特許第6963225号(P6963225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963225
(24)【登録日】2021年10月19日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】過冷却促進剤
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/00 20060101AFI20211025BHJP
【FI】
   C09K3/00 102
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-122670(P2017-122670)
(22)【出願日】2017年6月23日
(65)【公開番号】特開2019-6883(P2019-6883A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
(73)【特許権者】
【識別番号】517222133
【氏名又は名称】株式会社KUREi
(73)【特許権者】
【識別番号】597175651
【氏名又は名称】新日本薬業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100107629
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】河原 秀久
(72)【発明者】
【氏名】川本 久敏
(72)【発明者】
【氏名】楠本 護
(72)【発明者】
【氏名】小野澤 亮
【審査官】 林 建二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−038170(JP,A)
【文献】 特開2013−217747(JP,A)
【文献】 特開2006−296414(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/108635(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/105731(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/00−3/32
C09K 5/00−5/20
A23L 3/36−3/54
A01N 1/00−65/48
A01P 1/00−23/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メラノイジンからなる過冷却促進剤。
【請求項2】
メラノイジンが、グルコース、キシロース、ガラクトース及びマンノースから選択される少なくとも1つの糖と、グリシン、セリン及びスレオニンから選択される少なくとも1つのアミノ酸とのメイラード反応物である、請求項1に記載の過冷却促進剤。
【請求項3】
メラノイジンが、グルコースとグリシンとのメイラード反応物である、請求項1に記載の過冷却促進剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過冷却促進剤に関する。より詳しくは、メラノイジンを含有する過冷却促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、水は融点(0℃)以下の温度で凝固するが、異物が全く含まれていない純水は−39℃まで凝固しない。このように、融点以下の温度まで冷却しても水が凝固しない現象は、過冷却現象と呼ばれている。かかる過冷却現象は、水の温度が下がると、水分子の持つ運動エネルギーが減少し、水が氷となるために必要な氷の種である氷核を発生させるために必要且つ十分な活性化エネルギーが得られないことが原因となって生じる。
【0003】
過冷却を促進する物質は、過冷却促進(抗氷核活性)物質と呼ばれており、例えば、不凍タンパク質が知られている。不凍タンパク質は、氷晶の成長を阻害することで水の凍結温度を低下させるタンパク質であり、低温環境下で生息している魚、植物等の生物種によって生産される。しかし、これらの不凍タンパク質の過冷却促進効果は十分ではない。
【0004】
過冷却促進物質として、例えば、香辛料の成分であるオイゲノール(非特許文献1)、台湾ヒノキの成分であるヒノキチオール−鉄(非特許文献2)等の低分子化合物、Acinetobacter calcoaceticus由来のタンパク質(非特許文献3)、Bacillus thuringiensis由来の多糖(非特許文献4)等の高分子化合物が報告されている。しかし、これらの抗氷核活性物質は、水に含まれる氷核活性細菌による過冷却点の上昇を低下させることは可能であるが、ヨウ化銀等の氷核活性を示す異物による過冷却点の上昇を低下させることは困難であり、加えて、これらの化合物は、安全性や生産性の問題から、食品分野での利用が困難となっていた。
【0005】
本出願人らは、食品分野での利用を考慮して種々検討した結果、餡粕エキスに含まれるペプチド(特許文献1)、日本酒エキスの抽出物(特許文献2)、コーヒー豆から抽出された芳香族炭化水素構造とカルボキシル基を有する化合物(特許文献3)等を利用する過冷却促進物質を提案している。
【0006】
メラノイジンは、例えば、還元糖とアミノ酸が反応して得られる褐色物質とも呼ばれる化合物である。この反応はメイラード反応又は褐色反応等とも呼ばれ、加熱によって又は常温でも進行する。非特許文献5には、メラノイジンの調製及び分画課程における高分子化について記載され、メラノイジンの調製におけるpH、温度、炭酸水素ナトリウムの濃度等の影響が説明されている。
【0007】
メラノイジンは、例えば、醤油、味噌をはじめ、多くの食品の加工、貯蔵の際に生成され、製品の着色成分、香気成分、抗酸化性成分として作用する。例えば、特許文献4に、メラノイジンが紫外線による紅斑形成の抑制作用、及び黒色メラニンの生成抑制作用を有していることが記載され、メラノイジンを含有する皮膚化粧料が記載されている。特許文献5及び6には、それぞれメラノイジンを含有する肥満細胞ヒスタミン遊離抑制剤、及びインターロイキン−12産生促進剤が記載されている。しかし、メラノイジンに過冷却促進作用があることは、今まで知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許5322602
【特許文献2】特許5608435
【特許文献3】特開2015−38170
【特許文献4】特公昭62−7166
【特許文献5】特開平7−233077
【特許文献6】特開2005−225833
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】H. Kawahara et al, J. Antibact. Antifung. Agents, 24, 95-100 2006
【非特許文献2】H. Kawahara et al, Biosci. Biotech. Biochem., 64, 2651-2656, 2000
【非特許文献3】H. Kawahara et al, Biocontrol Sci, 1, 11-17, 1996
【非特許文献4】Y. Yamashita et al, Biosci, Biotech. Biochem., 66, 948-954, 2002
【非特許文献5】日本農芸化学会誌,56(2),93〜100,1982
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、食品分野を含む様々な分野で応用が可能であり、安全性及び生産性の面で優れた過冷却促進剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、意外にも、メラノイジンに優れた過冷却促進作用があることを見出して、本発明を完成した。すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1] メラノイジンを含有する過冷却促進剤。
[2] メラノイジンが、グルコース、キシロース、ガラクトース及びマンノースから選択される少なくとも1つの糖と、グリシン、セリン及びスレオニンから選択される少なくとも1つのアミノ酸とのメイラード反応物である、[1]に記載の過冷却促進剤。
[3] メラノイジンが、グルコースとグリシンとのメイラード反応物である、[1]に記載の過冷却促進剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明の過冷却促進剤は、醤油、味噌をはじめ、多くの食品の加工、貯蔵の際に生成されるメラノイジンを含有するので、安全性の面で優れている。また、本発明の過冷却促進剤は、汎用物質である還元糖とアミノ酸との反応により、簡便に調製可能なので、生産性の面で優れている。さらに、本発明の過冷却促進剤は、高い過冷却促進効果を有する。そこで、本発明の過冷却促進剤は、様々な分野で応用され得る。食品分野では、例えば、氷点下で凍結させずに生のままチルド食品を保存することが可能になり、また水の凝固点がより低いために氷結晶より小さくなることで冷凍食品の劣化を防いで品質を向上させることが可能になる。農業分野では、例えば、寒冷地での農作物の凍結耐性を向上させ、また農地の霜害を防除することができる。医療分野では、移植用又は実験用等の臓器を安定に保存することが可能になり、また医療用又は実験用等の細胞を安定に保存することが可能になる。畜産分野では、家畜の細胞、臓器及び受精卵を安定に保存することが可能になる。さらに、環境分野では、道路、車両、航空機等における霜害を防除することができ、また畜冷システムに応用することも可能になる。これ以外にも、様々な応用が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.メラノイジン
メラノイジンは、還元糖とアミノ酸が反応して得られるメイラード反応物等が挙げられ、これらは本発明に好適に用いられることができる。
還元糖としては、還元性を有するアルドース及びケトースが挙げられる。例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、リキソース、アロース等のアルドース、及びエリトルロース、キシルロース、リブロース、プシコース、フルクトース、ソルボース等のケトースが挙げられる。好ましくは、グルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース等が挙げられ、より好ましくはグルコースが挙げられる。
【0014】
アミノ酸としては、天然アミノ酸等が挙げられ、例えばグリシン、セリン、スレオニン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン、バリンが挙げられる。好ましくは、グリシン、セリン、スレオニン等が挙げられる。中でもグリシンは糖と反応しやすいため、好ましい。
【0015】
還元糖とアミノ酸を混合し、加熱することで、メラノイジンを調製することができる。具体的には、例えば、還元糖とアミノ酸を溶媒に溶解又は懸濁させて加熱することができる。還元糖とアミノ酸の混合モル比としては、例えば1:2〜2:1が挙げられ、好ましくは1:1.5〜1.5:1が挙げられ、より好ましくは1:1.1〜1.1:1が挙げられ、特に好ましくは1:1が挙げられる。
【0016】
溶媒としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、グリセリン等)、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン等が挙げられるが、好ましくは水、アルコール等が挙げられ、より好ましくは水が挙げられる。溶媒の使用量としては、例えば還元糖とアミノ酸の混合物の質量に対して1〜20質量倍が挙げられ、好ましくは2〜10質量倍が挙げられ、より好ましくは3〜6質量倍が挙げられる。例えば、還元糖を0.5〜1.5M濃度で、好ましくは0.8〜1.2M濃度で、アミノ酸を0.5〜1.5M濃度で、好ましくは0.8〜1.2M濃度で、溶媒に添加して加熱することができる。
【0017】
反応時のpHとしては、例えばpH3〜9が挙げられ、好ましくはpH4〜7.5が挙げられる。反応の進行と共に反応系のpHは低下する。pHによって、生成されるメラノイジンの分子量が異なり、pHが低いほど高分子のメラノイジンが生成される(参照:非特許文献5)。反応時のpHを適切な範囲に調整するために、塩基を添加することもできる。添加する塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸(水素)アルカリ等が挙げられ、好ましくは炭酸(水素)アルカリが挙げられる。塩基の添加量としては、アミノ酸の1モルに対して、例えば0.05〜1モルが挙げられ、好ましくは0.07〜0.3モルが挙げられ、より好ましくは0.9〜0.15モルが挙げられる。また、逆にpHを下げるために、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸等の酸を加えることもできる。
【0018】
加熱温度としては、例えば70〜200℃が挙げられ、好ましくは90〜160℃が挙げられ、より好ましくは100〜130℃が挙げられる。加熱温度が溶媒の沸点よりも高い場合、例えばオートクレーブ等を用いてもよい。加熱時間は、加熱温度に応じて適宜変更することが好ましいが、例えば1〜10時間が挙げられ、好ましくは2〜5時間が挙げられる。加熱の終了後、常法に従って、抽出、固化、ろ過、乾燥、精製等を行うことで、比較的低い分子量のメラノイジンを単離することができる。
【0019】
高分子量のメラノイジンは、上記の加熱後の混合物をさらに酸性条件下で高分子化させることで得ることができる。酸性条件としては、例えばpH1〜4が挙げられ、好ましくはpH2〜3が挙げられる。酸性にするために、例えば塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、メタンスルホン酸等の酸を加えることができる。高分子化するために、上記混合物を酸性条件下、例えば15〜100℃、好ましくは20〜60℃、より好ましくは30〜50℃で攪拌又は放置することができる。高分子化の時間としては、保温温度に応じて適宜変更することが好ましいが、例えば1時間〜1ヶ月が挙げられ、好ましくは1〜7日間が挙げられ、より好ましくは2〜4日間が挙げられる。
【0020】
高分子化の後、常法に従って、抽出、固化、ゲルろ過、ろ過、乾燥、精製等を行うことで、高分子量のメラノイジンを単離することができる。必要に応じて、限外ろ過によって一定分子量以上のもの、例えば分子量1万以上のもの、分子量2万以上のもの等を分取することもできる。用途に応じて、所望の分子量のメラノイジンを調製することが好ましい。
メラノイジンには水溶性のものと疎水性のものがあるため、用途に応じて、水溶性又は疎水性のものを、適宜、選択することができる。
【0021】
2.過冷却促進剤
メラノイジンは、優れた過冷却促進を有する。本発明のメラノイジンを含有する過冷却促進剤は、例えば、氷核の形成を阻害することで、水を過冷却状態に保ち、氷の形成を阻害する。
本発明の過冷却促進剤は、食品分野を含む様々な分野で応用が可能であり、醤油、味噌をはじめ、多くの食品の加工、貯蔵の際に生成されるメラノイジンを含有するので、安全性の面で優れている。また、本発明の過冷却促進剤は、汎用物質である還元糖とアミノ酸との反応により、簡便に調製可能なので、生産性の面で優れている。食品分野では、例えば、氷点下で氷核を発生させないで、凍結させずに生のままチルド食品を保存することが可能になり、また水の核発生温度がより低いために氷結晶より小さくなることで冷凍食品の劣化を防いで品質を向上させることが可能になる。農業分野では、例えば、寒冷地での農作物の凍結耐性を向上させ、また農地の霜害を防除することができる。医療分野では、移植用又は実験用等の臓器を安定に保存することが可能になり、また医療用又は実験用等の細胞を安定に保存することが可能になる。畜産分野では、家畜の細胞、臓器及び受精卵を安定に保存することが可能になる。さらに、環境分野では、道路、車両、航空機等における霜害を防除することができ、また畜冷システムに応用することも可能になる。これ以外にも、様々な応用が可能となる
【0022】
本発明の過冷却促進剤は、用いる用途に応じて適した使い方がなされる。例えば、食品分野では、本発明の過冷却促進剤を含む水溶液又は有機溶媒の溶液を調製して、食品に適用することができる。農業分野及び医療分野では、本発明の過冷却促進剤を含む水溶液を調製して、適用することができる。
本発明の過冷却促進剤は、その濃度を上げることで、凍結温度をより下げることができる。従って、用途及び目標とする凍結温度に応じて、過冷却促進剤の濃度を調整することができる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
過冷却促進効果は、下記の通り、評価した。
【0024】
<過冷却促進効果(抗氷核活性)の評価>
評価試料の固形分濃度が1.0mg/mLとなるように150mMのリン酸緩衝液(pH7.0)で希釈し、さらに、希釈後の溶液をフィルター(ADVANTEC社製 Cellulose Acetate 0.2μm)でろ過した。ろ過後の水溶液をそれぞれ100μL用意した。一方で、ヨウ化銀濃度が1mg/mlとなるように、150mMのリン酸緩衝液(pH7.0)にヨウ化銀を溶解させた水溶液900μLを用意した。それぞれの評価用サンプルを、上記の2つの水溶液を混合することによって調製した。また、ブランクサンプルを、150mMのリン酸緩衝液100μLと上記のヨウ化銀溶液900μLとを混合することによって調製した。
【0025】
過冷却促進効果を、Valiの小滴凍結法によって測定した。詳しくは、Valiの小滴凍結法においては、コールドプレート冷却装置(COOLACE CCA-1000 EYELA社製)の銅版の上にアルミニウムのフィルムを置き、その表面に各評価用サンプル及びブランクサンプルを10μLずつ30箇所に滴下し、毎分1.0℃の速度で温度を低下させて、30個の小滴の50%が凍結する温度をT50とする。各サンプルの上記小滴凍結時の温度をSampleT50とし、ブランクサンプルの上記小滴凍結時の温度をBlankT50とする。そして、抗氷核活性値ΔT50(℃)を、下記式によって求めた。
ΔT50(℃)=BlankT50−SampleT50
【0026】
実施例1
メラノイジンの調製
還元糖としてグルコースを用い、アミノ酸としてグリシン、セリン及びスレオニンを用いて、3種類のメラノイジンを調製した。その具体的な調製方法は、以下の通りである。
それぞれの濃度が1Mとなるように還元糖及びアミノ酸を溶解した蒸留水の溶液を調製し、さらに炭酸水素ナトリウムを0.1Mの濃度となるようにその溶液に加えて溶解した。溶液をオートクレーブに入れて、120℃で120分間加熱した。
溶液を冷却した後、1M塩酸を用いて溶液のpHを2.5に調整し、35℃で3日間、放置することでメラノイジンを高分子化した。1M水酸化ナトリウム水溶液を用いて溶液を中性にした後、分画分子量で限外ろ過して、分子量1万以上の画分と、分子量1万以下の画分とに分画した。分子量1万以上の画分を、分画分子量14000で透析することで、分子量14000以上の高分子量メラノイジンを収率約10%で得た。分子量1万以下の画分を、酢酸エチルで抽出することで、脱塩処理を行い、酢酸エチルを留去することで、分子量10000以下の低分子量メラノイジンを収率約7%で得た。
【0027】
実施例2
メラノイジンの調製
還元糖としてキシロース及びガラクトースを用い、アミノ酸としてグリシンを用いて、実施例1と同様にして、2種類のメラノイジンを調製した。それぞれ分画処理を施して、分子量14000以上の高分子量メラノイジンと分子量10000以下の低分子量メラノイジンを得た。
【0028】
実施例3
低分子量メラノイジンの調製
実施例1において、溶液のpHを2.5に調整して、35℃で3日間、放置することによるメラノイジンの高分子化処理をせず、また限外ろ過をせずに、そのまま酢酸エチルで抽出することによる脱塩処理を行うことで、低分子量メラノイジンを調製した。
【0029】
試験例1
過冷却促進効果(抗氷核活性)の試験
実施例1及び2で調製したメラノイジンについて、過冷却促進効果を試験したところ、いずれも優れた過冷却促進効果を示した。
その代表例として、還元糖としてグルコース、ガラクトース又はキシロースを、アミノ酸としてグリシン、セリン又はスレオニンを用いて調製した高分子メラノイジン(分子量14000以上)と低分子メラノイジン(分子量10000以下)、並びに実施例2で得られた低分子量メラノイジンの試験結果を以下に記載する。
【0030】
【表1】
【0031】
以上の通り、いずれのメラノイジンも良好な過冷却促進効果を有していた。低分子量メラノイジンは、過冷却促進効果が高分子量メラノイジンよりも若干高い傾向が見られた。特に、グルコースとグリシンから得られた低分子量メラノイジンは、極めて高い過冷却促進効果を有している。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によって、食品分野を含む様々な分野で応用が可能であり、安全性及び生産性の面で優れた過冷却促進剤が提供される。