(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記脳波を示す波形を得るステップでは、右耳に対応する前記基準電極の電位および前記検出電極の電位と、左耳に対応する前記基準電極の電位および前記検出電極の電位とに基づいて、脳波を示す波形を得る
請求項7に記載の脳波測定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、生理的指標のうちの脳波は、一般に、脳内の電気活動に起因した電位の変動を計測することによって得られる。脳波の測定方法としては、生体における基準電位の計測のための電極と、頭蓋骨近傍における電位の計測のための電極との2つの電極を利用し、これらの電極の電位差に基づいて脳波を示す波形が導出する方法が一般的である。
【0005】
特許文献1の装置を用いて脳波を測定しようとすると、耳の内側の近接した領域に上述の2つの電極を配置せざるを得ないため、2つの電極の電位差が微小となり、結果として、脳波としての有意な波形が得られ難い。したがって、脳波の測定に適した情報を生体から信号として検出できる装置、および、その装置によって検出された情報を用いる脳波の測定方法が求められている。
本発明は、脳波の測定に適した信号を検出できる生体信号検出装置、および、こうした信号の検出を利用した脳波測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する生体信号検出装置は、耳介の窪みおよび外耳道からなる領域の一部に配置されるように構成された基準電極と、耳介の後方にて側頭骨上の皮膚に接するように構成された検出電極と、前記基準電極の電位と、前記検出電極の電位とに基づく信号を出力する信号処理部と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、脳波の測定に用いられる電位を検出するための基準電極と検出電極とが双方とも外耳道の近傍に配置される構成と比較して、これらの電極の電位差が大きくなりやすい。そのため、これらの電極の電位差に基づいて、脳波としての有意な波形、すなわち、解析に適した波形が得られやすい。したがって、上記生体信号検出装置によれば、脳波の測定に適した生体からの信号を検出できる。
【0008】
上記構成において、耳介の窪みおよび外耳道からなる領域の一部にはめられる内部装着部と、前記内部装着部を支持するボディ部と、前記ボディ部から延びて耳介に引っ掛けられるフック部と、を備え、前記基準電極は、前記内部装着部に備えられ、前記検出電極は、前記フック部に位置していてもよい。
【0009】
上記構成によれば、生体信号検出装置が、人体の一方の耳部に装着可能に構成されているため、生体信号検出装置を装着していることに対するユーザの負担を軽減できる。
【0010】
上記構成において、前記検出電極は、前記フック部から突出する複数の電極部を含んでもよい。
上記構成によれば、検出電極がフック部から突出する1つの突起状に構成されている場合と比較して、検出電極が側頭骨上の皮膚に接触しやすい。したがって、検出電極を用いてより的確な電位の検出が可能であり、結果として、脳波の測定により適した信号の検出が可能である。
【0011】
上記構成において、前記基準電極は、前記内部装着部の側面を構成する環状の部分を含んでもよい。
上記構成によれば、基準電極が内部装着部の側面における周方向の一部に配置されている場合と比較して、基準電極が耳介表面や外耳道内の皮膚に接触しやすい。したがって、基準電極を用いてより的確な電位の検出が可能であり、結果として、脳波の測定により適した信号の検出が可能である。
【0012】
上記構成において、前記フック部は、可撓性を有してもよい。
上記構成によれば、ユーザは、フック部を変形させながら生体信号検出装置を装着することができるため、耳介の後方に検出電極を配置するように、フック部を耳部に引っ掛けて生体信号検出装置を装着することが容易である。
【0013】
上記構成において、前記フック部の端部は、前記ボディ部に対して着脱可能に構成されており、前記フック部の端部が前記ボディ部に接続している状態において、前記ボディ部と前記フック部とは1つの環を構成してもよい。
【0014】
上記構成によれば、生体信号検出装置の使用時には、フック部の端部をボディ部に接続して、ボディ部とフック部とを1つの環状に配置できるため、耳部に対するフック部の位置の安定性が高められる。そして、生体信号検出装置を装着するときには、フック部の端部をボディ部から取り外して装着を行うことができるため、フック部を耳部に引っ掛けて装着することが容易である。
上記構成において、生体信号検出装置は、脈波センサ、加速度センサ、および、音声出力部の少なくとも1つを備えてもよい。
【0015】
上記構成によれば、脈波センサを備える構成であれば、生体信号検出装置を利用して、ユーザの脈波の検出が可能であり、加速度センサを備える構成であれば、生体信号検出装置を利用して、ユーザの動きや姿勢の検出が可能である。したがって、生体信号検出装置からの信号に基づいて、ユーザの心身の状態に関するより多くの項目についての推定が可能であり、また、1つの項目についてのより正確な推定が可能にもなる。
また、音声出力部を備える構成であれば、基準電極および検出電極を用いた電位の検出を行っている間に、ユーザは音楽等を聞くことができる。
【0016】
上記課題を解決する脳波測定方法は、耳介の窪みおよび外耳道からなる領域の一部に配置された基準電極の電位と、耳介の後方にて側頭骨上の皮膚に接する検出電極の電位とを検出するステップと、前記基準電極の電位と前記検出電極の電位とに基づいて、脳波を示す波形を得るステップと、を含む。
【0017】
上記方法によれば、外耳道の近傍に配置された2つの電極の電位に基づいて脳波を測定する方法と比較して、2つの電極、すなわち、基準電極と検出電極との電極の電位差を大きく得やすい。そして、こうした脳波の測定に適した態様で検出された情報の利用によって、脳波としての有意な波形、すなわち、解析に適した波形が得られやすい。
【0018】
上記方法において、前記脳波を示す波形を得るステップでは、右耳に対応する前記基準電極の電位および前記検出電極の電位と、左耳に対応する前記基準電極の電位および前記検出電極の電位とに基づいて、脳波を示す波形を得てもよい。
上記方法によれば、一方の耳付近から取得した電位に基づいて脳波を測定する方法と比較して、得られた脳波を利用してより多角的な解析が可能となる。そして、こうした脳波の解析によって、ユーザの心身の状態についてより精度の高い推定が可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、脳波の測定に適した信号を検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜
図10を参照して、生体信号検出装置、および、脳波測定方法の一実施形態を説明する。
[生体信号検出装置の概略構成]
図1を参照して、生体信号検出装置の概略構成を説明する。本実施形態の生体信号検出装置は、人体の耳部に取り付けられるように構成されている。
【0022】
図1が示すように、生体信号検出装置10は、ボディ部20と、内部装着部30と、外部装着部40とを備えている。内部装着部30はボディ部20に支持され、外部装着部40はボディ部20から延びてボディ部20とともに環を構成している。ボディ部20は、その内部に各種の電子部品を収容している。内部装着部30は、耳の内側、すなわち、耳介の窪みや外耳道にはめられる部分である。外部装着部40は、耳介に引っ掛けられて、その一部が、耳の外側、すなわち、耳介の付け根付近で側頭部と接するように配置される部分である。
【0023】
内部装着部30は、脳波の測定に用いられる基準電位を検出するための電極である基準電極51を備えている。外部装着部40は、脳波の測定に用いられる頭皮電位を検出するための電極である検出電極52を備えている。
【0024】
[生体信号検出装置の電気的構成]
図2を参照して、生体信号検出装置10の電気的構成を説明する。
図2が示すように、生体信号検出装置10は、センシング部50と、入出力部60と、通信部70と、制御部80と、電力供給部90とを備えている。
【0025】
センシング部50は、生体からの情報や生体信号検出装置10の状態の変化を電気信号として検出するための構成を有する。センシング部50は、上述の基準電極51および検出電極52と、脈波センサ53と、加速度センサ54とを備えている。
【0026】
基準電極51および検出電極52は、各電極が接触している生体の部位の電位に応じた電位を示す。脈波センサ53は、心臓の拍動に伴う血管の容積変化に応じた信号を出力する。脈波センサ53は、内部装着部30に含まれる。加速度センサ54は、3軸加速度センサであって、生体信号検出装置10の動きや姿勢に応じた信号を出力する。加速度センサ54は、ボディ部20に含まれることが好ましい。
【0027】
入出力部60は、制御部80との間での信号の授受を通じて、外部からの生体信号検出装置10への情報の入力を受け付け、また、生体信号検出装置10の外部へ情報を提供する。入出力部60は、操作部61と、音声出力部62と、表示部63とを備えている。
【0028】
操作部61は、ユーザの操作部61に対する操作を信号に変換して制御部80に出力する。操作部61は、例えば、生体信号検出装置10の電源のオンオフのためのスイッチを含む。また、操作部61は、生体信号検出装置10の各部の機能を調整するための領域、例えば、音声出力部62から発せられる音声の大きさを調整するための領域等を含んでいてもよい。操作部61はボディ部20に含まれることが好ましい。
【0029】
音声出力部62は、発音体およびその駆動回路を含み、制御部80からの信号に基づいて、音声を出力する。音声出力部62は、例えば、イヤホンを含み、主として内部装着部30に含まれる。音声出力部62を構成する回路等の一部は、ボディ部20に含まれてもよい。
【0030】
表示部63は、制御部80からの信号に基づいて、各種の情報を外部に対して示す。表示部63は、例えば、LED等の光源およびその駆動回路を含み、光源の点灯によって生体信号検出装置10の駆動状態を外部に通知する。また、表示部63は、情報を文字等によって表示する表示パネルを含んでいてもよい。表示部63はボディ部20に含まれることが好ましい。
【0031】
通信部70は、生体信号検出装置10と外部装置との接続処理を実行し、これらの装置の間でデータの送信および受信を行う。生体信号検出装置10と外部装置との通信には、近距離での無線通信が用いられることが好ましく、例えば、Bluetooth(登録商標)が利用される。通信部70は、ボディ部20に含まれることが好ましい。
【0032】
制御部80は、CPUや、RAM、ROM等のメモリを含む構成を有する。制御部80は、制御部80に格納されたプログラムやデータに基づいて、通信部70による通信の制御、制御部80とセンシング部50や入出力部60との間での信号の授受、各種の演算処理等、生体信号検出装置10が備える各部の制御を行う。制御部80は、ボディ部20に含まれることが好ましい。
【0033】
具体的には、制御部80は、信号出力部として機能し、基準電極51から基準電極51の電位を取得するとともに、検出電極52から検出電極52の電位を取得し、これらの電位に基づく信号である電位検出信号を出力する。電位検出信号は、通信部70を介して外部装置に送信される。電位検出信号は、基準電極51および検出電極52の各々の電位を示す信号であってもよいし、こうした信号に対して制御部80が処理を加えた信号、例えば、基準電極51と検出電極52との電位差を示す信号や、こうした電位差を示す信号に対してノイズの除去が行われた信号であってもよい。除去対象のノイズには、例えば、筋電や音声出力部62からの音声の出力に伴う振動等に起因したノイズが含まれる。要は、電位検出信号は、脳波の解析に利用可能な信号であればよい。なお、制御部80の構成を簡易にするためには、基準電極51および検出電極52の電位を示す信号に対して制御部80が行う処理は少ないほど好ましく、ノイズの除去等は外部装置にて行われることが好ましい。
【0034】
また、制御部80は、脈波センサ53から入力された信号に基づく信号である脈波検出信号、および、加速度センサ54から入力された信号に基づく信号である加速度検出信号を出力する。これらの信号は通信部70を介して外部装置に送信される。脈波検出信号は、脈波センサ53が出力した信号、もしくは、こうした信号に対して制御部80が処理を加えた信号であり、脈波の解析に利用可能な信号であればよい。加速度検出信号は、加速度センサ54が出力した信号、もしくは、こうした信号に対して制御部80が処理を加えた信号であり、生体信号検出装置10の動きや姿勢の解析に利用可能な信号であればよい。
【0035】
制御部80は、基準電極51および検出電極52と、脈波センサ53と、加速度センサ54とから同等のタイミングで取得した信号に基づいて、電位検出信号、脈波検出信号、および、加速度検出信号の各々を生成し、生成した各信号を同等のタイミングで外部装置に送ることができる。すなわち、生体信号検出装置10を用いて、脳波と脈波と加速度とをほぼ同時に測定することができる。
【0036】
また、制御部80は、外部装置から、通信部70を介して音声データを取得し、音声出力部62に音声データに基づく音声を出力させる。なお、制御部80の記憶領域が、生体信号検出装置10の操作の案内等の音声データを記憶しており、制御部80は、この記憶領域が記憶している音声データに基づく音声を、音声出力部62に出力させてもよい。
【0037】
電力供給部90は、生体信号検出装置10が備える各部に電力を供給する。電力供給部90は、例えば、一次電池や二次電池を含んで、電池からの電力を各部に供給する。電力供給部90は、ボディ部20に含まれることが好ましい。
生体信号検出装置10は、外部装置の一例として、解析装置100と通信を行う。解析装置100は、例えば、スマートフォンやタブレット端末である。
【0038】
解析装置100の制御部は、解析装置100の通信部が生体信号検出装置10から受信した電位検出信号を用いて、脳波の解析を行う。すなわち、解析装置100の制御部は、電位検出信号に対して、増幅やノイズの除去等の処理を行うことにより、脳波の波形を示すデータを得て、波形の解析を行う。そして、解析装置100は、その解析に基づき、ユーザの心身の状態の推定結果を解析装置100の表示部に表示する。波形の解析は、任意のアルゴリズムに従って行われればよい。例えば、脳波の解析に基づき、ユーザにおける集中やストレスやリラックスや眠気等の程度の推定が可能である。
【0039】
また、解析装置100の制御部は、解析装置100の通信部が生体信号検出装置10から受信した脈波検出信号や加速度検出信号を用いて、解析を行う。すなわち、解析装置100の制御部は、脈波検出信号から脈波を示すデータを得て、その波形の解析を行い、また、加速度検出信号から生体信号検出装置10の動きや姿勢を検出し、その解析を行う。そして、解析装置100は、それらの解析に基づき、ユーザの心身の状態の推定結果を解析装置100の表示部に表示する。脈波検出信号に基づく脈波の解析や、加速度検出信号に基づく加速度の解析は、任意のアルゴリズムに従って行われればよい。
【0040】
例えば、脈波の解析に基づき、自律神経のバランスが判定可能であり、これに基づき、ユーザにおけるストレスやリラックスの程度の推定が可能である。また、脈波の解析に基づき、ユーザの心拍数や心拍数に基づく興奮や鎮静の程度、運動量等の推定も可能である。また、生体信号検出装置10の動きや姿勢の解析に基づき、ユーザの移動速度や姿勢や運動量、首の動き等の運動状況の推定が可能である。
【0041】
なお、解析装置100の制御部は、電位検出信号と脈波検出信号と加速度検出信号とに基づく解析結果を統合して、ユーザの心身の状態を推定し、その推定結果を、解析装置100の表示部に表示してもよい。
【0042】
また、解析装置100の制御部は、解析装置100の記憶部が記憶している音楽等のデータのなかで、ユーザが選択したデータを、音声データとして、通信部を介して生体信号検出装置10に送信する。これにより、生体信号検出装置10では、音声データに基づく音楽等が再生される。
【0043】
解析装置100の制御部を上述のように機能させるプログラムやデータは、例えば、アプリケーションソフトウェアとして解析装置100にインストールされ、解析装置100の記憶部に格納されている。
【0044】
なお、解析装置100は、パーソナルコンピュータやサーバであってもよく、通信部70は、解析装置100とのデータの授受に適した通信規格に対応する通信が可能に構成されていればよい。また、外部装置は、生体信号検出装置10から受信した電位検出信号等の信号を、サーバ等の装置に送信し、こうしたサーバ等の装置において、電位検出信号等の信号を用いた解析が行われてもよい。
【0045】
[生体信号検出装置の詳細構成]
図3〜
図6を参照して、生体信号検出装置10の詳細構成を説明する。以下の説明において、第1方向Dxと第2方向Dyと第3方向Dzとは、互いに直交する方向であって、3次元空間を規定する方向である。
【0046】
図3(a)および(b)が示すように、ボディ部20を構成する筐体部21は、第1方向Dxに沿って延びる筒状を有し、その内部に、上述の制御部80等を構成する電子部品を収容している。筐体部21の形状は特に限定されないが、生体信号検出装置10を装着したときのユーザの快適性および意匠性の向上のためには、筐体部21の側面は曲面であることが好ましく、筐体部21は、例えば、略楕円筒状を有する。筐体部21の第1方向Dxと直交する断面における長軸方向が第2方向Dyであり、上記断面における短軸方向が第3方向Dzであり、ボディ部20と内部装着部30とは、第3方向Dzに沿って並んでいる。
【0047】
ボディ部20における第1方向Dxに沿った両端部、すなわち、筐体部21における第1方向Dxに沿った両端部のうち、一方の端部が第1端E1であり、他方の端部が第2端E2である。筐体部21の第1端E1は閉塞されており、筐体部21は、第1端E1において、第2方向Dyの一方側に突出した突出部22を備えている。
【0048】
外部装着部40は、突出部22と第2端E2とを繋ぐフック部41と、上述の検出電極52とを備えている。フック部41の一方の端部は、突出部22に接続されており、フック部41は、第3方向Dzに沿った方向から見て、突出部22から、突出部22の突出する方向に沿って延びた後、突出部22の突出する方向とは反対方向に折り返し、筐体部21の外周を通って第2端E2まで延びている。そして、フック部41の他方の端部は、第2端E2を覆う底蓋部42を構成している。フック部41は、第2方向Dyにおいて第2端E2に対し突出部22の位置する側とは反対側から、第2端E2に達している。このように、ボディ部20とフック部41とは1つの環を構成している。
【0049】
検出電極52は、3つの電極部52aから構成されている。3つの電極部52aは、フック部41から盛り上がっており、フック部41の延びる方向に沿って隙間をあけて並んでいる。各電極部52aは、略楕円柱状にフック部41から突き出していることが好ましい。第3方向Dzに沿った方向から見て、3つの電極部52aは、フック部41のなかで、筐体部21の第1端E1の外周に位置する部分に配置されている。
【0050】
3つの電極部52aは、フック部41の内部にて繋がっており、1つの検出電極52を構成している。フック部41の内部には、検出電極52から筐体部21内へ延びる配線の通る空間が形成されている。
【0051】
フック部41は、可撓性を有しており、人の手によって加えられる荷重に対して弾性変形が可能に構成されている。突出部22と底蓋部42との間の部分において、フック部41の延びる方向と直交する断面形状は、例えば、略円形であり、フック部41の径は、検出電極52の位置する部分で他の部分よりも大きくなっている。
【0052】
内部装着部30は、筐体部21から第3方向Dzに沿って突き出している。内部装着部30は、電極支持部31と、耳内挿入部32と、上述の基準電極51および脈波センサ53を備えている。また、耳内挿入部32は、イヤホンとして音声出力部62を構成する。第3方向Dzに沿った方向から見て、内部装着部30は、筐体部21における第1方向Dxの中央部よりも第1端E1に近い位置に配置されている。
【0053】
電極支持部31は柱状を有し、電極支持部31の側面に沿って基準電極51が位置する。すなわち、基準電極51は環状であり、全体として第3方向Dzに沿って延びる筒状を有している。電極支持部31のなかで、第3方向Dzに沿った方向と交差する頂面SAに脈波センサ53が位置している。
【0054】
電極支持部31は、頂面SAと対向する方向から見て、矩形の角部が曲率を有するように丸められた形状を有する。頂面SAと対向する方向から見て、電極支持部31の角部のうち、第1方向Dxにおいて第2端E2に近い側、かつ、第2方向Dyにおいて突出部22に近い側に位置する角部Gの曲率半径は、他の角部の曲率半径よりも小さい。すなわち、基準電極51の屈曲部分の曲率半径は、角部Gに位置する部分で最も小さい。
【0055】
耳内挿入部32は、電極支持部31における頂面SAから突き出した軸部33と、軸部33の先端に位置するステムに取り付けられたイヤーピース34とを備えている。軸部33は、第3方向Dzに対して傾斜した方向に突き出ている。軸部33の内部には、発音体等の音声出力部62を構成する部品が配置されている。イヤーピース34はシリコン等から形成されており、耳内挿入部32が外耳道に挿入されたときに外耳道の内壁と密着することにより音声出力部62の発する音の鼓膜への伝達性を高める機能を有している。
【0056】
第3方向Dzに沿った方向から見て、電極支持部31は、筐体部21の第2方向Dyの中心よりも、第2方向Dyにおいて突出部22と反対側に偏倚した位置に配置されており、耳内挿入部32の基部は、筐体部21の第2方向Dyのほぼ中心に位置する。すなわち、耳内挿入部32の基部は、電極支持部31の第2方向Dyの中心よりも、第2方向Dyにおいて突出部22側に偏倚している。
【0057】
また、筐体部21の周面には、操作部61および表示部63が設けられている。操作部61および表示部63の位置は特に限定されず、
図3に示す例では、操作部61は、底蓋部42の付近に位置し、表示部63は、筐体部21のなかで内部装着部30が位置する面と反対側の面に位置している。
【0058】
図4(a)および(b)が示すように、フック部41は、第2方向Dyに沿った方向から見て、突出部22から、第1方向Dxおよび第3方向Dzの各々に傾斜した方向に向けて、内部装着部30の上方の領域に延び、その後、第2端E2に向けて折り返し、第2端E2まで延びている。
【0059】
第2方向Dyに沿った方向から見て、フック部41のなかで底蓋部42から延びる部分が、第1方向Dxに対してなす角度θは、25°以上40°以下であることが好ましい。角度θは、換言すれば、第2方向Dyに沿った方向から見た場合に、フック部41における曲線状の部分の両端部のうち、第2端E2に近い端部からフック部41が延びる方向と、ボディ部20の第2端E2から第1端E1へ向かう方向とのなす角度である。
【0060】
また、フック部41のなかで、ボディ部20を囲む領域内において最も外側に位置する部分、すなわち、第1方向Dxから見た場合に第3方向Dzにおいて最もボディ部20から離れている部分と、ボディ部20を構成する筐体部21との間の最短距離dmは、3mm以上25mm以下であることが好ましい。
【0061】
検出電極52を構成する電極部52aは、フック部41から、第1方向Dxおよび第3方向Dzの各々に傾斜した方向であって、内部装着部30の突出する方向と第1端E1から第2端E2に向かう方向との間の方向に向けて、突き出している。なお、電極部52aは、フック部41から、第3方向Dzに沿った方向に突き出していてもよい。
【0062】
内部装着部30に含まれる基台部35は、筐体部21から第3方向Dzに沿った方向に突き出しており、基台部35の第3方向Dzの端部に電極支持部31が接続されている。電極支持部31の径は、基台部35の径よりも大きい。
【0063】
第2方向Dyに沿った方向から見て、電極支持部31の側面における第3方向Dzに沿った幅wa1は、第2端E2から第1端E1に向かう方向に徐々に大きくなっている。そして、第2方向Dyに沿った方向から見て、基準電極51の第3方向Dzに沿った幅wb1も、第2端E2から第1端E1に向かう方向に徐々に大きくなっている。
【0064】
図5が示すように、第1方向Dxに沿った方向から見て、電極支持部31の側面における第3方向Dzに沿った幅wa2は、第2方向Dyに沿った方向であって、筐体部21の端部のうち、突出部22の位置する端部からこの端部の反対側の端部に向かう方向に、徐々に大きくなっている。そして、第1方向Dxに沿った方向から見て、基準電極51の第3方向Dzに沿った幅wb2も、電極支持部31の幅wa2の拡大する方向と同じ方向に、徐々に大きくなっている。
【0065】
すなわち、電極支持部31および基準電極51の軸方向の幅は、電極支持部31の角部Gから頂面SAにて角部Gの対角線上に位置する角部に向けて周方向に沿って徐々に大きくなっている。
また、耳内挿入部32の軸部33は、第1方向Dxに沿った方向から見て、第2方向Dyおよび第3方向Dzの各々に傾斜した方向に延びている。
【0066】
図6が示すように、フック部41の端部は、ボディ部20に対する着脱が可能に構成されており、具体的には、底蓋部42は、筐体部21の第2端E2に対する着脱が可能に構成されている。例えば、筐体部21の第2端E2には、金属製の底板23がはめ込まれており、また、底蓋部42には、磁石が埋め込まれており、底蓋部42は、筐体部21の第2端E2に磁力によって固定される。この場合、磁力に反する力を加えるように、筐体部21から底蓋部42を引き離すことによって、筐体部21から底蓋部42を取り外すことができる。なお、底蓋部42は、筐体部21の第2端E2に対して、磁力とは異なる手段、例えば、嵌合によって取り外し可能に固定されていてもよい。
【0067】
[生体信号検出装置の作用]
図7〜
図10を参照して、生体信号検出装置10の人体への装着の態様とともにその作用について説明する。
図7が示すように、生体信号検出装置10は、耳内挿入部32が、耳の孔、すなわち、外耳道に挿入され、フック部41が耳介Piに引っ掛けられるように、耳部に装着される。このとき、ボディ部20は、耳介Piに対して手前側に配置され、第1方向Dxは鉛直方向に対して傾いた方向となる。
【0068】
フック部41における突出部22と底蓋部42との間の部分のうち、突出部22と接続する端部は、ボディ部20に対して鉛直方向の上側に位置し、底蓋部42と接続する端部は、ボディ部20に対して鉛直方向の下側に位置する。フック部41は、突出部22と接続する端部が位置する耳介Piの手前側から、耳介Pi上部における頭部との付け根付近を通って、耳介Piの後ろ側に回り込み、耳介Piの下方から再び耳介Piの手前側に出て、第2端E2と接続している。
【0069】
生体信号検出装置10の装着に際しては、ユーザは、筐体部21から底蓋部42を取り外した状態で、耳内挿入部32を外耳道に挿入するとともに、耳介Piの後ろ側にフック部41を通した後、底蓋部42を筐体部21に固定する。このように、筐体部21に対する底蓋部42の着脱が可能であること、また、フック部41が可撓性を有していて変形させながらフック部41を装着することが可能であることから、生体信号検出装置10の装着が容易である。
【0070】
図8が示すように、生体信号検出装置10が人体に装着された状態において、耳内挿入部32が外耳道Ec内に位置する。そして、電極支持部31および基準電極51は、外耳道Ecの入口付近の耳介Piの窪みに位置する。詳細には、
図9に、内部装着部30のみと耳介Piとの位置関係を示すように、電極支持部31および基準電極51は、耳珠Trと対珠Anと耳甲介Coとで囲まれる空間に位置し、基準電極51は耳介Pi表面の皮膚に接している。
【0071】
基準電極51が環状であることにより、基準電極51が耳介Pi表面の皮膚に接触しやすい。また、電極支持部31および基準電極51の屈曲部分での曲率半径が角部G、すなわち、耳珠Tr付近の窪みに配置される部分にて最も小さいこと、さらに、電極支持部31および基準電極51の軸方向の幅が、角部Gから周方向に沿って大きくなっていることにより、耳介Piの窪み内での電極支持部31の位置が安定しやすく、これによっても、基準電極51が耳介Pi表面の皮膚に接触しやすい。角部Gは、耳介Piの頭部との付け根側に配置される角部であり、電極支持部31および基準電極51の軸方向の幅は、この角部Gから、耳介Piの耳輪He側に配置される角部に向けて大きくなっている。
【0072】
図10が示すように、検出電極52は、耳介Piの後方において、耳介Piの付け根に沿った位置で、側頭部に接している。すなわち、検出電極52は、乳様突起の上方の部分で側頭骨上の皮膚に接している。フック部41のなかで、検出電極52の位置する部分は、耳介Piの付け根に沿って配置される。ここで、側頭骨上の皮膚の表面は曲面であり、その曲面形状はユーザごとに異なる。本実施形態では、検出電極52がフック部41上にて3つの電極部52aに分かれていることにより、これらの電極部52aがひとつに繋がった突条状に検出電極52が構成されている形態と比較して、電極部52a間のフック部41の撓り等により、ユーザごとの上記曲面形状の違いにも対応して検出電極52が側頭骨上の皮膚に接触しやすい。
【0073】
生体信号検出装置10の使用に際しては、生体信号検出装置10を装着したユーザによる操作部61の操作に基づき、電位検出信号の生成および解析が、生体信号検出装置10と解析装置100とによって開始される。具体的には、基準電極51の電位、すなわち、基準電位と、検出電極52の電位、すなわち、頭皮電位とに基づいて制御部80にて電位検出信号が生成され、解析装置100に送信される。解析装置100での電位検出信号を用いた解析によって、基準電位と頭皮電位との差に基づいて脳波を示す波形が導出され、この派形からユーザの心身の状態が分析される。
また、脈波検出信号の生成および解析と、加速度検出信号の生成および解析も、生体信号検出装置10と解析装置100とによって行われる。
【0074】
本実施形態の生体信号検出装置10においては、脳波を得るための基準電位が、耳介の窪み内にて計測され、脳波を得るための頭皮電位が、側頭骨上にて計測される。したがって、脳波の測定のための2箇所の電位が双方とも外耳道の近傍にて計測される場合と比較して、基準電位と頭皮電位との電位差が大きくなりやすく、こうした基準電位と頭皮電位とを用いて脳波を得る脳波測定方法によれば、脳波としての有意な波形、すなわち、解析に適した波形が得られやすい。
【0075】
また、基準電極51の配置された内部装着部30が耳介の窪みおよび外耳道にはめられるため、例えば、基準電極51をフック部41の端部に設けて、耳たぶ等から基準電位を得る構成と比較して、耳部に対する基準電極51の位置の安定性が高められる。したがって、基準電極51を用いた電位の検出がより的確に行われる。
【0076】
さらに、基準電極51は、外耳道の入口付近の耳介の窪みに配置され、外耳道には音声出力部62が挿入される。例えば、基準電極51が音声出力部62とともに外耳道に挿入される構成であると、基準電極51によって検出される電位が、音声出力部62による音声の出力に伴う振動の影響を受けやすくなる。また、基準電極51のみが外耳道に挿入される構成であると、基準電極51およびその支持部によって外耳道が詰まった状態となって音が聞こえにくくなる。これに対し、本実施形態の構成であれば、ユーザが音声出力部62による音声を聞くことが可能な構成でありながら、音声出力に伴う振動が、脳波の測定のための電位の検出結果に与える影響を小さく抑えられる。
【0077】
また、本実施形態の生体信号検出装置10は、耳部に装着されるため、ヘッドバンド状やヘッドフォン状の装置のように額や頭頂部上に装着する必要のある装置と比較して、生体信号検出装置10を装着していることに対するユーザの負担を軽減できる。したがって、生体信号検出装置10の装着に対してユーザの感じる違和感等が脳波に反映されることが抑えられ、より自然に近い状態での生理的指標の測定が可能である。それゆえ、日常での、かつ、長時間の生理的指標の測定に適した装置が実現される。また、一般に、ユーザは、音楽再生装置のイヤホンを耳部に装着することには慣れている場合が多い。本実施形態の生体信号検出装置10は、音楽再生装置のイヤホンと同様の形状を有する耳内挿入部32を用いて耳部に装着されるため、生体信号検出装置10の装着に対するユーザの負担をより軽減できる。
【0078】
なお、
図1〜
図10においては、人体の右耳に装着されるように構成された生体信号検出装置10を例示したが、生体信号検出装置10は人体の左耳に装着されてもよい。左耳に装着される場合、
図1〜
図10に例示した装置と第1方向Dxと第2方向Dyによって規定される平面に対して対称な形状となるように、生体信号検出装置10が構成されればよい。
【0079】
以上説明したように、生体信号検出装置、および、脳波測定方法によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)生体信号検出装置10は、耳介の窪みに配置されるように構成された基準電極51と、耳介の後方にて側頭骨上の皮膚に接するように構成された検出電極52とを備え、制御部80は、基準電極51の電位と、検出電極52の電位とに基づく信号を出力する。したがって、脳波の測定に用いられる電位を検出するための2つの電極が双方とも外耳道の近傍に配置される場合と比較して、2つの電極の電位差が大きくなりやすく、こうした電位差に基づいて、脳波としての有意な波形、すなわち、解析に適した波形が得られやすい。すなわち、生体信号検出装置10によれば、脳波の測定により適した信号が検出できる。
【0080】
また、基準電極51の電位と検出電極52の電位との検出が生体信号検出装置10にて行われ、基準電極51の電位と検出電極52の電位とに基づいて脳波を示す波形を得ることが解析装置100にて行われる脳波測定方法によれば、脳波の測定に適した信号の検出に基づき、解析に適した脳波としてのより有意な波形が得られる。
【0081】
(2)生体信号検出装置10が、耳介の窪み内にて耳介表面の皮膚と基準電極51とが接する状態、および、耳介の後方にて側頭骨上の皮膚と検出電極52とが接する状態を、耳部への装着を通じて保持可能とする保持構造を備える構成であれば、装置を携帯して脳波を測定することに適した生体信号検出装置10が実現される。特に、耳介の窪み内の皮膚と基準電極51とが接する状態を保持する部材と、側頭骨上の皮膚と検出電極52とが接する状態を保持する部材とが一体の装置を構成している形態であれば、生体信号検出装置10の携帯性がより高められる。
【0082】
具体的には、生体信号検出装置10は、保持構造として内部装着部30と外部装着部40とを備え、基準電極51を備える内部装着部30が耳介の窪みにはめられ、検出電極52を備える外部装着部40のフック部41が耳介に引っ掛けられるように構成されている。そして、内部装着部30と外部装着部40とがボディ部20に接続されてひとまとまりの装置を構成している。このように、生体信号検出装置10が人体の一方の耳部に装着可能に構成されているため、生体信号検出装置10を装着していることに対するユーザの負担を軽減できる。
【0083】
(3)検出電極52が、フック部41から突出する複数の電極部52aを含むため、検出電極52がフック部41から突出する1つの突起状に構成されている場合と比較して、検出電極52が側頭骨上の皮膚に接触しやすい。したがって、検出電極52を用いた電位の検出がより的確に行われる。特に、電極部52aの数が3つであることから、こうした効果が高められる。
【0084】
(4)基準電極51が、内部装着部30の側面を構成する環状を有するため、基準電極51が耳介表面の皮膚に接触しやすい。したがって、基準電極51を用いた電位の検出がより的確に行われる。
【0085】
また、基準電極51における環状の部分において、その屈曲部分での曲率半径が角部G、すなわち、耳介の付け根側に配置される部分にて最も小さいことによっても、基準電極51が耳介表面の皮膚に接触しやすい。また、上記環状の部分での軸方向の幅が、耳介の付け根側に配置される部分から、耳介の耳輪側に配置される部分に向けて大きくなることによっても、基準電極51が耳介表面の皮膚に接触しやすい。
(5)フック部41が可撓性を有するため、耳介の後方に検出電極52を配置するように、フック部41を耳部に引っ掛けて装着することが容易である。
【0086】
(6)生体信号検出装置10が装着された状態において、ボディ部20とフック部41とが1つの環を構成するため、耳部に対するフック部41の位置の安定性が高められる。そして、フック部41の端部がボディ部20に対して着脱可能に構成されているため、フック部41を耳部に引っ掛けて装着することが容易である。
【0087】
(7)生体信号検出装置10が、脈波センサ53を備えているため、生体信号検出装置10を利用して、脈波の検出が可能である。したがって、脳波と脈波との複数の生理的指標の測定が可能であるため、生体信号検出装置10からの信号を受けた解析装置100では、ユーザの心身の状態に関するより多くの項目についての推定が可能であり、また、脳波と脈波との解析結果を統合することによって、1つの項目についてのより正確な推定が可能にもなる。
【0088】
特に、脈波センサ53が、基準電極51をその側面にて支持する電極支持部31の頂面SAに配置されているため、脈波センサ53が耳介に接しやすくなる。したがって、脈波のより的確な検出が可能である。
【0089】
また、生体信号検出装置10が、加速度センサ54を備えているため、生体信号検出装置10を利用して、生体信号検出装置10の動きや姿勢、すなわち、生体信号検出装置10を装着しているユーザの動きや姿勢の検出が可能である。したがって、生体信号検出装置10からの信号を受けた解析装置100では、ユーザの心身の状態に関するより多くの項目についての推定が可能であり、また、脳波と加速度との解析結果を統合することによって、1つの項目についてのより正確な推定が可能にもなる。
【0090】
そして、生体信号検出装置10が、脈波センサ53と加速度センサ54とを備えていることにより、脳波、脈波、および、加速度の解析によって、ユーザの心身の状態に関するより多くの項目についての推定、また、より正確な推定が可能である。
【0091】
(8)生体信号検出装置10が、音声出力部62を備えているため、音楽等を聞きながら、基準電極51および検出電極52を用いた信号の検出を行うことができる。したがって、音楽再生装置を利用しているかのように、生体信号検出装置10を利用することができるため、生体信号検出装置10の装着に対するユーザの違和感をより低減できる。そして、音声出力部62のうち耳内に挿入される部分である耳内挿入部32が、基準電極51を支持する電極支持部31の頂面SAから突出しているため、装置の拡大を抑えつつ音声出力部62と基準電極51とがその機能に応じた適切な位置に配置された構成が実現される。
【0092】
[変形例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・基準電極51は、外耳道に挿入されて、外耳道内の皮膚と接するように配置されてもよい。すなわち、基準電極51は、耳介の窪みおよび外耳道からなる領域の一部に配置されればよく、内部装着部30も、基準電極51の配置に応じて、耳介の窪みおよび外耳道からなる領域の一部に配置されればよい。また、基準電極51は、内部装着部30の側面を構成する環状の部分を有していれば、電極支持部31の側面だけでなく頂面SAも含めた全体を覆う形状を有していてもよい。さらに、耳介の窪みおよび外耳道からなる領域の一部に配置されるように構成されていれば、基準電極51は環状の部分を有していなくてもよい。
【0093】
・検出電極52は、耳介の後方にて側頭骨上の皮膚に接するように構成されていればよく、検出電極52が配置される位置は、耳介の付け根に沿った位置とは異なる位置であってもよいし、乳様突起の上方とは異なる位置であってもよい。また、耳介の後方にて側頭骨上の皮膚に接するように構成されていれば、検出電極52は3つの電極部52aから構成されていなくてもよく、検出電極52は、フック部41から突出する1つの突起状であってもよいし、平板状であってもよい。
【0094】
・耳介の窪みおよび外耳道からなる領域の一部に配置されるように構成された基準電極51と、耳介の後方にて側頭骨上の皮膚に接するように構成された検出電極52とを備える構成であれば、各電極を支持する部材の構成や装置全体の形状は、上記実施形態とは異なっていてもよい。
【0095】
例えば、フック部41は可撓性を有していなくてもよいし、フック部41の端部はボディ部20に対して着脱可能ではなく、すなわち、フック部41の端部がボディ部20に常に固定されているか、もしくは、フック部41の端部とボディ部20とが常に分離されていてもよい。また、ボディ部20と内部装着部30との位置関係や、ボディ部20と外部装着部40との位置関係は、上記実施形態と異なっていてもよい。さらに、上記実施形態においては、基準電極51を備える内部装着部30と検出電極52を備える外部装着部40との双方がボディ部20に接続されており、これらは一体の装置を構成しているが、基準電極51を支持する部分と検出電極52を支持する部分とは分離していてもよい。
【0096】
・生体信号検出装置10は、脳波の測定のための基準電極51および検出電極52を備えていれば、脈波センサ53および加速度センサ54の少なくとも一方を備えていなくてもよい。また、生体信号検出装置10は、脈波とは異なる生理的指標を測定するためのセンサや、生体信号検出装置10の周囲の温度等の環境の変化を検出するためのセンサを備えていてもよい。
【0097】
また、加速度センサ54は、ユーザに携帯される解析装置100に備えられていて、加速度センサ54からの信号は解析装置100の制御部に入力されてもよい。こうした構成によっても、解析装置100の制御部では、加速度センサ54からの信号に基づいて、ユーザの動きや姿勢の検出およびその解析が可能である。
【0098】
・上記実施形態では、音声出力部62は、耳内挿入部32として、カナル型のイヤホン状に構成されたが、これに限らず、音声出力部62は、音声の出力が可能に構成されていればよい。また、生体信号検出装置10は、音声出力部62を備えていなくてもよい。
【0099】
・上記実施形態では、一方の耳部に装着された生体信号検出装置10からの信号に基づいて、解析装置100にて脳波の解析およびユーザの心身の状態の推定が行われた。これに代えて、左右の両方の耳部の各々に装着された2つの生体信号検出装置10からの信号に基づいて、解析装置100にて脳波が導出され、その解析およびユーザの心身の状態の推定が行われてもよい。すなわち、右耳に対応する基準電極51の電位および検出電極52の電位に基づく電位検出信号が、右耳に装着された生体信号検出装置10から解析装置100に送信され、左耳に対応する基準電極51の電位および検出電極52の電位に基づく電位検出信号が左耳に装着された生体信号検出装置10から解析装置100に送信される。そして、解析装置100の制御部は、右耳の電位検出信号と、左耳の電位検出信号とを用いて、脳波を示す波形を得る。こうした脳波測定方法によれば、得られた脳波を利用してより多角的な解析が可能となる。そして、こうした脳波の解析によって、ユーザの心身の状態についてより精度の高い推定が可能である。
【0100】
・解析装置100を含む外部装置と生体信号検出装置10とは、有線で接続されて通信を行ってもよいし、こうした場合には、生体信号検出装置10は、外部装置から電力の供給を受けてもよい。また、外部装置に依らず、生体信号検出装置10の制御部にて、脳波の解析が行われてもよい。
【0101】
・生体信号検出装置10が利用される目的は特に限定されず、生体信号検出装置10は医療用や調査用に用いられてもよいし、日常での健康管理用や、娯楽用や、作業者等の心身の状態の管理用に用いられてもよい。