【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0038】
(1)プロピレン系エラストマー(E)の製造例
重合用触媒/助触媒として、特開2007−186664公報に記載の方法で調製されたジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド/メチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製、アルミニウム換算で0.3mmol)と、原料となるエチレン、プロピレン、1−ブテンを、連続重合設備を用いてヘキサン溶液中で重合することで4種類のプロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体(E−1)〜(E−4)を得た。成分(E−1)〜(E−4)の物性値を以下の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0039】
a)組成比、B値及びアイソタクティックトライアッド分率(mm)
13C−NMRスペクトルの解析により求めた。
【0040】
b)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、オルトジクロロベンゼン溶媒(移動相)とし、カラム温度140℃で測定した(ポリプロピレン換算)。具体的には、分子量分布(Mw/Mn)は、Waters社製ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC-2000型を用い、以下のようにして測定した。分離カラムは、東ソー社製TSKgelGNH6-HTを2本、及び東ソー社製TSKgelGNH6-HTLを2本であり、カラムサイズはいずれも直径7.5mm、長さ300mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo-ジクロロベンゼン(和光純薬工業)及び酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%を用いて、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は15mg/10mlとし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000、及びMw>4×10
6については東ソー社製を用いて、1000≦Mw≦4×10
6についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。
【0041】
c)MFR
ASTM D−1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重におけるMFRを測定した。
【0042】
d)ショアA硬度(瞬間値)
190℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、5分余熱後、10MPa加圧下で2分成形したのち、20℃で10MPaの加圧下で4分間冷却することにより所定の厚みのシートを作製することにより試験片を得た。成形後室温で72時間経過させた後、A型測定器を用い、押針接触後直ちに目盛りを読み取った(ASTM D−2240に準拠)。
【0043】
【表1】
【0044】
(2)プロピレン系重合体(P)
以下のホモポリプロピレン(H−PP)及びランダムポリプロピレン(R−PP)を使用した。これらのMFRは前記の方法で測定した。これらの融点は以下の方法で測定した。
「H−PP」:ホモポリプロピレン(プライムポリマー社製、プライムポリプロ(登録商標)F107、MFR(230℃,2.16kg)=7g/10分、融点=163℃)
「R−PP」:ランダムポリプロピレン(プライムポリマー社製、プライムポリプロ(登録商標)F327、エチレン含量=2.8モル%、1−ブテン含量=2.2モル%、MFR(230℃,2.16kg)=7g/10分、融点=139℃)
【0045】
e)融点
示差走査熱量計(DSC)により発熱・吸熱曲線を求め、2nd昇温時の最大融解ピーク位置の温度を融点とした。測定は試料をアルミパンに詰め、(i)20℃/分で室温から200℃まで昇温して、200℃で5分間保持し、(ii)20℃/分で−20℃まで降温して、−20℃で5分間保持し、次いで(iii)20℃/分で200℃まで昇温し、得られた吸熱曲線を解析して求めた。
【0046】
[実施例1]
ホモポリプロピレン(H−PP)10質量部と、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(E−1)90質量部を原料として用い、これら原料をラボプラストミル(東洋精機製)にて混練(190℃、5min、40rpm)し、プロピレン系樹脂組成物を得た。この樹脂組成物について以下の方法によりショアA硬度X(15秒値)及びTMA軟化温度Yを測定した。結果を表2に示す。
【0047】
f)ショアA硬度(15秒値)
190℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、5分余熱後、10MPa加圧下で2分成形したのち、20℃で10MPaの加圧下で4分間冷却することにより所定の厚みのシートを作製することにより試験片を得た。成形後室温で72時間経過させた後、A型測定器を用い、押針を接触した15秒後に目盛りを読み取った(ASTM D−2240に準拠)。
【0048】
g)TMA軟化温度
190℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、5分余熱後、10MPa加圧下で2分成形したのち、20℃で10MPaの加圧下で4分間冷却することにより所定の厚みのシートを作製することにより試験片を得た。成形後室温で72時間経過させた後、1mmφの圧子に2kg/cm
2の圧力をかけながら昇温速度5℃/minで加熱したときの変位(侵入深さ)を測定し、これが500μmに到達したときの温度をTMA軟化温度とし、耐熱性の指標として用いた。
【0049】
[実施例2]
ホモポリプロピレン(H−PP)15質量部と、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(E−1)85質量部を原料として用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0050】
[実施例3]
ホモポリプロピレン(H−PP)20質量部と、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(E−1)80質量部を原料として用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0051】
[実施例4]
ホモポリプロピレン(H−PP)15質量部と、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(E−2)85質量部を原料として用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0052】
[実施例5]
ホモポリプロピレン(H−PP)10質量部と、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(E−3)90質量部を原料として用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0053】
[実施例6]
ホモポリプロピレン(H−PP)15質量部と、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(E−3)85質量部を原料として用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表
2に示す。
【0054】
[実施例7]
ランダムポリプロピレン(R−PP)15質量部と、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(E−1)85質量部を原料として用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表3に示す。
【0055】
[実施例8]
ランダムポリプロピレン(R−PP)20質量部と、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(E−1)80質量部を原料として用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表3に示す。
【0056】
[実施例9]
ホモポリプロピレン(H−PP)10質量部と、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(E−4)90質量部を原料として用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表3に示す。
【0057】
[実施例10]
ホモポリプロピレン(H−PP)15質量部と、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(E−4)85質量部を原料として用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表3に示す。
【0058】
[実施例11]
ランダムポリプロピレン(R−PP)15質量部と、プロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体(E−3)85質量部を原料として用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表3に示す。
【0059】
[実施例12]
ランダムポリプロピレン(R−PP)20質量部と、プロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体(E−3)80質量部を原料として用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表3に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
[比較例1〜7]
表4に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表4に示す。
【0063】
【表4】
【0064】
[比較例8〜12]
Exxon Mobile Chemical社製Vistamaxx(登録商標)の下記5銘柄について評価を行った。結果を表5に示す。
「Vistamaxx
TM3000」:プロピレン・エチレン共重合体(エチレン含量=11質量%、MFR(230℃,2.16kg)=7g/10分)
「Vistamaxx
TM3020FL」:プロピレン・エチレン共重合体(エチレン含量=10.5質量%,MFR(230℃,2.16kg)=2.2g/10分)
「Vistamaxx
TM3980FL」:プロピレン・エチレン共重合体(エチレン含量=8.5質量%、MFR(230℃,2.16kg)=8.3g/10分)
「Vistamaxx
TM6102」:プロピレン・エチレン共重合体(エチレン含量=16質量%、MFR(230℃,2.16kg)=3g/10分)
「Vistamaxx
TM6202」:プロピレン・エチレン共重合体(エチレン含量=15質量%、MFR(230℃,2.16kg)=18g/10分)
【0065】
[比較例13、14]
三井エラストマーズシンガポール社製タフマー(登録商標)の下記2銘柄についてについて評価を行った。結果を表5に示す。
「タフマー
TMXM−7070」:プロピレン・1−ブテン共重合体(MFR(230℃,2.16kg)=7g/10分)
「タフマー
TMXM−7090」:プロピレン・1−ブテン共重合体(MFR(230℃,2.16kg)=7g/10分)
【0066】
【表5】