型保持部材32cのそれぞれに取り付けられて、モータにより駆動される液圧ポンプで作動する液圧シリンダ61a及びピストンロッド61b等で構成することができる。この例では、金型幅方向で射出成形用金型111及び中間金型131の外側に位置する二対の液圧シリンダ及びピストンロッドを設けているが、一対又は三対以上としてもよい。なお、図示は省略するが、中間金型移動機構は、液圧シリンダ等を固定プラテンではなく可動プラテンに取り付けることにより、可動プラテンに対して中間金型保持部材を進退させるものとしてもよい。
【0044】
型締装置31のプラテン移動機構33は、
図1に示すように、ベースフレーム2上に配置されたリヤプラテン34と、リヤプラテン34上に設けた型締モータ35と、型締モータ35の回転運動を、可動プラテン32bの変位方向の直線運動に変換する運動変換機構36と、運動変換機構36に伝達された力を増大させて可動プラテン32bに伝えるトグル機構37とを備えるものである。
【0045】
このうち、運動変換機構36は、回転運動を直線運動に変換できる種々の機構とすることができるが、この例では、型締モータ35により回転駆動されるねじ軸36a及び、ねじ軸36aに螺合するナット36bを含んで構成されるものとしている。運動変換機構36は、ボールねじとすることも可能である。そして、運動変換機構36からの伝達力を増大させるトグル機構37は、上記の運動変換機構36のナット36bと可動プラテン32bとをつなぐ複数のリンク37a〜37cを、ジョイントで揺動可能に接続してなるものである。リンク及びジョイントの個数ならびにその形状は適宜変更することが可能であるが、
図1に示すところでは、ナット36bに接続されて上下方向に延びるクロスヘッド37dに、該クロスヘッド37dを隔てて上下に位置するリンク37a〜37cからなる一対のリンク群が、揺動可能に接続されて設けられている。
【0046】
なお、リヤプラテン34上には、上述した型締モータ35の他、型厚調整モータ38も設けることができる。この型厚調整モータ38は、先述の金型保持機構32の各タイバー32dの延長部分に接続されたねじ軸及びナットに回転駆動力を付与することにより、固定プラテン32aと、ベースフレーム2上で移動可能に載置されたリヤプラテン34との間の間隔を調整するべく機能する。これにより、金型装置101の交換や、温度変化に起因する金型装置101の厚みの変更等の際にも、金型装置101に所期したとおりの型締力を与えることができるように型厚の調整を行うことができる。図示は省略するが、ベースフレーム2上で固定プラテン側を移動可能とし、リヤプラテン側を固定としても、型厚の調整を実現可能である。
【0047】
図示の型締装置31は、可動プラテン32bの移動方向が水平方向と平行な横型のものであるが、該移動方向を垂直方向とした竪型のものとすることも可能である。
【0048】
(射出装置)
射出装置21は主に、金型装置101に向けて延びる円筒状等のシリンダ22と、シリンダ22の内部にそれと中心軸線を平行にして配置されて、周囲にフライトが螺旋状に設けられたスクリュ23と、シリンダ22の外周側にその周囲を取り囲んで配置されたバンド状等のヒータ24と、シリンダ22及びスクリュ23の後方側に配置されたモータボックス25とを備える。図示は省略するが、モータボックス25内には、シリンダ22の先端部に所定の量の成形材料を蓄積させるため、スクリュ23を中心軸線周りに回転させる計量モータや、金型装置101に接近する方向及び金型装置101から離れる方向の各方向へのスクリュ23の前進及び後退変位を行う射出モータ、スクリュ23が成形材料から受ける圧力を検出する圧力検出センサー等が配置されている。
【0049】
なおここでは、金型装置101の射出成形用金型111が取り付けられる型締装置31の固定プラテン32aに接近する向きを前方側とし、固定プラテン32aから離隔する向きを後方側とする。したがって、
図1では固定プラテン32aの右側に位置する射出装置21について見ると、固定プラテン32aに接近する左向きが前方側となり、固定プラテン32aから離隔する右向きが後方側になる。
【0050】
シリンダ22は、後方側でモータボックス25の手前に、成形材料をシリンダ22内に投入するためのホッパーが取り付けられ得る供給口22aが設けられる。また、金型装置101に近接するシリンダ22の先端部には、その前方側で横断面積が小さくなるノズル22bが設けられている。なお、供給口22aの近傍には水冷等による水冷シリンダ22cを設けることができる。
【0051】
ノズル22bの周囲を含むシリンダ22の周囲に配置されるヒータ24は、たとえば図示のように、シリンダ軸線方向で複数の部分に分割されて、各ヒータ部分の内側のシリンダ22の内部を異なる温度で加熱できるものとすることができる。各ヒータ部分には、温度検出器を設けることができる。
【0052】
スクリュ23の先端側は、その外径を部分的に小さくして設けた括れ部の周囲に、スクリュ23とともに前進及び後退変位してそれより前方側に送られた成形材料の後方側への逆流を防止する図示しない逆流防止リングが配置され得る。この逆流防止リングは、たとえば、それより前方側もしくは後方側に位置する成形材料から受ける圧力に応じて、スクリュ23に対して前後に変位し、それにより後方側から前方側に向かう成形材料の流れのみを許容するものである。
【0053】
このような構成を有する射出装置21によれば、供給口22aからシリンダ22の内部に投入された成形材料は、シリンダ22の外周側のヒータ24による加熱の下、計量モータで駆動されるスクリュ23の回転に基づいて溶融されつつ、シリンダ22の内部で前方側に向けて送られて、シリンダ22の先端部に蓄積される。この際に、スクリュ23は射出モータにより後退変位させられて、シリンダ22の先端部に、成形材料が蓄積される空間を形成する。
【0054】
その後、スクリュ23を前進変位させることにより、シリンダ22の先端部の成形材料は、ノズル22bを経て金型装置101に向けて射出される。さらにその後、シリンダ22の先端部に残留している成形材料を通じて、金型装置101のキャビティに充填された成形材料に圧力を作用させる保圧を行う。このとき、金型装置101の射出成形キャビティで成形材料の冷却収縮に起因して不足した成形材料を補充することができる。
【0055】
なお、この射出成形機1はインラインスクリュ式のものであるが、可塑化シリンダ及び可塑化スクリュと、射出シリンダ及び射出プランジャーとに構造及び機能上分離させたプリプラ式の射出成形機とすることも可能である。
【0056】
(移動装置)
移動装置26は、たとえば射出装置21のモータボックス25の下部等に設けられ、固定プラテン32aに対して射出装置21を前進及び後退変位させる進退駆動機構である。
移動装置26を構成する進退駆動機構としては種々の機構を採用することができるが、図示の移動装置26は、油圧等の液圧ポンプ27と、液圧ポンプ27を作動させる電動等によるポンプ作動用モータ28と、液圧ポンプ27から作動液が供給されて、先端が固定プラテン32aに固定されたピストンロッドを押出・引込運動させる複動型の液圧シリンダ29とを含んで構成されている。
【0057】
この移動装置26は、上述した液圧ポンプ27、ポンプ作動用モータ28及び液圧シリンダ29が取り付けられたスライドベース26a、ならびに、ベースフレーム2上に敷設されて該スライドベース26aの直線運動を案内するガイド26bをさらに含む。それにより、スライドベース26aの上部に載置された射出装置21の進退変位を実現する。
【0058】
移動装置26により、射出装置21を金型装置101から離隔させたり、また、射出装置21を金型装置101に接近させて、射出装置21のシリンダ22のノズル22bを所定の圧力で金型装置101に押し付ける、いわゆるノズルタッチを行ったりすることが可能になる。
【0059】
(射出成形機の動作)
以上に述べた射出成形機1では、次に述べる各工程を行うように動作する。
図2に示す金型装置101の型開状態で、プラテン移動機構33により可動プラテン32bを固定プラテン32a側に移動させるとともに、中間金型移動機構61により中間金型保持部材32cを固定プラテン32a側に移動させる型閉工程を行う。
【0060】
次いで、前回の成形時の後述する計量で既に射出装置21の内部に成形材料が所定の量で蓄積されて配置された状態で、型締装置31を用いて、
図3に示すように、金型装置101を型締状態とする型締工程が行われる。型締工程では、射出成形用金型111と中間金型131との間に、射出成形キャビティが区画され、吹込み成形用金型121と中間金型131との間に、吹込み成形キャビティが区画される。
【0061】
そして、スクリュ23の前進により上記の成形材料を、金型装置101の射出成形キャビティに向けて射出し、成形材料を射出成形キャビティに充填する射出工程を行う。射出工程では、射出成形キャビティへの成形材料の充填後に、スクリュ23をさらに前進させて射出装置21の先端部の内部にある成形材料を所定の圧力に保持する保圧が行われる。しかる後、射出成形キャビティに充填された成形材料を冷却させて固化させる。これにより、射出成形キャビティにプリフォーム201が成形される。なおこの際に、射出装置21内に別途投入した成形材料を、ヒータ24による加熱下でスクリュ23の回転により射出装置21の先端部に向けて送りながら溶融させ、所定の量の成形材料を先端部に配置する計量が行われる。
【0062】
上記の射出工程と並行して、吹込み成形キャビティでは吹込み工程が行われる。吹込み成形キャビティには、中間金型131の反転前に射出成形キャビティで既に成形されたプリフォーム201が配置されている。吹込み工程では、当該プリフォーム201に対して空気その他の気体等の流体を供給し、吹込み成形キャビティでプリフォーム201を膨張させて、成形品211を成形する。
【0063】
その後は、型締装置31のプラテン移動機構33及び中間金型移動機構61を作動させて、可動プラテン32b及び中間金型保持部材32cのそれぞれを固定プラテン32aから離れる側に移動させ、金型装置101を開く型開工程を行う。
【0064】
型開工程の後は、割型開閉機構62を用いて、吹込み成形用金型121の割型124を開いて成形品211を取り出した後、吹込み成形用金型121の割型124を閉じる割型開閉工程を行う。
またここでは、中間金型回転機構により中間金型131を反転させる中間金型回転工程を行う。これにより、割型開閉工程で成形品211が回収された側における中間金型131のコア金型の凸型部132が、射出成形用金型111の射出側凹型部112側を向くことになる。一方、射出工程でプリフォーム201が成形された側における中間金型131のコア金型の凸型部132は、プリフォーム201を保持した状態で、吹込み成形用金型121の吹込み側凹型部122を向く。
なお、中間金型回転工程は、割型開閉工程とほぼ同時期又は、割型開閉工程の前もしくは後に行うことができる。
【0065】
射出成形機1を用いた射出成形では、上述したような型閉工程、型締工程、射出工程、吹込み工程、型開工程、割型開閉工程及び中間金型回転工程が繰り返し行われる。
【解決手段】この発明の射出成形機1は、成形材料を射出して成形するものであって、金型装置101を型締状態と型開状態との間で稼働させる型締装置31と、金型装置101が有する金型124を開閉する液圧式の金型開閉装置62と、型締装置31及び金型開閉装置62の動作を制御する制御装置とを備え、前記制御装置が、金型装置101の型締状態から型開状態への移行に際し、型締装置31による金型装置101の型締終了指令よりも前に、金型開閉装置62による前記金型124の型開開始指令を出すというものである。