(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係るEFEM1について、
図1〜
図8を参照しつつ以下に説明する。なお、説明の便宜上、
図1に示す方向を前後左右方向とする。すなわち、本実施形態においては、EFEM(Equipment Front End Module)1と基板処理装置6とが並べられている方向を前後方向とし、EFEM1側を前方、基板処理装置6側を後方とする。また、前後方向と直交する、複数のロードポート4が並べられている方向を左右方向とする。また、前後方向及び左右方向の両方と直交する方向を上下方向とする。
【0016】
(EFEM及びその周辺の概略構成)
まず、EFEM1及びその周辺の概略構成について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係るEFEM1及びその周辺の概略構成を示す平面図である。
図2は、EFEM1の電気的構成を示す図である。
図1に示すように、EFEM1は、筐体2と、搬送ロボット3(基板搬送装置)と、3つのロードポート4と、制御装置5とを含む。EFEM1の後方には、ウェハW(基板)に所定の処理を施す基板処理装置6が配置されている。EFEM1は、筐体2内に配置された搬送ロボット3によって、ロードポート4に載置されたFOUP(Front-Opening Unified Pod)100と基板処理装置6との間でウェハWの受渡しを行う。FOUP100は、複数のウェハWを上下方向に並べて収容可能な容器であり、後端部(前後方向における筐体2側の端部)に開閉可能な蓋101(蓋部)が設けられている。FOUP100は、例えば、公知のOHT(天井走行式無人搬送車:不図示)によって搬送される。OHTとロードポート4との間で、FOUP100の受渡しが行われる。
【0017】
筐体2は、3つのロードポート4と基板処理装置6とを接続するためのものである。筐体2の内部には、外部空間に対して略密閉され、ウェハWを外気に晒さずに搬送するための搬送室41が形成されている。EFEM1が稼動しているとき、搬送室41は、窒素で満たされている。なお、本実施形態においては、搬送室41は窒素で満たされているが、不活性ガスであれば窒素以外のものであってもよい。筐体2は、搬送室41を含む内部空間において、窒素が循環するように構成されている(詳細については後述する)。また、筐体2の後端部には開閉可能なドア2aが設けられており、搬送室41は、ドア2aを隔てて基板処理装置6と接続されている。
【0018】
搬送ロボット3は、搬送室41内に配置され、ウェハWの搬送を行う。搬送ロボット3は、位置が固定された基台部90(
図3参照)と、基台部90の上方に配置され、ウェハWを保持して搬送するアーム機構70(
図3参照)と、ロボット制御部11(
図2参照)とを有する。搬送ロボット3は、主に、FOUP100内のウェハWを取り出して基板処理装置6に渡す動作や、基板処理装置6によって処理されたウェハWを受け取ってFOUP100に戻す動作を行う。
【0019】
ロードポート4は、FOUP100を載置する(
図7参照)ためのものである。複数のロードポート4は、
図1及び
図5に示すように、筐体2の前側の隔壁33に沿って、左右方向に並べて配置されている。各ロードポート4は、後端にあるベース51(
図7参照)で筐体2の隔壁33に形成された3つの開口(不図示)をそれぞれ閉鎖している。なお、これら3つの開口は、左右方向において4つの柱21〜24間に形成されている。これにより、筐体2内に搬送室41が略密閉空間に構成される。また、ロードポート4は、FOUP100内の雰囲気を窒素に置換可能に構成されている。ロードポート4の後端部には、後述する開閉機構54の一部であるドア4aが設けられている。ドア4aは、ドア駆動機構55(開閉機構54の一部)によって開閉される。ドア4aは、FOUP100の蓋101のロックを解除可能、且つ、蓋101を保持可能に構成されている。ロックが解除された蓋101をドア4aが保持している状態で、ドア駆動機構55がドア4aを開けることで、蓋101が開けられる。これにより、FOUP100内のウェハWが、搬送ロボット3によって取出可能になる。また、搬送ロボット3によってウェハWをFOUP100内に収納可能となる。
【0020】
図2に示すように、制御装置5は、搬送ロボット3のロボット制御部11、ロードポート4のロードポート制御部12、基板処理装置6の制御部(不図示)と電気的に接続されており、これらの制御部との通信を行う。また、制御装置5は、筐体2内に設置された酸素濃度計85、圧力計86、湿度計87等と電気的に接続されており、これらの計測機器の計測結果を受信して、筐体2内の雰囲気に関する情報を把握する。また、制御装置5は、供給バルブ112及び排出バルブ113(後述)と電気的に接続されており、これらのバルブの開度を調節することで、筐体2内の窒素雰囲気を適宜調節する。
【0021】
図1に示すように、基板処理装置6は、例えば、ロードロック室6aと、処理室6bとを有する。ロードロック室6aは、筐体2のドア2aを隔てて搬送室41と接続された、ウェハWを一時的に待機させるための部屋である。処理室6bは、ドア6cを隔ててロードロック室6aと接続されている。処理室6bでは、不図示の処理機構によって、ウェハWに対して所定の処理が施される。
【0022】
(筐体及びその内部の構成)
次に、筐体2及びその内部の構成について、
図3〜
図6を用いて説明する。
図3は、筐体2を正面から見たときの正面図である。
図4は、
図3に示すIV−IV線に沿った断面図である。
図5は、
図3に示すV−V線に沿った断面図である。
図6は、
図3に示すVI−VI線に沿った断面図である。なお、
図3及び
図6においては、隔壁の図示を省略している。また、
図5においては、搬送ロボット3等の図示を省略し、ロードポート4については2点鎖線で示している。
【0023】
筐体2は、全体として略直方体形状を有している。
図3〜
図5に示すように、筐体2は、柱21〜26と、連結管27と、隔壁31〜36とを有する。上下方向に延びる柱21〜26に隔壁31〜36が取り付けられており、筐体2の内部空間が外部空間に対して略密閉に構成されている。
【0024】
より具体的には、
図4に示すように、筐体2の前端部において、柱21〜24が左方から右方に向かって互いに離隔しつつ順に配置されている。また、柱21〜24は、上下方向に沿うように立設して配置されている。柱21,24は、その上下方向の長さがほぼ同じ長さとなっている。柱22,23も、その上下方向の長さがほぼ同じ長さとなっているが、柱21よりも短い。筐体2の後端部の左右両側には、2本の柱25、26が上下方向に沿って立設して配置されている。連結管27は、左右方向に延在し、4本の柱21〜24を互いに連結している。連結管27は柱22,23の上端に接続され、柱21,24の途中部位に接続されている。
【0025】
図3に示すように、筐体2の底部に隔壁31が、天井部に隔壁32が配置されている。
図4に示すように、前端部に隔壁33(側壁)が、後端部に隔壁34が、左端部に隔壁35が、右端部に隔壁36が、それぞれ配置されている。隔壁33には、図示しない3つの開口が形成されている。これら3つの開口は、左右方向において、4つの柱21〜24間に配置されており、ロードポート4のベース51により閉鎖される。筐体2の右端部には、後述するアライナ84が載置される載置部83(
図3参照)が設けられている。アライナ84及び載置部83も、筐体2の内側に収容されている(
図4参照)。
【0026】
図5に示すように、筐体2内の上側部分であって連結管27の後端側には、水平方向に延びる支持板37が配置されている。これにより、筐体2の内部は、下側に形成された前述の搬送室41と、上側に形成されたFFU設置室42とに分けられている。FFU設置室42内には、後述する3つのFFU(ファンフィルタユニット)44が配置されている。支持板37の前後方向における中央部であってFFU44と上下方向に対向する位置には、搬送室41とFFU設置室42とを連通させる3つの開口37aが形成されている。これら3つの開口37aは、左右方向に沿って並んで配置されている。また、3つの開口37aは、
図6に示すように、左右方向において、4本の柱21〜24間に配置されている。この開口37aは、供給された窒素(不活性ガス)を送出するガス送出口である。なお、筐体2の隔壁33〜36は、搬送室41用の下部壁とFFU設置室42用の上部壁とに分けられている(例えば、
図5における前端部の隔壁33a、33b及び後端部の隔壁34a、34bを参照)。
【0027】
次に、筐体2の内部の構成について説明する。具体的には、筐体2内で窒素を循環させるための構成及びその周辺構成、並びに、搬送室41内に配置された機器等について説明する。
【0028】
筐体2内で窒素を循環させるための構成及びその周辺構成について、
図3〜
図5を用いて説明する。
図5に示すように、筐体2の内部には、窒素を循環させるための循環路40が形成されている。循環路40は、搬送室41と、FFU設置室42と、帰還路43(ガス帰還路)とによって構成されている。循環路40においては、FFU設置室42から清浄な窒素が各開口37aを通して下方へ送り出され、搬送室41の下端部まで到達した後、帰還路43を通って上昇し、FFU設置室42に戻るようになっている(
図5の矢印参照)。以下、詳細に説明する。
【0029】
FFU設置室42には、
図5及び
図6に示すように、支持板37上に配置された3つのFFU44と、FFU44上に配置された3つのケミカルフィルタ45とが設けられている。FFU44は、
図5に示すように、ファン44aとフィルタ44bとを有する。FFU44は、ファン44aによってFFU設置室42内の窒素を下方に送出しつつ、窒素に含まれるパーティクル(不図示)をフィルタ44bによって除去する。ケミカルフィルタ45は、例えば基板処理装置6から循環路40内に持ち込まれた活性ガス等を除去するためのものである。FFU44及びケミカルフィルタ45によって清浄化された窒素は、FFU設置室42から、支持板37に形成された開口37aを介して搬送室41に送り出される。搬送室41に送り出された窒素は、層流を形成し、下方へ流れる。
【0030】
帰還路43は、筐体2の前端部に配置された柱21〜24(
図5においては柱23)、及び、連結管27に形成されている。柱21〜24、及び、連結管27の内部は中空になっており、互いに窒素が流通可能な空間21a〜24a,27aがそれぞれ形成されている(
図4参照)。柱21〜24の空間21a〜24aは、上下方向に延在して形成されており、いずれも柱21〜24の下端から連結管27の位置まで延在している。連結管27の空間27aは、左右方向に延在している。また、連結管27の下面には、
図5及び
図6に示すように、柱21〜24の空間21a〜24aと空間27aとを互いに連通させるための連通口27b〜27eが形成されている。また、連結管27の上面には、FFU設置室42に向かって(すなわち、上方に向かって)開口した3つの開口27f〜27hが形成されている、これら3つの開口27f〜27hは、左右方向において、4本の柱21〜24間に配置されており、互いに左右方向に長尺な矩形平面形状を有している。このように連結管27は、4つの空間21a〜24aから流れ込んできた窒素を一旦合流させた後、3つの開口27f〜27hからFFU設置室42に送り出すことが可能に構成されている。このように空間21a〜24a,27aが、帰還路43を構成している。
【0031】
帰還路43について、
図5を参照しつつ、さらに具体的に説明する。なお、
図5には柱23が示されているが、他の柱21、22、24についても同様である。柱23の下端部には、搬送室41内の窒素を帰還路43(空間23a)に流入させやすくするための導入ダクト28が取り付けられている。導入ダクト28には開口28aが形成され、搬送室41の下端部に到達した窒素が帰還路43に流入可能となっている。つまり、開口28aは、搬送室41内の窒素を帰還路43に吸引するガス吸引口である。
【0032】
導入ダクト28の上部には、下方へ向かうほど後方に広がる拡大部28bが形成されている。導入ダクト28内であって拡大部28bの下方には、ファン46が配置されている。ファン46は、不図示のモータによって駆動され、搬送室41の下端部に到達した窒素を帰還路43(
図5においては空間23a)に吸い込んで上方に送り出し、窒素をFFU設置室42に戻す。FFU設置室42に戻された窒素は、ケミカルフィルタ45の上面からFFU44側に吸い込まれて、これらFFU44やケミカルフィルタ45によって清浄化され、再び開口37aを介して搬送室41へ送り出される。以上のようにして、窒素が循環路40内を循環可能になっている。
【0033】
また、
図3に示すように、FFU設置室42の後端上部には、FFU設置室42(循環路40)内に窒素を供給するための供給管47が配置されている。供給管47は、窒素の供給源111に接続された外部配管48と接続されている。外部配管48の途中部位には、窒素の単位時間当たりの供給量を変更可能な供給バルブ112が設けられている。これら供給管47、外部配管48、供給バルブ112及び供給源111により、不活性ガス供給手段が構成されている。なお、不活性ガス供給ラインが工場などに設置されている場合は、当該供給ラインと供給管47とを接続すればよい。このため、不活性ガス供給手段は、供給管47だけから構成されていてもよい。
【0034】
供給管47は、
図3及び
図6に示すように、左右方向に沿って延在しており、3つの排出口47aが形成されている。3つの排出口47aは、左右方向に沿って互いに離隔して配置されており、供給管47からFFU設置室42内に窒素を排出する。これら3つの排出口47aは、
図5に示すように、窒素が下方に向かって排出可能に構成されている。また、3つの排出口47aは、左右方向において、FFC44の中心と同じ位置関係に配置されている。
【0035】
また、
図5に示すように、ロードポート4の下端には、循環路40内の気体を排出するための排出管49が接続されている。なお、ロードポート4は、後述するようにドア駆動機構55が収容された収容室60がベース51に形成されたスリット51bを介して搬送室41に連通している(
図7参照)。そして、排出管49が収容室60に接続されている。排出管49は、例えば図示しない排気ポートにつながっており、その途中部位には、循環路40内の気体の単位時間当たりの排出量を変更可能な排出バルブ113が設けられている。これら排出管49及び排出バルブ113により、ガス排出手段が構成されている。
【0036】
供給バルブ112及び排出バルブ113は、制御装置5と電気的に接続されている(
図2参照)。これにより、循環路40に窒素を適宜供給及び排出することが可能となっている。例えば、EFEM1を始動するとき(例えば、EFME1をメンテナンスした後に始動するときなど含む)、循環路40内の酸素濃度が上昇している場合、供給源111から外部配管48及び供給管47を介して循環路40に窒素を供給し、排出管49を介して循環路40及び収容室60内の気体(窒素及び酸素などを含む)排出することで、酸素濃度を下げることができる。つまり、循環路40及び収容室60内を窒素雰囲気に置換することができる。なお、EFEM1を稼働させているときに、循環路40内の酸素濃度が上昇した場合も、循環路40に窒素を一時的に多く供給し、排出管49を介して窒素と共に酸素を排出することで、酸素濃度を下げることができる。なお、窒素を循環させるタイプのEFEM1においては、循環路40から外部への窒素の漏出を抑制しつつ、外部から循環路40への大気の侵入を確実に抑制するために、循環路40内の圧力を外部の圧力よりもわずかに高く保つ必要がある。具体的には、1Pa(G)〜3000Pa(G)の範囲内であり、好ましくは、3Pa(G)〜500Pa(G)、より好ましくは、5Pa(G)〜100Pa(G)である。このため、制御装置5は、循環路40内の圧力が所定の範囲から外れると、排出バルブ113の開度を変更することで窒素の排出流量を変更し、圧力が所定の目標圧力になるように調節する。このように、酸素濃度に基づいて窒素の供給流量が調節され、圧力に基づいて窒素の排出流量が調節されることで、酸素濃度及び圧力が制御される。本実施形態では、10Pa(G)の差圧となるよう調整している。
【0037】
次に、搬送室41内に配置された機器等について、
図3及び
図4を用いて説明する。
図3及び
図4に示すように、搬送室41内には、上述した搬送ロボット3と、制御部収容箱81と、計測機器収容箱82と、アライナ84とが配置されている。制御部収容箱81は、例えば搬送ロボット3の基台部90(
図3参照)の左方に設置され、アーム機構70(
図3参照)と干渉しないように配置されている。制御部収容箱81には、上述したロボット制御部11やロードポート制御部12が収容されている。計測機器収容箱82は、例えば基台部90の右方に設置され、アーム機構70と干渉しないように配置されている。計測機器収容箱82には、上述した酸素濃度計85、圧力計86、湿度計87等の計測機器(
図2参照)が収容可能となっている。
【0038】
アライナ84は、搬送ロボット3のアーム機構70(
図3参照)に保持されているウェハWの保持位置が、目標保持位置からどれだけずれているか検出するためのものである。例えば、上述したOHT(不図示)によって搬送されるFOUP100(
図1参照)の内部では、ウェハWが微妙に動くおそれがある。そこで、搬送ロボット3は、FOUP100から取り出した処理前のウェハWを、いったんアライナ84に載置する。アライナ84は、ウェハWが搬送ロボット3によって目標保持位置からどれだけずれた位置で保持されていたか計測し、計測結果をロボット制御部11に送信する。ロボット制御部11は、上記計測結果に基づいて、アーム機構70による保持位置を補正し、アーム機構70を制御して目標保持位置でウェハWを保持させ、基板処理装置6のロードロック室6aまで搬送させる。これにより、基板処理装置6によるウェハWの処理を正常に行うことができる。
【0039】
(ロードポートの構成)
次に、ロードポートの構成について、
図7及び
図8を参照しつつ以下に説明する。
図7は、ドアが閉じられた状態を示すロードポートの側断面図である。
図8は、ドアが開いた状態を示すロードポートの側断面図である。なお、
図7及び
図8は、載置台53の下方に位置する外部カバー4b(
図5参照)を取り外した状態で描かれている。
【0040】
図7に示すように、ロードポート4は、上下方向に沿って立設された板状のベース51と、このベース51の上下方向の中央部分から前方に向かって突出して形成された水平基部52とを有している。水平基部52の上部には、FOUP100を載置するための載置台53(載置部)が設けられている。載置台53はFOUP100を載置した状態で、載置台駆動部(図示せず)により前後方向に移動することが可能となっている。
【0041】
ベース51は、搬送室41を外部空間から隔離する隔壁33の一部を構成する。ベース51は、上下方向に長尺な略矩形平面形状を有している。また、ベース51は、載置されたFOUP100と前後方向に対向可能な位置に窓部51aが形成されている。また、ベース51は、上下方向において、水平基部52よりも下方位置に後述の支持フレーム56が移動可能な上下方向に延在したスリット51bが形成されている。スリット51bは、支持フレーム56がベース51を貫通した状態で上下に移動可能範囲にのみ形成されており、左右方向の開口幅が小さくなっている。このため、スリット51bから収容室60のパーティクルが搬送室41に侵入しにくくなっている。
【0042】
ロードポート4は、FOUP100の蓋101を開閉可能な開閉機構54を有している。開閉機構54は、窓部51aを閉鎖することが可能なドア4aと、ドア4aを駆動させるためのドア駆動機構55とを有している。ドア4aは、窓部51aを閉鎖可能に構成されている。また、ドア4aは、FOUP100の蓋101のロックを解除可能、且つ、蓋101を保持可能に構成されている。ドア駆動機構55は、ドア4aを支持するための支持フレーム56と、スライド支持手段57を介して支持フレーム56を前後方向に移動可能に支持する可動ブロック58と、この可動ブロック58をベース51に対して上下方向に移動可能に支持するスライドレール59とを含む。
【0043】
支持フレーム56は、ドア4aの後部下方を支持するものであり、下方に向かって延在した後に、ベース51に設けられたスリット51bを通過してベース51の前方に向かって張り出した略クランク状の板状部材である。そして、この支持フレーム56を支持するためのスライド支持手段57、可動ブロック58及びスライドレール59はベース51の前方に設けられている。すなわち、ドア4aを移動させるための駆動箇所が筐体2の外側であって、水平基部52の下方に設けられた収容室60に収容されている。収容室60は、水平基部52と、水平基部52から下方に向かって延在する略箱状のカバー61とベース51とで囲まれて構成され、略密閉状態とされている。
【0044】
カバー61の底壁61aには、上述の排出管49が接続されている。つまり、収容室60と排出管49とが接続されている。本実施形態においては、3つのロードポート4のいずれにおいても、収容室60と排出管49とが接続されている。これにより、各ロードポート4の収容室60を介して循環路40の気体を排出管49から排出することが可能となる。このため、排出管49から気体を排出する際、各収容室60内に存在するパーティクルも気体と共に排出することが可能となる。また、収容室60内であって底壁61a上には、排出管49と対向するファン62が設けられている。このようにファン62が収容室60内に設けられていることで、パーティクルの舞上げを抑制しつつ、収容室60から排出管49に気体を排出しやすくなる。仮に搬送室41内の気体を収容室60に向けて送出するファンが設けられている場合、搬送室41内の気流に乱れが生じやすくなり、搬送室41内のパーティクルが舞上げられやすくなるが、本実施形態においては収容室60内にファン62が配置されているため、搬送室41内のパーティクルを舞上げるのを抑制することが可能となる。また、本実施形態においては、ガス排出手段(排出管49)の接続箇所(ファン62の設置個所)をスリット51bによる連通箇所から距離を取るように、収容室60を構成する壁面のうち底壁61aに設ける構成を採用している。
【0045】
続いて、FOUP100の蓋101及びドア4aの開閉動作について、以下に説明する。先ず、
図7に示すように、ベース51より離隔した状態で載置台53上に載置されたFOUP100を、載置台53を後方に向かって移動させて、蓋101とドア4aとを当接させる。このとき、開閉機構54のドア4aでFOUP100の蓋101のロックを解除し、且つ、蓋101を保持させる。
【0046】
次に、
図8に示すように、支持フレーム56を後方に向かって移動させる。これにより、ドア4a及び蓋101が後方に移動する。こうすることで、FOUP100の蓋101が開くと共にドア4aが開いて、筐体2の搬送室41とFOUP100とが連通する。
【0047】
次に、
図8に示すように、支持フレーム56を下方に移動させる。これにより、ドア4a及び蓋101が下方に移動する。こうすることで、FOUP100が搬出入口として大きく開放され、FOUP100とEFEM1との間でウェハWの移動を行うことが可能となる。なお、蓋101及びドア4aを閉じる場合は、上述と逆の動作を行えばよい。また、ロードポート4の一連の動作は、ロードポート制御部12によって制御される。
【0048】
以上に述べたように、本実施形態のEFEM1によると、ガス排出手段を構成する排出管49が、開閉機構54の一部が収容されたロードポート4の収容室60に接続されている。これにより、循環路40を窒素雰囲気に置換する際に、収容室60内もすばやく窒素雰囲気に置換しやすくなる。例えば、EFEM1の始動時(メンテナンスを行った後含む)に、供給管47(不活性ガス供給手段)から窒素を供給し排出管49(ガス排出手段)で気体(ガス)を排出することで、搬送室41及び収容室60を窒素雰囲気にすばやく置換しやすくなる。このため、ウェハW(基板)の搬送などの作業を開始するまでの時間を短くすることができる。また、ガス排出時に収容室60内のパーティクルも排出することが可能となって、開閉機構54の動作時に収容室60内のパーティクルが舞い上がりにくくなって、搬送室41内にパーティクルが侵入しにくくなる。
【0049】
また、搬送室41の上部に設けられ窒素を送出する開口37a(ガス送出口)と、搬送室41の下部に設けられ窒素を吸引する開口28a(ガス吸引口)と、開口28aからの窒素を開口37aへと帰還させる帰還路43(ガス帰還路)とを有し、ファン44aと開口37a(ガス送出口)との間にフィルタ44bが設けられていることで、搬送室41にパーティクルを除去した窒素の下降気流を生じさせつつ、帰還路43を通じて窒素を循環させることが可能となる。このため、窒素の消費を抑制し、コストを削減することが可能となる。
【0050】
また、排出管49が底壁61aに接続されている。これにより、収容室60内のパーティクルであって、下方に溜まったパーティクルを効果的に排出することが可能となる。
【0051】
また、排出管49は筐体2の前方に配置されたロードポート4に接続されているため、排出管49の配管レイアウトの自由度が向上する。例えば、排出管が、筐体2の後端に接続されている場合は基板処理装置6と緩衝する虞があり、筐体2の左端又は右端に接続されている場合はEFEM1自体の左右方向における設置面積が大きくなるなど、配管レイアウトに制約が生じやすい。
【0052】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。上述の実施形態においては、ファン62が設けられているが、ファン62を設けずに、吸引手段(例えば、工場などのバキューム)と排出管49とを接続してもよい。また、排出管49は、収容室60と接続されておれば、底壁61a以外の部分と接続されていてもよい。
【0053】
また、本実施形態においては、ファン62の回転数を一定にした上で、排出バルブ113の開度をコントロールすることで、収容室60からのガスの排出量の調節を行っているが、ファン62の回転数を制御することで収容室60からのガスの排出量の調節を行ってもよい。
【0054】
また、筐体2内に帰還路43が設けられていなくてもよい。つまり、窒素(不活性ガス)を循環させなくてもよい。また、柱21〜24及び連結管27の内部に形成された空間21a〜24a,27aが帰還路43であるものとしたが、これには限られない。すなわち、帰還路43は他の部材によって形成されていてもよい。
【0055】
また、上述のガス排出手段とは別にガス排出手段を帰還路に設ける構成であってもよい。
【0056】
また、本実施形態においては、被搬送物品を半導体基板とし、収容室60を備えるロードポート4が設けられたEFEM1に不活性ガスを供給する構成を用いて説明したが、これに限られるものではない。例えば、被搬送物品として医薬品や検体、細胞などでもよく、供給されるガスとして除菌(除染)を行う除染ガス(例えば、H
2O
2ガス)や二酸化炭素濃度が管理された気体でもよい。
【0057】
搬送システムは、被搬送物品が収納された容器の蓋を開閉するための開閉機構を備えた容器開閉装置と、容器開閉装置に隣接して設けられ、被搬送物品を搬送するための搬送室を内部に構成する筐体と、前記搬送室内に所定のガスを供給するためのガス供給手段と、前記搬送室内のガスを排出するためのガス排出手段とを備えており、前記容器開閉装置は、前記開閉機構の一部を収容し、前記搬送室と連通する収容室を備えており、前記ガス排出手段は、前記収容室を介して前記搬送室内のガスを排出するように前記収容室に接続されていることを特徴としてもよい。