(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2部分をエッチングする工程では、前記シードメタル層の前記第2部分をエッチングした後に、前記バリアメタル層のうち前記第2部分で覆われていた部分をエッチングする
ことを特徴とする請求項10に記載の電子部品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図は、構造ないし構成を説明する目的で記載されたものに過ぎず、図示された各部材の寸法は必ずしも現実のものを反映するものではない。また、各図において、同一の部材または同一の構成要素には同一の参照番号を付しており、以下、重複する内容については説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電子部品1の構造を示す模式図である。なお、以下の説明では、上、下等の方向を示す表現を用いることがあるが、これらは2部材間の相対的位置を示すものである。
【0011】
電子部品1は、本実施形態では半導体装置であり、構造体10と、構造体10の上面SUに接着層13で固定されたガラス基板14と、構造体10の底面SB側に設けられた電極20とを備える。構造体10は、基板11と、基板11上に配された配線構造12とを備える。基板11は、半導体基板110と、素子111とを含む。半導体基板110は、本実施形態では、シリコン基板であるが、ガリウム砒素等、他の半導体で構成された基板でもよい。素子111は、半導体基板110に設けられ、ここでは素子111として単一のMOSトランジスタを図示するが、他の受動素子および能動素子も含む複数の素子111が半導体基板110に設けられる。
【0012】
MOSトランジスタである素子111は、ウエル領域111WLと、ゲート電極111GTとを含む。ウエル領域111WLは、ドレイン領域、ソース領域およびチャネル領域(いずれも不図示)を含む。ゲート電極111GTは、ウエル領域111WLの上方にゲート絶縁膜(不図示)を介して配される。素子111は、半導体基板110上に設けられた素子分離部112により、他の素子から電気的に分離される。本実施形態では、素子分離部112には、STI(Shallow Trench Isolation)が用いられるが、他の構造が採用されてもよい。
【0013】
配線構造12は、絶縁部材120と、配線部121とを含む。絶縁部材120は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン等の絶縁層が積層されて成る。配線部121は、絶縁部材120に内包され、本実施形態では、導電部材1211、1212、1213及び1214を含む。導電部材1211は、ゲート電極111GTに、コンタクトプラグCT1により電気的に接続される。導電部材1212及び1213は、それぞれ、ウエル領域111WLの上記ドレイン領域およびソース領域に、コンタクトプラグCT1及びCT2により電気的に接続される。なお、本実施形態では、配線構造12の配線層数は1であるが、配線構造12は、配線層数が2以上の多層配線構造であってもよい。
【0014】
電極20は、構造体10の底面SB側に設けられた開口OPに配され、導電部材1214に電気的に接続される。構造体10の底面SBおよび開口OPの側面には絶縁性の保護膜15が設けられており、これにより、電極20は半導体基板110から電気的に分離される。詳細については後述とするが、本実施形態では、電極20は、バリアメタル層201、シードメタル層202A、めっき層203および保護膜204Aを含む。
【0015】
以下、
図2(A)〜3(N)を参照しながら電子部品1の製造方法を説明する。電子部品1は、公知の半導体製造プロセスを用いて製造可能である。電子部品1の構造および製造方法は、例えば、パッケージング技術の1つであるウエハレベルチップサイズパッケージ(WLCSP(Wafer Level Chip Size Package))に適用可能である。具体的には、半導体ウエハとガラス基板とを張り合わせた後、ウエハのガラス基板とは反対側の面に電極(外部接続用電極)を形成し、その後、ダイシングによりダイを取得する。このダイは、他の基板(プリント配線基板、チップ等)に実装され、ダイ上の電極は該他の基板に電気的に接続される。
【0016】
図2(A)の工程では、基板11を準備する。基板11は、公知の半導体製造プロセスを用いて、半導体基板110上に素子111を形成することで得られうる。その後、
図2(B)の工程では、基板11の上に配線構造12を形成し、構造体10を取得する。配線構造12の絶縁部材120として、本実施形態では、準常圧CVD(SACVD(Sub−atmospheric Chemical Vaper Deposition)によりBPSG(Borophosphosilicate Glass)膜が形成される。また、配線構造12の配線部121において、本実施形態では、導電部材1211〜1214には、Al(アルミニウム)が用いられ、また、コンタクトプラグCT1〜CT3には、W(タングステン)が用いられる。
【0017】
他の実施形態として、配線部121の形成においてデュアルダマシン法が用いられてもよい。この場合、例えば、導電部材1211とコンタクトプラグCT1とは一体に形成される(導電部材1212およびコンタクトプラグCT2、並びに、導電部材1213およびコンタクトプラグCT3についても同様である。)。
【0018】
なお、本実施形態では配線構造12の配線層数は1であるが、配線構造12が多層配線構造の場合、例えば、層間絶縁層の形成と配線層の形成とを交互に繰り返すことで配線構造12が得られる。
【0019】
図2(C)の工程では、構造体10の上面SUの上に接着層13を介してガラス基板14を配置する。本実施形態では、ガラス基板14として厚さ0.5mmの石英ガラスの板材を用いるが、所望の強度を有する他の板材が用いられてもよい。その後、
図2(D)の工程では、半導体基板110の裏面側に対してバックグラインド処理を行って、半導体基板110を薄くする。本実施形態では、半導体基板110を、厚さ0.2mm程度まで薄くした。なお、ガラス基板14は、
図2(D)の工程において半導体基板110に十分な強度を付与可能に構成されていればよい。
【0020】
図2(E)の工程では、構造体10の底面SBに開口OPを形成する。開口OPは、配線構造12の導電部材1214が露出するように形成される。この工程は、底面SBにレジストパターン91を形成し、レジストパターン91を用いてエッチングを行うことにより為される。このエッチングは、ディープRIE(Reactive Ion Etching)、いわゆるボッシュプロセスに従うドライエッチングにより為され、開口OPは垂直方向に(底面SBと直交する方向に)延設される。このドライエッチングとして、本実施形態では、CF
4、C
4F
8、O
2およびArの混合ガスを用いて容量結合型RIEを行った。
【0021】
図2(F)の工程では、構造体10の底面SBおよび開口OPの側面に、絶縁性の保護膜15を形成する。この工程は、底面SBおよび開口OP内にプラズマCVDにより保護膜15を形成した後、導電部材1214が露出するようにドライエッチングを行うことにより為される。このドライエッチングとして、本実施形態では、CF
4、C
4F
8、O
2およびArの混合ガスを用いて容量結合型RIEを行った。本実施形態では、保護膜15は、膜厚1.5μmの酸化シリコンの膜であるが、他の実施形態として、窒化シリコン等の他の絶縁材料が用いられてもよい。
【0022】
図2(G)の工程では、構造体10の底面SBおよび開口OPの内壁を覆うように、バリアメタル層201を形成する。より具体的には、バリアメタル層201は、構造体10の底面SBおよび開口OPの側面を、保護膜15を介して覆い、且つ、開口OPの底面(導電部材1214の露出面)を覆うように、形成される。バリアメタル層201は、開口OP内で導電部材1214と接触する。この工程は、スパッタリング法により為され、バリアメタル層201には、Ti(チタン)が用いられる。なお、以下の説明において、「覆う」とは、或る部材を直接的に覆う場合の他、或る部材を間接的に覆う場合(具体的には、或る部材を他の部材を介して覆う場合)をも含み、所定領域にわたって比較的近接した位置関係となる態様を包含する。
【0023】
図3(H)の工程では、構造体10の底面SBおよび開口OPの内壁を覆うように、シードメタル層202を形成する。本実施形態では、この工程は、スパッタリング法により為され、シードメタル層202には、Cu(銅)が用いられる。
【0024】
図3(I)の工程では、シードメタル層202上に、開口OPおよびその周辺部(近傍)が露出するようにレジストパターン92(第1部材)を形成する。ここで、後述の説明のため、シードメタル層202のうち、レジストパターン92により露出された部分を「202A」と示す。また、シードメタル層202のうち、レジストパターン92で覆われた部分を「202B」と示す。即ち、底面SBに対する平面視において、シードメタル層202Aは、開口OPおよびその周辺部と重なる部分であり(第1部分)、シードメタル層202Bは、その部分よりも外側の部分である(第2部分)。
【0025】
図3(J)の工程では、シードメタル層202Aにめっき層203を形成する。本実施形態では、めっき層203にはCuが用いられる。この工程は湿式めっき法により為され、本実施形態では、めっき層203は、電解めっき法により形成される。電解めっき法では、
図3(I)の工程で得られた構造を溶液に浸した状態でシードメタル層202Aを通電させることでめっき層203を形成する。この溶液は、めっき層203の材料となる金属イオン(本実施形態では、Cu
2+(銅イオン))を含む水溶液である。本実施形態では、めっき層203は、開口OPの側面および底面(導電部材1214側の面)を覆いながら開口OP内に空間を残すように形成される。
【0026】
ここで、シードメタル層202Aは開口OPに伴う段差(凹形状)を有するため、
図3(J)の工程では、この段差の形状に起因して、溶液中において電解集中が生じる領域と電解緩和が生じる領域とが発生しうる。その結果、溶液中において、電流の流れやすい領域と電流の流れにくい領域とが生じ、めっき層203が均一の膜厚で形成されない場合がある。めっき層203は、
図3(J)から分かるように、開口OPの側面を覆う部分が、それ以外の部分(導電部材1214および構造体10の底面SBを覆う部分)よりも薄くなる、ように形成される。即ち、めっき層203のうち、底面SBと直交する方向に延在する部分は、底面SBと平行な方向に延在する部分よりも薄く(膜厚が小さく)なりやすい。これに伴う影響については後述とする。
【0027】
なお、めっき層203は、無電解めっき法により形成されてもよいが、その場合においても、めっき層203形成面の形状(開口OP等による段差)に起因して不均一の膜厚になる可能性がある。このことは、乾式めっき法を用いる場合においても同様である。
【0028】
図3(K)の工程でレジストパターン92を除去した後、
図3(L)の工程では、めっき層203およびシードメタル層202Bを覆うように、膜部材204を形成する。本実施形態では、膜部材204にはTi(バリアメタル層201と同一材料)が用いられるが、他の導電性の材料が用いられてもよい。この工程は、スパッタリング法等の堆積法により為されればよい。
【0029】
図3(M)の工程では、ウェットエッチングにより膜部材204のエッチバックを行い、めっき層203およびシードメタル層202Bの水平面(底面SBと平行な面)を露出させる。これと共に、開口OP内及び開口OP外において、めっき層203の垂直面(底面SBと直交する方向の面)には保護膜204A及び204Bがそれぞれ残存する。即ち、この工程によって、保護膜204Aが、開口OP内において、めっき層203の垂直面を覆うように形成され(第2部材)、保護膜204Bが、開口OP外において、めっき層203の垂直面を覆うように形成される。
【0030】
図3(N)の工程では、シードメタル層202Bと、バリアメタル層201のうちシードメタル層202Bで覆われた一部と、を除去し、保護膜15を露出させる。この工程は、ウェットエッチングにより為される。めっき層203のうち底面SBと平行な方向に延在している部分の膜厚は比較的大きい。そのため、この工程のエッチングは、シードメタル層202Bのエッチングレートがバリアメタル層201および保護膜204Aのエッチングレートに対して大きくなる条件の下で為されてもよい。本実施形態では、膜部材204とバリアメタル層201とは同一材料であるため、バリアメタル層201の上記一部を除去する際、保護膜204Bも除去されうるが、他の実施形態として、保護膜204Bは残存してもよい。更に他の実施形態として、膜部材204およびバリアメタル層201に、原子番号が同じ金属元素を含む材料が用いられてもよく、この場合においても同様である。
【0031】
以上により、電極20の形成が完了する。この電極20は、基板11を貫通するように垂直方向に延設されることから、貫通電極(TSV(Through Silicon Via))等とも称されうる。
【0032】
なお、
図3(M)の工程では、膜部材204のうち開口OPの底面を覆う部分(導電部材1214に近接する部分)が除去されるが、この部分は、
図3(N)の工程において、めっき層203の開口OP内の薄膜化をより効果的に抑制するため、残存してもよい。このことは、
図3(M)の工程における膜部材204のエッチバックを、膜部材204を開口OPおよびその周辺部にわたってレジストパターンで覆った状態で行うことによって実現可能である。
【0033】
以上のような手順により、
図1を参照しながら述べた電子部品1の構造が得られる。電子部品1の製造方法は、上述の例に限られるものではなく、各工程の間には、熱処理、洗浄処理等、必要な工程が追加的に実施されてもよいし、及び/又は、一部の工程は省略されてもよい。また、以上において例示された各部材の材料は、同機能を実現可能な他の材料に代替されてもよい。
【0034】
その後、上記構造に、ソルダーレジストの塗布、はんだボールの設置、ダイシング等の各工程が為され、これにより、ダイが得られる。このダイは、プリント回路基板等の他の基板に実装され、電極20は、はんだボールを介して該他の基板に電気的に接続される。
【0035】
ここで、
図3(J)の工程では、前述のとおり、シードメタル層202Aは開口OPに伴う段差を有するため、めっき層203が均一の膜厚で形成されない場合がある。めっき層203のうち、開口OPの側面を覆う部分は、それ以外の部分(導電部材1214および構造体10の底面SBを覆う部分)よりも薄くなりやすい。上述の例では、めっき層203のうち、底面SBと直交する方向に延在する部分は、底面SBと平行な方向に延在する部分よりも薄い(膜厚が小さい)。そのため、その後の工程、本実施形態ではシードメタル層202B等のエッチングを行う工程において、めっき層203における膜厚が比較的小さい部分が更に薄膜化し又は除去されてしまう可能性がある。これらのことは、電極20の高抵抗化、又は、電極20の断線をもたらし、電子部品1の電気特性の低下、又は、歩留りの低下の原因となりうる。
【0036】
本実施形態によれば、
図3(M)の工程で、めっき層203を覆うように保護膜204Aを形成する。保護膜204Aは、本実施形態では、めっき層203における膜厚が比較的小さい部分を覆うが、めっき層203の露出面の全てを覆ってもよい。その後の
図3(N)の工程では、めっき層203が保護膜204Aで覆われた状態で、シードメタル層202Bと、バリアメタル層201のうちシードメタル層202Bに覆われた部分とのエッチングが為される。そのため、めっき層203に対する該エッチングによる影響を抑制することができ、めっき層203における膜厚が比較的小さい部分が更に薄くなり、或いは、この部分が除去されて電極20が断線してしまうといった事態を防ぐことができる。よって、本実施形態によれば、電子部品1の電気特性の向上および歩留りの向上に有利である。
【0037】
また、本実施形態によれば、膜部材204に導電性の材料を用いるため、その一部(本実施形態では、保護膜204A)が開口OP内に残存することによって電極20の不測の短絡を防ぐことも可能である。
【0038】
また、本実施形態によれば、めっき層203が、開口OP内に空間を残すように形成された場合でも、上記エッチングの際のめっき層203の薄膜化、又は、それに伴う電極20の断線を防ぐことが可能である。そのため、本実施形態によれば、電極20の形成面の多様な形状において、電子部品1の電気特性の向上および歩留りの向上に有利である。
【0039】
また、本実施形態では、保護膜204Aは、めっき層203のうち開口OPの側面を覆っている部分を覆う。この部分は、前述のとおり、膜厚が比較的小さい部分であるため、本実施形態によれば、上記エッチングの際のめっき層203の薄膜化、又は、それに伴う電極20の断線を効果的に防ぐことができる。
【0040】
(第2実施形態)
第2実施形態は、主に、開口OPがその側面において傾斜面を有する、という点で前述の第1実施形態と異なる。
図4は、本実施形態に係る電子部品2の構造を示す模式図である。本実施形態では、開口OPの側面は、開口OP内の浅い位置(底面SBに近い方の側)において傾斜した部分P1と、開口OP内の深い位置(導電部材1214に近い方の側)において部分P1よりも傾斜角の小さい部分P2とを含む。傾斜角は、その面が、底面SBに対して垂直な方向との間で形成する角度を指す。ここでは説明を容易にするため、部分P2は垂直面として図示され、以下において、部分P1および部分P2を、傾斜部分P1および垂直部分P2とそれぞれ表現する。本実施形態では、保護膜204Aは垂直部分P2を覆うように配され、本実施形態によっても第1実施形態同様の効果が得られる。
【0041】
図5(A)〜6(N)は、電子部品2の製造方法を示す。
図5(A)〜5(D)の工程は、第1実施形態(
図2(A)〜2(D)の工程)同様であるので、ここでは説明を省略する。
図5(E)の工程では、構造体10の底面SBに開口OPを形成する。この工程は、底面SBにレジストパターン91を形成した後、レジストパターン91を用いて2回のエッチングをそれぞれ互いに異なる条件で行うことにより為される。具体的には、まず、等方性ドライエッチングを行って傾斜部分P1を形成する。この等方性ドライエッチングとして、本実施形態では、SF
6、C
4F
8、O
2等の反応ガス環境下での誘導結合型RIEを行った。次に、異方性ドライエッチングを行って垂直部分P2を形成する。この異方性ドライエッチングとして、本実施形態では、第1実施形態(
図2(E)の工程)同様のディープRIEを行った。
【0042】
図5(F)〜6(I)の工程は、第1実施形態(
図2(F)〜3(I)の工程)同様の条件で為されればよい。
図5(F)の工程では、構造体10の底面SBおよび開口OPの側面に、絶縁性の保護膜15を形成する。次に、
図5(G)の工程では、構造体10の底面SBおよび開口OPの内壁を覆うように、バリアメタル層201を形成する。その後、
図6(H)の工程では、構造体10の底面SBおよび開口OPの内壁を覆うように、シードメタル層202を形成する。更にその後、
図6(I)の工程では、シードメタル層202上に、開口OPおよびその周辺部が露出するようにレジストパターン92を形成する。第1実施形態同様、シードメタル層202Aは、シードメタル層202のうちレジストパターン92により露出された部分を示し、シードメタル層202Bはそれ以外の部分を示す。
【0043】
図6(J)の工程では、電解めっき法によりシードメタル層202Aにめっき層203を形成する。ここで、シードメタル層202Aは開口OPに伴う段差を有するため、めっき層203が均一の膜厚で形成されない場合がある。即ち、第1実施形態でも述べたとおり、めっき層203のうち、底面SBと直交する方向に延在する部分は、それ以外の部分よりも薄く(膜厚が小さく)なりやすい。
【0044】
図6(K)の工程でレジストパターン92を除去した後、
図6(L)の工程では、めっき層203およびシードメタル層202Bを覆うように、膜部材204を形成する。次に、
図6(M)の工程では、ウェットエッチングにより膜部材204のエッチバックを行い、めっき層203の水平面および傾斜面、並びに、シードメタル層202Bの水平面を露出させる。これと共に、開口OP内及び開口OP外において、めっき層203の垂直面には保護膜204A及び204Bがそれぞれ残存する。保護膜204Aは、開口OP内において垂直部分P2を覆い、保護膜204Bは、開口OP外においてめっき層203の垂直面を覆う。
【0045】
図6(N)の工程は、第1実施形態(
図3(N)の工程)同様の条件で為されればよい。この工程により、シードメタル層202Bと、バリアメタル層201のうちシードメタル層202Bで覆われた一部と、を除去し、保護膜15を露出させる。以上により、電極20の形成が完了する。
【0046】
本実施形態によれば、開口OPの側面は、開口OP内の浅い位置において傾斜部分P1を有しており、即ち、開口OPは入口近傍において広めに開放されている。そのため、
図5(F)の工程以降、例えば
図5(G)、6(H)、6(J)及び6(L)の工程では、開口OP内に金属材料を適切に埋め込み可能となる。よって、本実施形態によれば、電極20をより適切に形成することが可能となり、電子部品2の製造面において有利である。
【0047】
このような態様においても、第1実施形態同様に、開口OPに伴うシードメタル層202Aの段差に起因して、めっき層203は不均一な膜厚で形成されうる。そのため、その後の工程、本実施形態ではシードメタル層202B等のエッチングを行う工程において、めっき層203における膜厚が比較的小さい部分が更に薄膜化し又は除去されてしまう可能性がある。
【0048】
これに対し、本実施形態では、
図6(M)の工程で、めっき層203を覆うように保護膜204Aを形成する。保護膜204Aは、本実施形態では、めっき層203における膜厚が比較的小さい部分(垂直部分P2に対応する部分)を覆うが、めっき層203の露出面の全てを覆ってもよい。その後の
図6(N)の工程では、めっき層203が保護膜204Aで覆われた状態で、シードメタル層202Bと、バリアメタル層201のうちシードメタル層202Bに覆われた部分とのエッチングが為される。そのため、めっき層203に対する該エッチングによる影響を抑制することができ、めっき層203における膜厚が比較的小さい部分が更に薄くなり、或いは、この部分が除去されて電極20が断線してしまうといった事態を防ぐことができる。よって、本実施形態によれば、電極20の適切な形成を可能にすると共に、電子部品2の電気特性の向上および歩留りの向上に有利である。
【0049】
(その他)
以上、いくつかの好適な態様を例示したが、本発明はこれらの例に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その一部が変更されてもよい。上述の実施形態では、電子部品1等として半導体装置を例示したが、実施形態の内容は、配線基板や半導体チップを収容する容器(パッケージ)にも適用可能である。また、本明細書に記載された個々の用語は、本発明を説明する目的で用いられたものに過ぎず、本発明は、その用語の厳密な意味に限定されるものでないことは言うまでもなく、その均等物をも含みうる。