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特許6963351空気調和機および空気調和機の管理サーバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963351
(24)【登録日】2021年10月19日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】空気調和機および空気調和機の管理サーバ
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0007 20190101AFI20211025BHJP
   F24F 11/80 20180101ALI20211025BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20211025BHJP
   F24F 11/56 20180101ALI20211025BHJP
【FI】
   F24F1/0007 331
   F24F11/80
   F24F11/46
   F24F11/56
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-86218(P2018-86218)
(22)【出願日】2018年4月27日
(65)【公開番号】特開2019-190780(P2019-190780A)
(43)【公開日】2019年10月31日
【審査請求日】2020年11月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509199579
【氏名又は名称】MDI株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503049287
【氏名又は名称】岩澤 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(74)【代理人】
【識別番号】100101742
【弁理士】
【氏名又は名称】麦島 隆
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 賢治
【審査官】 町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−292187(JP,A)
【文献】 特開2013−100951(JP,A)
【文献】 特開2012−047400(JP,A)
【文献】 特開2018−054206(JP,A)
【文献】 特開平10−311691(JP,A)
【文献】 特開2003−202174(JP,A)
【文献】 特開2003−202191(JP,A)
【文献】 特開2008−116194(JP,A)
【文献】 特開2008−116193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007
F24F 11/80
F24F 11/46
F24F 11/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象設備内における調整対象である対象エアを取り込んで冷却し、対象設備へ戻す空気調和機であって、
外気を取り込んで冷却するエアクーラーと、
そのエアクーラーへ外気を吸い込むための外気引き込みファンと、
前記のエアクーラーへ貯留された外気を散水によって冷却する第一散水機と、
前記のエアクーラー内で冷却された冷気を用いて前記の対象エアとの熱交換を実行する熱交換器と、
その熱交換器へ前記の対象エアを引き込むとともに、熱交換後の処理済みエアを前記の対象設備内へ戻すための調整エア送風ファンと、
前記の外気引き込みファンによって前記のエアクーラー内へ引き込んだ外気を前記の熱交換器を経由させて外気として排出させる前に当該外気を加湿する第二散水機と、
を備え、
前記の熱交換器は、前記の第二散水機によって加湿されたことで冷却された外気および前記の対象エアの熱交換を実行する第一熱熱交換器と、
前記の対象エアおよび前記のエアクーラー内で冷却された冷気の熱交換を実行する第二熱交換器と、を縦方向に連続させ、前記の第一熱交換器を前記の第二熱交換器の上方に位置させて備え、
前記の第二散水機は、前記の第二熱交換器の上方から散水することとし、
前記の調整エア送風ファンにて引き込んだ対象エアが前記の第一熱交換器を水平方向で経由した後に前記の第二熱交換器を逆向きの水平方向で経由する略コ字形の中継経路を備え、
前記の外気引き込みファンは、前記のエアクーラーへ吸い込んだ外気を前記の第二熱交換器および第一熱交換器の順で経由させて排出させ、
前記の調整エア送風ファンは、前記の対象エアを、前記の第一熱交換器、前記の中継経路、および前記の第二熱交換器を経由させて前記の対象設備内へ戻すこととした
空気調和機。
【請求項2】
前記の第一散水機および前記の第二散水機へ供給する水を井水とした
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記の外気引き込みファンによって排出される外気の温度および湿度を測定する排出外気温湿度測定装置と、
その排出外気温湿度測定装置が測定した温度および湿度に基づいて、前記の第二散水機が散水すべき散水量を算出する制御手段と、
を備え、
前記の第二散水機は、前記の制御手段が算出した散水量にて対象エアを加湿することとした
請求項1または請求項2のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項4】
前記の調整エア送風ファンと前記の第二熱交換器との間に水冷式の第三熱交換器を備えた
請求項1から請求項3のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項5】
単数または複数の空気調和機から各種データを受信し、受信した各種データに基づいた制御データを前記の空気調和機へ送信する管理サーバであって、
前記の各種データを空気調和機から受信するデータ受信手段と、
そのデータ受信手段が受信した各種データを蓄積するデータベースと、
そのデータベースに蓄積されたデータおよび前記のデータ受信手段が受信した各種データを用いて前記の空気調和機を制御するための制御データを演算する演算手段と、
その演算手段が演算した制御データを前記の空気調和機へ送信する制御データ送信手段と、
を備え、
前記の空気調和機は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の空気調和機とした
管理サーバ。
【請求項6】
前記の管理サーバは、天気予報データを受信する天気予報データ受信手段を備え、
前記の演算手段は、受信した天気予報データをも用いて制御データを演算することとした
請求項5に記載の管理サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費エネルギを抑制しつつ、冷房効率の高い空気調和機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
所定設備内の空気が外気温よりも高い場合、その空気を冷却対象とするのであれば、外気熱交換システムが、省エネルギの見地からは有効である。
また、フリークーリングと呼ばれる技術がある。これは、冷凍機を運転せず、冷却塔からの冷却水の冷熱によって水を直接冷やし、その冷水によって空調機の冷房運転を行うものである。
【0003】
特許文献1には、冷却塔だけで冷水を製造することで年間のフリークーリング運転時間を延長し、省エネルギに寄与する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、フリークーリングが有効な時間帯に、自動運転または手動運転の切り替えを合理化する技術が開示されている。
【0005】
前記の外気熱交換システムの構成は、例えば屋外と屋内とにそれぞれ熱交換器を設け、この2つの熱交換器間に配管を接続して、配管内に冷却液(代表的には「水」)をポンプの動力にて循環させるものである。
【0006】
熱交換は、温度が高い方から温度が低い方へと熱が移動する。したがって、熱交換能力は、外気温度によって変動する。よって、外気温度が高くなるほど(換言すれば外気と冷却液との温度差が小さくなるほど)、熱交換能力は小さくなる。
【0007】
外気による屋外熱交換器の冷却効率を向上させるために、水を利用する技術としては、霧化水を外気に触れさせて気化熱を外気から奪うことで外気温度を下げる、という原理を使っている。
【0008】
特許文献3には、霧化水による外気の冷却効果を維持しつつ屋外熱交換器表面が結露しないように霧化量を制御することで、外気の冷却効果を維持しつつ伝熱性能維持と腐食防止を図ることができる空調技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−215679号公報
【特許文献2】特開2016−23899号公報
【特許文献3】特開2012−233641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
たとえば、冷房設備を稼働させなければ摂氏40度以上となってしまう職場環境(サーバルーム、溶鉱炉、ビニルハウスに代表される農水産物の養殖施設など)は少なくない。こうした環境では、夏期など外気温が高くても、フリークーリングや外気熱交換システムの技術を用いて省エネルギを達成したい、という要望は潜在している。
【0011】
たとえば、摂氏40度の環境を摂氏30度とすることは、外気温が低い季節であれば、フリークーリングや外気熱交換システムの技術でも可能である。
しかし、前述した特許文献1,2,3に開示された技術では、摂氏35度を超えるような夏期において省エネルギに寄与する技術とは言えない。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、外気温が高い季節や地域においても外気熱交換システムを有効稼働させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した課題を解決するため、
に係る第一の発明および第二の発明、第一または第二の発明に係る装置を制御するコンピュータプログラムに係る第三の発明を提供する。
【0014】
(第一の発明)
第一の発明は、対象設備内における調整対象である対象エアを取り込んで冷却し、対象設備へ戻す空気調和機に係る。
この空気調和機は、外気を取り込んで冷却するエアクーラーと、
そのエアクーラーへ外気を吸い込むための外気引き込みファンと、
前記のエアクーラーへ貯留された外気を散水によって冷却する第一散水機と、
前記のエアクーラー内で冷却された冷気を用いて前記の対象エアとの熱交換を実行する熱交換器と、
その熱交換器へ前記の対象エアを引き込むとともに、熱交換後の処理済みエアを前記の対象設備内へ戻すための調整エア送風ファンと、
前記の外気引き込みファンによって前記のエアクーラー内へ引き込んだ外気を前記の熱交換器を経由させて外気として排出させる前に当該外気を加湿する第二散水機と、
を備える。
前記の熱交換器は、 前記の熱交換器は、前記の第二散水機によって加湿されたことで冷却された外気および前記の対象エアの熱交換を実行する第一熱熱交換器と、
前記の対象エアおよび前記のエアクーラー内で冷却された冷気の熱交換を実行する第二熱交換器と、を縦方向に連続させ、前記の第一熱交換器を前記の第二熱交換器の上方に位置させて備える。
前記の第二散水機は、前記の第二熱交換器の上方から散水することとし、
前記の調整エア送風ファンにて引き込んだ対象エアが前記の第一熱交換器を水平方向で経由した後に前記の第二熱交換器を逆向きの水平方向で経由する略コ字形の中継経路を備える。
前記の外気引き込みファンは、前記のエアクーラーへ吸い込んだ外気を前記の第二熱交換器および第一熱交換器の順で経由させて排出させる。
前記の調整エア送風ファンは、前記の対象エアを、前記の第一熱交換器、前記の中継経路、および前記の第二熱交換器を経由させて前記の対象設備内へ戻すこととする。
以上のような空気調和機である(図1参照)。
【0015】
(用語説明)
「対象設備」とは、空気冷却が必要な設備であり、たとえば、多数のコンピュータ設備を稼働させているサーバルーム、製鉄所や食品加工所といった物の製造設備、農作物などを製造するビニルハウスなど、多くは設備内の空気が高温となってしまう設備である。
【0016】
(作用)
外気引き込みファンがエアクーラーへ外気を吸い込み、その外気を第一散水機が散水することで冷却する。冷却された外気は、第二熱交換器、第一熱交換器を経由し、外気として放出される。
一方、調整エア送風ファンは、対象設備の対象エアを引き込み、第一熱交換器、第二熱交換器を経由させて外気と熱交換をさせて冷却し、対象設備へ戻す役割を担う。
第二熱交換器にて熱交換した外気は、対象エアを冷却した分、温度が上昇して第一熱交換器へ入るが、湿球温度には達していないので加湿可能であることがほとんどである。そこで、第二散水機を用いて加湿することで温度を下げる。下がった温度の外気によって第一熱交換器での熱交換が可能となる。そこで、第一熱交換器によって対象エアの温度を下げ、対象設備へ戻す。第一熱交換器にて対象エアの温度を下げることで温度が上昇した外気は、放出される。
【0017】
第一散水機によって冷却された外気による熱交換と、その熱交換を終えて温度上昇した外気を加湿することで冷却して行う熱交換とを実行するので、外気温が高い夏期においても、外気熱交換システムとして稼働させることが可能である。すなわち、省エネルギに寄与する(図4図5参照;外気温が夏期の昼間に達するような摂氏35度、対象エアが摂氏40度であっても、冷媒圧縮などの手法を使わずに、対象エアの温度を摂氏27.9度まで冷却できたことを示している)。
【0019】
(作用)
エアクーラーによって冷却された外気は、第二熱交換器にて温度が上昇する。温度が上昇すると上へ移動しやすくなるので、外気を再び冷却する第一熱交換器が第二熱交換器の上方へ位置していることは、外気引き込みファンの負荷を減らすことができるため、合理的である。
【0020】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、前記の第一散水機および前記の第二散水機へ供給する水を井水とすれば、より好ましい。
井水、すなわち地下水は、年間を通して水温がほぼ一定である。よって、水道水を使う場合に比べて、夏期においては井水の方が水道水よりも水温が低くなる。すると、水道水を用いるよりも、第一散水機および第二散水機による冷却効果が高くなる。
【0021】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の外気引き込みファンによって排出される外気の温度および湿度を測定する排出外気温湿度測定装置と、
その排出外気温湿度測定装置が測定した温度および湿度に基づいて、前記の第二散水機が噴霧すべき噴霧量を算出する制御手段と、を備える。
そして、前記の第二散水機は、前記の制御手段が算出した噴霧量にて対象エアを加湿することとする(図6参照)。
【0022】
(作用)
第二散水機による噴霧量が適量よりも多い場合には、噴霧に要するエネルギが無駄になる。第二散水機による噴霧量が適量よりも少ない場合には、外気の冷却が不十分であり、調整エアの温度が十分に下げられない。
制御手段が算出した適量の噴霧量で加湿すれば、エネルギ効率が高められる。
【0023】
(第一の発明のバリエーション4)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の調整エア送風ファンと前記の第二熱交換器との間には、水冷式の第三熱交換器を備えるのである(図7参照)。
第三熱交換器の水冷に、井水を用いることができれば、より好ましい。
【0024】
(作用)
対象エアは、第一熱交換機および第二熱交換機を介して冷却されるが、それでも供給する水の水温よりも高い場合が一般的である。
そこで、第一熱交換機および第二熱交換機にて熱交換を終えた対象エアに対して、水冷式の第三熱交換機にて更なる熱交換を実行する。これによって、第三熱交換器の冷媒である水の温度へさらに近づいた調整エアを対象設備へ戻すことができる。
【0025】
(第二の発明)
第二の発明は、単数または複数の空気調和機から各種データを受信し、受信した各種データに基づいた制御データを、第一の発明に係る空気調和機へ送信する管理サーバに係る。
その管理サーバは、
前記の各種データを空気調和機から受信するデータ受信手段と、
そのデータ受信手段が受信した各種データを蓄積するデータベースと、
そのデータベースに蓄積されたデータおよび前記のデータ受信手段が受信した各種データを用いて前記の空気調和機を制御するための制御データを演算する演算手段と、
その演算手段が演算した制御データを前記の空気調和機へ送信する制御データ送信手段と、
を備える(図10参照)。
【0026】
(作用)
各種データを空気調和機からデータ受信手段が受信する。そのデータ受信手段が受信した各種データをデータベースが蓄積する。
そのデータベースに蓄積されたデータおよび前記のデータ受信手段が受信した各種データを用いて、前記の空気調和機を制御するための制御データを演算手段が演算する。その演算手段が演算した制御データを、制御データ送信手段が前記の空気調和機へ送信する。
【0027】
制御データを受信した空気調和機は、その制御データに基づいて、各種の運転やその停止が制御される。
管理サーバでは、対象設備ごとに各種データを蓄積できるので、その各種データに基づいたデータ分析、より効率的、効果的な運転のための制御データ作成などに寄与するデータを取得できる。
【0028】
(第二の発明のバリエーション)
第二の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、 前記の管理サーバは、天気予報データを受信する天気予報データ受信手段を備え、
前記の演算手段は、受信した天気予報データをも用いて制御データを演算することとする(図11参照)。
【0029】
(作用)
天気予報データを天気予報データ受信手段が受信し、演算手段は、受信した天気予報データをも用いて制御データを演算する。
気温や湿度の変化を予測し、トータルでの合理的な運転となるように制御することに寄与する。
【発明の効果】
【0030】
第一の発明によれば、外気温が高い季節や地域においても、電力消費が少ない外気熱交換システムを有効に稼働させる空気調和機を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第一の実施形態に係る空気調和機を、ポンプや温度計屋湿度計などの記号とともに図示したものである。
図2】第一の実施形態に係る空気調和機を、基本運転させた場合のフローチャートである。
図3】第一の実施形態に係る空気調和機を、基本運転させた場合の外気温、外気湿度、および対象エア温度の変化を示したものである。
図4】第一の実施形態に係る空気調和機を、応用運転させた場合のフローチャートである。
図5】第一の実施形態に係る空気調和機を、応用運転させた場合の外気温、外気湿度、および対象エア温度の変化を示したものである。
図6】第一の実施形態に係る空気調和機を、基本運転から応用運転へ切り替える場合のフローチャートである。
図7】第二の実施形態に係る空気調和機を、ポンプや温度計屋湿度計などの記号とともに図示したものである。
図8】第一の実施形態に係る空気調和機を、基本運転させた場合の湿り空気線図である。
図9】第一の実施形態に係る空気調和機を、応用運転させた場合の湿り空気線図である。
図10】空気調和機を遠隔で、複数台操作する場合について示す概念図である。
図11】管理サーバの発展系を示概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、図面(図1から図11)を参照して説明する。本発明は、実施形態に限定されるものではなく、本発明をより具体的に解釈するための形態が以下の実施形態である。
【0033】
図1
図1は、第一の実施形態に係る空気調和機を、ポンプや温度計屋湿度計などの記号とともに示している。
この空気調和機は、対象設備としてのサーバルームの室内空気(対象エア)を冷却するためのものである。コンプレッサおよびそのコンプレッサによって圧縮された媒体を膨張させる際に生じる冷熱を使用していない。いわゆるフリークーリングである。
【0034】
この空気調和機は、外気を取り込んで冷却するためのエアクーラーと、
そのエアクーラーへ外気を吸い込むための外気引き込みファンと、
前記のエアクーラーへ貯留された外気を散水によって冷却する第一散水機と、
前記のエアクーラー内で冷却された冷気を用いて前記の対象エアとの熱交換を実行する熱交換器と、
その熱交換器へ前記の対象エアを引き込むとともに、熱交換後の処理済みエアを前記の対象設備内へ戻すための調整エア送風ファンと、
前記の外気引き込みファンによって前記のエアクーラー内へ引き込んだ外気を前記の熱交換器を経由させて外気として排出させる前に当該外気を加湿する第二散水機と、
を備える。
【0035】
前記の熱交換器は、前記の第二散水機によって加湿されたことで冷却された外気および前記の対象エアの熱交換を実行する第一熱熱交換器と、前記の対象エアおよび前記のエアクーラー内で冷却された冷気の熱交換を実行する第二熱交換器と、で構成されている。
第一熱交換器は、第二熱交換器の上方へ位置させている。そして、第二散水機は、前記の第二熱交換器の上方から噴霧することとしている。
【0036】
前記の外気引き込みファンは、前記のエアクーラーへ吸い込んだ外気を前記の第二熱交換器および第一熱交換器を経由させて排出させるものである。
また、前記の調整エア送風ファンは、前記の第一熱交換器および第二熱交換器を経由させて対象設備内へ戻すものである。
【0037】
エアクーラー内に取り込まれた外気を冷却するのに用いられる、第一散水機から噴霧される水は、エアクーラーの下方に設置された下部水槽にて受け止められる。その下部水槽に貯留される水は、ポンプ(P)によって吸い上げられ、第一散水機から散水される水として循環する。供給される水量は、水量計(F1)によって継続的に計測される。
【0038】
第二散水機は、第二熱交換器で熱交換を終えて温度が上昇した外気の湿度を上げることで気温を下げるため、当該外気へ水を噴霧するものである。第二散水機が噴霧する水は、「供給水」と示している貯水タンクから供給されることとして図示している。この供給水が井水(いわゆる地下水)を確保できるのであれば、それが好ましい。
【0039】
本実施形態に係る空気調和機が取り込む外気については、温度を温度計(T1)で、湿度を湿度計(H1)で、それぞれ測定している。また、第二散水機による噴霧にて加湿冷却された外気については、温度を温度計(T2)で、湿度を湿度計(H2)で、それぞれ測定している。
【0040】
一方、対象設備の室内空気(調整対象エア)の調整前の温度を温度計(T3)で、湿度を湿度計(H3)で、それぞれ測定している。そして、調整エア送風ファンによって調整された後の温度を温度計(T4)で、湿度を湿度計(H5)で、それぞれ測定している。
【0041】
第一散水機による散水によって最初に冷却された外気の温度を温度計(T5)で、湿度を湿度計(H5)で、それぞれ測定している。
外気引き込みファンにて排出される温度を温度計(T0)で、湿度を湿度計(H0)で、それぞれ測定している。
【0042】
第一散水機による散水は、下部水槽の水をくみ上げるポンプにて供給され、その流量は流量計(F1)で、その温度は温度計(T6)で、それぞれ測定している。また、第二散水機による散水は、下部水槽の水をくみ上げるポンプと供給水とから提供される。供給水の温度は温度計(T7)で、前記のポンプによって第二散水機へ提供される流量は、流量計(F2)にて、第二散水機に対する供給水の流量は流量計(F3)で、それぞれ測定している。
【0043】
前述したように、外気引き込みファンによって排出される外気の温度および湿度は、温度計(T3)および湿度計(H3)によって測定される。
温度計(T3)および湿度計(H3)によって測定した温度および湿度に基づいて、第二散水機が噴霧すべき噴霧量を算出する制御手段(図示は省略)が、本実施形態における空気調和機には、備えられている。
【0044】
エアクーラーによって冷却されたものの、第二熱交換器にて熱交換された(気温が上昇した)外気は、制御手段が算出した噴霧量を第二散水機が噴霧する。それによって温度が下がって湿度が高められた外気にて、対象エアは冷却される。
この実施形態においては、対象エアの冷却は連続して実施されるので、第二散水機にて冷却された外気を用いた第一熱交換器にて最初に冷却され、第一散水機にてエアクーラーにおいて冷却された外気を用いた第二熱交換器にて冷却された後に、調整エア送風ファンによって、対象設備へ戻されるのである。
【0045】
供給水は、下部水槽、第一散水機、第二散水機の三箇所へ水を供給する。供給源からの供給のオンオフを実行する第一弁を備えるほか、三方弁にて三箇所への供給のオンオフを実行する。下部水槽への供給は、フロート弁にてその供給のオンオフを実行する。
【0046】
第一散水機への供給量は、流量計(F1)にて測定し、第三弁にて供給のオンオフを実行する。また、供給される水温は、温度計(T6)にて測定される。
【0047】
第二散水機への供給量は、流量計(F2)にて測定し、第二弁にて供給のオンオフを実行する。加えて、三方弁からの供給のオンオフも制御する。三方弁からの供給量は、流量計(F3)にて測定する。
【0048】
下部水槽は、第一散水機や第二散水機にて噴霧した水滴の過剰分や結露分を受け止める。下部水槽から溢れそうな水は、オーバーフローノズルを介して排出される。下部水槽の外表面の結露は、ドレインノズルを介して排出される。
下部水槽の水温は、水温計(T8)にて測定する。
【0049】
図2
図2では、図1にて示した空気調和機を温室内の空気を冷却するという場合に、エアクーラーのみを運転(基本運転)させて外気を冷却する場合のフローチャートである。
【0050】
温度計(T1)にて外気温を、湿度計(H1)にて外気の湿度を、それぞれ測定する(S1)。このときの外気温が摂氏35度、湿度が54%だった。
一方、調整対象である温室内の空気(対象エア)について、温度計(T3)および湿度計(H3)にて測定した(S2)。すると、摂氏40度、湿度50%だった。
【0051】
この段階で、基本運転で足りるのか足りないのか、の判断は困難なので、基本運転とする旨の選択をする(S3における「No」)。基本運転では足りない場合には、応用運転へのステップとなる(S4)。
【0052】
基本運転では、第二散水機でエアクーラーを冷却し、外気取り込みファンを稼働させてエアクーラーに取り込まれた外気を冷却する。外気取り込みファンの連続可動によって、外気は、第二熱交換器、第一熱交換器へと送られる(S5)。
【0053】
一方、調整エア送風ファンが稼働することによって、調整対象である温室から調整対象エアが第一熱交換器、第二熱交換器へと取り込まれる(S6)。そして、第二熱交換器にて、既に冷却された外気との熱交換が行われ、対象エアが冷却される。
【0054】
冷却された対象エアは、調整エア送風ファンの稼働によって温室内へ戻され、熱交換を終えた外気は暖められ、外気取り込みファンの稼働によって空気調和機から排出される(S7)。
【0055】
調整エアの温度は摂氏29.2度、湿度は91%となった。また、排出された外気は、摂氏38.4度、湿度は47.5%となった。第二散水機、外気取り込みファン、調整エア送風ファンなどを稼働させるのみで、温室へ送り込まれる空気は摂氏30度を下回ったのである。
【0056】
図3
図3では、第一の実施形態に係る空気調和機を、基本運転させた場合の外気温、外気湿度、および対象エア温度の変化を示している。
【0057】
図4
図4に示したフローチャート用いて、第一の実施形態に係る空気調和機を用いた応用運転について説明する。
応用運転とは、第二熱交換器にて熱交換を終えた外気に対し、第一散水機を用いて再び温度を下げ(同時に湿度は上昇するが)、その冷熱を用いた熱交換を第一熱交換器にて実行させるものである。
【0058】
取り込まれる外気および調整対象エアの条件は、前述した基本運転(図2)と同じである。すなわち、外気温が摂氏35度、外気湿度が54%、対象エアの気温が摂氏40度、湿度が50%である。
【0059】
応用運転では、第二散水機でエアクーラーを冷却するのは同じである(S11)。加えて、第一散水機で第一熱交換器内にある外気(第二熱交換器にて一度熱交換を終えている)を冷却する(S12)。
【0060】
外気取り込みファンの連続稼働によって、外気はエアクーラーにて冷却され、第二熱交換器、第一熱交換器を通過する(S13)。
一方、対象設備である温室からは、調整エア送風ファンの稼働によって調整対象エアが第一熱交換器および第二熱交換器を通過し、二段階の熱交換によって冷却される(S14)。
【0061】
外気は、外気取り込みファンの連続稼働によって排出され、調整対象エアは温室内へ戻される(S15)。このとき、調整エアの温度は摂氏27.9度、湿度は98.0%となった。また、排出された外気は、摂氏32.0度、湿度は90.0%となった。
第二散水機および第一熱交換器の働きがプラスされることによって、調整エアの温度は基本運転よりも更に下げることができたのである。
【0062】
図5
図5は、第一の実施形態に係る空気調和機を、応用運転させた場合の外気温、外気湿度、および対象エア温度の変化を示している。グラフ中で、第二散水機による散水で加湿をしたことによる効果の範囲を、ハッチングにて示している。
【0063】
図6
図6は、連続運転にて、基本運転のみで運転したり、途中で応用運転へ切り替えたりする場合のステップを示したものである。
基本運転によって排出された外気の温度および湿度を測定し(S8)、応用運転とするか否か(第一熱交換器内の外気を加湿することで更なる冷却効果が認められるかどうか)を判断する(S3)。この判断は、図示を省略した制御手段が実行する。
【0064】
図7
図7では、第二の実施形態に係る空気調和機を示す。第一の実施形態との相違点は、調整エア送風ファンと前記の第二熱交換器との間に水冷式の第三熱交換器を備えた点である。
すなわち、第二の実施形態においては、井水(井戸水、地下水)による水冷式の第三熱交換器をも備えることによって、更なる調整エアの冷却を意図している。
【0065】
井水の供給源から冷水縁切り器を介して第三熱交換器へポンプ(P2)が井水を送る。第三熱交換器は井水で冷却されるとともに、第二熱交換器にて熱交換を終えた調整エアとの熱交換をする。
【0066】
前記の冷水縁切り器は、井水に含まれる汚れ成分や腐食の原因となる含有成分などを除去(あるいは無害化)させる役割を担う。冷水縁切り器そのものが腐食や汚れに強い必要があるため、その材質はステンレス鋼やチタン合金など、井水の水質に応じて最適なものを採用している。
【0067】
第三熱交換器に冷却される対象エアは結露を生じるので、第三熱交換器の下方には、結露を貯留させられる部位を設けるとともに、その部位の下端部にはドレインノズル(2)を備える。そのドレインノズル(2)を介して、結露した水は、この空気調和機から排出される。
【0068】
井水の供給源では、井水の温度を温度計(T12)にて計測し、冷水縁切り機への流量を流量計(F6)にて計測する。
冷水縁切り機からポンプ(P2)を介して第三熱交換器へ送られる水は、その水温を温度計(T10)にて計測し、その流量を流量計(F5)にて計測する。
【0069】
第三熱交換器を出て冷水縁切り機へ戻される水の温度は、温度計(T11)にて計測し、冷水縁切り機から排水される水の温度は、温度計(T13)にて計測する。
温度計(T10,T11,T12,T13)にて計測された水温と、流量計(F5,F6)にて計測された流量と、調整エアの温度とを継続的に計測することで、最適な水量をポンプ(P2)にて送るように、制御装置が制御する。
【0070】
図7に示した第二の実施形態によれば、第一の実施形態において説明した応用運転よりも更なる調整エアの冷却が可能となる。第三熱交換器における熱交換においても、一般的な冷房設備に用いられる冷媒の圧縮などの動力が不要であり、省エネルギな空気調和機となる。
【0071】
前述した冷水縁切り機や供給水の供給源においては、砂、火山灰などの不純物が混入している可能性がある場合、マルチサイクロンを熱交換器の入り口へ取り付ける。そのマルチサイクロンによる遠心分離によって、汚れを除去し、継続的な運転を可能とする。
【0072】
なお、井水の水温が極めて低い場合、第三熱交換器を経て排水される水を、基本運転または応用運転に用いる供給水としてもよい。
【0073】
図8
図8は、基本運転における湿り空気h−x線図である。
横軸に緩急温度h(摂氏)を、縦軸に絶対温度xを示し、空気の流れに応じた動きをグラフ上に図示している。縦軸には、水蒸気圧も示している。
【0074】
図9
図9は、応用運転における湿り空気h−x線図である。
こちらも図8と同様、横軸に緩急温度h(摂氏)を、縦軸に絶対温度xを示し、空気の流れに応じた動きをグラフ上に図示している。縦軸には、水蒸気圧も示している。
【0075】
図10
図10では、第一の実施形態または第二の実施形態に係る空気調和機を遠隔で、複数台操作する場合について示す概念図である。
空気調和機α、βは、管理サーバとの間で、通信ネットワークを介してデータの送受信が可能である。
前述した制御装置は、管理サーバに存在させて一括制御とすることも可能である。一方、各空気調和機にローカルな制御装置を存在させつつ、管理サーバにおける総合的な制御装置が、ローカルな制御装置へ制御用プログラムの最新バージョンを伝送し、制御用プログラムを更新させることとしてもよい。
【0076】
空気調和機α、β、・・・からは、各温度計、各湿度計、各流量計からの測定データが管理サーバへ送信される。
管理サーバにおいては、各空気調和機α、β、・・・から送信されてくる測定データを受信する測定データ受信手段と、その測定データを蓄積する測定データベースと、受信した測定データおよび過去の測定データを用いて制御用データを演算する演算手段と、演算された制御用データを各空気調和機α、β、・・・へ送信する制御用データ送信手段と、を備えている。
【0077】
制御用データを受信した各空気調和機α、β、・・・は、その受信した制御用データにて、外気引き込みファン、調整エア送風ファン、各ポンプ、各弁、などを制御し、最適な運転を継続する。
【0078】
図11
図11は、図10に示した管理サーバのバリエーションを示す概念図である。すなわち、管理サーバは、天気予報データを受信する天気予報データ受信手段を備えることとしたのである。
【0079】
演算手段は、受信した天気予報データをも用いて制御データを演算する。それによって、気温や湿度の変化を予測し、トータルでの合理的な運転となるように制御することに寄与する。たとえば、最高気温の予想時間帯の直前に稼働を高めておいて、最高気温の時間帯には稼働を弱める、など、電気料金を重視したり、冷房効果を重視したり、といった運転制御との関係で、合理的な運転に寄与させる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、空気調和機の製造業、空気調和機の制御プログラムを提供する情報サービス業、空気調和に関するコンサルティング業、などにおいて利用可能性を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11