(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ステレオ視による3次元情報計測法では画像上の特徴点を検出し計測点としているため、リアルタイムで画像を更新するごとに画像処理が必要となる。また、特許文献1に記載された技術は、空間的または時間的に強度変調された強度変調光を適用しなければならない複雑な構成と、この構成に伴う複雑な演算が必要となっていた。
【0008】
また、非特許文献1に記載された技術実現のためには、必要な3次元モデルを、内視鏡等に備えられた光学的カメラで撮像した画像を用いて構成する場合には、ステレオ視により処理する必要があったが、処理時間がかかるという課題があった。
【0009】
本発明は、前記背景におけるこれらの実情に鑑みてなされたものであり、光学的なインテグラル・フォトグラフィ(Integral Photography(IP))の原理を利用して、複雑な構成や複雑な演算を必要とせずに、対象物の3次元情報を取得できる3次元情報取得装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、3次元座標系の所定空間に配置された対象物の3次元情報を取得する3次元情報取得装置である。本発明の一態様である3次元情報取得装置は、対象物を臨むように配置され、複数の要素レンズがマトリクス状に配設されたレンズアレイと、要素レンズを通過する光束を撮像面で受光する受光部と、複数の要素レンズのそれぞれに対応するように受光部に配設され、光束を受光する複数の撮像素子がマトリクス状に配設された撮像部と、撮像部が取得した光学的情報を前記撮像素子ごとに処理する情報処理部と、を備えている。そして、情報処理部は、所定空間を分割して仮想的な計測単位空間を生成し、計測単位空間を通過する光束が前記要素レンズを介して到達する撮像画素を特定し、計測単位空間の座標、および、光束が到達する撮像画素と撮像画素から取得される色空間値を格納する構成としている。
【0011】
3次元画像の表示手法の一つとして注目されているインテグラル・フォトグラフィ(Integral Photography(以下IPという))と呼ばれる手法がある。これは2次元平面レンズアレイを用いて空間中に自然で再現性の高い3次元画像を投影するものである。この方式は空間中に点を結像させるため,観察者はあたかも対象物体が空間中に存在するような効果を得ることが可能である。さらに、計算機上でIP画像を生成する手法(Computer Generated IP)で、レンズアレイ・動画像表示装置およびコンピュータを組み合わせた三次元動画像の作成・表示システムが開発されてきた。そしてこのIPの原理に準拠した動画表示手法は、インテグラル・ビデオグラフィ(Integral Videography(以下IVという)と呼ばれている。
【0012】
本発明の一態様によれば、IP,IVの原理を利用して、最初に所定空間を分割して仮想的な計測単位空間を生成する。この計測単位空間が3次元的なマップに相当するものとなり、それぞれの計測単位空間が識別できるようにする。具体的には、計測単位空間を通過する光束が前記要素レンズを介して到達する撮像画素を特定し、計測単位空間の座標、および、光束が到達する撮像画素と前記撮像画素から取得される色空間値を格納する。こうすることで該計測単位空間を通過する光束が要素レンズを介して到達する撮像画素群を形成することができる。
【0013】
かかるプロセスによって、ある計測単位空間に注目すると、この計測単位空間は2以上の撮像画素に到達する光束によって座標が決定されるものとなる。このとき計測単位空間にかかわる光束が到達する撮像画素の色空間値を比較すると、すべての光束の色空間値が一致する場合には対象物が存在し、ひとつでも異なる場合には対象物が存在しないと判定することができる。存在・不存在の判別を行ったのち、対象物が存在する場合には該計測単位空間の色空間値として、計測単位空間にかかわる画素の色空間値を格納する。ここで対象物が存在する場合、すべての画素の色空間値は一致しているため、該計測単位空間の色空間値は一意に決まる。このように所定空間を分割した計測単位空間の色空間値に関わる光束の色空間値を観察することで、対象物の存在・不存在等の所定空間における3次元情報を取得することを可能としている。なお、色空間値は、カラープロファイルとして記録可能な色空間の値を示し、例えば、RGB,RGBA,YCbCr,CMYK,Lab color等であれば、特に限定されない。
【0014】
前記態様において、計測単位空間はボクセルとすることができる。この態様によれば、CT,MRI等で既に開示されたボクセルを適用した3次元空間のアプリケーションを適用することできる。
【0015】
前記態様において、情報処理部が、光束の経路上に2以上の計測単位空間において対象物が存在すると判別した場合に、レンズアレイ側の計測単位空間を選択するように構成することが好ましい。
【0016】
前記態様において、情報処理部が、対象物が存在すると判断した計測単位空間を収集して、対象物が存在する部分の輪郭を形成するように構成することができる。
【0017】
この態様によれば、対象物自体の形状を輪郭として形成できるため、直感的に対象物の3次元画像を把握することができる。このように3次元画像を把握することで誤判定等を防止できるとともに、対象物に異常等がある場合に直感的に把握することができる。
【0018】
前記態様において、情報処理部が、少なくとも2以上の対象物の存在する計測単位空間を選択したとき、計測単位空間の距離を計測する構成とすることが好ましい。
【0019】
この態様によれば、直感的な把握を可能にした3次元画像とともに、サイズ、寸法等を数値として計測することができる。このように計測値をディジタル化することで、経過観察や統計的処理などにおいて有用な情報を獲得することができる。
【0020】
前記態様において、レンズアレイの形状は、平面状、球面状、もしくは所定の曲率を有した曲面に形成するように構成することができる。
【0021】
光学的な3次元情報取得装置では、対象物の形状によっては光束が届かず、撮影できないオクルージョン部分が生ずる可能性がある。しかしながら、この態様によれば、対象物の形状に応じてレンズアレイの形状を選択することで、オクルージョン部分を低減させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、前記背景におけるこれらの実情に鑑みてなされたものであり、光学的なインテグラル・フォトグラフィ(Integral Photography(IP))の原理を利用して、複雑な構成や複雑な演算を必要とせずに、対象物の3次元情報を取得できる3次元情報取得装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の3次元情報取得装置に係る好適な実施の形態について説明する。以下の説明において、異なる図面においても同じ符号を付した構成は同様のものであるとして、その説明を省略する場合がある。
【0025】
本発明に係る3次元情報取得装置の一態様は、3次元座標系の所定空間に配置された対象物の3次元情報を取得する3次元情報取得装置であって、対象物を臨むように配置され、複数の要素レンズがマトリクス状に配設されたレンズアレイと、要素レンズを通過する光束を撮像面で受光する受光部と、複数の要素レンズのそれぞれに対応するように受光部に配設され、光束を受光する複数の撮像素子がマトリクス状に配設された撮像部と、撮像部が取得した光学的情報を前記撮像素子ごとに処理する情報処理部と、を備えている。そして、情報処理部は、所定空間を分割して仮想的な計測単位空間を生成し、計測単位空間を通過する光束が前記要素レンズを介して到達する撮像画素を特定し、計測単位空間の座標、および、光束が到達する撮像画素と撮像画素から取得される色空間値を格納する、ことを特徴としているものであれば、その具体的態様はいかなるものであっても構わない。
【0026】
以下の説明では、本発明に係る3次元情報取得装置の一態様を説明するが、本発明は、IP,IV技術が活用されている医療関係の画像解析はもとより、一般的な映像メディアとして、セキュリティ、ゲーム、ロボットビジョン、測量等の定量的な情報取得に適用できることは言うまでもない。
【0027】
(第1実施形態の説明)
はじめに、
図1〜4を参照して、本発明の第1実施形態に係る3次元情報取得装置の主要な構成を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る全体構成を示す説明図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係るレンズアレイの断面図であり、
図1のA−A断面図となる。
図3は、本発明の第1実施形態に係るレンズアレイの断面詳細を示した説明図である。
図4は、本発明の第1実施形態に係る撮像部を示す説明図である。
【0028】
(主要な構成についての説明)
図1を参照すると、本発明の第1実施形態に係る3次元情報取得装置100は、3次元座標系の所定空間1に配置された対象物2の3次元情報を取得する。この3次元情報取得装置100は、対象物2を臨むように配置され、複数の要素レンズ11がマトリクス状に配設されたレンズアレイ10と、要素レンズ11を通過する光束Rを撮像面で受光する受光部20と、複数の要素レンズ11のそれぞれに対応するように受光部20に配設され、光束Rを受光する複数の撮像素子31がマトリクス状に配設された撮像部30と、撮像部30が取得した光学的情報を撮像素子31ごとに処理する情報処理部40と、を備えている。
【0029】
所定空間1は、3次元情報取得装置の測定できる領域であり、光束Rがレンズアレイ10に到達する範囲となる。
【0030】
レンズアレイ10は、複数の微少な要素レンズ11を一つの基板上に多数マトリクス状に配列した光学デバイスの一つである。レンズアレイ10は、このように要素レンズ11を多数並列的に配列することで、要素レンズ11ごとに倒立像を形成し、それらの像を重ね合せて全体で1個の連続像を形成することができる。また、レンズアレイ10は、通常のレンズと比較して物像間距離を小さくできる特徴がある。なお、
図1では要素レンズ11を6×6のマトリクス状の配列としているが、これは一例であり、サイズ、要素レンズの数、形状等は、この形態には限定されない。
【0031】
レンズアレイ10は、複写機、プリンタはもとより、応用として医療、通信、計測、天文、航空、セキュリティ等の分野で多く使われている。レンズアレイ10は、ガラス、石英、シリコン、ポリマーなどの材料が使用され、要素レンズ11は、正方配列、三角配列、ランダムに、用途に応じたレンズピッチ(隣り合うレンズ間の距離)で形成することができる。
【0032】
図2〜
図3も併せて参照すると、レンズアレイ10は、要素レンズ11が並列的に配列されており、要素レンズ11の焦点距離Fの位置に光束Rの撮像面で受光する受光部20が形成されている。受光部20は、要素レンズ11のそれぞれに対応している。同一の方向から入射される光線R1,R2,R3の束となる光束Rは、要素レンズ11のレンズ面13の主点12を通過する光線R2が直線的に到達する撮像部30の撮像画素31に収束される。この結果として要素レンズ11ごとに倒立像が形成されるが、光束Rはある程度の領域を有しており、その領域は、光線R1,R2,R3によって包括される。
【0033】
図4の斜視図も併せて参照すると、撮像画素31は、要素レンズ11ごとにマトリクス状に配列されており、要素レンズ11のレンズ面13に入射される光束Rの方向は、主点12と光束Rが到達する撮像画素31とを結んだ線によって特定することができる。なお、
図4では撮像画素31を5×5のマトリクス状の配列としているが、これは一例であり、サイズ、撮像画素31の数、形状等はこの形態には限定されない。撮像画素31は、CCDやCMOSなどの撮像素子を適用することができる。なお、可視光だけでなく、赤外線や紫外線、もしくはX線等に対して感度を有する撮像素子を撮像画素31に適用することもできる。
【0034】
撮像画素31に入射された光束Rは、撮像素子のカラーフィルターを通じフォトダイオードと呼ばれる光検出器を用いて撮像画素31ごとに電子変換される。この電子情報(電荷等)は、信号として情報処理部40に送信される。
【0035】
情報処理部40は、一種のコンピュータであり、演算を実行するプロセッサ(CPU)、各種データを一時記憶する記憶領域およびプロセッサによる演算の作業領域を提供するランダム・アクセス・メモリ(RAM)、プロセッサが実行するプログラムおよび演算に使用する各種のデータが予め格納されている読み出し専用メモリ(ROM)、およびプロセッサによる演算の結果およびエンジン系統の各部から得られたデータのうち保存しておくものを格納する書き換え可能な不揮発性メモリを備えている。不揮発性メモリは、システム停止後も常時電圧供給されるバックアップ機能付きRAMで実現することができる。
【0036】
情報処理部40は、送信された電子情報(電荷等)を基に色濃淡等のアナログデータとして情報処理部40内の画像処理エンジンに渡し、それがディジタル変換されて色空間値としてメモリに格納される。なお、画像処理エンジンは、後述するように画素の比較等を行うが、これは電子回路を用いた処理でもソフトウェアによる処理のいずれでもよい。
【0037】
このように、情報処理部40は、光束Rの方向とともに、当該方向を構成する撮像画素31の色空間値を格納する。ここでは、情報処理部40の主要な機能について説明したが、情報を処理した結果を表示する表示装置(ディスプレー等)を備える構成としても良い。
【0038】
ここで、色空間値は、カラープロファイルとして記録可能な色空間の値を示し、例えば、RGB,RGBA,YCbCr,CMYK,Lab color等であれば、特に限定されない。色空間値は所定空間1の状況、対象物2の明暗や色彩状態に応じて、適宜選択することができる。
【0039】
例えば、光の三原色である赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)を使うコンピュータのディスプレー等で用いられているRGB色空間では、RGB各8ビットの計24ビットを割り振ることで、1677万7216色の表示を可能にしており、精細な識別を可能としている。
【0040】
(計測単位空間の設定と色空間値の格納についての説明)
次に
図5〜7も併せて参照して、計測単位空間の設定と色空間値の格納について説明する。
図5は、本発明の第1実施形態に係る計測単位空間の説明図である。
図6は、本発明の第1実施形態に係る交点設定の説明図である。
図7は、本発明の第1実施形態に係る複数の交点設定の説明図である。
【0041】
図5を参照すると、情報処理部40が、所定空間1を分割して生成した仮想的な計測単位空間5を示している。
図5において、(A)が所定空間1に生成された計測単位空間5であり、(B)は層状に分割して計測単位空間5の状態を表す説明図である。この計測単位空間5が3次元的なマップの例えばボクセルに相当するものとなり、それぞれの計測単位空間5が識別できるようにすることで3次元情報を取得することができる。すなわち、ここで本実施形態における撮像系に対する計測単位空間の座標を定義することができる。この後交点Pがどの計測単位空間5に含まれるかを関連づける。
【0042】
本実施形態は、2以上の撮像画素に到達する光束によって座標が決定される計測単位空間を説明するが、構成が複雑となることを回避するため2つの撮像画素として説明する。
【0043】
図6を参照すると、所定空間1内に要素レンズ11Aの主点12Aと撮像画素31Aとを結ぶ光束RAおよび要素レンズ11Bの主点12Bと撮像画素31Bとを結ぶ光束RBが示されている。そして、光束RAと光束RBとが所定空間1内で交叉する点を交点Pとしている。ここで、前記したように光束は一定の領域を有しており、光束RAと光束RBも同様となるため、交点Pについても、幾何学上の点の概念である体積、面積、長さを一切持たないものではなく、光束RAと光束RBとが交叉する部分の一定の領域を示すものとしている。
【0044】
このように互いに異なる位置の少なくとも2以上の要素レンズ11A,11Bを通過する光束RA,RBが交叉する交点Pが含まれる一定の領域である計測単位空間5を特定することができる。
【0045】
なお、所定空間において一つの光束Rと他の光束Rとの交点Pは一つになるとは限らず、2以上の交点Pが存在する場合には、同一の交点Pとして関連する画素の値を比較すれば良い。
【0046】
光束Rの方向は、主点12と撮像画素31との関係から、一義的に決定されることから、所定空間1内における交点Pの座標も一義的に決定され、交点Pが含まれる計測単位空間5が特定される。
図6では断面視の2次元で表しているが、交点Pは3次元座標系における所定空間1内の計測単位空間と関連付けられる。
【0047】
図7を参照すると、
図6と同様なプロセスによって、複数の交点Pが設定される模様を示している。すなわち、要素レンズ11Eの撮像画素31EAと要素レンズ11Dの撮像画素31DAとから交点PAが、要素レンズ11Eの撮像画素31EBと要素レンズ11Dの撮像画素31DBとから交点PBが、要素レンズ11Dの撮像画素31DCと要素レンズ11Cの撮像画素31CCとから交点PCが、設定される。さらにこれらの交点PA,PB,PCが含まれる一定の領域である計測単位空間5も設定される。
【0048】
情報処理部40は、この計測単位空間5にかかわる光束Rが到達する撮像画素の色空間値を比較する。すべての光束の色空間値が一致する場合には対象物が存在し、ひとつでも異なる場合には対象物が存在しないと判定することができる。
【0049】
情報処理部40は、存在・不存在の判別を行ったのち、対象物が存在する場合には該計測単位空間の色空間値として、計測単位空間にかかわる画素の色空間値を格納する。ここで対象物が存在する場合、すべての画素の色空間値は一致しているため、該計測単位空間の色空間値は一意に決まる。
【0050】
このように交点Pを含む一定の領域である計測単位空間5を所定空間1に全体にわたって配置することで、色空間値の比較の際に混同や誤計測を防止することができ、より正確な対象物の存否判定をすることができる。
【0051】
(点群の設定についての説明)
次に
図8を参照して、点群の設定について説明する。
図8は、本発明の第1実施形態に係る点群形成の説明図である。なお、ここで説明する点群の設定は、本実施形態の一態様であり、所定空間1に万遍なく計測単位空間5を配置することができる。ここで説明するような点群を利用することで3次元情報を取得することを例示するものである。
【0052】
図8を参照すると、所定空間1内に連続的な膜状の点群GP1,GP2,GP3が形成されている。点群GP1,GP2,GP3は、それぞれ互いに隣り合う複数の交点Pを含む計測単位空間5が選択された集合体である交点群(計測単位空間5の群)である。
【0053】
ここで、形成された点群GP1,GP2,GP3は、情報処理部40が、光束Rの経路上に2以上の前記交点Pがある場合に、レンズアレイ10側の交点Pが含まれる計測単位空間5を選択したものである。
図8では、レンズアレイ10側を頂点とした半球のドーム状としているが、この形状に限定はされない。例えば、平面状にしたり逆の半球のドーム状としたり、一定の曲率を有する曲面状とすることもできる。
【0054】
このように、計測単位空間5を連続的な膜状の点群GP1,GP2,GP3とすることで、例えば所定空間1内を膜状の面(
図8ではドーム状の半球面)を移動させてスキャンするように対象物2の存否を判定するようにできる。係る態様にすることにより、一般的なレーダーや、CT、MRIのような医療機器と類似な計測手段となるため、判定が容易となるとともに、種々のデータ交換も容易となる。さらに、誤判定等を検出し易くすることができる。
【0055】
なお、このような走査手段は一例であり、情報処理部40に場面や測定対象に応じたアプリケーションを搭載することで、点群を設定することなく、3次元情報を取得できることは言うまでもない。
【0056】
(対象物の存在・不存在判定についての説明)
次に
図9、
図10を参照して、対象物の存在・不存在判定について説明する。
図9は、本発明の第1実施形態に係る対象物不存在を判断する一例の説明図であり、点群GPを利用した態様を示している。
図9は、本発明の第1実施形態に係る対象物の輪郭形成の説明図である。
【0057】
図9を参照すると、所定空間1に対象物2が配置されたとき、交点Pの色空間値が測定される。測定にあたっては、
図8にて説明した点群GPを用い、レンズアレイ10側から徐々に遠ざかる点群GPごとに色空間値を測定する。
【0058】
そして、情報処理部40は、点群GPによって位置が特定される計測単位空間5にかかわる光束が到達する撮像画素の色空間値を比較する。ここで、すべての光束の色空間値が一致する場合には対象物2が存在し、ひとつでも異なる場合には対象物2が存在しないと判定する。
【0059】
さらに情報処理部40は、対象物2の存在・不存在の判別を行ったのち、対象物が存在する場合には計測単位空間5の色空間値として、計測単位空間5にかかわる撮像画素の色空間値を格納する。ここで対象物2が存在する場合、すべての画素の色空間値は一致しているため、該計測単位空間の色空間値は一意に決まる。
【0060】
例えば、模擬的に説明すると、
図9に示すように、計測単位空間5ごとの対象物2の存在・不存在に応じて、交点VPとし、交点NPとする。そして、
図10に示すように、対象物2の存在・不存在の領域を現出させることができる。このように対象物2の存在・不存在の境界に注目することで対象物2の輪郭点OP1,OP2,OP3,OP4,OP5,OP6が取得できる。
【0061】
なお、本実施態様は光学的な計測であるため、レンズアレイ10に対して対象物2の裏側の輪郭は計測することはできず、また対象物2の形状によっては光束Rが届かず、撮影できないオクルージョン部分が生ずる可能性がある。係る場合は、レンズアレイ10のサイズやレンズアレイ10の設置角度を調整することで対応することができる。
【0062】
この態様によれば、対象物2自体の形状の輪郭を輪郭点OPとして形成できるため、直感的に対象物2の3次元画像を把握することができる。このように3次元画像を把握することで誤判定等を防止できるとともに、対象物に異常等がある場合に直感的に把握することができる。
【0063】
(対象物の輪郭を利用した距離計測についての説明)
次に
図11を参照して対象物の輪郭を利用した距離計測について説明する。
図11は、本発明の第1実施形態に係る対象物輪郭の距離計測の説明図である。
【0064】
図11を参照すると、対象物2の輪郭を表す複数の輪郭点OPが画かれており、任意に計測点MP1,MP2が選択されている。計測点MP1,MP2が輪郭点OPと一致するときはその輪郭点の座標、輪郭点OPと一致していないときは補間した輪郭線上の座標を使うことによって、計測点MP1,MP2間の距離Lを算出することができる。
【0065】
この態様によれば、直感的な把握を可能にした3次元画像とともに、サイズ、寸法等を数値として計測することができる。このように計測値をディジタル化することで、経過観察や統計的処理などにおいて有用な情報を獲得することができる。すなわち、本実施形態の一態様は、これまでの定性的な視覚情報に加えて、サイズ、寸法等の定量的な3次元情報を取得することができる。ただし、この態様に限定されることはない。
【0066】
以上では、2つの要素レンズ11の撮像画素31の交点Pとして説明をしてきたが、所定空間1内の交点Pは、3つはもとよりさらに多くの要素レンズ11の撮像画素31の交点Pとしても設定できる。このように交点Pは、オクルージョン部分を回避できるように適宜設定することが好ましい。
【0067】
(計算機によるシミュレーション例についての説明)
次に、
図12〜
図15を参照して、計算機によるシミュレーション例について説明する。
図12は、本発明の第1実施形態に係る対象物輪郭の距離計測の計算機によるシミュレーションの一例である。
図13は、本発明の第1実施形態に係る対象物輪郭の距離計測の計算機によるシミュレーションの一例の計測結果である。
図14は、本発明の第1実施形態に係る対象物輪郭の距離計測の他の計算機によるシミュレーションの例である。
図15は、本発明の第1実施形態に係る対象物輪郭の距離計測の他の計算機によるシミュレーションの例の計測結果である。
【0068】
図12を参照すると、平板状の対象物3がレンズアレイ10に平行して距離Dの位置に配置されている。3次元情報取得装置100は、予め複数の交点を設定して、複数の点群を形成した状態となっている。すなわち、
図1も併せて参照すると、この3次元情報取得装置100は、対象物3を臨むように配置され、複数の要素レンズ11がマトリクス状に配設されたレンズアレイ10と、要素レンズ11を通過する光束Rを撮像面で受光する受光部20と、複数の要素レンズ11のそれぞれに対応するように受光部20に配設され、光束Rを受光する複数の撮像素子31がマトリクス状に配設された撮像部30と、撮像部30が取得した光学的情報を撮像素子31ごとに処理する情報処理部40と、を備えている。
【0069】
なお、この計算機によるシミュレーション例において要素レンズのサイズは1.0mm、使用している要素レンズの数は11、光束の取得できる角度範囲は30度、一つの要素レンズ当たりの撮像画素数は51ピクセルとしている。
【0070】
図13を参照すると、対象物3のレンズアレイ10に対する距離Dを10mmから50mmまで10mm刻みで移動したとき、情報処理部によって処理された輪郭点が実態と同様な移動をしていることが示されている。
【0071】
図14を参照すると、
図12の対象物3を中央がレンズアレイ10に対して凹部となるように湾曲させた対象物4が所定空間内に配置されている。
【0072】
計測結果である
図15を参照すると、対象物4の湾曲形状が再現されていることが示されている。以上のように本実施形態に係る計算機によるシミュレーション例において、座標のディジタル値を含む3次元情報が取得できることが確認された。
【0073】
(他の実施形態の説明)
次に、
図16を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。
図16は、本発明の他の実施形態に係るレンズアレイの形態を示す説明図である。本発明の他の実施形態は、レンズアレイの形状のみ第1実施形態と異なるが、その他の構成については第1実施形態と同じであるため、以下の説明において、第1実施形態と重複する構成については、その説明を省略する。
【0074】
図16を参照すると、A〜Dの4種類のレンズアレイの形状を示している。レンズアレイの形状は、対象物に対して凸状となった半球面状のレンズアレイ210、対象物に対して凹状となった半球面状のレンズアレイ310、対象物に対して凸状となった所定の曲率を有する曲面状のレンズアレイ410、対象物に対して凹状となった所定の曲率を有する曲面状のレンズアレイ510である。
【0075】
光学的な3次元情報取得装置では、対象物の形状によっては光束が届かず、撮影できないオクルージョン部分が生ずる可能性がある。しかしながら、このように、対象物の形状に応じてレンズアレイの形状を選択することで、オクルージョン部分を低減させることができる。例えば、
図16(B)のような凹型半球免状のレンズアレイ310であれば、
図10に示した対象物2であっても、ほぼ全体の輪郭を取得することが可能となる。
【0076】
以上で説明を終えるが、本発明の態様は上記実施形態に限られるものではない。