(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対のファスナーテープ(2)及び前記各ファスナーテープ(2)にそれぞれ固定された複数のエレメント(3)からなるエレメント列(30)を含むスライドファスナーチェーン(1)と、
前記スライドファスナーチェーン(1)に対して移動するスライダー(6)と、
前記スライダー(6)が前記スライドファスナーチェーン(1)に対して移動するための電力を供給する電源(60)と、
前記電源(60)から給電され、前記スライダー(6)を前記スライドファスナーチェーン(1)に対して移動させる駆動部(91)と、
を備え、
前記スライダー(6)内を前記エレメント(3)が通過することで、前記エレメント列(30)を閉鎖又は開放する電動スライドファスナーシステム(10)であって、
前記電源(60)は、前記スライダー(6)に搭載される充電可能なバッテリーであり、
前記スライダー(6)は、前記バッテリーに外部から電力を供給し、前記バッテリーを充電可能な給電機構を備え、
前記給電機構として、
前記一対のファスナーテープ(2)は、前記電源(60)に接続され、それぞれ前記エレメント列(30)に沿って設置される導電部(112)を有し、
前記導電部(112)は、複数の前記エレメントが固定されているか、または、前記一対のファスナーテープ(2)の樹脂コーティング部を備える面とは反対側の面に配置される
ことを特徴とする電動スライドファスナーシステム(10)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき本発明にかかる一実施形態の電動スライダー6及び電動スライドファスナーシステム10を具体的に説明する。
【0017】
図1は、第1実施形態にかかる電動スライドファスナーシステム10の正面図である。
図2は、第1実施形態にかかる電動スライドファスナーシステムのスライダー6の
図1におけるII-II側断面図である。
【0018】
第1実施形態にかかるスライドファスナーシステム10は、一対のファスナーテープ2,2と、各ファスナーテープ2の対向する導電部21に沿って、所定の間隔を空けて形成された複数のエレメント3と、複数のエレメント3で形成されるエレメント列30の終端で、ファスナーテープ2の導電部21に固定された止具4,5と、エレメント3に沿って移動することにより、エレメント3を噛合又は分離させるスライダー6とからなる。エレメント列30は、スライドファスナーチェーン1の前後方向に終端を有する。止具は、エレメント列30の前端に配置された前止具4と、エレメント列30の後端に配置された後止具5を有する。なお、エレメント3、止具は樹脂材料からなっている。
【0019】
なお、本実施形態のスライドファスナーチェーン1において、ファスナーテープ2の長さ方向を前後方向(F−B方向)とし、矢印F,Bで示す。また、ファスナーテープ2の幅方向を左右方向(L−R方向)とし、矢印L,Rで示す。さらに、ファスナーテープ2の表裏方向を上下方向(U−D方向)とし、矢印U,Dで示す。
【0020】
スライドファスナーチェーン1は、左右一対のファスナーテープ2と、ファスナーテープ2の長さ方向に所定の間隔をおいて、各ファスナーテープ2の対向する導電部21に固定された複数のエレメント3と、を有する。なお、スライダー6は、エレメント3に沿って、スライドファスナーチェーン1の前後方向に移動することにより、エレメント3を噛合又は分離させることができる。
【0021】
ファスナーテープ2は、ファスナーテープ2の上下面から隆起するとともに、ファスナーテープ2の前後方向に延びた導電部21を有する。エレメント3は、ファスナーテープ2の導電部21に取り付けられる。ファスナーテープ2は、衣服又はバッグ等にスライドファスナーとして取り付けられた際に人目に付く側を、上面2a側とし、その反対側を下面2b側とする。なお、この実施形態は導電部21を用いて外部から給電が可能な例で説明しているが、外部からの給電が不要であれば、導電部21を不要として、通常のファスナーテープの芯紐の構造としてもよい。
【0022】
前止具4は、一対のファスナーテープ2の各エレメント列30の前端にそれぞれ配置されている。後止具5は、一対のファスナーテープ2の各エレメント列30の後端に一つだけ配置されている。後止具5は、エレメント3の分離とともに、各ファスナーテープ2が分離しないように、各ファスナーテープ2を連結している。なお、後止具5は、図示例に限定されない。例えば、後止具5は、一方のファスナーテープ2のエレメント列30の後端に固定された図示しない差込棒と、他方のファスナーテープ2のエレメント列30の後端に固定され、差込棒が差込可能な図示しない穴を備えた箱とを有していてもよい。この場合、各ファスナーテープ2は、エレメント3の分離とともに分離することができる。スライダー6は、前止具4と後止具5の間において、スライドファスナーチェーン1の前後方向に移動することができる。
【0023】
スライダー6の胴体61は、上翼板61と、下翼板62と、上翼板61の前方F側と下翼板62の前方F側を案内柱63で連結して構成される。上翼板61および下翼板62の後方B側で、左右方向の側縁には、ファスナーエレメント3をガイドする図示しない上翼フランジがそれぞれ突設される。上翼板61と下翼板62の間で、胴体61の前方側には、案内柱63の左右両側に肩口64が形成され、胴体61の後端に後口65が形成されており、肩口64から後口65に連通し、ファスナーエレメント3を案内するガイド溝66が形成される。
【0024】
図3は、第1実施形態にかかる電動スライドファスナーシステム10の制御ブロック図を示す。
【0025】
スライダー6は、制御ユニット7を有する。制御ユニット7は、電源60と、入力部70と、制御部80と、出力部90と、を有する。スライダー6は、スライドファスナーを開閉するための無線信号を受信するための無線受信機としての機能と役割も持っている。なお、電源60は、充電可能なバッテリーが好ましいが、導電部21を使わない場合は、交換可能な使い捨て電池でもよい。電源60を充電可能なバッテリーとした場合は、後述する給電方式で充電しながら使用することが可能である。
【0026】
入力部70は、電源スイッチ71、閉鎖スイッチ72、開放スイッチ73、停止スイッチ74、閉鎖感知センサ75、開放感知センサ76及び駆動速度変更スイッチ77を有する。
【0027】
電源スイッチ71は、制御ユニット7内の電源60から通電を開始させるスイッチであって、押しボタン式スイッチ又はスライド式スイッチ等で形成される。閉鎖スイッチ72は、スライダー6を閉鎖方向に移動させるスイッチであって、押しボタン式スイッチ又はスライド式スイッチ等で形成される。例えば、閉鎖スイッチ72をONすることによって、駆動部91を駆動させて、スライダー6を閉鎖方向に移動させる。開放スイッチ73は、スライダー6を開放方向に移動させるスイッチであって、押しボタン式スイッチ又はスライド式スイッチ等で形成される。例えば、開放スイッチ73をONすることによって、駆動部91を駆動させて、スライダー6を開放方向に移動させる。第1実施形態の閉鎖スイッチ72と開放スイッチ73は、
図1に示すように、移動させる方向に頂点を有する三角形の押しボタン式スイッチで形成される。
【0028】
停止スイッチ74は、スライダー6の移動を停止させるスイッチであって、押しボタン式スイッチ又はスライド式スイッチ等で形成される。例えば、停止スイッチ74をONすることによって、駆動部91を停止させて、スライダー6の移動を停止させる。第1実施形態の停止スイッチ74は、
図1に示すように、閉鎖スイッチ72と開放スイッチ73の間の丸い押しボタン式スイッチで形成される。スライド式スイッチの場合、スイッチが中央に位置する場合にスライダー6を停止し、閉鎖方向に位置する場合にスライダー6を閉鎖方向に移動し、開放方向に位置する場合にスライダー6を開放方向に移動するように形成すればよい。
【0029】
閉鎖感知センサ75及び開放感知センサ76は、スライダー6が止具4,5に到達したことを感知するセンサである。
図1に示すように、第1実施形態では、スライダー6が前止具4に接触したことを閉鎖感知センサ75が感知し、スライダー6が後止具5に接触したことを開放感知センサ76が感知する。光学式センサ等によって、スライダー6が止具4,5に到達したことを感知してもよい。
【0030】
駆動速度変更スイッチ77は、駆動部91の駆動速度を変更することによって、スライダー6の移動速度を変更するスイッチである。第1実施形態の駆動速度変更スイッチ77は、回転によって駆動速度を調節するダイヤル式である。駆動速度変更スイッチ77は、スライド式、押しボタン式のスイッチでもよい。
【0031】
出力部90は、駆動部91と、伝達部92と、ロック部93と、を有する。駆動部91は、伝達部92に生じる回転力により、スライダー6を移動させる。ロック部93は、スライダー6の停止時にスライダー6が移動しないようにロックする。駆動部91と、伝達部92については、先行技術の特許文献1〜5に記載のような種々の形態が公知であるため、ここでは簡略化して図示する。本明細書に記載の駆動部91と、伝達部92の配置位置はあくまで一例にすぎず、伝達部92の回転力をスライダー6の前進力に変換するものであればよい。例えば、本発明は特許文献1〜5に記載のものや、それらから機械設計上、想定し得る種々の伝達部の構成で実施することを含むものと理解すべきである。
【0032】
第1実施形態では、
図2に示すように、駆動部91としてモータを用いて、伝達部92としての歯車を回転させる。なお、伝達部92には適宜の減速比に設定した減速機を含むものである。回転する歯車は、スライダー6に回転可能に支持される。駆動部91は、閉鎖スイッチ72及び開放スイッチ73がONされると、駆動する。そして、歯車がエレメント3に噛み合いながら回転移動することで、スライダー6が移動する。
その後、停止スイッチ74がONされると、駆動部91が停止する。駆動部91には、トルクリミッタ機能を付加し、駆動部91のトルクが閾値を超えた場合には、駆動部91は停止することが好ましい。
【0033】
第1実施形態では、ロック部93は、隣り合うエレメント3の間に進退可能となるように、スライダー6に対して移動可能に支持される。ロック部93は、停止スイッチ74がONされ、駆動部91が停止し、スライダー6が停止した後、エレメント3の間に移動する。そして、ロック部93がエレメント3の間に挿入されることで、スライダー6はその場所にロックされる。その後、閉鎖スイッチ72及び開放スイッチ73がONされた場合にロックを解除すればよい。なお、閉鎖感知センサ75及び開放感知センサ76がONされ、駆動部91が停止し、スライダー6が停止した後に、ロック部93を作動させてもよい。また、ロック部93には、スライダー6に電源供給が無くなった場合に、手動操作でロック解除できる機構を設けておくことが好ましい。
【0034】
ロック部93は、ソレノイド等のアクチュエータで移動可能に構成される。例えば、ロック部93は、スプリング等によってエレメント3の間に付勢されており、アクチュエータを作動させることでエレメント3の間から抜けるように設定してもよい。なお、ロック部93は、設置しなくてもよい。
【0035】
図4は、第1実施形態にかかる電動スライドファスナーシステム10の制御フローを示す。
【0036】
第1実施形態にかかる
図3に示した電動スライドファスナーシステム10の制御部80による制御は、電源スイッチ71をONした時から始まる。
【0037】
まず、ステップ1で、閉鎖スイッチ72がONされたか否かを判定する(ST1)。ステップ1において、閉鎖スイッチ72がONされた場合、ステップ2に進む。ステップ1において、閉鎖スイッチ72がONされていない場合、ステップ3に進む。
【0038】
ステップ2では、駆動速度を確認、ロック部93のロックを解除した後、駆動部91を閉鎖方向へ駆動する(ST2)。その後、ステップ5に進む。なお、ロック部93を設置しない場合には、ロック部93の解除は実行しない。
【0039】
ステップ3では、開放スイッチ73がONされたか否かを判定する(ST3)。ステップ3において、開放スイッチ73がONされた場合、ステップ4に進む。ステップ3において、開放スイッチ73がONされていない場合、ステップ1に戻る。
【0040】
ステップ4では、駆動速度を確認、ロック部93のロックを解除した後、駆動部91を開放方向へ駆動する(ST4)。その後、ステップ5に進む。なお、ロック部93を設置しない場合には、ロック部93の解除は実行しない。
【0041】
ステップ5では、停止指示が有るか否かを判定する(ST5)。停止指示は、第1実施形態では、停止スイッチ74、閉鎖感知センサ75又は開放感知センサ76がONされた場合を示す。停止スイッチ74は、操作者によってスイッチがONされたか否かを判定する。閉鎖感知センサ75又は開放感知センサ76は、スライダー6が止具4,5に到達したか否かを判定する。
【0042】
ステップ5において、停止指示が有る場合、ステップ6に進む。ステップ5において、停止指示が無い場合、ステップ5に戻る。すなわち、停止指示があるまで駆動部91を駆動させる。
【0043】
ステップ6では、停止指示に基づき駆動部91を停止する(ST6)。駆動部91を停止することによって、スライダー6が停止する。停止スイッチ74がONされた場合には、その場所でスライダー6は停止する。閉鎖感知センサ75がONされた場合には、スライダー6が前止具4に接触した状態で停止する。開放感知センサ76がONされた場合には、スライダー6が後止具5に接触した状態で停止する。
【0044】
次に、ステップ7で、ロック部93が移動して、スライダー6の移動をロックする(ST7)。なお、ロック部93を設置しない場合には、ステップ7は実行しない。
【0045】
このように、電動スライドファスナーを制御することによって、スライダー6の状態を検出して、その状態に応じてスライダー6を制御することができ、適切に作動させることが可能となる。また、エレメント列30の閉鎖側端部に設置される前止具4に接触したことでエレメント列30の閉鎖を感知し、エレメント列30の開放側端部に設置される後止具5に接触したことでエレメント列30の開放を感知するので、エレメント列30の閉鎖完了と開放完了を適切に感知してスライダー6を停止させることが可能となる。
【0046】
さらに、ロック部93を設置した場合には、スライダー6が停止した後、スライダー6がスライドファスナーチェーン1に対して移動しないようにロックするので、スライダー6を所望の位置に安定して停止させておくことができ、便利で使いやすくすることが可能となる。
【0047】
図5は、第1実施形態にかかる電動スライドファスナーシステム10の無線入力部170を示す。無線入力部170は、スライドファスナーを開閉するためのスライダー6に無線信号を送って、スライダー6を遠隔から制御するための無線送信機として機能するものである。
【0048】
無線入力部170は、電源スイッチ71、閉鎖スイッチ72、開放スイッチ73、停止スイッチ74及び駆動速度変更スイッチ77を有する。無線入力部170は、閉鎖スイッチ72、開放スイッチ73、停止スイッチ74の操作状況に応じた無線信号を生成する第1無線信号変換部171を有する。無線入力部170は、それぞれの信号を無線によってスライダー6の制御部80に送る。制御部80は、無線入力部170からの信号を受信する受信部81を有する。制御部80は、無線送信機としての無線入力部170の閉鎖スイッチ72、開放スイッチ73、停止スイッチ74の操作状況に応じて送信されてきた無線信号を、スライダー6の駆動部91の駆動信号に変換する第2無線信号変換部172を有する。それぞれのスイッチによるスライダー6の作動内容は、先に説明した入力部70での作動内容と同様である。
【0049】
なお、無線入力部270として、タッチパネル式の携帯通信端末を用いてもよく、より具体的には、スマートフォンを用いてもよい。その場合、専用のアプリによって動作させることが好ましい。この場合、
図9に無線入力部270として記載のようなボタン配列が携帯通信端末の画面に表示されるようにしてもよい。
【0050】
このように、無線入力部170を有するので、スライダー6から離れた位置であっても、スライダー6を制御することが可能となる。
【0051】
図6は、第2実施形態にかかる電動スライドファスナーシステム10の正面図である。
【0052】
第2実施形態にかかる電動スライドファスナーシステム10におけるスライドファスナーチェーン1の構成は、第1実施形態と同様なので、説明は省略する。
【0053】
図7は、第2実施形態にかかる電動スライドファスナーシステム10の制御ブロック図を示す。
【0054】
スライダー6は、制御ユニット7を有する。制御ユニット7は、入力部70と、制御部80と、出力部90と、を有する。
【0055】
入力部70は、電源スイッチ71、閉鎖スイッチ72、開放スイッチ73、停止スイッチ74、閉鎖感知センサ75、開放感知センサ76、駆動速度変更スイッチ77、目標位置入力部78及び位置センサ79を有する。出力部90は、駆動部91、伝達部92、ロック部93及び位置表示部94を有する。なお、第2実施形態の制御ユニット7は、目標位置入力部78、位置センサ79及び位置表示部94を除いて第1実施形態と同様なので、目標位置入力部78、位置センサ79及び位置表示部94以外の説明は省略する。
【0056】
なお、前止部4及び後止部5の位置を目標位置入力部78の上限及び下限として予め記憶させる場合、閉鎖感知センサ75及び開放感知センサ76は使用しなくてもよい。この場合、駆動部91にトルクリミッタ機能を付加し、駆動部91のトルクが閾値を超えた場合には、駆動部91を停止することが好ましい。
【0057】
目標位置入力部78は、スライダー6を移動させたい目標位置を入力する。本実施形態では、
図6に示すように、移動させる方向に頂点を有する三角形の押しボタン式スイッチで形成される。ボタンを押すことで目標位置を設定することが可能となる。目標位置は、エレメント3の数、現在のスライダー6の位置からの距離、前止具4又は後止具5からの距離、時間等を基準単位として設定する。
【0058】
位置センサ79は、スライダー6の位置を検出する。スライダー6の位置は、エレメント3を接触式又は光学式に検知してカウントする方法、前止具4又は後止具5からの距離を検知する方法又は所定の箇所に被検出部を設置して該被検出部を検出する方法等によって、検出する。
【0059】
位置表示部94は、目標位置入力部78によって入力された目標位置及び位置センサ79によって検出されたスライダー6の位置等を表示する。例えば、第2実施形態の位置表示部94は、目標位置入力部78によって入力された「9999」を目標位置SVの位置に表示し、位置センサ79によって検出された「1234」を現在値PVの位置に表示する。
【0060】
図8は、第2実施形態にかかる電動スライドファスナーシステム10の制御フローを示す。
【0061】
第2実施形態にかかる
図7に示した電動スライドファスナーシステム10の制御部80による制御は、電源スイッチ71をONした時から始まる。
【0062】
まず、ステップ11で、目標位置入力部78から目標位置を入力する(ST11)。入力された目標位置は、位置表示部94に表示される。
【0063】
次に、ステップ12で、閉鎖スイッチ72がONされたか否かを判定する(ST12)。ステップ12において、閉鎖スイッチ72がONされた場合、ステップ13に進む。ステップ12において、閉鎖スイッチ72がONされていない場合、ステップ14に進む。
【0064】
ステップ13では、駆動速度を確認、ロック部93のロックを解除した後、駆動部91を閉鎖方向へ駆動する(ST13)。その後、ステップ15に進む。なお、ロック部93を設置しない場合には、ロック部93の解除は実行しない。
【0065】
ステップ14では、開放スイッチ73がONされたか否かを判定する(ST14)。ステップ14において、開放スイッチ73がONされた場合、ステップ15に進む。ステップ14において、開放スイッチ73がONされていない場合、ステップ12に戻る。
【0066】
ステップ15では、駆動速度を確認、ロック部93のロックを解除した後、駆動部91を開放方向へ駆動する(ST15)。その後、ステップ16に進む。なお、ロック部93を設置しない場合には、ロック部93の解除は実行しない。
【0067】
ステップ16では、停止指示が有るか否かを判定する(ST16)。停止指示は、第2実施形態では、停止スイッチ74、閉鎖感知センサ75又は開放感知センサ76がONされた場合を示す。停止スイッチ74は、操作者によってスイッチがONされたか否かを判定する。閉鎖感知センサ75又は開放感知センサ76は、スライダー6が前止具4又は後止具5に到達したか否かを判定する。
【0068】
ステップ16において、停止指示が有る場合、ステップ21に進む。ステップ16において、停止指示が無い場合、ステップ17に進む。
【0069】
ステップ17では、スライダー6が目標位置まで所定距離内に到達したか否かを判定する(ST17)。目標位置まで所定距離内に到達したか否かの判定は、位置センサ79が検出したスライダー6の位置から目標位置入力部78に入力された目標位置までの距離が、予め定めた所定距離より短いか否かを判定すればよい。
【0070】
ステップ17において、スライダー6が目標位置まで所定距離内に到達したと判定した場合、ステップ18に進む。ステップ17において、スライダー6が目標位置まで所定距離内に到達していないと判定した場合、ステップ16に戻る。
【0071】
ステップ18では、スライダー6の移動速度を減速する(ST18)。スライダー6の減速は、駆動部91の回転を減速する方法又は図示しない変速部を設けて駆動部91から伝達部92に伝達される回転数を変速する方法等を用いればよい。
【0072】
ステップ19では、停止指示が有るか否かを判定する(ST19)。停止指示は、ステップ16と同様に判定する。
【0073】
ステップ19において、停止指示が有る場合、ステップ21に進む。ステップ19において、停止指示が無い場合、ステップ20に進む。
【0074】
ステップ20では、スライダー6が目標位置に到達したか否かを判定する(ST20)。目標位置に到達したか否かの判定は、位置センサ79が検出したスライダー6の位置から目標位置入力部78に入力された目標位置までの距離が0になったか否かを判定すればよい。
【0075】
ステップ20において、スライダー6が目標位置に到達したと判定した場合、ステップ21に進む。ステップ20において、スライダー6が目標位置に到達していないと判定した場合、ステップ19に戻る。
【0076】
ステップ21では、停止指示に基づき駆動部91を停止する(ST21)。駆動部91を停止することによって、スライダー6が停止する。停止スイッチ74がONされた場合には、その場所でスライダー6は停止する。閉鎖感知センサ75がONされた場合には、スライダー6が前止具4に接触した状態で停止する。開放感知センサ76がONされた場合には、スライダー6が後止具5に接触した状態で停止する。
【0077】
次に、ステップ22で、ロック部93が移動して、スライダー6の移動をロックする(ST22)。なお、ロック部93を設置しない場合には、ステップ22は実行しない。
【0078】
このように、電動スライドファスナーを制御することによって、スライダー6の状態を検出して、その状態に応じてスライダー6を制御することができ、適切に作動させることが可能となる。また、スライダー6を所望の位置に停止させることができ、便利で使いやすくすることが可能となる。さらに、スライダー6が目標位置まで所定距離内に到達した場合、スライダー6の移動速度を減速するので、急激な速度変化を抑制することができ、故障を少なくすることが可能となる。
【0079】
さらに、ロック部93を設置した場合には、スライダー6が停止した後、スライダー6がスライドファスナーチェーン1に対して移動しないようにロックするので、スライダー6を所望の位置に安定して停止させておくことができ、便利で使いやすくすることが可能となる。
【0080】
また、目標位置入力部78によって入力された目標位置及び位置センサ79によって検出されたスライダー6の位置を表示する位置表示部94を有するので、目標位置に対するスライダー6の位置を瞬時に判断することが可能となる。
【0081】
図9は、第2実施形態にかかる電動スライドファスナーシステム10の無線入力部270を示す。
【0082】
無線入力部270は、制御ユニット7に含まれ、スライダー6と同様に、電源スイッチ71、閉鎖スイッチ72、開放スイッチ73、停止スイッチ74、駆動速度変更スイッチ77、目標位置入力部78及び位置表示部94を有する。ただし、第2実施形態では、閉鎖スイッチ72及び開放スイッチ73と目標位置入力部78とを兼用している。
【0083】
閉鎖スイッチ72及び開放スイッチ73と目標位置入力部78は、手動制御と自動制御で機能が異なる。手動制御の場合、閉鎖スイッチ72及び開放スイッチ73として機能し、スイッチを押すことでスライダー6が閉鎖方向又は開放方向へ移動し、停止スイッチ74を押すことでスライダー6が停止する。自動制御の場合、目標位置入力部78として機能し、スイッチを押すことで目標位置が入力され、停止スイッチ74を押すことで目標位置がリセットされる。
【0084】
無線入力部270は、スライダー6に設けた制御ユニット7の入力部70とは異なり、機能選択部271、スタートボタン273、ストップボタン274及び手動自動切替表示部95を有する。
【0085】
機能選択部271は、手動操作でスライダー6を移動させる手動モード、所定の目標位置までスライダー6を自動で移動させて停止させる自動モード、所定の目標位置を入力する目標位置入力モード、その他のモード(故障診断モード、音声による操作説明モードなど)を切り替えるボタンである。なお、自動モードとは、本明細書に記載の第1実施形態のようなストロークエンドでの自動停止制御でもよいし、第2実施形態のような目標位置停止制御でもよいし、それらの組合せであってもよい。また、手動モードとは、閉鎖スイッチ72、開放スイッチ73のような操作の指令スイッチを手で押しているときにスライダー6が動くモードのことである。例えば、目標値入力モードを選択した場合、目標位置入力部78のボタンを押すことで、エレメント3の数、現在のスライダー6の位置からの距離、前止具4又は後止具5からの距離、時間等の目標位置を設定できるようにする。選択した内容は、
図9の位置表示部94に示された文字列と数字列のように表示することが好ましい。なお、目標値の変更が不要なようであれば、予め記憶部85に目標値を入力しておくことで、目標値入力モードを不要とすることもできる。また、手動モード、自動モードを選択した場合には、選択した内容は、
図9の手動自動切替表示部95に示された手動又は自動の文字の部分を点灯させることが好ましい。
【0086】
スタートボタン273は、自動モードの場合に目標位置が設定された後、スライダー6の移動を開始させるスイッチである。ストップボタン274は、緊急時の停止を行うスイッチである。
【0087】
無線入力部270は、それぞれの信号を無線によってスライダー6の制御部80に送る。無線入力部270は、目標位置入力部78で決定した設定値に応じた無線信号を生成する第1無線信号変換部371を有する。当該第1無線信号変換部371は、目標位置入力部78の設定値のみならずに、無線入力部270が有する全てのスイッチとボタンの操作に対応させて無線信号を生成する機能を有するものでもある。制御部80は、無線入力部270からの信号を受信する受信部81を有する。また、制御部80は、目標位置入力部78で設定された値に応じた無線信号を、スライダー6の制御部80の記憶部85に記憶させるための信号に変換する第2無線信号変換部372を有する。当該第2無線信号変換部372は、無線入力部270から送られてきた全ての無線信号を、スライダー6の制御に必要な電気信号に変換する機能を有するものでもある。
【0088】
なお、無線入力部270として、タッチパネル式の携帯通信端末を用いてもよく、より具体的には、スマートフォンのような携帯通信端末を用いてもよい。その場合、専用のアプリによって動作させることが好ましい。この場合、
図9に無線入力部270として記載のようなボタン配列が携帯通信端末の画面に表示されるようにしてもよい。
【0089】
このように、無線入力部270を有するので、スライダー6から離れた位置であっても、スライダー6を制御することが可能となる。また、スライダー6の状態を適切に認識することが可能となる。
【0090】
次に、本実施形態の電動スライドファスナーシステム10に使用される外部からの給電方式について説明する。
【0091】
図10は、本実施形態の電動スライドファスナーシステム10に使用可能な給電方式を示す。
【0092】
図10に示す給電方式では、各ファスナーテープ2の対向する導電部21を導電性の材料から形成する。導電部21には、DC5〜24Vの外部電源100から電流が流れる。電流は、導電部21から、伝達部92、電源60、及び電源スイッチ71を介して、制御部80及び駆動部91に流れる。第1例では、伝達部92は、導電性の歯車によって形成される。そして、駆動部91は、伝達部92を回転させ、スライダー6を移動させることが可能となる。
【0093】
このように、ファスナーテープ2の導電部21を利用して給電することで、スペースを有効に利用しながら、安定して電力を供給することが可能となる。また、導電部21と電気接続する接触部113は、駆動部91によって駆動される伝達部92が兼ねているので、部品点数を削減することが可能となる。
【0094】
図11は、
図10に示した給電方式に外部バッテリーユニット101を用いた例を示す。
【0095】
図10に示した給電方式における外部電源からの電力供給に代えて、
図11に示すように外部バッテリーユニット101を用いてもよい。外部バッテリーユニット101は、電池104を収納するケース102にユニット側コネクタ103が形成される。また、スライドファスナーチェーン1の後止具5には、コネクタ103に接続可能な後止具側コネクタ5aが形成される。したがって、外部バッテリーユニット101のユニット側コネクタ103を後止具側コネクタ5aに接続することで、
図10に示した例と同様に、伝達部92及び電源スイッチ71を介して、制御部80及び駆動部91に電流を流すことが可能となる。
【0096】
このように、外部バッテリーユニット101を用いることで、手軽に電力を供給することが可能となる。
【0097】
図12は、本実施形態の電動スライドファスナーシステム10のスライドファスナーチェーン1が防水機能を有する場合に使用可能な給電方式を示す。
図13は、防水機能を有する電動スライドファスナーシステム10の正面図を示す。
図14は、防水機能を有する電動スライドファスナーシステム10の接触部113を示す。
【0098】
スライドファスナーチェーン1が防水機能を有する場合、各ファスナーテープ2及びエレメント3のスライダー6とは反対側に樹脂コーティング部111を有する。また、ファスナーテープ2には、エレメント列30に沿って導電部112が設置される。さらに、スライダー6には、導電部112と接触する接触部113が設けられる。接触部113は、制御ユニット7に含まれ、導電部112と接触することで、
図10に示した外部電源100又は
図11に示した外部バッテリーユニット101から供給された電力を、電源60、電源スイッチ71を介して、制御部80及び駆動部91に給電する。すなわち、導電部112と接触部113は、電源60に電力を供給するための給電機構に含まれる。なお、この実施形態は、充電可能な電源60をスライダー6に搭載した例で説明しているが、電源60を搭載せず、外部から供給された電力を、電源スイッチ71を介して、制御部80及び駆動部91に給電してもよい。
【0099】
接触部113は、導電部112に対して、接触部本体113aから延びる接触子113bによって接触する。接触子113bは、可撓性及び導電性のある材料で形成される。接触子113bは、接触部本体113aから導電部112までの距離より少し長く形成される。したがって、スライダー6が移動している間も、
図14に示すように、接触子113bは、導電部112に接触することができる。
【0100】
このように、スライドファスナーチェーン1が防水機能を有する場合であっても、安定して電力を供給することが可能となる。
【0101】
なお、
図10に示した例は、伝導部92が接触部113の機能を兼ね備えている。すなわち、
図10に示した例は、伝導部92が導電部112と接触することで、
図10に示した外部電源100又は
図11に示したバッテリーユニット101から供給された電力を、電源スイッチ71を介して、制御部80及び駆動部91に給電する。したがって、伝導部92が接触部を構成する。
【0102】
図15は、本実施形態の電動スライドファスナーシステム10に使用可能な他の給電方式を示す。
【0103】
図15に示す例は、スライダー6の制御ユニット7に、電源60としてソーラーパネル120を設置したものである。ソーラーパネル120は、スライダー6の上方で光の当たりやすい位置に設置することが好ましい。
【0104】
このように、外部給電機構ソーラーパネル120を用いることで、電源60を充電しつつ、駆動部91に電力を供給することができ、スペースを有効に利用しながら、安定して電力を供給することが可能となる。
【0105】
以上、本実施形態の電動スライドファスナーシステム10は、一対のファスナーテープ2及び各ファスナーテープ2にそれぞれ固定された複数のエレメント3からなるエレメント列30を含むスライドファスナーチェーン1と、スライドファスナーチェーン1に対して移動するスライダー6と、スライダー6がスライドファスナーチェーン1に対して移動するための電力を供給する電源60と、電源60から給電され、スライダー6をスライドファスナーチェーン1に対して移動させる駆動部91と、を備え、スライダー6内をエレメント3が通過することで、エレメント列30を閉鎖又は開放する電動スライドファスナーシステム10であって、スライダー6は、外部から電力が供給される。したがって、本実施形態の電動スライドファスナーシステム10によれば、電動スライダーの状態に応じて、適切に作動することが可能となる。
【0106】
本実施形態の電動スライドファスナーシステム10では、電源60は、スライダー6に搭載され、電源に電力を供給するための給電機構を備えている。したがって、本実施形態の電動スライドファスナーシステム10によれば、安定して電力を供給することが可能となる。
【0107】
本実施形態の電動スライドファスナーシステム10では、給電機構として、一対のファスナーテープ2は、電源60に接続され、それぞれエレメント列30に沿って設置される導電部112を有し、スライダー6は、導電部112から電源60へ電流を流す接触部113を有する。したがって、本実施形態の電動スライドファスナーシステム10によれば、スペースを有効に利用しながら、安定して電力を供給することが可能となる。
【0108】
本実施形態の電動スライドファスナーシステム10では、接触部113は、駆動部91によって駆動される。したがって、本実施形態の電動スライドファスナーシステム10によれば、部品を兼用することができ、部品点数を削減することが可能となる。
【0109】
本実施形態の電動スライドファスナーシステム10では、接触部113は、可撓性及び導電性のある材料で形成される接触子113bを有し、接触子113bは、導電部112に接触する。したがって、本実施形態の電動スライドファスナーシステム10によれば、より安定して電力を供給することが可能となる。
【0110】
本実施形態の電動スライドファスナーシステム10では、一対のファスナーテープ2の導電部が配置される側の面とは反対側の面に、樹脂コーティング部を備える。したがって、本実施形態の電動スライドファスナーシステム10によれば、防水機能を有するファスナーとすることが可能となる。
【0111】
本実施形態の電動スライドファスナーシステム10は、給電機構は、スライダー6に設置されたソーラーパネルからなる。したがって、本実施形態の電動スライドファスナーシステム10によれば、外部から電力を供給することなく、スライダー6自身で駆動部91に電力を供給することができ、スペースを有効に利用しながら、安定して電力を供給することが可能となる。
【0112】
なお、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。