特許第6963259号(P6963259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6963259車両用サンバイザ及びその支持アームの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963259
(24)【登録日】2021年10月19日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】車両用サンバイザ及びその支持アームの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/00 20060101AFI20211025BHJP
   B60J 3/02 20060101ALI20211025BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20211025BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B60J3/00 B
   B60J3/02 B
   B29C45/14
   B29C45/26
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-86665(P2018-86665)
(22)【出願日】2018年4月27日
(65)【公開番号】特開2019-189153(P2019-189153A)
(43)【公開日】2019年10月31日
【審査請求日】2020年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】504452789
【氏名又は名称】ニッタモールド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】茂呂 拓実
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−158943(JP,A)
【文献】 特開2007−290545(JP,A)
【文献】 特開2001−105859(JP,A)
【文献】 特開2002−002279(JP,A)
【文献】 特開2014−008727(JP,A)
【文献】 特開2005−271461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/00
B60J 3/02
B29C 45/14
B29C 45/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を遮るためのサンバイザ本体と、前記サンバイザ本体を支持するための支持アームとを備え、前記支持アームが中空空間を有する内側筒状部材と、前記内側筒状部材を覆う外側筒状部材とから構成されたサンバイザにおいて、
前記外側筒状部材は、硬質樹脂材料のナイロン樹脂又はポリプロピレン樹脂から形成され、前記内側筒状部材は、前記外側筒状部材よりも柔らかい熱可塑性エラストマから形成され、前記内側筒状部材が一次成形された後に前記外側筒状部材が二次成形されることを特徴とするサンバイザ。
【請求項2】
前記内側筒状部材を一次成形する熱可塑性エラストマには、金属製又はガラス製の成形用フィラーが混入されていることを特徴とする請求項に記載のサンバイザ。
【請求項3】
前記内側筒状部材の外周面の少なくとも一部には、前記外側筒状部材との相対的回動を防止するための平面係合部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサンバイザ。
【請求項4】
光を遮るサンバイザ本体を支持するための支持アームを製造する製造方法において、
前記支持アームを、中空空間を有する内側筒状部材と前記内側筒状部材を覆う外側筒状部材とから構成し、前記内側筒状部材を熱可塑性エラストマによる一次成形により形成し、前記外側筒状部材をナイロン樹脂又はポリプロピレン樹脂による二次成形により形成したことを特徴とするサンバイザの支持アームの製造方法。
【請求項5】
前記一次成形を行う一次成形工程においては、一次成形用金型を用いて前記内側筒状部材が成形され、前記二次成形を行う二次成形工程においては、二次成形金型を用いて前記外側筒状部材が成形され、前記一次成形金型の特定部位が前記二次成形金型の一部として用いられるように構成され、前記二次成形金型の前記一部として用いるときには、前記一次成形金型の前記特定部位は、前記一次成形工程後の前記内側筒状部材から離れた二次成形位置に位置付けられることを特徴とする請求項に記載のサンバイザの支持アームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眩しさを防ぐために車両のフロントガラスの内側に配設される車両用サンバイザ及びその支持アームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光からの眩しさを防ぐために、乗用車などの車両のフロントガラスの内側に車両用サンバイザが装備されている(例えば、特許文献1参照)。このサンバイザは、例えば、図7に示す通り、光を遮るためのサンバイザ本体102と、このサンバイザ本体102を支持するための支持アーム104とを備え、支持アーム104が取付ブラケット106を介して車両の車室天井108に取り付けられる。このサンバイザでは、支持アーム104が取付ブラケット106に回動自在に支持され、サンバイザ本体102がフロントガラス110の内側に位置する第1の位置とサイドガラス112の内側に位置する第2の位置との間を回動自在となるように構成され、またサンバイザ本体102が支持アーム104に回動自在に支持され、サンバイザ本体102が車室天井108の内側に位置する収納位置とフロントガラス110の内側に位置する防眩位置との間を回動自在となるように構成されている。
【0003】
このようなサンバイザでは、図8に示すように、支持アーム104は、電気配線(例えば、サンバイザ本体102に取り付けられた照明ランプに電気を供給するための配線)(図示せず)を導くための中空空間114を有する内側筒状部材116と、この内側筒状部材116を覆う外側筒状部材118とから構成され、この内側筒状部材116は、充分な強度を確保するために鉄製パイプから構成され、外側筒状部材118は、回動操作時の円滑性などを確保するために樹脂製パイプから構成されている。
【0004】
しかし、このようなサンバイザにおいては、車両の衝突時などに支持アーム104に大きな衝撃が加わると、その折曲部が折り曲げられるようになり、その結果、硬質の外側筒状部材(樹脂パイプ)の折曲部に亀裂が入ったり、この亀裂が大きくなったときには破損し、この破損片が周囲に飛散するおそれがある。
【0005】
そこで、このような外側筒状部材(樹脂パイプ)の亀裂、破損を防止するために、更に、図8に示すように構成したものが提案されている。内側筒状部材116(鉄製パイプ)には環状凹部120が設けられ、また外側筒状部材118(樹脂パイプ)は、この環状凹部120にて二つに分割され、その第1部分122はサンバイザ本体102に装着され、その第2部分124が取付ブラケット106に装着される。
【0006】
このような構成のサンバイザでは、支持アーム104に作用する外力は、内側筒状部材116の環状凹部120に集中し、この環状凹部120にて折れ曲がるようになるが、この環状凹部120には外側筒状部材118が存在せず、従って、外側筒状部材118の亀裂、破損を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−80354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このようなサンバイザでは、内側筒状部材116が鉄製パイプから構成されているために、その環状凹部120にて大きく折れ曲がったときには、サンバイザ本体102が乗員(運転者、同乗者)に当たるおそれがあり、外側筒状部材(硬質樹脂パイプ)の亀裂、破損を回避することができたとしても乗員に対して充分な安全性を確保することが難しい。
【0009】
本発明の目的は、外側筒状部材の亀裂、破損を回避することができるとともに、乗員に対しても充分な安全性を確保することができるサンバイザを提供することである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、亀裂、破損の発生が少なく、また安全性の高い支持アームを製造する製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のサンバイザでは、光を遮るためのサンバイザ本体と、前記サンバイザ本体を支持するための支持アームとを備え、前記支持アームが中空空間を有する内側筒状部材と、前記内側筒状部材を覆う外側筒状部材とから構成されたサンバイザにおいて、
前記外側筒状部材は、硬質樹脂材料のナイロン樹脂又はポリプロピレン樹脂から形成され、前記内側筒状部材は、前記外側筒状部材よりも柔らかい熱可塑性エラストマから形成され、前記内側筒状部材が一次成形された後に前記外側筒状部材が二次成形されることを特徴とする。
【0012】
このようなサンバイザにおいては、内側筒状部材を一次成形する熱可塑性エラストマに金属製又はガラス製の成形用フィラーを混入するのが好ましく、このようにすることにより、この内側筒状部材を所望の強度に調整することができる。また、内側筒状部材の外周面の少なくとも一部に、外側筒状部材との相対的回動を防止するための平面係合部を設けるのが好ましく、このようにすることにより、内側筒状部材と外側筒状部材との相対的回動を防止することができる。
【0013】
また、本発明のサンバイザの支持アームの製造方法では、光を遮るサンバイザ本体を支持するための支持アームを、中空空間を有する内側筒状部材と前記内側筒状部材を覆う外側筒状部材とから構成し、前記内側筒状部材を熱可塑性エラストマによる一次成形により形成し、前記外側筒状部材をナイロン樹脂又はポリプロピレン樹脂による二次成形により形成したことを特徴とする。
【0014】
このようなサンバイザの支持アームの製造方法においては、一次成形を行う一次成形工程においては、一次成形用金型を用いて内側筒状部材を成形し、二次成形を行う二次成形工程においては、二次成形金型を用いて外側筒状部材を成形し、一次成形金型の特定部位を二次成形金型の一部として用いるように構成し、二次成形金型の一部として用いるときには、一次成形金型の特定部位を、一次成形工程後の内側筒状部材から離れた二次成形位置に位置付けるのが好ましく、このようにすることにより、一連の成形の流れでもって支持アームを製造することができるとともに、一次成形金型及び二次成形金型の簡略化を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のサンバイザによれば、サンバイザ本体を支持するための支持アームが内側筒状部材及び外側筒状部材から構成され、外側筒状部材は硬質樹脂材料のナイロン樹脂又はポリプロピレン樹脂から形成され、内側筒状部材が外側筒状部材よりも柔らかい熱可塑性エラストマから形成されているので、支持アームに外部からの衝撃が加わると、内側筒状部材が弾性変形してこの衝撃を吸収し、これにより、支持アームでの亀裂、破損の発生を回避することができ、安全性の高いサンバイザを提供することができる。また、内側筒状部材を一次成形した後に外側筒状部材を二次成形することにより、内側筒状部材(一部成形品)と外側筒状部材(二次成形品)とを強い結合状態でもって一体化することができ、これにより、外力が加わって内側筒状部材が弾性変形しても外側筒状部材の亀裂、破損を回避し、仮に外側筒状部材が破損したとしてもその飛散を抑えることができる。
【0017】
また、本発明のサンバイザの支持アームの製造方法によれば、光を遮るサンバイザ本体を支持するための支持アームを内側筒状部材及び外側筒状部材から構成し、内側筒状部材については熱可塑性エラストマによる一次成形により形成し、外側筒状部材についてはナイロン樹脂又はポリプロピレン樹脂による二次成形により形成しているので、支持アームに外部からの衝撃が加わると、内側筒状部材が弾性変形してこの衝撃を吸収し、これにより、支持アームでの亀裂、破損の発生を回避することができる。また、内側筒状部材を熱可塑性エラストマによる一次成形により形成し、外側筒状部材をナイロン樹脂又はポリプロピレン樹脂による二次成形により形成しているので、内側筒状部材(一部成形品)と外側筒状部材(二次成形品)とを強い結合状態でもって一体化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に従う車両用サンバイザの一実施形態を示す簡略斜視図。
図2図1のサンバイザにおける支持アームの外側筒状部材を切り欠いて断面で示す斜視断面図。
図3図1のサンバイザにおける内側筒状部材を示す斜視図。
図4図3におけるIV−IV線による断面図。
図5図2の支持アームにおける内側筒状部材を成形するときの状態を示す拡大断面図。
図6図2の支持アームにおける外側筒状部材を成形するときの状態を示す拡大断面図。
図7】従来のサンバイザの一例を簡略的に示す斜視図。
図8図7のサンバイザの支持アームの一部及びその近傍を拡大して示す部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明に従うサンバイザの一実施形態及びその支持アームの製造方法の一例について説明する。まず、図1図4を参照して、一実施形態のサンバイザについて説明する。
【0021】
図1において、図示のサンバイザ1は、光を遮るためのサンバイザ本体2と、このサンバイザ本体2を支持するための支持アーム4とを備え、支持アーム4が取付ブラケット6を介して車両の車室天井8に取り付けられる。この実施形態では、支持アーム4は、全体としてL字状であり、取付ブラケット6に支持された第1部分10と、サンバイザ本体2を支持するための第2の部分12とを有し、第2部分12が第1部分10の下端から略直角に水平方向に延びている。
【0022】
支持アーム4の第1部分10は比較的短く、この第1部分10が上下方向に延びる第1軸線14を中心として回動自在に取付ブラケット6に支持されている。従って、図1から理解される如く、サンバイザ本体2は、この第1軸線14を中心として、車両のフロントガラス16の内側に位置する第1の位置(図1に示す位置)と、車両のサイドガラス18の内側に位置する第2の位置との間を回動自在に支持されている。
【0023】
また、支持アーム4の第2部分12は比較的長く、この第2部分12に水平方向に延びる第2軸線20を中心としてサンバイザ本体2が回動自在に取り付けられている。この形態では、サンバイザ本体2に被支持スリーブ22が内蔵され、この被支持スリーブ22に支持アーム4の第2部分12の先端部が回動自在に装着されている。従って、図1から理解される如く、サンバイザ本体2は、この第2の軸線20を中心として、車室天井8の内側に収納される収納位置と、フロントガラス16の内側に位置する防眩位置との間を回動自在に支持アーム4に支持されている。
【0024】
この実施形態では、支持アーム4は、次のように構成されている。図2図4をも参照して、図示の支持アーム4は、中空空間24を備えた内側筒状部材26と、この内側筒状部材26を覆う外側筒状部材28とから構成されている。内側筒状部材26は、ゴム材料又は樹脂材料から形成され、例えば熱可塑性エラストマから形成するのが好ましい。この内側筒状部材26は、図2及び図3に示すように、L字状に形成され、支持アーム4の第1部分10に対応する第1内側部分30と、その第2部分12に対応する第2内側部分32とを有し、第1内側部分30及び第2内側部分32を貫通して中空空間34が設けられている。
【0025】
また、外側筒状部材28は、内側筒状部材26よりも硬い硬質樹脂材料から形成され、例えばナイロン樹脂又はポリプロピレン樹脂材料から形成するのが好ましい。この外側筒状部材32は、図2に示すように、L字状に形成され、支持アーム4の第1部分10に対応する第1外側部分36と、その第2部分12に対応する第2外側部分38とを有している。外側筒状部材28の第1外側部分36は、内側筒状部材26の第1内側部分30の先端部を超えて更に軸方向外方に延び、その第1中空空間40は、内側筒状部材26の中空空間34の一端側に連通しており、また外側筒状部材28の第2外側部分38は、内側筒状部材26の第2内側部分32の先端部を超えて更に軸方向外方に延び、その第2中空空間42は、内側筒状部材26の中空空間34に連通している。
【0026】
このサンバイザ2においては、外側筒状部材28については、強度を確保するために硬質樹脂材料から形成し、内側筒状部材26については、この外側筒状部材28よりも柔らかい樹脂材料又はゴム材料から形成するのが重要であり、このように構成することにより、支持アーム4に加わる外力を内側筒状部材26の弾性変形でもって吸収することができ、衝撃などの外力が加わった際の亀裂、損傷を回避することができる。
【0027】
この内側筒状部材26に用いる熱可塑性エラストマとしては、スチレン系、オレフィン系、塩化ビニル系などのものを用いることができる。また、この熱可塑性エラストマに成形用フィラーを混入するようにしてもよく、このように成形用フィラーを混入することにより、内側筒状部材26の強度を調整することができ、これにより、内側筒状部材26と外側筒状部材28との強度差を調整することができる。尚、成形用フィラーとしては、鉄粉などの金属製フィラーやガラス粉末などのガラス製フィラーなどの種々のフィラーを用いることができる。
【0028】
この支持アーム4は、外周面の少なくとも一部に平面係合部を設けるようにするのが好ましい。この実施形態では、図2図4に示すように、内側筒状部材26における第1内側部分30の外周面の対向する部位に第1平面係合部44が設けられ、その第2内側部分32の外周面の対向する部位に第2平面係合部46が設けられている。このように第1平面係合部44を設けることにより、支持アーム4の第1部分10における内側筒状部材26(第1内側部分30)と外側筒状部材28(第1外側部分36)との相対的回動を確実に防止することができ、また第2平面係合部46を設けることにより、支持アーム4の第2部分12における内側筒状部材26(第2内側部分32)と外側筒状部材28(第2外側部分38)との相対的回動を確実に防止することができる。
【0029】
この内側筒状部材26(第1内側部分30及び第2内側部分32)の外周面は、平面係合部を有する適宜の形状、例えば平面係合面を一つ又は三つ以上有する形状、正六角形状、正八角形などにすることができる。また、この形態では、内側筒状部材26の第1内側部分30(又は第2内側部分32)に一つの第1平面係合部44(又は第2平面係合部46)を設けているが、その軸方向に間隔をおいて二つ以上設けるようにしてもよい。尚、このような平面係合部44,46は、内側筒状部材26の第1及び第2内側部分30,32のいずれか一方のみに設けるようにしてもよい。
【0030】
この支持アーム4は、内側筒状部材26を一次成形した後に外側筒状部材28を二次成形して形成するのが好ましい。一次成形工程においては、図5に示す一次成型用金型52を用いて内側筒状部材26の一次成形が行われる。図5において、一次成形用金型52は、一次成形用第1金型ブロック54と一次成形用第2金型ブロック56とから構成され、かかる第1金型ブロック54及び第2金型ブロック56を型締めすると、内側筒状部材26の形状に対応する一次成形用キャビティ58が規定され、この一次成形用キャビティ58に成形用樹脂材料(成形用ゴム材料)、好ましくは熱可塑性エラストマを充填することにより、図2に示す通りの内側筒状部材26が一次成形される。
【0031】
この一次成形工程に用いる第1金型ブロック54は、第1ブロック本体60から構成され、この第1ブロック本体60に、例えば内側筒状部材26の第2部分32にあってはその一対の平面係合部46及びこれらの間の一方の周面を規定するキャビティ面が形成される。また、第2金型ブロック56は、第2ブロック本体62及びインサートブロック64から構成され、このインサートブロック64が第2ブロック本体62に対して移動自在に構成される。このインサートブロック64は、一対の平面係合部46間の他方の周面を規定するキャビティ面が形成され、第1金型ブロック54の第1ブロック本体60のキャビティ面及び第2金型ブロック56のインサートブロック64のキャビティ面により一次成形用金型52の一次成形用キャビティ58が規定される。
【0032】
また、二次成形工程においては、図6に示す二次成型用金型72を用いて外側筒状部材28の二次成形が行われる。図6において、二次成形用金型72は、二次成形用第1金型ブロック74と二次成形用第2金型ブロック76とから構成され、かかる第1金型ブロック74及び第2金型ブロック76を型締めすると、外側筒状部材28の形状に対応する二次成形用キャビティ78が規定され、この二次成形用キャビティ78に成形用硬質樹脂材料(例えば、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂)を充填することにより、内側筒状部材26を覆うように外側筒状部材28が二次成形され、このようにして図2に示す通りの支持アーム4が製造される。
【0033】
この二次成形工程に用いる第1金型ブロック74は、第1ブロック本体80から構成され、この第1ブロック本体80に、例えば外側筒状部材28の第2部分38にあってはその外周面の半分を規定するキャビティ面が形成される。また、第2金型ブロック76は、第2ブロック本体82及びインサートブロック64から構成され、このインサートブロック64として、一次成形工程にて用いた一次成形用金型52のインサートブロック64が使用され、この二次成形工程においては一次成形された内側筒状部材26(換言すると、一次成形時に位置付けられる一次成形位置)から離れた二次成形位置に位置付けられる。そして、インサートブロック64に規定された上記キャビティ面及び第2ブロック本体82に形成されたキャビティ面によって、外側筒状部材28の外周面の残り半分を規定するキャビティ面が構成され、第1金型ブロック74の第1ブロック本体80のキャビティ面並びに第2金型ブロック76及びインサートブロック64のキャビティ面により二次成形用金型72の二次成形用キャビティ78が規定される。
【0034】
支持アーム4(内側筒状部材26及び外側筒状部材28)は上述したようにして成形されるので、一次成形用金型52における第2金型ブロック56のインサートブロック64が特定部位として機能し、この特定部位が二次成形用金型72における第2金型ブロック76の一部(この形態では、インサートブロック64)として用いられ、このように構成することにより、一連の成形の流れでもって支持アーム4を製造することができるとともに、一次成形金型52及び二次成形金型72の簡略化を図ることができる。
【0035】
以上、本発明に従うサンバイザ(及びサンバイザの支持アーム製造方法)の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 サンバイザ
2,102 サンバイザ本体
4,104 支持アーム
6,106 取付ブラケット
26,116 内側筒状部材
28,118 外側筒状部材
44,46 平面係合部
52 一次成形用金型
54,74 第1金型ブロック
56,76 第2金型ブロック
64 インサートブロック
72 二次成形用金型





図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8